JPH06106930A - 後輪操舵車両における揺動制御構造 - Google Patents

後輪操舵車両における揺動制御構造

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JPH06106930A
JPH06106930A JP26205692A JP26205692A JPH06106930A JP H06106930 A JPH06106930 A JP H06106930A JP 26205692 A JP26205692 A JP 26205692A JP 26205692 A JP26205692 A JP 26205692A JP H06106930 A JPH06106930 A JP H06106930A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】製造コストが安く、キャスター角付きの車両に
も適用できる揺動制御構造を目的としている。 【構成】左右後輪1は、ナックルスピンドル2に回転可
能に支持され、その左右のナックルスピンドル2が、後
車軸であるステアアクスル3にキングピン4を介して連
結している。ステアアクスル3は、車体への結合部をス
イング中心Sとして上下に揺動可能となっている。箱体
部分3aの上面には揺動制御ラバー10が取り付けら
れ、その揺動制御ラバー10の上方に下面を水平にした
圧接プレート11が車体側部材に固定されている。揺動
制御ラバー10の上面は、車体前後方向に水平で、且
つ、車幅方向に、ステアアクスル3のスイング中心Sの
上方を境として、左右対称に、下方外方に所定角度θの
傾斜がついてテーパ面10aが成形されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、前車軸がリジットアク
スル形式で且つ後車軸がスイングアクスル形式となって
いるフォークリフト等の産業車両に係り、特に、車体に
対する後車軸の上下方向の揺動量を制御する揺動制御構
造に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、前車軸がリジットアクスルで且
つ後車軸がスイングアクスルとなっているフォークリフ
ト等の産業車両において、後車軸は、通常走行時には乗
り心地をよくするために自由に揺動し、且つ、荷役操作
時においては安定性を確保するためにリジット状態にな
るようにすることが望まれている。
【0003】即ち、一般走行時に後車軸がリジット状態
になっていると、後車軸の揺動がそのまま車体に入力さ
れて乗り心地が悪くなると共に、旋回時のロールモーメ
ントが大きくなって転倒し易くなる。また、荷役操作時
に後車軸の揺動がフリー状態になっていると、図7に示
すように、リジットアクスルになっている前車軸13の
左右輪の各接地点A,Bと、揺動軸である後車軸の中央
部(車体への連結部)Sを結ぶ三角形が車両安定の基準
面Hとなる。即ち,車両重心の鉛直線がこの三角形内に
位置することが安定の条件となり、この三角形の基準面
H外に重心が移動すると転倒してしまう。
【0004】これに対して、荷役操作時に後車軸をリジ
ット状態にすると、上記基準面Hが、図8に示すよう
な、前車軸の左右輪13の各接地点A,Bと、後車軸の
左右輪1の各接地点C,Dとを結ぶ四角形となり、上記
フリー状態に比べて車両重心の左右移動余裕が大きくな
る。なお、後車軸がフリー状態において、車両重心が上
記三角形の基準面Hの外に移動するほど車両が傾く,即
ち相対的に後車軸が揺動すると、後車軸が車体側のスト
ッパに当接して該後車軸がロック状態となり、基準面H
が図7に示すような三角形部分から図8に示すような四
角形部分となるが、上記基準面Hの変化が急激であるの
で、慣性力によって重心が四角形の基準面Hの外に移動
して転倒し易い。
【0005】そして、これを防止するために、例えば,
実開昭55−165813号公報に記載されている方法
が従来提案されている。これは、後車軸の左右端をそれ
ぞれ油圧シリンダ装置を介して車体に連結し、その油圧
シリンダ装置のピストンロッドが自由移動できるよう
に、油室相互を連通する管路に組み込まれた開閉用の電
磁弁を、走行駆動系における変速機以降の回転有無を検
出する検出器からの信号により、回転時には導通位置
に,また停止時には遮断位置に切換制御することで、車
両が走行しているときには、後車軸を自由に揺動できる
ようにすると共に、停止時には、シリンダ装置で後車軸
を抑えてロックしリジット状態にしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような揺動制御装置を搭載すると、上記のようなシリン
ダ装置、シリンダ制御装置,検出器などの装置を必要と
するため製造コストが高く、しかも、万一システムが断
線等で故障したときには、車両停止時における後車軸の
揺動をロックしないで荷役操作時に車両が転倒し易くな
る。しかも、このような危険性を回避するためにフェイ
ルセーフ機構を追加しようとすると、更にコストが嵩む
という問題がある。
【0007】また、特願平3−192403号公報等に
記載されているような、運転の操作性を向上させるため
にキングピンにキャスタ角を付けている車両にあって
は、そのキャスタ角をつけることで、操舵時に左右後輪
の一方が水平面に対して潜り込もうとし、他方が持ち上
がろうとするために後車軸が上下に揺動する。このた
め、据え切りフル転舵することが多いフォークリフト等
においては、荷役操作時の車両安定性を確保するために
後車軸をリジット状態にしておくと、据え切り時に車両
が傾くという問題がある。
【0008】本発明は、上記のような問題点に着目して
なされたもので、製造コストが安く、キャスター角を有
する車両にも適用できる揺動制御構造を目的としてい
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の後輪操舵車両における揺動制御構造は、車
体に車幅方向中央部で連結し、その連結部を中心にして
車体に対して相対的に上下に揺動するスイングアクスル
形式の後車軸を備えた後輪操舵車両において、後車軸と
その後車軸の上方に位置の車体側部材との間に弾性体を
介在させ、その弾性体の上記揺動に対する復元力を、揺
動角が所定角度範囲内では小さく、揺動角が上記所定角
度を越えると揺動角に応じた復元力を発生するように設
定したことを特徴としている。
【0010】このとき、上記弾性体の一部を車幅方向中
央部に配設すると共に、その弾性体を、常時、車体側部
材と後車軸に所定の撓みを持たせて当接させるとよい。
【0011】
【作用】後車軸がスイングしたり,車体が横揺れして、
車体に対して後車軸が上下に揺動すると、後車軸の左右
どちらか一方が、車体下面に相対的に接近する。する
と、その間に介在している弾性体が圧縮されて撓み、そ
の弾性体の弾性力によって後車軸が車体下面から相対的
に離れる方向に付勢される。これは、揺動角が大きくな
るにつれて上記圧縮による撓みが大きくなり、その撓み
量に応じて付勢力が大きくなるので、上記揺動角が大き
くなるにつれて徐々に後車軸をリジット状態にする。
【0012】なお、上記揺動角が小さい状態では、弾性
体が車体側若しくは後車軸側に接触しないように配置し
たり、弾性体内に空房室を設ける等して、上記付勢力,
即ち復元力をゼロ若しくは微小にしている。そして、車
両の一般走行,旋回,若しくは据え切り時においては、
通常,後車軸の上下揺動は小さいので、その揺動角まで
の領域においては、上記のように弾性体からの付勢力,
即ち復元力がゼロか小さく、後車軸の揺動は、弾性体に
よって規制されずに自由に揺動する。
【0013】また、荷役操作時において、車両が所定角
度以上傾くと、傾いた側の車体下部が後車軸に接近し
て、後車軸が相対的に上方に揺動した状態となり、その
間に介在している弾性体を圧縮する。そして、所定以上
車体が傾斜すると、弾性体が車体の傾斜を阻止する方向
に車体を付勢して後車軸を徐々にリジット状態にする。
このため、車体が傾くことによる、車両安定の基準面
の、図7に示すような三角形状から図8に示すような四
角形状への変化が緩やかになり、荷役時の転倒が防止さ
れる。
【0014】通常,後車輪等が車体と干渉しないように
車体側部材にストッパを設けていて所定角度以上に後車
軸が傾かないように規制しているが、本発明に使用され
ている弾性体は、ストッパが後車軸の当接部材と衝突す
る前に該弾性体が撓んで衝撃を吸収しているので、スト
ッパが当接部位に衝突する際の衝撃を緩衝して、悪路走
行時等でのストッパ破損を防止する。
【0015】また、弾性体の一部を、車幅中央部で車体
側部材及び後車軸に所定撓みを持たせて当接させておく
と、その弾性体によって後車軸の揺動中心部を常時下方
に付勢することになり、後車軸を支持するブッシュが磨
耗しても該後車軸のがたつきが抑えられる。このとき、
上記弾性体は、後車軸中央部,即ち後車軸と車体との連
結部上方に位置しているので、後車軸の揺動をさほど規
制することはない。
【0016】
【実施例】本発明の実施例を図面をもとに説明する。本
実施例の産業車両は、フォークリフトであって、車体前
側にはマストに沿って昇降可能なフォークが配設されて
いる。この車両の左右後輪1は、図1及び図2に示すよ
うに、それぞれナックルスピンドル2に回転可能に支持
され、その左右のナックルスピンドル2が、車幅方向に
延設された後車軸であるステアアクスル3の各端部にそ
れぞれキングピン4を介して連結している。
【0017】そのステアアクスル3にはベルクランク5
が回転自在に支持されていて、そのベルクランク5は、
ステアリング操作力がドラッグリンク6を介して伝達さ
れることでベルクランク軸周りに回動可能になってい
る。そして、そのベルクランク5の回動によってキング
ピン4がタイロッド7を介して回動され、そのキングピ
ン4の軸線K周りに左右の後輪1がそれぞれ回動するよ
うになっている。
【0018】また、上記ステアアクスル3は、車体前後
方向に沿って傾斜させて車体フレームに取り付けられて
いる。詳説すると、ステアアクスル3の車幅中央部は箱
体形状をしていて、図3に示すように、その箱体部分3
aが車体後方側が車体前方側より下がるように傾斜させ
た状態になっていて、その箱体部分3aを、車体前後方
向へ水平に貫通するようにスイングシャフト8が配設さ
れ、そのスイングシャフト8両端部がそれぞれ回転可能
に車体側のブラケット9へ連結されることで、ステアア
クスル3が、車幅方向中央部を中心として揺動可能に車
体へ結合されて、その結合部をスイング中心Sとして左
右が上下方向に揺動可能になっている。
【0019】これによって、ステアアクスル3とナック
ルスピンドル2を連結するキングピン4の軸Kが傾斜し
て後輪1にキャスタ角が付与されている。また、箱体部
分3aの上面には揺動制御ラバー10が取り付けられて
いる。その揺動制御ラバー10の上方には下面を水平に
した圧接プレート11が車体側部材に固定されている。
【0020】そして、箱体上面に固定された揺動制御ラ
バー10の上面は、車体前後方向については、図3に示
すように、上記圧接プレート11と平行になるように水
平になっていると共に、車幅方向については,図5に示
すように、ステアアクスル3のスイング中心Sの鉛直上
方に位置する部分(頂部)10bを境として、左右対称
に、上記圧接プレート11の形成する表面から下方外方
に所定角度θの傾斜がついてテーパ面10aが成形され
ている。
【0021】その揺動制御ラバー10のテーパ面10a
の傾斜角θは、一般走行時の揺動時に該テーパ面10a
が圧接プレート11に当接しない,若しくは若干接触す
る程度の角度,例えば2度に設定することで、ステアア
クスル3の揺動角に対する弾性体10の復元トルクが図
6に示すような状態となる。また、車体フレームの左右
両端部にストッパボルト14がそれぞれ設けられ、その
下方に位置するステアアクスル3の上面にストッパボル
ト14の先端部が衝突する当接部材15が設けられてい
る。
【0022】上記のような構成のフォークリフト等の産
業車両では、一般走行時など、ステアアクスル3の揺動
が小さい状態では、図4に示すように、上記車幅方向に
おける圧接プレート11と揺動制御ラバー10のテーパ
面10aが接触しない。このため、揺動制御ラバー10
が圧縮されずになんら復元力を発生しないので、該揺動
制御ラバー10による規制はなく、ステアアクスル3は
自由の揺動して、乗り心地を悪くしたり旋回時のロール
モーメントを大きくすることはない。
【0023】また、上記テーパ面10aの傾斜角度θ以
上にステアアクスル3が揺動すると、その揺動角に応じ
た分だけ揺動制御ラバー10が圧縮され、その圧縮量に
応じた弾性力で車体から相対的にステアアクスル3が離
れる方向に揺動制御ラバー10が踏ん張るので、所定の
揺動角θを越えるとステアアクスル3の揺動を徐々に阻
止する。
【0024】これにより、荷役操作時に車体が傾いても
所定以上傾くと車体下面とステアアクスル3間に介在し
ている揺動制御ラバー10が車体の傾斜に応じた分だけ
圧縮され、その圧縮量に応じた復元力(図6参照)で車
体下面とステアアクスル3との間を離す方向に付勢する
ため、ステアアクスル3は、揺動角に対するフリー状態
からリジット状態への移行が滑らかとなり、車両重心に
対する基準面Hの図7に示すような三角形状態から図8
に示すような四角形状態への移行が緩やかとなり、荷役
時の慣性力による転倒が防止される。
【0025】また、悪路走行時等にストッパボルト14
が当接部材15に衝突する前に、揺動制御ラバー10が
撓んで衝撃を緩衝しているので、ストッパボルト14が
当接部材15に衝突する際の衝撃力が低減されて、スト
ッパボルト14の破損を抑えることができる。なお、上
記揺動制御ラバー10の頂部10bを若干撓むようにし
て常時,圧接プレート11に当接させておくと、その撓
んだことによる弾性力によって、ステアアクスル3を車
体に支持させている部分のブッシュが磨耗しても上下方
向のガタを抑止すると共に、ステアアクスル3の前後方
向のガタも抑止可能となる。
【0026】このとき、頂部10bは車幅方向中央部に
位置しているので、ステアアクスル3の揺動を抑止する
力は小さく問題ない。また、上記実施例では、揺動制御
ラバー10に対して、車幅方向に向かうテーパ面10a
を付けることで、ステアアクスル3の揺動に対する揺動
制御ラバー10の復元力を、所定揺動角から大きくなる
ようにしているが、図9に示すように、揺動制御ラバー
10内に空房層20を設け、ラバー10上面を圧接プレ
ート11に当接させた状態にする等して、初期の撓みに
対する揺動制御ラバー10の復元力を小さくするように
設定することで、ステアアクスル3の所定角度範囲にお
ける揺動制御ラバー10の復元力が小さくなるようにし
てもよい。
【0027】また、上記実施例では、ステアアクスル3
を傾斜させてキャスタ角を後輪1に付与した車両に適用
した例であるが、ステアアクスル3が傾斜していない場
合にも適用可能で、該ステアアクスル3に固定された揺
動制御ラバー10の上面形状が、上記実施例と同様な形
状になるように設定すれば同じ作用効果を得ることがで
きる。
【0028】また、上記実施例では、ステアアクスル3
側に揺動制御ラバー10を設けているが、車体側に揺動
制御ラバー10を設けると共に、上下に対向するステア
アクスル3上面に圧接プレートを設けるようにして弾性
体を介在させてもよい。また、上記実施例では、弾性体
としてゴム体を使用しているが、コイルバネ等,他の弾
性体を使用してもよい。
【0029】また、揺動制御ラバー10の車体とステア
アクスル3間の介在位置は、上記実施例のように、車幅
方向中央部に限定されるものではなく、左右対称位置に
それぞれ揺動制御ラバー10が位置するように介在させ
てもよい。
【0030】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明の後輪
操舵車両における揺動制御構造では、弾性体を車体下面
と後車軸課間に介在させるだけで、後車軸の適性な揺動
制御ができると共に、ストッパへの衝撃入力を低減する
ことができる。また、車幅中央部の弾性体を、若干撓む
ようにして常時,当接させておくと、その撓んだことに
よる弾性力によって、後車軸を車体に支持させている部
分のブッシュが磨耗しても上下方向のガタを抑止すると
共に、前後方向のガタも抑止可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施例の後輪操舵車両における揺
動制御構造を示す正面図である。
【図2】本発明に係る実施例の後輪操舵車両における揺
動制御構造を示す平面図である。
【図3】本発明に係る実施例の後輪操舵車両における揺
動制御構造を示す側面図である。
【図4】本発明に係る実施例の後輪操舵車両における揺
動した状態を示す模式図である。
【図5】本発明に係る実施例の揺動制御ラバーと圧接プ
レートの状態を示す図である。
【図6】本発明に係る実施例の弾性体における復元トル
クと揺動角の関係を示す図である。
【図7】後車軸が自由に揺動する際の基準面を示す図で
ある。
【図8】後車軸がリジット状態の際の基準面を示す図で
ある。
【図9】本発明に係る第2実施例の弾性体と圧接プレー
トの状態を示す図である。
【符号の説明】 1 後輪 3 ステアアクスル(後車軸) 10 揺動制御ラバー(弾性体)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体に車幅方向中央部で連結し、その連
    結部を中心にして車体に対して相対的に上下に揺動する
    スイングアクスル形式の後車軸を備えた後輪操舵車両に
    おいて、後車軸とその後車軸の上方に位置する車体側部
    材との間に弾性体を介在させ、その弾性体の上記揺動に
    対する復元力を、揺動角が所定角度範囲内では小さく、
    揺動角が上記所定角度を越えると揺動角に応じた復元力
    を発生するように設定したことを特徴とする後輪操舵車
    両における揺動制御構造。
  2. 【請求項2】 上記弾性体の一部を車幅方向中央部に配
    設すると共に、その弾性体部分を、常時、車体側部材と
    後車軸とに所定の撓みを持たせて当接させたことを特徴
    とする請求項1記載の後輪操舵車両における揺動制御構
    造。
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