JPH06104283A - 薄膜トランジスタ - Google Patents
薄膜トランジスタInfo
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- JPH06104283A JPH06104283A JP25324892A JP25324892A JPH06104283A JP H06104283 A JPH06104283 A JP H06104283A JP 25324892 A JP25324892 A JP 25324892A JP 25324892 A JP25324892 A JP 25324892A JP H06104283 A JPH06104283 A JP H06104283A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 より高いオン電流と、より低いオフ電流とが
得られ、しかも液晶表示装置に適用した場合に開口率を
向上し得る薄膜トランジスタを提供する。 【構成】 絶縁膜13、14を挟んで一方にゲート電極
12が形成され、他方に半導体薄膜15、ソース電極1
8およびドレイン電極19が形成されている。半導体薄
膜15は、シリコンおよび炭素を含む原料ガスをプラズ
マ分解させてシリコンカーバイド半導体膜を成膜する成
膜工程と、この半導体膜に処理を施す水素プラズマ処理
工程とを1回または2回以上行うことにより形成された
微結晶相を含むシリコンカーバイドからなる。
得られ、しかも液晶表示装置に適用した場合に開口率を
向上し得る薄膜トランジスタを提供する。 【構成】 絶縁膜13、14を挟んで一方にゲート電極
12が形成され、他方に半導体薄膜15、ソース電極1
8およびドレイン電極19が形成されている。半導体薄
膜15は、シリコンおよび炭素を含む原料ガスをプラズ
マ分解させてシリコンカーバイド半導体膜を成膜する成
膜工程と、この半導体膜に処理を施す水素プラズマ処理
工程とを1回または2回以上行うことにより形成された
微結晶相を含むシリコンカーバイドからなる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、大型高精細液晶表示装
置に適用が可能な、薄膜トランジスタに関する。
置に適用が可能な、薄膜トランジスタに関する。
【0002】
【従来の技術】薄膜トランジスタ(TFT)は、液晶表
示パネルにおいて解像度の高い映像を実現することが可
能であるため、液晶表示パネルにおける各絵素のアクテ
ィブ(能動)素子として用いられている。かかるTFT
は大面積にわたって形成することができ、かつ非常に大
量の画素等を制御できるという特長を有している。上記
TFTは半導体薄膜を有して構成され、その半導体薄膜
としては、アモルファスシリコン(a−Si)膜や多結
晶シリコン(p−Si)膜が広く用いられている。a−
Si膜は、高周波プラズマ化学蒸気成膜(RF−PCV
D)法によって形成され、p−Si膜は、熱化学蒸気成
膜(熱CVD)法により形成した膜を固相成長法または
レーザーアニール法により結晶化して形成される。
示パネルにおいて解像度の高い映像を実現することが可
能であるため、液晶表示パネルにおける各絵素のアクテ
ィブ(能動)素子として用いられている。かかるTFT
は大面積にわたって形成することができ、かつ非常に大
量の画素等を制御できるという特長を有している。上記
TFTは半導体薄膜を有して構成され、その半導体薄膜
としては、アモルファスシリコン(a−Si)膜や多結
晶シリコン(p−Si)膜が広く用いられている。a−
Si膜は、高周波プラズマ化学蒸気成膜(RF−PCV
D)法によって形成され、p−Si膜は、熱化学蒸気成
膜(熱CVD)法により形成した膜を固相成長法または
レーザーアニール法により結晶化して形成される。
【0003】更に、上述したa−Si膜やp−Si膜の
他に、微結晶相を含むシリコンカーバイド(μc−Si
C)膜が挙げられる。このμc−SiC膜は、pin構
造のアモルファス太陽電池のp層として用いることによ
り開放電圧が増加して効率が向上すること、および薄膜
発光ダイオードのキャリア注入層に用いることにより輝
度が向上することが報告されている(Y.HAMAKAWA, Y.MA
TSUMOTO, G.HARATA and H.OKAMOTO: Material Research
Society Symposium Proceeding Vol. 164 (1990) 29
1)。また、多結晶シリコン太陽電池においてn型多結
晶シリコンウエハ上のp層としてμc−SiC膜を用い
ることにより、開放電圧が増加して効率が向上するこ
と、そしてこの多結晶シリコン太陽電池と上記pin構
造のアモルファス太陽電池とを組み合わせて用いると、
太陽電池としての変換効率が19.1%になることが報
告されている(W.MA, T.HORIUCHI, M.YOSHIMI, K.HATTO
RI, H.OKAMOTO and Y.HAMAKAWA: Proceeding of 22nd I
EEE Photovoltaic SpecialistConference (1991) 138
0)。しかし、μc−SiC膜を形成する方法としては
現在のところ、上述したY.HAMAKAWAらにより電子サイク
ロトロン共鳴PCVD(ECR−PCVD)法を用いて
行われたことが報告されているのみである。
他に、微結晶相を含むシリコンカーバイド(μc−Si
C)膜が挙げられる。このμc−SiC膜は、pin構
造のアモルファス太陽電池のp層として用いることによ
り開放電圧が増加して効率が向上すること、および薄膜
発光ダイオードのキャリア注入層に用いることにより輝
度が向上することが報告されている(Y.HAMAKAWA, Y.MA
TSUMOTO, G.HARATA and H.OKAMOTO: Material Research
Society Symposium Proceeding Vol. 164 (1990) 29
1)。また、多結晶シリコン太陽電池においてn型多結
晶シリコンウエハ上のp層としてμc−SiC膜を用い
ることにより、開放電圧が増加して効率が向上するこ
と、そしてこの多結晶シリコン太陽電池と上記pin構
造のアモルファス太陽電池とを組み合わせて用いると、
太陽電池としての変換効率が19.1%になることが報
告されている(W.MA, T.HORIUCHI, M.YOSHIMI, K.HATTO
RI, H.OKAMOTO and Y.HAMAKAWA: Proceeding of 22nd I
EEE Photovoltaic SpecialistConference (1991) 138
0)。しかし、μc−SiC膜を形成する方法としては
現在のところ、上述したY.HAMAKAWAらにより電子サイク
ロトロン共鳴PCVD(ECR−PCVD)法を用いて
行われたことが報告されているのみである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来のTF
Tには以下のような問題点があった。すなわち、基板に
入射する光は半導体薄膜に吸収され、自由に動き得る電
子および正孔を発生させるので、TFTのオフ電流が増
加し、オン/オフのコントラスト比が低下する。特に、
強い光を用いるプロジェクション用液晶表示パネルやオ
ーバーヘッドプロジェクター用液晶表示パネルにおいて
は不利である。そこで現状では、カラーフィルター部に
ブラックマトリックスを形成して、TFTに光が入らな
いようにしているが、こうすると、開口率が低下し、光
が通り難く表示面が暗くなってしまう。
Tには以下のような問題点があった。すなわち、基板に
入射する光は半導体薄膜に吸収され、自由に動き得る電
子および正孔を発生させるので、TFTのオフ電流が増
加し、オン/オフのコントラスト比が低下する。特に、
強い光を用いるプロジェクション用液晶表示パネルやオ
ーバーヘッドプロジェクター用液晶表示パネルにおいて
は不利である。そこで現状では、カラーフィルター部に
ブラックマトリックスを形成して、TFTに光が入らな
いようにしているが、こうすると、開口率が低下し、光
が通り難く表示面が暗くなってしまう。
【0005】また、半導体薄膜としてa−Si膜を用い
た場合には、移動度が小さくなるためオン電流を大きく
することができなかった。オン電流を大きくしようとす
ると、TFTを大きくする必要があり開口率の低下を招
いていた。さらに、大型で高精細な液晶表示装置を作成
するには、短時間のゲートスイッチング時間に液晶層お
よび蓄積コンデンサからなる容量を充電する動作が必要
であるが、オン電流が小さいことからこのような動作が
困難であった。
た場合には、移動度が小さくなるためオン電流を大きく
することができなかった。オン電流を大きくしようとす
ると、TFTを大きくする必要があり開口率の低下を招
いていた。さらに、大型で高精細な液晶表示装置を作成
するには、短時間のゲートスイッチング時間に液晶層お
よび蓄積コンデンサからなる容量を充電する動作が必要
であるが、オン電流が小さいことからこのような動作が
困難であった。
【0006】p−Si膜を半導体薄膜に用いた場合に
は、高い移動度のTFTが得られ、オン電流を大きくで
きる。しかし、固相成長法で再結晶化するには600℃
以上で10時間程度の熱処理を行う必要があり、基板と
して通常のガラスを用いることが困難であった。また、
レーザーアニール法で再結晶化するには高価で処理速度
の遅いレーザーアニール装置を用いる必要があり、大量
生産には適していない。このような問題点に鑑み、本発
明者等は上述した太陽電池等に用いられるμc−SiC
膜をTFTの半導体薄膜に適用することを試みた。この
μc−SiC膜は光が吸収し難く、かつ高い移動度が得
られるので、開口率の低下やオン電流の低下といった問
題が生じない。しかし、このような半導体薄膜において
も、依然としてμc−SiC膜を形成するためのECR
−PCVD装置がRF−PCVD装置等に比べるとあま
り広く用いられておらず、TFTの大面積化が容易でな
いという問題があった。
は、高い移動度のTFTが得られ、オン電流を大きくで
きる。しかし、固相成長法で再結晶化するには600℃
以上で10時間程度の熱処理を行う必要があり、基板と
して通常のガラスを用いることが困難であった。また、
レーザーアニール法で再結晶化するには高価で処理速度
の遅いレーザーアニール装置を用いる必要があり、大量
生産には適していない。このような問題点に鑑み、本発
明者等は上述した太陽電池等に用いられるμc−SiC
膜をTFTの半導体薄膜に適用することを試みた。この
μc−SiC膜は光が吸収し難く、かつ高い移動度が得
られるので、開口率の低下やオン電流の低下といった問
題が生じない。しかし、このような半導体薄膜において
も、依然としてμc−SiC膜を形成するためのECR
−PCVD装置がRF−PCVD装置等に比べるとあま
り広く用いられておらず、TFTの大面積化が容易でな
いという問題があった。
【0007】本発明は上記問題点を解決しようとするも
ので、その目的とするところは、より高いオン電流とよ
り低いオフ電流とが得られ、しかも液晶表示装置に適用
した場合に開口率を向上し得る薄膜トランジスタを提供
することを目的とする。
ので、その目的とするところは、より高いオン電流とよ
り低いオフ電流とが得られ、しかも液晶表示装置に適用
した場合に開口率を向上し得る薄膜トランジスタを提供
することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の薄膜トランジス
タは、絶縁膜を挟んで一方にゲート電極が形成され、他
方に半導体薄膜、ソース電極およびドレイン電極が形成
された薄膜トランジスタであって、該半導体薄膜は、プ
ラズマ化学蒸気成膜装置の反応室に導入したシリコンお
よび炭素を含む原料ガスをプラズマ分解させてシリコン
カーバイド半導体膜を成膜する成膜工程と、該反応室か
ら原料ガスを除去し水素ガスのみのプラズマとして該半
導体膜に処理を施す水素プラズマ処理工程とを1回また
は2回以上行うことにより形成された微結晶相を含むシ
リコンカーバイドからなり、そのことにより上記目的が
達成される。
タは、絶縁膜を挟んで一方にゲート電極が形成され、他
方に半導体薄膜、ソース電極およびドレイン電極が形成
された薄膜トランジスタであって、該半導体薄膜は、プ
ラズマ化学蒸気成膜装置の反応室に導入したシリコンお
よび炭素を含む原料ガスをプラズマ分解させてシリコン
カーバイド半導体膜を成膜する成膜工程と、該反応室か
ら原料ガスを除去し水素ガスのみのプラズマとして該半
導体膜に処理を施す水素プラズマ処理工程とを1回また
は2回以上行うことにより形成された微結晶相を含むシ
リコンカーバイドからなり、そのことにより上記目的が
達成される。
【0009】
【作用】本発明の薄膜トランジスタは、μc−SiC膜
からなる半導体薄膜を有する。このμc−SiC膜は、
a−Si膜に比較して光の吸収係数が全波長領域にわた
って小さいので、光を吸収し難く、かつTFTとしての
オフ電流を小さく抑えられる。また、高い移動度を有す
るので、TFTとしてのオン電流が増大する。
からなる半導体薄膜を有する。このμc−SiC膜は、
a−Si膜に比較して光の吸収係数が全波長領域にわた
って小さいので、光を吸収し難く、かつTFTとしての
オフ電流を小さく抑えられる。また、高い移動度を有す
るので、TFTとしてのオン電流が増大する。
【0010】
【実施例】以下、本発明を図面を参照して説明する。
【0011】図1は本実施例のTFTを用いた液晶表示
装置の略断面図であり、図2はμc−SiC膜の形成に
用いるRF−PCVD装置の断面概略図である。
装置の略断面図であり、図2はμc−SiC膜の形成に
用いるRF−PCVD装置の断面概略図である。
【0012】図1に示すように、ガラス基板11上に
は、逆スタガ構造を有する本実施例のTFTを覆うよう
に絵素電極20と保護膜21とがガラス基板11上に順
次形成されている。このTFTは以下のような構造とな
っている。すなわち、ガラス基板11の上にタンタルT
aからなるゲート電極12が形成されており、ゲート電
極12を覆うようにガラス基板11の全面にSi3N4絶
縁膜14が形成されている。ゲート電極12とSi3N4
絶縁膜14とは間にTa2O5絶縁膜13を介している。
ゲート電極12の上方のSi3N4絶縁膜14上にはp型
μc−SiC膜からなる半導体薄膜15が形成されてお
り、半導体薄膜15上の両側部には相互に離隔してn+
型a−Si膜からなる半導体薄膜17、17が、中央部
にはエッチングストッパー16が形成されている。さら
に、半導体薄膜17を覆うようにソース電極18および
ドレイン電極19が形成されている。
は、逆スタガ構造を有する本実施例のTFTを覆うよう
に絵素電極20と保護膜21とがガラス基板11上に順
次形成されている。このTFTは以下のような構造とな
っている。すなわち、ガラス基板11の上にタンタルT
aからなるゲート電極12が形成されており、ゲート電
極12を覆うようにガラス基板11の全面にSi3N4絶
縁膜14が形成されている。ゲート電極12とSi3N4
絶縁膜14とは間にTa2O5絶縁膜13を介している。
ゲート電極12の上方のSi3N4絶縁膜14上にはp型
μc−SiC膜からなる半導体薄膜15が形成されてお
り、半導体薄膜15上の両側部には相互に離隔してn+
型a−Si膜からなる半導体薄膜17、17が、中央部
にはエッチングストッパー16が形成されている。さら
に、半導体薄膜17を覆うようにソース電極18および
ドレイン電極19が形成されている。
【0013】次に、RF−PCVD装置を用いたμc−
SiC膜の成膜方法について図2を参照しながら説明す
る。なお、この方法はシャープ株式会社が平成4年3月
23日に出願した特願平4−64329号に詳細に記載
されている。
SiC膜の成膜方法について図2を参照しながら説明す
る。なお、この方法はシャープ株式会社が平成4年3月
23日に出願した特願平4−64329号に詳細に記載
されている。
【0014】図2において、RF−PCVD装置は、原
料ガスの導入ライン1および水素ガスの導入ライン2の
2つの導入ラインを有している。導入ライン1における
圧空バルブ3が開で圧空バルブ4が閉の時には、原料ガ
スが反応室に導入され、逆に圧空バルブ3が閉で圧空バ
ルブ4が開の時には、原料ガスは、直接排気ポンプ5に
より排気される。圧空バルブ3、4の開閉をタイマーに
より制御することにより、一定時間、原料ガスおよび水
素ガス、または水素ガスのみを反応室に導入できる。
料ガスの導入ライン1および水素ガスの導入ライン2の
2つの導入ラインを有している。導入ライン1における
圧空バルブ3が開で圧空バルブ4が閉の時には、原料ガ
スが反応室に導入され、逆に圧空バルブ3が閉で圧空バ
ルブ4が開の時には、原料ガスは、直接排気ポンプ5に
より排気される。圧空バルブ3、4の開閉をタイマーに
より制御することにより、一定時間、原料ガスおよび水
素ガス、または水素ガスのみを反応室に導入できる。
【0015】このようなRF−PCVD装置において、
反応室内のアノード電極6とカソード電極7との間に高
周波電源8によって電力を印加すると、原料ガスが反応
室内に導入されている時間に、原料ガスはプラズマ9に
よって分解されて基板10上に成膜され、水素ガスのみ
が反応室に導入されている時間に、形成された膜が水素
プラズマ処理される。この2つの工程を繰り返すことに
より所望の膜厚のμc−SiC膜を形成する。
反応室内のアノード電極6とカソード電極7との間に高
周波電源8によって電力を印加すると、原料ガスが反応
室内に導入されている時間に、原料ガスはプラズマ9に
よって分解されて基板10上に成膜され、水素ガスのみ
が反応室に導入されている時間に、形成された膜が水素
プラズマ処理される。この2つの工程を繰り返すことに
より所望の膜厚のμc−SiC膜を形成する。
【0016】本実施例においては原料ガスとして、モノ
シランSiH4およびメタンCH4を用い、流量はそれぞ
れ1sccm、1sccmとし、水素プラズマ処理にお
ける水素H2は流量100sccmで用いた。また、上
記成膜−水素プラズマ処理1回当りのμc−SiC膜の
成長膜厚は10〜50オングストロームとした。これを
繰り返すことによりμc−SiC膜の膜厚を約300オ
ングストロームとした。さらに、本実施例においてはド
ーピングガスとしてジボランB2H6を1%のガスドーピ
ング比で用い、p型のμc−SiC膜を形成したが、他
にドーピングガスとしてホスフィンPH3を用いればn
型の、ドーピングガスを用いなければi型のμc−Si
C膜を形成することができる。なお、形成された膜は組
成分析、ラマン分光法およびX線回析により、微結晶を
含むシリコーンカーボン膜であることが確認された。
シランSiH4およびメタンCH4を用い、流量はそれぞ
れ1sccm、1sccmとし、水素プラズマ処理にお
ける水素H2は流量100sccmで用いた。また、上
記成膜−水素プラズマ処理1回当りのμc−SiC膜の
成長膜厚は10〜50オングストロームとした。これを
繰り返すことによりμc−SiC膜の膜厚を約300オ
ングストロームとした。さらに、本実施例においてはド
ーピングガスとしてジボランB2H6を1%のガスドーピ
ング比で用い、p型のμc−SiC膜を形成したが、他
にドーピングガスとしてホスフィンPH3を用いればn
型の、ドーピングガスを用いなければi型のμc−Si
C膜を形成することができる。なお、形成された膜は組
成分析、ラマン分光法およびX線回析により、微結晶を
含むシリコーンカーボン膜であることが確認された。
【0017】ところで、水素プラズマ処理を行う時間
は、図3に示すように、処理時間に対するμc−SiC
膜の暗導電率を測定することにより求めた。すなわち、
40秒間のプラズマ放電により10オングストロームの
μc−SiC膜を得た後、図3に示す種々の時間の水素
プラズマ処理を200回行って2000オングストロー
ムとした膜の暗導電率を測定した。図3において横軸は
水素プラズマ時間であり、縦軸はμc−SiC膜の暗導
電率である。それによると、μc−SiC膜の暗導電率
は水素プラズマ処理時間が50秒程度で約7桁急激に向
上し、この程度の水素プラズマ処理でμc−SiC膜が
微結晶化することがわかる。μc−SiC膜が非常に薄
い膜であれば、この水素プラズマ処理によって、結晶格
子が大きく変化する。よって、本実施例においては、水
素プラズマ処理時間を50秒程度とした。
は、図3に示すように、処理時間に対するμc−SiC
膜の暗導電率を測定することにより求めた。すなわち、
40秒間のプラズマ放電により10オングストロームの
μc−SiC膜を得た後、図3に示す種々の時間の水素
プラズマ処理を200回行って2000オングストロー
ムとした膜の暗導電率を測定した。図3において横軸は
水素プラズマ時間であり、縦軸はμc−SiC膜の暗導
電率である。それによると、μc−SiC膜の暗導電率
は水素プラズマ処理時間が50秒程度で約7桁急激に向
上し、この程度の水素プラズマ処理でμc−SiC膜が
微結晶化することがわかる。μc−SiC膜が非常に薄
い膜であれば、この水素プラズマ処理によって、結晶格
子が大きく変化する。よって、本実施例においては、水
素プラズマ処理時間を50秒程度とした。
【0018】このようなμc−SiC膜を半導体薄膜1
5とするTFTを用いた液晶表示パネルは、以下のよう
にして製造した。
5とするTFTを用いた液晶表示パネルは、以下のよう
にして製造した。
【0019】まず、ガラス基板11の上に、スパッタリ
ングによりタンタルTa薄膜を形成し、その後、フォト
リソグラフィとエッチングとを行うパターニングによっ
てTaからなるゲート電極12を形成する。その後、ガ
ラス基板11を酒石酸アンモニウム溶液中に浸し、外部
より電流を流して陽極酸化することにより、ゲート電極
12上にTa2O5からなる絶縁膜13を約300nmの
厚さに形成する。
ングによりタンタルTa薄膜を形成し、その後、フォト
リソグラフィとエッチングとを行うパターニングによっ
てTaからなるゲート電極12を形成する。その後、ガ
ラス基板11を酒石酸アンモニウム溶液中に浸し、外部
より電流を流して陽極酸化することにより、ゲート電極
12上にTa2O5からなる絶縁膜13を約300nmの
厚さに形成する。
【0020】次いで、窒化シリコンSi3N4からなる絶
縁膜14、μc−SiC膜からなる半導体薄膜15およ
びSi3N4からなるエッチングストッパー16の3層
を、図4に示すインライン式CVD装置を用いて、以下
の方法に従って形成する。
縁膜14、μc−SiC膜からなる半導体薄膜15およ
びSi3N4からなるエッチングストッパー16の3層
を、図4に示すインライン式CVD装置を用いて、以下
の方法に従って形成する。
【0021】まず、ロード室22より上述の状態のガラ
ス基板11を搬入した後、Si3N4成膜室23におい
て、モノシランSiH4、アンモニアNH3および水素H
2を導入してプラズマ放電により窒化シリコンSi3N4
からなる絶縁膜14を約300nmの厚さに形成する。
次いで、μc−SiC成膜室24において上述の方法に
よりμc−SiC膜からなる半導体薄膜15を約300
オングストロームの厚さで形成し、Si3N4成膜室25
において、モノシランSiH4、アンモニアNH3および
水素H2を導入してプラズマ放電によりSi3N4からな
るエッチングストッパー16を300nmの厚さに形成
する。以上の操作を行った後、ガラス基板11をアンロ
ード室26より搬出する。
ス基板11を搬入した後、Si3N4成膜室23におい
て、モノシランSiH4、アンモニアNH3および水素H
2を導入してプラズマ放電により窒化シリコンSi3N4
からなる絶縁膜14を約300nmの厚さに形成する。
次いで、μc−SiC成膜室24において上述の方法に
よりμc−SiC膜からなる半導体薄膜15を約300
オングストロームの厚さで形成し、Si3N4成膜室25
において、モノシランSiH4、アンモニアNH3および
水素H2を導入してプラズマ放電によりSi3N4からな
るエッチングストッパー16を300nmの厚さに形成
する。以上の操作を行った後、ガラス基板11をアンロ
ード室26より搬出する。
【0022】次に、エッチングストッパー16をパター
ニングし、n+型a−Si膜からなる半導体薄膜17を
形成すると共にパターニングを行う。そして、スパッタ
リング法によりチタンTiからなるソース電極18とド
レイン電極19とを約300nmの厚さに形成する。こ
の時、μc−SiC膜からなる半導体薄膜15によって
形成されるチャネルは長さ10μm、幅40μmとし
た。
ニングし、n+型a−Si膜からなる半導体薄膜17を
形成すると共にパターニングを行う。そして、スパッタ
リング法によりチタンTiからなるソース電極18とド
レイン電極19とを約300nmの厚さに形成する。こ
の時、μc−SiC膜からなる半導体薄膜15によって
形成されるチャネルは長さ10μm、幅40μmとし
た。
【0023】これにより、本実施例のTFTが得られる
が、その後、酸化雰囲気下で錫Snを5%含む酸化イン
ジウム(ITO)のターゲットを用いてスパッタリング
を行い、絵素電極20を約70nmの厚さで形成する。
次いで、Si3N4からなる保護膜21を形成する。この
状態でゲート電極に10Vの電圧を印加すると、オン電
流は2×10-6A以上となり、これは半導体薄膜として
a−Si膜を用いた場合の約2倍の値であった。また、
通常の蛍光灯下のオフ電流は10-12A以下となり、こ
れは半導体薄膜としてa−Si膜を用いた場合の10分
の1以下の値であった。
が、その後、酸化雰囲気下で錫Snを5%含む酸化イン
ジウム(ITO)のターゲットを用いてスパッタリング
を行い、絵素電極20を約70nmの厚さで形成する。
次いで、Si3N4からなる保護膜21を形成する。この
状態でゲート電極に10Vの電圧を印加すると、オン電
流は2×10-6A以上となり、これは半導体薄膜として
a−Si膜を用いた場合の約2倍の値であった。また、
通常の蛍光灯下のオフ電流は10-12A以下となり、こ
れは半導体薄膜としてa−Si膜を用いた場合の10分
の1以下の値であった。
【0024】さらに、もう1つのガラス基板にカラーフ
ィルターとブラックマトリックスとを形成し、その上に
透明導電膜を形成する。このガラス基板と上述の状態の
TFTが形成されたガラス基板とを間隙を設けて貼り合
わせ、その間隙に液晶を注入し、液晶パネルを作成す
る。この液晶パネルの両側に偏光板を貼り付け、バック
ライトを取り付けて液晶表示装置を得る。
ィルターとブラックマトリックスとを形成し、その上に
透明導電膜を形成する。このガラス基板と上述の状態の
TFTが形成されたガラス基板とを間隙を設けて貼り合
わせ、その間隙に液晶を注入し、液晶パネルを作成す
る。この液晶パネルの両側に偏光板を貼り付け、バック
ライトを取り付けて液晶表示装置を得る。
【0025】この液晶表示装置においては、ブラックマ
トリックスの面積を小さくでき、開口率も従来の30%
から33%に向上した。また、移動度の向上により、上
述のようにオン電流が約2倍に向上したので、従来は困
難であった16インチの1280×3×1024の絵素
を有するエンジニアリングワークステーション用の液晶
表示装置が作成できるようになった。
トリックスの面積を小さくでき、開口率も従来の30%
から33%に向上した。また、移動度の向上により、上
述のようにオン電流が約2倍に向上したので、従来は困
難であった16インチの1280×3×1024の絵素
を有するエンジニアリングワークステーション用の液晶
表示装置が作成できるようになった。
【0026】なお、本実施例では、半導体薄膜15とし
てはp型のμc−SiC膜を用いたが、i型およびn型
のμc−SiC膜を本発明のTFTに適用することも可
能である。また本発明のμc−SiC膜は、通常使用さ
れるRF−PCVD装置を用い、基板に通常のガラスを
も使用し得る温度において形成することができるので、
コスト面および作業性において有利であり、TFTの大
面積化も可能となる。
てはp型のμc−SiC膜を用いたが、i型およびn型
のμc−SiC膜を本発明のTFTに適用することも可
能である。また本発明のμc−SiC膜は、通常使用さ
れるRF−PCVD装置を用い、基板に通常のガラスを
も使用し得る温度において形成することができるので、
コスト面および作業性において有利であり、TFTの大
面積化も可能となる。
【0027】
【発明の効果】本発明の薄膜トランジスタは、光を吸収
し難くかつ移動度の高い半導体薄膜を有するので、オフ
電流をより低くし、オン電流をより高くすることができ
る。この薄膜トランジスタを液晶表示装置に用いた場合
には、ブラックマトリックスの面積を小さくすることが
でき、開口率が向上する。また、従来は困難であった大
型高精細液晶表示装置にも適用が可能となる。
し難くかつ移動度の高い半導体薄膜を有するので、オフ
電流をより低くし、オン電流をより高くすることができ
る。この薄膜トランジスタを液晶表示装置に用いた場合
には、ブラックマトリックスの面積を小さくすることが
でき、開口率が向上する。また、従来は困難であった大
型高精細液晶表示装置にも適用が可能となる。
【図1】本発明の実施例に係る薄膜トランジスタを用い
た液晶表示装置の略断面図である。
た液晶表示装置の略断面図である。
【図2】本発明の実施例に係るRF−PCVD装置の略
断面図である。
断面図である。
【図3】本発明の実施例にかかるインライン式CVD装
置の概略図である。
置の概略図である。
【図4】μc−SiC膜の水素プラズマ処理時間に対す
る暗導電率の変化を示す特性図である。
る暗導電率の変化を示す特性図である。
11 ガラス基板 12 ゲート電極 13、14 絶縁膜 15 p型のμc−SiC膜からなる半導体薄膜 16 エッチングストッパー 17 n+型a−Si膜からなる半導体薄膜 18 ソース電極 19 ドレイン電極 20 絵素電極 21 保護膜
Claims (1)
- 【請求項1】 絶縁膜を挟んで一方にゲート電極が形成
され、他方に半導体薄膜、ソース電極およびドレイン電
極が形成された薄膜トランジスタであって、 該半導体薄膜は、プラズマ化学蒸気成膜装置の反応室に
導入したシリコンおよび炭素を含む原料ガスをプラズマ
分解させてシリコンカーバイド半導体膜を成膜する成膜
工程と、該反応室から原料ガスを除去し、水素ガスのみ
のプラズマとして該半導体膜に処理を施す水素プラズマ
処理工程とを1回または2回以上行うことにより形成さ
れた微結晶相を含むシリコンカーバイドからなる薄膜ト
ランジスタ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25324892A JPH06104283A (ja) | 1992-09-22 | 1992-09-22 | 薄膜トランジスタ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25324892A JPH06104283A (ja) | 1992-09-22 | 1992-09-22 | 薄膜トランジスタ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06104283A true JPH06104283A (ja) | 1994-04-15 |
Family
ID=17248629
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP25324892A Withdrawn JPH06104283A (ja) | 1992-09-22 | 1992-09-22 | 薄膜トランジスタ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06104283A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8183102B2 (en) | 2007-10-05 | 2012-05-22 | Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. | Semiconductor device and manufacturing method thereof |
-
1992
- 1992-09-22 JP JP25324892A patent/JPH06104283A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8183102B2 (en) | 2007-10-05 | 2012-05-22 | Semiconductor Energy Laboratory Co., Ltd. | Semiconductor device and manufacturing method thereof |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 19991130 |