JPH0611106U - 磁気ヘッド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】本考案は垂直磁気記録再生に適用できる磁気ヘ
ッドに関し、簡単な構造で垂直磁気記録再生処理を行う
ことを目的とする。 【構成】磁気ヘッド部１３と、この磁気ヘッド部１３を
保持すると共に記録媒体との所定摺接状態を維持するス
ライダ部１４と、上記磁気ヘッド部１３に外部誘導ノイ
ズが侵入するのを防止するシールド部３０とを設けてな
る磁気ヘッドにおいて、上記シールド部３０を磁性フェ
ライトのブロックにより形成すると共に、このシールド
部３０にその一部が磁気記録媒体と摺接する摺動面に露
出した露出部３０ａを形成し、上記磁気ヘッド部１３を
主磁極として用い、シールド部３０の露出部３０ａを補
助磁極として用いる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は磁気ヘッドに係り、特に垂直磁気記録再生に適用できる磁気ヘッドに 関する。

【０００２】

【従来の技術】

一般に磁気ディスクに対して記録再生を行なう磁気記録再生装置に使用される 磁気ヘッドは、記録ヘッドと再生ヘッド或は記録・再生兼用ヘッドと消去ヘッド との複合ヘッド構造とされている。この種の磁気ヘッドの従来例を図６乃至図８ に示す。図６は磁気ヘッド１の斜視図、図７は磁気ヘッド１の分解斜視図、図８ は外部誘導ノイズを軽減するため磁気ヘッド１にシールド材２を配設した状態を 示している。

【０００３】 磁気ヘッド１は、大略して磁気ヘッド部３とスライダ４等により構成されてい る。磁気ヘッド部３はコイル５，６が取付けられると共に磁気ギャップ７，８が 形成れてなる磁気コア９、及びこの磁気コア９を磁気回路的に閉じるための橋路 バー１０とにより構成されている。一方、スライダ４は断面略Ｌ字状の非磁性材 （例えばセラミック）よりなるスライダ半体４ａ，４ｂより構成される。

【０００４】 上記各構成部品の組立ては、磁気コア９にスライダ半体４ａ，４ｂをエポキシ 樹脂或はガラスを用いて接合接着し、続いて磁気ディスクと対向する摺接面１１ を研磨加工する。次に磁気回路を構成するコイル５，６を磁気コア９に装着する と共に磁路を形成する橋路バー１０を取付け図６に示す磁気ヘッド１を得る。尚 、シールド材２は磁気ヘッド１が形成された後に取付けられる。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかるに上記従来構成のの磁気ヘッド１では、磁気記録方向が磁気記録媒体に 対し面方向に記録するいわゆる水平記録であったため、磁気記録密度を向上させ るのには限界があった。 このため、磁気記録媒体に対し垂直方向に磁気記録を行う垂直磁気記録方式が 提案されている。この垂直磁気記録方式では、記録時に磁気記録媒体に対し垂直 方向に磁界を印加する必要がある。このため、一般に垂直磁気記録方式に用いる 磁気ヘッドは磁気記録媒体を挟んで主磁極と副磁極が対向配設される構成とされ ており、よって垂直磁気記録方式に用いる磁気ヘッドはその構造が複雑であると いう問題点があった。

【０００６】 本考案は上記の点に鑑みてなされたものであり、簡単な構造で垂直磁気記録再 生処理を行いうる磁気ヘッドを提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上記問題点を解決するために、本考案では、 磁気ヘッド部と、この磁気ヘッド部を保持すると共に記録媒体との所定摺接状 態を維持するスライダと、上記磁気ヘッド部に外部誘導ノイズが侵入するのを防 止するシールド部材とを設けてなる磁気ヘッドにおいて、 上記シールド部材を磁性フェライトのブロックにより形成すると共に、上記シ ールド部材にその一部が磁気記録媒体と摺接する摺動面に露出した露出部を形成 し、 上記磁気ヘッド部を主磁極として用い、シールド部材の露出部を補助磁極とし て用いたことを特徴とするものである。

【０００８】

【作用】

上記構成とされた磁気ヘッド及びその製造方法によれば、磁性フェライトのブ ロックにより構成されたシールド部材の露出部が摺動面に露出した構成とし、上 記磁気ヘッド部を主磁極として用い、シールド部材の露出部を補助磁極として用 いることにより、従来構成と略同等の簡単な構成で垂直磁気記録を行うことがで きる。

【０００９】

【実施例】

次に本考案になる磁気ヘッドの一実施例について図面と共に説明する。 図１は本案の前提となる磁気ヘッド１２の斜視図であり、また図２は磁気ヘッ ド１２の分解斜視図である。この磁気ヘッド１２は、大略して磁気ヘッド部１３ 、スライダ部１４、シールド部１５等により構成されている。

【００１０】 磁気ヘッド部１３は周知の構造とされており、磁気ギャップ１６，１７が設け られてなる磁気コア１８に磁気回路を構成するコイル１９，２０及び閉磁路を形 成する橋路バー２１とにより構成されている。上記磁気ギャップ１６，１７の内 、一方は記録・再生用の磁気ギャップとして機能し、他方は消去用ヘッドとして 機能する。即ち、磁気ヘッド部１３は複合構造とされている。

【００１１】 スライダ部１４は非磁性材のセラミックよりなり、例えば５ｍｍ×６ｍｍ×１ ｍｍの大きさを有する単純構造の板状体を所定形状に切削加工することにより形 成されている。尚、図２にはスライダ部１４が二分割されてスライダ部半体１４ ａ，１４ｂとなった状態を示しているが、角部のＲ研磨、空気溝２３及び磁気ヘ ッド部１３の取付け溝２４の形成は、加工されていないセラミック板をシールド 部１５に取付けられた後加工される。

【００１２】 具体的には、所定形状のセラミック板をエポキシ樹脂によりシールド部１５の 上面に載置して接着した後、取付け溝２４と空気溝２３を同時に加工し、次いで 各角部にＲ研磨を行ないスライダ部１４を形成する。この取付け溝２４の形成に よりスライダ部１４は実質的にスライダ部半体１４ａ，１４ｂに画成される。 上記スライダ部１４の加工形成は、平板状のセラミック板をシールド部１５の 平坦な上面１５ｂに載置し接着した後に行なわれるため、固さが大であるセラミ ック板に対して比較的容易に加工を行なうことができる。またセラミック板は平 板状のものをそのまま用いることができるため、これによっても加工を容易とす ることができる。

【００１３】 シールド部１５は、軟磁性である焼結フェライト材よりなるブロック構造を有 し、型を用いて焼結形成することにより図１及び図２に示させる形状に形成され る。このシールド部１５は直方体形状の本体部１５ａに、上下に貫通された貫通 孔２５を設けてなる構成となっている。焼結フェライト材は成形加工が容易でか つ型を用いた製造も容易であり、安価に得られる。また軟磁性材であるため、シ ールド効果を奏することができる。尚、シールド部１５の成形加工において、ス ライダ部１４が接着される本体上面部１５ｂは高精度に研磨加工が施されている 。 上記各構成部品の組立て方法について以下説明する。

【００１４】 先ず、前記したように平板形状のセラミック板をエポキシ樹脂によりシールド 部１５の上面に載置して接着し、続いて取付け溝２４と空気溝２３を加工した後 、各角部にＲ研磨を行ないスライダ部１４を形成する。 次に、シールド部１５上に接着されたスライダ部１４の取付け溝２４に磁気コ ア１８を挿入し、これをエポキシ樹脂等によりスライダ部１４に接着する。この 際、スイライダ部１４は既にシールド部１５に固定されているため、従来必要と された治具等は不用であり、接着作業を容易に行なうことができる。

【００１５】 尚、取付け溝２４は貫通孔２５と対向するよう構成されている。従って磁気コ ア１８がスライダ部１４に取付けられた状態において、コイル取付部１８ａ，１ ８ｂ及び中央コア部１８ｃはシールド部１５に形成された貫通孔２５内に突出し ている。 次に摺接面２６となる磁気コア１８の磁気ギャップ１６，１７の形成面及びス ライダ部１４の表面を研磨仕上げする。この際、シールド部１５はフェライト材 よりなるため、研磨加工機への取付けは磁力による吸着を用いることができる。 よって、マグネットチャッキングができるため加工機への着脱が容易となり、ま た複雑な治具が不用となり接着剤も使わないため洗浄工程を削除することができ る。

【００１６】 この研磨加工の終了後、シールド部１５の裏側よりコイル１９，２０がコイル 取付部１８ａ，１８ｂに装着され、続いて橋路バー２１が取付けられることによ り図１に示される磁気ヘッド１２が形成される。 尚、組立て手順は上記に限られるものではなく、例えばスライダ部１４となる セラミック板をシールド部１５に接着する前に予め分割してスライダ部半体１４ ａ，１４ｂを作成し、スライダ部半体１４ａ，１４ｂ、シールド部１５、磁気コ ア１８の４点の部品を一括的に組み合わせて接合してもよい。

【００１７】 ここで磁気ヘッド１２が磁気記録再生装置（図示せず）に実装されて磁気ディ スク２７に摺接している状態の断面を図３に示す。尚、同図は一対の磁気ヘッド １２が磁気ディスク２７を挟持する状態で両面に摺接する構成を示している。 同図に示されるように、コイル１９，２０及び磁気コア１３の大部分は軟磁性 材であるフェライト材により囲繞されている。よって、外部からの誘導ノイズは シールド部１５により確実に遮断され磁気コア１３及びコイル１９，２０等より 構成される磁気回路が誘導ノイズに影響されるようにことはなく、良好な磁気記 録再生を行なうことができる。

【００１８】 尚、図４に示されるように磁気ディスク２７に対し片面のみに磁気ヘッド１２ が摺接する構成としても良いことは勿論である。また、同図において、２８は磁 気ヘッド１２と磁気ディスク２７の摺接状態を向上させるためのパッドである。 次に、本考案の一実施例である磁気ヘッド２９を図５に示し以下説明する。 上記してきたように、磁気ヘッド１２は製造が容易で、かつ誘導ノイズの影響 を有効に除去できる。しかしながら、磁気ヘッド１２はいわゆる水平磁気記録方 式の磁気ヘッドであるため、高密度記録を行うことができない。本考案に係る磁 気ヘッド２９は、上記した磁気ヘッド１２が有する製造の容易性及びノイズの遮 断性を維持しつつ、高密度記録を実現できる垂直磁気記録を行えるよう構成した ことを特徴とするものである。

【００１９】 同図に示される磁気ヘッド２９は、シールド部３０を段付形状としてその一部 を上方へ延出させて磁気ディスク（記録媒体）２７との摺接面に露出させたた露 出部３０ａを形成し、この露出部３０ａが磁気ディスク２７と摺接し得るよう構 成したものである。但し、シールド部３０は前記した磁気ヘッド１２に配設され たシールド部１５と同様に、軟磁性である焼結フェライト材よりなるブロック構 造とされている。従って、本実施例におけるシールド部３０も成形加工の容易性 ，型を用いた製造の容易性を維持しており、シールド部３０を安価に得られ、ま た軟磁性材であるため、高いシールド効果を奏することができる。

【００２０】 また、磁気ヘッド部１３は、シールド部３０に形成された貫通孔２５内に位置 し、その外周部に位置するシールド部３０の肉厚は大であるため、これによって も高いシールド性を実現でき、外部誘導ノイズの影響を防止することができる。 続いて、上記構成とされた磁気ヘッド２９の機能について説明する。 図５に示されるように、実装状態において磁気ヘッド２９は一対一組で用いら れ、磁気ディスク２７を挟んで対向配設される。具体的には、一対の磁気ヘッド ２９は、夫々の磁気ギャップが露出部３０ａと対向するよう位置決めされて磁気 ディスク２７を挟持するよう配設される。この配設構成とすることにより、磁気 コア１８を主磁極として機能させ、また露出部３０ａを補助磁極として機能させ ることができる。よって、磁気ヘッド２９を垂直磁気記録方式に適用することが 可能となり、磁気ヘッド２９により高密度記録を実現することができる。この磁 気ヘッド２９は、前記のように高いシールド性も維持しており、高密度記録を行 う際特に問題となる外部誘導ノイズの影響を無くすことができるため、良好な磁 気記録再生を実現することができる。

【００２１】

【考案の効果】

上述の如く本考案によれば、磁性フェライトのブロックにより構成されたシー ルド部材の露出部が摺動面に露出した構成とし、上記磁気ヘッド部を主磁極とし て用い、シールド部材の露出部を補助磁極として用いることにより、従来構成と 略同等の簡単な構成で垂直磁気記録を行うことができる等の特長を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案になる磁気ヘッドの前提となる磁気ヘッ
ドの斜視図である。

【図２】図１に示す磁気ヘッドの分解斜視図である。

【図３】一対の磁気ヘッドを磁気ディスクを挟持するよ
う配設した使用態様を示す図である。

【図４】磁気ヘッドを磁気ディスクの片面に摺接させた
使用態様を示す図である。

【図５】本考案の一実施例である磁気ヘッドを示す図で
ある。

【図６】従来の磁気ヘッドの一例の斜視図である。

【図７】図６に示す磁気ヘッドの分解斜視図である。

【図８】図６に示す磁気ヘッドにシールド材を取付けた
状態を示す斜視図である。

【符号の説明】

１２，２９ 磁気ヘッド １３ 磁気ヘッド部 １４ スライダ部 １４ａ，１４ｂ スライダ部半体 １５，３０ シールド部 １８ 磁気コア １９，２０ コイル ２４ 取付け溝 ２５ 貫通孔 ２７ 磁気ディスク ３０ａ 露出部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 磁気ヘッド部と、該磁気ヘッド部を保持
   すると共に記録媒体との所定摺接状態を維持するスライ
   ダと、該磁気ヘッド部に外部誘導ノイズが侵入するのを
   防止するシールド部材とを設けてなる磁気ヘッドにおい
   て、 該シールド部材を磁性フェライトのブロックにより形成
   すると共に、該シールド部材にその一部が磁気記録媒体
   と摺接する摺動面に露出した露出部を形成し、 該磁気ヘッド部を主磁極として用い、該シールド部材の
   露出部を補助磁極として用いたことを特徴とする磁気ヘ
   ッド。