JPH06101754A - 変速比無限大無段変速機の変速制御装置 - Google Patents

変速比無限大無段変速機の変速制御装置

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JPH06101754A
JPH06101754A JP4249289A JP24928992A JPH06101754A JP H06101754 A JPH06101754 A JP H06101754A JP 4249289 A JP4249289 A JP 4249289A JP 24928992 A JP24928992 A JP 24928992A JP H06101754 A JPH06101754 A JP H06101754A
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continuously variable
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clutch
low
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裕 鈴木
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 無段変速機と遊星歯車機構とを組み合わせた
変速比無限大無段変速機の変速制御装置において、第1
の目的は、無段変速機の故障時に逆方向走行を防止する
こと。第2の目的は、第1の目的に加え、無段変速機の
故障時にエンスト防止および発進を確保すること。 【構成】 第1の構成は、無段変速機bの故障検出時で
あって、少なくともローレジュームクラッチhを締結す
ればユニット出力軸fが逆転するような場合、ローレジ
ューム状態への切り換えを禁止するフェイルセイフ手段
mを設けた。第2の構成は、第1の構成に加え、フェイ
ルセイフ手段mによりローレジュームクラッチhを締結
しての変速が禁止されている場合、ダイレクトクラッチ
iを発進要素として用いる発進制御手段nを設けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、無段変速機と遊星歯車
機構とを組み合わせた変速比無限大無段変速機の変速制
御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、無段変速機と遊星歯車機構とを組
み合わせた変速比無限大無段変速機の変速制御装置とし
ては、例えば、『SAE TECHNICAL PAPER SERIES 910409
』(1991年発行)に記載のものが知られている。
【0003】上記従来出典には、ユニット入力軸に接続
されたVベルト式無段変速機CVUおよびベルト式減速
機Fと、無段変速機出力軸にサンギアが接続され、減速
機出力軸にキャリアが接続され、ユニット出力軸にリン
グギアが接続された遊星歯車機構Pと、ユニット入力軸
から遊星歯車機構のキャリアへの伝達経路の途中に設け
られたローレジュームクラッチC1 ,C3 と、遊星歯車
機構Pのサンギアからユニット出力軸への伝達経路の途
中に設けられたダイレクトクラッチC2 とを備え、ロー
レジュームクラッチC1 ,C3 を締結し、無段変速機C
VUの変速比を制御することによって総減速比を負の値
から正の値まで変速比無限大を含んでのローレジューム
状態と、ダイレクトクラッチC2 を締結し、総減速比が
無段変速機CVUの変速比である直結状態とを切り換え
ることにって走行状態に応じて最適の変速比を得る変速
制御を行なう装置が示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の変速比無限大無段変速機の変速制御装置にあって
は、無段変速機の変速比固定故障に関する配慮がなされ
ていないため、無段変速機の故障を無視して変速制御を
行なうと、ユニット出力軸が逆転し、前進レンジ時に後
退、また、後退レンジ時に前進というような事態の発生
が起こり得るという問題がある。
【0005】つまり、変速比無限大無段変速機は、ロー
レジュームクラッチC1 ,C3 を締結し、無段変速機C
VUの変速比を制御することによって総減速比を負の値
から正の値まで変速比無限大を含んでのローレジューム
状態が実現されることで、無段変速機CVUの故障時、
変速比固定位置によっては、ダイレクトクラッチC2
締結しての直結状態からローレジューム状態へ切り換え
た場合、ユニット出力軸が逆転することがあり得る。
【0006】一方、これらの不具合を解決するため、無
段変速機が故障した場合、ローレジューム状態への切換
を全面的に禁止すると、無段変速機CVUの変速比では
大きな減速比を得ることができなく、発進不能となる。
【0007】本発明は、上記のような問題に着目してな
されたもので、無段変速機と遊星歯車機構とを組み合わ
せた変速比無限大無段変速機の変速制御装置において、
無段変速機の故障時に逆方向走行を防止することを第1
の課題とする。
【0008】また、上記第1の課題に加え、無段変速機
の故障時にエンスト防止および発進を確保することを第
2の課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記第1の課題を解決す
るため第1の発明の変速比無限大無段変速機の変速制御
装置では、無段変速機の故障検出時であって、少なくと
もローレジュームクラッチを締結すればユニット出力軸
が逆転するような場合、ローレジューム状態への切り換
えを禁止するフェイルセイフ手段を設けた。
【0010】すなわち、図1のクレーム対応図に示すよ
うに、ユニット入力軸aに接続された無段変速機bおよ
び減速機cと、無段変速機出力軸dにサンギアが接続さ
れ、減速機出力軸eにキャリアが接続され、ユニット出
力軸fにリングギアが接続された遊星歯車機構gと、ユ
ニット入力軸aから遊星歯車機構gのキャリアへの伝達
経路の途中に設けられたローレジュームクラッチhと、
遊星歯車機構gのサンギアからユニット出力軸fへの伝
達経路の途中に設けられたダイレクトクラッチiと、ロ
ーレジュームクラッチhを締結して無段変速機bの変速
比を制御することによって総減速比が負の値から正の値
まで変速比無限大を含んで制御されるローレジューム状
態と、ダイレクトクラッチiを締結して無段変速機bの
変速比を制御することによって総減速比が無段変速比の
変速比となる直結状態とを切り換えることにより走行状
態に応じて最適の変速比を得る変速制御手段jと、無段
変速機bの故障を検出する無段変速機故障検出手段k
と、無段変速機bの故障検出時であって、少なくともロ
ーレジュームクラッチhを締結すればユニット出力軸f
が逆転するような場合、ローレジューム状態への切り換
えを禁止するフェイルセイフ手段mとを備えていること
を特徴とする。
【0011】上記第2の課題を解決するため第2の発明
の変速比無限大無段変速機の変速制御装置では、フェイ
ルセイフ手段によりローレジュームクラッチを締結して
の変速が禁止されている場合、ダイレクトクラッチを発
進要素として用いる発進制御手段を設けた。
【0012】すなわち、図1のクレーム対応図に示すよ
うに、請求項1記載の変速比無限大無段変速機の変速制
御装置において、前記フェイルセイフ手段mによりロー
レジュームクラッチhを締結しての変速が禁止されてい
る場合、ダイレクトクラッチiを発進要素として用いる
発進制御手段nを備えていることを特徴とする。
【0013】
【作用】第1の発明の作用を説明する。
【0014】無段変速機bの故障時、無段変速機故障検
出手段kにより無段変速機bの故障が検出されると、フ
ェイルセイフ手段mにおいて、少なくともローレジュー
ムクラッチhを締結すればユニット出力軸fが逆転する
ような場合、ローレジューム状態への切り換えが禁止さ
れる。
【0015】このローレジューム状態への切り換え禁止
により、ユニット出力軸fが逆転することがなく、前進
レンジ時における後退走行や後退レンジ時における前進
走行が防止される。
【0016】第2の発明の作用を説明する。
【0017】無段変速機bの故障時、フェイルセイフ手
段mによりローレジュームクラッチhを締結しての変速
が禁止されている場合、発進制御手段nにおいて、ダイ
レクトクラッチiが発進要素として用いられる。
【0018】したがって、車両停止時等、ローレジュー
ム状態での変速比無限大状態(ギアードニュートラルレ
シオ)としなければエンストするような場合であって
も、ダイレクトクラッチiを解放することでエンストが
防止される。また、この状態からの発進は、ダイレクト
クラッチiの締結力を制御し、半クラッチ状態として高
減速比状態を実現することで発進が可能となる。
【0019】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。
【0020】(第1実施例)まず、構成を説明する。
【0021】図2は請求項1,2記載の本発明に対応す
る第1実施例の変速制御装置が適用された変速比無限大
無段変速機を示す全体ブロック図である。
【0022】図2において、ユニット入力軸1に接続さ
れた無段変速機2および減速機3と、無段変速機出力軸
4にサンギア5aが接続され、減速機出力軸6にキャリ
ア5bが接続され、ユニット出力軸7にリングギア5c
が接続された遊星歯車機構5と、ユニット入力軸1から
遊星歯車機構5のキャリア5bへの伝達経路の途中に設
けられたローレジュームクラッチ8と、遊星歯車機構5
のサンギア5aからユニット出力軸7への伝達経路の途
中に設けられたダイレクトクラッチ9と、変速制御や無
段変速機故障検出やフェイルセイフ動作などを行なう制
御ユニット10を備えている。
【0023】前記減速機3は、その減速比が無段変速機
2の最大減速比に一致させて設定されている。
【0024】前記制御ユニット10は、車速センサ1
1,スロットル開度センサ12,ユニット入力軸回転速
度センサ13,無段変速機出力軸回転速度センサ14,
ユニット出力軸回転速度センサ15,インヒビタースイ
ッチ16などから信号を入力し、入力信号に基づいて所
定の演算処理などを行ない、その処理結果にしたがって
ローレジュームクラッチ8およびダイレクトクラッチ9
への締結・解放制御指令と変速アクチュエータ17への
変速制御指令が出力される。
【0025】図3はFF車に搭載される変速比無限大無
段変速機の具体例を示すスケルトン図である。この具体
例では、無段変速機としてトロイダル式の無段変速機2
が用いられ、ユニット出力軸7にはディファレンシャル
ギア18が設けられている。なお、図3において、図2
と対応する構成には同一符号を付す。
【0026】次に、作用を説明する。
【0027】(イ)ローレジューム状態の作用 ローレジューム状態は、ローレジュームクラッチ8の締
結,ダイレクトクラッチ9の解放により実現される。
【0028】この状態では、キャリア5bの回転速度
は、ユニット入力軸回転速度を1とした場合に一定(1/
iLow)であるから、図4の共線図に示すように、ユニッ
ト出力軸7の回転速度は、無段変速機2の出力軸回転速
度(1/iCVT)=サンギア5aの回転速度によって無段変
速機2を増速側(ihigh )から減速側(iLow)へ変速さ
せることによって、ユニット出力軸回転速度となるリン
グギア5cの回転速度を、逆転(負)から、停止(0)
を経て正転(1/iLow)まで変速できる。
【0029】また、逆転時の最大減速比は、遊星歯車機
構5の諸元αと無段変速機2の最小減速比ihigh によっ
て決定される。
【0030】(ロ)直結状態の作用 直結状態は、ローレジュームクラッチ8の解放,ダイレ
クトクラッチ9の締結により実現される。
【0031】この状態では、減速機3および遊星歯車機
構5が変速に関与せず、ユニット入力軸回転速度を1と
した場合、ユニット出力軸7の回転速度は、無段変速機
2の出力軸回転速度(1/iCVT)となる。つまり、無段変
速機2に対して変速制御を行なうことにより正転での増
速側(ihigh )から減速側(iLow)までの変速比を得る
ことができる。
【0032】(ハ)変速制御処理作動 図5は制御ユニット10で行なわれる変速制御処理作動
のメインフローを示すフローチャートである。
【0033】ステップ50では、図5に示す入力処理が
行なわれる。
【0034】ステップ51では、図7に示す処理により
CVT(無段変速機)の故障が検知される。
【0035】ステップ52では、ステップ51での故障
検知結果によりCVTが正常かどうかが判断される。
【0036】ステップ53では、図8に示す処理により
故障時制御が行なわれる。
【0037】ステップ54では、図9,図10および図
11に示す処理により正常時制御が行なわれる。
【0038】ステップ55では、図12に示す出力処理
が行なわれる。
【0039】図6は入力処理を示すフローチャートであ
る。
【0040】ステップ60では、無段変速機入力軸回転
速度Ninが読み込まれる。
【0041】ステップ61では、無段変速機出力軸回転
速度Nout が読み込まれる。
【0042】ステップ62では、実CVT変速比iが下
記の式により演算される。
【0043】i=K*Nin/Nout (ただし、Kは定
数)ステップ63では、スロットル開度TVO が読み込ま
れる。
【0044】図7はCVT故障検知の処理を示すフロー
チャートである(無段変速機故障検出手段に相当)。
【0045】ステップ70では、変速比偏差Aが実CV
T変速比iと目標CVT変速比it との差の絶対値によ
り演算される。
【0046】ステップ71では、変速比偏差Aが設定値
K1以上かどうかが判断され、A≧K1の場合にはステ
ップ72へ進み、CVT異常のフラグが立てられ、A<
K1の場合にはステップ73へ進み、CVT正常のフラ
グが立てられる。
【0047】図8は故障時制御処理を示すフローチャー
トである(フェイルセイフ手段および発進制御手段に相
当)。
【0048】ステップ80では、ローレジュームクラッ
チ8が解放される。
【0049】ステップ81では、車速が設定車速K2以
下かどうかが判断される。
【0050】ステップ82では、スロットル開度TVO が
設定開度K3以下かどうかが判断される。
【0051】そして、車速≦K2かつTVO ≦K3のアク
セル足離し停車時には、ステップ84へ進み、ダイレク
トクラッチ9が解放される。
【0052】また、車速≦K2かつTVO >K3の発進時
には、ステップ85へ進み、ダイレクトクラッチ9が5
0%の締結力で締結される。
【0053】また、車速>K2かつTVO >K3の走行時
には、ステップ86へ進み、ダイレクトクラッチ9が1
00%の締結力で締結される。
【0054】図9は正常時制御処理を示すフローチャー
トである(変速制御手段に相当)。ステップ90では、
Rレンジかどうかが判断される。ステップ91では、N
レンジかどうかが判断される。ステップ92では、Dレ
ンジかどうかが判断される。ステップ92によりDレン
ジと判断された場合、ステップ93へ進み、図10に示
すDレンジ制御が行なわれる。
【0055】ステップ91によりNレンジと判断された
場合、ステップ94でローレジュームクラッチ8が締結
され、ステップ95でダイレクトクラッチ9が解放さ
れ、ステップ96で無段変速機2の変速比がギアードニ
ュートラルレシオが得られる無段変速機目標変速比iCV
T とする制御が行なわれる。
【0056】ステップ90によりRレンジと判断された
場合、ステップ97でローレジュームクラッチ8が締結
され、ステップ98でダイレクトクラッチ9が解放さ
れ、ステップ99で無段変速機目標変速比iCVT をihi
ghとする制御が行なわれる。
【0057】図10はDレンジ制御処理を示すフローチ
ャートである。
【0058】ステップ100では、予め設定されている
図13に示す目標入力軸回転速度マップと検出による車
速およびスロットル開度TVO により目標入力軸回転速度
Ninがルックアップされる。
【0059】ステップ101では、目標入力軸回転速度
Ninと車速により無段変速機仮目標変速比iCVT が下記
の式で演算される。
【0060】仮目標iCVT =K4*目標Nin/車速ステ
ップ102では、仮目標iCVT が無段変速機2の最大減
速比iLow 以上かどうかが判断される。
【0061】そして、仮目標iCVT ≧iLow の場合、ス
テップ103でローレジュームクラッチ8が締結される
と共にダイレクトクラッチ9が解放され、ステップ10
4で無段変速機2の変速比が、図11に示す処理により
無段変速機目標変速比iCVT とする制御が行なわれる。
【0062】一方、仮目標iCVT <iLow の場合、ステ
ップ105でローレジュームクラッチ8が解放されると
共にダイレクトクラッチ9が締結(100%)され、ス
テップ106で無段変速機2の変速比が、仮目標iCVT
を無段変速機目標変速比iCVTとする制御が行なわれ
る。
【0063】図11は目標iCVT を得る制御処理を示す
フローチャートである。
【0064】ステップ110では、目標iCVT が遊星歯
車機構5の諸元αと仮目標iCVT により下記の式で演算
される。
【0065】目標iCVT =仮目標iCVT /α ステップ111では、目標iCVT がギアードニュートラ
ルレシオ以下かどうかが判断される。
【0066】そして、目標iCVT ≦ギアードニュートラ
ルレシオである場合、ステップ112へ進み、目標iCV
T がギアードニュートラルレシオに設定される。
【0067】図12は出力処理を示すフローチャートで
ある。
【0068】ステップ120では、ローレジュームクラ
ッチ駆動指令が出力される。
【0069】ステップ121では、ダイレクトクラッチ
駆動指令が出力される。
【0070】ステップ122では、変速制御回転角θが
目標iCVT から実iCVT を引いた差に比例定数KP を乗
じて求められる。
【0071】ステップ123では、変速アクチュエータ
17を変速制御回転角θまで回転させる指令が出力され
る。
【0072】(ニ)正常時変速作用 前進用レンジ(Dレンジ)では、図9のフローチャート
において、ステップ90→ステップ91→ステップ93
という流れとなり、ステップ93では図10に示すフロ
ーチャートにしたがって、変速制御が行なわれる。
【0073】つまり、車速とスロットル開度TVO に応じ
て設定された目標入力軸回転速度マップ(図13)のiL
ow線よりも左側の領域(目標変速比がiLowよりも大)で
は、ローレジュームクラッチ8を締結し、ダイレクトク
ラッチ9を解放し、かつ、無段変速機2の変速比をギア
ードニュートラルレシオから最小減速比(増速側)で制
御する。
【0074】また、車速とスロットル開度TVO に応じて
設定された目標入力軸回転速度マップ(図13)のiLow
線よりも右側の領域(目標変速比がiLowよりも小)で
は、ローレジュームクラッチ8を解放し、ダイレクトク
ラッチ9を締結し、かつ、無段変速機2の変速比を最大
減速比(iLow)から最小減速比(ihigh )で制御する。
この時の総減速比は無段変速機2の変速比である。
【0075】中立レンジ(Nレンジ)では、図9のフロ
ーチャートにおいて、ステップ90→ステップ91→ス
テップ94→ステップ95→ステップ96という流れと
なり、ローレジュームクラッチ8を締結し、ダイレクト
クラッチ9を解放し、かつ、無段変速機2の変速比をギ
アードニュートラルレシオとしてユニット出力軸7を停
止させる。
【0076】後退用レンジ(Rレンジ)では、図9のフ
ローチャートにおいて、ステップ90→ステップ97→
ステップ98→ステップ99という流れとなり、ローレ
ジュームクラッチ8を締結し、ダイレクトクラッチ9を
解放し、かつ、無段変速機2の変速比をギアードニュー
トラルレシオから最小減速比(増速側)で制御して、ユ
ニット出力軸7を逆転させる。
【0077】(ホ)無段変速機故障時の作用 無段変速機2の故障時には、図7のCVT故障検知処理
により無段変速機入力軸回転速度Ninと無段変速機出力
軸回転速度Nout から演算される実CVT変速比i(図
6の入力処理)と、変速アクチュエータ17に出力して
いる目標CVT変速比it とを比較することによって無
段変速機2の変速比固定故障(異常)が検出される。
【0078】そして、故障時であると検知された場合に
は、図8のフローチャートのステップ80において、ロ
ーレジュームクラッチ8を解放に保つ指令が出力され、
ローレジューム状態への切換が禁止される。
【0079】そして、ローレジューム状態への切換が禁
止されると、図8のフローチャートのステップ81〜ス
テップ86の処理が行なわれる。
【0080】つまり、走行時に無段変速機2の故障が生
じた場合、ステップ81→ステップ86へ進み、ステッ
プ86ではダイレクトクラッチ9を100%で完全締結
することで、無段変速機2で固定されている変速比での
走行が確保される。また、発進時に無段変速機2の故障
が生じた場合、ステップ81→ステップ83→ステップ
85へ進み、ステップ85ではダイレクトクラッチ9の
締結力を50%というように半クラッチ状態にし、減速
比を稼ぐことで発進が確保される。また、停車時に無段
変速機2の故障が生じた場合、ステップ81→ステップ
83→ステップ84へ進み、ステップ84ではダイレク
トクラッチ9を解放することでエンジンへの負荷を無く
し、エンストの防止が確保される。
【0081】すなわち、停車時や発進時においてはダイ
レクトクラッチ9が発進要素として使用される。
【0082】次に、効果を説明する。
【0083】(1)無段変速機2と遊星歯車機構5とを
組み合わせた変速比無限大無段変速機の変速制御装置に
おいて、無段変速機2の故障検出時には、総減速比を負
の値から正の値まで変速比無限大を含み制御できるロー
レジューム状態への切り換えを禁止するフェイルセイフ
制御を行なう装置としたため、無段変速機2の故障時に
逆方向走行(前進レンジにおける後退/後退レンジにお
ける前進)を防止することができる。
【0084】(2)無段変速機2の故障検出時であっ
て、かつ、車両停止状態が検出されるとダイレクトクラ
ッチ9を解放し、また、発進状態が検出されるとダイレ
クトクラッチ9を半クラッチ状態とするというように、
ダイレクトクラッチ9を発進要素として使用するように
しているため、無段変速機2の故障時にエンストの防止
および発進を確保することができる。
【0085】(第2実施例)第1実施例装置と比べた場
合、CVT故障検知処理が異なる第2実施例装置につい
て説明する。なお、装置構成に関しては第1実施例装置
と同様であるので図示並びに説明を省略する。
【0086】図14は第2実施例装置の制御ユニット1
0で行なわれるCVT故障検知処理を示すフローチャー
トである。
【0087】ステップ140では、変速比偏差Aが実C
VT変速比iと目標CVT変速比itとの差の絶対値に
より演算される。
【0088】ステップ141では、変速比偏差Aが設定
値K1以上かどうかが判断され、A≧K1の場合にはス
テップ142以降のステップへ進み、A<K1の場合に
はステップ148へ進み、CVT正常のフラグが立てら
れる。
【0089】ステップ142では、Dレンジかどうかが
判断され、Dレンジの場合には、ステップ143で実C
VT変速比iがギアードニュートラルレシオ以下かどう
かが判断され(high側)、ステップ143の条件を満足
する場合には、ローレジューム状態への切換で逆転する
ため、ステップ144でCVT異常のフラグが立てられ
る。
【0090】また、ステップ145では、Rレンジかど
うかが判断され、Rレンジの場合には、ステップ146
で実CVT変速比iがギアードニュートラルレシオ以上
かどうかが判断され(Low 側)、ステップ146の条件
を満足する場合には、ローレジューム状態への切換で逆
転するため、ステップ147でCVT異常のフラグが立
てられる。
【0091】次に、効果を説明する。
【0092】(3)無段変速機2と遊星歯車機構5とを
組み合わせた変速比無限大無段変速機の変速制御装置に
おいて、無段変速機2の変速比固定故障検出時であっ
て、ローレジュームクラッチ8を締結すればユニット出
力軸7が逆転するような場合にのみローレジューム状態
への切り換えを禁止するフェイルセイフ制御を行なう装
置としたため、上記(1),(2)の効果に加え、逆方
向走行が生じない無段変速機2の故障時には、ローレジ
ューム状態への切り換え自由度による2段の総変速比に
より走行や発進を確保することができる。
【0093】以上、実施例を図面により説明してきた
が、具体的な構成は実施例に限られるものではなく、本
発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加等があ
っても本発明に含まれる。
【0094】本発明に含まれるローレジューム状態への
切換を禁止する態様を下記に列挙する。
【0095】(1) 無段変速機のあらゆる種類の故障時 (2) 無段変速機の変速比固定故障時で、かつ、ローレジ
ューム状態への切換により逆転する場合 (3) 無段変速機の変速比固定故障時で、かつ、ローレジ
ューム状態への切換により入力軸回転速度が過回転とな
る場合 (4) 無段変速機の変速比固定故障時で、かつ、ローレジ
ューム状態への切換により入力軸回転速度がアイドリン
グ回転速度以下となる場合、ローレジューム状態への切
換禁止に加え、ニュートラル状態とする (5) 無段変速機の変速比固定故障時で、かつ、車両停止
時において変速比無限大(ギアードニュートラルレシ
オ)以外の減速比となる場合、ローレジューム状態への
切換禁止に加え、ニュートラル状態とする (6) 無段変速機の変速比固定故障時で、かつ、ローレジ
ューム状態への切換により入力軸回転速度がアイドリン
グ回転速度以下となる場合、ローレジュームクラッチお
よびダイレクトクラッチを共に解放する (7) 無段変速機の変速比固定故障時で、かつ、車両停止
時において変速比無限大(ギアードニュートラルレシ
オ)以外の減速比となる場合、ローレジュームクラッチ
およびダイレクトクラッチを共に解放する また、上記(1) 〜(7) のいずれの場合においてもローレ
ジューム状態への切換禁止時には、ダイレクトクラッチ
を発進要素として用いる様にしても良い。
【0096】
【発明の効果】請求項1記載の本発明にあっては、無段
変速機と遊星歯車機構とを組み合わせた変速比無限大無
段変速機の変速制御装置において、無段変速機の故障検
出時であって、少なくともローレジュームクラッチを締
結すればユニット出力軸が逆転するような場合、ローレ
ジューム状態への切り換えを禁止するフェイルセイフ手
段を設けたため、無段変速機の故障時に逆方向走行を防
止することができるという効果が得られる。
【0097】請求項2記載の本発明にあっては、無段変
速機と遊星歯車機構とを組み合わせた変速比無限大無段
変速機の変速制御装置において、無段変速機の故障検出
時であって、少なくともローレジュームクラッチを締結
すればユニット出力軸が逆転するような場合、ローレジ
ューム状態への切り換えを禁止するフェイルセイフ手段
を設けると共に、フェイルセイフ手段によりローレジュ
ームクラッチを締結しての変速が禁止されている場合、
ダイレクトクラッチを発進要素として用いる発進制御手
段を設けたため、無段変速機の故障時に逆方向走行を防
止することができると共に、無段変速機の故障時にエン
スト防止および発進を確保することができるという効果
が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の変速比無限大無段変速機の変速制御装
置を示すクレーム対応図である。
【図2】第1実施例の変速制御装置が適用された変速比
無限大無段変速機を示す全体ブロック図である。
【図3】第1実施例の変速比無限大無段変速機の具体例
を示すスケルトン図である。
【図4】第1実施例装置でのローレジューム状態におけ
る遊星歯車機構の各変速要素の回転速度比を示す共線図
である。
【図5】第1実施例装置の制御ユニットで行なわれる変
速制御処理を示すメインフローチャートである。
【図6】第1実施例装置の制御ユニットで行なわれる入
力処理を示すフローチャートである。
【図7】第1実施例装置の制御ユニットで行なわれるC
VT故障検知処理を示すフローチャートである。
【図8】第1実施例装置の制御ユニットで行なわれる故
障時制御処理を示すフローチャートである。
【図9】第1実施例装置の制御ユニットで行なわれる正
常時制御処理を示すフローチャートである。
【図10】第1実施例装置の制御ユニットで行なわれる
Dレンジ制御処理を示すフローチャートである。
【図11】第1実施例装置の制御ユニットで行なわれる
目標iCVT設定処理を示すフローチャートである。
【図12】第1実施例装置の制御ユニットで行なわれる
出力処理を示すフローチャートである。
【図13】第1実施例装置の制御ユニットに予め設定さ
れている目標入力回転速度マップを示す図である。
【図14】第2実施例装置の制御ユニットで行なわれる
CVT故障検知処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
a ユニット入力軸 b 無段変速機 c 減速機 d 無段変速機出力軸 e 減速機出力軸 f ユニット出力軸 g 遊星歯車機構 h ローレジュームクラッチ i ダイレクトクラッチ j 変速制御手段 k 無段変速機故障検出手段 m フェイルセイフ手段 n 発進制御手段

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ユニット入力軸に接続された無段変速機
    および減速機と、 無段変速機出力軸にサンギアが接続され、減速機出力軸
    にキャリアが接続され、ユニット出力軸にリングギアが
    接続された遊星歯車機構と、 ユニット入力軸から遊星歯車機構のキャリアへの伝達経
    路の途中に設けられたローレジュームクラッチと、 遊星歯車機構のサンギアからユニット出力軸への伝達経
    路の途中に設けられたダイレクトクラッチと、 ローレジュームクラッチを締結して無段変速機の変速比
    を制御することによって総減速比が負の値から正の値ま
    で変速比無限大を含んで制御されるローレジューム状態
    と、ダイレクトクラッチを締結して無段変速機の変速比
    を制御することによって総減速比が無段変速機の変速比
    となる直結状態とを切り換えることにより走行状態に応
    じて最適の変速比を得る変速制御手段と、 無段変速機の故障を検出する無段変速機故障検出手段
    と、 無段変速機の故障検出時であって、少なくともローレジ
    ュームクラッチを締結すればユニット出力軸が逆転する
    ような場合、ローレジューム状態への切り換えを禁止す
    るフェイルセイフ手段と、 を備えていることを特徴とする変速比無限大無段変速機
    の変速制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の変速比無限大無段変速機
    の変速制御装置において、 前記フェイルセイフ手段によりローレジュームクラッチ
    を締結しての変速が禁止されている場合、ダイレクトク
    ラッチを発進要素として用いる発進制御手段を備えてい
    ることを特徴とする変速比無限大無段変速機の変速制御
    装置。
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