JPH059861Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 《産業上の利用分野》 本考案は、車両用シートに装備されるリクライ
ニング装置に関し、特に傾動位置を認識可能にし
たシートリクライニング装置に関する。

《従来の技術》 シートリクライニング装置は、一般にシートバ
ツク側に取付けられる回動アームと、シートクツ
シヨン側に取付けられて前記回動アームの回動端
をロツク機構を介してロツクするベースと、前記
ロツク機構に連繋された操作ノブとを備え、操作
ノブによつて回動アームのロツクを解除してシー
トバツクを所望角度に傾倒調整できるようになつ
ている。またシートの一側部に設けられたリクラ
イニング装置の外側をフイニツシヤなどのカバー
によつて覆うことで、リクライニング装置を含め
たシート全体の外観を保持するとともに座者の邪
魔にならないようにしている。

《考案が解決しようとする問題点》 ところで、前記リクライニング装置によつてシ
ートバツクを調整する場合は、操作ノブによつて
回動アームのロツクを解除した状態にして、座者
の背部で直接シートバツクを押したり、逆にシー
トバツクから背部を離すことでシートバツクをリ
ターンスプリングなどによつて回動して行う。換
言すると、リクライニング操作は、目視すること
なく座者の勘によつて傾動角が設定されているの
で、シートバツクの正確な傾動角を確認できず、
実際には望んだ通りの傾動角に調整されていない
ことがある。また工場においてシートを車両に組
付けるときなどにシートバツクの標準傾動角を確
認すうことができないという問題もある。

従来のリクライニング装置の中には、傾倒調整
過程において、この傾倒調整にしたがつて例えば
歯部と係止部との噛合位置を移動させて一段づつ
係合音を発生させて角度調整を認知できるように
したものもあるが、これらはいずれもラチエツト
等のリクライニング装置を構成する本来の部品を
利用するものとなつているため、いずれも、歯部
と係止部との相対的噛合位置、リクライニング装
置の本来の構成部品の配置関係で自ずから決定さ
れてしまい、独自に調整することはできず、この
ため、係合音を発する傾動角を選択することがで
きないこととなる。

尚、リクライニング操作を電動コントロール化
したシートリクライニング装置などには、シート
バツクを所定の傾動角に予め記憶させておくこと
ができるニユートラルメモリーを備えたものが知
られているが、この場合には専用のメモリー機構
が必要となり、高価になつてしまうという問題が
ある。

本考案は、このような事情に鑑みなされたもの
で、安価な構成でシートバツクの傾動角を容易に
認識することができるシートリクライニング装置
を提供することを目的とする。

《問題を解決するための手段》 すなわち、本考案は、ベースに対して角度調整
可能に設けられた回動アームを備えたシートリク
ライニング装置であつて、前記アームに一対の突
部および凹部を有する突起部材を設けると共に、
前記ベースに取付けられるカバーに、前記アーム
を前記ベースに回転可能に取付けるための支軸の
貫通孔を設け且つこの貫通孔と同心円のガイド溝
部を形成して、該ガイド溝部に操作ノブを遊嵌
し、該操作ノブにより前記突起部材の突部および
凹部に弾発的に衝接する爪を有する当接部材を前
記カバーに設けてあり、該当接部材および突起部
材の衝接によつて前記角度調整時に発音するよう
にしたことを特徴とする。

《作用》 リクライニング操作時にアームが所定の角度に
回動したときに、当接部材が突起部材の突部から
凹部に移動した時、互いに衝接して音を発生し、
この音を聞いて、座者はアームによつて回動され
るシートバツクの傾動角を認識する。

《実施例》 以下、図面を参照して本考案の実施例を説明す
る。

第１図は本考案の第１実施例を示したシートリ
クライニング装置の要部分解斜視図である。図に
おいて、シートリクライニング装置は、シートバ
ツク側に取付けられ、かつ突起部材８を有する回
動アーム１と、シートクツシヨン側に取付けられ
るベース４と、ベース４に設けられて前記アーム
１を角度調整するロアツース２およびレバー３
と、シートクツシヨン側部に装着されて前記ベー
ス４を覆うカバーとしてのフイニツシヤ５と、前
記アーム１の突起部材８に衝接可能に設けられた
当接部材としてのバネ部材９とを備えている。

前記回動アーム１は、ベース４に対して支軸６
により回動自在に取付けられるとともに、リター
ンスプリング７によつて逆時計回りに付勢されて
いる回動アーム１の回動端周縁部には支軸６と同
心円上に歯部１２が形成されており、歯部１２の
一部にロアツース２の上辺に設けられた歯部２１
が噛合して回動アーム１の回動をロツク可能とし
ている。またロアツース２はベース４にピン２２
により回動自在に取付けられ、レバー３によつて
歯部１２に対する歯部２１の係合を離脱して回動
アーム１の回動を許容する。すなわちレバー３の
下端部には、前記ロアツース２の回動端を係止す
るローラ３１が突設されており、レバー３の一端
部を設けた操作ノブ３２を図示しないバネの付勢
圧に抗して矢印方向に引上げることにより、ロー
ラ３１が取付ピン３３を回動中心として揺動す
る。この揺動によつてロアツース２は逆時計回り
に回動して、歯部２１と歯部１２との噛合が離脱
され、シートバツクは支軸６の回りをアーム１と
一体に傾動可能となる。またシートバツクが所望
の傾動角になつたときに操作ノブ３２を戻せば、
ロアツース２が元の位置に復帰して歯部２１と歯
部１２とが噛合してロツクされる。このような角
度調整機構については従来と同一構成となつてい
るが、このシートリクライニング装置ではさらに
角度調整されるシートバツクの傾動位置が移動す
ることによつてアーム１に設けられた突起部材８
がバネ部材９に衝接して発音して、傾動位置を認
識可能としており、以下にこの点について詳細に
説明する。

前記突起部材８は、樹脂板などを波形に折曲形
成したもので、第２図イおよびロに示す如く一対
の突部８ａと凹部８ｂを有する構造となつてい
る。この突起部材８はアーム１の外壁面に溶着等
により固定され、アーム１の回動によつてバネ部
材９と衝接する。バネ部材９は一端部に取付孔９
ａを有し、他端部に前記突起部材８の突起８ａ、
凹部８ｂに衝接する爪９ｂを有する断面略Ｌ字状
の板バネからなり、前記フイニツシヤ５のアーム
対向部に位置調整自在に設けられる。すなわち合
成樹脂製のフイニツシヤ５には前記支軸６を挿通
するために設けられた貫通孔５１と同心円上にガ
イド溝部５１が形成されている。ガイド溝部５２
にはねじ部１０ａを一体に備えた操作ノブ１０が
遊嵌され、バネ部材９の取付孔９ａにねじ部１０
ａを噛合してバネ部材９を取付けるとともに、操
作ノブ１０を回動してバネ部材９の取り付け位置
をガイド溝５２に沿つて適宜移動する。この移動
によつて、突起部材８との相対位置が調整可能と
なり、例えばシートバツクが一定の傾動角になつ
たときに突起部材８がバネ部材９に衝接するよう
に設定される。

このような形成されたシートリクライニング装
置は、前述の如くアーム１のロツクを解除してシ
ートバツクを座者の背部で押すか、あるいはリタ
ーンスプリング７の復元力を利用してシートバツ
クを前傾するなどしてシートバツクの傾倒角を調
整する場合、第２図イの如く突起部材８に当接す
るバネ部材９の爪９ｂが付勢され、アーム１の回
動がさらに進むと同図ロの如く爪９Ｂが突起部材
８の一番目の突部８ａを乗り越え凹部８ｂに位置
し、かつ２番目の突部８ａに衝接した音を発生す
る。したがつて、座者は前記音の発生によつてシ
ートバツクの傾動角を容易に確認することがで
き、例えば音を認識しときにリクライニング操作
を止めることにより最適な傾動角に調整されるこ
ととなる。

なお、前記実施例のフイニツシヤ５はリクライ
ニング装置のみを覆う専用カバーであつても良
い。

《考案の効果》 以上説明したように、本考案によれば、突起部
材と当接部材との相対位置を設定するだけで、ア
ームにより回動されるシートバツクの標準傾動角
や座者の体格等に合致した傾動角を音によつて認
識できるので、安価な構成でシートバツクの所望
傾動角を容易に確認することが可能となり、シー
トリクライニング装置の使い勝手が大きく向上さ
れる。

更に、アームの歯部等を利用せずに、リクライ
ニング装置を本来構成する構成要素とは別体の突
起部材および当接部材を使用することから、操作
ノブがガイド溝部を移動して位置調整することに
よつて、突起部材および当接部材の相対位置を調
整することができ、シートバツクが一定の傾動角
になつたとき、突起部材が当接部材に衝接して発
音するように設定できる。

更にまた、本考案は、リクライニング装置を本
来構成する構成要素とは別体の突起部材および当
接部材を使用して傾倒位置を認識可能にし、アー
ムの歯部等を利用しないことから、リクライニン
グ装置の本来の機能である。シートバツクを後倒
する場合に、アームの歯部にロアツースがひと歯
ずつ噛合して、段階的に傾動し、前倒の場合に
は、リターンスプリングによりクイツクモーシヨ
ンで傾動するという機能を何ら損なうことはな
い。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の第１実施例を示したシート
リクライニング装置の要部分解斜視図、第２図
は、突起部材と当接部材との関係を示したもの
で、同図イは発音前を示す断面図、同図ロは発音
後の状態を示す断面図である。 １……回動アーム、４……ベース、５……フイ
ニツシヤ（カバー）、５１……貫通孔、５２……
ガイド溝部、６……支軸、８……突起部材、９…
…バネ部材（当接部材）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ベースに対して角度調整可能に設けられた回動
   アームを備えたシートリクライニング装置であつ
   て、前記アームに一対の突部および凹部を有する
   突起部材を設けると共に、前記ベースに取付けら
   れるカバーに、前記アームを前記ベースに回転可
   能に取付けるための支軸の貫通孔を設け且つこの
   貫通孔と同心円のガイド溝部を形成して、該ガイ
   ド溝部に操作ノブを遊嵌し、該操作ノブにより前
   記突起部材の突部および凹部に弾発的に衝接する
   爪を有する当接部材を前記カバーに設けてあり、
   該当接部材および突起部材の衝接によつて前記角
   度調整時に発音するようにしたことを特徴とする
   シートリクライニング装置。