JPH06100033B2 - 構造物の免震装置 - Google Patents

構造物の免震装置

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JPH06100033B2
JPH06100033B2 JP59121517A JP12151784A JPH06100033B2 JP H06100033 B2 JPH06100033 B2 JP H06100033B2 JP 59121517 A JP59121517 A JP 59121517A JP 12151784 A JP12151784 A JP 12151784A JP H06100033 B2 JPH06100033 B2 JP H06100033B2
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seismic isolation
foundation
sliding plate
slide plate
isolation device
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隆史 藤田
昇 成川
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Description

【発明の詳細な説明】 〔本発明の技術分野〕 本発明は、構造物の免震装置に係り、特に、地震の規模
に応じた免震作用を行なわせることができるようにした
免震装置に関する。
〔発明の背景技術とその問題点〕
地震力によつて大型構造物が破壊されるのを防止するた
めに、従来、各種の免震装置が考えられている。これら
免震装置は、一般に、第5図中Xで示すように構造物1
の下面と地盤2上に設けられた基礎3との間に複数介挿
され、構造物1の荷重を支持しながら免震作用を発揮す
るように構成されている。そして、これら免震装置X
は、具体的には第6図あるいは第7図に示すように構成
されている。すなわち、第6図に示すものは、基礎3の
上面に支持台4を固定し、この支持台4と構造物1の下
面との間に支持体5を介在させたものとなつている。支
持体5は、防振ゴムあるいは積層ゴム等で構成された水
平方向に可撓性を有する弾性材6と、この弾性材6の
上,下端に固定された上,下端板7,8とで構成されてい
る。そして、上端板7が構造物1の下面に、また下端板
8が支持台4の上面にそれぞれ固定されている。一方、
第7図に示すものは、構造物1の下面にすべり板9を固
定し、このすべり板9の下面に、その上面をすべり面と
した上端板7が圧接するように支持体5を配置したもの
となつている。
しかして、これらの免震装置は、地震力が基礎3、支持
台4に伝わると、第6図に示すものにあつては、弾性材
6で形成された支持体5が変形し、その地震エネルギを
弾性材6の変形エネルギとして畜え、これよつて構造物
1に伝わろうとする地震力を減少させるようにしてい
る。また、構造物1と免震装置Xとを組合せた系の固有
振動数を構造物自体の固有振動数と異ならせておき、こ
れによつて共振現象の発生を避けるようにしている。し
たがつて、免震装置Xの変形量は大きくなるが構造物1
自体の変形量は小さく抑えられ、構造物1の耐震性を向
上させることができる。
一方、第7図に示す免震装置Xでは、小さな地震力に対
しては第6図に示した装置と全く同じ動作を行なう。そ
して、ある一定以上の大きな地震力が伝わつた場合、つ
まり、構造物1とすべり板9との間に加わる力がすべり
板9の摩擦力(すべり板9の静摩擦係数とすべり板9の
1個当りにかかる重量との積)以上になつたとき、すべ
り板9と上端板7との間にすべりが生じ、この摩擦力以
上の地震力を伝えないようにしている。このように、こ
のすべりと弾性材6の変形とによつて構造物1に伝わろ
うとする地震力を減少させるようにしている。上記のよ
うにすべり板9と上端板7との間にすべりが生じている
状態では、前述した摩擦力以上の力は構造物1に伝達さ
れず、また、構造物1のすべり面に生じる加速度は、摩
擦係数と重力加速度との積以上には増大しない。また、
すべり現象によつて、すべり量と摩擦力との積に相当す
る振動エネルギが消散される。したがつて、全体の振動
の低減化に効果を発揮することになる。なお、第7図に
示す免震装置に加わる水平方向の荷重Fと基礎−構造物
間の変位量δとの関係は、たとえば、一定振幅で振動す
る場合を考えると第8図に示すようになる。図中で示
す部分が地震力が伝わつた直後に支持体5が変形する状
態を、で示す部分がすべりの生じた状態を、で示す
部分が反対方向に支持体5が変形している状態を示して
いる。そして、この図の線で囲まれた部分の面積が振動
一周期当りに消費するエネルギとなる。
しかしながら、上記のように構成された従来の免震装置
にあつては次のような問題があつた。すなわち、第6図
に示したものにあつては、確かにある程度の免震効果が
得られる。しかし、支持体5の上端部を構造物1に固定
するとともに下端部を基礎3に固定し、弾性材6の変形
によるエネルギ吸収だけで免震効果を発揮させるように
しているので、原理上、地震エネルギの吸収に限度があ
る。このため、この装置では、高々、強震程度の、いわ
ゆる中規模地震までしか免震効果を発揮させることがで
きない。上記以上の大きな地震の場合には、弾性材6の
変形量が大きくなり、強度的に上記弾性材6が破壊する
可能性がある。構造物のなかには、その破壊による環境
等への影響から、どのような大地震に遭遇しても構造物
そのものが破壊されるのを防がなければならないものが
ある。このような構造物についてはほとんど適用できな
い。
また、第7図に示した免震装置Xにあつては、地震力が
ある値を越えると、すべり板9と上端板7との間にすべ
りが生じるので、激震を越える、いわゆる巨大地震に遭
遇した場合でも構造物そのものの破壊を防止することが
できる。しかし、すべりが生じる地震力の大きさを高く
設定すると、それ以下の地震力の範囲では弾性材6の変
形によるエネルギ吸収のみによつて免震効果を発揮させ
なければならず、このように設定すると、第6図に示し
た装置と同様な問題が生じる。このため、すべりが生じ
る地震力の大きさを比較的低く設定する必要がある。こ
のように低く設定すると、強震程度の地震でもすべりが
生じることになる。すべりが生じた場合、上述した構造
では地震が終了したとき、必ず、すべりによる変形が生
じ構造物1は初期位置に戻らず、基礎3と構造物1との
間に残留変位が生じる。強震程度の中規模地震は比較的
発生頻度が高いので、このような地震に遭遇する都度、
すべり板9と基礎3との相対位置関係を元に戻す必要が
あり、大掛りな複帰作業を行なわなければならない。し
たがつて、構造物を含むシステム全体の稼動率の低下や
経済的な不利を免れ得ない。
〔発明の目的〕
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、そ
の目的とするところは、原理上、どのような巨大地震に
遭遇した場合でも対象とする構造物の破壊を防止できる
機能をもち、しかも比較的頻度の高い数10年〜数100年
に1回程度の小規模から中規模地震あるいは数100年〜
数1000年に1回程度の大規模地震終了後でも上記構造物
を含むシステム全体の速やかな運転再開に寄与できる構
造物の免震装置を提供することにある。
〔発明の概要〕
本発明によれば、対象とする構造物の下面に第1のすべ
り板が固定され、この第1のすべり板の下面に上記第1
のすべり板に接して第2のすべり板が設けられる。そし
て、上記第2のすべり板と基礎との間に弾性を有した第
1の支持機構が設けられる。また、上記第2のすべり板
と基礎との間に上記第2のすべり板に直接または間接に
圧接し、前記第1の支持機構と並列で、かつ上下方向の
み弾性を有した第2の支持機構が設けられる。そして、
上記第2の支持機構は軸心線を上下方向にして前記基礎
に固定された案内筒と、この案内筒内に昇降自在に挿着
された摺動体と、前記案内筒内で、かつ前記摺動体と前
記基礎との間に昇降自在に挿着されるとともに上記基礎
側に位置する部分に下方に向かうにしたがつて小径とな
るテーパ面を有した押上げ部材と、この押上げ部材と前
記摺動体との間に介挿された弾性材と、前記押上げ部材
と前記基礎との間に設けられ上記押上げ部材および前記
弾性材を介して前記摺動体を前記第2のすべり板の下面
に所要の圧力で押し付けるジヤツキと、前記押上げ部材
に設けられたテーパ面に密接し得る傾斜面を有し、前記
ジヤツキでの押し付け力設定後に上記傾斜面を上記テー
パ面に密接させた状態で前記基礎に固定されて上記押上
げ部材の下方への移動を阻止するくさび部材とで構成さ
れている。
〔発明の効果〕
上記構成であると、第1のすべり板と第2のすべり板と
の間の摩擦力F0と、第2のすべり板と第2の支持機構と
の間の摩擦力F1との設定によつて次のような免震作用を
行なわせることができる。すなわち、今、第1のすべり
板と第2のすべり板との間に加わる荷重をP0とし、両板
間の摩擦係数(ただし静摩擦係数と動摩擦係数とが等し
いと仮定する。)をμとし、同じく第2のすべり板と
第2の支持機構との間のそれをP1とする。この場
合には第1のすべり板と第2のすべり板との間に構造物
の全荷重P0が加わり、また、第2のすべり板と第2の支
持機構との間には上記荷重P0を第1の支持機構とで分担
した荷重P1が加わるのでP0>P1の関係になる。したがつ
て上述した摩擦力F0,F1は、 となる。この式から判るようにF0>F1の関係に設定する
ことは容易である。今、上記関係(F0>F1)に設定され
ているものとすると、このような摩擦力を受けている2
個所において構造物がすべり出す加速度は、それぞれ、 となる。但し、gは重力加速度である。上記関係から
である。これらの関係から次のように云える。
すなわち、地震動の最大加速度が未満の範囲では、
基礎から入つた地震動が免震装置をそのまま通つて構造
物に伝えられる。つまり未満の範囲の地震動では、
この免震装置は何ら作動しない。一方、地震動の最大加
速度がを越え、構造物自体に生じる加速度が
満の範囲では、第2のすべり板と第2の支持機構との間
にすべりが生じ、同時に第1の支持機構もそのすべり量
と同じだけ変形する。したがつて、この範囲のときには
第1の支持機構の変形によるエネルギ吸収と、すべり摩
擦によるエネルギ消費との両方で構造物の振動を抑制す
ることになる。また、地震動により、構造物に生じる最
大加速度がを越える範囲においては、第2のすべり
板と第2の支持機構との間にすべりが生じるとともに第
1の支持機構が上記すべり量と同じ量だけ変形し、さら
に第1のすべり板と第2のすべり板との間にもすべりが
生じる。したがつて、この場合には、両すべり面のすべ
り摩擦によるエネルギ消費および第1の支持機構の変形
によるエネルギ吸収によつて構造物の振動を抑制するこ
とになる。このとき構造物下面のすべり面の加速度は
以上にはならない。
このように、地震動による地震力に応じた免震動作を行
なわせることができる。このことは、第2の支持機構の
構成との関連において次のような意味をもつ。すなわ
ち、大型構造物の場合、通常、強震程度の、いわゆる数
10年〜数100年に1回程度発生する中規模地震に対して
は耐えられるように設計される。しかし、激震程度の、
いわゆる数100年〜数1000年に1回程度発生する大規模
地震や今まで経験したことのない、いわゆる数1000年〜
数万年に1回程度しか発生しない巨大地震に対しては果
して耐えられるかどうか不明の点が多い。したがつて、
安全面、経済面等を考慮すると、(a)中規模以下の地
震では、構造物そのものがすでに耐力を備えているので
格別、免震装置を動作させなくても十分であること、
(b)強震、激震等の大規模地震の場合には構造物を保
護できるとともに地震がおさまつた時点から速やかに運
転再開ができることが望ましいこと、(c)今まで経験
したことのない巨大地震に遭遇したときには少なくとも
構造物の健全性さえ確保できればよいこと、と云つた考
えが成り立つ。特に原子炉建家のように、その健全性、
安全性を厳しく規制された構造物の場合にはこの考え方
が現実的である。
本発明装置は、上述した思想を実現するのに最も適して
いる。すなわち、前述のように摩擦力F0,F1の設定によ
つて、加速度以下の領域を中規模地震以下の地震に
対応させ、加速度を越え未満の領域を大規模地
震に対応させ、加速度を越える領域を巨大地震に対
応させることが容易にできる。そして、この場合、構造
物の強度は加速度を若干越える加速度に耐え得る構
造であればよい。また現実には、発生確率から大規模地
震以下がほとんどであり、この範囲内で構造物の通常の
機能が妨げられないようにすればよい。本発明装置で
は、第2のすべり板と第2の支持機構との間のすべり摩
擦によるエネルギ消費と、第1の支持機構の変形による
エネルギ吸収とを並用させて振動抑制を行なわせるよう
にしているので、従来装置のように弾性材の変形だけで
エネルギを吸収させたものに較べて振動抑制の行なえる
上限を拡大することができ、それだけ確実に免震効果を
発揮させることができる。また、大規模地震に遭遇する
と、地震がおさまつた時点において、第2のすべり板と
第2の支持機構との間の摩擦力と第1の支持機構の復元
力とが釣りあつた位置で構造物が請止し、構造物と基礎
との担対位置がずれた状態で静止するが、ジヤツキを動
作させるとともにくさび部材を取外すことによつて第2
の回転機構の圧接力を零に設定すれば第1の支持機構の
復元力で構造物と基礎との相対位置を元に自動的に戻す
ことができる。したがつて、従来のすべり機構を備えた
装置とは違つて地震がおさまつた時点から運転再開まで
に要する時間およびコストを大幅に短縮することがで
き、対象とする構造物を含むシステムの稼動率を向上さ
せることができる。一方、発生確率が極端に小さい破壊
的な巨大地震に遭遇した場合には、第1のすべり板と第
2のすべり板との間にすべりが生じて、十分免震される
ので構造物自体が破壊されるようなことはなく、したが
つて、構造物の安全性あるいは健全性は十分確保され
る。
〔発明の実施例〕
以下、本発明の実施例を説明する。
第1図において、図中11は対象とする構造物を示し、12
は図示しない地盤上に固定された基礎を示し、13は基礎
12の上面に固定された支持台を示している。
しかして、構造物11の下面と支持台13との間には上記構
造物11の荷重を支持するとともに免震機能を発揮する免
震装置14が設けられている。なお、図では1つの免震装
置しか示されていないが、構造物11の大きさ等によつて
複数設けられる。
免震装置14は、大きく分けて構造物11の下面に固定され
た第1のすべり板15と、この第1のすべり板15の下面に
接して配置された上記すべり板15より小面積の第2のす
べり板16と、この第2のすべり板16の下面周縁部とこれ
に対向する支持台13の上面との間に介挿された第1の支
持機構17と、第2のすべり板16の下面中央部に固定され
た補助すべり板18とこれに対向する支持台13の上面との
間に介挿された第2の支持機構19とで構成されている。
第1の支持機構17は、防振ゴムを加工あるいは積層して
筒状に形成された弾性材あるいは円板状ゴム板と円板状
の金属板を交互に積層して形成された円柱体を周方向に
複数配置してなる弾性材21によつて構成されており、こ
の弾性材21の上端は直接あるいは図示しない固定板を介
して第2のすべり板16の下面に固定され、また、その下
端は固定板22を介して支持台13の上面に固定されてい
る。
一方、第2の支持機構19は、軸心線を上下方向にして支
持台13の上面に固定された筒状の案内筒23と、この案内
筒23内にいわゆる底壁を上にして上下方向に昇降自在に
装着された有底筒状の摺動体24と、上端部が上記摺動体
24内に位置するとともに下端部が支持台13に設けられた
孔25内に位置して昇降自在に設けられた押上げ部材26
と、この押上げ部材26と前記摺動体24との間に介挿され
た弾性体、たとえば皿ばね27と、支持台13に設けられた
孔28内に、その押圧部を前記押上げ部材26の下端面に選
択的に当接させ得る関係に装着された油圧ジヤツキ29
と、前記押上げ部材26の下方への移動を阻止するくさび
部材30a,30bとで構成されている。押上げ部材26の上端
部で、かつ支持台13側に位置する部分には、下方に向か
うにしたがつて小径となるテーパ面31が形成されてい
る。また、くさび部材30a,30bは、押上げ部材26に形成
されたテーパ面31に密接し得る傾斜面32を有しており、
この傾斜面32の設けられている側を案内筒23の側壁に形
成された孔33を通して挿入し、上記傾斜面32を押上げ部
材26のテーパ面32に密接させた状態でボルト34で支持台
13に固定され、これよつて押上げ部材26の下方への移動
を阻止するようにしている。また、前記補助すべり板18
の外周には、一部が下方へ突出する関係にストツプリン
グ35が装着されており、このストツプリング35の内面に
は緩衝リング36が装着されている。
しかして、上記のように構成された免震装置14は、第1
のすべり板15と第2のすべり板16との間の摩擦力F0に対
して補助すべり板18と第2の支持機構19、つまり摺動体
24との間の摩擦力F1がF0>F1の関係に設定され、また、
第1のすべり板15と第2のすべり板16との間にすべりが
生じる加速度に対して補助すべり板18と摺動体24と
の間にすべりが生じる加速度の関係に
設定される。さらに、詳細に説明すると、たとえば、上
記条件を満し、かつを中規模地震のときの最大加速
度を僅かに越える値に設定し、また、を大規模地震
のときに構造物11が許容し得る最大加速度値に設定して
使用に供される。なお、上記の設定は、すべり面におけ
る静摩擦係数、すべり面に加わる荷重分配等によつて行
なわれる。また、構造物11の各部は加速度を若干越
える加速度に耐えられるように製作される。
このような構成であると、中規模地震、すなわち、地震
動の最大加速度が以下の地震に遭遇した場合には、
第2図(a)に示すように免震機能を格別発揮しない。
したがつて、地震動が免震装置14を介してそのまま構造
物11に伝達される。前述のように構造物11は加速度
を若干越える加速度まで耐え得るように製作されている
ので、上記地震動によつて構造物11が破壊されることは
ない。
また、大規模地震、すなわち地震動により、構造物11に
生じる最大加速度がを越え未満の地震に遭遇し
た場合には、第2図(b)に示すように補助すべり板18
と摺動体24との間にすべりが生じ、これに伴なつて弾性
材21も上記すべり量δと等しい量だけ変形する。した
がつて、この場合にはすべり摩擦によりエネルギ消費と
第1の支持機構17、つまり弾性材21の変形によるエネル
ギ吸収とによつて構造物11の振動が抑制される。構造物
11はを若干越える加速度まで耐えられるように製作
されているので破壊されることはない。したがつて、こ
の場合は振動の振幅を抑制することが主となる。そし
て、このときに免震装置14に加わる水平方向の荷重Fと
変位量δとの関係は第3図に示すようになり、図中線で
囲まれた部分の面積が振動一周期当りのエネルギ消費量
となる。は第2の支持機構が作用している状態、は
第1の支持機構と第2の支持機構の摩擦力が作用してい
る状態、は各支持機構に反対方向に力が作用する状態
を示す。
なお、この場合、地震がおさまつた時点では、第2図
(b)に示した状態に近い状態で安定する可能性が大き
い。したがつて、これを第2図(a)に示す初期相対位
置関係に戻す必要がある。この復帰操作は次のようにし
て簡単に行なえる。すなわち、油圧ジヤツキ29で押上げ
部材26を所定距離押上げ、この状態でくさび部材30a,30
bを取り外し、その後に油圧ジヤツキ29を下降させて摺
動体24の圧接力を、たとえば零に設定する。このように
設定すると、摩擦力が零となるので弾性材21の復元力に
よつて構造物11と基礎12との相対位置が自動的に初期の
正常関係に戻る。したがつて、この状態で油圧ジヤツキ
29を用いて再設定すればよく、地震がおさまつた時点か
ら短時間に構造物11を含むシステムを運転再開させるこ
とができる。
一方、今まで経験したことのない巨大地震に遭遇した場
合、つまり地震により構造物11に生じた加速度が
越える地震に遭遇したときには、第2図(c)に示すよ
うに補助すべり板18と摺動体24との間にすべりが生じる
とともに弾性体21に変形が生じ、しかも第1のすべり板
15と第2のすべり板16との間にすべりが生じ、これらの
すべり摩擦によるエネルギ消費および変形によるエネル
ギ吸収によつて構造物11の振動が抑制される。構造物11
には加速度を越える加速度が生じることがなく、ま
た、構造物11は加速度を若干越える加速度まで耐え
られるように製作されているので、結局、構造物11が破
壊するようなことはない。したがつて、この場合には構
造物11に加速度を越える加速度が発生しないように
抑制することが主となる。また、このときに免震装置14
に加わる水平方向の振動一周期当りの荷重Fと変位量δ
との関係は第4図に示すようになる。なお、は第1,第
2のすべり板との間にすべりが生じている状態を示して
いる。
このように、数千年〜数万年に1回程度の巨大地震に遭
遇した場合でも対象とする構造物11の破壊を確実に防止
することができる。また、特に、大規模地震に遭遇した
場合でも構造物11の振動を効果的に抑制でき、しかも地
震がおさまつた後は速やかに運転を再開させることがで
き、結局、前述した効果が得られる。
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものでは
ない。すなわち、実施例においては説明しなかつたが第
2の支持機構19の圧接力を設定するには押上げ部材26の
テーパ面31に対するくさび部材30a,30bの傾斜面32の密
接位置を調整することによつて簡単に行なうことができ
る。また、油圧ジヤツキに代えて歯車とねじとを組合せ
たねじ式ジヤツキや、水圧式ジヤツキを用いてもよい。
また、圧接力を付与するものとしては皿ばねに限らずコ
イルスプリング、輪ばね、竹のこばねなどの剛性が高く
耐久性のあるものが適している。また、第2のすべり板
の下面にすべり面を設定することにより補助すべり板18
を省略することもできる。但し、ストツプリング27およ
び緩衝リング28に相当するものは設ける必要がある。な
お、ストツプリングと第2の支持機構との間の水平方向
のすき間の長さは、第1の支持機構の変形による強度限
界以下の変位量に相当する長さに設定すればよい。さら
に、第1のすべり板15は構造物11の下面形成壁と兼用さ
せてもよい。また、支持台13と基礎12とを兼用させるこ
ともできる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例に係る免震装置の縦断面図、
第2図(a)(b)(c)は同装置の地震規模と免震作
用との関係を説明するための図、第3図は第2図(b)
に示す形態において免震装置に加わる荷重と変位量との
関係を示す図、第4図は同じく第2図(c)に示す形態
における荷重と変位量との関係を示す図、第5図は構造
物と基礎との間に免震装置を介在させた一般的な例を示
す図、第6図および第7図は従来の免震装置をそれぞれ
説明するための断面図、第8図は第7図に示した装置に
加わる荷重とたわみ量との関係を示す図である。 11……構造物、12……基礎、13……支持台、14……免震
装置、15……第1のすべり板、16……第2のすべり板、
17……第1の支持機構、18……補助すべり板、19……第
2の支持機構、23……案内筒、24……摺動体、26……押
上げ部材、27……皿ばね、29……油圧ジヤツキ、30a,30
b……くさび部材。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】対象とする構造物の下面に固定される第1
    のすべり板と、この第1のすべり板の下面に当てがわれ
    た第2のすべり板と、下端側が構造物の基礎に固定さ
    れ、上端側が前記第2のすべり板に固定された弾性を有
    する第1の支持機構と、下端側が前記基礎に固定され、
    上端側が前記第2のすべり板の下面に直接または間接に
    圧接状態に設けられて前記構造物の荷重を前記第1の支
    持機構とで分担支持する上下方向のみ弾性を有した第2
    の支持機構とを具備し、 前記第2の支持機構が、軸心線を上下方向にして前記基
    礎に固定された案内筒と、この案内筒内に昇降自在に挿
    着された摺動体と、前記案内筒内で、かつ前記摺動体と
    前記基礎との間に昇降自在に挿着されるとともに上記基
    礎側に位置する部分に下方に向かうにしたがって小径と
    なるテーパ面を有した押上げ部材と、この押上げ部材と
    前記摺動体との間に介挿された弾性材と、前記押上げ部
    材と前記基礎との間に設けられ上記押上げ部材および前
    記弾性材を介して前記摺動体を前記第2のすべり板の下
    面に所要の圧力で押し付けるジャッキと、前記押上げ部
    材に設けられた前記テーパ面に密接させた状態で前記基
    礎に固定されて上記押上げ部材の下方への移動を阻止す
    るくさび部材とで構成されており、 前記第1のすべり板と前記第2のすべり板との間の摩擦
    力が前記第2のすべり板と前記第2の支持機構との間の
    摩擦力より大に設定されており、かつ前記構造物が前記
    第1のすべり板と前記第2のすべり板との間にすべりを
    生じさせる水平方向の加速度に耐える強度に構成されて
    いることを特徴とする構造物の免震装置。
  2. 【請求項2】前記第1のすべり板は、前記構造物の下面
    形成壁と兼用されたものであることを特徴とする特許請
    求の範囲第1項記載の構造物の免震装置。
  3. 【請求項3】前記第1の支持機構は、防振ゴムまたは積
    層ゴムを主体にして構成されたものであることを特徴と
    する特許請求の範囲第1項記載の構造物の免震装置。
  4. 【請求項4】前記第1の支持機構は、水平方向に複数に
    分割されたものであることを特徴とする特許請求の範囲
    第1項記載の構造物の免震装置。
  5. 【請求項5】前記第2のすべり板は、この第2のすべり
    板と前記第2の支持機構との間の相対的なすべり量を所
    定範囲に規制する機構を包含したものであることを特徴
    とする特許請求の範囲第1項記載の構造物の免震装置。
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JPS5844137A (ja) * 1981-09-10 1983-03-15 株式会社ブリヂストン 免震支持装置

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