JPH0610862A - ロータリー圧縮機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】ブレード１０の板厚を薄くすること無く、その
背圧に基づく押し付け力を緩和し、かつ、ブレード１０
の上下端部の隙間を通じた漏れを低減し、ブレード１０
とローラ６との摺動損失を減少すると共に、容積効率を
改善する。 【構成】ブレード１０の側面における高さ方向中間部
に、頭部から背部にかけて連続して延びる円弧形状の凹
部１１を設けると共に、摺動溝７の内面に円弧形状の凸
部１２を設け、ブレード１０の背圧作用面積を減少して
ローラ６に対する押し付け力を緩和する一方、ブレード
１０の上下端面にはシールに必要な板幅を確保し、且つ
凹部１１と凸部１２との係合により、ブレード１０の上
端面とフロントヘッド４との間に生じる隙間とブレード
１０の下端面とリアヘッド５との間に生じる隙間をほぼ
均等に揃えて、高圧室９から低圧室８への漏れを低減し
た。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、冷凍機における冷媒の
圧縮機等として広く用いられるロータリー圧縮機に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の圧縮機は、実開昭６１−
１１４０９３号公報等に開示され且つ図５に示すよう
に、高圧流体を開放する高圧ドーム形のケーシングＤ
に、シリンダ室ＱをもつシリンダＣを内装し、シリンダ
室Ｑの内部に、モータ軸Ｓの偏心軸部Ｅに嵌合されて公
転するローラＲを配設すると共に、シリンダＣに設ける
摺動溝Ｍに、頭部をローラＲに接触させ、背部にケーシ
ングＤ内の高圧圧力及びスプリングＶを作用させたブレ
ードＢを介装し、該ブレードＢを境にしてシリンダ室Ｑ
の内部を吸入口Ｊに通じる低圧室Ｌと吐出口Ｏに通じる
高圧室Ｈとに区画し、ローラＲの公転に伴い、シリンダ
室Ｑの内部で冷媒ガス等の作動流体を圧縮し、ケーシン
グＤの内部に開放する高圧流体を吐出管（図示せず）か
ら外部に取り出すようにしている。尚、図示していない
が、シリンダＳの上下部にはフロント及びリアヘッドを
積層し、シリンダ室Ｑの上下部を封鎖している。

【０００３】一方、特開平２−１１５５９０号公報等
で、ブレードＢの重量を軽減し、その往復運に伴う慣性
力を低減するため、ブレードＶの内部に背部から頭部近
くにかけて盗み穴Ｎを設け、摺動特性を改善できるよう
にしたものが知られている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、ブレードＢの
内部に盗み穴Ｎを設けて多少の慣性力を軽減したとして
も、このブレードＢの背部には、盗み穴Ｎの有無に拘ら
ず、ブレードＢの横断面を形作る矩形状の面積にケーシ
ングＤ内の高圧圧力を乗じた大きさに相当する力が常時
付与されるから、該ブレードＢの頭部がローラＲの外周
部に強く押し付けられ、このブレードＢの頭部と、偏心
軸部Ｅの回転に引きづられて回転することになるローラ
Ｒの外周部との間の摺動損失が比較的大きくなる問題が
ある。

【０００５】この場合、ブレードＢの背部に作用する力
を軽減するため、ブレードＢの板厚を薄くすることも考
えられるが、こうした場合には、ブレードＢの上端面と
フロントヘッドとの間に生じる隙間やブレードＢの下端
面とリアヘッドとの間に生じる隙間を通じて、図５中矢
印で示すように高圧室Ｈから低圧室Ｌに漏れる作動流体
の漏れ量が増え、容積効率を悪化させる問題が起こる。

【０００６】本発明の主目的は、ブレードの背部に付与
する力を緩和できながら、該ブレードの上下端部の隙間
を通じた漏れを低減でき、ブレードとローラとの摺動損
失を減少できると共に容積効率を改善できるロータリー
圧縮機を提供するにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】そこで、上記主目的を達
成するため、ケーシング１に内装するシリンダ３と、こ
のシリンダ３の上下部に積層するフロントヘッド４及び
リアヘッド５と、前記シリンダ３のシリンダ室２内に公
転するローラ６と、頭部を前記ローラ６の外周部に、背
部を前記ケーシング１の内部に各々臨ませ、かつ、前記
ローラ６の公転に伴って前記シリンダ３に設ける摺動溝
７内を往復動し、前記シリンダ室２を低圧室８と高圧室
９とに区画するブレード１０とを備えたロータリー圧縮
機において、前記ブレード１０の側面における高さ方向
中間部に、該ブレード１０の頭部から背部にかけて連続
して延びる凹部１１を設けると共に、前記摺動溝７の内
面に、前記凹部１１に突入する凸部１２を設けた。

【０００８】この場合、凹部１１は、ブレード１０の左
右の側面に設け、凸部１２は、摺動溝７の左右の内面に
設けるのが好ましい。

【０００９】又、凹部１１及び凸部１２は、曲面形状に
形成するのが好ましい。

【００１０】

【作用】ブレード１０の頭部から背部にかけて連続して
延びる凹部１１の断面積に見合って、ブレード１０の背
部に付与される高圧圧力の作用面積を減少でき、これに
より、ブレード１０の押し付け力を緩和することができ
て、ブレード１０とローラ６との間の摺動特性を改善す
ることができる。しかも、凹部１１は、ブレード１０の
高さ方向中間部に設けられ、ブレード１０の上下端面に
はシールに必要な板幅を確保できるし、更に、ブレード
１０の高さ方向中間部に設けた凹部１１とこれに突入す
る凸部１２との係合により、ブレード１０の上端面とフ
ロントヘッド４との間に生じる隙間と、ブレード１０の
下端面とリアヘッド５との間に生じる隙間をほぼ均等に
揃えることが可能になり、ブレード１０の上端面とフロ
ントヘッド４との間の片側上部のみの隙間が過大になる
のを防止することができ、これらにより、高圧室９から
低圧室８への漏れを低減することができて、容積効率を
改善することもできる。

【００１１】凹部１１をブレード１０の左右両側面に設
けることにより、ブレード１０の背部に付与される高圧
圧力の作用面積を効果的に減少でき、ブレード１０の押
し付け力を更に緩和することができて、ブレード１０と
ローラ６との間の摺動特性を一層良好に改善することが
できる。

【００１２】凹部１１及び凸部１２を曲面形状に形成す
ることにより、これら凹部１１と凸部１２を設けるにも
拘らず、ブレード１０の摺動溝７に対する摺動を円滑に
できると共に、凹部１１と凸部１２との曲面同士の接触
により、ブレード１０の高さ方向中心部を摺動溝７の高
さ方向中心部に位置させ易くなり、ブレード１０の上端
面とフロントヘッド４との間に生じる隙間と、ブレード
１０の下端面とリアヘッド５との間に生じる隙間を良好
に揃えることができ、ブレード１０の上下端面の隙間部
を介した漏れを一層良好に低減することができる。

【００１３】

【実施例】図１に示すものは、冷媒圧縮用のロータリー
圧縮機であって、高圧流体を開放する高圧ドーム形の筒
状のケーシング１と、中央部にシリンダ室２をもち、外
周部を溶接等によりケーシング１に固定するシリンダ３
と、このシリンダ３の上下部にボルト等により積層する
フロントヘッド４及びリアヘッド５と、モータ軸の偏心
軸部に嵌合されてシリンダ室２の内部に公転する円筒形
のローラ６と、頭部をローラ６の外周部に、背部をケー
シング１の内部に通じる背圧導入穴７０に各々臨ませ、
かつ、ローラ６の公転に伴ってシリンダ３に設ける摺動
溝７内を往復動し、シリンダ室２を吸入口８０に通じる
低圧室８と吐出口９０に通じる高圧室９とに区画するブ
レード１０とを備えたものである。尚、吐出口９０の出
口部には吐出弁９１及びその弁押え９２を設けている。

【００１４】以上の構成において、ブレード１０の側面
における高さ方向中間部に、このブレード１０の頭部か
ら背部にかけて連続して延びる凹部１１を設けると共
に、摺動溝７の内面に、凹部１１に突入する凸部１２を
設ける。

【００１５】前記凹部１１は、図２にも明示するよう
に、ブレード１０の左右の側面に設けており、これに対
応して、凸部１２も摺動溝７の左右の内面に設けてい
る。又、凹部１１及び凸部１２は部分的な円弧から成る
曲面形状に各々形成している。更に、凹部１１を除いた
ブレード１０の断面積は、図２中想像線で示す従来形の
ブレードの断面積に対して小さくしており、一方、ブレ
ード１０の上下端部の板幅は、従来のブレードの板幅に
対してむしろ長くしている。

【００１６】こうして、以上の構成により、ブレード１
０の左右両側面に、その頭部から背部にかけて連続して
延びる一対の凹部１１，１１を設けて、その断面積を従
来のものに対して小さくし、ブレード１０の背部に付与
される高圧圧力の作用面積を減少したから、ブレード１
０のローラ６に対する押し付け力を緩和することがで
き、これらブレード１０とローラ６との間の摺動特性を
良好に改善することができる。同時に、凹部１１及び凸
部１２を曲面形状に形成しているから、ブレード１０の
摺動溝７に対する摺動を円滑に行わせることができる。

【００１７】しかも、凹部１１はブレード１０の高さ方
向中間部に設けられ、ブレード１０の上下端面には、従
来のものよりもむしろ長く、シールに必要な十分な板幅
を確保できるし、又、ブレード１０の高さ方向中間部に
設けた曲面形状の凹部１１とこれに突入する曲面形状の
凸部１２との係合により、ブレード１０の上端面とフロ
ントヘッド４との間に生じる隙間と、ブレード１０の下
端面とリアヘッド５との間に生じる隙間をほぼ均等かつ
良好に揃えることが可能になり、ブレード１０の上端面
とフロントヘッド４との間の片側上部のみの隙間が過大
になるのを防止することができ、これらにより、高圧室
９から低圧室８への漏れを低減することができて、容積
効率を改善することもできる。

【００１８】ところで、以上の実施例では、凹部１１と
凸部１２とをブレード１０の両側に各一対つづ設けた
が、片側のみに設けてもよいし、又、凹部１１及び凸部
１２を曲面で形成したが、図３に示すように矩形とした
り、図４に示すように三角形等としてもよい。

【００１９】又、以上の各実施例において、ブレード１
０の背部に、図５で示したようなスプリングを介装し、
起動当初等において、ブレード１０に初期荷重を与える
ようにしても勿論よい。

【００２０】

【発明の効果】以上、請求項１記載の発明によれば、ブ
レード１０の背部に付与する力を緩和できながら、該ブ
レード１０の上下端部とフロント及びリアヘッド４，５
との間の隙間を通じた漏れを低減でき、ブレード１０と
ローラ６との摺動損失を減少できると共に容積効率を改
善することができる。

【００２１】請求項２記載の発明によれば、ブレード１
０の左右両側に設ける凹部１１によりブレード１０の押
し付け力を更に緩和することができ、ブレード１０とロ
ーラ６との間の摺動特性を一層良好に改善することがで
きる。

【００２２】請求項３記載の発明によれば、凹部１１及
び凸部１２を曲面形状に形成することにより、ブレード
１０と摺動溝７との間の摺動を円滑に行わせることがで
きると共に、凹部１１と凸部１２との曲面同士の接触に
より、ブレード１０の上下端面の隙間部を介した漏れを
一層良好に低減することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明ロータリー圧縮機に係る第一実施例の要
部の斜視図。

【図２】同第一実施例の要部の断面図。

【図３】同第二実施例の要部の断面図。

【図４】同第三実施例の要部の断面図。

【図５】従来のロータリー圧縮機の平面図。

【符号の説明】

１；ケーシング、２；シリンダ室、３；シリンダ、４；
フロントヘッド、５；リアヘッド、６；ローラ、７；摺
動溝、８；低圧室、９；高圧室、１０；ブレード、１
１；凹部、１２；凸部

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ケーシング１に内装するシリンダ３と、こ
   のシリンダ３の上下部に積層するフロントヘッド４及び
   リアヘッド５と、前記シリンダ３のシリンダ室２内に公
   転するローラ６と、頭部を前記ローラ６の外周部に、背
   部を前記ケーシング１の内部に各々臨ませ、かつ、前記
   ローラ６の公転に伴って前記シリンダ３に設ける摺動溝
   ７内を往復動し、前記シリンダ室２を低圧室８と高圧室
   ９とに区画するブレード１０とを備えたロータリー圧縮
   機において、前記ブレード１０の側面における高さ方向
   中間部に、該ブレード１０の頭部から背部にかけて連続
   して延びる凹部１１を設けると共に、前記摺動溝７の内
   面に、前記凹部１１に突入する凸部１２を設けているこ
   とを特徴とするロータリー圧縮機。
2. 【請求項２】ブレード１０の左右の側面に凹部１１，１
   １を設けていると共に、摺動溝７の左右の内面に凸部１
   ２，１２を設けている請求項１記載のロータリー圧縮
   機。
3. 【請求項３】凹部１１及び凸部１２を曲面形状に形成し
   ている請求項１又は請求項２記載のロータリー圧縮機。