JPH06108493A - 作業機の運転室 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本体フレームからの捩り振動で運転室が前，
後、左，右に振動するのを規制し、運転室の固有振動数
を小さくして乗り心地を向上させる。 【構成】 運転室本体２２の床板２４に設けた取付ブラ
ケット２９，２９にはトーションバー３１のリンクロッ
ド３２，３２を連結し、各リンクロッド３２を捩り力に
対して高いばね定数を有する連結ロッド３３を介して、
旋回フレーム２１の各支承部２１Ｂに固着した取付ブラ
ケット３０，３０に連結する。そして、トーションバー
３１のリンクロッド３２は、床板２４と旋回フレーム２
１の高剛性部２１Ａとの間に取付ブラケット３４，３５
を介して回動可能に設けたリンク棒３６とトーションバ
ー３１のリンクロッド３２とにより平行リンク機構を構
成する。旋回フレーム２１の支承部２１Ｂが矢示Ｂ方向
に振動する場合でも、運転室本体２２が前後方向に振動
するのを上下方向の振動に変換でき、運転室本体２２が
前後方向にピッチングしたりするのを確実に抑えること
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えば油圧ショベル等
の作業機に設けられる作業機の運転室に関し、特に、作
業機の本体フレームから運転室に伝わる振動を緩衝させ
るようにした作業機の運転室に関する。

【０００２】

【従来の技術】図１０ないし図１４に従来技術の運転室
付き作業機として油圧ショベルを例に挙げて示す。

【０００３】図中、１は下部走行体、２は旋回装置、３
は該旋回装置２を介して下部走行体１上に旋回可能に搭
載され、作業機本体を構成する上部旋回体を示し、該上
部旋回体３は、骨組構造をなす本体フレームとしての旋
回フレーム４と、該旋回フレーム４上に設けられた機械
室５と、該機械室５の前部左側に位置して旋回フレーム
４上に設けられ、後述する運転室本体８と該運転室本体
８内に設けられた各種の操作レバーや計器類等からなる
運転室６と、機械室５の後側に位置して旋回フレーム４
の後部に設けられたカウンタウエイト７とからなり、該
カウンタウエイト７は後述の作業装置１７に対して上部
旋回体３全体をバランスさせるようになっている。

【０００４】８は旋回フレーム４上に配設され、前記運
転室６の本体部を構成する運転室本体を示し、該運転室
本体８は図１１に示す如く、鋼製の薄板をプレス加工し
て溶接することにより、前後方向に伸長する長方形状の
天井部８Ａと、上下方向の中間部分が前向きに突出する
略く字状の前面部８Ｂと、前記旋回フレーム４に対しほ
ぼ垂直面となった縦長な長方形状の後面部８Ｃと、該後
面部８Ｃおよび前面部８Ｂの形状に応じて、前向きに突
出する部分が設けられた略五角形状の左，右の側面部８
Ｄ，８Ｄ（一方のみ図示）等とからなる箱形状のキャブ
ボックスとして形成されている。また、該運転室本体８
の左側面部８Ｄにはドア９が設けられ、運転室本体８の
下面側には床板用ブラケット８Ｅを介して運転室本体８
の一部を構成する床板１０が取付けられている。

【０００５】１１，１１，…は旋回フレーム４上で運転
室本体８を弾性的に支持した下部緩衝支持体を示し、該
各下部緩衝支持体１１は図１１、図１２に示す如く後述
の各防振ゴム１２、スペーサ１３および各ストッパ１４
等から構成されている。そして、該各下部緩衝支持体１
１は運転室本体８の床板１０と旋回フレーム４との間に
前，後、左，右に離間して合計４個（２個のみ図示）設
けられ、旋回フレーム４からの振動が運転室本体８に伝
わるのを減衰させるようにしている。

【０００６】１２，１２は防振ゴムを示し、該各防振ゴ
ム１２は合成ゴム等の弾性材料により短尺かつ厚肉な円
柱状に形成され、その中心部には図１２に示す如く軸方
向に伸長する挿通穴１２Ａが穿設されている。そして、
該各防振ゴム１２は旋回フレーム４の上面部４Ａに穿設
された取付穴４Ｂと同軸をなすように配設され、旋回フ
レーム４の上面部４Ａを上下方向から挟持している。

【０００７】１３は軸方向にボルト挿通穴１３Ａを有す
る金属製の筒体からなるスペーサを示し、該スペーサ１
３は長さ方向中間部が旋回フレーム４の取付穴４Ｂ内に
遊嵌され、上，下両端側が各防振ゴム１２の挿通穴１２
Ａ内に嵌合されている。また、該スペーサ１３は上，下
両端側の端面が後述する各ストッパ１４の底部１４Ｂに
当接している。

【０００８】１４，１４は金属板等をプレス成形するこ
とにより有底筒状に形成されたストッパを示し、該各ス
トッパ１４は図１２に示す如く、防振ゴム１２よりも大
径な円板状に形成され、中央にボルト挿通穴１４Ａが穿
設された底部１４Ｂと、該底部１４Ｂの外周側から軸方
向に延設され、防振ゴム１２よりも短尺な長さ寸法を有
した筒部１４Ｃとからなり、該筒部１４Ｃの先端側は開
口部１４Ｄとなっている。そして、該各ストッパ１４は
各防振ゴム１２を介して旋回フレーム４の上面部４Ａを
挟んで互いの開口部１４Ｄを対向させ、上，下の各防振
ゴム１２を外側から覆うように取付けられている。

【０００９】１５，１５，…はボルトを示し、該各ボル
ト１５は床板用ブラケット８Ｅの各ボルト挿通穴８Ｆに
運転室本体８の内側から差込まれ、各スペーサ１３のボ
ルト挿通穴１３Ａ、床板１０の各ボルト挿通穴１０Ａ、
旋回フレーム４の上面部４Ａの各取付穴４Ｂ内を伸長
し、下部緩衝支持体１１の下側、すなわちストッパ１４
の底部１４Ｂ下側からナット１６を螺合させて締付ける
ことにより、運転室本体８を旋回フレーム４上に位置決
めしている。

【００１０】１７は上部旋回体３の前部に設けられた作
業装置を示し、該作業装置１７は、旋回フレーム４の一
部をなす高剛性のブラケット部４Ｃに俯仰動可能に設け
られたブーム１７Ａと、該ブーム１７Ａの先端に俯仰動
可能に設けられたアーム１７Ｂと、該アーム１７Ｂの先
端に回動可能に設けられたバックホウ式のバケット１７
Ｃとからなり、これらのブーム１７Ａ，アーム１７Ｂ，
バケット１７Ｃはブームシリンダ１７Ｄ，アームシリン
ダ１７Ｅ，バケットシリンダ１７Ｆによってそれぞれ作
動されるようになっている。そして、該作業装置１７は
土砂等の掘削作業時に、ブームシリンダ１７Ｄ，アーム
シリンダ１７Ｅによってブーム１７Ａ，アーム１７Ｂを
俯仰動させつつ、バケットシリンダ１７Ｆによってバケ
ット１７Ｃを回動させ、該バケット１７Ｃにより土砂等
を掘削するようになっている。

【００１１】このように構成される油圧ショベルでは、
上部旋回体３の機械室５内に原動機および該原動機によ
って駆動される油圧ポンプ（いずれも図示せず）を設
け、該油圧ポンプから吐出される圧油を下部走行体１の
走行用油圧モータ（図示せず）および作業装置１７の各
シリンダ１７Ｄ，１７Ｅ，１７Ｆ等に給排することによ
り、これらを作動させ、車両を走行させたり、土砂等の
掘削作業を行ったりするようにしている。

【００１２】そして、運転室本体８の床板１０と旋回フ
レーム４との間に設けた各下部緩衝支持体１１は、エン
ジンからの振動、走行時の振動および作業時の掘削反力
等による振動が旋回フレーム４側から運転室本体８に伝
わるのを各防振ゴム１２によって緩衝し、このときの振
動および騒音を軽減して運転室６の乗り心地を悪化させ
ないようにしている。

【００１３】また、各下部緩衝支持体１１は図１２に示
す如く、各ストッパ１４の開口部１４Ｄを旋回フレーム
４の上面部４Ａに対して、例えば２〜３mm程度の隙間Ｓ
をもって対面させ、運転室本体８がこの隙間Ｓを越えて
左，右方向に横揺れ（ローリング）したりするのを規制
しており、これによって運転室本体８がブームシリンダ
１７Ｄ等の周囲部材に衝突して破損事故を起こすのを防
止できるようにしている。

【００１４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来技術では、旋回フレーム４の上面部４Ａ上で運転室本
体８の床板１０との間に、例えば４個の下部緩衝支持体
１１，１１，…を配設し、運転室６に外部からの振動が
伝わるのを防止するようにしているものの、実際には下
記のような固有振動数に基づいた問題が生じている。

【００１５】即ち、運転室６の重量Ｗ、各下部緩衝支持
体１１の合計のばね定数ｋ、重力加速度Ｇとすると、運
転室６の上下方向の固有振動数ｆは

【００１６】

【数１】 で表わされる。

【００１７】ここで、運転室本体８を図１３に示すよう
な１自由度系の振動モデルで近似し、下側から振幅ａ0
の強制振動ａ0 ｃｏｓωｔが上下方向に加えられたと
き、運転室６に伝達される振動の振幅をａとすると、振
動伝達率τは

【００１８】

【数２】 η ：振動数比 ζ ：減衰比 ωn ：固有角振動数 Ｃ ：減衰係数 Ｃc ：臨界減衰係数 で表わされる。

【００１９】このとき、振動数比ηと振動伝達率τとの
関係は図１４に示す特性線の如く、振動数比ηがη＝１
前，後のときに共振によって振動が増大し、振動数比η
が大きくなるほど振動伝達率τが１以下となって、振動
が伝わりにくくなることが分かる。

【００２０】そして、運転室６全体の重量Ｗが４００〜
５００ｋｇ、各下部緩衝支持体１１の合計のばね定数ｋ
が２０００〜８０００ｋｇ／ｃｍの条件では、前記数１
より、運転室６の固有振動数ｆは約２０〜４５Ｈｚとな
る。

【００２１】しかし、２０〜４５Ｈｚ程度の振動は油圧
ショベルの作動時の振動に多く含まれ、運転室６の固有
振動数ｆが前記の範囲にあると振動数比ηがη＝１に近
付いて、振動伝達率τが大きくなり、運転室６の乗り心
地を悪化させるという問題がある。

【００２２】一方、固有振動数ｆを低くするために各下
部緩衝支持体１１のばね定数ｋを小さくすると、上下方
向の振動は減衰できるものの、旋回フレーム４の旋回中
心Ｏ−Ｏ（図１０参照）を中心にして運転室６が前後方
向に振動するピッチングや運転室６が左右方向に振動す
るローリングが大きくなり、乗り心地を悪くさせてしま
う。

【００２３】また、このピッチングやローリングが大き
くなったときには、運転室本体８がブームシリンダ１７
Ｄ等の周囲部材に衝突して破損事故を起こしてしまうの
で、図１２に示す如く各ストッパ１４の開口部１４Ｄと
旋回フレーム４の上面部４Ａとの隙間Ｓを、例えば２〜
３mm程度に設定しており、この隙間Ｓを越えて運転室本
体８が振動すると、各ストッパ１４の開口部１４Ｄが旋
回フレーム４の上面部４Ａに衝突して、旋回フレーム４
からの振動が運転室本体８に直接伝わり、運転室６の乗
り心地が非常に悪くなるという問題がある。

【００２４】本発明は上述した従来技術の問題に鑑みな
されたもので、本発明は運転室本体が前，後、左，右に
振動して、ピッチングやローリングを起こすのを効果的
に防止できると共に、上下方向の振動を効果的に減衰で
き、乗り心地を向上できるようにした作業機の運転室を
提供することを目的としている。

【００２５】

【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために本発明では、作業機の本体フレームと、該本体フ
レーム上に配設され、下面側に床板が設けられた箱形状
の運転室本体と、該運転室本体の床板と本体フレームと
の間に複数個設けられ、前記本体フレームからの振動が
該運転室本体に伝わるのを緩衝する下部緩衝支持体とか
らなる作業機の運転室において、前記運転室本体の床板
と本体フレームとの間には、本体フレーム上で運転室本
体が上下方向に振動するのを許し、水平方向に振動する
のを規制する平行リンク機構を設け、該平行リンク機構
は少なくとも１個以上のトーションバーを含んでなるこ
とを特徴とする構成を採用している。

【００２６】この場合、前記平行リンク機構は、前記運
転室本体の床板と本体フレームとの間で前後方向に伸長
し、左右方向に離間した一対のリンクロッドおよび該各
リンクロッド間を左右方向で連結した連結ロッドからな
るトーションバーと、該トーションバーから運転室本体
の前後方向に離間したリンク棒とから構成し、前記トー
ションバーは各リンクロッドの前後方向両端側で前記運
転室本体の床板と本体フレームとにそれぞれ回動可能に
連結するのが好ましい。

【００２７】また、前記平行リンク機構は、前記運転室
本体の床板と本体フレームとの間で前後方向に離間した
第１，第２のトーションバーによって構成し、該各トー
ションバーは、それぞれ運転室本体の前後方向に伸長
し、左右方向に離間した一対のリンクロッドと該各リン
クロッド間を左右方向で連結した連結ロッドとからな
り、各リンクロッドの前後方向両端側を前記運転室本体
の床板と本体フレームとにそれぞれ回動可能に連結する
ようにしてもよい。

【００２８】この場合、前記第１、第２のトーションバ
ーには、運転室本体の前後方向に延び、各連結ロッドが
一体的に回動するように、両端側が各連結ロッドにそれ
ぞれピン結合される連結リンクを設けるのが好ましい。

【００２９】そして、前記各下部緩衝支持体は、前記運
転室本体の振動を比較的小さなばね定数をもって緩衝す
るコイルスプリングとショックアブソーバとから構成す
るのがよい。

【００３０】

【作用】上記構成により、少なくともトーションバーを
含んで構成される平行リンク機構は、該トーションバー
から運転室本体の前後方向に離間し、該トーションバー
と共に平行リンク機構を構成するリンク部材とは運転室
本体が水平方向、例えば前後方向に振動するのを上下方
向の振動に変換するようにして水平方向の振動を小さく
規制でき、運転室本体が前後方向に振動（ピッチング）
するのを確実に低減できる。

【００３１】この場合、前記トーションバーを、前記運
転室本体の床板と本体フレームとの間で前後方向に伸長
し、左右方向に離間した一対のリンクロッドと、該各リ
ンクロッド間を左右方向で連結した連結ロッドとから構
成し、該トーションバーを各リンクロッドの前後方向両
端側で前記運転室本体の床板と本体フレームとにそれぞ
れ回動可能に連結するようにすれば、例えば本体フレー
ムから運転室本体に左右方向の捩じり振動が伝わってト
ーションバーに捩じり力が作用しても、捩じり力に対す
る高いばね定数をトーションバーに与えることができ、
例えば旋回中心を中心にした本体フレームからの捩じり
振動で運転室本体が左右方向にローリングしたりするの
をトーションバーの弾力によって規制できる。

【００３２】また、前記平行リンク機構を運転室本体の
前後方向に離間した第１、第２のトーションバーにより
構成すれば、該第１、第２のトーションバーによって運
転室本体が前後方向にピッチングしたり、左右方向にロ
ーリングしたりするのを高いばね定数をもって規制でき
る。

【００３３】さらに、第１、第２のトーションバーの連
結ロッドを運転室本体の床板と本体フレームとの間で前
後方向に延びる連結リンクにより連結すれば、第１、第
２のトーションバーが互いに逆方向に回動するのを確実
に規制でき、運転室本体が本体フレームに対して前，後
に傾いたりするのを防止できる。

【００３４】そして、前記各下部緩衝支持体をコイルス
プリングとショックアブソーバとから構成することによ
り、運転室本体の上下方向の振動を小さなバネ定数をも
って緩衝でき、運転室全体の固有振動数を小さくして、
運転室本体に伝わる上下方向の振動を良好に減衰でき
る。

【００３５】

【実施例】以下、本発明の実施例を図１ないし図９に基
づき説明する。なお、実施例では前述した従来技術と同
一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するも
のとする。

【００３６】まず、図１ないし図３は本発明の第１の実
施例を示している。

【００３７】図中、２１は上部旋回体３の本体フレーム
を構成する旋回フレームを示し、該旋回フレーム２１は
従来技術で述べた旋回フレーム４とほぼ同様に構成され
ているものの、該旋回フレーム２１は旋回装置２に取付
けられるその中央側の部位（旋回中心Ｏ−Ｏの近傍部）
等が高い剛性をもった厚肉の高剛性部２１Ａとして形成
されている（図２、図３参照）。そして、該旋回フレー
ム２１には高剛性部２１Ａの前部左側に位置して後述の
運転室本体２２を下側から支承する支承部２１Ｂが一体
に設けられ、該支承部２１Ｂは高剛性部２１Ａよりも低
い剛性をもって形成されている。また、高剛性部２１Ａ
の前部側には左，右一対のブラケット部２１Ｃ，２１Ｃ
が一体に形成され、該各ブラケット部２１Ｃには作業装
置１７のブーム１７Ａおよび各ブームシリンダ１７Ｄが
ピン結合されている。

【００３８】２２は旋回フレーム２１上に設けられた運
転室本体を示し、該運転室本体２２は従来技術で述べた
運転室６の運転室本体８とほぼ同様に、天井部２２Ａ，
前面部２２Ｂ，後面部２２Ｃおよび左，右の側面部２２
Ｄ，２２Ｄを有し、左側の側面部２２Ｄにはドア２３が
設けられている。また、該運転室本体２２の下面側には
該運転室本体２２の一部をなす床板２４が設けられ、該
床板２４は旋回フレーム２１の高剛性部２１Ａおよび支
承部２１Ｂ上で後述の各下部緩衝支持体２５を介して運
転室６全体を支持する構成となっている。

【００３９】２５，２５，…は旋回フレーム２１と運転
室本体２２の床板２４との間に配設された下部緩衝支持
体を示し、該各下部緩衝支持体２５は旋回フレーム２１
の支承部２１Ｂ（高剛性部２１Ａ）と運転室本体２２の
床板２４との間に前，後、左，右に離間してそれぞれ配
設された各ショックアブソーバ２６と、該各ショックア
ブソーバ２６に一体的に設けられ、該各ショックアブソ
ーバ２６を伸長方向に常時付勢する各コイルスプリング
２７とから構成され、該各コイルスプリング２７は比較
的小さなばね定数をもって形成されている。

【００４０】ここで、該各下部緩衝支持体２５のうち、
後部右側の下部緩衝支持体２５は図３に示す如く旋回フ
レーム２１の高剛性部２１Ａ上に配設され、他の各下部
緩衝支持体２５は支承部２１Ｂ上に配設されている。そ
して、各ショックアブソーバ２６には運転室本体２２の
床板２４上に突出して減衰力発生部２６Ａが設けられ、
該各減衰力発生部２６Ａは運転室本体２２が上下方向に
振動するときにこれを減衰させる構成となっている。

【００４１】２８，２８，…は旋回フレーム２１と運転
室本体２２の床板２４との間に各下部緩衝支持体２５と
並列に配設されたストッパを示し、該各ストッパ２８は
各ショックアブソーバ２６のストロークエンドを規制
し、各ショックアブソーバ２６がコイルスプリング２７
と共に過剰に伸，縮するのを防止している。そして、該
各ストッパ２８は運転室６に外部から大きな衝撃等が加
えられたときに、運転室本体２２が各ショックアブソー
バ２６のストロークエンドを越えて振動するのを抑える
ようにしている。

【００４２】２９，２９は床板２４の下側面から下向き
に立設された取付ブラケットを示し、該各取付ブラケッ
ト２９は図２に示す如く略Ｕ字状に折曲げて形成され、
床板２４の中央付近で左右に離間して溶接等の手段によ
り固着され、旋回フレーム２１側に向けて所定高さをも
って突出している。３０，３０は旋回フレーム２１の支
承部２１Ｂに固着された他の取付ブラケットを示し、該
各取付ブラケット３０は前記各取付ブラケット２９の前
方に該各取付ブラケット２９よりも左右に大きく離間し
て支承部２１Ｂから上向きに所定高さをもって突出して
いる。

【００４３】３１は旋回フレーム２１と運転室本体２２
の床板２４との間に各取付ブラケット２９，３０を介し
て回動可能に連結されたトーションバーを示し、該トー
ションバー３１は運転室本体２２の床板２４と旋回フレ
ーム２１との間を前後方向に伸長し、左右に離間した一
対のリンクロッド３２，３２と、該各リンクロッド３２
の基端側に固着され、該各リンクロッド３２間を左右方
向で連結した連結ロッド３３とから略コ字形状に形成さ
れ、該連結ロッド３３はその軸方向両端側が旋回フレー
ム２１の各取付ブラケット３０に回動可能に取付けられ
ている。

【００４４】また、該トーションバー３１は、各リンク
ロッド３２の先端側が床板２４側の各取付ブラケット２
９に回動可能にピン結合されている。そして、該トーシ
ョンバー３１は各リンクロッド３２と連結ロッド３３と
の間で捩じり力に対する高いばね定数を有し、旋回フレ
ーム２１からの捩じり振動で運転室本体２２が左右方向
でローリングしたりするのを効果的に規制している。

【００４５】３４は運転室本体２２の床板２４の下側面
から下側に向けて突設された取付ブラケットを示し、該
取付ブラケット３４は図３に示す如く、前記取付ブラケ
ット２９とほぼ同様に断面Ｕ字形状をなし、該取付ブラ
ケット３４はブラケット部２１Ｃ側の取付ブラケット２
９から後方に所定寸法離間して床板２４に１個設けられ
ている。

【００４６】３５は旋回フレーム２１の高剛性部２１Ａ
の上側面に上向きに突設して設けられた取付ブラケット
を示し、該ブラケット３５は平行に対向する２枚板から
なり、前記取付ブラケット３４の前側に位置して該取付
ブラケット３４と前，後で対向するように高剛性部２１
Ａに固着されている。

【００４７】３６は各取付ブラケット３４，３５の間に
両端をピン結合することによって回動可能に設けられた
リンク棒を示し、該リンク棒３６は前記トーションバー
３１から後方に離間してトーションバー３１のリンクロ
ッド３２と共に平行リンク機構を構成している。

【００４８】本実施例による油圧ショベルは上述の如き
構成を有するもので、その基本的な作動については従来
技術によるものと格別差異はない。

【００４９】然るに、本実施例では、旋回フレーム２１
の支承部２１Ｂ上等で運転室本体２２を床板２４を介し
て支持する各下部緩衝支持体２５をショックアブソーバ
２６およびコイルスプリング２７から構成し、該ショッ
クアブソーバ２６およびコイルスプリング２７が過剰に
伸，縮するのをストッパ２８により規制すると共に、旋
回フレーム２１の各支承部２１Ｂと運転室本体２２の床
板２４との間には、前後方向に延びる一対のリンクロッ
ド３２，３２および該各リンクロッド３２の基端側を左
右方向で一体に連結した連結ロッド３３からなるトーシ
ョンバー３１を各取付ブラケット２９，３０を介して回
動可能に連結し、運転室本体２２の床板２４側に設けた
取付ブラケット３４には旋回フレーム２１の高剛性部２
１Ａ上に設けた取付ブラケット３５との間にリンク棒３
６を回動可能に連結し、該リンク棒３６とトーションバ
ー３１の各リンクロッド３２とから平行リンク機構を構
成するようにしたので、下記の如き作用効果を得ること
ができる。

【００５０】まず、旋回フレーム２１は高剛性部２１Ａ
側が下部走行体１上に旋回中心Ｏ−Ｏの近傍部で旋回装
置２を介して旋回可能に搭載され、運転室本体２２を各
下部緩衝支持体２５等を介して支承している旋回フレー
ム２１の支承部２１Ｂは高剛性部２１Ａに対して片持ち
梁構造をなしているから、旋回フレーム２１は走行時の
振動や作業時の掘削反力等による振動で上下方向に振動
するばかりでなく、高剛性部２１Ａから離間した支承部
２１Ｂが高剛性部２１Ａに対して図３中の矢示Ａ方向に
旋回中心Ｏ−Ｏを中心として捩り振動することがある。
そして、この場合には旋回フレーム２１の支承部２１Ｂ
が前後方向では図１中の矢示Ｂ方向に振動して運転室本
体２２がピッチングを起こし、左右方向では図２中の矢
示Ｃ方向に振動してローリングを起こす。

【００５１】しかし、運転室本体２２は床板２４が旋回
フレーム２１の支承部２１Ｂにトーションバー３１を介
して接続され、該トーションバー３１を左，右のリンク
ロッド３２，３２と該各リンクロッド３２間を連結する
連結ロッド３３とから略コ字形状に形成し、該連結ロッ
ド３３および各リンクロッド３２間で捩り力に対する高
いばね定数をもって支える構成としたから、運転室本体
２２の左方向下側を支える支承部２１Ｂが図２中の矢示
Ｃ方向に捩り振動しても、このときにはトーションバー
３１の各リンクロッド３２が連結ロッド３３を介して互
いに逆向きに動揺するようになって、連結ロッド３３は
このときの捩じり力に高いばね力で対抗し、運転室本体
２２が左右方向にローリングするのをトーションバー３
１によって効果的に規制でき、運転室本体２２に伝わる
振動を各下部緩衝支持体２５により有効に緩衝できる。
これにより、運転室本体２２が左右方向に振動するのを
小さく規制でき、運転室本体２２の側面部２２Ｄがブー
ムシリンダ１７Ｄ等の周囲部材に衝突する等の安全上、
強度上の問題を確実に解消できる。

【００５２】また、トーションバー３１のリンクロッド
３２は図１、図３に示す如くリンク棒３６と共に平行リ
ンク機構を構成しているから、旋回フレーム２１の支承
部２１Ｂが図１中の矢示Ｂ方向に振動する場合でも、運
転室本体２２が前後方向に振動するのを上下方向の振動
に変換でき、運転室本体２２が前後方向にピッチングし
たりするのを確実に抑えることができる。

【００５３】さらに、旋回フレーム２１上で運転室本体
２２を床板２４を介して支持する各下部緩衝支持体２５
はショックアブソーバ２６とコイルスプリング２７とか
ら構成され、運転室本体２２の上下方向の振動を小さな
ばね定数をもって緩衝できるので、運転室６全体の固有
振動数を従来技術のものに比較して確実に小さくするこ
とができ、運転室本体２２に伝わる上下方向の振動を効
果的に減衰できる。

【００５４】従って、本実施例によれば、運転室本体２
２が旋回フレーム２１の捩り振動等により前後方向にピ
ッチングしたり、左右方向にローリングしたりするのを
トーションバー３１とリンク棒３６の組合せからなる平
行リンク機構で確実に抑えることができ、運転室本体２
２が周囲部材に衝突する等の安全上、強度上の問題を解
消できる。そして、各下部緩衝支持体２５としてショッ
クアブソーバ２６とコイルスプリング２７とを組合せて
用いることにより、運転室６全体の固有振動数を小さく
して上下方向の振動を効果的に減衰でき、車両の乗り心
地を大幅に改善できる。

【００５５】次に、図４ないし図６は本発明の第２の実
施例を示し、本実施例の特徴は、運転室本体の床板と旋
回フレームとの間に設ける平行リンク機構を第１，第２
のトーションバーによって構成したことにある。なお、
本実施例では前記第１の実施例と同一の構成要素に同一
符号を付し、その説明を省略する。

【００５６】図中、４１，４１，…は床板２４の下側面
に設けられた取付ブラケットを示し、該取付ブラケット
４１は前記第１の実施例で述べた取付ブラケット２９と
ほぼ同様に床板２４から旋回フレーム２１側へ略Ｕ字状
に突出して設けられているものの、該核取付ブラケット
４１は前記各取付ブラケット２９よりも小さな突出寸法
をもって床板２４の前後方向中間部と後部側とに左右方
向に離間して一対ずつ合計４個設けられている。

【００５７】４２，４２，…は他の取付ブラケットを示
し、該各取付ブラケット４２は前記各取付ブラケット４
１よりも左，右に大きく離間して旋回フレーム２１の支
障部２１Ｂ、高剛性部２１Ａの上面に図６に示す如く固
着され、その突出寸法は前記各取付ブラケット４１とほ
ぼ等しくなっている。

【００５８】４３は第１のトーションバーを示し、該ト
ーションバー４３は旋回フレーム２１と運転室本体２２
の床板２４との間に前記各取付ブラケット４１，４２を
介して回動可能に取付けられ、後述する第２のトーショ
ンバー４６と共に平行リンク機構を構成している。ここ
で、該トーションバー４３は前後方向に伸長し、左右方
向に離間した一対のリンクロッド４４，４４と、各リン
クロッド４４の基端側に固着され、該各リンクロッド４
４間を左右方向で連結した連結ロッド４５とから略コ字
状に形成され、該連結ロッド４５の軸方向両端側は旋回
フレーム２１に前側の各取付ブラケット４２を介して回
動可能に取付けられている。また、該トーションバー４
３の各リンクロッド４４は図に示すように斜め上向きに
延び、その先端側が床板２４に前側の各取付ブラケット
４１を介して回動可能に取付けられている。そして、該
トーションバー４３は各リンクロッド４４間を連結した
連結ロッド４５が捩じり力に対し高いばね定数を有し、
各リンクロッド４４が互いに逆向きに動揺するとき等に
比較的強いばね力を発生するようになっている。

【００５９】４６は第１のトーションバー４３と共に平
行リンク機構を構成する第２のトーションバーを示し、
該トーションバー４６は前記第１のトーションバー４３
とほぼ同様に、前後方向に伸長し左右方向に離間した一
対のリンクロッド４７，４７と、各リンクロッド４７の
基端側で各リンクロッド４７を左右方向に連結する連結
ロッド４８とから略コ字状に形成され、該連結ロッド４
８の両端側は旋回フレーム２１に後側の各取付ブラケッ
ト４２を介して回動可能に取付けられている。また、該
トーションバー４６は図４に示す如く、各リンクロッド
４７が前記各リンクロッド４４と共に平行リンクを構成
するように斜め上向きに延び、その先端が床板２４に後
側の各取付ブラケット４１を介して回動可能にピン結合
されている。そして、該トーションバー４６は各リンク
ロッド４７間で連結ロッド４８が捩じり力に対する高い
ばね定数を有し、該トーションバー４６は前記トーショ
ンバー４３と共に、旋回フレーム２１からの捩じり振動
で運転室本体２２が左右方向でローリングしたりするの
を高いばね力をもって規制している。

【００６０】そして、第１，第２の各トーションバー４
３，４６は各取付ブラケット４１，４２の高さ寸法を小
さく構成したために、図４に示す如く各リンクロッド４
４，４７が前後方向に傾斜した状態で平行リンク機構を
構成し、図４に示した状態を基準に各リンクロッド４
４，４７が回動して前後方向の振動を上下方向の振動に
変換するようになっている。

【００６１】以上の如く構成される本実施例によっても
前記第１の実施例とほぼ同様の作用効果を奏するもの
の、特に本実施例では、旋回フレーム２１と運転室本体
２２の床板２４との間に、前後方向に延びる一対のリン
クロッド４４，４４及び該各リンクロッド４４の基端側
を左右方向で一体に連結した連結ロッド４５からなる第
１のトーションバー４３と、該第１のトーションバー４
３から後方へ離間して、前後方向に延びる一対のリンク
ロッド４７，４７および該各リンクロッド４７の基端側
を左右方向で一体に連結した連結ロッド４８からなる第
２のトーションバー４６とからなる平行リンク機構を設
け、第１，第２のトーションバー４３，４６の各リンク
ロッド４４，４７は運転室本体２２の前後方向に傾斜し
た状態で平行リンク機構を構成しつつ回動するようにし
たから、前記第１の実施例よりも運転室本体２２の前，
後をより大きなばね力で均等に支持することができ、運
転室本体２２が旋回フレーム２１上で相対的に前後に傾
いたりするのを防止できる。

【００６２】そして、例えば旋回フレーム２１から運転
室本体２２に左右方向の捩じり振動が伝わってトーショ
ンバー４３，４６に捩じり力が作用するときには、捩じ
り力に対する大きなばね定数をもってこれを規制でき、
運転室本体２２が左右方向にローリングするのを効果的
に低減できる。また、傾斜地での作業やバケット１７Ｃ
で土砂をすくい上げたときに生じる大きな前後方向の掘
削反力に対しても、運転室本体２２が傾いて振動するの
を効果的に防止できる。

【００６３】次に図７ないし図９は本発明の第３の実施
例を示し、本実施例の特徴は、第１，第２のトーション
バーの各連結ロッド間をリンク結合し、運転室本体の振
動時に各連結ロッドを連結リンクによって一体的に回動
させる構成としたことにある。なお、本実施例では前記
第２の実施例と同一の構成要素に同一符号を付し、その
説明を省略する。

【００６４】図中、５１，５１，…は床板２４の下面側
に設けられた取付ブラケットを示し、該取付ブラケット
５１は前記第２の実施例で述べた取付ブラケット４１と
ほぼ同様に、床板２４から旋回フレーム２１側へ略Ｕ字
状に突出するものの、該各取付ブラケット５１は図７，
図９にも示す如く、前後方向に大きく離間し床板２４の
４隅に設けた各下部緩衝支持体２５の付近から旋回フレ
ーム２１側に伸長している。また、該各取付ブラケット
５１には筒状のゴムブシュ５２およびピン５３を介して
後述する各リンクロッド５６，６０が回動可能にピン結
合されている。

【００６５】５４，５４は旋回フレーム２１側に設けら
れた他の取付ブラケットを示し、該各取付ブラケット５
４は前記各取付ブラケット５１よりも左右方向の外側
で、各取付ブラケット５１の後側に位置するように、旋
回フレーム２１の支承部２１Ｂ、高剛性部２１Ａの上面
に固着されている。

【００６６】５５は第１のトーションバーを示し、該ト
ーションバー５５は、旋回フレーム２１と床板２４との
間に前記各取付ブラケット５１，５４を介して回動可能
に取付けられ、後述する第２のトーションバー５９と共
に平行リンク機構を構成している。そして、該トーショ
ンバー５５は前記第２の実施例で述べたトーションバー
４３とほぼ同様に、一対のリンクロッド５６，５６と、
連結ロッド５７とを有するものの、該トーションバー５
５は各リンクロッド５６が前記各取付ブラケット５１，
５４間の離間寸法に対応して短く形成され、連結ロッド
５７の中央には所定間隔を介して対抗する一対のブラケ
ット部５８，５８が床板２４側へ突出して一体的に設け
られている。

【００６７】５９は第２のトーションバーを示し、該ト
ーションバー５９は前記第１のトーションバー５５とほ
ぼ同様に、旋回フレーム２１と床板２４との間に前記各
取付ブラケット５１，５４を介して回動可能に取付けら
れ、該トーションバー５９は前記第１のトーションバー
５５とほぼ同様に、旋回フレーム２１と床板２４との間
に前記各取付ブラケット５１，５４を介して回動可能に
取付けられ、該トーションバー５９は前記第１のトーシ
ョンバー５５とほぼ同様に、一対のリンクロッド６０，
６０、連結ロッド６１および一対のブラケット部６２，
６２とから構成されている。そして、該トーションバー
５９は前記第１のトーションバー５５と共に旋回フレー
ム２１からの捩じり振動で運転室本体２２が左右方向に
ローリングしたりするのを高いばね定数のばね力で規制
している。

【００６８】６３は前記第１，第２のトーションバーを
構成する連結ロッド５７，６１間に設けられた連結リン
クを示し、該連結リンク６３は連結ロッド５７，６１間
を前後方向に延び、その前端側はトーションバー５５の
各ブラケット部５８間にピン結合されている。また、該
連結リンク６３は後端側がトーションバー５９の各ブラ
ケット部６２間にピン結合され、連結ロッド５７，６１
を常に一体的に回動させるようにしている。

【００６９】そして、運転室本体２２が前，後に振動す
るようなときに、トーションバー５５の連結ロッド５７
が各取付ブラケット５４に対して回動すると、連結ロッ
ド５７の回動は連結リンク６３を介してトーションバー
５９の連結ロッド６１に伝えられるから、連結ロッド５
７，６１が互いに逆向きに回動するのは確実に規制さ
れ、運転室本体２２が旋回フレーム２１に対して前後方
向に傾くのを連結リンク６３によって規制できる。

【００７０】以上の如く構成される本実施例によっても
前記第２の実施例とほぼ同様の作用効果を奏するもの
の、特に本実施例では、トーションバー５５，５９の連
結ロッド５７，６１間に連結リンク６３をピン結合した
から、運転室本体２２が前後方向に傾いたり、振動した
りするのを連結リンク６３によってより確実に規制でき
る。

【００７１】また、トーションバー５５，５９は各リン
クロッド５６，６０を短く形成し、各リンクロッド５
６，６０と各取付ブラケット５１との間を筒状のゴムブ
シュ５２を介してピン５３でピン結合したから、運転室
本体２２が左右方向に振動するときに、トーションバー
５５，５９の各リンクロッド５６，６０から連結ロッド
５７，６１に作用する捩じりモーメントを小さくでき、
運転室本体２２を大きなばね定数の捩じりばねで支持し
たのと同様に安定した姿勢で支持できる。そして、各リ
ンクロッド５６，６０の回動半径を小さくできるから、
床板２４が大きく傾くのを抑えることができると共に、
各取付ブラケット５１と各リンクロッド５６，６０との
間に設けたゴムブシュ５２の弾性変形により旋回フレー
ム２１から運転室本体２１側へ高い周波数の振動が伝わ
るのを効果的に減衰させることができる。さらに、第
１，第２の各トーションバー５５，５９の連結ロッド５
７，６１間に連結リンク６３をピン結合することによ
り、トーションバー５５，５９のリンクロッド５６，６
０が運転室本体２２の前後で同期して回動させるように
でき、運転室本体２２が振動するときに、各リンクロッ
ドの平行が崩れて運転室本体が大きく傾くのを防止する
ことができる。

【００７２】なお、前記各実施例では、トーションバー
３１（４３，４６，５５，５９）を一対のリンクロッド
３２，３２（４４，４４、４７，４７、５６，５６、６
０，６０）と連結ロッド３３（４５，４８，５７，６
１）とから略コ字形状に形成するものとして述べたが、
これに替えて、例えばトーションバーは各リンクロッド
の長さ方向中間部を左右方向で連結ロッドにより連結し
た略「Ｈ」字形状に形成してもよく、この場合には各リ
ンクロッドの一端側を旋回フレーム２１の高剛性部２１
Ａまたは支承部２１Ｂに、各リンクロッドの他側端を運
転室本体２２の床板２４にそれぞれ回動可能に連結すれ
ばよい。

【００７３】また、前記各実施例では、各下部緩衝支持
体２５をショックアブソーバ２６とコイルスプリング２
７とから構成するものとして述べたが、本発明はこれに
限らず、例えば従来技術で述べた図１２に示す防振ゴム
１２等からなる下部緩衝支持体１１を用いてもよく、こ
の場合には図１２に示す隙間Ｓを５〜３０mm程度まで大
きくし、防振ゴム１２等のばね定数を小さく設定するよ
うにすればよい。

【００７４】さらに、前記各実施例では、油圧ショベル
を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、例え
ば運転室を備えたホイール式油圧ショベルや油圧クレー
ン等の作業機にも適用できる。

【００７５】

【発明の効果】以上詳述した通り本発明によれば、運転
室本体の床板と本体フレームとの間に、本体フレーム上
で運転室本体が上下方向に振動するのを許し、水平方向
に振動するのを規制する平行リンク機構を設け、該平行
リンク機構を少なくとも１個のトーションバーを含んで
構成するようにしたから、運転室本体が水平方向（前後
方向および左右方向）に振動するのを上下方向の振動に
変換するようにして水平方向の振動を小さく規制でき、
運転室本体のローリングやピッチングを確実に低減でき
る。

【００７６】この場合、前記トーションバーを、前記運
転室本体の床板と本体フレームとの間で前後方向に伸長
し、左右方向に離間した一対のリンクロッドと、該各リ
ンクロッド間を左右方向で連結した連結ロッドとから構
成し、該トーションバーを各リンクロッドの前後方向両
端側で前記運転室本体の床板と本体フレームとにそれぞ
れ回動可能に連結し、かつ、該トーションバーの各リン
クロッドのうち、一方のリンクロッドに対して前記運転
室本体の前後方向に離間するリンク棒とトーションバー
とによって前記平行リンク機構を構成すれば、捩り力に
対する高いばね定数をトーションバーに与えることがで
き、本体フレームからの捩り振動で運転室本体が左右方
向にローリングしたりするのをトーションバーの弾力に
よって効果的に規制できる。

【００７７】また、前記平行リンク機構を第１，第２の
トーションバーによって構成すれば、該第１，第２のト
ーションバーによって、運転室本体の床板を本体フレー
ムに対して前，後、左，右で均等に、かつ回動可能に連
結でき、運転室本体が前後方向にピッチングしたり、左
右方向にローリングしたりするのを大きなばね力をもっ
て効果的に防止できる。そして、各トーションバーの連
結ロッドを前後方向に延びる連結リンクによって連結す
るようにすれば、捩じり振動等に対しても運転室本体を
安定した姿勢に保持でき、運転室本体が前，後に傾いた
りするのを確実に防止することができる。

【００７８】さらに、各下部緩衝支持体を、前記運転室
本体の振動を比較的小さなばね定数をもって緩衝するコ
イルスプリングとショックアブソーバとから構成すれ
ば、運転室本体の上下方向の振動を小さなバネ定数をも
って緩衝できるから、運転室全体の固有振動数を小さく
して運転室本体に伝わる上下方向の振動を効果的に減衰
でき、車両の乗り心地を大幅に向上できる等、種々の効
果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施例による運転室本体および
旋回フレーム等を示す一部破断の外観図である。

【図２】図１中の矢示II−II方向断面図である。

【図３】図１中の矢示III −III 方向断面図である。

【図４】本発明の第２の実施例による運転室本体および
旋回フレーム等を示す一部破断の外観図である。

【図５】図４中の矢示 V−V 方向断面図である。

【図６】図４中の矢示VI−VI方向断面図である。

【図７】本発明の第３の実施例による運転室本体および
旋回フレーム等を示す一部破断の外観図である。

【図８】図７中の矢示VIII−VIII方向断面図である。

【図９】図７中の矢示IX−IX方向断面図である。

【図１０】従来技術による油圧ショベルを示す全体図で
ある。

【図１１】図１０中の旋回フレームおよび運転室本体等
を拡大して示す一部破断の外観図である。

【図１２】図１１中に示す下部緩衝支持体等の拡大断面
図である。

【図１３】運転室の振動を解析するための説明図であ
る。

【図１４】運転室の固有振動数に対する強制振動の振動
数比と振動伝達率との関係を示す特性線図である。

【符号の説明】

２１ 旋回フレーム（本体フレーム） ２１Ａ 高剛性部 ２１Ｂ 支承部 ２１Ｃ ブラケット部 ２２ 運転室本体 ２４ 床板 ２５ 下部緩衝支持体 ２６ ショックアブソーバ ２７ コイルスプリング ２８ ストッパ ２９，３０，３４，３５，４１，４２，５１，５４ 取
付ブラケット ３１，４３，４６，５５，５９ トーションバー ３２，４４，４７，５６，６０ リンクロッド ３３，４５，４８，５７，６１ 連結ロッド ３６ リンク棒 ６３ 連結リンク

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金子 善二 茨城県土浦市神立町650番地 日立建機株 式会社土浦工場内 (72)発明者 佐京 剛 茨城県土浦市神立町650番地 日立建機株 式会社土浦工場内

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 作業機の本体フレームと、該本体フレー
   ム上に配設され、下面側に床板が設けられた箱形状の運
   転室本体と、該運転室本体の床板と本体フレームとの間
   に複数個設けられ、前記本体フレームからの振動が該運
   転室本体に伝わるのを緩衝する下部緩衝支持体とからな
   る作業機の運転室において、前記運転室本体の床板と本
   体フレームとの間には、本体フレーム上で運転室本体が
   上下方向に振動するのを許し、水平方向に振動するのを
   規制する平行リンク機構を設け、該平行リンク機構は少
   なくとも１個以上のトーションバーを含んで構成したこ
   とを特徴とする作業機の運転室。
2. 【請求項２】 前記平行リンク機構は、前記運転室本体
   の床板と本体フレームとの間で前後方向に伸長し、左右
   方向に離間した一対のリンクロッドおよび該各リンクロ
   ッド間を左右方向で連結した連結ロッドからなるトーシ
   ョンバーと、該トーションバーから運転室本体の前後方
   向に離間したリンク棒とから構成し、前記トーションバ
   ーは各リンクロッドの前後方向両端側で前記運転室本体
   の床板と本体フレームとにそれぞれ回動可能に連結して
   なる請求項１に記載の作業機の運転室。
3. 【請求項３】 前記平行リンク機構は、前記運転室本体
   の床板と本体フレームとの間で前後方向に離間した第
   １，第２のトーションバーによって構成し、該各トーシ
   ョンバーは、それぞれ運転室本体の前後方向に伸長し、
   左右方向に離間した一対のリンクロッドと該各リンクロ
   ッド間を左右方向で連結した連結ロッドとからなり、各
   リンクロッドの前後方向両端側を前記運転室本体の床板
   と本体フレームとにそれぞれ回動可能に連結してなる請
   求項１に記載の作業機の運転室。
4. 【請求項４】 前記第１、第２のトーションバーには、
   運転室本体の前後方向に延び、各連結ロッドが一体的に
   回動するように、両端側が各連結ロッドにそれぞれピン
   結合される連結リンクを設けてなる請求項３に記載の作
   業機の運転室。
5. 【請求項５】 前記各下部緩衝支持体は、前記運転室本
   体の振動を比較的小さなばね定数をもって緩衝するコイ
   ルスプリングとショックアブソーバとから構成してなる
   請求項１，２，３または４に記載の作業機の運転室。