JPH06100945A - 歯車の高周波輪郭焼入方法 - Google Patents

歯車の高周波輪郭焼入方法

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JPH06100945A
JPH06100945A JP4275064A JP27506492A JPH06100945A JP H06100945 A JPH06100945 A JP H06100945A JP 4275064 A JP4275064 A JP 4275064A JP 27506492 A JP27506492 A JP 27506492A JP H06100945 A JPH06100945 A JP H06100945A
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gear
quenching
tooth surface
tooth
frequency
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JP4275064A
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Inventor
Hiyoshi Watanabe
日吉 渡邊
Yasuo Muto
康夫 武藤
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Fuji Electronics Industry Co Ltd
Original Assignee
Fuji Electronics Industry Co Ltd
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Publication date
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  • Heat Treatments In General, Especially Conveying And Cooling (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 歯車の焼入後の歪み、歪みのバラツキおよび
スケールを少なくする。従って、後工程を少なくするか
省略できる高精度で高強度の歯車の高周波輪郭焼入方法
を提供することを目的とする。 【構成】 モジュールが1.5 〜4 である歯車10に軸芯を
中心とする回転をさせ、歯車の歯面に接近対向するよう
に配設した環状の加熱コイル31に高周波電力を印加して
歯面を加熱する第1の工程と、第1の工程の後、歯車10
を焼入液L中に浸漬すると共に歯面に焼入液Lを噴射す
る第2の工程とを備え、且つ、高周波電力の歯面に対す
る電力密度は、歯面の直径×円周率×歯面の幅で計算し
た面積に対して、3 kW/cm2 以上であり、高周波電
力の印加時間は0.6 秒以内としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、小モジュールの歯車
に、歯形にほぼ沿っている連続した硬化層を形成するこ
とができる歯車の高周波輪郭焼入方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、小モジュールの歯車に、その歯形
にほぼ沿っている連続した硬化層を形成するにために高
周波焼入方法が採用されてはいる。しかしながら、モジ
ュールが4以下の歯車については、歯部が芯部まで硬化
するいわゆるズブ焼入となることが多いので、耐衝撃値
の要求の低い歯車にしか使用されず、より高い耐衝撃値
を要求される歯車に対しては、浸炭焼入に依らざるを得
なかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、歯車に
浸炭焼入を行ったときには、歯車の焼入後の歪みが大き
く、また、歪みのバラツキも大きい。更に、焼入られた
歯面に形成されたスケールが多い。従って、焼入後の研
磨工数も多くかかるという欠点がある。また、モジュー
ルが4より大きい歯車については、加熱時間が数秒間の
高周波加熱を行った後に、焼入液を加熱された歯面に噴
射して輪郭焼入を行う方法も採用されているが、この場
合でも歯車の焼入後の歪みは必ずしも満足すべきもので
はなかった。このように、焼入後の歯車の歪みが大きい
という欠点は、高い強度と精度を要求される歯車におい
ては、特に問題とされてきた。本発明は上記事情に鑑み
て創案されたものであって、歯車の焼入後の歪みと、歪
みのバラツキが少なく、従って、焼入後の研磨工数を少
なくすることができるか或いは省略することができる歯
車の高周波輪郭焼入方法を提供することを目的としてい
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決するため
に、請求項1記載の歯車の高周波輪郭焼入方法は、モジ
ュールが1.5 〜4 である歯車を高周波誘導によって予熱
する第1の工程と、第1の工程の後、前記歯車に軸芯を
中心とする回転をさせ、前記歯車の歯面に接近対向する
ように配設した環状の高周波加熱コイルに高周波電力を
印加して前記歯面を本加熱する第2の工程と、第2の工
程の後、前記歯車を焼入液中に浸漬するか、或いは、焼
入液中に浸漬すると共に焼入液を歯車に噴射して冷却す
る第3の工程とを備え、前記高周波電力の前記歯面に対
する電力密度は、歯面の直径×円周率×歯面の幅で計算
した面積に対して、3 kW/cm2 以上であり、前記高
周波電力の印加時間は0.6 秒以内としている。
【0005】請求項2記載の歯車の高周波輪郭焼入方法
は、モジュールが1.5 〜4 である歯車を高周波誘導によ
って予熱する第4の工程と、第4の工程の後、前記歯車
に軸芯を中心とする第1の速度の回転をさせ、歯車の歯
面に接近対向するように配設した環状の高周波加熱コイ
ルに高周波電力を印加して前記歯面を加熱する第5の工
程と、第5の工程の後、急速に歯車を焼入液中に移動し
ながら、前記回転を第2の速度の回転とするか、或い
は、前記回転を停止させるか若しくは一方向に第3の速
度で回転させてから他方向に第3の速度で回転させるこ
とを繰り返す揺動回転を行わせる第6の工程と、歯車の
第6の工程における回転を持続させたまま、歯車を焼入
液中に浸漬させたままにしておくか、或いは、焼入液中
に浸漬させておくと共に焼入液を歯車に噴射して冷却す
る第7の工程とを備え、前記高周波電力の前記歯面に対
する電力密度は、歯面の直径×円周率×歯面の幅で計算
した面積に対して、3 kW/cm2 以上であり、前記高
周波電力の印加時間は0.6 秒以内としている。
【0006】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の方法を実現す
ることができる高周波焼入装置の一実施例と、この実施
例による歯車の高周波輪郭焼入方法を説明する。図1〜
図7は本実施例と、この実施例による歯車の高周波輪郭
焼入方法とを説明するための図面であって、図1は図2
のX−X線矢視断面説明図、図2は一部断面平面説明
図、図3は図2のY−Y線矢視断面説明図、図4は予熱
コイルの斜視図、図5は歯車の一部の斜視説明図、図6
は歯車の平面図、図7は本実施例の高周波焼入装置によ
って歯車を焼入したときの結果を示す表である。
【0007】本実施例の高周波焼入装置は、ワークであ
る歯車10に、図5に示すように、歯形に沿った、即ち、
歯面11に沿った硬化層19を形成するものである。この硬
化層19は、歯先12、歯底13、および歯先12と歯底13の間
の部分を含む全ての歯面11に、ほぼ均一な深さに形成さ
れた硬化層であって、しかも、歯先12での硬化層19の深
さは、歯車10のピッチ円17にまで到達しないものであ
る。18は歯車10の軸芯である。なお、歯車10は、材質が
S55Cであって、モジュール2.0 、歯数63、幅24mmの
ヘリカル歯車である。
【0008】図1と図2に示すように、本実施例の高周
波焼入装置には、歯車10の搬入ステーションA、第1予
熱ステーションB1、第2予熱ステーションB2、第3予熱
ステーションB3、本加熱ステーションC、および搬出ス
テーションDがある。以下これらのステーションをそれ
ぞれ単にステーションA、B1、B2、B3、C、およびDと
もいう。そして、基本的な構成として、歯車10の予熱手
段、本加熱手段、冷却手段、自転手段、公転手段、降下
手段、および上昇手段を備えている。
【0009】予熱手段は、予熱コイル21と、この予熱コ
イル21に高周波電力を供給し図示しない高周波電源から
給電されるトランス25とを備えている。予熱コイル21
は、平行で対向するように水平に配設されたほぼ1/3
円弧状の加熱導体22、22と、加熱導体22、22の一端同士
を接続するほぼコ字状の接続導体23と、加熱導体22、22
のそれぞれの他端とトランス25の出力端子とを接続する
1対の電源リードバー24、24とを備えている。
【0010】本加熱手段は、水平に配置された歯車10を
加熱時には取り囲むように水平に配設される環状の高周
波加熱コイル(以下この高周波加熱コイルを単に加熱コ
イルともいう)31と、加熱コイル31に高周波電力を供給
し図示しない高周波電源から給電されるトランス34と、
加熱コイル31とトランス34とを電気的に接続し且つ機械
的に固定する1対の電源リードバー32、32と、トランス
34を矢印Pの方向に降下させ、また矢印Pと反対方向に
上昇させる加熱コイル昇降装置35と、加熱コイル31と一
体的に組み立てられている透明なアクリル製等のコイル
ケース33と、非酸化性或いは還元性のガス(本実施例で
は窒素ガスG) の供給手段39と、加熱コイル31の下方に
水平に配設された環状のガスノズル37と、このガスノズ
ル37の下方に水平に配設された環状の焼入液噴射用のジ
ャケット60と、焼入液供給手段68とを備えている。
【0011】ガスノズル37とガス供給手段39とは可撓性
のガス供給管38によって接続されており、また、ジャケ
ット60と焼入液供給手段68とは、可撓性の焼入液供給管
67によって接続されている。前記コイルケース33は、加
熱コイル31の上面に接着された上端ほぼ閉鎖、下端開放
の上部コイルケース33a と、加熱コイル31の下面に接着
された筒状の下部コイルケース33b とを備えており、上
部コイルケース33a の下端部と下部コイルケース33b の
上端部との間には、複数の絶縁性の接続部材65が加熱コ
イル31の外周面に接触するように橋架されている。各接
続部材65は、その上端近辺および下端近辺がボルト66に
よってそれぞれ上部コイルケース33a および下部コイル
ケース33b に固定されている。
【0012】64は、加熱コイル31の外周面にろう付けさ
れた複数の突起であって、これら突起64には、図示しな
い絶縁性のワッシャとチューブとを介してボルト62が貫
通しており、これらボルト62はナット63によって突起64
に固定されている。ボルト62の下端には、焼入液噴射用
の環状のジャケット60がろう付けによって固定されてい
る。なお、ガスノズル37の内周面には多数のガス噴射孔
37a が開設されており、ジャケット60の内周面には多数
の焼入液噴射孔61が開設されている。また、上部コイル
ケース33a の頂面中央部には、ガス排出孔33c が設けら
れている。42aは、上側コンセントリング42が、歯車10
の加熱中および冷却中に脱落しないようにするための押
さえである。
【0013】焼入液(本実施例では焼入油を使用してい
るが、ポリマー等でもよい) Lが収容されているタンク
71は、その底面73が機械室72の上部に設置されている。
焼入液L中には、タンク71の底面73を水密且つ回転自在
に垂直に貫通している軸52の上端に取り付けられたター
ンテーブル51が配設されている。ターンテーブル51の周
縁近辺には、等間隔に6個の垂直なロッド43が、回転自
在、昇降自在であるようにターンテーブル51を貫通して
取り付けられている。そして、各ロッド43の上端には、
歯車10の下側コンセントリングを兼ねたワーク受け41が
固定されている。42(図3) は上側コンセントリングで
ある。
【0014】なお、コンセントリングとは、歯車10の歯
の形成されていない部分の側面に接触するように形成さ
れている金属製の円板(或いはリング) であって、歯車
10の歯底13の幅方向において、加熱および冷却時の条件
を均一にする役目を持っているので、歯底13の硬化層19
の深さを、歯車10の幅方向において均一にすることがで
きる。
【0015】ターンテーブル51は軸52を介して例えばジ
ェネバ機構のようなワーク公転駆動源53に連結されて間
歇的に回転される。ターンテーブル51が間歇的に回転す
ると、各ロッド43は、順次、ステーションA、B1、B2、
B3、C、およびDを通過してゆくので、各ロッド43に取
り付けられたワーク受け41に載置された歯車10は公転す
ることになる。
【0016】45a 、45b 、45c はロッド43が第1、第
2、第3予熱ステーションB1、B2、B3のそれぞれにいる
間、ロッド43を回転させて歯車10を回転させるワーク自
転手段であって、タンク71の底面73に取り付けられてい
る。46はロッド43が本加熱ステーションCにいる間、ロ
ッド43を回転させるワーク自転手段であって同じくタン
ク71の底面73に取り付けられている。
【0017】47は本加熱ステーションCで歯車10の本加
熱が終わったときに、ロッド43を降下させて歯車10を冷
却液中に浸漬させるワーク降下手段である。また、48
(図2) はロッド43が搬出ステーションDにきたとき
に、ロッド43を上昇させて歯車10を焼入液Lの液面上に
上昇させるワーク上昇手段である。ワーク降下手段47お
よびワーク上昇手段48は機械室72内に設けられている。
【0018】次に、本実施例の高周波焼入装置によって
歯車10を輪郭焼入する方法を説明する。まず、トランス
25から予熱コイル21に連続的に高周波電流を供給すると
共に、ガス供給手段39から本加熱手段のコイルケース33
内に窒素ガスGを送出し、コイルケース内の空気を排出
する。そして、搬入ステーションAにあるワーク受け41
上に歯車10を載置し、載置された歯車10の上面に上側コ
ンセントリング42を載置後、押さえ42a によって上側コ
ンセントリング42をワーク受け41に固定する。
【0019】ワーク公転手段53を起動すると、歯車10は
第1予熱ステーションB1に至って公転を中止すると共
に、ワーク自転手段45a によって例えば約30rpm で自転
しながら、予熱コイル21によって加熱される。歯車10
は、第2および第3予熱ステーションB2、B3において
も、同様に予熱される。
【0020】歯車10が本加熱ステーションCに到着する
と、加熱コイル31は、加熱コイル昇降装置35によってト
ランス34と共に矢印Pの方向に降下されて、歯車10を取
り囲むように設置される。そして、コイルケース33の下
部は、焼入液L中に浸漬された状態となる。従って、コ
イルケース33の中は、窒素ガスGが充満しており、空気
が侵入する余地は無い。
【0021】次いで、ワーク自転手段46によって歯車10
は予熱のときよりも早い速度、例えば500rpmで回転され
る。次いで、トランス34から高周波電流が加熱コイル31
に約0.2 秒間通電される。この時、加熱コイル31に印加
される高周波電力は、歯車10の歯面の直径円周率×歯面
の幅×で得た面積に対して4kW/cm2 以上である。
歯車10は、歯面の直径が13cm、歯面の幅が2.5cm であ
る。
【0022】歯車10の加熱が終了すると、ワーク降下手
段47によって歯車10は焼入液L中に浸漬される。その
際、ワーク降下手段47によってロッド43が降下されて、
焼入液L中に浸漬されるときの時間は約0.2 秒以内であ
る。また、ワーク自転手段46による歯車10の回転が加熱
終了後0.2 秒以内に極端に低下されて例えば2〜3rpm
になる。歯車10が焼入液L中に浸漬されると、ジャケッ
ト60から焼入液Lが歯車10に所定時間噴射されて歯車10
の焼入を終了する。そして、加熱コイル昇降装置35によ
って加熱コイル31は上昇される。また、焼入性の良い歯
車の場合には、ジャケット60から焼入液Lを噴射せず、
焼入液L中に浸漬して焼入を行うこともある。
【0023】次いでワーク公転手段53によって歯車10が
搬出ステーションDに到着すると、ワーク上昇手段48に
よって歯車10は焼入液Lの液面上まで上昇されるので、
手作業或いはマニピュレータ等によって押さえ42a と上
側コンセントリング42を取り外してから、歯車10を焼入
装置から取り出す。
【0024】1番目の歯車10が第1予熱ステーションB1
に到着したとき、2番目の歯車10が搬入ステーションA
にきたワーク受け41に載置され、以下、1番目の歯車10
と同様に焼入が行われる。3番目以下の歯車10について
も同様である。
【0025】このようにして焼入した歯車10の歯面11に
は、所望の硬化層19、即ち、歯面11に沿ってほぼ均一な
深さで、歯先12での深さが、歯車10のピッチ円17の直径
まで到達していない硬化層が形成されている。
【0026】この歯車10を100 個、上記と同様にして焼
入した結果の焼入歪みについて説明する。図7はこの結
果を一覧表にまとめたものであって、この表における数
値はμを示している。浸炭焼入品の材質はS15Cであ
り、高周波輪郭焼入品の材質はS55Cである。そして、
歯型誤差の平均値とは、100 個の内の1つの歯車10の等
間隔に選定した4つの歯101 〜104 (図6) の歯型誤差
がそれぞれ例えば+2μ、+2μ、+4μ、+1μであ
ったときに、これらの平均値は(2+2+4+1) =2.
25μであるから、100 個についてのこの2.25μに相当す
る値の平均値を求めたものをいう。また歯型誤差の最大
値とは、この場合1個についての最大値は4μであるか
ら、100 個の内でこの4μに相当する値の最大値をい
う。
【0027】また、同表において、歯すじ方向誤差の平
均値および歯すじ方向誤差の最大値も、それぞれ、歯形
誤差の場合と同様に、歯すじ方向誤差の平均値は1個の
平均値を求め、これを100 個について平均値を出したも
のをいい、歯すじ方向誤差の最大値は1個の最大値を求
め、これを100 個についてその最大値を出したものをい
う。
【0028】図7に示す表から分かるように、歯形誤差
の平均値、歯形誤差の最大値、歯すじ方向誤差の平均
値、および歯すじ方向誤差の最大値とも、浸炭焼入のも
のは高周波輪郭焼入したものに比べて焼入前のそれより
焼入後の値が極めて大きい。また、高周波輪郭焼入をし
たものでも、大気中における焼入液Lの噴射冷却の場合
は、浸漬(噴射)冷却を伴う本発明の高周波輪郭焼入方
法によって焼入したものと比べると、その値が大きくな
っている。しかも圧力角誤差も浸炭焼入のものが一番大
きく、大気中における焼入液Lの噴射冷却を伴う高周波
輪郭焼入でも多少の圧力角誤差がでているのに対して、
本発明の浸漬(噴射)冷却を伴う高周波輪郭焼入方法に
よって焼入したものでは圧力角誤差も殆どない。従っ
て、本発明は一番歪みの少ない高精度で、高強度の歯車
を提供する高周波輪郭焼入方法と言える。
【0029】本実施例では、歯車10を加熱後、焼入液L
に浸漬して歯車10を冷却するときに、歯車10の回転を約
2〜3rpm の低速回転とした場合を説明したが、このよ
うな低速回転にこだわるものではなく、回転を停止した
り、或いは、一方向に所定時間上記のような低速回転を
行った後、他方向に所定時間同様な低速回転を行うこと
を繰り返す揺動回転を歯車10にさせながら冷却すると、
歯車10の歯面がより均一に冷却されてより均一な深さの
硬化層が形成される。
【0030】前記実施例では、加熱コイル20による歯車
10の予熱を空気中で行う場合を説明したが、この予熱
を、本加熱のように、窒素ガスG等の無酸化性ガス或い
は水素等の還元性ガスの雰囲気中で、或いは、このよう
なガスが充満した容器等の中で行うことによって、焼入
される歯面11の酸化を防止し、焼入された歯面11とその
近辺表面へのスケールの形成を阻止することによって、
焼入後のスケールの除去作業を殆ど無くすることができ
る。なお、予熱と同様、本加熱も大気中で行うこともで
きる。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の方
法は、モジュールが1.5 〜4 である歯車を高周波予熱
後、歯車を回転させながら加熱コイルに高周波電力を印
加して歯面を加熱し、次いで、歯車を焼入液中に浸漬す
るか、或いは、浸漬すると共に歯面に焼入液を噴射す
る。そして、高周波電力の密度は、歯面の直径×円周率
×歯面の幅で計算した面積に対して3kW/cm2 以上
であり、その印加時間は0.6秒以内としている。
【0032】また、請求項2記載の方法は、モジュール
が1.5 〜4 である歯車を高周波予熱後、歯車に第1の速
度の回転をさせながら、加熱コイルに高周波電力を印加
して歯面を加熱し、加熱終了後急速に歯車を焼入液中に
移動しながら、前記回転を第2の速度の回転とするか、
或いは、前記回転を停止させるか若しくは一方向に第3
の速度で回転させてから他方向に第3の速度で回転させ
ることを繰り返す揺動回転を行わせると共に、この回転
を持続させたまま、歯車を焼入液中に浸漬させたままに
しておくか、或いは、焼入液中に浸漬させておくと共に
焼入液を歯車に噴射して歯車を冷却する。そして、高周
波電力の密度は、歯面の直径×円周率×歯面の幅で計算
した面積に対して、3 kW/cm2 以上であり、その印
加時間は0.6 秒以内としている。
【0033】このように、請求項1および2記載の歯車
の高周波輪郭焼入方法によって歯車の歯面の焼入を行っ
たときには、加熱時間が1秒以下と短いこと、および加
熱された歯車を焼入液に浸漬して冷却するので、歯車全
体が均一に冷却される結果、従来の浸炭焼入方法や、電
力密度が低く従って電力の印加時間の長い従来の高周波
焼入方法に比べて、歯車の焼入後の歪みを低減すること
ができる上、歯車の歯面に形成された硬化層は、歯面に
沿ってほぼ均一な深さでバラツキが少なく、しかも、歯
先における深さが歯車のピッチ円には到達していない。
従って、これら方法によって焼入された歯車は耐磨耗
性、耐衝撃性に優れており、また、使用時の騒音も少な
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】図2のX−X線矢視断面説明図である。
【図2】本発明の方法を実現できる高周波輪郭焼入装置
の一実施例の一部断面平面説明図である。
【図3】図2のY−Y線矢視断面説明図である。
【図4】予熱コイルの斜視図である。
【図5】歯車の一部の斜視説明図である。
【図6】歯車の平面図である。
【図7】本発明の方法を実現できる高周波輪郭焼入装置
の一実施例によって歯車を焼入したときの結果を示す表
である。
【符号の説明】
10 歯車 11 歯面 18 軸芯 31 加熱コイル 60 ジャケット 45a 、45b 、45c 、46 ワーク自転手段 47 ワーク降下手段 48 ワーク上昇手段 53 ワーク公転手段 L 焼入液

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 モジュールが1.5 〜4 である歯車を高周
    波誘導によって予熱する第1の工程と、第1の工程の
    後、前記歯車に軸芯を中心とする回転をさせ、前記歯車
    の歯面に接近対向するように配設した環状の高周波加熱
    コイルに高周波電力を印加して前記歯面を本加熱する第
    2の工程と、第2の工程の後、前記歯車を焼入液中に浸
    漬するか、或いは、焼入液中に浸漬すると共に焼入液を
    歯車に噴射して冷却する第3の工程とを備え、前記高周
    波電力の前記歯面に対する電力密度は、歯面の直径×円
    周率×歯面の幅で計算した面積に対して、3 kW/cm
    2 以上であり、前記高周波電力の印加時間は0.6 秒以内
    であることを特徴とする歯車の高周波輪郭焼入方法。
  2. 【請求項2】 モジュールが1.5 〜4 である歯車を高周
    波誘導によって予熱する第4の工程と、第4の工程の
    後、前記歯車に軸芯を中心とする第1の速度の回転をさ
    せ、歯車の歯面に接近対向するように配設した環状の高
    周波加熱コイルに高周波電力を印加して前記歯面を加熱
    する第5の工程と、第5の工程の後、急速に歯車を焼入
    液中に移動しながら、前記回転を第2の速度の回転とす
    るか、或いは、前記回転を停止させるか若しくは一方向
    に第3の速度で回転させてから他方向に第3の速度で回
    転させることを繰り返す揺動回転を行わせる第6の工程
    と、歯車の第6の工程における回転を持続させたまま、
    歯車を焼入液中に浸漬させたままにしておくか、或い
    は、焼入液中に浸漬させておくと共に焼入液を歯車に噴
    射して冷却する第7の工程とを備え、前記高周波電力の
    前記歯面に対する電力密度は、歯面の直径×円周率×歯
    面の幅で計算した面積に対して、3 kW/cm2 以上で
    あり、前記高周波電力の印加時間は0.6 秒以内であるこ
    とを特徴とする歯車の高周波輪郭焼入方法。
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