JPH06129512A - 高周波輪郭焼入された歯車 - Google Patents

高周波輪郭焼入された歯車

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JPH06129512A
JPH06129512A JP4307803A JP30780392A JPH06129512A JP H06129512 A JPH06129512 A JP H06129512A JP 4307803 A JP4307803 A JP 4307803A JP 30780392 A JP30780392 A JP 30780392A JP H06129512 A JPH06129512 A JP H06129512A
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JP
Japan
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gear
tooth
high frequency
tooth surface
induction
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Application number
JP4307803A
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English (en)
Inventor
Hiyoshi Watanabe
日吉 渡邊
Yasuo Muto
康夫 武藤
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Fuji Electronics Industry Co Ltd
Original Assignee
Fuji Electronics Industry Co Ltd
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Publication date
Application filed by Fuji Electronics Industry Co Ltd filed Critical Fuji Electronics Industry Co Ltd
Priority to JP4307803A priority Critical patent/JPH06129512A/ja
Publication of JPH06129512A publication Critical patent/JPH06129512A/ja
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/25Process efficiency

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐衝撃性に優れ、歯車の焼入後の歪み、歪み
のバラツキおよびスケールが少なく、従って、研磨工程
を少なくするか省略できる高精度で高強度の高周波輪郭
焼入された歯車を提供することを目的とする。 【構成】 モジュールが1.5 〜4 である歯車10におい
て、高周波誘導焼入によって歯形にほぼ沿って連続して
おり歯先12における深さが歯車10のピッチ円17に到達し
ていない硬化層19が形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、小モジュールの歯車で
あって、高周波輪郭焼入によって、歯形にほぼ沿ってい
る連続した硬化層が形成された歯車に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、高周波焼入によって歯形にほぼ沿
っている連続した硬化層が形成された小モジュールの歯
車は、モジュールが4以下の歯車においては、歯部が芯
部まで硬化しているいわゆるズブ焼入となっているもの
が多い。このような歯車は、耐衝撃値の要求の低い歯車
にしか使用されず、より高い耐衝撃値を要求される歯車
に対しては、浸炭焼入による歯車が使用されてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、歯車に
浸炭焼入を行ったときには、歯車の焼入後の歪みが大き
く、また、歪みのバラツキも大きい。更に、焼入られた
歯面に形成されたスケールが多い。従って、焼入後の研
磨工数も多くかかるという欠点がある。また、モジュー
ルが4より大きい歯車については、加熱時間が数秒間の
高周波加熱を行った後に、焼入液を加熱された歯面に噴
射して輪郭焼入を行う方法も採用されているが、この場
合でも歯車の焼入後の歪みは必ずしも満足すべきもので
はなかった。このように、焼入後の歯車の歪みが大きい
という欠点は、高い強度と精度を要求される歯車におい
ては、特に問題とされてきた。本発明は上記事情に鑑み
て創案されたものであって、耐衝撃性に優れ、しかも、
歯車の焼入後の歪みと、歪みのバラツキが少なく、従っ
て、焼入後の研磨工数が少ないか、或いは焼入後の研磨
を省略することができる高周波輪郭焼入された歯車を提
供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決するため
に、請求項1記載の高周波輪郭焼入された歯車は、モジ
ュールが1.5 〜4である歯車において、高周波誘導焼入
によって歯形にほぼ沿って連続しており歯先における深
さが歯車のピッチ円に到達していない硬化層が形成され
ている。
【0005】請求項2記載の高周波輪郭焼入された歯車
は、モジュールが1.5 〜4である歯車において、前記歯
車は、高周波誘導によって予熱された後、高周波加熱コ
イルに歯面の直径×円周率×歯面の幅で計算した面積に
対して3kW/cm2 以上である電力密度の高周波電力
を0.6 秒以下印加して本加熱され、次いで、焼入液中に
浸漬されることによって歯形にほぼ沿って連続しており
歯先における深さが歯車のピッチ円に到達していない硬
化層が形成されている。
【0006】請求項3記載の高周波輪郭焼入された歯車
は、モジュールが1.5 〜4である歯車において、前記歯
車は、高周波誘導によって予熱されて後、軸芯を中心と
して回転され、歯面に接近対向するように配設した環状
の高周波加熱コイルに歯面の直径×円周率×歯面の幅で
計算した面積に対して3kW/cm2 以上である電力密
度の高周波電力が0.6 秒以下印加されて前記歯面が本加
熱されてから、焼入液中に浸漬されるか、或いは、焼入
液中に浸漬されると共に焼入液が噴射されて冷却される
ことによって歯形にほぼ沿って連続しており歯先におけ
る深さが歯車のピッチ円に到達していない硬化層が形成
されている。
【0007】請求項4記載の高周波輪郭焼入された歯車
は、モジュールが1.5 〜4 である歯車において、前記歯
車は高周波誘導によって予熱されて後、軸芯を中心とし
て第1の速度で回転され、歯面に接近対向するように配
設した環状の高周波加熱コイルに歯面の直径×円周率×
歯面の幅で計算した面積に対して3kW/cm2 以上で
ある電力密度の高周波電力が0.6 秒以下印加されて前記
歯面が本加熱されてから、急速に焼入液中に移動されな
がら、前記回転を第2の速度の回転とされるか、或い
は、前記回転を停止されるか若しくは一方向に第3の速
度で回転されてから他方向に第3の速度で回転されるこ
とを繰り返す揺動回転が行われ、歯車の前記回転が持続
されたまま、歯車を焼入液中に浸漬させたままにしてお
くか、或いは、焼入液中に浸漬させておくと共に焼入液
が歯車に噴射されて冷却されることによって歯形にほぼ
沿って連続しており歯先における深さが歯車のピッチ円
に到達していない硬化層が形成されている。
【0008】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の一実施例の高
周波輪郭焼入された歯車と、この歯車の製造方法を説明
する。図1は高周波輪郭焼入された歯車の一部の斜視説
明図、図2は歯車の平面図、図3は高周波輪郭焼入され
た歯車の歯形曲線の例、図4は浸炭焼入された歯車の歯
形曲線の例、図5は高周波輪郭焼入された歯車と、浸炭
焼入された歯車の比較表、図6は図7のX−X線矢視断
面説明図、図7は歯車に高周波輪郭焼入を行う高周波焼
入装置の一例の一部断面平面説明図、図8は図7のY−
Y線矢視断面説明図、図9は予熱コイルの斜視図であ
る。
【0009】本実施例の高周波輪郭焼入された図2に示
す歯車10は、材質がS55Cであって、モジュール2.0
、歯数63、幅2.5cm のはすば歯車であり、詳細を図1
に示すように、歯形に沿った、即ち、歯面11に沿った硬
化層19が形成されている。そして、硬化層19は、歯先1
2、歯底13、および歯先12と歯底13の間の部分を含む全
ての歯面11に、ほぼ均一な深さに形成された硬化層であ
って、しかも、歯先12での硬化層19の深さは、歯車10の
ピッチ円17にまで到達しないものである。18は歯車10の
軸芯である。
【0010】次に、上記のような硬化層19を歯車10に形
成することができる高周波焼入装置を説明する。図4と
図5に示すように、本実施例の高周波焼入装置には、歯
車10の搬入ステーションA、第1予熱ステーションB1、
第2予熱ステーションB2、第3予熱ステーションB3、本
加熱ステーションC、および搬出ステーションDがあ
る。以下これらのステーションをそれぞれ単にステーシ
ョンA、B1、B2、B3、C、およびDともいう。そして、
基本的な構成として、歯車10の予熱手段、本加熱手段、
冷却手段、自転手段、公転手段、降下手段、および上昇
手段を備えている。
【0011】予熱手段は、予熱コイル21と、この予熱コ
イル21に高周波電力を供給し図示しない高周波電源から
給電されるトランス25とを備えている。予熱コイル21
は、平行で対向するように水平に配設されたほぼ1/3
円弧状の加熱導体22、22と、加熱導体22、22の一端同士
を接続するほぼコ字状の接続導体23と、加熱導体22、22
のそれぞれの他端とトランス25の出力端子とを接続する
1対の電源リードバー24、24とを備えている。
【0012】本加熱手段は、水平に配置された歯車10を
加熱時には取り囲むように水平に配設される環状の高周
波加熱コイル(以下この高周波加熱コイルを単に加熱コ
イルともいう)31と、加熱コイル31に高周波電力を供給
し図示しない高周波電源から給電されるトランス34と、
加熱コイル31とトランス34とを電気的に接続し且つ機械
的に固定する1対の電源リードバー32、32と、トランス
34を矢印Pの方向に降下させ、また矢印Pと反対方向に
上昇させる加熱コイル昇降装置35と、加熱コイル31と一
体的に組み立てられている透明なアクリル製等のコイル
ケース33と、非酸化性或いは還元性のガス(本実施例で
は窒素ガスG) の供給手段39と、加熱コイル31の下方に
水平に配設された環状のガスノズル37と、このガスノズ
ル37の下方に水平に配設された環状の焼入液噴射用のジ
ャケット60と、焼入液供給手段68とを備えている。
【0013】ガスノズル37とガス供給手段39とは可撓性
のガス供給管38によって接続されており、また、ジャケ
ット60と焼入液供給手段68とは、可撓性の焼入液供給管
67によって接続されている。前記コイルケース33は、加
熱コイル31の上面に接着された上端ほぼ閉鎖、下端開放
の上部コイルケース33a と、加熱コイル31の下面に接着
された筒状の下部コイルケース33b とを備えており、上
部コイルケース33a の下端部と下部コイルケース33b の
上端部との間には、複数の絶縁性の接続部材65が加熱コ
イル31の外周面に接触するように橋架されている。各接
続部材65は、その上端近辺および下端近辺がボルト66に
よってそれぞれ上部コイルケース33a および下部コイル
ケース33b に固定されている。
【0014】64は、加熱コイル31の外周面にろう付けさ
れた複数の突起であって、これら突起64には、図示しな
い絶縁性のワッシャとチューブとを介してボルト62が貫
通しており、これらボルト62はナット63によって突起64
に固定されている。ボルト62の下端には、焼入液噴射用
の環状のジャケット60がろう付けによって固定されてい
る。なお、ガスノズル37の内周面には多数のガス噴射孔
37a が開設されており、ジャケット60の内周面には多数
の焼入液噴射孔61が開設されている。また、上部コイル
ケース33a の頂面中央部には、ガス排出孔33c が設けら
れている。42aは、上側コンセントリング42が、歯車10
の加熱中および冷却中に脱落しないようにするための押
さえである。
【0015】焼入液(本実施例では焼入油を使用してい
るが、ポリマー等でもよい) Lが収容されているタンク
71は、その底面73が機械室72の上部に設置されている。
焼入液L中には、タンク71の底面73を水密且つ回転自在
に垂直に貫通している軸52の上端に取り付けられたター
ンテーブル51が配設されている。ターンテーブル51の周
縁近辺には、等間隔に6個の垂直なロッド43が、回転自
在、昇降自在であるようにターンテーブル51を貫通して
取り付けられている。そして、各ロッド43の上端には、
歯車10の下側コンセントリングを兼ねたワーク受け41が
固定されている。42(図3) は上側コンセントリングで
ある。
【0016】なお、コンセントリングとは、歯車10の歯
の形成されていない部分の側面に接触するように形成さ
れている金属製の円板(或いはリング) であって、歯車
10の歯底13の幅方向において、加熱および冷却時の条件
を均一にする役目を持っているので、歯底13の硬化層19
の深さを、歯車10の幅方向において均一にすることがで
きる。
【0017】ターンテーブル51は軸52を介して例えばジ
ェネバ機構のようなワーク公転駆動源53に連結されて間
歇的に回転される。ターンテーブル51が間歇的に回転す
ると、各ロッド43は、順次、ステーションA、B1、B2、
B3、C、およびDを通過してゆくので、各ロッド43に取
り付けられたワーク受け41に載置された歯車10は公転す
ることになる。
【0018】45a 、45b 、45c はロッド43が第1、第
2、第3予熱ステーションB1、B2、B3のそれぞれにいる
間、ロッド43を回転させて歯車10を回転させるワーク自
転手段であって、タンク71の底面73に取り付けられてい
る。46はロッド43が本加熱ステーションCにいる間、ロ
ッド43を回転させるワーク自転手段であって同じくタン
ク71の底面73に取り付けられている。
【0019】47は本加熱ステーションCで歯車10の本加
熱が終わったときに、ロッド43を降下させて歯車10を冷
却液中に浸漬させるワーク降下手段である。また、48
(図7) はロッド43が搬出ステーションDにきたとき
に、ロッド43を上昇させて歯車10を焼入液Lの液面上に
上昇させるワーク上昇手段である。ワーク降下手段47お
よびワーク上昇手段48は機械室72内に設けられている。
【0020】次に、上記高周波焼入装置によって歯車10
を輪郭焼入する方法を説明する。まず、トランス25から
予熱コイル21に連続的に高周波電流を供給すると共に、
ガス供給手段39から本加熱手段のコイルケース33内に窒
素ガスGを送出し、コイルケース内の空気を排出する。
そして、搬入ステーションAにあるワーク受け41上に歯
車10を載置し、載置された歯車10の上面に上側コンセン
トリング42を載置後、押さえ42a によって上側コンセン
トリング42をワーク受け41に固定する。
【0021】ワーク公転手段53を起動すると、歯車10は
第1予熱ステーションB1に至って公転を中止すると共
に、ワーク自転手段45a によって例えば約30rpm で自転
しながら、予熱コイル21によって加熱される。歯車10
は、第2および第3予熱ステーションB2、B3において
も、同様に予熱される。
【0022】歯車10が本加熱ステーションCに到着する
と、加熱コイル31は、加熱コイル昇降装置35によってト
ランス34と共に矢印Pの方向に降下されて、歯車10を取
り囲むように設置される。そして、コイルケース33の下
部は、焼入液L中に浸漬された状態となる。従って、コ
イルケース33の中は、窒素ガスGが充満しており、空気
が侵入する余地は無い。
【0023】次いで、ワーク自転手段46によって歯車10
は予熱のときよりも早い速度、例えば500rpmで回転され
る。次いで、トランス34から高周波電流が加熱コイル31
に約0.2 秒間通電される。この時、加熱コイル31に印加
される高周波電力は、歯車10の歯面の直径円周率×歯面
の幅×で得た面積に対して4kW/cm2 以上である。
歯車10は、歯面の直径が13cm、歯面の幅が2.5cm であ
る。
【0024】歯車10の加熱が終了すると、ワーク降下手
段47によって歯車10は焼入液L中に浸漬される。その
際、ワーク降下手段47によってロッド43が降下されて、
焼入液L中に浸漬されるときの時間は約0.2 秒以内であ
る。また、ワーク自転手段46による歯車10の回転が加熱
終了後0.2 秒以内に極端に低下されて例えば2〜3rpm
になる。歯車10が焼入液L中に浸漬されると、ジャケッ
ト60から焼入液Lが歯車10に所定時間噴射されて歯車10
の焼入を終了する。そして、加熱コイル昇降装置35によ
って加熱コイル31は上昇される。また、焼入性の良い歯
車の場合には、ジャケット60から焼入液Lを噴射せず、
焼入液L中に浸漬して焼入を行うこともある。
【0025】次いでワーク公転手段53によって歯車10が
搬出ステーションDに到着すると、ワーク上昇手段48に
よって歯車10は焼入液Lの液面上まで上昇されるので、
手作業或いはマニピュレータ等によって押さえ42a と上
側コンセントリング42を取り外してから、歯車10を焼入
装置から取り出す。
【0026】1番目の歯車10が第1予熱ステーションB1
に到着したとき、2番目の歯車10が搬入ステーションA
にきたワーク受け41に載置され、以下、1番目の歯車10
と同様に焼入が行われる。3番目以下の歯車10について
も同様である。
【0027】このようにして焼入した歯車10の歯面11に
は、所望の硬化層19、即ち、歯面11に沿ってほぼ均一な
深さで、歯先12での深さが、歯車10のピッチ円17の直径
まで到達していない硬化層が形成されている。
【0028】ここで、高周波輪郭焼入した歯車と、浸炭
焼入した歯車との歯形曲線の測定結果の例を説明する。
図3は、上記と同様にして高周波輪郭焼入された歯車
(但し、この場合の歯車は、材質SCM435調質、モ
ジュール2.5 、歯数26、幅1.5cm の平歯車)に対して精
度測定を行ってえた1つの歯の左右の歯形曲線の例を示
し、図4は、浸炭焼入された歯車(材質SCM415調
質、モジュール2.5 、歯数26、幅1.5cm の平歯車)に対
して精度測定を行ってえた1つの歯の左右の歯形曲線の
例を示す。これらの歯形曲線から分かるように、歯形の
検査範囲(歯形が例えばインボリュート曲線である範
囲)での歯形誤差の焼入後の最大値は、浸炭焼入された
ものよりも高周波輪郭焼入されたものの方が小さくなっ
ている。
【0029】再び、最初に述べた歯車10(材質S55
C、モジュール2.0 、歯数63、幅2.5cmのはすば歯車)
に戻り、この歯車10を100 個、上記と同様にして高周波
輪郭焼入した結果の焼入歪みと、浸炭焼入された100 個
の歯車(材質S15C、モジュール2.0 、歯数63、幅2.5c
m のはすば歯車)の焼入歪みとについて説明する。図5
はこの結果を一覧表にまとめたものであって、この表に
おける数値はμを示している。そして、歯型誤差の平均
値とは、100 個の内の1つの歯車10の等間隔に選定した
4つの歯101 〜104 (図2) の歯型誤差がそれぞれ例え
ば+2μ、+2μ、+4μ、+1μであったときに、こ
れらの平均値は(2+2+4+1) =2.25μであって、
100 個についてのこの2.25μに相当する値の平均値を求
めたものをいう。また歯型誤差の最大値とは、この場合
1個についての最大値は4μであるから、100 個の内で
この4μに相当する値の最大値をいう。
【0030】また、同表において、歯すじ方向誤差の平
均値および歯すじ方向誤差の最大値も、それぞれ、歯形
誤差の場合と同様に、歯すじ方向誤差の平均値は1個の
平均値を求め、これを100 個について平均値を出したも
のをいい、歯すじ方向誤差の最大値は1個の最大値を求
め、これを100 個についてその最大値を出したものをい
う。
【0031】図5に示す表から分かるように、歯形誤差
の平均値、歯形誤差の最大値、歯すじ方向誤差の平均
値、および歯すじ方向誤差の最大値とも、浸炭焼入のも
のは高周波輪郭焼入したものに比べて焼入前のそれより
焼入後の値が極めて大きい。また、高周波輪郭焼入をし
たものでも、大気中における焼入液Lの噴射冷却の場合
は、浸漬(噴射)冷却を伴う本発明の高周波輪郭焼入方
法によって焼入したものと比べると、その値が大きくな
っている。しかも圧力角誤差も浸炭焼入のものが一番大
きく、大気中における焼入液Lの噴射冷却を伴う高周波
輪郭焼入でも多少の圧力角誤差がでているのに対して、
浸漬(噴射)冷却を伴う高周波輪郭焼入方法によって焼
入したものでは圧力角誤差も殆どない。故に、本実施例
の歯車は一番歪みの少ない高精度で高強度の高周波輪郭
焼入された歯車であると言える。
【0032】上記歯車の製造方法では、歯車10を加熱
後、焼入液Lに浸漬して歯車10を冷却するときに、歯車
10の回転を約2〜3rpm の低速回転とした場合を説明し
たが、このような低速回転にこだわるものではなく、回
転を停止したり、或いは、一方向に所定時間上記に類す
る低速回転を行った後、他方向に所定時間同様な低速回
転を行うことを繰り返す揺動回転を歯車10にさせながら
冷却すると、歯車10の歯面がより均一に冷却されてより
均一な深さの硬化層が形成される。
【0033】前記歯車の製造方法では、加熱コイル20に
よる歯車10の予熱を空気中で行う場合を説明したが、こ
の予熱を、本加熱のように、窒素ガスG等の無酸化性ガ
ス或いは水素等の還元性ガスの雰囲気中で、或いは、こ
のようなガスが充満した容器等の中で行うことによっ
て、焼入される歯面11の酸化を防止し、焼入された歯面
11とその近辺表面へのスケールの形成を阻止することに
よって、焼入後のスケールの除去作業を殆ど無くするこ
とができる。なお、予熱と同様、本加熱も大気中で行う
こともできる。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の高
周波輪郭焼入された歯車は、モジュールが1.5 〜4であ
る歯車において、高周波誘導焼入によって歯形にほぼ沿
って連続しており歯先における深さが歯車のピッチ円に
到達していない硬化層が形成されている。従って、この
ような硬化層を有する歯車は、耐衝撃性、耐磨耗性に優
れている。また、歯車にこのような硬化層を形成するに
は、歯車の歯面での高周波電力の誘起時間を、従来に比
べて極めて短くしている。故に、焼入された歯車の歪み
は小さいから、このような歯車は、焼入後の研磨工数が
少ないか、或いは研磨工数を省略できる。
【0035】請求項2〜4記載の高周波輪郭焼入された
歯車は、焼入時の加熱時間が1秒以下と短いこと、およ
び加熱された歯車は焼入液に浸漬されて冷却されるの
で、歯車全体が均一に冷却される結果、従来の浸炭焼入
方法や、電力密度が低く従って電力の印加時間の長い従
来の高周波焼入方法、或いは噴射冷却を伴う高周波輪郭
焼入方法によって焼入された歯車に比べて、歯車の焼入
後の歪みが低減されているので、使用時の騒音が少な
く、また、焼入後の研磨工数が少ないか、或いは、研磨
を省略できる。そして、歯面に形成された硬化層は、歯
面に沿ってほぼ均一な深さでバラツキが少なく、しか
も、歯先における深さが歯車のピッチ円には到達してい
ないので、耐衝撃性、耐磨耗性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の高周波輪郭焼入された歯車
の一部の斜視説明図である。
【図2】歯車の平面図である。
【図3】高周波輪郭焼入された歯車の歯形曲線のであ
る。
【図4】浸炭焼入された歯車の歯形曲線の例である。
【図5】高周波輪郭焼入された歯車と、浸炭焼入された
歯車の比較表である。
【図6】図7のX−X線矢視断面説明図である。
【図7】歯車に高周波輪郭焼入を行う高周波焼入装置の
一例の一部断面平面説明図である。
【図8】図7のY−Y線矢視断面説明図である。
【図9】予熱コイルの斜視図である。
【符号の説明】
10 歯車 11 歯面 12 歯先 17 ピッチ円 18 軸芯 19 硬化層 21 予熱コイル 31 加熱コイル 60 ジャケット 45a 、45b 、45c 、46 ワーク自転手段 47 ワーク降下手段 48 ワーク上昇手段 53 ワーク公転手段 60 ジャケット L 焼入液

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 モジュールが1.5 〜4である歯車におい
    て、高周波誘導焼入によって歯形にほぼ沿って連続して
    おり歯先における深さが歯車のピッチ円に到達していな
    い硬化層が形成されていることを特徴とする高周波輪郭
    焼入された歯車。
  2. 【請求項2】 モジュールが1.5 〜4である歯車におい
    て、前記歯車は、高周波誘導によって予熱された後、高
    周波加熱コイルに歯面の直径×円周率×歯面の幅で計算
    した面積に対して3kW/cm2 以上である電力密度の
    高周波電力を0.6 秒以下印加して本加熱され、次いで、
    焼入液中に浸漬されることによって歯形にほぼ沿って連
    続しており歯先における深さが歯車のピッチ円に到達し
    ていない硬化層が形成されていることを特徴とする高周
    波輪郭焼入された歯車。
  3. 【請求項3】 モジュールが1.5 〜4である歯車におい
    て、前記歯車は、高周波誘導によって予熱されて後、軸
    芯を中心として回転され、歯面に接近対向するように配
    設した環状の高周波加熱コイルに歯面の直径×円周率×
    歯面の幅で計算した面積に対して3kW/cm2 以上で
    ある電力密度の高周波電力が0.6 秒以下印加されて前記
    歯面が本加熱されてから、焼入液中に浸漬されるか、或
    いは、焼入液中に浸漬されると共に焼入液が噴射されて
    冷却されることによって歯形にほぼ沿って連続しており
    歯先における深さが歯車のピッチ円に到達していない硬
    化層が形成されていることを特徴とする高周波輪郭焼入
    された歯車。
  4. 【請求項4】 モジュールが1.5 〜4 である歯車におい
    て、前記歯車は高周波誘導によって予熱されて後、軸芯
    を中心として第1の速度で回転され、歯面に接近対向す
    るように配設した環状の高周波加熱コイルに歯面の直径
    ×円周率×歯面の幅で計算した面積に対して3kW/c
    2 以上である電力密度の高周波電力が0.6 秒以下印加
    されて前記歯面が本加熱されてから、急速に焼入液中に
    移動されながら、前記回転を第2の速度の回転とされる
    か、或いは、前記回転を停止されるか若しくは一方向に
    第3の速度で回転されてから他方向に第3の速度で回転
    されることを繰り返す揺動回転が行われ、歯車の前記回
    転が持続されたまま、歯車を焼入液中に浸漬させたまま
    にしておくか、或いは、焼入液中に浸漬させておくと共
    に焼入液が歯車に噴射されて冷却されることによって歯
    形にほぼ沿って連続しており歯先における深さが歯車の
    ピッチ円に到達していない硬化層が形成されていること
    を特徴とする高周波輪郭焼入された歯車。
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