JPH0596A - ヒト腫瘍致死因子αに対するモノクローナル抗体 - Google Patents

ヒト腫瘍致死因子αに対するモノクローナル抗体

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JPH0596A
JPH0596A JP3345474A JP34547491A JPH0596A JP H0596 A JPH0596 A JP H0596A JP 3345474 A JP3345474 A JP 3345474A JP 34547491 A JP34547491 A JP 34547491A JP H0596 A JPH0596 A JP H0596A
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tnfα
human
human tnfα
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JP3345474A
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Elena Barbanti
エレーナ・バルバンテイ
Marta Ghislieri
マルタ・ギスリエリ
Fabrizio Marcucci
フアブリツイオ・マルクツチ
Domenico Trizio
ドメニコ・トリツイオ
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Farmitalia Carlo Erba SRL
Carlo Erba SpA
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】ヒト腫瘍致死因子α(TNFα)に対する高い
中和活性とヒト腫瘍致死因子β(TNFβ)に対する中
和活性とを有するモノクローナル抗体、抗体を産生する
ハイブリッド細胞系、及び該モノクローナル抗体の使用
法。 【効果】このモノクローナル抗体は、TNFα及びTN
Fβが病源効果を発揮しているとされる疾患状態、特に
悪液質、敗血症性ショック、移植片対受容者疾患、慢性
関節リウマチ、慢性及び急性炎症性疾患、心筋虚血等の
予防及び/又は治療用として人体で使用できる。又ヒト
体液サンプル中のヒトTNF濃度を検出するために使用
され得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ヒト腫瘍致死因子α
(TNFα)に対する高い中和活性とヒト腫瘍致死因子
β(TNFβ)に対する中和活性とを有するモノクロー
ナル抗体、抗体を産生するハイブリッド細胞系、及びモ
ノクローナル抗体の使用に係る。
【0002】
【従来技術及び発明が解決しようとする課題】TNFα
は分子量17500のポリペプチドであり、その一次及
び三次構造は解明されている(Pennica, D.
et al. Nature 312: 724 (1
984)及びJones, E.Y. et al.
ature 338: 225 (1989))。TN
Fαは三量体として生物学的に活性である。TNFαの
主要源主なソースは単球/マクロファージ由来の細胞で
あるが、適切な刺激後、他の細胞型(例えばTリンパ
球)によっても産生される。
【0003】TNFβはTNFαに密接に関連するポリ
ペプチドである。両方の分子はアミノ酸レベルで28%
の相同度を示す(Pennica, D. etal.
上掲及びGray, P.W. et al. Nat
ure 312: 721(1984)参照)。TNF
βの主要源はTリンパ球である。
【0004】TNFαは最初はマウスに腫瘍の出血性壊
死を誘発する分子として記載された。しかしながら、そ
のcDNAのクローニングにより大量の均質TNFαが
入手可能になるや、TNFαは炎症メディエーターとし
てTNFαを定義し得る多数の生物活性を媒介すること
が明らかになった。一般に、Beutler, B.a
nd Cerami, A., Natur e 32
: 584 (1986)を参照されたい。
【0005】TNFβは定性的に類似の生物活性を媒介
するが、単一の生物活性を媒介するために必要なTNF
α又はβの用量は定量的に異なることが記載されてい
る。
【0006】TNFαは炎症性応答の範囲で、有害物質
による生物の侵入から受容者を防御する上で重要な役割
を果たす。しかしながら、慢性又は急性、全身性又は局
所過形成のような所定の状況下では、TNFαは炎症性
応答の他のメディエーターと共に多数の病理状態を引き
起こす。悪液質及び敗血症性ショックは最もよく知られ
ている例である(Beutler, B. and C
erami, A.,上掲及びOliff, A.,
et al., Cell 50: 555(198
7)参照)。同様に、TNFαはAIDS(Folk
s, T.M., et al., Pro c. Na
tl. Aca d. Sci. USA86: 236
5 (1989))、移植片対受容者疾患(Pigue
t,P.F., et al. J. Exp. Me
d. 166: 1280(1987))、脳性マラリ
ア(Grau, G.E., et al. Scie
nce 237: 1210 (1987))、慢性関
節リウマチ(Brennan, F.M., et a
l., Lancet ii: 244(1989))
及び数種の他の状態において病原役割を果たすと予想さ
れる。
【0007】TNFβのin vivo効果については
あまり知られていない。しかしながら、TNFβはTN
Fαに類似の生物活性をin vitroで媒介するの
で、過形成の場合にTNFβも同様に何らかの疾患状態
の病因に関与し得るということができる。
【0008】これらの結果から、TNFαに対する抗
体、及び場合によりTNFβに対する抗体はこれらのポ
リペプチドが病原効果を発揮する疾患状態で治療薬とし
て有用であり得ると予想された。
【0009】治療薬として有用であるためには、TNF
αに対する抗体はTNFαの毒性効果をin vivo
で中和することができなければならない。ポリクローナ
ル抗体は高度免疫した動物の血清から容易に取得可能で
ある。しかしながら、これらのポリクローナル抗体調製
物は、 −TNFαを中和しない抗体を含有する抗体混合物であ
る、 −同一エピトープに対して種々の親和性を有する種々の
抗体を含有する抗体混合物である、 −ロット毎に異なるため、力価に関して標準化が難しい といった理由からin vivoで使用するのに最適で
はない。
【0010】
【課題を解決するための手段】モノクローナル抗体技術
はこれらの問題を回避するための選択手段である。この
技術は全免疫原分子に対すると同様にTNFαに対して
再現可能な特異性及び親和性を有するモノクローナル抗
体を制御条件下で且つ無制限量にin vitroで製
造することができる。当然のことながら、単一の抗原に
対して多くの異なるモノクローナル抗体が得られる。こ
れらのモノクローナル抗体は、 −抗体クラス及びサブクラス、 −エピトープ特異性、 −結合親和性、並びに −in vitro及びin vivo中和活性 の点で相互に異なり得る。
【0011】治療薬として使用するためには、他の全抗
原に対すると同様にTNFαに対して特異的であり且つ
高い中和活性を有するモノクローナル抗体を使用するこ
とが望ましい。こうすると、in vivoで治療薬と
して有効なレベルに達するためにモノクローナル抗体投
与量を低減することができ、こうしてモノクローナル抗
体により場合により生じる望ましくない副作用を緩和す
ることができる。
【0012】この点で、本発明はヒトTNFαを中和す
ることが可能な新規モノクローナル抗体又はその結合フ
ラグメントを提供する。本発明の抗体は、 n vit
ro及びin vivoの両方で高いTNFα中和活性
を有する。即ち、in vitroでヒトTNFαは約
0.15ng/ml(TNFαが三量体であると仮定す
るなら、3.3×10-12M)の半最大生物活性を発揮
する。1μg/ml(6.25×10-9M)の該抗体の
存在下で、ヒトTNFαは約229ng/ml(4.6
×10-9M、1μg/mlの該抗体の存在下対不在下の
半最大生物活性の比は約1527である)の半最大生物
活性を発揮する。100ng/ml(6.25×10
-10M)の該抗体の存在下で、ヒトTNFαは約26n
g/ml(5.2×10-10M)の半最大生物活性を発
揮する。10ng/ml(6.25×10-11M)の該
抗体の存在下で、ヒトTNFαは約1.9ng/ml
(3.8×10-11M)の半最大生物活性を発揮する。
従って、本発明により提供されるモノクローナル抗体
は、約2:1未満のモル比、特に約1.3:1のモル比
で三量体ヒトTNFαをin vitroで中和するこ
とを特徴とする。更に、該モノクローナル抗体は構造的
に関連するポリペプチドヒトTNFβを同様に中和し、
従って認識する。
【0013】従って、in vitroでヒトTNFβ
は約4ng/ml(TNFβが三量体であると仮定する
なら、8×10-11M)の半最大生物活性を発揮する。
1μg/ml(6.25×10-9M)の該抗体の存在下
で、ヒトTNFβは約25.6ng/ml(5×10
-10M、1μg/mlの該抗体の存在下対不在下の半最
大生物活性の比は約6.3である)の半最大生物活性を
発揮する。
【0014】第2の側面として、本発明は該モノクロー
ナル抗体が二次元で二重拡散により決定した場合(オク
テルロニー法)にヒトTNFαを沈殿し得ることを示
す。第3の側面として、本発明は該モノクローナル抗体
をヒトTNFαと共にインキュベーション後に形成され
る最小の抗原−抗体複合物が、実質的に少なくとも2個
の該モノクローナル抗体分子と少なくとも1個のヒトT
NFα分子、典型的には3個のモノクローナル抗体分子
と2個のヒトTNFα分子とを含む高分子量抗原−抗体
複合体であることを示す。
【0015】「高分子量抗原−抗体複合体」なる用語
は、少なくとも400kD、典型的には約570kD〜
約600kDの抗原−抗体複合体を表すために使用され
る。
【0016】更に、該抗体は約1μg/匹未満、典型的
には約0.4〜約0.8μg/匹の用量で、抗体非投与
時には致死量のヒトTNFαからマウスに完全な保護を
実現する。0.4μg/匹は約20μg/kg体重に対
応することを指摘すべきである。
【0017】本発明は更に、このようなモノクローナル
抗体を産生する安定なハイブリドーマ細胞系及び子孫を
提供する。
【0018】本発明は更に、このようなモノクローナル
抗体の製造方法を提供する。
【0019】本発明は更に、ヒトTNFα及びヒトTN
Fβの両方を中和することが可能なこのようなモノクロ
ーナル抗体と、医薬上許容可能なキャリヤー及び/又は
希釈剤とを含有する医薬組成物を提供する。
【0020】本発明の更に別の側面は、体液中のヒトT
NFαの濃度を検出する方法を提供することである。
【0021】本発明の1つの目的は更に、ヒトTNFα
及びヒトTNFβレセプターを認識する抗イディオタイ
プ抗体を提供することである。
【0022】本発明のモノクローナル抗体はIgM、I
gD、IgE、IgAのような免疫グロブリンのクラス
又はIgGのサブクラスの任意のものであり得る。モノ
クローナル抗体は完全なまま使用してもよいし、Fv、
Fab、F(ab’)2のような結合フラグメントとし
て使用してもよい。
【0023】好ましくは、本発明のモノクローナル抗体
はIgGクラスである。
【0024】本発明の特に好適なモノクローナル抗体
は、本明細書に記載するようにIgG1 kイソタイプ
のハイブリドーマクローン78により産生される類であ
る。
【0025】本発明のモノクローナル抗体の好適結合フ
ラグメントは、該抗体のFv、Fab、F(ab’)2
フラグメントである。
【0026】上述のように、本発明は本発明のモノクロ
ーナル抗体又はその結合フラグメントの製造方法を提供
するものであり、該方法は、本発明のハイブリドーマ細
胞系又はその子孫を培養する段階と、こうして産生され
たモノクローナル抗体を回収する段階とを含む。
【0027】本発明のモノクローナル抗体又はそのフラ
グメントは、B細胞由来のリンパ球を不滅化(無限増殖
化)することにより製造され得る。不滅化は腫瘍ウイル
スで形質転換することにより、又は既に不滅状態の細胞
系(例えばミエローマ又はリンパ芽球細胞系)と融合す
ることにより実施され得る。後者のアプローチはKoe
her and Milstein(Koeher,
G. and Milstein, C., Natu
re 256: 496 (1975))により最初に
記載され、無制限増殖及び抗体産生の可能な不滅ハイブ
リッド細胞系をもたらす。こうして得られた不滅細胞系
をクローニング及びスクリーニングし、細胞上清中で所
望の抗原に対する抗体を検出する。多数のスクリーニン
グ技術が文献中に記載されており、当業者に周知であ
る。これらの技術は、所望の抗原に対するモノクローナ
ル抗体を単離できることが明白である。もっとも、オペ
レータが特別の特性(即ち抗原に対する高い又は低い親
和性、中和又は非中和活性)を有するモノクローナル抗
体を単離したい場合、スクリーニング技術は所望の特性
を有するモノクローナル抗体を単離できるように実施す
べきである。これらのアッセイを実施する方法は、求め
られる特性、オペレータが得たいと望む抗体に対する抗
原に依存し、一般に予想不可能であり、ケースバイケー
スで調べなければならない。しかしながら、オペレータ
が高い活性を有するモノクローナル抗体を単離したいと
望む場合、このステップは極めて重要である。
【0028】ヒトTNFαに対する所望の特性を有する
モノクローナル抗体を産生する細胞系を本発明に従って
単離したら、必要に応じてモノクローナル抗体をコード
する遺伝子源としてこれらの細胞系を使用することがで
きる。
【0029】これらの遺伝子は、まず最初にメッセンジ
ャーRNAからcDNAライブラリーを作成することに
より単離され得る。次に免疫グロブリンをコードする単
一cDNAクローンを単離し、更に加工する。これらの
加工の最終目的は、必ずしもそうではないが通常、元の
抗体を得た宿主と別の宿主にin vivo投与後に低
い免疫原性の抗体を生成することである。これは、元の
種の可変領域遺伝子に対応するヌクレオチドを、抗体を
投与すべき種の不変領域遺伝子に対応するヌクレオチド
に連結することにより達せられる。あるいは、抗体を投
与すべき種の抗体遺伝子の可変領域の対応するヌクレオ
チドの代わりに、相補性を決定する元のモノクローナル
抗体の領域をコードするヌクレオチドを使用してもよ
い。最後に、元の又は修飾したcDNAクローンを単離
し、適切な原核又は真核発現ベクターに担持させ、その
後、最終的大量生産のために宿主にトランスフェクトす
る。
【0030】以下、添付図面及び表に関して本発明を説
明する。
【0031】尚、表1は本発明のモノクローナル抗体に
対するヒトTNFαの結合のパラメーターを示す。
【0032】表2は、種々の濃度の該モノクローナル抗
体の不在下又は存在下で半最大生物活性を与えるヒトT
NFαの濃度を示す。
【0033】表3は、種々の用量のヒトTNFαをマウ
スに投与した場合の生存効果を示す。
【0034】表4は、2種の致死量のTNFαで処理し
たマウスにおける本発明のモノクローナル抗体の保護効
果を示す。
【0035】表5は、2種の致死量のTNFαで処理前
後種々の時点でマウスに注入した本発明のモノクローナ
ル抗体の保護効果を示す。
【0036】本発明のハイブリッド細胞系の特徴付けに
関して、「永続的」及び「安定的」なる用語は、長期
間、典型的には少なくとも約6カ月にわたって生存可能
であることを意味する。本発明は、本発明のモノクロー
ナル抗体を少なくとも25継代産生する能力を維持する
安定的で永続的なハイブリドーマ細胞系を提供すること
ができる。
【0037】「モノクローナル抗体」なる用語は、実質
的に均質な集団を有する抗体から選択された抗体を意味
し、即ち抗体集団の個体は天然に発生する突然変異を除
いて同一であることを意味する。
【0038】「抗体」なる用語は更に、完全な分子及び
抗原に結合することが可能なFv、Fab及びF(a
b’)2のようなそのフラグメントを意味する。Fab
及びF(ab’)2フラグメントは抗体のFcフラグメ
ントを欠失し、循環からより迅速に除去され、完全抗体
よりも非特異的組織結合が少ない。本発明のモノクロー
ナル抗体のFv、Fab及びF(ab’)2並びに他の
フラグメントは。同一目的(例えばTNFαの検出及び
TNFαが有害な役割を果たすことが示された疾患状態
の治療)のために完全抗体と同様に使用できることが理
解されよう。
【0039】「中和」なる用語は、TNFα及びTNF
βがin vitro及び/又はin vivoで生物
活性を発揮する能力を阻止する抗体含有溶液の能力を表
すために使用される。
【0040】「高いin vitroTNFα中和活
性」なる用語は、モノクローナル抗体を含有する溶液が
≦10ng/mlのモノクローナル抗体用量で、<6:
1の重量比及び<2:1のモル比でヒトTNFαを中和
する能力を表すために使用される。
【0041】「高いin vivoTNFα中和活性」
なる用語は、モノクローナル抗体を含有する溶液が≦2
0μg/kg体重の用量で、in vivoにおけるT
NFαの有害な役割を果たす可能性を阻止する能力を表
すために使用される。
【0042】本発明のモノクローナル抗体は実際に、1
μg/匹未満、典型的には約0.4〜約0.8μg/匹
の用量で、抗体非投与時の致死量のTNFαからマウス
に完全な保護を与えることが可能である。0.4μg/
匹は約20μg/kg体重に対応することに留意すべき
である。
【0043】本発明の好適態様によると、このようなモ
ノクローナル抗体は不滅化細胞系及びヒト組換TNFα
で免疫したマウスに由来する細胞を使用して作成された
ハイブリドーマ細胞系により分泌される。
【0044】不滅化細胞系は実際上、細胞培養で永久に
維持され得る細胞系である。換言するなら、該細胞系は
安定且つ永続的であり、これらの特性を示さない細胞と
融合すると、融合産物に特性を与えることが可能であ
る。
【0045】任意の適切な不滅化細胞系を使用すること
ができる。典型的には、哺乳動物起源の形質細胞腫(ミ
エローマ)を使用することができる。好適型の細胞系は
マウスヒポキサンチン−ホスホリボシル−トランスフェ
ラーゼ(HPRT)欠失形質細胞腫である。このような
細胞系の1種が特に好適である。これは免疫グロブリン
又は免疫グロブリンH鎖もしくはL鎖を産生又は分泌し
ないBALB/c起源の周知のHPRT欠失形質細胞腫
であるNSO細胞系である(Clark, M.R.
and Milstein, C. Somatic
Cell Genet. 7: 657 (198
1))。
【0046】少なくとも一部がヒトTNFαに特異的に
結合する抗体を産生する細胞に、不滅化細胞を融合す
る。
【0047】抗体産生細胞は一般に、ヒトTNFαに対
して免疫されたマウスから得られる。この目的で市販の
ヒトTNFαを使用してもよい。融合後、融合産物から
所望のモノクローナル抗体を分泌する産物をスクリーニ
ングする。
【0048】まず最初にin vitroでELISA
試験し、TNFαに対する抗体を検出する。次に、マウ
スLM細胞でヒトTNFαの細胞毒性活性を中和する能
力を試験する。
【0049】次に、in vitroでは組織培養フラ
スコ又は大規模培養装置(例えばAcusyst, E
ndotronics, Coon Rapids,
Minnesota)で適切な培養培地で、又はin
vivoでは実験動物(例えばマウス又はラット)にお
ける腹水腫瘍として、所望のモノクローナル抗体を産生
するクローンの子孫を増殖することができる。
【0050】場合に応じて硫安沈殿、イオン交換クロマ
トグラフィー、高性能液体クロマトグラフィー又は当業
者に周知の他の技術を用いることにより、必要に応じて
抗体を培養培地又は体液から分離することができる。従
って本発明は、TNFαに対する高い中和活性とTNF
βに対する中和活性を有するモノクローナル抗体を提供
するものであり、該抗体は、 a)その集団が実質的に均質であり、 b)それ自体不滅性細胞系と抗体産生細胞との間のハイ
ブリッドである不滅化細胞により産生され、 c)in vitro及びin vivoで高いTNF
α中和活性を示し、 d)ヒトTNFβを中和し、従って認識することが可能
であり、 e)ヒトTNFαを沈殿させ、 f)最小で実質的に少なくとも2つのモノクローナル抗
体分子を含み且つ典型的には少なくとも400kDの高
分子量を有する複合体を、ヒトTNFαと共に溶液中で
形成することを特徴とする。
【0051】TNFα及びTNFβ中和活性により、本
発明のモノクローナル抗体は哺乳動物で使用することが
でき、例えばTNFα及び/又はTNFβが病原効果を
発揮するとして知られている任意の疾患状態において予
防及び/又は治療用として人体で使用することができ
る。典型的には、このような疾患状態は悪液質、敗血症
性ショック、移植片対受容者疾患、AIDS、脳性マラ
リア、慢性関節リウマチ、慢性及び急性炎症性疾患、心
筋虚血及び、TNFα及び/又はTNFβが有害な役割
を果たすことが既に知られているか又は将来知られるよ
うな他の疾患である。本発明のモノクローナル抗体(例
えばハイブリドーマクローン78により産生されるモノ
クローナル抗体)を成人に局所又は全身投与するのに適
切な投与量は、体重kg当たり抗体約20μg〜約1m
gであり得る。組成物を1回又は複数回投与することが
でき、投与量及び施用法は治療医により選択される。い
ずれにせよ、医薬調合物は患者を有効に治療又は予防的
に治療するために十分な抗体量を提供すべきである。
【0052】本発明のモノクローナル抗体は単独で調合
してもよいし、又は医薬上許容可能なキャリヤー及び/
又は希釈剤と共に適切な量のモノクローナルを配合する
ことにより他の医薬上活性な物質と共に医薬組成物で調
合してもよい。
【0053】あるいは、別の医薬上活性な物質による治
療方法と組み合わせて本発明のモノクローナル抗体を投
与することもできる。本発明のモノクローナル抗体と調
合可能、又は組み合わせ治療方法で投与することが可能
な医薬上活性な物質は、例えば他の抗原に対する抗体、
特にモノクローナル抗体であり得、従って、本発明のモ
ノクローナル抗体と、関連疾患状態の病因に関与する他
の抗原に対する1種以上の(モノクローナル)抗体とを
含有する「カクテル」を提供する。
【0054】特に治療薬として有用な効果を生じるため
に、本発明のモノクローナル抗体と調合可能、又は組み
合わせ治療方法で投与可能な別の活性物質は、治療すべ
き疾患状態に依存し、例えば市販のγグロブリン及び免
疫グロブリン製品、抗生物質、抗微生物製品、抗細菌及
び抗腫瘍剤又はそれらの2種以上の混合物である。
【0055】更に、本発明のモノクローナル抗体は単独
で使用してもよいし、又は抗細菌剤、特に抗新生物剤か
ら生じる副作用を阻止又は改良するために、これらの物
質による組み合わせ治療方法で使用してもよい。治療さ
れ得る典型的な副作用は例えば、悪液質、悪心、嘔吐、
食欲不振、脱毛症、下痢及び好中球減少症である。
【0056】典型的には、抗微生物剤はアミノグリコシ
ド(例えばゲンタマイシン、トブラマイシン)と共にペ
ニシリンを含み得る。もっとも、数種の周知の添加剤
(例えばセファロスポリン)を使用することもできる。
【0057】「抗新生物剤」なる用語は、臨床実地に応
じて単一の抗腫瘍薬及び「カクテル」(即ちこのような
薬剤の混合物)の両方を意味する。
【0058】本発明の化合物と調合可能、又は組み合わ
せ治療方法で投与可能な抗腫瘍剤は例えば、ドキソルビ
シン、ダウノマイシン、エピルビシン、イダルビシン、
エトポサイド、フルオロウラシル、メファラン、シクロ
ホスファミド、ブレオマイシン、ビンブラスチン及びマ
イトマイシン又はそれらの2種以上の混合物である。
【0059】「組み合わせ」治療方法なる用語は、本発
明のモノクローナル抗体を含有する医薬組成物と、別の
医薬上活性な物質を含有する医薬組成物とを別々及び実
質的に同時に投与することを意味する。
【0060】従って、本発明の好適目的は治療を必要と
するヒトを含む哺乳動物の癌の組み合わせ治療方法を提
供することであり、該方法は、 1)本発明のモノクローナル抗体又はその結合フラグメ
ント、及び 2)治療上有用な効果を発揮するのに十分な量及び時間
施用される抗腫瘍剤を投与することからなる。
【0061】本発明の目的は更に、本発明のモノクロー
ナル抗体又はその結合フラグメントと抗腫瘍剤とを含有
し、抗癌療法で同時、別々又は順次使用するための組み
合わせ調製物としての製品を提供することである。
【0062】従って、本発明のモノクローナル抗体及び
その結合フラグメントは癌を改善するための治療で使用
され得る。本発明のモノクローナル抗体及びその結合フ
ラグメントは、抗腫瘍剤例えばアントラサイクリングリ
コシド(例えば上記のようにドキソルビシン、ダウノマ
イシン、エピルビシン又はイダルビシン)で治療可能な
癌患者に投与され得る。本発明の抗体及びアントラサイ
クリングリコシドのような抗腫瘍剤は、骨髄芽球性白血
病のような白血病、リンパ腫、肉腫、神経芽腫、ウィル
ムス腫、悪性膀胱腫瘍、悪性乳房腫瘍、悪性肺腫瘍又は
悪性甲状腺腫瘍患者の状態を改善するために投与され得
る。
【0063】更に、例えば図2に示すように本発明の抗
体の高中和活性は、該抗体がヒトTNFαのレセプター
結合部位に近接するか又は該部位内でエピトープを認識
することを示唆する。2種のTNFαレセプターが特徴
付けられている(Schall, T.J. et a
l. Cell 61: 361 (1990)及びS
mith, C.A. et al. Science
248:1019(1990))。
【0064】両方のレセプターは完全細胞で発現される
とほぼ等しい親和性を有するヒトTNFα及びヒトTN
Fβに結合する。しかしながら、2つのレセプターの可
溶性形態はヒトTNFαよりも著しく低い親和性でヒト
TNFβに結合する(Seckinger, P. e
t al. J. Biol. Chem. 264
11966 (1989)及びEngelmann,
H. et al.J. Biol. Chem.
265: 1531 (1990))。この結果、レセ
プターの細胞外領域の可溶化はヒトTNFα及びヒトT
NFβに対する相対親和性に変化をもたらすと予想され
る。本発明のモノクローナル抗体がヒトTNFαのレセ
プター結合部位内でエピトープを認識するならば、該抗
体はTNFαレセプターと同様に機能的に挙動し、即ち
ヒトTNFα及びヒトTNFβの両方を認識する。該モ
ノクローナル抗体は可溶性分子であるので、可溶性TN
Fαレセプターと同様に機能的に挙動し、即ちヒトTN
Fβよりも著しく高い親和性でヒトTNFαに結合す
る。図3はこれを実証する。ヒトTNFβの場合、1μ
g/mlの該抗体の存在下対不在下の半最大生物活性の
比は6.3である。従って、該モノクローナル抗体は可
溶性TNFαレセプターと同様にヒトTNFα及びヒト
TNFβに結合すると予想される。従って、当業者に周
知の標準技術(一般に、Anti−idiotype
s, receptors and molecula
r mimicry, Linthicum, D.
S. and Farid, N.R., Eds.,
Springer−VerlagHeidelber
g, 1988参照)に従ってヒトTNFαと同様に本
発明のモノクローナル抗体に結合する抗イディオタイプ
抗体を得るために、該抗体は免疫原として使用するのに
最適である。従って、TNFαと同様にTNFαレセプ
ターに結合することが可能であり、従ってTNFαの生
物活性に類似するこれらのモノクローナル抗イディオタ
イプ抗体は、TNFαの投与が有益な役割を果たし得る
疾患で治療薬として有用であり得る。これらの疾患状態
は例えば、本発明の抗イディオタイプ抗体をTNFαと
同様に単独又は、好ましくは組み合わせ治療方法の一部
として投与することが可能な癌(MULE, J.J.
etal. J. Exp. Me d. 171: 6
29(1990))及び所定の自己免疫疾患(Jaco
b O.J. and McDevitt, H.
O., Nature 331: 356(198
8))である。
【0065】本発明のモノクローナル抗体及び医薬組成
物は皮下、筋肉内、動脈内又は静脈内投与により非経口
投与され得る。
【0066】本発明のモノクローナル抗体を含有する医
薬組成物は通常、従来方法に従って製造される。
【0067】一般に、本発明の医薬組成物によるキャリ
ヤー及び/又は希釈剤は、アルコール/水溶液、エマル
ジョン、又は懸濁液を含み、食塩水又は緩衝媒質を含
む。非経口賦形剤は塩化ナトリウム溶液、リンゲルぶど
う糖、ぶどう糖及び塩化ナトリウム、乳酸化リンゲル又
は脂肪油を含む。静脈内賦形剤は、リンゲルぶどう糖等
をベースとするような流体及び栄養補充物、電解質補充
物を含む。例えば抗微生物剤、酸化防止剤、キレート化
剤、不活性ガス等のような保存剤及び他の添加剤も配合
することができる。一般に、Remin gton’s
Pharm aceutical Sc iences
16th Ed., Mack, eds., 198
0を参照されたい。
【0068】通常、TNFαが病原効果を発揮する疾患
状態において、体液中のTNFα濃度は健康な個体の同
一体液中で検出可能な濃度に比較して増加する。従っ
て、これらの体液中のTNFα濃度の決定は診断及び予
後値であり得る。
【0069】従って本発明の別の側面は、本発明のモノ
クローナル抗体の生物特性が特に有利であるようなイム
ノアッセイを提供することである。本発明の目的のため
に、本発明のモノクローナル抗体により検出されるヒト
TNFαは生物流体又は組織中に存在し得る。未知量の
ヒトTNFαを含有する個体から得た任意のサンプルを
使用することができる。一般に、サンプルは例えば血
液、血清、血漿等のような液体である。
【0070】本発明のモノクローナル抗体はイムノアッ
セイで使用するのに特に適しており、液相で使用しても
よいし、固相支持体に結合してもよい。更に、これらの
イムノアッセイにおけるモノクローナル抗体は種々の方
法で検出可能に標識され得る。
【0071】本発明のモノクローナル抗体を結合するこ
とができ且つヒトTNFαの存在を検出するのに使用可
能な多数の支持体が存在する。周知の支持体は、ガラ
ス、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、デ
キストラン、ナイロン、アミラーゼ、天然又は改質セル
ロース、ポリアクリルアミド、アガロース及び磁鉄鉱を
含む。支持体の性質は、本発明の目的のためにある程度
まで可溶性であるか又は不溶性であり得る。当業者はモ
ノクローナル抗体を結合するための多くの他の適切な支
持体キャリヤーに着目し、又は慣用実験を使用すること
によりこれを確認することができよう。
【0072】当業者に周知の多種のラベル及び標識方法
が存在する。本発明で使用可能なラベルの型の非限定的
な例は、酵素、放射性同位体、蛍光化合物、化学発光化
合物、生物発光化合物及び金属キレートを含む。当業者
はモノクローナル抗体に結合するための他の適切なラベ
ルを知っており、又は慣用実験を使用することによりこ
れを確認することができよう。更に、これらのラベルを
モノクローナル抗体に結合するには、当業者に周知の標
準技術を使用することができる。
【0073】本発明のモノクローナル抗体を検出可能に
標識することが可能な方法の1つは、該抗体を酵素に結
合することである。この酵素はその後、基質に暴露され
ると、基質と反応し、例えば分光光度法又は蛍光光度法
により検出され得る化学的成分を生成する。本発明のモ
ノクローナル抗体を検出可能に標識するために使用可能
な酵素の例は、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、ブドウ球菌
ヌクレアーゼ、Δ−V−ステロイドイソメラーゼ、酵母
アルコールデヒドロゲナーゼ、α−a−グリセロリン酸
デヒドロゲナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、西
洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、
アスパラギナーゼ、グルコースオキシダーゼ、β−ガラ
クトシダーゼ、リボヌクレアーゼ、ウレアーゼ、カタラ
ーゼ、グルコース−VI−リン酸デヒドロゲナーゼ、グル
コアミラーゼ及びアセチルコリンエステラーゼを含む。
【0074】本発明のモノクローナル抗体は更に、その
後、γカウンター又はシンチレーションカウンターを使
用するような手段により決定され得る放射性同位体で標
識され得る。本発明の目的に特に有用な同位体は、
3H、125I、131I、32P、35S、14C、51Cr、36
l、57Co、58Co、59Fe及び75Seである。
【0075】モノクローナル抗体を蛍光化合物で標識す
ることも可能である。蛍光標識したモノクローナル抗体
を適正な波長の光に暴露すると、その存在は染料の蛍光
により検出され得る。最も一般的に使用される蛍光標識
化合物としては、フルオレセインイソチオシアネート、
ローダミン、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロ
フィコシアニン、オフタルデヒド及びフルオレサミンを
挙げることができる。
【0076】本発明のモノクローナル抗体は、152Eu
又はランタン系列の他の金属のような蛍光発光金属を使
用して検出可能に標識され得る。これらの金属はジエチ
レントリアミンペンタ酢酸(DTPA)又はエチレンジ
アミンテトラ酢酸(EDTA)のような金属キレート化
基を使用して抗体分子に結合され得る。
【0077】本発明のモノクローナル抗体は更に、化学
発光化合物に結合することにより検出可能に標識され得
る。化学発光化合物で標識したモノクローナル抗体の存
在はその後、化学反応の過程で生じる発光の存在を検出
することにより決定される。特に有用な化学発光標識化
合物の例は、ルミノール、イソルミノール、セロマティ
ックアクリジニウムエステル、イミダゾール、アクリジ
ニウム塩及びシュウ酸エステルである。
【0078】同様に、本発明のモノクローナル抗体を標
識するために生物発光化合物を使用してもよい。生物発
光は、触媒タンパク質が化学発光反応の効率を増加する
ような生物系で見いだされる化学発光の型である。生物
発光モノクローナル抗体の存在は、発光の存在を検出す
ることにより決定される。標識の目的に重要な生物発光
化合物はルシフェリン、ルシフェラーゼ及びエクオリン
である。
【0079】本発明に関連して使用した場合により高い
感度をもたらし得る別の技術は、本発明のモノクローナ
ル抗体を低分子量ハプテンに結合する方法である。ハプ
テンはその後、第2の反応により特異的に検出され得
る。例えば、(アビジンと反応する)ビオチン又は(特
異的抗ハプテン抗体と反応する)ジニトロフェノール、
ピリドキサール及びフルオレサミンのようなハプテンを
使用するのが一般的である。
【0080】本発明のモノクローナル抗体はキットの製
造に最適である。このようなキットは、バイアル、チュ
ーブ等のような1個以上の容器手段を密封状態に受容す
るように区分される支持手段から構成され得、該容器の
各々は使用すべきイムノアッセイの個々の成分を含む。
本発明の治療用途に適切な個々の成分を含む1個以上の
容器手段を有する区分付き支持手段から構成される類似
のキットを製造してもよい。
【0081】キットで使用又はキットに組み込み可能な
イムノアッセイの型は多数である。本発明の抗体を使用
することができるイムノアッセイのいくつかの典型的な
例は、コンペティティブアッセイ及び免疫定量又はサン
ドイッチイムノアッセイである。
【0082】「免疫定量アッセイ」又は「サンドイッチ
イムノアッセイ」なる用語は、同時サンドイッチ、正方
向サンドイッチ及び逆方向サンドイッチイムノアッセイ
を包含する。これらの用語は当業者に十分理解されてい
る。当業者は更に、本発明のモノクローナル抗体が現在
知られているか又は将来開発され得る他の種々の型のイ
ムノアッセイで有用であり得ることを理解できよう。こ
れらのイムノアッセイは本発明の範囲に含まれるものと
意図される。
【0083】正方向サンドイッチイムノアッセイによる
と、サンプルをまず最初にヒトTNFαに対するモノク
ローナル抗体を含有する固相免疫吸着剤と共にインキュ
ベートする。インキュベーションは、サンプル中の抗原
を固相中の固定抗体に結合させるために十分な時間続け
られる。第1のインキュベーション後、固相免疫吸着剤
をインキュベーション混合物から分離し、洗浄し、過剰
の抗原及びサンプル中に同様に存在し得る他の有害物質
(例えば非特異的結合タンパク質)を除去する。次いで
固定抗体に結合したヒトTNFαを含む固相免疫吸着剤
を、可溶性標識抗体と共に第2の時間インキュベートす
る。第2のインキュベーション後、再び洗浄し、固相免
疫吸着剤から未結合標識抗体を除去し、非特異的に結合
した標識抗体を除去する。次に、固相免疫吸着剤に結合
した標識抗体を検出し、検出した標識抗体の量を元のサ
ンプル中に存在する抗原量の直接規準として使用する。
あるいは、免疫吸着剤複合体に会合しない標識抗体も検
出することができ、その場合、規準はサンプル中に存在
する抗原量に反比例する。正方向サンドイッチアッセイ
は例えば米国特許第3867517号、4012294
号及び4376110号に記載されている。
【0084】正方向免疫定量アッセイを実施する場合、
方法はより詳細には、(a)まず最初にサンプルと固相
結合抗体との混合物を形成し、サンプル中の抗原を固相
結合抗体に結合させるために十分な時間及び条件で混合
物をインキュベートする段階と、(b)段階(a)の該
インキュベーション後、検出可能に標識した抗体を混合
物に加え、標識抗体を固相免疫吸着剤に結合させるため
に十分な時間及び条件下で新しく形成された混合物をイ
ンキュベートする段階と、(c)段階(b)のインキュ
ベーション後に混合物から固相免疫吸着剤を分離する段
階と、(d)固相免疫吸着剤に結合した標識抗体を検出
するか、又は固相免疫吸着剤に会合しない抗体を検出す
る段階とを含む。
【0085】逆方向サンドイッチアッセイによると、サ
ンプルをまず最初に標識抗体と共にインキュベートし、
その後、複数の固定抗体を含有する固相免疫吸着剤を加
え、第2のインキュベーションを行う。第2のインキュ
ベーション後に洗浄を行うが、正方向サンドイッチアッ
セイの最初の洗浄段階は不要である。逆方向サンドイッ
チアッセイは例えば米国特許第4098876号及び4
376110号に記載されている。
【0086】逆方向免疫定量アッセイを実施する場合、
方法はより詳細には、(a)まず最初にサンプル中の抗
原を標識抗体に結合させるために十分な時間及び条件下
で検出可能に標識した可溶性抗体とサンプルとの混合物
を形成する段階と、(b)段階(a)のインキュベーシ
ョン後、固相結合抗体を混合物に加え、標識抗体に結合
した抗原を固相抗体に結合させるために十分な時間及び
条件下で新しく形成された混合物をインキュベートする
段階と、(c)段階(b)のインキュベーション後にイ
ンキュベート混合物から固相免疫吸着剤を分離する段階
と、(d)固相免疫吸着剤に結合した標識抗体を検出す
るか、又は固相免疫吸着剤に会合しない標識抗体を検出
する段階とを含む。
【0087】同時サンドイッチアッセイによると、サン
プルと、複数の抗体を固定され且つ標識可溶性抗体を有
する免疫吸着剤とを1つのインキュベーション段階で同
時にインキュベートする。同時アッセイは単一のインキ
ュベーションしか必要とせず、洗浄段階を欠く。同時ア
ッセイの使用は断然好適方法である。この型のアッセイ
は取り扱いが容易であり、均質性、再現性、アッセイの
線形性及び高精度が得られる。抗原、抗体を固定した固
相免疫吸着剤及び標識可溶性抗体を含むサンプルを、抗
原を固定抗体及び可溶性抗体に結合させるに十分な条件
及び時間インキュベートする。一般に、可能な限り多量
の抗原を結合するために十分なインキュベーション条件
を提供することが望ましく、その結果、固相への標識抗
体の結合を最大にし、信号を増加することができる。典
型的な時間及び温度条件は約45℃で2時間、又は約3
7℃で12時間である。
【0088】標識抗体は不溶性であり、固定抗体は固相
支持体に結合されているので、抗原は典型的には固定抗
体よりも標識抗体により迅速に結合する。このため、標
識抗体は固定抗体よりも低濃度で使用することができ、
更に、標識抗体に高比活性を使用することが好ましい。
例えば、本発明の標識抗体は約1〜50ng/アッセイ
の濃度で使用することができ、固定抗体は10〜500
ng/アッセイ/抗体の濃度を有し得る。放射性標識す
る場合、抗体は例えば放射性ヨウ素1/抗体分子、又は
放射性ヨウ素2以上/抗体分子の比活性をもち得る。
【0089】多価抗原を含有するサンプルで同時免疫定
量アッセイを実施する場合、方法はより詳細には、
(a)サンプル、固相結合抗体及び可溶性標識抗体を含
む混合物を同時に形成する段階と、(b)サンプル中の
抗原を固定及び標識抗体の両方に結合させるために十分
な時間及び条件下で段階(a)で形成された混合物をイ
ンキュベートする段階と、(c)インキュベーション後
にインキュベーション混合物から固相免疫吸着剤を分離
する段階と、(d)固相免疫吸着剤に結合した標識抗体
を検出するか、又は会合しなかった標識抗体を検出する
段階とを含む。
【0090】当然のことながら、標識及び固定抗体の比
濃度、インキュベーション温度及び時間、並びに他のア
ッセイ条件は、サンプル中の抗原濃度、サンプルの種類
等を含む種々の因子に依存して変化し得る。当業者は、
慣用実験を使用することにより各決定の操作及び最適ア
ッセイ条件を決定することができよう。
【0091】インキュベーション後、固相免疫吸着剤を
インキュベーション混合物から除去する。これは、沈降
及び遠心分離のような既知の分離技術の任意のものによ
り実施することができる。検出は、例えばラベルがγ放
射体である場合はシンチレーションカウンター、ラベル
が蛍光材料である場合は蛍光光度計により実施すること
ができる。酵素ラベルの場合、検出は酵素の基質を使用
する比色分析法により実施され得る。
【0092】洗浄、撹拌、振盪、濾過等のような他の段
階は当然、常法通り又は任意の特定の状況の必要に応じ
てアッセイに加えられる。
【0093】従来使用されており且つ本発明で使用可能
な多数の固相免疫吸着剤が存在する。周知の免疫吸着剤
は、ガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、デキスト
ラン、ナイロン及び他の材料から形成されるビーズ、こ
のような材料等から形成されるか又はこのような材料等
で被覆されたチューブを含む。固定抗体はアミドもしく
はエステル結合を介する共有結合のような技術、又は吸
着により固相免疫吸着剤に共有的又は物理的に結合され
得る。多くの他の適切な固相免疫吸着剤及び該吸着剤に
抗体を固定するための方法は当業者に知られており、又
はもはや慣用実験を使用しなくてもこれを確認すること
ができよう。
【0094】以下、実施例により本発明の種々の側面を
更に説明する。この実施例はいずれにせよ本発明を限定
するものではない。
【0095】
【実施例】
1.ヒトTNFαによるマウスの免疫感作。
【0096】完全フロイントアジュバント(CFA,
Difco, Detroit,Michigan,
PBS500μlに対して500μl)を補充したリン
酸緩衝食塩溶液(PBS)で希釈したヒトTNFα(E
squire Chemie AG, Zueric
h, Switzerland)を5匹のBALB/c
マウスの後脚に30μg/匹の用量で投与した。
【0097】第1の免疫感作から14日後、上記のよう
にCFAを補充したPBSで希釈したヒトTNFαを同
一マウスに30μg/匹の用量で皮下投与した。
【0098】第2の免疫感作から14日後、PBSで希
釈したヒトTNFαを同一マウスに30μg/匹の用量
で腹腔内投与した。
【0099】第3の免疫感作から14日後、ヒトTNF
αを第3の免疫感作と同一用量及び同一条件で同一マウ
スに投与した。
【0100】3日後、ELISAで決定される血清中抗
TNFα抗体の最高力価を有するマウスを殺した。
【0101】2.抗TNFα抗体を産生するマウス脾細
胞の不滅化。
【0102】脾臓を無菌下に取り出し、均質化し、得ら
れた細胞懸濁液を遠心分離した。同時にNSOミエロー
マ細胞(>99%生存可能細胞)を同様に遠心分離し
た。次に両方のペレットを完全RPMI培地に再懸濁し
た。完全RPMI培地は、1mMピルビン酸ナトリウム
(Gibco, Paisley, Scotlan
d)、非必須アミノ酸(Gibco)、ストレプトマイ
シン100μg/ml、アンホテリシンB 1.5μg
/ml及び付加的グルタミン(2mM)を補充したRP
MI 1640(Flow Opera, Ital
y)とした。両方の細胞懸濁液を10:1の脾細胞:ミ
エローマ細胞比で結合した。得られた細胞混合物を10
分間400gで遠心分離した。培地を廃棄し、融合を生
じるように、1mlのポリエチレングリコール(PEG
1500, Serva,Heidelberg,
West Germany, 完全RPMI培地中40
%w/v)を1分間かけて注意深く滴下した。その後、
完全RPMI培地5mlを5分間かけて加え、その後1
0mlを5分間、最後に15mlを5分間かけて加え
た。最終懸濁液を10分間400gで遠心分離し、細胞
5×105個/ml(脾細胞+NSO細胞)の最終細胞
密度を有するように、20%ウシ胎児血清(FCS,
Flow, 56℃で30分間熱不活化)を補充した完
全RPMI培地にペレットを再懸濁した。放射線照射し
たマウス腹膜細胞(3000Rad; 2.5×104
細胞/ウェル)を予め接種しておいた96穴組織培養プ
レート(Falcon No. 3072, Bect
on Dickinson, Milan, Ital
y)の各ウェルに、この懸濁液200μlを接種した。
その後、融合産物を含むプレートを24時間37℃、5
%CO2でインキュベートした。その後、20%FC
S、ヒポキサンチン、アミノプテリン及びチミジン(H
AT、プレート中最終濃度夫々10-4M、4×10-7
及び1.6×10-5M)を補充した完全RPMI培地5
0μlを加えた。NSO細胞はアミノプテリンの存在下
で死滅し、非融合脾細胞は寿命が短いので、この培養培
地ではハイブリドーマのみが生存可能である。
【0103】その後、プレートを37℃、5%CO2
更にインキュベートした。培養物に2日おきに新鮮な培
地を供給した。増殖ハイブリッドは4日目まで目に見え
た。3週間後にアミノプテリンを培地から除去し、5週
目から20%FCSを補充した完全RPMI培地を使用
した。
【0104】10〜14日後、培養物が酵素結合イムノ
ソルベントアッセイ(ELISA)でヒトTNFαに結
合する抗体及びヒトTNFαの数種の生物活性の1つを
中和する抗体を産生する能力を試験した。典型的には、
容易であるという理由から、マウスLM細胞でヒトTN
Fαの細胞毒性活性を中和する能力について上清を試験
した(アッセイの詳細については以下の記載を参照)。
放射線照射したマウス腹腔細胞(3000Rad;
2.5×104細胞/ウェル)を予め接種した96穴プ
レート(Falcon)に0.5細胞/ウェルの割合で
希釈液を制限することにより、最大の中和活性を有する
抗体を産生するハイブリッド細胞をクローニングした。
2週間後、TNFα特異的抗体を産生する能力について
増殖陽性ウェルを上記2種のアッセイにより試験した。
【0105】最大の中和活性を有する抗体を産生する1
つのクローンを選択し、更に拡張した。in vitr
o及びin vivo中和活性を正確に定量するため
に、このクローンの上清を試験した。この目的にため
に、まず最初に上清の免疫グロブリン濃度を定量的EL
ISAで試験した(アッセイの詳細については以下の説
明を参照のこと)。in vitro中和活性を正確に
定量するために、ヒトTNFαの用量を増加しながらモ
ノクローナル抗体1μg/ml、100ng/ml又は
10ng/ml(6.25×10-9M、6.25×10
-10M又は6.25×10-11M)をコインキュベートし
た。2時間後、マウスLM細胞に残留するヒトTNFα
の細胞毒性活性を決定した。
【0106】モノクローナル抗体が密接に関連するポリ
ペプチドTNFβと交差反応するか否かを調べるため
に、ヒトTNFβの用量を増加しながらモノクローナル
抗体1μg/mlをコインキュベートし、2時間後、L
M細胞に残留するヒトTNFαの細胞毒性活性を決定し
た。
【0107】次にin vivo中和活性を正確に定量
するために、D−ガラクトサミンと同時投与したTNF
αにより誘発される致死性ショック症候群からマウスを
保護する能力について種々の量のモノクローナル抗体を
試験した(アッセイの詳細な説明は以下に示す)。
【0108】細胞集団の安定性及び均質性を確保するた
めに、ハイブリドーマクローンの細胞を再び上記のよう
にクローニングした。1つのクローン(クローン78)
を選択し、更に特徴付けするために拡張した。このクロ
ーンにより産生されるモノクローナル抗体は、IgG1
サブクラスのH鎖とkクラスのL鎖とを有することが判
明した。
【0109】3.ヒトTNFα特異的モノクローナル抗
体の特異性の立証。
【0110】図1は、ハイブリドーマ78により産生さ
れるモノクローナル抗体のヒトTNFαへの結合が、ヒ
トTNFαと共にプレインキュベーション後のみに変化
し、一連の無関係抗原と共にプレインキュベーション後
では変化しないことを示す。無関係抗原は表皮成長因子
(EGF)、ソマトスタチン、インターロイキン6(I
L6)、トランスフェリン、胸腺ホルモン因子(TH
F)、インシュリン、ラット免疫グロブリンG抗体であ
る。
【0111】4.高いTNFα中和活性とTNFβ中和
活性を有するモノクローナル抗体のin vitro中
和活性。
【0112】図2は、ヒトTNFαの用量の増加に伴う
ハイブリドーマクローン78により産生されるモノクロ
ーナル抗体1μg/ml(6.25×10-9M)の中和
活性を示す。図面から明らかなように、ヒトTNFα単
独では0.15ng/ml(3.3×10-12M)で5
0%細胞毒性を発揮する。1μg/mlの該モノクロー
ナル抗体の存在下で、ヒトTNFαは約229ng/m
l(4.6×10-9M)で50%の細胞毒性を発揮す
る。このことから明らかなように、1μg/mlの該モ
ノクローナル抗体が約228ng/mlのヒトTNFα
を完全に中和する。したがって、1μg/mlの該抗体
の存在下対不在下の半最大生物活性の比は約1527で
ある。
【0113】ヒトTNFαが三量体として溶液中に存在
すると仮定するなら、モノクローナル抗体は約1.3:
1のモル比でヒトTNFαを中和すると予想することが
できる。
【0114】図3は、ヒトTNFβでは1μg/mlの
本発明の該抗体の存在下対不在下の半最大生物活性の比
が約6.3であることを示す。
【0115】表2は、6.25×10-9M、6.25×
10-10M及び6.25×10-11Mの該抗体の不在下又
は存在下でLM細胞に対して50%の細胞毒性活性を与
えるヒトTNFの用量を示す。表から明らかなように、
該抗体は試験した全用量でヒトTNFαを<2のモル比
で中和する。
【0116】5.高いTNFα中和活性を有するモノク
ローナル抗体の親和性。
【0117】本発明のモノクローナル抗体の親和性をス
キャッチャード分析により決定した。このために、該モ
ノクローナル抗体1ng/ml(6.25×10
-12M)を種々の用量のヨウ素化ヒトTNFαと共にイ
ンキュベートし、その後、抗体結合ヒトTNFαの量を
決定した。
【0118】図4から明らかなように、結合データのス
キャッチャードプロットは直線を与えた。表1は該モノ
クローナル抗体へのヒトTNFα結合のパラメーターを
示す。表から明らかなように、親和性定数(Kobs)は
3.16×1010-1であり、該モノクローナル抗体
6.25×10-12Mにより結合可能なヨウ素化ヒトT
NFαの最大量は4.34×10-12Mである。
【0119】6.高いTNFα中和活性を有するモノク
ローナル抗体からのヒトTNFαの解離。
【0120】ヨウ素化ヒトTNFα(2.5ng/m
l、5×10-11M)をモノクローナル抗体(2ng/
ml、1.25×10-11M)と共にプレインキュベー
トし、その後、ヨウ素化ヒトTNFαの再会合を阻止す
るように過剰の非標識ヒトTNFαを加えることにより
解離を測定することにより、該抗体からのヒトTNFα
の解離を決定した。図5は、このような実験の結果を示
す。図から明らかなように、ヨウ素化ヒトTNFαの解
離は直線プロットを与えることにより一次反応曲線に従
う。このプロットから決定したk-1値(解離速度定数)
は1.37×10-5sec-1(T1/2=14h)であ
る。
【0121】7.オクテルロニー寒天二重免疫拡散。
【0122】図6は、本発明のモノクローナル抗体がヒ
トTNFαを免疫沈降できることを示す。該モノクロー
ナル抗体20μg(中央のトラフ)をヒトTNFα10
μg(左上トラフ)、5μg(右上)及び2.5μg
(右下)と反応させると、沈降素バンドが形成された。
【0123】ヒトTNFα1.25μg(左下のトラ
フ)では沈降素バンドはもはや見えない。本発明で開示
されるような単一特異的抗体により抗原を沈殿させるた
めには、抗体は多価でなければならず、同一分子で最小
3つの同一エピトープを発現しなければならないことが
知られている(Sachs, D.H., et a
l. J. Immunol. 109: 1300,
1972)。ヒトTNFαは溶液中で三量体であると
記載されている(Jones, E.Y. etal.
上掲)が、ヒトTNFαは溶液中で二量体として存在
すると主張する報告もある(Petersen, C.
M., et al. Eur. J. Immuno
l. 19: 1887, 1989)。図6の結果
は、本発明のモノクローナル抗体により、ヒトTNFα
を明白に三量体として規定できることを示す。
【0124】8.ヒトTNFαと高いTNFα中和活性
を有するモノクローナル抗体との混合物の高速高圧液体
クロマトグラフィー(FPLC)サイズ排除プロフィ
ル。
【0125】図7は、ヒトTNFα単独100μg/m
l(2×10-6M)(−−−−パネルA)、該モノクロ
ーナル抗体単独100μg/ml(6.25×10
-6M)(−パネルA)、ヒトTNFα100μg/ml
(2×10-6M)とモノクローナル抗体30μg/ml
(2×10-6M)との混合物(パネルB)、及びヨウ素
化ヒトTNFα5ng/ml(10-10M)とモノクロ
ーナル抗体2ng/ml(1.3×10-11M)との混
合物(パネルC)のFPLCサイズ排除プロフィルを示
す。図面から明らかなように、ヒトTNFα単独は40
kDに対応する容量で溶離する。ヒトTNFαのこのク
ロマトグラフィー特徴は、オリゴマーTNFαがゲル濾
過で34〜40kDの見かけの分子量を示すことが報告
されている他の文献(Kumitani, M.G.,
et al. J. Chromatogr. 44
: 205 (1988))に一致する。他方、K
obs計算値より著しく高いか又はこれに近似する試薬濃
度で調製したヒトTNFαとモノクローナル抗体との混
合物は、少なくとも400kD、典型的には570〜6
00kDの分子量に対応する容量で溶離する複合体を形
成した(パネルB及びC)。
【0126】9.高いTNFα中和活性を有するモノク
ローナル抗体で実施したin vitro実験の結論。
【0127】モノクローナル抗体により結合可能且つ中
和可能な最大量のヒトTNFαは約0.7モルTNFα
/モル抗体であるという事実に鑑みてヒトTNFαと該
モノクローナル抗体との反応後に形成される複合体の分
子量(570〜600kD)を考慮すると、該複合体の
各々は少なくとも2個の該モノクローナル抗体分子と1
個のヒトTNFα分子、典型的にはヒトTNFα2分子
(6エピトープ)を相互に連結する該モノクローナル抗
体3分子(6結合手)から構成される高分子量複合体で
あると結論することができる。
【0128】このような複合体は、ゲル濾過で検出値に
非常に近い値である560〜580kDに対応する容量
で溶離すると予想される。結合化学量論に関する結果は
抗原過剰で実施される実験から得たので、ヒトTNFα
/モノクローナル抗体複合体が開鎖構造中の交互mAb
78−huTNFα分子から構成される場合は除外す
る。その代わりに、ヒトTNFα/モノクローナル抗体
分子が相互に結合して環状構造を形成すると想定する。
環状抗原−抗体複合体のエネルギー利点、したがって優
れた安定性は、二価ハプテン−抗体系で検討され、十分
に研究されている(Archer, B.G., an
d Krakaur, H. Biochemistr
16: 618 (1977); Erickso
n, J.W. et al. Biochemis
ry 30: 2357 (1991); Posne
r, R.G. et al. Biochemist
ry30: 2348 (1991)及びDembo,
M. and Goldstein, B.,
munochemist ry 15: 307 (19
78))。実際に解離調査(図5)によると、ヒトTN
Fα/モノクローナル抗体複合体は確かに非常に安定
(K-1=1.37×10-5 sec-1)である。このよ
うな値は、一雌一雄二値結合モード(Mason,D.
W. andWilliams, A.F., Bio
che m. J. 187: 1(1989)にしたが
って細胞抗原表面に結合するモノクローナル抗体につい
て報告されている値と同程度の大きさであり、別の種の
抗原−抗体相互作用も同様に安定な複合体の形成をもた
らす。さらに、このような環状複合体の形成を介してヒ
トTNFα及び該モノクローナル抗体を最大の安定性の
状態にできるならば、これは、抗原過剰では形成される
最小抗原−抗体複合体が抗体過剰であるという明白に逆
説的な結果を説明する。
【0129】しかしながら、このようなモデルでは、ヒ
トTNFα及び該モデル抗体が如何にして沈殿し得るか
という問題が生じる。記載の複合体では依然として該モ
ノクローナル抗体分子と自由に反応し得るヒトTNFα
エピトープはないので、沈殿がこのような複合体の架橋
に起因する場合は除外する。むしろ、沈殿及び環状複合
体の形成が相互に競合する2つの基本的に異なる現象で
あるという可能性を支持する。抗原過剰及び低(Kobs
に近似)試薬濃度では、環状複合体の形成が優勢であ
り、等量/抗体過剰及び高試薬濃度では複合体の形成は
従来の格子理論にしたがって交互抗体−抗原分子から形
成される。
【0130】最後に、本発明に記載されるようなヒトT
NFαに結合するモノクローナル抗体は、ヒトTNFα
関連疾患状態における可能な治療用途に関して有利であ
り得る。
【0131】実際に、少なくとも2個の典型的にはモノ
クローナルの抗体分子から構成される複合体は巨大凝集
体とみなされ得る。単球−マクロファージ由来細胞は複
合体を循環から優先的に除去し、こうして危機器官(例
えば腎臓)に沈積するのを阻止し、こうしてこれらの場
所における免疫複合体により媒介される炎症反応を避け
ることができる。
【0132】10.高いTNFα中和活性を有するモノ
クローナル抗体のin vivo中和活性。
【0133】in vivo中和活性を調べるために、
マウスに36mgのD−ガラクトサミン(Fluka
Ag, Buchs, Switzerland)及び
ヒトTNFαを腹腔内注入したモデルシステムを使用し
た。D−ガラクトサミンはヒトTNFαの致死効果に対
して動物を非常に感受性にする。表2、表3及び表4か
ら明らかなように、0.1μg/匹程度の低用量のヒト
TNFαでマウスのほとんどが死滅した。実際に、この
ような量のTNFαをマウスに投与すると、TNFαの
血中濃度は、TNFαが有害な役割を果たすことが示さ
れている疾患状態でヒトに検出された濃度に近づく(C
annon, J.G. et al.The Jou
rnal of Infectious Diseas
es161: 79 (1990)参照)。従って、こ
のモデルシステムは、TNFαが病原効果を発揮するよ
うな疾患状態でヒトで中和する抗TNFαモノクローナ
ル抗体の用量を決定するために適切である。
【0134】表3及び表4は、ハイブリドーマ78によ
り産生される本発明のモノクローナル抗体で実施したi
n vivo保護調査の結果を示す。
【0135】表3は特に、0.4μg/匹のモノクロー
ナル抗体が0.1μg/匹のヒトTNFαと36mgの
D−ガラクトサミンとを同時投与した場合の致死効果か
らマウスを完全に保護できることを示す。致死量を越え
る1μg/匹のヒトTNFαを使用した場合、4μg/
匹のモノクローナル抗体でマウスを完全に保護すること
ができた。
【0136】表4は経時的調査の結果を示す。表から明
らかなように、10μg/マウスのモノクローナル抗体
はTNFαよりも1時間30分前/又はTNFαと同時
に投与した場合、1μg/匹のTNFαの致死効果から
マウスを完全に保護することができる。TNFαから2
0分後に投与した場合、依然として部分的な保護が観察
された。他方、0.1μg/匹のTNFαから40分後
までに投与した場合、1μg/匹のモノクローナル抗体
はマウスを完全に保護した。TNFαから2時間後に投
与した場合、部分的保護がまだ観察された。ハイブリド
ーマクローン78の細胞は1990年11月7日付けで
ECACC仮受託番号90110707で寄託されてい
る。
【0137】方法 1.ヒトTNFα特異的抗体の検出のためのELIS
A。
【0138】平底微量滴定プレート(Falcon N
o. 3912)を100mM重炭酸緩衝液、pH9.
6で希釈したヒトTNFα1μg/mlで100μl/
ウェルの割合で被覆した。4℃で一晩インキュベーショ
ン後、未吸着TNFαを廃棄し、1%ウシ血清アルブミ
ン(BSA, Armour, Kankakee,I
llinois)を補充したPBSを各ウェルに加え、
空いているプラスチック部位を飽和させた。
【0139】プレートを更に室温で3時間インキュベー
トした。その後、プレートを洗浄用緩衝液(WB)、即
ち0.1%Tween 20(Merck, Schu
chardt, Hohenbrunn, FRG)及
び0.01%メルチオレート(BDH, Pool,
GB)を補充したPBSで3回洗った。1%BSAを補
充したPBSでハイブリドーマ上清50μlを1:5に
希釈して各ウェルに加え、プレートを60分間37℃で
インキュベートし、上記のように洗浄した。次に、WB
で1:3000に希釈したペルオキシダーゼ結合ヤギ抗
マウス免疫グロブリンG(HRPaIgG, BioR
ad, Richmond,California)1
00μlを各ウェルに加え、プレートを45分間37℃
でインキュベートし、上記のように洗った。その後、ペ
ルオキシダーゼ基質(OPD2, Chemicon,
SCI, Rome, Italy, クエン酸緩衝
液5mlに1タブレットを溶解、OPD4, Chem
icon)100μlを各ウェルに加えた。室温で2分
間反応させた後、100μl/ウェルの4M H2SO4
を加えることにより顕色を停止した。顕色の程度をプレ
ートELISAリーダーで492nmで読み取った。光
学密度(OD)値>0.5を与える上清を抗TNFα抗
体の存在に関して陽性であるとみなした。
【0140】2.ヒトTNFα特異的抗体の特異性の立
証のためのコンペティティブELISA。
【0141】ハイブリドーマ上清100ng/mlを種
々の濃度のヒトTNFα又は種々の濃度の無関係抗原又
は希釈剤単独(1%BSAを補充したPBS)と共に2
時間37℃でコインキュベートした。インキュベーショ
ン後、ヒトTNFα特異抗体を検出することが可能な従
来記載されているELISAで残留TNFα結合を測定
した。
【0142】3.マウスIgG抗体の定量用ELIS
A。
【0143】平底微量滴定プレートを40mMリン酸緩
衝液(pH7.4)で希釈したヤギ−抗マウスIg(O
rganon Teknika, Turnhout,
Belgium, 終濃度1μg/ウェル)で100
μl/ウェルの割合で被覆した。4℃で一晩インキュベ
ーション後、未吸着の抗体を廃棄し、1%BSAを補充
したPBSを各ウェルに加え、空いているプラスチック
部位を飽和させた。
【0144】プレートを更に3時間室温でインキュベー
トし、その後、WBで3回洗った。このインキュベーシ
ョンの間に、基準マウスIgG調製物(Pel−Fre
ez, Rogers, Arkansas)の典型的
には5〜0.25μg IgG/mlの連続2倍希釈液
を調製した。これと平行して未知量のIgGを含有する
上清の典型的には1:100〜1:12800の連続2
倍希釈液を調製した。全希釈液は1%BSAを補充した
PBS中で調製した。各希釈液50μlをウェルに加
え、プレートを60分間37℃でインキュベートし、そ
の後、上記のように洗った。
【0145】ペルオキシダーゼ基質添加及び顕色は1項
を参照されたい。
【0146】ELISA−SOFT−PCプログラム
(Perkin−Elmer, Norwalk, C
onnecticut)でデータを処理することによ
り、未知量のIggを含有する上清中のIgG濃度を計
算した。
【0147】4.モノクローナル抗体のH鎖及びL鎖の
型別のためのELISA。
【0148】この目的のために、HYBRIDOMA
SUB ISOTYPING KIT(Calbioc
hem, La Jolla, Californi
a)を製造業者の指示に従って使用した。型別は1%B
SAを補充したPBSで1:5に希釈したハイブリドー
マ上清で行った。OD値>0.4を与えるウェルを所与
のIgGクラス、サブクラス及びL鎖のモノクローナル
抗体の存在に関して陽性であるとみなした。
【0149】5.抗TNFαモノクローナル抗体のin
vitro中和活性の決定。
【0150】0日目に対数的に増殖するマウスLM細胞
(Rubin, B.Y. etal, J. Ex
p. Med. 162: 1099 (1985))
をトリプシン処理し、遠心分離し、5%FCS及び1%
グルタミンを補充したイーグルの最小必須培地(完全M
EM)ml当たり細胞3×105個の終濃度で再懸濁し
た。
【0151】この懸濁液100μlを平底微量滴定プレ
ート(Falcon 3072)のウェルに加えた。次
に、ウェルへの添加後に1μg/ml〜25pg/ml
の終濃度を得るように、完全MEMでヒトTNFα又は
ヒトTNFβ(OmniaRes, Cinisell
o Balsamo, Italy)の懸濁液を調製し
た。
【0152】ウェルへの添加後にモノクローナル抗体m
l当たり1μg、100ng又は10ngの終濃度を有
するように、完全MEMで抗体含有上清又は溶液を希釈
した。
【0153】各TNFα又はTNFβ希釈液50μlを
モノクローナル抗体50μl又は完全MEM50μlと
共に2時間37℃でコインキュベートした。このインキ
ュベーションの間に、完全MEM中のアクチノマイシン
D(Fluka)を含有する溶液を調製した。ウェルへ
の添加後のアクチノマイシンDの終濃度は1μg/ml
とした。インキュベーション後、各抗体−TNFα又は
TNFβ混合物及びアクチノマイシンD 50μlを微
量滴定プレートのウェルに加えた。いくつかのウェルに
TNFα又はTNFβを含有する各希釈液100μlを
加えた。いくつかの対照ウェルにはアクチノマイシンD
単独+完全MEMのみを加えた。その後、プレートを2
4時間37℃でインキュベートした。
【0154】インキュベーション後、チアゾリルブルー
溶液(MTT, Calbiochem, PBS中5
mg/ml)20μlを各ウェルに加えた。プレートを
更に4時間37℃でインキュベートした。次に、上清を
捨て、ジメチルスルホキシド(DMSO, Farmi
talia Carlo Erba)200μlを各ウ
ェルに加え、顕色の程度をプレートELISAリーダー
で570nmで読み取った。
【0155】各抗体−TNFα又はTNFβ混合物に得
られたOD値をTNFα又はTNFβ単独に得られたO
D値に比較した。モノクローナル抗体の不在下又は存在
下で対照ウェルに得られた値の50%のOD値(50%
細胞毒性)を与えるTNFα又はTNFβの量を決定し
た。最高の中和活性を有するモノクローナル抗体を、5
0%の細胞毒性を与えるために必要なTNFαの最高増
加を決定する活性として定義する。
【0156】6.抗TNFαモノクローナル抗体の親和
性の決定。
【0157】抗TNFαモノクローナル抗体の親和性を
決定するために、次の実験を実施した。該モノクローナ
ル抗体又は希釈剤単独(0.5%BSAを補充したPB
S)1ng/ml(6.25×10-12M)を、種々の
濃度のヨウ素化ヒトTNFα(NEN, Wilmin
gton, DE,典型的には0.5×10-11M〜4
×10-10Mの濃度)と共にエッペンドルフチューブで
4時間室温でインキュベートした。インキュベーション
後、1:5希釈Immunobeads(170−51
04, Bio−Rad, Segrate, Ita
ly)を各チューブに加え、チューブを更に1時間イン
キュベートした。次に、混合物をフタル酸−フタル酸ジ
ブチル油状混合物(1:1.5vol/vol, Fl
uka,AG)を通して遠心分離した。Immunob
eadに会合した放射活性をγカウンターで計数した。
こうして得られたデータを平衡結合データ分析プログラ
ム(EBDA, Elsevir.Science P
ublishers,Amsterdam, Neth
erlands)により処理した。
【0158】7.抗TNFαモノクローナル抗体に結合
したヒトTNFαの解離速度定数(k-1)の決定。
【0159】ハイブリドーマ78又は緩衝液(PBS+
0.5%BSA)単独により産生されたモノクローナル
抗体2ng/ml(1.25×10-11M)をヨウ素化
ヒトTNFα 2.5ng/ml(5×10-11M)と
共に4時間室温でインキュベートした。その後、1:5
希釈Immunobeadを1時間加え、その後、混合
物を2回遠心分離した。得られたペレットを250ng
/ml(5×10-9M)「寒冷」ヒトTNFαに再懸濁
し、解離する全ヨウ素化ヒトTNFαとの再結合に関し
て競合させた。室温で種々の時間インキュベーション
(表5参照)後、ペレットを前項に記載したように油状
混合物を通して遠心分離した。次に、モノクローナル抗
体に特異的に結合した残留ヨウ素化ヒトTNFαを決定
し、結果をlog時間に対する結合放射性百分率として
プロットした。50%解離時間(T1/2)をこのグラフ
から読み取り、k-1=0.693/T1/2を計算するた
めに使用した。
【0160】8.オクテルロニー寒天二重免疫拡散。
【0161】ハイブリドーマ78により産生されたモノ
クローナル抗体がヒトTMFαを沈殿させるか否かを調
べるために、二重拡散アッセイを実施した。このため
に、0.9%NaCl中の1%アガロースゲルを使用し
た。サンプル(ヒトTNFα及びモノクローナル抗体)
を円形ウェルに入れた。少なくとも24時間4℃でパタ
ーンを展開させ、写真撮影した。
【0162】9.ヒトTNFα及び抗TNFαモノクロ
ーナル抗体の混合物のFPLCサイズ排除プロフィルの
決定。
【0163】この目的のために、ヒトTNFα又はヨウ
素化ヒトTNFαと精製抗TNFαモノクローナル抗体
との混合物(例えばヒトTNFα100μg/mlとモ
ノクローナル抗体30μg/ml又はヨウ素化ヒトTN
Fα5ng/mlとモノクローナル抗体2ng/ml)
をヒトTNFα過剰となるようにPBS(ヒトTNFα
100μg/mlとモノクローナル抗体30μg/ml
との混合物の場合)又はPBS+0.5%BSA(ヨウ
素化ヒトTNFα5ng/mlとモノクローナル抗体2
ng/mlとの混合物の場合)中で調製した。混合物を
4時間室温でインキュベートさせた。その後、混合物、
TNFα単独又はモノクローナル抗体単独を10×30
0mm Superose 6 FPLCカラム(Ph
armacia LKB Biotechnolog
y, Uppsala,Sweden)でクロマトグラ
フィーにかけ、A280吸着プロフィルを得た。カラムを
予備平衡させ、50mMリン酸ナトリウム、150mM
NaCl, pH7.2緩衝液で溶離させた。分子量
標準は典型的にはブルーデキストラン(mw2×1
6)、ヒトIgM(mw 900000)、ウシチロ
グロブリン(mw 670000)、ウシIgG(mw
158000)、ニワトリオボアルブミン(mw 4
4000)、ウマミオグロブリン(mw 1700
0)、ビタミン(mw1350)とした。
【0164】10.抗TNFαモノクローナル抗体のi
n vivo中和活性の決定。
【0165】抗TNFαモノクローナル抗体のin v
ivo中和活性を調べるために、ヒトTNFαによりマ
ウスに誘発した致死性ショックのモデルシステムを作成
した。この目的のために、マウスに種々の用量のヒトT
NFα(典型的にはPBS0.25mlに希釈して0.
1μg又は1μg/匹)及びD−ガラクトサミン(典型
的にはPBS 0.25mlに希釈して36mg/匹)
を腹腔内注入した。致死量のヒトTNFαを注入したマ
ウスは24〜48時間以内に死亡した。
【0166】マウスに種々の用量のモノクローナル抗体
(PBS 0.25mlに希釈)を静脈内注入し、90
分後に致死量のヒトTNFαを腹腔内注入することによ
り、抗TNFαモノクローナル抗体のin vivo中
和活性を調べた。
【0167】別の実験系列では、抗TNFαモノクロー
ナル抗体の経時的in vivo中和活性を調べた。こ
の目的のために、モノクローナル抗体を致死量のヒトT
NFαの投与前後種々の時刻に投与した。
【0168】
【表1】
【0169】
【表2】
【0170】
【表3】
【0171】
【表4】
【0172】
【表5】
【図面の簡単な説明】
【図1】種々の用量のヒトTNFα又は種々の用量の無
関係抗原と共にインキュベーション後に抗体100ng
/mlがTNFαに結合し続ける残留結合能を測定する
ELISAで決定したヒトTNFαに対するモノクロー
ナル抗体の特異性を示す。
【図2】種々の用量のヒトTNFαに対するモノクロー
ナル抗体1μg/ml(6.25×10-9M)の中和活
性を示す。
【図3】種々の用量のヒトTNFαに対するモノクロー
ナル抗体1μg/mlの中和活性を示す。
【図4】該モノクローナル抗体へのヒトTNFαの結合
のスキャッチャードプロットを示す。
【図5】本発明のモノクローナル抗体からのヒトTNF
αの解離を示す。
【図6】オクテルロニー寒天二重免疫拡散を示す。中央
のトラフにはモノクローナル抗体20μgを加え、左
上、右上、左下及び右下のトラフにはヒトTNFα夫々
10μg、5μg、1.25μg及び2.5μgを加え
た。
【図7】ヒトTNFα単独100μg(2×10-6M)
(−−−−パネルA)、該モノクローナル抗体単独10
0μg(6.25×10-6M)(−パネルA)、ヒトT
NFα100μg(2×10-6M)とモノクローナル抗
体30μg(2×10-7M)との混合物(パネルB)、
及びヨウ素化ヒトTNFα5ng(10-10M)とモノ
クローナル抗体2ng(1.25×10-11M)との混
合物(パネルC)の高圧液体クロマトグラフィー(FP
LC)サイズ排除プロフィルを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 39/395 ABG D 8413−4C C07K 15/28 7731−4H C12N 5/20 // C12N 15/06 (C12P 21/08 C12R 1:91) (72)発明者 マルタ・ギスリエリ イタリー国、20137・ミラン、ビア・カド リーニ・4 (72)発明者 フアブリツイオ・マルクツチ イタリー国、20025・レニヤーノ・(ミラ ン)、ピアツツア・デル・カロツチヨ・23 (72)発明者 ドメニコ・トリツイオ イタリー国、22070・カツシーナ・リツツ アルデイ・(コモ)、ビア・ボルタ・4

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒト腫瘍致死因子(TNF)αを中和す
    ることが可能なモノクローナル抗体又はその結合フラグ
    メントであって、ヒトTNFαを沈殿させ高分子量抗原
    −抗体複合体を形成することが可能であることを特徴と
    するモノクローナル抗体。
  2. 【請求項2】 ヒトTNFαと共に形成される最小の抗
    原−抗体複合体が実質的に少なくとも2個の該抗体分子
    と少なくとも1個のヒトTNFα分子とを含み且つ少な
    くとも400kDの分子量を有することを特徴とする請
    求項1に記載のモノクローナル抗体又はその結合フラグ
    メント。
  3. 【請求項3】 in vitroでヒトTNFαを2:
    1未満のモル比で中和できることを特徴とする請求項1
    に記載のモノクローナル抗体又はその結合フラグメン
    ト。
  4. 【請求項4】 1μg/匹未満の用量で抗原非投与時に
    は致死量のヒトTNFαからマウスに完全な保護を提供
    できることを特徴とする請求項1に記載のモノクローナ
    ル抗体又はその結合フラグメント。
  5. 【請求項5】 ヒト腫瘍致死因子βも同様に認識できる
    ことを特徴とする請求項1に記載のモノクローナル抗体
    又はその結合フラグメント。
  6. 【請求項6】 Fv、Fab又はF(ab’)2フラグ
    メントを表すことを特徴とする請求項1に記載のモノク
    ローナル抗体。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載のモノクローナル抗体を
    分泌する安定なハイブリドーマ細胞系及びその子孫。
  8. 【請求項8】 ハイブリドーマ細胞系78(ECACC
    仮受託番号90110707)及びその子孫。
  9. 【請求項9】 請求項7に記載の安定ハイブリドーマ細
    胞系の製造方法であって、不滅化細胞を、ヒトTNFα
    で免疫したマウス由来細胞と融合することを特徴とする
    方法。
  10. 【請求項10】 ハイブリドーマ細胞系78から得られ
    るような請求項1に記載のモノクローナル抗体又はその
    結合フラグメント。
  11. 【請求項11】 活性成分として請求項1に記載のモノ
    クローナル抗体又はそのフラグメントと、医薬上許容可
    能なキャリヤー及び/又は希釈剤とを含有する医薬組成
    物。
  12. 【請求項12】 ヒトTNFα及び/又はヒトTNFβ
    が病原効果を発揮する疾患状態において予防薬及び/又
    は治療薬として使用するための請求項1に記載のモノク
    ローナル抗体又はその結合フラグメント。
  13. 【請求項13】 抗細菌又は抗新生物治療から生じる副
    作用を予防又は治療するために使用される請求項1に記
    載のモノクローナル抗体又はその結合フラグメント。
  14. 【請求項14】 請求項1に記載のモノクローナル抗体
    又はその結合フラグメントと、抗生物質、抗微生物剤も
    しくは抗細菌剤又はその2種以上の混合物とを含有し、
    抗微生物及び抗細菌療法において同時、別々又は順次使
    用される組み合わせ調製物としての製品。
  15. 【請求項15】 請求項1に記載のモノクローナル抗体
    又はその結合フラグメントと抗腫瘍剤とを含有し、抗癌
    療法において同時、別々又は順次使用される組み合わせ
    調製物としての製品。
  16. 【請求項16】 体液サンプル中のヒトTNFα濃度の
    検出方法であって、請求項1に記載のモノクローナル抗
    体又はその結合フラグメントにサンプルを接触させるこ
    とを特徴とする方法。
  17. 【請求項17】 ヒトTNFαレセプター及びヒトTN
    Fβレセプターに結合することを特徴とするモノクロー
    ナル抗イディオタイプ抗体。
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