JPH0596086U - 経糸処理用リード部材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】本考案は、製作上の制約がなく、耐食性、密着
性、耐摩耗性に優れた経糸処理用リード部材を提供す
る。 【構成】この経糸処理用リード部材８は、基体11上に、
直接または中間層12を介して、硬質カーボン被膜層13を
設けてなるものである。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は経糸処理用リード部材、とくには各種織物の製造に際し、経糸を整経 、糊付け、製織の各工程で処理するときに用いられるリードにおいて、これを構 成する部材の耐摩耗性を向上させたリード部材に関する。

【０００２】

【従来の技術】

経糸処理用のリードは糊付けされた経糸と接触するため摩耗がひどく、その対 策として、基体にクロムメッキを施すなどで対応してきたが、耐食性、密着性、 耐摩耗性の点で満足できるものではなかった。 このため、全体をセラミックス製にしたものも提案されているが、細かい細工 ができないという製作上の制約があった。 また、基体に直接硬質カーボン被膜層を形成する方法は密着信頼性が低く、ま た溶射による被膜形成法は基体が軟化するおそれがあるなど、いずれも実用に程 遠い状態にあった。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

したがって、本考案の目的は、製作上の制約がなく、耐食性、密着性、耐摩耗 性に優れた経糸処理用リード部材を提供しようとするものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案による経糸処理用リード部材は、基体上に、直接または中間層を介し て、硬質カーボン被膜層を設けたことを特徴とするものであり、また、この中間 層として、Ｎｉ−Ｐメッキによる被膜層上にＰＶＤ法によるＴｉおよびＳｉ被膜 層を設けたものとしたことを好適とするものである。

【０００５】 以下、本考案の経糸処理用リード部材を例示した図面に基づいて説明する。 図１は本考案のリード部材の適用状態を、糊付け機における使用状況を例とし て示すものである。また、図２は図１におけるリードの斜視図である。 図１および図２において、整形ビームから引き出された経糸シート１は糊液槽 ２に導かれ、イマージョンロール３によってアクリル系およびＰＶＡ系樹脂を主 体とする糊液４に浸され、サイジングロール５およびスクイージングロール６に よって絞られた後、リード７のリード片（リード部材）８‥間を通ってさばかれ て、整列した状態で乾燥室９に送られて乾燥される。

【０００６】 図３および図４はそれぞれ異なる態様のリード部材の断面構造を拡大して示す もので、１１は基体、１２は中間層、１３は硬質カーボン被膜層である。 ここで、基体１１としてはステンレス鋼材料、鉄鋼材料、超硬材料、その他非 鉄金属材料等が用いられる。中間層１２にはＮｉ−Ｐメッキによる厚さ１〜１０ μｍの被膜層 １２１上に（あるいは時効処理を施した後）ＰＶＤ法（スパッタ リングまたはイオンプレーティングなどの物理的蒸着法）による厚さ０．０５〜 ０．３μｍのＴｉ被膜層 １２２および厚さ０．０５〜１．０μｍのＳｉ被膜層 １２３を施したものが密着信頼性の向上のために好適である。また、硬質カー ボン被膜層１３はプラズマーＣＶＤ（化学的蒸着法）により厚さ０．１〜３．０ μｍの膜を施す。 なお、基体１１としてステンレス鋼を用いたときは上記中間層１２、とくにＮ ｉ−Ｐメッキによる被膜層１２１を施す必要はない。

【０００７】

【実施例】

以下、本考案に係る経糸処理用リード部材を、図４に示した実施態様に基づい て説明する。 図４における基体１１上に、下記の液組成と条件の湿式メッキによって厚さ２ 〜５μｍのＮｉ−Ｐメッキによる被膜層１２１を形成した。 ［メッキ液組成］ ・硫酸ニッケル ２０ｇ／ｌ ・次亜リン酸ナトリウム ２５ 〃 ・乳酸 ２５ 〃 ・プロピオン酸 ３ 〃 ［メッキ条件］ ・ｐＨ ４〜５ ・温度 ９０℃

【０００８】 次に、このＮｉ−Ｐメッキによる被膜層 １２１上にＰＶＤ法により厚さ０． ０１μｍのＴｉ被膜層 １２２と厚さ ０．５μｍのＳｉ被膜層 １２３とを順 次形成した。 その後、このＳｉ被膜層 １２３上に、プラズマ−ＣＶＤ法により下記の条件 で厚さ２μｍの硬質カーボン被膜層１３を形成した。 ［硬質カーボン被膜層形成条件］ ・ガス種 メタンガス ・成膜圧力 ０．１Ｔｏｒｒ ・高周波電力 ３００Ｗ ・成膜速度 ０．１２μｍ／分 このようにしてビッカース硬度が３，０００〜５，０００（Ｈｖ）の硬質カー ボン被膜層１３を持つ経糸処理用リード部材が得られた。

【０００９】 この経糸処理用リード部材と通常のクロムメッキ被膜のリード部材とを、下記 の条件で糸摩耗試験により比較した。 ［糸摩耗試験条件］ ・糸の種類 ポリエステル ・テンション ４０ｇｆ ・ワーク回転数 １，０００ｒｐｍ 通常のクロムメッキ被膜のリード部材では１０時間の試験で糸溝が発生したが 、本考案の硬質カーボン被膜層を設けたリード部材では、５０時間後でも全く異 状が認められなかった。このように本考案品は通常のクロムメッキ被膜を設けた ものよりも５倍以上の耐久性を持つことが判った。

【００１０】

【考案の効果】

本考案の経糸処理用リード部材によれば、製作上の制約がなく、従来品に比べ て耐食性、密着性および耐摩耗性を向上することができるので、摩耗による経糸 処理用リードの交換頻度が少なくなり、糊付け機を始めとする経糸処理のための 織機や整経機などの高速化が可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る経糸処理用リード部材の一実施態
様を示す説明図である。

【図２】図２におけるリードの詳細を示す斜視図であ
る。

【図３】本考案に係る経糸処理用リード部材の第１の態
様の詳細を示す断面図である。

【図４】本考案に係る経糸処理用リード部材の別の態様
の詳細を示す断面図である。

【符号の説明】

８…リード部材、 11…基体、 12…中間層、 13…硬
質カーボン被膜層、121…Ｎｉ−Ｐメッキによる被膜
層、 122…Ｔｉ被膜層、 123…Ｓｉ被膜層。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】基体上に、直接または中間層を介して、硬
   質カーボン被膜層を設けたことを特徴とする経糸処理用
   リード部材。
2. 【請求項２】中間層が、Ｎｉ−Ｐメッキによる被膜層上
   にＰＶＤ法によるＴｉおよびＳｉ被膜層を設けたもので
   ある請求項１記載の経糸処理用リード部材。