JPH06104154B2 - 工業用縫製ミシンにおける加工生地押え装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は主として被服のカラー、カフス或いはポケット
のフラップその他の定形縫製部品の輪郭を縫合する工業
用自動ミシンおける加工生地の押え装置に関する。

（従来の技術） 工業用縫製ミシンにおいて固定台板に平展した加工生地
を押え板で抑圧して、これを台板上の所定位置において
上下動するミシン針による縫製作動位置に対し、所定の
待機位置から自動ミシンにおけるxy軸方向への自動制御
手段で前後左右に移動させて該定形縫製品の輪郭部を結
合した後、待機位置に自動復帰させて、次の縫製加工に
備えるようにし、これを繰り返えして連続縫製を行うこ
とはすでに実施され、又上記縫製手段の自動化と別個の
課題として、押え板を複数に分割し左右長さを調節し得
るようにし、その調整手段を安易にしたものも例えば特
開昭53-89542号公報により開示されている。

（発明が解決しようとする課題） 上記自動ミシンおよび従来一般的に使用されているミシ
ンにおける定形用の生地押え板は、縫製品の寸法が異な
った場合は、その都度該縫製品の寸法に適した押え板と
交換するを要し、その着脱に手数を要するため労力と時
間に無駄が多く作動効率の低下原因となる。

又、上記特開昭53-89542号公報に記載のものは、固定板
と可動板との２個に分割し、可動板を固定板に対し移動
させることにより押え板全体としての左右方向の長さを
伸縮させる点で、特に交換することなく異なる寸法の定
形製品に対処させ得ることは解決されるが、該可動板は
多数の係合小孔を利用して段階的に移動調整するもの
で、その操作手段はサラネジを単に緩めることで可動状
態とし、又、サラネジを締めつけることにより伸縮状態
を安定させることを特徴としているが、この場合サラネ
ジを緩め又は緩める動作時の手段は不明であるが、上記
の操作が手動以外に他の自動的な手段は全く考えられ
ず、且つその長さ調整も段階的のため手動による微調整
は困難で、押え板の交換動作と同様に労力と時間の無駄
による作動能率の低下は免れない。

（課題を解決するための手段） 本発明は上記従来の手動手段による押え板の幅の調整を
自動ミシンの縫製作業用の自動制御手段を利用して自動
化し、寸法の異なる縫製品の多様に対処させることを目
的とし、押え板を左右２個に分割し、その一方の分割板
は上記自動ミシンにおける自動制御機構に結着し、他方
の分割板は該結着した分割板と分離可能に設け、常態で
は両分割板を一体に結合し上記待機位置では該結合を解
く第１係止手段と、常態では解放され上記待機位置にお
いて分離した分割板を係止し得る第２係止手段を設け
て、該分割した分割板に対し他方の分割板を前記自動制
御手段により設定量移動させて両分割板による押え板の
長さを自動調整させることを特徴とし、更に上記押え板
を構成する左右２個の分割板を夫々枠状に形成すると共
に、各その内側に位置させて両枠状分割板と関係なく台
板面に対し接離させ得る副板を設けたことを特徴とす
る。

（作用） 本発明において第１係止手段で一体に結合された２個の
分割板から成る押え板は、その一方を自動ミシンの自動
制御機構に結着したので、ミシンの固定台板上における
所定の待機位置で該押え板の上下動により抑圧した加工
生地を伴って縫製作動に対し上記自動制動機構により移
動して縫製作動を行い、所定の縫合を終った後は、再び
待機位置に復帰し、該位置で加工生地を交換して次の縫
製を繰返えすが、縫製品の寸法が変ったとき初期入力で
設定したデータ中から適正のものを選択すれば、待機位
置において第１係止手段の係止作動が解かれて２個の分
割板は分離すると共に第２係止手段によって分離した分
割板は不動に係止されるから該係止された分割板に対
し、他方の分割板が前記の選択データに基く自動制御手
段によって所定量移動して両分割板による押え板の長さ
は自動的に調整し、次いで第１、第２係止手段を夫々復
元させて両分割板を一体に結合した状態として新データ
による縫製を行はせるようにした。

（実施例） 本発明の実施例として左右２個に分割した押え板（１）
の各分割板（1a）（1b）を夫々枠状に形成し、その内側
に夫々副板（5a）（5b）を付設した場合について説明す
る。

両分割板（1a）（1b）は互いに夫々の下縁に設けた溝孔
（1c）と突片（1d）とで一連に組合せて押え板（１）を
形成し、該連続部において両分割板（1a）（1b）が上下
に屈折することなく平坦状を保持するよう夫々に止片
（1e）を取付けた。

上記押え板（１）における一方の分割板（1a）は、自動
ミシンにおけるxy軸方向の自動制御機構により台板ａ上
において前後左右に移動する復動部材ｅに固着した左右
方向に長い移動バー（２）に対して、該バー（２）に固
着した支持板（６）に結着し、他方の分割板（1b）は移
動バー（２）に対しその長さ方向即ち左右方向に可動的
に取付けた支持板（７）に結着した。

更に支持板（７）と移動バー（２）とは支持板（７）側
に設けた第１係止手段（３）を介して一体に結合又は分
離できるようにし、これにより両分割板（1a）（1b）は
第１係止手段（２）により一体に結合又は分離状態に切
換え得るようにした。

両分割板（1a）（1b）は夫々蝶着金具（８）により支持
板（６）（７）に取付けて台板ａ面に対し起伏させるよ
うにして、台板ａ上に平展した加工生地ｂを抑圧し、又
交換できるようにしたが、両分割板（1a）（1b）を夫々
上下動機構により台板ａに対して接離させてもよい。

尚、図示例において各支持板（６）（７）に蝶着した分
割板（1a）（1b）は、夫々エアシリンダ装置（10）によ
って同時に起伏作動させて台板ａ面に接離させるように
した。

又移動バー（２）に対する可動支持板（７）の取付け機
構（９）は、第３図で示すように蟻形の凹凸係合或いは
長孔とこれに嵌入係合するピンによる等の他任意の手段
を採用し得る。

上記第１係止手段（３）は可動支持板（７）に設けら
れ、エアソレノイド（11）で作動する上下１対のブレー
キ材（3a）で構成し、該ブレーキ片（3a）で移動バー
（２）を挟圧又は離反させることにより移動（２）と可
動支持板（７）とを結合又は分離させ、これにより両分
割板（1a）（1b）の結合と分離作動を行はせる。

更に該分離可能の分割板（1b）は待機位置において第２
係止手段（４）によって不動に係止するようにし、該第
２係止手段（４）は分割板（1b）を結着した支持板
（７）に設けた係止孔（4a）と、固定機枠例えば台板ａ
に装備したエアソレノイド（12）で該係止孔（4a）に嵌
脱する突ピン（4b）とで構成し常態では解放状態とし
た。

尚、該第２係止手段（４）の解放時には前記第１係止手
段（３）は係止状態となり、又第２係止手段（４）が係
止作動のときは第１係止手段（３）を解放するように互
いに連動させることが望ましい。次に副板（5a）（5b）
は夫々Ｌ形に形成した枠状分割板（1a）（1b）の内側に
位置して夫々支持板（６）（７）に蝶番金属（14）で起
伏自在に取付け、各枠状分割板と別個に例えばエアシリ
ンダ装置（15）に連動する両副板間に亘る長さの作動杆
（16）に各副板の突片（17）（17）を挿嵌して作動杆
（16）の前後動によって両副板（5a）（5b）を同時に起
伏させるが、この場合少くとも突片（17）（17）の１個
は作動杆（16）に対し遊嵌して前記した押え板（１）の
伸縮作動を円滑にするが、起伏作動を上下作動とする等
その手段は任意であり、各副板（5a）（5b）には夫々弾
性爪片（８）を設けて生地ｂを定位置に止着するに使用
し、又台板ａ上には待機位置に位置決め用定規片（19）
を設けて生地ｂの平展位置を正確にした。

尚、両副板（5a）（5b）は透明樹脂板を材料として表面
から抑圧した生地ｂを透視できるようにすると便利であ
る。

次に上記のように分割板（1a）（1b）と副板（5a）（5
b）から成る生地押え板（１）を結着した移動バー
（２）は自動ミシンの自動制御手段によってxy軸方向に
移動自在の被動部材ｅに結着して所定のデータに従って
縫製作動を行うが、該被動部材ｅは第４図で示すよう
に、パルスモータｆを駆動源としてｘ軸方向に回送する
無端ベルトｇに結着した溝片ｉのｙ軸方向の溝ｊに沿っ
て摺動できるように嵌着すると共に、別のパルスモータ
ｋを駆動源としてｙ軸方向に進退するｘ軸方向に長い作
動バーｌに沿って設けた案内杆ｍに支片ｎで摺動自在に
挿嵌して、パルスモータｆの入力信号による無端ベルト
ｇの回動量に伴なって溝片ｉと共にｘ軸方向に移動し、
又パルスモータｋの入力信号による移動バーｌの進退量
によってｙ軸方向に移動させるようにし、該被移動部材
ｅに結着した移動バー（２）を台板ａ上で所定のデータ
で左右前後に又はその合成作動によって斜め方向に移動
させて該移動バー（２）と共に加工生地ａを抑圧した押
え板（１）を駆使するようにした。

以上の構成から成る本発明の実施例装置を有する自動ミ
シンのブロック図は第５図で、又そのフローチャートは
第６図に示される。

本装置において縫製作業の運針データは予じめRAMに記
録され、縫製作動はスタートペタルによるスイッチON
で、台板ａ上の待機位置において押え板（１）で抑圧し
た加工生地ｂを上下動するミシン針ｃによる縫製作動位
置の始端ｄに移動させることから始まり、RAM内に記憶
され、ROM内のシーケンスに従ってミシンモータおよび
ｘ・ｙ軸の各パルスモータを駆動して所定の縫製を行な
った後、待機位置に復帰し、押えペタルによる押え板
（１）の上下で加工生地ｂを交換し、再びスタートペタ
ルによるスイッチONで同じ条件（寸法）での縫製を続け
る。製品の寸法変動時に際し、待機位置で例えば選択釦
等により新規の運針データをRAMに読込んだ直後に、第
１図のスタートペタルを押せば押え板（１）は後述の第
７図に示す寸法調整作動のように２個の分割板（1a）
（1b）を自動ミシンにおける自動制御手段によって最大
限に開き、これを原点ｓセンサーで検知した後新しく選
択した寸法データ位置に復動させて両分割板（1a）（1
b）を結合した後、押えペタルにより加工生地ｂを押え
て待機状態とし従ってこの状態で第２図のスタートペタ
ルを押せば新規のデータによる縫製を続行し得る。

尚、新規データの読込みによる押え板（１）の長さ寸法
の自動調整は、第７図Ａで示すように、前回の縫製を終
って待機位置に復帰停止した押え板（１）の両分割板
（1a）（1b）を係合する第１係止手段（３）を解放して
両分割板（1a）（1b）を分離すると共に、同図Ｂで示す
ように左側の分割板（1b）を第２係止手段（４）により
不動に係止し、次いで同図Ｃで示すように右側の分割板
（1a）を自動制御手段により最大の開き位置まで移動さ
せて、これを原点センサーｓで検出したとき同図Ｄで示
すように選択した読込みデータ量に応じて元方向に復動
停止させることにより前記Ａ図示における両分割板（1
a）（1b）による押え板（１）の長さl₁を同図Ｂで示す
調整長さl₂に変え、この状態で再び第１係止手段（３）
により両分割板（1a）（1b）を一体に結合した後、押え
ペタルの上下により押え板（１）で加工生地ｂを押えて
スタートペタルによる駆動動作で待機位置から縫製作動
位置の始点ｄに向い移動させて前述したように縫製を行
うものである。

尚、両分割板（1a）（1b）を枠状として、各その内側に
位置して副板（5a）（5b）を設けて押え板（１）を構成
したものでは、第２図で示すように台板ａ上に先ず生地
を裏返えしに平展して両副板（5a）（5b）で押え、次い
で該両副板（5a）（5b）の上面を覆って裏生地を裏返え
しに平展して表生地と裏生地を重ねた後、左右の枠状分
割板（1a）（1b）で表裏生地の周縁を抑圧した状態で台
板ａ上を移動させて輪郭部を縫合するもので、この場合
副板（5a）（5b）上に重ねた裏生地の余裕により縫合後
両生地を反転させて製品とするとき折返えしによる生地
の引きつりをなくし優良な縫合製品を得られる。

（発明の効果） 本発明によるときは自動ミシンのxy軸方向の自動制御手
段により台板上の待機位置から縫製作動位置に対し加工
生地を抑圧移動させることにより縫製を行ない、所定の
縫製を終った後、待機位置に復帰させるようにした加工
生地の押え板を左右２個の分割板に分割し、その一方の
分割板を他方分割板と一体に結合又は分離させる第１係
止手段と、該分割板を待機位置において不動に保持し得
る第２係止手段を設けたので、製品の大小による寸法の
変動したとき待機位置において新規データを記憶させて
第１係止手段の解放により両分割板を分離状態とし、か
つ第２係止手段により一方の分割板を不動として新規デ
ータに応じて自動ミシンのxy軸方向の自動制御手段によ
り他方の分割板を移動調整して自動的に且つ正確に所定
寸法に結合させることができ直ちに次の製品の縫製作業
に対応させることができて、従来のように生地押えを交
換し、又は分割形式の押え板を手動によって調整するも
のに比し遥かに作業効率を高め労力と時間を節減し得て
自動制御による縫製作業を更に有利にし又、必要により
副板を併用することにより縫製加工を便利にした等の効
果を有する。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示し、第１図は加工生地押え板
の斜視図、第２図と第３図は夫々第１図におけるII-II
線とIII-III線の各截断側面図、第４図は使用状態の平
面図、第５図は実施例手段のブロック図、第６図は同フ
ローチャート、第７図は押え板の寸法自動調整作動を示
す線図である。 （１）……押え板、（1a）（1b）……分割板 （３）……第１係止手段、（４）……第２係止手段 ａ……台板、ｂ……加工生地

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】自動ミシンの固定台板上においてミシン針
   による縫製作動位置に対し、待機位置で加工生地を押え
   た押え板を該生地と共に自動ミシンにおけるxy軸方向へ
   の自動制御手段により左右前後に移動させて所定の縫製
   を終った後、待機位置に復帰させるようにしたものにお
   いて、該押え板を左右２個に分割し、その一方の分割板
   は上記自動ミシンにおける自動制御機構に結着し、他方
   の分割板は該結着した分割板と分離可能に設け、常態で
   は両分割板を一体に結合し上記待機位置では該結合を解
   放し得る第１係止手段と、常態では解放され待機位置で
   分離した分割板を係止し得る第２係止手段を設けて、該
   分離した分割板に対し他方の分割板を前記自動制御手段
   により設定量移動させて両分割板による押え板の長さを
   自動調整させることを特徴とする工業用縫製ミシンにお
   ける加工生地押え装置。
2. 【請求項２】押え板を構成する左右２個の分割板を夫々
   枠状に形成すると共に、各その内側に位置させて両枠状
   分割板に関係なく台板面に接離させ得る副板を設けたこ
   とを特徴とする特許請求の範囲第１項記載の工業用縫製
   ミシンにおける加工生地押え装置。