JPH06108236A - 薄膜形成装置 - Google Patents

薄膜形成装置

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JPH06108236A
JPH06108236A JP25621492A JP25621492A JPH06108236A JP H06108236 A JPH06108236 A JP H06108236A JP 25621492 A JP25621492 A JP 25621492A JP 25621492 A JP25621492 A JP 25621492A JP H06108236 A JPH06108236 A JP H06108236A
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JP
Japan
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crucible
filament
thin film
heating
bucket type
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Pending
Application number
JP25621492A
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English (en)
Inventor
Masashi Yamakawa
正志 山川
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Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 蒸発した蒸着物質により基板表面に形成され
る薄膜に不純物が混入しない良好な薄膜を形成する薄膜
形成装置を得る。 【構成】 蒸着物質5を収容する容器3aとノズル4を
備えた蓋3bからなるバケット型るつぼ3を真空槽1内
に設置し、このバケット型るつぼ3を加熱する加熱用フ
ィラメント6をバケット型るつぼ3の周囲と底面側に配
設し、この外側に熱シールド板7を設け、蓋3bに形成
されたつば3cが保持されたセラミック24に排気口2
6を形成し、そのセラミック24によりバケット型るつ
ぼ3,過熱用フィラメント6,熱シールド板7を密閉し
て蒸気発生源9を構成し、さらに、イオン化フィラメン
ト10と熱シールド板12からなるイオン化手段13を
配置したことを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体素子や光学素子
などの薄膜を形成する薄膜形成装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】図7は、例えば特公平3−52533号
公報に示された従来のイオンビーム蒸着法による薄膜形
成装置を模式的に示す概略構成図であり、この図におい
て、1は所定の真空度に保持された真空槽、2はこの真
空槽1を真空状態に排気する真空排気系、30は前記真
空槽1内に置かれた密閉型のるつぼで、薄膜形成装置の
蒸気発生源9の下方に設けられており、このるつぼ30
は図8に示すように、支柱23により支持されている。
【0003】4は前記るつぼ30の上部に設けられたノ
ズル、5は前記るつぼ30内に充填された蒸着物質、6
は前記るつぼ30を加熱する加熱用フィラメント、7は
この加熱用フィラメント6からの熱を遮断する熱シール
ド板、8は前記るつぼ30の上部に設けられたノズル4
から蒸着物質5を噴出させて形成したクラスタ(塊状原
子集団)であり、前記蒸気発生源9は、るつぼ30,加
熱用フィラメント6,および熱シールド板7により構成
されている。
【0004】10は電子ビームを放出するイオン化フィ
ラメント、11はこのイオン化フィラメント10から電
子を引き出し加速する電子ビーム引出電極、12は前記
イオン化フィラメント10の熱を遮断する熱シールド
板、13は前記イオン化フィラメント10,電子ビーム
引出電極11および熱シールド板12により構成された
イオン化手段である。14はこのイオン化手段13によ
ってイオン化されたイオン化クラスタ、15aおよび1
5bはこのイオン化クラスタ14を電界で加速し、運動
エネルギーを付与する加速手段である加速電極とアース
電極である。16はその表面に薄膜が形成される基板で
ある。
【0005】17は前記加熱用フィラメント6を加熱す
る第1交流電源、18は前記るつぼ30の電位を加熱用
フィラメント6に対して正にバイアスする第1直流電
源、19は前記イオン化フィラメント10を加熱する第
2交流電源、20は前記イオン化フィラメント10を電
子ビーム引出電極11に対して負にバイアスする第2直
流電源、21は前記るつぼ30,電子ビーム引出電極1
1および加速電極15aをアース電極15bに対して正
にバイアスする第3直流電源、22は前記第1交流電源
17,第1直流電源18,第2交流電源19,第2直流
電源20および第3直流電源21を収納する電源装置で
ある。
【0006】次に、動作について説明する。従来の薄膜
形成装置は上述したように構成され、真空槽1を10-6
Torr程度の真空度になるまで真空排気系2によって
排気する。加熱用フィラメント6から放出される電子を
第1直流電源18で印加される電界によって引き出し、
この引き出された電子をるつぼ30に衝突させ、るつぼ
30内の蒸気圧が数Torrになる温度まで加熱する。
この加熱によって、るつぼ30内の蒸着物質5は蒸発
し、ノズル4から真空槽1中に噴射される。この蒸着物
質5の蒸気は、ノズル4を通過する際、断熱膨張により
加速冷却されて凝縮し、クラスタ8と呼ばれる塊状原子
集団が形成される。このクラスタ8は、イオン化フィラ
メント10から放出される電子ビームによって一部がイ
オン化されることにより、イオン化クラスタ14とな
る。このイオン化クラスタ14は、イオン化されていな
い中性のクラスタ8とともにアース電極15bで印加さ
れる電界により加速され、基板16表面に衝突して薄膜
が形成される。
【0007】なお、電源装置22内の各直流電源の機能
は次のとおりである。第1直流電源18は、第1交流電
源17によって加熱された加熱用フィラメント6から放
出された熱電子をるつぼ30に衝突させる。第2直流電
源20は、電子ビーム引出電極11に対して第2交流電
源19で加熱されたイオン化フィラメント10を負にバ
イアスし、イオン化フィラメント10から放出された熱
電子を電子ビーム引出電極11内部に引き出す。第3直
流電源21はアース電位にあるアース電極15bに対し
てるつぼ30,電子ビーム引出電極11および加速電極
15aを正にバイアスし、加速電極15aとアース電極
15bとの間に形成される電界レンズによって、正電荷
のイオン化クラスタ14を加速制御する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記のように構成され
た従来の薄膜形成装置は、図8に示したように、るつぼ
30が支柱23により支持されているため、るつぼ30
は底面から加熱することができず、また、支柱23を通
して熱が逃げてしまい、るつぼ30の加熱効率が低くな
る問題点があった。また、蒸着物質5をるつぼ30へ収
容する際にはるつぼ30の上面にあるノズル4からるつ
ぼ30の内部に蒸着物質5を入れなければならず、この
作業には時間がかかり、また、蒸着物質5が小さな粉状
でなければ使用できないので、蒸着物質5の入手が困難
で、かつ高価であった。
【0009】また、蒸気発生源9の熱シールド板7は、
上面および下面に開口部があり、この開口部を通して加
熱用フィラメント6からの電子、あるいはるつぼ30か
らの不純物、あるいは蒸着物質5の原子、あるいはこれ
らが熱電子によりイオン化されたイオンが基板16の表
面上の膜に不純物として混入したり、また、電圧印加部
を短絡してしまい、安定した装置運転ができなくなる。
【0010】さらに、イオン化手段13の上面と下面に
も開口部があり、このためイオン化フィラメント10か
ら引き出された電子の一部が電子ビーム引出電極11に
集められず迷走電子となり、イオン化手段13以外でク
ラスタ8あるいは真空槽1内の残留ガスがイオン化され
てしまい、空間のインピーダンスの低下を引き起し、電
圧印加部を短絡してしまい、安定した装置運転ができな
くなる等の問題点があった。
【0011】本発明は、上記のような問題点を解消する
ためになされたもので、イオン化フィラメンとからの迷
走電子を低減し、安定した装置運転によりるつぼの加熱
効率を改善し、膜への不純物の混入のない良質な薄膜を
形成できるようにした薄膜形成装置を得ることを目的と
する。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係る請求項1に
記載の薄膜形成装置は、真空槽内に、薄膜が形成される
基板を設け、蒸着物質が収容されるるつぼを蒸着物質を
収容する容器と蓋とからなるバケット型るつぼとし、前
記蓋に少なくとも1つのノズルを設けて容器と蓋とを着
脱自在に構成し、前記バケット型るつぼを加熱する加熱
用フィラメントをバケット型るつぼの周囲および底面側
に設け、前記バケット型るつぼ,加熱用フィラメントお
よび熱シールド板をセラミックで覆い、このセラミック
にバケット型るつぼを保持させて蒸気発生源を構成した
ものである。
【0013】また、請求項2に記載の薄膜形成装置は、
加熱用フィラメントと熱シールド板を同電位に保持する
とともに、イオン化フィラメントからの熱電子がバケッ
ト型るつぼに向う方向に電界が形成されるようにイオン
化フィラメントと熱シールド板とを配置したものであ
る。また、請求項3に記載の薄膜形成装置は、バケット
型るつぼの周囲と底面側に、バケット型るつぼの周囲の
上方部分が密になるようにして加熱用フィラメントを配
設したものである。
【0014】
【作用】本発明の請求項1に記載の発明においては、蒸
着物質が収容される容器と、ノズルが設けられた蓋とが
分離するバケット型るつぼと、このバケット型るつぼの
周囲および底面側に加熱用フィラメントを配設したの
で、バケット型るつぼから周囲の構造物への熱伝導によ
る熱損失を低減し、るつぼの容量が大きくなっても効率
よく加熱される。さらに、バケット型るつぼと、加熱用
フィラメントと、熱シールド板をセラミックで覆って蒸
気発生源を構成したので、高温に加熱されたバケット型
るつぼ表面より放出される不純物,あるいはバケット型
るつぼ物質の原子が、バケット型るつぼより蒸発した蒸
着物質に混入することが低減される。
【0015】また、請求項2に記載の発明においては、
加熱用フィラメントと熱シールド板を同電位に保持する
とともに、イオン化フィラメントからの熱電子が前記バ
ケット型るつぼに向う方向に電界が形成されるように、
イオン化フィラメントと熱シールド板を配置したので、
バケット型るつぼより蒸発した蒸着物質はバケット型る
つぼに集められ、イオン化フィラメントからの熱電子の
迷走が防止され、イオン化部以外で蒸着物質をイオン化
することが防止される。また、迷走電子が低減されるの
で、蒸着物質が効率よくイオン化される。さらに、イオ
ン化フィラメントからの輻射熱と熱電子のバケット型る
つぼへの衝突により、ノズル部分が加熱され、バケット
型るつぼの蓋に設けられたノズル部分の温度が低下する
ことがなくなり、蒸発した蒸着物質がノズルで固体化し
てノズルを詰まらせることがなくなる。
【0016】また、請求項3に記載の発明においては、
バケット型るつぼの周囲と底面側に前記バケット型るつ
ぼの周囲の上方部分が密になるように加熱用フィラメン
トを配設したので、バケット型るつぼの上方部分に投入
される熱量が多くなり、蒸着物質の蒸気がノズルの内壁
や近傍で再固体化することがなく、ノズルの目詰まりが
防止される。
【0017】
【実施例】以下、図面に基づいて本発明の一実施例につ
いて説明する。図1は本発明の一実施例を示す薄膜形成
装置の構成図である。この図において、1は所定の真空
度に保持された真空槽、2はこの真空槽1を真空状態に
排気する真空排気系、3は前記真空槽1内に設置された
バケット型るつぼで、容器3aと蓋3bとからなり、か
つ着脱自在に構成されている。4は前記バケット型るつ
ぼ3の上部に設けられたノズル、5は前記容器3aに充
填された蒸着物質、6は前記バケット型るつぼ3を加熱
する加熱用フィラメントで、バケット型るつぼ3の周囲
および底面側に設けられ、バケット型るつぼ3のノズル
4側の密度を高くして設けられている。7はこの加熱用
フィラメント6からの熱を遮断する熱シールド板、8は
前記ノズル4から蒸着物質を噴出させて形成した中性の
クラスタ(塊状原子集団)、24は前記バケット型るつ
ぼ3,加熱用フィラメント6および熱シールド板7を覆
うように配置されたセラミックで、これらバケット型る
つぼ3,加熱用フィラメント6,熱シールド板7および
セラミック24により蒸気発生源9が形成されている。
なお、3cは円板状のつばである。
【0018】10は電子ビームを放出するイオン化フィ
ラメント、12は従来例と構造の異なる熱シールド板、
13は前記イオン化フィラメント10および熱シールド
板12により構成されるイオン化手段である。14はこ
のイオン化手段によってイオン化されたイオン化クラス
タ、15aおよび15bは加速手段を構成する加速電極
およびアース電極である。16は薄膜が形成される基
板、17は前記加熱用フィラメント10を加熱する第1
交流電源、18は前記バケット型るつぼ3の電位を加熱
用フィラメント6に対して正にバイアスする第1直流電
源、19は前記イオン化フィラメント10を加熱する第
2交流電源、20は前記イオン化フィラメント10をバ
ケット型るつぼ3に対して負にバイアスする第2直流電
源、21は前記バケット型るつぼ3および加速電極15
aをアース電極15bに対して正にバイアスする第3直
流電源であり、これら各電源17〜21により電源装置
22が構成されている。以下、さらに主要部の構成を詳
細図を用いて説明する。
【0019】図2はイオン化手段13を説明するための
断面斜視図であり、イオン化フィラメント10はリング
形状をしており、それを取り囲むように熱シールド板1
2が配置されている。熱シールド板12の上下面に設け
られた円形の開口部は、上面よりも下面が大きくなって
いる。
【0020】図3はバケット型るつぼ3の説明図であ
り、3aは前記蒸着物質5を収容する容器、3bは蓋
で、その上部に少なくとも1つのノズル4が設けられて
いる。また、この蓋3bの上部は円板状のつば3cとな
っており、容器3aと蓋3bの両者の端部にはネジが形
成され、螺合により組み立てられるようになっている。
上記ノズル4は円筒と蓋3bの上部に向って拡がってい
る円錐とを組合せた形状となっている。また、螺合によ
り組み立てられたバケット型るつぼ3の外面および内面
ともに蓋3bより容器3aに向って細くなるゆるやかな
テーパ形状となっている。
【0021】図4は蒸気発生源9の説明図であり、セラ
ミック24の外周面には、このセラミック24を冷却す
るための冷却パイプ25が設けられている。冷却パイプ
25の内部には水が流通するようになっている。26は
前記セラミック24の底面に複数設けられた排気口で、
蒸気発生源9内部を真空排気するために設けられていあ
る。バケット型るつぼ3はセラミック24の上部に設け
られた穴に差し込まれ、バケット型るつぼ3の上部にあ
るつば3cでセラミック24の上部に保持されている。
【0022】加熱用フィラメント6は、バケット型るつ
ぼ3の周囲に蓋3bに設けられたノズル4の部分で、フ
ィラメント密度が高くなるように配置されており、ま
た、加熱用フィラメント6はバケット型るつぼ3の底面
側にも配置されている。熱シールド板7は2つに分割さ
れており、この分割は熱シールド板7の内部を排気口2
6を通して真空排気するためと、また、さらに、熱シー
ルド板7の熱膨張による変形を逃げるためである。ま
た、第1交流電源17は、加熱用フィラメント6を加熱
し、第1直流電源18は、バケット型るつぼ3の電位を
加熱用フィラメント6に対して正にバイアスする。
【0023】図5はイオン化手段13と蒸気発生源9が
作る電界の説明図であり、イオン化フィラメント10と
熱シールド板12は、この電界、すなわちイオン化フィ
ラメント10からの熱電子がバケット型るつぼ3に向か
う方向に電界を形成するように配置されている。イオン
化手段13によってイオン化されたイオン化クラスタ1
4は、電界により加速手段で加速され、運動エネルギー
を付与される。第2交流電源19は、イオン化フィラメ
ント10を加熱し、第2直流電源20は、イオン化フィ
ラメント10をバッケット型るつぼ3に対して負にバイ
アスする。
【0024】図6は加熱用フィラメント6の他の例を示
すものであり、フィラメントがバケット型るつぼ3の周
囲の円周上にバケット型るつぼ3の中心軸方向に長く設
置され、蓋3b部分に相当する位置のフィラメント密度
が高くなるように構成されている。この加熱用フィラメ
ント6はコイル状になっていないため、電流を通電して
も発生する磁界が弱い。したがって、蒸着物質5が磁性
材料の場合でも磁界によりクラスタ8の軌道が曲がった
りクラスタ8が着磁されたりしないので、基板16の表
面上に良質な膜が得られる。
【0025】次に、動作について説明する。バケット型
るつぼ3は、容器3aと蓋3bの螺合によって組み立て
られているので、容器3aと蓋3bを回してネジをゆる
めて2つに分け、容器3aに蒸着物質5を入れる。蒸着
物質5が入れられた容器3aに蓋3bを装着することに
より、蒸着物質5が充填されたバケット型るつぼ3が組
み立てられる。このバケット型るつぼ3を蒸気発生源9
に取り付け、真空槽1を10-6Torr程度の真空度に
なるまで真空排気系2によって排気する。
【0026】その後、第1交流電源17で加熱用フィラ
メント6へ通電することにより、加熱用フィラメント6
の温度が上昇し、熱電子が放出され、この熱電子は第1
直流電源18によりバケット型るつぼ3と加熱用フィラ
メント6間に発生する電界によって図4の矢印27方向
に引っ張られ、加速されてバケット型るつぼ3に衝突す
る。バケット型るつぼ3は、この加速された熱電子によ
る衝撃と加熱用フィラメント6の輻射熱により加熱さ
れ、内部にある蒸着物質5が加熱され蒸発する。
【0027】熱シールド板7は、第1直流電源18によ
り加熱用フィラメント6と同電位となっている。図1に
示すように、加熱によってバケット型るつぼ3内の蒸着
物質5は蒸発し、ノズル4から真空槽1中に噴射され
る。この蒸着物質5の蒸気は、ノズル4を通過する際、
断熱膨張により加速冷却されて凝縮し、クラスタ8と呼
ばれる塊状原子集団が形成される。
【0028】第2交流電源19でイオン化フィラメント
10へ通電することにより、イオン化フィラメント10
の温度が上昇し熱電子が放出され、この熱電子は第2直
流電源20でバケット型るつぼ3とイオン化フィラメン
ト10間に発生する電界、すなわち図5中の破線で示す
電界によって加速および偏向され、クラスタ8と衝突し
てクラスタ8の一部がイオン化し、イオン化クラスタ1
4となりバケット型るつぼ3に到達する。蓋3bの上面
部分はイオン化フィラメント10からの輻射熱と熱電子
の衝突により加熱される。イオン化クラスタ14は第3
直流電源21により加速電極15aとアース電極15b
間に発生する電界により加速され、イオン化されていな
い中性のクラスタ8はバケット型るつぼ3内の圧力(数
Torr)と、真空槽1内の圧力(〜10-6Torr)
との圧力差により、ノズル4から噴出し、この時の噴出
速度で前記イオン化クラスタ14とともに基板16の表
面に到達して薄膜が形成される。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の請求項1
に記載の発明は、バケット型るつぼを蓋と容器の2つに
分離できるように構成したので、蒸着物質の充填が容易
であり、また、蒸着物質が粒状,粉体,線材あるいはペ
レット状のいずれでも入れることができる。また、加熱
用フィラメントをバケット型るつぼの周囲および底面側
に配置したので、バケット型るつぼはこの加熱用フィラ
メントにより底部も含めた全周囲から加熱されるので、
バケット型るつぼから周囲の構造物への熱伝導による熱
損失を低減でき、バケット型るつぼの容量が大きくなっ
ても均一に、かつ効率よく加熱することができる。
【0030】さらに、蒸気発生源はセラミックで密閉さ
れているので、加熱用フィラメントから放出された熱電
子の迷走により、クラスタや残留ガスあるいはバケット
型るつぼの表面より放出された不純物がイオン化されて
空間のインピーダンス低下にともなう電圧印加部分の短
絡を防止するとともに、基板表面上の膜への不純物の混
入を防ぎ、良好な薄膜が形成できる。
【0031】また、請求項2に記載の発明は、加熱用フ
ィラメントからの輻射熱を遮断する熱シールド板は、加
熱用フィラメントと同電位になっているので、加熱用フ
ィラメントより放出された熱電子が熱シールド板より外
部へ漏れることを防いでおり、また、加熱用フィラメン
トからの輻射熱が外部へ漏れることを防ぐとともに、バ
ケット型るつぼは、熱伝導率の低いセラミックで保持さ
れているので、バケット型るつぼより失われる熱損失を
低減でき、また、加熱効率を改善することができる。
【0032】さらに、バケット型るつぼに向けて熱電子
が移動する方向に電界が形成されるように、イオン化フ
ィラメントと、熱シールド板を配置したので、イオン化
フィラメントから放出された熱電子は、バケット型るつ
ぼへ集められるので、迷走電子が低減され、イオン化手
段部分以外でクラスタあるいは真空槽内の残留ガスをイ
オン化することによる空間のインピーダンス低下にとも
なう電圧印加部分の短絡を防止するとともに、基板表面
上の膜への不純物の混入を防ぎ、良好な薄膜が形成でき
る。
【0033】また、請求項3に記載の発明は、加熱用フ
ィラメントのフィラメント密度がバケット型るつぼの上
方部分で高くなっているので、この部分へ投入される熱
量が多くなり、ノズル部分の温度低下がなく、蒸着物質
の蒸気がノズルの内壁や近傍で再固体化してノズルの詰
りを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による薄膜形成装置を示す縦
断面図である。
【図2】図1のイオン化手段を示す断面図である。
【図3】図1のバケット型るつぼを示す縦断面図であ
る。
【図4】図1の蒸気発生源の詳細を示す縦断面図であ
る。
【図5】図1のイオン化手段の動作を示す説明図であ
る。
【図6】本発明の加熱用フィラメントの他の例を示す外
形図である。
【図7】従来の薄膜形成装置を示す断面図である。
【図8】従来のるつぼを示す外形図である。
【符号の説明】
1 真空槽 2 真空排気系 3 バケット型るつぼ 3a 蓋 3b 容器 3c つば 4 ノズル 5 蒸着物質 6 加熱用フィラメント 7 熱シールド板 8 中性のクラスタ 9 蒸気発生源 10 イオン化フィラメント 12 熱シールド板 13 イオン化手段 14 イオン化クラスタ 15a 加速電極 15b アース電極 16 基板 17 第1交流電源 18 第1直流電源 19 第2交流電源 20 第2直流電源 21 第3直流電源 22 電源装置 24 セラミック 25 冷却パイプ 26 排気口

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空槽内に、薄膜が形成される基板と、
    ノズルが設けられ蒸着物質が収容されるるつぼ,このる
    つぼを加熱する加熱用フィラメント,この加熱用フィラ
    メントからの輻射熱を遮断する熱シールド板からなる蒸
    気発生源と、前記るつぼから蒸発した蒸着物質が前記ノ
    ズルを通過する際形成される中性のクラスタの一部をイ
    オン化してイオン化クラスタとするイオン化フィラメン
    トと熱シールド板とからなるイオン化手段と、前記中性
    のクラスタおよびイオン化クラスタを加速し前記基板表
    面に衝突させて薄膜を形成する加速電極とアース電極と
    からなる加速手段と、を備えた薄膜形成装置において、
    前記るつぼを、前記蒸着物質を収容する容器と前記少な
    くとも1つのノズルが設けられた蓋とに分離可能なバケ
    ット型るつぼとするとともに、このバケット型るつぼの
    周囲と底面側に加熱用フィラメントを配設し、さらに前
    記バケット型るつぼと加熱用フィラメントとこの加熱用
    フィラメントからの輻射熱を遮断する熱シールド板とを
    セラミックで覆い、このセラミックに前記バケット用る
    つぼを保持させて前記蒸気発生源を構成したことを特徴
    とする薄膜形成装置。
  2. 【請求項2】 真空槽内に、薄膜が形成される基板と、
    ノズルが設けられ蒸着物質が収容されるるつぼ,このる
    つぼを加熱する加熱用フィラメント,この加熱用フィラ
    メントからの輻射熱を遮断する熱シールド板からなる蒸
    気発生源と、前記るつぼから蒸発した蒸着物質が前記ノ
    ズルを通過する際形成される中性のクラスタの一部をイ
    オン化してイオン化クラスタとするイオン化フィラメン
    トと熱シールド板とからなるイオン化手段と、前記中性
    のクラスタおよびイオン化クラスタを加速し前記基板表
    面に衝突させて薄膜を形成する加速電極とアース電極と
    からなる加速手段と、を備えた薄膜形成装置において、
    前記加熱用フィラメントと熱シールド板を同電位に保持
    するとともに、前記イオン化フィラメントからの熱電子
    が前記バケット型るつぼに向う方向に電界が形成される
    ように前記イオン化手段のイオン化フィラメントと熱シ
    ールド板とを配置したことを特徴とする薄膜形成装置。
  3. 【請求項3】 真空槽内に、薄膜が形成される基板と、
    ノズルが設けられ蒸着物質が収容されるるつぼ,このる
    つぼを加熱する加熱用フィラメント,この加熱用フィラ
    メントからの輻射熱を遮断する熱シールド板からなる蒸
    気発生源と、前記るつぼから蒸発した蒸着物質が前記ノ
    ズルを通過する際形成される中性のクラスタの一部をイ
    オン化してイオン化クラスタとするイオン化フィラメン
    トと熱シールド板とからなるイオン化手段と、前記中性
    のクラスタおよびイオン化クラスタを加速し前記基板表
    面に衝突させて薄膜を形成する加速電極とアース電極と
    からなる加速手段と、を備えた薄膜形成装置において、
    前記るつぼを、前記蒸着物質を収容する容器と前記少な
    くとも1つのノズルが設けられた蓋とに分離可能なバケ
    ット型るつぼとするとともに、このバケット型るつぼの
    周囲と底面側に、前記バケット型るつぼの周囲の上方部
    分が密になるようにして前記加熱用フィラメントを配設
    したことを特徴とする薄膜形成装置。
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