JPH059707B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は吸収冷温水機及び吸収ヒートポンプな
どの機器用となる液滴滴下方式又はスプレー方式
の蒸発器、吸収器、発生器その他の熱交換器に用
いられる伝熱管に関するものである。

一般に、伝熱管を横に配した液滴滴下方式又は
スプレー方式の吸収冷温水機及び吸収ヒートポン
プなどの蒸発器、吸収器並びに発生器において、
この伝熱管に液を分散させて液滴滴下又は散布
し、該伝熱管上に液膜を均一に形成させること
は、それら熱交換器の伝熱性能を保持する上に不
可欠なことである。

従来、この液を均一に分散させるために、例え
ば液滴の滴下装置（トレー）に各種工夫がなされ
伝熱管の管群の上段部にあつては均一な液膜形成
がなされている。しかし、下段に向うにしたがつ
て冷媒の場合は蒸発による液滴滴下流量が減少
し、更には液の物性あるいは滴下速度などの影響
によつて管軸方向への液の分散が充分に行なわれ
ず、液の分布に偏りが生ずるものである（第３図
において、無模様部分参照）。従つて、液の分布
が不十分となると伝熱管上に液が触れない部分
（乾いた部分）が生じ、伝熱管の伝熱性能が低下
する欠点を有している。

本発明は上記実情に鑑み、液の偏りを防ぎ、伝
熱管の上段から下段までほぼ均一に液を分布さ
せ、液膜を均一に形成させることを目的とした伝
熱管を提供するものである。

即ち、伝熱管の管外に吸収液あるいは冷媒を滴
下又は散布し、該管外表面に吸収液あるいは冷媒
の液膜を形成し、その液膜を通して熱移動を行な
わしめる吸収冷凍機の伝熱管において、管外表面
にフイン部を配し、且つ伝熱管自体を奇数角形の
形状とし、一辺を上面に位置させ尖部を下向きに
配した構成としている。このような伝熱管を液滴
滴下装置の下方に適宜本数配設すれば、該管の上
面の一辺には滴下された液滴の軸方向への拡がり
が従来の円筒よりも大きくとることができ、伝熱
管上に均一な液膜を形成しやすい効果をもたせて
いる。また、伝熱管自体の形状を３角形、５角
形、７角形等の多角形を呈す奇数角とし、且つ該
管の表面にローフイン加工あるいはフインに刻み
を付ける等の特殊加工を施すことによつて、一辺
を上面とすれば真下位置に必ず一角（尖部）が来
るものとなり、次段の伝熱管への液滴の滴下を確
実にするものである。

以下、本発明を実施例の図面に基づいて説明す
れば、次の通りである。

第１図、第２図は伝熱管を５角形構成としたも
のである。１は管形状を５角形として伝熱管本体
で、該伝熱管本体１の表面にローフイン加工をも
つて形成したフイン部２を全域に配し多角形状の
伝熱管３としたものである。

いまこの作用を説明すると、先ず吸収冷凍機の
伝熱管として使用するに際し、適宜本数の伝熱管
３を第２図に示す如く一定間隔ｌをもつて多段に
配列し、この最上位置の伝熱管３の真上部に、吸
収器、蒸発器及び発生器（図示せず）への液導入
用配管４と液滴散布用となるトレー５を設置する
ものである。この場合、各段の伝熱管３は平坦部
３ａとなる一辺を上面とし一角となる尖部３ｂを
下面として配し、最上位置の伝熱管３の平坦部３
ａの真上に散布用トレー５に設けた液滴散布用小
穴６を臨ませてなる。即ち、多段となる伝熱管３
群は、多角形の一角となる尖部３ｂの真下位置に
下段の一辺となる平坦部３ａが配される構成とな
る。

ここにおいて、液滴滴下装置となるトレー５の
液滴散布用小穴６より滴下する吸収液あるいは冷
媒の液ａは、伝熱管３の平坦部３ａへ滴下するも
のとなるが、この液滴の滴下面が平らであること
から、従来の丸型伝熱管に比べて管軸方向への液
の広がりが大きく、伝熱管３を均一に濡らすもの
となる。即ち、伝熱管３を多段に配した管群は、
従来の丸型伝熱管３′では管軸方向への液の広が
りが小さいため、液の物性あるいは蒸発による滴
下速度の減少等と相俟つて滴下間隔が小さく、管
軸方向への液の分布が均一でなくなり、伝熱管上
に液が触れない部分が生じ、伝熱性能の悪化がみ
られる（第３図の無模様部分参照）。また、この
様な液膜の均一化が計れない理由として、滴下流
量によつては液滴落下の慣性力によつて第４図に
示す如きに次段の管の真上に滴下しない現象が生
ずる。

この点、本発明の伝熱管３は前述したように管
軸方向への液の広がりの効果をもたせており、滴
下間隔ｌが大きくなつてもその広がりの大きさに
よつて管を均一に且つ薄く濡らすことが可能とな
る（第２図にあつて、模様部分参照）。また、多
角形管形状でその尖部３ｂを下向きに配すること
から、伝熱管下端における液滴の慣性力の方向
が、円筒の水平方向に比べて垂直方向に近いこと
から液滴の分散（液滴の飛び散り）を減少させる
ことも兼ねる。

上述の様に、本発明の吸収冷凍機用伝熱管は、
管外表面をローフイン加工あるいはその他の特殊
加工を施すと共に、管自体を奇数角の多角形とし
た構成としたことにより、冷媒及び吸収液の滴下
状態を丸型の伝熱管に比べ良好な滴下性能及び濡
れ性能を得るものである。従つて、蒸発器の伝熱
性能及び吸収器の吸収性能と伝熱性能が向上し、
且つ装置のコンパクト化及びそれに伴う装置のコ
ストダウン化が計れる効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示すもので、第１図は
伝熱管の斜面図、第２図は使用状態の側面図、第
３図は円管となる従来型の使用状態の側面図、第
４図は同円管の滴下状態の説明図である。 １……伝熱管本体、２……フイン部、３……伝
熱管、３ａ……平坦部、３ｂ……尖部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 伝熱管の管外に吸収液あるいは冷媒を滴下又
   は散布し、該管外表面に吸収液あるいは冷媒の液
   膜を形成し、その液膜を通して熱移動を行なわし
   める吸収冷凍機の伝熱管において、管外表面にフ
   イン部を配し、且つ伝熱管自体を奇数角形とし、
   一辺を上面に位置させ尖部を下向きに配したこと
   を特徴とする吸収冷凍機用伝熱管。