JPH06102645B2 - オキシム誘導体とその製法 - Google Patents

オキシム誘導体とその製法

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JPH06102645B2
JPH06102645B2 JP19342484A JP19342484A JPH06102645B2 JP H06102645 B2 JPH06102645 B2 JP H06102645B2 JP 19342484 A JP19342484 A JP 19342484A JP 19342484 A JP19342484 A JP 19342484A JP H06102645 B2 JPH06102645 B2 JP H06102645B2
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  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はオキシム誘導体とその製法、特に式: [式中、Rは水素原子または炭素数1〜3の低級アルキ
ル基を示し、R′およびR″はそれぞれ水素、炭素数1
〜18のアルキル基、炭素数2〜4のアルカノイルで置換
された炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜5のアル
ケニル基、炭素数7〜8のアルアルキル基、フェニル
基、置換フェニル基、もしくはR′とR″がつながった
炭素数1〜18のアルキレン鎖を示し、置換フェニル基の
置換基はメチル基、ハロゲン原子またはニトロ基を示
す。]で表わされる新規なオキシム誘導体とその製造方
法に関する。
[従来技術] イソシアネート基を有する化合物は、その優れた反応性
の故に、高分子化学の領域で広く用いられている。特に
重合性の炭素−炭素不飽和基とイソシアネート基の両者
を同一分子内に有する化合物は、それら両官能基がそれ
ぞれ異なる反応機構で種々の反応に参与するため、広汎
な工業技術分野で使用することが出来る。このような有
用性に着目し、本発明者らは先に次式で表わされるイソ
シアネート化合物を提供した。
[式中、Rは前記と同意義。]。
上記イソシアネート化合物(II)は、一般に常温で安定
な液体であって、取り扱いが容易である一方、その分子
中に重合性の炭素−炭素不飽和基とイソシアネート基を
有するのみならず、これら両官能基間にそれらに隣接し
てカルボニル基が存在するため、炭素−炭素不飽和基の
活性が高められていると共にイソシアネート基の活性も
高められており、かつ多様な付加反応を営みうる状態に
ある。すなわち、イソシアネート化合物(II)は次式の
A部分(共役二重結合)とB部分(アシルイソシアネー
ト基)のそれぞれに基づく種々の反応たとえばラジカル
重合、アニオン重合、二量化、三量化、極性付加、活性
水素付加などを営むことが出来る: 従って、イソシアネート化合物(II)は工業用製造原料
として広汎な用途が期待されるものである。
[発明の目的] 本発明は、上記のようなイソシアネート化合物(II)の
一つの用途を開発する目的で行なわれたものである。
[発明の構成] 本発明の要旨は、式(I)で表わされるオキシム誘導体
および式(II)で表わされるイソシアネート化合物と 式: で表わされるオキシム化合物を反応させて式(I)で表
わされるオキシム誘導体を得ることを特徴とするオキシ
ム誘導体の製法ならびに式(II)で表わされるイソシア
ネート化合物から成るオキシム化合物に対する重合性共
役二重結合導入試剤に存する。
前記したように、イソシアネート化合物(II)は種々の
反応を営む可能性を有するものであるから、これにオキ
シム化合物(III)を作用させた場合、所望のイソシア
ネート化合物(II)のイソシアネート基とオキシム化合
物(III)のヒドロキシル基の間の付加反応に加えおよ
び/または代わり、イソシアネート化合物(II)自体の
二量化、三量化、多量化(重合)などや、オキシム化合
物(III)のヒドロキシル基のイソシアネート化合物(I
I)の二重結合に対するマイケル付加、生成したオキシ
ム誘導体(I)の重合、生成したオキシム誘導体(I)
のアミド態NH基とイソシアネート化合物(II)の反応な
ど種々の副反応の進行が予測されたのであるが、現実に
は少なくとも100℃を超えない温度範囲においては上記
所望反応が優先的に進行することが確認された。特に室
温(0〜30℃)を越えない比較的低温下では、所望の反
応のみが定量的に進行し、予測された種々の副反応は実
質的完全に回避することが出来る。
本発明によれば、オキシム誘導体(I)はイソシアネー
ト化合物(II)とオキシム化合物(III)を反応させる
ことによってこれを製造することが出来る。
オキシム化合物(III)は、アルデヒドオキシムやケト
ンオキシムの広い範囲から選択することが出来、その具
体例としては、アルカンアルデヒドオキシム、アルケン
アルデヒドオキシム、アルアルカンアルデヒドオキシ
ム、フェニルアルデヒドオキシム、ジアルキルケトンオ
キシム、ジアルケニルケトンオキシム、アルキルアルケ
ニルケトンオキシム、フェニルアルキルケトンオキシム
などが挙げられる。すなわち、オキシム化合物(III)
のR′およびR″で示される基は、カルボニル化合物か
らカルボニル態酸素原子を除外した基であってよく、そ
れぞれ水素原子、炭素数1〜18のアルキル基(たとえば
メチル、エチル、プロピル、ステアリル)、炭素数2〜
4のアルカノイル基で置換された炭素数1〜18のアルキ
ル基(例えば、アセトニル)、炭素数3〜5のアルケニ
ル基(たとえば、アリル、ペンテニル)炭素数7〜8の
アルアルキル基(たとえばベンジル、フェネチル)、置
換または非置換フェニル基(たとえばフェニル、トリ
ル、キシリル、クロロフェニル、ブロモフェニル、ニト
ロフェニル)などが例示される。また、R′とR″は共
同で炭素数1〜18のアルキレン鎖(テトラメチレン、ペ
ンタメチレン)を形成することもある。
反応は必ずしも格別の溶媒が存在する必要はないが、通
常は不活性溶媒の存在下に実施するのが好ましい。不活
性溶媒としては反応に悪影響を及ぼさない限り特に制限
はなく、種々のものを使用することが出来、たとえば、
ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素、
ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、
シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリンなど
の脂環式炭化水素、石油エーテル、石油ベンジンなどの
炭化水素系溶媒、四塩化炭素、クロロホルム、1,2−ジ
クロロエタンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒、エチル
エーテル、イソプピルエーテル、アニソール、ジオキサ
ン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、アセト
ン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シ
クロヘキサノン、アセトフェノン、イソホロンなどのケ
トン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、ア
セトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホ
キシドなどから適宜に選択すればよい。これらは単独ま
たは混合物のいずれで使用されてもよい。
反応は一般に−20〜100℃で行うことが好ましいが、室
温(0〜30℃)付近から氷冷下で行なうのが特に有利で
ある。100℃以上の個高温では副反応を起こす可能性が
あり、他方余り低温になると反応速度が小となって不利
である。反応に際し、スズ系の触媒の使用が考慮されて
もよいが、通常は触媒使用の必要性を認めない。
[作用と効果] 以上の説明からも明らかなように、イソシアネート化合
物(II)は極めて容易にオキシム化合物(III)と反応
して、後者のヒドロキシル基に重合性共役二重結合を有
する基、すなわち、アルキルアクリロイルカルバモイル
基が導入される。その結果、前記オキシム化合物(II
I)は該共役二重結合に由来した重合性を付与されるこ
とになる。たとえばアゾビスイソブチロニトリルの如き
ラジカル重合触媒の存在下、容易に重合を行なわしめる
ことが可能である。従って、イソシアネート化合物(I
I)はオキシム化合物(III)に対する重合性共役二重結
合導入試剤ないし重合性付与試剤として有用なものであ
る。
他方、本発明によって得られたオキシム誘導体(I)
は、一般に常温で安定であるから取り扱い易い利点があ
る。また、殆どの有機溶媒に溶解性を示すから、溶液の
形で使用することも出来る。前記の如く、オキシム誘導
体(I)はその分子内に存在する共役二重結合により単
独重合反応や共重合反応を行なうことが可能であり、得
られたホモポリマーやコポリマーは塗料、接着剤、プラ
スチック、エラストマーなどに利用される。また、アシ
ルウレタン結合が存在するので分子間凝集力や分子間水
素結合形成能が高く、その結果製造されたポリマーは優
れた物性(強靱性、接着性、分散性など)を有する。こ
のようにオキシム誘導体(I)はそれ自体工業用製造原
料として有用なものである。
なお、オキシム化合物(III)にヒドロキシル基が複数
個存在する場合、通常はそれぞれのヒドロキシル基に対
してイソシアネート化合物(II)が反応する。従って、
オキシム化合物(III)1モルに対しそのヒドロキシ基
の数に対応したモル数またはそれ以上のイソシアネート
化合物(II)を使用すれば、オキシム化合物(III)の
すべてのヒドロキシル基にイソシアネート化合物(II)
が反応したオキシム誘導体(I)が得られる。このよう
な成績体を含め、少なくとも1個のヒドロキシル基がイ
ソシアネート化合物(II)と反応している限り、得られ
た成績体は本発明の目的化合物たるオキシム誘導体
(I)の範ちゅうに属するものと理解されなければなら
ない。
本発明方法における原料物質たるイソシアネート化合物
(II)は、Rが低級アルキル基である場合には、α−ア
ルキルアクリルアミドとオキザリルハライドの反応によ
って製造することが出来る[特願昭58-225226号]。反
応は、通常、ハロゲン化炭化水素のような不活性溶媒の
存在下、−50〜150℃の温度で行なわれる。なお、末端
二重結合の不必要な重合を避けるために、反応系に重合
禁止剤を存在せしめてもよい。重合禁止剤の具体例とし
てはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、2,6−
ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、4−t−ブチ
ルカテコール、ビスジヒドロキシベンジルベンゼン、2,
2′−メチレンビス(6−t−ブチル−3−メチルフェ
ノール)、4,4′−ブチリデンビス(6−t−ブチル−
3−メチルフェノール)、4,4′−チオビス(6−t−
ブチル−3−メチルフェノール)、p−ニトロソフェノ
ール、ジイソプロピルキサントゲンスルフィド、N−ニ
トロソフェニルヒドロキシルアミン・アンモニウム塩、
1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル、1,3,5−ト
リフェニルフェルダジル、2,6−ジ−t−ブチル−α−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−オキソ−2,5−シクロヘキ
サジエン−1−イリデン)−p−トリオキシ、2,2,6,6
−テトラメチル−4−ピペリドン−1−オキシル、ジチ
オベンゾイルスルフィド、p,p′−ジトリルトリスルフ
ィド、p,p′−ジトリルテトラスルフィド、ジベンジル
テトラスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド
などが挙げられる。
Rが低級アルキル基であるイソシアネート化合物(II)
は、また、前記α−アルキルアクリルアミドとオキザリ
ルハライドの反応において副生するα−アルキル−β−
クロロプロピオニルイソシアネートを脱塩化水素剤(脱
塩化水素触媒を含む。)と処理することによってもこれ
らを調整することが出来る。たとえば、α−アルキル−
β−クロロプロピオニルイソシアネートを不活性溶媒
(たとえばベンゼン、トルエン、キシレンなど)中トリ
エチルアミン、ピリジン、酸化銅、酸化マグネシウム、
塩化リチウム、塩化アルミニウム、合成ゼオライトなど
のような脱塩化水素剤の存在下に加熱還流すると塩化水
素が離脱してα−アルキルアクリロイルイソシアネー
ト、すなわちRが低級アルキル基であるイソシアネート
化合物(II)が得られる。
なお、上記脱塩化水素反応を経由する方法は、Rが水素
原子であるイソシアネート化合物(II)を製造するのに
そのまま応用することが出来る。すなわち、アクリルア
ミドとオキザリルハライドを反応させるとβ−クロロプ
ロピオニルイソシアネートが得られるので、これを上記
同様脱塩化水素剤と処理すればアクリロイルイソシアネ
ートが得られる。
なお、本発明のオキシム誘導体(I)はこれを熱、光、
触媒などで処理するとオキシム化合物が離脱して容易に
イソシアネート基を与える。また、オキシム誘導体
(I)に存在するメタクリロイル基中の反応性二重結合
について何等かの反応を行ったうえ、これを熱、光、触
媒などで処理した場合もオキシム化合物が離脱し、容易
にイソシアネート基を与える。従って、本発明で対象と
するイソシアネート化合物(II)とオキシム化合物(II
I)との間の反応は、イソシアネート化合物(II)中の
イソシアネート基を保護するために利用することも出来
る。
[実施例] 以下に実施例を挙げ、オキシム誘導体(I)の製造法を
具体的に説明する。
実施例1 2−メタクリロイルカルバモイルオキシイミノブタン メタクリロイルイソシアネート2.22g(20mmol)の1,2−
ジクロロエタン7.7g溶液に、氷冷下、窒素気流中、メチ
ルエチルケトンオキシム1.74g(20mmol)を滴下した。
滴下後、溶媒を減圧下に留去し、2−メタクリロイルカ
ルバモイルオキシイミノブタン3.80g(収率96%)を得
た。この物質は粘度4600cp(東京計器製E形粘度計(EH
型)により25℃で測定)の淡黄色液体である。
実施例2〜7 上記実施例と同様にして得られた他の化合物の具体例を
挙げれば次の通りである。ただし、粘度は東京計器製E
形粘度計(EH型)により25℃(ただし、実施例7の場合
のみ20℃)で測定した。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式: [式中、Rは水素原子または炭素数1〜3の低級アルキ
    ル基を示し、R′およびR″はそれぞれ水素、炭素数1
    〜18のアルキル基、炭素数2〜4のアルカノイル基で置
    換された炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜5のア
    ルケニル基、炭素数7〜8のアルアルキル基、フェニル
    基、置換フェニル基、もしくはR′とR″がつながった
    炭素数1〜18のアルキレン鎖を示し、置換フェニル基の
    置換基はメチル基、ハロゲン原子またはニトロ基を示
    す。] で表されるオキシム誘導体。
  2. 【請求項2】式: [式中、Rは水素原子または炭素数1〜3の低級アルキ
    ル基を示す。] で表されるイソシアネート化合物と 式: [式中、R′およびR″はそれぞれ水素、炭素数1〜18
    のアルキル基、炭素数2〜4のアルカノイル基で置換さ
    れた炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜5のアルケ
    ニル基、炭素数7〜8のアルアルキル基、フェニル基、
    置換フェニル基、もしくはR′とR″がつながった炭素
    数1〜18のアルキレン鎖を示し、置換フェニル基の置換
    基はメチル基、ハロゲン原子またはニトロ基を示す。] で表されるオキシム化合物を反応させて 式: [式中、Rは水素原子または炭素数1〜3の低級アルキ
    ル基を示し、R′およびR″はそれぞれ水素、炭素数1
    〜18のアルキル基、炭素数2〜4のアルカノイル基で置
    換された炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜5のア
    ルケニル基、炭素数7〜8のアルアルキル基、フェニル
    基、置換フェニル基、もしくはR′とR″がつながった
    炭素数1〜18のアルキレン鎖を示し、置換フェニル基の
    置換基はメチル基、ハロゲン原子またはニトロ基を示
    す。] で表されるオキシム誘導体を得ることを特徴とするオキ
    シム誘導体の製法。
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