JPH0596906U - 磁気ヘッド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 巻線スペースを従来の磁気ヘッドと同様に確
保しつつテープタッチ性を向上させる。 【構成】 センターコア１のコイルボビン４を挿入する
部分１ａよりもギャップ寄りの部分をテープ走行方向に
折曲げてギャップ位置Ｇ₁ ，Ｇ₂ をオフセットさせ、例
えば録再ヘッド側寄りの最も突出した位置にギャップＧ
₁ ，Ｇ₂ を形成して良好なテープタッチを実現できるよ
うにする一方、コイル装着部分１ａでは消去ヘッドの中
央にセンターコア１を配置してかつその両側に対称にサ
イドコア２，３を配置して従来と同様の広い巻線スペー
スを確保している。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は磁気ヘッドに関する。更に詳述すると、本考案は、主に消去ヘッドに 用いられるダブルギャップ型の磁気ヘッドに関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来のダブルギャップ型の消去ヘッドは、図２に示すように、真直ぐな板状の センターコア１０１の両側にほぼコの字型のサイドコア１０２，１０３を対称に 配置してそれらの両端でセンターコア１０１を挾持することによって、２つのギ ャップＧ₁ ，Ｇ₂ とコイルボビン１０４をセンターコアに装着するための空間Ｓ とが形成されている。ギャップＧ₁ ，Ｇ₂ はテープ摺接面１０５においてヘッド 中心Ｏを軸としてほぼ対称かつ中心寄りの位置に形成されている。これらセンタ ーコア１０１とサイドコア１０２，１０３とはコイルボビン１０４を装着した状 態においてそれらの隙間に充填される接着剤（図示省略）によって固められる。 また、この消去ヘッドは通常、１トラック分に相当するテープの幅例えばテープ の半分の幅に対してのみ消去作用を及ぼし反対側のトラックに対しては消去しな いようにするため、テープ摺接面１０５の半分が非磁性材キャップ１０６によっ て構成されている。即ち、磁気テープの一方のトラックにのみギャップＧ₁ ，Ｇ ₂ が配置されるように形成されている。

【０００３】 このような消去ヘッド１０７は、例えば図３に示すように、録音・再生用ヘッ ド（以下録再ヘッドという）１０８と並べて１つのヘッドホルダ（図示省略）な どに組合せられて使用されることがある。このような場合、録再ヘッド１０８の テープ摺接面１１２と消去ヘッド１０７のテープ摺接面１０５とで１つの曲面を 構成するように、消去ヘッド１０７のテープ摺接面１０５の曲率中心Ｏ₁ はヘッ ド中心Ｏから外れて録再ヘッド１０８寄りに設定されている。このため、消去ヘ ッド１０６は、録再ヘッド１０８寄りの部位が突出した形状とされている。この とき、磁気テープ１０９は供給側のテープガイド１１０を経て消去ヘッド１０７ に接触し、その後録再ヘッド１０８に接触してから巻取り側テープガイド１１１ に案内されて巻取りリール側に走行する。したがって、テープ走行時に初期の周 波数特性を得るには、録再ヘッド１０８のギャップＧ₃ に対するテープタッチ（ テープとヘッドのギャップ部分との接触）が良好であると共に良好な消去を行う ために消去ヘッドの２つのギャップＧ₁ ，Ｇ₂ に対してテープタッチが良好であ ることが必要である。そして、消去ヘッドが突出し過ぎると録再ヘッドのテープ タッチが悪化する虞があるので、録再ヘッドよりも僅かに凹んで配置される傾向 にある。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、従来の消去ヘッド１０７はその構造上どうしてもテープ走行方 向においてヘッド中心Ｏに配置されたセンターコア１０１の両側にギャップＧ₁ ，Ｇ₂ が形成されるため、消去ヘッド１０７の中央からほぼ均等な位置に割振ら れてしまう。このため、図３に示すように録再ヘッド１０８と組合せて使用する 場合、録再ヘッド１０８から離れた外側のギャップＧ₂ がテープ１０９から離れ てしまう問題がある。また、テープガイド１１０，１１１と磁気ヘッド１０７， １０８との突出し位置関係の変動によっても、消去側ヘッド１０７の外側のギャ ップＧ₂ がテープ１０９から離れてしまう問題がある。このため、消去率が悪化 するという問題がある。

【０００５】 また、テープタッチを安定させるためコの字型のサイドコアの両端のセンター コア側への突出量を小さくして実質的にギャップＧ₁ ，Ｇ₂ を全体に録再ヘッド 側寄りに近づけることを考えたが、この方法では十分な巻線スペースを確保する ことができないという問題がある。

【０００６】 本考案は巻線スペースを従来の磁気ヘッドと同様に確保しつつテープタッチ性 を向上させた磁気ヘッドを提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】 かかる目的を達成するため、本考案は、センターコアをサイドコアで挾持する ことにより２つのギャップを形成する磁気ヘッドにおいて、センターコアはギャ ップ近傍でテープ走行方向に折曲げられてコイルボビンを挿入する部分よりもギ ャップ位置をオフセットさせるようにしている。

【０００８】

【作用】

したがって、コイルを装着する部分においてはセンターコアに対し対称にサイ ドコアを配置してセンターコアとサイドコアとの間に対称的な広い空間を形成す る。しかし、テープ摺接面のギャップ部分においては一方のサイドコア例えば録 再ヘッド寄りのサイドコアに対しセンターコア及び他方のサイドコアが屈曲して 接近し、ギャップをテープ走行方向にずらして形成する。このため、２つのギャ ップを録再ヘッド側寄りに形成することができる。しかも、消去ヘッドとしての テープ摺接面は従来と同様に形成される。

【０００９】

【実施例】

以下、本考案の構成を図面に示す実施例に基づいて詳細に説明する。

【００１０】 図１に本考案の磁気ヘッドの一実施例を示す。この磁気ヘッドは、１枚のセン ターコア１とこれを挾み付ける２枚のサイドコア２，３及びセンターコア１に装 着されるコイルボビン４、更にテープ摺接面５の一部を形成する非磁性材のキャ ップ６とから成る。

【００１１】 サイドコアは、Ｌ型の第１のサイドコア２と、ほぼコの字形を成し上側の辺が 下側の辺よりも更にセンターコア１側へ突出した第２のサイドコア３との非対称 な形状の２種類のコアから成る。また、センターコア１はコイル装着部１ａまで がストレート形状を成し、それよりもテープ摺接面寄りのギャップＧ₁ ，Ｇ₂ を 構成する部分１ｂは段違いに屈曲してＬ型の第１のサイドコア２に接近するオフ セット形状に設けられている。したがって、センターコア１を第１及び第２のサ イドコア２，３で挾持するように組立てることによって、テープ摺接面５部分に あってはテープ走行方向にオフセットした位置にギャップＧ₁ ，Ｇ₂ を形成する 一方、コイルボビン４が装着される部分にあってはセンターコア１の周囲に両側 のサイドコア２，３との間にコイルボビン４を装着するに十分な広さの空間Ｓが 形成されている。

【００１２】 この磁気ヘッドのテープ摺接面５はセンターコア１とサイドコア２，３とによ って形成されるギャップＧ₁ ，Ｇ₂ を含む消去領域５ａと、非磁性材例えば樹脂 等によって形成される非消去領域５ｂとから構成されている。非消去領域５ｂは 例えばプラスチックのキャップ６から成り、センターコア１及びそれに装着され たコイルボビン４に被せて図示していない接着剤例えばエポキシ系樹脂によって 固着されている。

【００１３】 コイルボビン４は特に限定されるものではないが、通常プラスチック製のフラ ンジ付きボビンケース４ａとこれに巻回されるコイル４ｂとそのコイル４ｂの両 端を外部に引き出すボビン端子４ｃとから構成されている。

【００１４】 以上のように構成された消去ヘッドは図１の（Ａ）に仮想線で示す位置まで研 磨され、例えば図３に示すように録再ヘッドと一定の位置関係を保つようにヘッ ドホルダなどに組込まれて使用される。

【００１５】 尚、上述の実施例は本考案の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるも のではなく本考案の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例 えば、センターコア１のオフセット形状は図示のものに特に限定されず、必要に 応じてその折曲げ度合い及び折曲げ方向を適宜変更できる。

【００１６】

【考案の効果】

以上の説明より明らかなように、本考案の磁気ヘッドは、センターコアのコイ ルボビンを挿入する部分よりもギャップ寄りの部分をテープ走行方向に折曲げて ギャップ位置をオフセットさせるようにしたので、例えば録再ヘッド側寄りの最 も突出した位置にギャップを形成することができ、テープガイドとの位置関係に 左右されることなく良好なテープタッチを実現できる。しかも、本考案の磁気ヘ ッドはコイル装着部分では消去ヘッドの中央にセンターコアが配置されかつその 両側に対称にサイドコアが配置されるので、従来と同様の広い巻線スペースを確 保することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の磁気ヘッドの一実施例を示す図面で、
（Ａ）は左側面図、（Ｂ）は正面図、（Ｃ）はテープ摺
接面を研削した状態の平面図、（Ｄ）は底面図、（Ｅ）
は右側面図である。

【図２】従来の消去ヘッドを示す図で、（Ａ）は左側面
図、（Ｂ）は正面図、（Ｃ）はテープ摺接面を研削した
状態の平面図である。

【図３】録再ヘッドと消去ヘッドを組合せて使用する場
合におけるテープガイド及びテープとの関係を示す説明
図である。

【符号の説明】

１ センターコア ２ サイドコア ３ サイドコア ４ コイルボビン Ｇ₁ ギャップ Ｇ₂ ギャップ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 センターコアをサイドコアで挾持するこ
   とにより２つのギャップを形成する磁気ヘッドにおい
   て、上記センターコアは上記ギャップ近傍でテープ走行
   方向に折曲げられてコイルボビンを挿入する部分よりも
   上記ギャップ位置をオフセットさせたことを特徴とする
   磁気ヘッド。