JP2017202610A - スクリーンメッシュを接合した印刷用孔版 - Google Patents

スクリーンメッシュを接合した印刷用孔版 Download PDF

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康行 石井
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Abstract

【課題】スクリーンメッシュ又は印刷パターン開口部を有するメタル孔版箔の少なくとも一方が弁金属よりなる印刷用孔版において、スクリーンメッシュ(繊維糸や構造体)が変形することなく、スクリーンメッシュとメタル孔版箔とが密着性よく強固に接合された印刷用孔版を提供する。【解決手段】スクリーンメッシュと印刷パターン開口部を有する金属パターン箔とを接合する直前に、Arなどの不活性ガスや、Arなどの不活性ガスに水素を混合したプラズマによるドライエッチィングを行うことで、基材表層の難メッキ層である不動態層を除去、または還元する。また、前記の接合にCuメッキ法及び/又はSnメッキ法を用いる。【選択図】 なし

Description

本発明は、印刷用孔版に使用する繊維糸織物、編物、及び電鋳、化学エッチィング、レーザ加工等で形成されるスクリーンメッシュの(繊維糸や構造体)交点の湿式メッキによる接合、引張り強度の向上、変形防止に関し、さらには印刷パターン開口部を有するメタル孔版板(箔)を、前記繊維糸織物、編物、電鋳、エッチィング、レーザ加工等で形成されるスクリーンメッシュに当接させ接合した印刷用孔版(メッシュ一体型メタルマスク)に関する。
従来、この種のメッシュ構造体としては、メッシュを構成する繊維糸の交点がずれるのを防止するために、この交点と一体に金属メッキ膜を形成する印刷用メッシュが提案されている。こうした印刷用メッシュでは、メッキプロセスにおいてスラッジや異物がメッキ膜に混入することがあり、この結果、メッシュの表層に凹凸が生じ印刷品質の劣化を招いてしまうことがあった。そこで、金属メッキ膜の形成されたスクリーンメッシュを研磨することにより印刷面側の平滑性を維持し、印刷品質の劣化を防止するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
さらに例えば、特許文献2では、図形を構成する版層を一次メッキにて基板面に形成し、次に枠体に張設された金属紗に基板を重ね、次に押し板にて基板を押さえて金属紗に沈め、しかる後金属紗にスルファミン酸Niメッキ浴にて二次メッキ層を形成して金属紗に版層を付着させる金属スクリーン版(メッシュ一体型メタルマスク)の製造方法が開示されている。
このような例えばフォトリソグラフィーにて描画形成した電鋳母型を用いて、電解Niメッキ浴からの電鋳法で形成した印刷パターン開口部を有するNi電鋳箔(ステンシル)を同様電解Niメッキ浴中で繊維糸織物、織物、電鋳、エッチィング、レーザ加工等で形成されるスクリーンメッシュに当接させ、Niメッキ皮膜をNiステンシルとスクリーンメッシュの接着材として析出させ両者を強固に貼り合わせた、メッシュ一体型メタルマスクに関する技術は多数開示されている。
特開平9−80756号公報 特開昭61−057338号公報
前記スクリーンメッシュにはステンレス鋼基材から成る繊維糸を織って作った平織りのスクリーンメッシュが多用されているのが実情で、例えば、ステンレス鋼基材には、その表層に1nm以上のクロムの水和オキシ酸化物(CrO(OH)2−x・nHO)が主体で構成される不動態層を伴う状態であることが公知になっており、該表層に形成したNiメッキ皮膜が簡単にフィルム状に剥離可能であることが知られている。
この事実は、前記Niや特にステンレス鋼等で形成される印刷パターン開口部を有するステンシル箔をステンレス鋼より成るスクリーンメッシュに接合する上での固着強度不足や信頼性の悪化につながる結果を惹起させる場合がある。
このように、通常、印刷用孔版の構成材料、構成部材となる、印刷パターン貫通口を有する金属箔や、前記印刷パターンを有する金属箔の支持体として、さらにはベタ印刷に使用されるスクリーンメッシュは「弁金属」(バルブメタル)材料で形成されている場合が多い。「弁金属」(バルブメタル)等、その表層に強固な不導態層を伴う金属基材は、難メッキ素材と呼ばれ、該金属基材にメッキ皮膜を密着良く形成するため、メッキ皮膜との密着性の悪い不導態層はメッキ前処理としての酸処理や、物理研磨、置換メッキなどにより除去されている。
例えば、弁金属であるクロムを含み不動態層の形成で錆びない鉄として周知されているステンレス鋼などは、その表層の強固な不動態層にメッキ皮膜を密着させることが困難であり、メッキ皮膜形成前にステンレス鋼を熱硫酸(70〜90℃)中に浸漬し、もしくは硫酸と塩酸、硝酸とフッ酸を用いた2段階の酸処理法などを行うことで、不導態層を除去している。
他の手法では、ステンレス鋼表層の不動態層の除去をシアン化合物の水溶液等にステンレス鋼を浸漬する湿式法、フッ素を含む反応ガス雰囲気中でステンレス鋼に加熱処理を行う乾式法など様々な方法によって不動態層が除去されることになる。
不動態とは、金属が電気化学列では卑な位置にあるにも関わらず、非常に遅い速度で腐食する金属の状態で、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、ステンレス鋼などの金属材料の耐食性の根底となっている性質である。
わずかなアノード電流によって、大きく分極する金属、すなわち卑(活性)な金属またはそのような金属を含む合金が、電気化学的にかなり貴な金属の挙動に近づく場合、その金属は不動態化しているとされる。
特に弁金属(バルブメタル)といわれるAl、Cr、Tiなどやその合金の表層は不動態酸化被膜が生じやすいことが周知されている。
そこで、それらに密着のよいメッキ皮膜を形成するため、基材とメッキ皮膜の密着性を上げる目的で、基材の表面粗さを粗く仕上げることも一般に行われている。
しかし、前記にように印刷用孔版(メッシュ一体型メタルマスク)を形成するため、例えば枠体に樹脂性の接着剤等により枠体に張られたNi電鋳やステンレス鋼糸より成るスクリーンメッシュと、印刷パターン貫通口を有するステンレス鋼板(箔)やNi板(箔)との接合時には、高い温度の付加を伴う不動態酸化皮膜の除去は孔版の変形をもたらし、また、極端な酸、アルカリ環境下での湿式前処理、湿式メッキ処理は前記接着剤等の印刷用孔版部材の接着強度の劣化をもたらす恐れがある。
さらに加えて物理的なサンドブラストやショットピーニング等の物理研磨を用いた基材の粗面化による密着性の確保は基材の脆弱性を招くとともに、印刷性の向上に向けた印刷用孔版構成部材(スクリーン等)の表面平滑化による転写インクの離型性向上に逆行するものとなり得る。
本発明は、こうした従来技術における課題を解決するものであって、スクリーンメッシュ又は印刷パターン開口部を有するメタル孔版箔の少なくとも一方が弁金属よりなる印刷用孔版において、スクリーンメッシュ(繊維糸や構造体)が変形することなく、スクリーンメッシュとメタル孔版箔とが密着性よく強固に接合された印刷用孔版を提供することを目的とするものである。
本発明等は、上記目的を達成すべく検討を重ねた結果、スクリーンメッシュと印刷パターン開口部を有する金属パターン箔とを接合する直前に、Arなどの不活性ガスや、Arなどの不活性ガスに水素を混合したプラズマによるドライエッチィングを行うことで、基材表層の難メッキ層である不動態層を除去、または還元することで上記課題を解決しうることを見いだした。また、前記の接合に湿式電解銅メッキ法を用いることが有効であるという知見を得た。
本発明はこれらの知見に基づいて完成に至ったものであり、本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1]枠体に貼られ、少なくともその一部が金属よりなるメッシュと、前記メッシュに当接し金属皮膜により接合され、少なくともその一部が金属より成る印刷パターン貫通孔を有する印刷パターン箔部とにより構成された構造体であって、
少なくとも前記メッシュまたは前記パターン箔部の一方が弁金属より成り、前記弁金属表層の不動態層の少なくとも一部が除去されている印刷用孔版。
[2]前記弁金属表層の不動態層の少なくとも一部が、少なくともAr、He、Neのいずれかの不活性ガスを含むガスによるドライエッチィングで除去されている[1]に記載の印刷用孔版。
[3]前記弁金属表層の不動態層の少なくとも一部が還元されている[1]又は[2]に記載の印刷用孔版。
[4]前記金属皮膜が湿式Ni、Cu、Snメッキ法の少なくともいずれか1つで形成された[1]〜[3]のいずれかに記載の印刷用孔版。
[5]繊維糸によって形成されたメッシュと、少なくとも前記メッシュ繊維糸の交点を含む部分に形成されたCu皮膜及び/又はSn皮膜とを備えるメッシュ構造体を有する印刷用孔版。
[6]枠体に貼られたメッシュと、少なくともその一部が金属より成り、印刷パターン貫通孔を有する印刷パターン箔部と、前記メッシュと前記印刷パターン箔部の接着部及び接着部近傍に形成されたCu皮膜及び/又はSn皮膜とを備える印刷用孔版。
[7]前記Cu皮膜及び/又はSn皮膜が、湿式Cuメッキ膜及び/又は湿式Snメッキ膜である[5]又は[6]に記載の印刷用孔版。
[8]前記Cu皮膜及び/又はSn皮膜が、プラズマドライプロセスで形成された皮膜である[5]又は[6]に記載の印刷用孔版。
[9]前記メッシュ又は前記印刷パターン箔部の少なくとも一部が、弁金属で構成される[5]〜[8]のいずれかに記載の印刷用孔版。
[10]前記弁金属がCr、Ni、Al、及びTiのいずれかよりなる[9]に記載の印刷用孔版。
[11]前記Cuメッキ膜が、電解ピロリン酸Cuメッキ膜である[7]に記載の印刷用孔版。
[12]前記Cuメッキ膜が、ストライク電解ピロリン酸Cuメッキ膜を下層に含む[5]〜[11]のいずれかに記載の印刷用孔版。
[13]前記Cuメッキ膜上にさらに湿式及び/または乾式メッキが形成された[5]〜[12]のいずれかに記載の印刷用孔版。
[14]前記湿式メッキが、電解Niメッキである[13]に記載の印刷用孔版。
[15]前記メッシュと前記印刷パターン箔部の接着部及び接着部近傍に形成されたCu皮膜及び/又はSn皮膜と、さらに、皮膜のビッカース硬さがH150〜H300未満のNiメッキ皮膜及び/又は皮膜のビッカース硬さがH300〜H500のNiメッキ皮膜を備える[6]に記載の印刷用孔版。
[16]前記乾式メッキが、アモルファス状炭素膜である[13]に記載の印刷用孔版。
[17]前記メッシュの金属皮膜の薄い部分の線径と厚い部分の線径の比が概ね1:1.05以上となる[1]〜[16]のいずれかに記載の印刷用孔版。
本発明によれば、スクリーンメッシュ(繊維糸や構造体)が変形することなく、スクリーンメッシュとメタル孔版箔とが密着性よく強固に接合された印刷用孔版を得ることができる。
実施例における摩擦磨耗試験の結果を示す図
本発明の一実施形態に於いては、印刷パターン開口部を有するNiステンシル箔等の弁金属(バルブメタル)を、同様の弁金属(バルブメタル)であるステンレス鋼等より成るスクリーンメッシュに接合するための方法、及び構造体が提供される。
本発明にかかる第一の実施形態は、前記の接合に湿式電解銅メッキ法を有効に用いることができる。
銅メッキは硫酸銅メッキなどの強酸浴のものもあるが、概ね中性領域で管理され、浴温も電解Niメッキ浴と同様の55℃付近であるピロリン酸銅溶液を用いた電解Cuメッキ法を好適に用いることができる。また湿式の電解Snメッキ法も同様に用いることが可能である。
さらに、本発明にかかる第2の実施形態は、前記弁金属(バルブメタル)より構成されるスクリーンメッシュや印刷パターン開口部を有する金属パターン箔を貼り合わせる直前にArなどの不活性ガスや、Arなどの不活性ガスに水素を混合したプラズマによるドライエッチィングを行うことで、基材表層の難メッキ層である不動態層を除去、または還元した後、従来から貼り合わせに使用されているNiメッキ法を含む各種適宜湿式メッキ法にて孔版構成部材同士を密着良く強固に貼り合わせる方法が提供される。
なお、本発明にかかる不動態層の還元は過酸化水素の溶液中、または水素ガス雰囲気の気体中でも同様に行うことが可能である。
以下、さらに詳しく説明する。
メッシュ構造体
一実施形態に係るメッシュ構造体は、繊維糸を編み込んで形成されたメッシュと、メッシュの交点に形成されたCuメッキ、及びまたはSnメッキとを備え、印刷用孔版、分級用のふるい、洗浄用/メッキ用容器、及び、フィルターなどの多様な用途に用いられる。
さらに他の実施形態に於ける印刷用孔版構造体は、例えば、フォトリソグラフィーにて描画形成した電鋳母型を用いて、電解Niメッキ浴から電鋳法で形成した印刷パターン開口部を有するNi電鋳箔(ステンシル)、またはエッチィング、レーザ加工、プレス打ち抜き加工等で形成される印刷パターン開口部を有する金属箔(板)を、Cuメッキ浴中で繊維糸織物、編物、電鋳、エッチィング、レーザ加工等で形成されるスクリーンメッシュに当接させ、該Cuメッキ皮膜を前記各種印刷パターン開口部を有する金属箔(板)と前記スクリーンメッシュの接合部に析出させることで、接着材として両者を強固に貼り合わせた印刷用孔版を形成したものである。
スクリーンメッシュ基材
一実施形態におけるメッシュは、例えば鉄鋼等の金属、ステンレス鋼等の金属合金等よりなる繊維糸を編み込んで構成される。メッシュとして、例えば、線径15μm、厚み23μm、メッシュ開口部幅24.7μm、メッシュカウント640(1inch幅に640本のメッシュが存在)のメッシュを用いることができる。メッシュの材料、線径、メッシュ数、メッシュ開口部の大きさの均一性、メッシュ開口部の位置等の仕様は、ここで述べたものに限られず、詳細な用途(例えば印刷用スクリーンメッシュに用いる場合、印刷方法、印刷パターン、印刷対象、要求される耐久性等)に応じて適宜変更することができる。例えばメッシュの材質は、Cuメッキ膜を形成可能な様々な素材で構成され得る。
具体的には、一実施形態におけるCuメッキ膜は様々な樹脂素材に公知の方法で形成可能であるため、メッシュは、ポリプロピレン、ポリエステルなど様々な樹脂からなるメッシュであっても構わない。さらに、メッシュの表層に、湿式メッキ処理、サンドブラスト処理やホーニング処理、ピーニング処理、エッチィング処理などの粗化処理、または、電解研磨処理、複合電解研磨処理などの平滑化の改質を予め行うことも可能である。
本発明の一実施形態にかかるスクリーンメッシュは、日本国特許出願2012−236438(2012年10月26日出願)にかかるメッシュを使用することができる。
本発明の一実施形態に係るメッシュ構造体は、繊維糸によって形成されたメッシュと、少なくとも前記メッシュの一方の面に形成された絶縁性を有する絶縁膜と、前記メッシュにおける前記繊維糸の交点を含む部分に形成されたメッキ膜と、を備えることを特徴としている。
本発明にかかるスクリーンメッシュは、絶縁膜を被覆した部分については、メッキ皮膜の析出が抑制されるため、前記メッシュに於けるメッキにてメッシュの交点を貼り合せる前、または貼り合わせた後の絶縁膜側をパターン開口部を有する金属箔(板)に向けて各種メッキにて貼り合わせを行うことにより、完成体としての印刷用孔版のメッシュの開口(目開き)を閉塞しないようにメッキを形成し貼り合わせを行うことが可能となる。
以って、メッキによる貼り合わせとともに、印刷用孔版のインク透過性を確保することが可能となり得る。
また、本貼り合わせにおけるメッキ皮膜の種類は特に限定されず各種のメッキを適宜使用することができるが、前記絶縁膜が炭素膜である場合は特にNiメッキなどの炭素中に拡散し易い元素を含むものからCuメッキのように拡散しにくいものに変えることで、貼り合わせの強度(耐久性)を改善することが可能となる。
さらに本発明の他の実施形態として、弁金属表層の難メッキ層(不動態層)をメッキ接合する前にドライエッチィングで除去する場合、水素により還元する場合について説明する。
本発明の一実施形態にかかるドライエッチィングを行う場合も前記同様の多様なメッシュを適宜使用することが可能である。
一般に印刷用孔版用いられるスクリーンメッシュは、溶融したステンレス鋼をダイスにて引き抜き糸状に加工したものを織り込んだものが多く、該表層の酸化状態が激しいものが多い。
また、金属スクリーンメッシュと印刷パターン貫通孔が形成された金属パターン箔を貼り合わせたメッシュ一体型メタルマスクにおいては、「カレンダーメッシュ」と称され、編み物メッシュ繊維糸の交点部分を予めプレス等で押しつぶし、交点部を平面視で小判状の平滑な面に圧延加工したものが多様されている。これは、メッシュ繊維糸の交点部を押しつぶし繊維糸胴体同士を圧入することで、繊維糸同士の摩擦抵抗を大きくし、メッシュ全体の形状変形を抑制することを一つの目的等として行われるが、本発明のかかるメッシュ一体型メタルマスクに於いて、交点部を平滑な面に圧延加工した部分がのメッシュと印刷パターン貫通孔を有する金属箔の接着面積を大きく採る効果も有する。
本発明にかかる弁金属の不動態層を除去するためのプラズマによるドライエッチィングは、プラズマの直進性が高く、電界の形成され易い処理対象物の凸部を集中的にエッチィングし平滑化するため、前記メッシュの交点部を平滑な面に圧延加工した部分のさらに面内の微細な凹凸を平滑することが可能となり、当該平滑部が同じく平板である印刷パターン貫通孔が形成された金属パターン箔との接着面積を一層大きくする効果をもたらす。
パターン開口部を有する金属箔(板)
さらに、本発明の一実施形態にかかる、前記スクリーンメッシュに当接させ、前記Cuメッキ皮膜で接合される前記各種印刷パターン開口部を有する金属箔(板)等、以下「パターン箔」と称する場合もある)は、例えば鉄鋼、銅、Ti、アルミニウム等の金属、各種ステンレス鋼、Ni−Co、Ni−W、Ni−P、Ni−B、インバー合金、インコネル合金等の各種金属合金等Cuメッキ膜を形成可能な様々な素材で構成され得る。
例えば一実施形態におけるCuメッキ膜は様々な樹脂素材に公知の方法で形成可能で
あるため、パターン箔はポリプロピレン、ポリエステルなど様々な樹脂であっても構わない。
さらに、パターン箔の表層に、サンドブラスト処理やホーニング処理、エッチィング処理などの粗化処理、または、電解研磨処理、複合電解研磨処理などの平滑化の改質を予め行うことも可能である。
パターン箔は、公知の電鋳法、レーザ光線による穴開け法、プレス打ち抜き法、薬液によるエッチィング法等、さまざまな方法にて適宜形成することが可能である。
さらに印刷パターン開口部の大きさ、均一性、開口部の位置等の仕様は詳細な用途に応じて適宜設計、変更することができる。
本発明にかかる弁金属の不動態層を除去するためのプラズマによるドライエッチィングは、メッシュ同様にパターン開口部を有する金属箔にも行うことができる。
プラズマは電界の形成され易い処理対象物の凸部を集中的にエッチィングし平滑化するため、パターン開口部を有する金属箔面内の微細な凹凸を平滑することが可能となり、当該平滑部が同じく平板である印刷パターン貫通孔が形成された金属パターン箔との接着面積を一層大きくする効果をもたらす。
メッキ接合
本発明に一実施形態にかかる前記スクリーンメッシュは、スクリーンメッシュ単体で、メッシュの交点を固定する為の本発明にかかるCuメッキが少なくとも交点部に形成される。
さらに、前記スクリーンメッシュは、必要に応じて印刷用孔版を構成する枠体に貼られ前記パターン箔に当接させた状態で本発明にかかるCuメッキが行われ、パターン箔、つまり各種印刷パターン開口部を有する金属箔(板)等と前記スクリーンメッシュの接合部に析出させることで、Cuメッキを接着材として両者を強固に貼り合わせた印刷用孔版を形成する。
Cuメッキは例えばNiメッキのような人体へのアレルギー源となるようなことは無く、作業環境に好適なメッキ皮膜である。
本発明の一実施形態にかかる金属皮膜による少なくとも一方を弁金属素材とする素材同士の接合にCu皮膜を用いることを特徴とする。
Cuによる接合は不動態を伴う金属接合に効果的に適用することが可能である。
本発明の一実施形態にかかるCuメッキは、例えば電解、無電解Cuメッキである。
Cuメッキは、大きく分けて酸性浴の硫酸Cuメッキ浴、ホウフッ化Cuメッキ浴またアルカリ性浴としては、シアン化Cu浴など、また中性欲としてはピロリン酸Cu浴などの多様な公知の浴を選択可能である。
また、本発明の他の実施形態にかかるCu皮膜による接合は、公知のスパッタリング法等、プラズマPVDやプラズマCVD法などによるドライプロセスを用いることも可能である。これは、湿式Cuメッキで析出するCu皮膜の成分は不可避のコンタミ物質を除いてほぼ純Cuに近い状態であり、Cuが弁金属との密着性が高い為である。
スパッタリング法等の真空ドライプロセスを用いて不可避のコンタミ物質を除いてほぼ純Cu皮膜を形成する場合、特に金属スクリーンメッシュと印刷パターン貫通孔が形成された金属パターン箔を貼り合わせたメッシュ一体型メタルマスクにおいては、スパッタリングの直進性が高いため貼り合わせ部分への回り込みが起こりにくい場合は、予め接合前のメッシュや金属パターン箔にスパッタリングによりCu皮膜を形成した後、貼り合わせを行うことが好適である。
本発明の一実施形態に於いて、湿式Cuメッキは、例えば日本化学産業(株)社製のピロリン酸銅メッキを使用することで、接着剤等の印刷用孔版部材にダメージの少ない概ね中性領域でメッキ処理が実施され、浴温も従来の電解Niメッキ浴と同様の概ね55℃付近であるピロリン酸銅溶液を用いるため、アルミニウム合金から成る枠体、テトロンなどの樹脂製コンビネーションメッシュ(一次支持体メッシュ)、ステンレス鋼メッシュ(二次支持体メッシュ)、前記各メッシュにより支持されるNi箔やステンレス鋼よりなる印刷パターン貫通孔を有するパターン金属箔など、それぞれ異なる熱線膨張係数を有する孔版構成部材のメッキ時に発生する膨張による形状補正を従来のNiメッキ浴液時の補正データを流用して行うことが可能となり、孔版の形状再現性確保や製造歩留まりに大きく貢献することができる。
また、電解Cuメッキはステンレス鋼、特に印刷用スクリーンメッシュの素材として最も流通しているSUS304に対して優れた密着力を発揮する。さらに前記電解Cuメッキを行う前に、通常より高い電圧で、Cu濃度の薄いメッキ浴を使用して行うストライクCuメッキを行うことでよりCuメッキの基材密着性を確保することが好適となる。
本発明の一実施形態にかかるCuメッキは上記ステンレス等の弁金属基材に対する密着性に優れる以外に、皮膜に高い延展性を有し、スキージにより常時引張り応力を印加され変形することを前提にして使用する印刷用孔版、特にオフセット印刷用の孔版にはその高い変形追随性が印刷用孔版のパターン位置精度の維持や耐久性の向上に優位に作用すると考えることができる。
なお、電解Cuメッキを行ったスクリーンメッシュやパターン箔上に析出したCuは大気下で酸化されやすく、変色も起こすため、Cuメッキを行った後、当該表層部を電解Niメッキ皮膜、その他の湿式メッキ皮膜、またはドライの硬質膜で覆い、Cuの酸化を防ぐことも可能である。
Niメッキの一例としては日本化学産業(株)社製 スルファミン酸Niメッキ液を挙げることができ、浴温は概ね55℃で前記のピロリン酸Cuメッキ液の管理温度と概ね同等の温度であり、スクリーンメッシュやスクリーンメッシュとパターン箔をメッキで貼り合わせて形成する印刷用孔版の寸法精度を維持するのに好適である。
また、各種Cuメッキさらに各種Niメッキはその添加剤の配合方法(添加量調整など)によって、形成する形状を科学的(化学的)に制御可能であることが公知になっている。中でもピロリン酸Cuメッキは、電子基板等のスルーフォールやビアなどの深穴を埋めるように析出させ、前記穴の表層部分の平滑性も確保可能とすることで工業的に多用されている。例えばピロリン酸Cuメッキに於いては、添加剤である、ジ−メルカプトチアジアゾール(DMTD)のモノマー及びダイマーや、アンモニア、硝酸Kなどが主なメッキ析出形状を制御する添加剤とされている(大阪府立産業総合研究所報告 No.25 2011年「メッキ添加剤の作用機構と表面形状抑制−“技能”から’サイエンス‘へ−」 横井昌幸著 2011年6月20日 受理)。よってレベリング剤の添加量を通常より多めに調整し、例えば、スクリーンメッシュ自体、またはスクリーンメッシュとパターン箔とを接合して孔版とする場合はCuメッキ接合部以外の部分にCuメッキを殆ど析出させないで、高オープニンブの印刷用孔版を得ることも公知の技術を用いて容易に行うことができる。
その場合、前記高オープニンブメッシュはメッキ皮膜の薄い部分の線径と厚い部分の線径の比が概ね1:1.05<となるようにレベリング剤の添加量が調整され、さらに好適には概ね1:1.2<に調整され、さらに好適には1:1.3<に調整される。
本発明の他の実施形態として、スクリーンメッシュの交点の接合、スクリーンメッシュとパターン箔との接合、さらには、前記のように、Cuメッキを行った後のCuメッキ皮膜の酸化防止のため、その上層にSnメッキ皮膜を使用する場合、例えば電解Snメッキ浴として石原薬品(株)社製 UTBSnメッキ液を使用することが可能である。浴温は30℃で管理され熱がスクリーンメッシュや印刷用の孔版にかかり難いため、印刷用孔版(構成部材含め)その精度維持に好適に使用することが可能となる。
また形成したSnメッキ皮膜の融点が概ね180〜230℃付近と低い温度で、酸に容易に溶融するため、印刷用孔版の使用後に於いて、Snメッキ皮膜を酸や加熱で溶解することで、Snメッキ皮膜に上に付着させた融点の高い不要な皮膜等を分離、回収させるなども可能である。
このように、スクリーンメッシュとパターン箔の接合メッキに於いて、例えばパターン箔自体が電解Niメッキよりなる電鋳箔の場合、スクリーンメッシュとの貼り合わせをCuメッキ等の母材(パターン箔)とことなるメッキ(例えばCuメッキ)で行うことにより、組成が異なるためX線等を用いた膜厚計などでのメッキ膜厚測定が可能となり、印刷用孔版の検査を容易に行うことが可能となる。
メッシュ一体型メタルマスクと呼ばれる印刷用孔版は、例えば弁金属であるステンレス鋼SUS304繊維糸より構成されるスクリーンメッシュに電解スルファミン酸Niメッキで形成された弁金属から成るメタル箔を電解スルファミン酸Niメッキ皮膜で接着したものが主流である。
前記のように弁金属はその表層に不動態層を形成するので、前記、電解スルファミン酸Niメッキ皮膜で接着する場合、前記Niメッキは、SUS304繊維糸より構成されるスクリーンメッシュ、また、電解スルファミン酸Niメッキから成るメタル箔ともメッキ接合部分で密着性の良い金属結合を形成し難いく、その密着性に課題を有する。
さらに加えて、一方の接合対象であるスクリーンメッシュSUS304繊維糸の延伸性は40%以上に達しているのに対して、他方の接合対象である電解スルファミン酸Niメッキから成るメタル箔、または接合メッキである電解スルファミン酸Niメッキ皮膜部分は例えばそのビッカース硬さがH300以上、H500程度までの間はメッキメタル箔の延伸性は概ねすべての硬さが変動してもいずれも延伸性はずわずか5%程度にとどまり、H300未満は硬度の低下につれて延伸性も向上するが、H200でも12%程度に過ぎず(文献1998.5.4 大阪府立産業総合研究所 表面化学グループ 森河務著 「硬いメッキ、柔らかいメッキ」)、オフセット印刷によるスキージによるメッシュ一体型メタルマスクへの押し込みや摩擦による変位(孔版の延伸)のストレスは、前記密着の悪いSUS304繊維糸より構成されるスクリーンメッシュ、また、電解スルファミン酸Niメッキから成るメタル箔のメッキ接合界面、つまり、弁金属の不動態で構成され、メッキ接合により金属結合が採り難い接合界面に集中し易い。
本発明の一実施形態にかかるメッシュ一体型メタルマスクと呼ばれる印刷用孔版に於いては例えばSUS304繊維糸より構成されるスクリーンメッシュ、と電解スルファミン酸Niメッキから成るメタル箔を接合するCuメッキ皮膜の伸び率(延伸性)が、硫酸Cuメッキ皮膜:概ね27%、ホウフッ化Cuメッキ皮膜:概ね25%、シアン化Cuメッキ皮膜:概ね34%、ピロリン酸Cuメッキ皮膜:概ね32%とそれぞれ概ね30%弱程度の延伸性能を示し、抗張力に於いては硫酸Cuメッキ皮膜、ホウフッ化Cuメッキ皮膜、シアン化Cuメッキ皮膜がそれぞれ概ね200(×103:PSI)でありピロリン酸Cuメッキ皮膜は大きく概ね300(×103:PSI)を示す。またピロリン酸Cuメッキ皮膜の内部残留応力は概ね−1.0弱(PSI)〜0付近と電解スルファミン酸Niメッキ(−0.5〜+0.5 PSI)と近い値で応力の少ない優れた特性を有している。
前記ステンレスメッシュSUS304繊維糸と前記Niメタル箔の中間に位置する延伸性を採るため(中間緩衝材)、メッシュ一体型メタルマスクの構成部材の延伸性が傾斜的になり、密着性能の採りにくい弁金属メッキ接合部にかかるストレスを緩和することが可能となり得る。
但し、例えばメッシュ一体型メタルマスクと呼ばれる印刷用孔版に於いて、非常に印刷位置精度の要求が厳しい用途に於いては、印刷用孔版の寿命を犠牲にしても、孔版の伸びを抑える必要がある場合がある。
このような場合は、敢えてメッシュ一体型メタルマスクと呼ばれる印刷用孔版に於いては例えばSUS304繊維糸より構成されるスクリーンメッシュ、と電解スルファミン酸Niメッキから成るメタル箔を接合する(弁金属から成る孔版構成部材の接合に於いて)敢えて電解スルファミン酸Niメッキの「伸びの変化点H300付近」より硬い領域、その伸び率が5%と非常に小さい値を示し、しかもH300から500と広い範囲で延伸性の再現性が確保可能な領域で、孔版構成部材の接合皮膜として直接使用する場合も有り得る。または、本発明の実施形態にかかるCuメッキを一旦孔版構成部材同士の直接接合材料として使用した後、その上層に、または、必要に応じて適宜前記Cuメッキを行わないで直接接合対象部材に延伸性の比較的大きいH300未満の電解スルファミン酸Niメッキを形成し、さらにその上層に延伸性の比較的小さいH300以上の電解スルファミン酸Niメッキを形成した多層構造体とし、メッシュ一体型メタルマスクの延伸性を傾斜的に構成し、耐久性と印刷位置精度の両立を目指することも可能である。なお、前記延伸性の異なる複合メッキ接合材料は、必ずしも延伸性の傾斜構造になっていなくても良く、例えば、中間層に延伸性の一番低いメッキ皮膜が位置するなど適宜その積層配列を調整することが可能である。
不活性ガスによる弁金属のドライエッチィングと不動態層の除去及び還元
本発明の一実施形態にかかる弁金属のドライエッチィングと不動態層の除去及び還元は公知のプラズマPVD法やプラズマCVD法等のプラズマを用いたドライプロセスにて適宜形成される。
特に、プラズマの印加電圧が−10kV程度で少なくともAr、He、Neなどの不活性ガスをプラズマ化し、基材に高速で注入可能な高圧直流パルス電源を使用した、プラズマCVD方式が好適である。このような装置で加速されたイオンは基材表層から概ね30nm程度の深さまで注入され得ることが公知になっており、弁金属表層に形成された不動態層を容易に除去することが可能となる。
また、Ar、He、Neなどの不活性ガスに水素混合してプラズマ化し、弁金属表層に形成された不動態層を容易に還元しメッキの形成し易い表層とすることも可能となり得る。
各種セラミクス皮膜
例えば、前記各種メッキ皮膜の形成されたスクリーンメッシュや印刷用孔版にて軟質金属等を含む凝着付着性の高い印刷用インク(ペースト)や、硬度の高いセラミクス微粉を含むインク等を使用して印刷する場合などは、本発明の一実施形態にかかる各種メッキ皮膜の形成されたスクリーンメッシュや印刷用孔版に各種セラミクス皮膜を形成することが可能である。
セラミクス皮膜は、一実施形態においては、TiN、TiAlN、AlN、SiC、AlZrOなどの硬度の高い金属酸化物膜、又は、軟質金属付着防止性や摺動性に優れる非晶質炭素膜であり、メッシュや印刷用孔版の一方の面、或いは両方の面に対して公知のPVD法やCVD法等のプラズマを用いたドライプロセスにて形成される。
また、大気圧プラズマ及び準大気圧プラズマ等で形成されるポリマー状の絶縁性炭素膜等とすることもできる。
ここで、一実施形態におけるセラミクス皮膜の一例としての非晶質炭素膜の電気抵抗率(体積抵抗率)は、概ね10〜1011Ω・cmであることが公知になっているが、セラミクス皮膜は、例えば、多様な線径や開口径、メッシュ数を有するメッシュに対して、また、多様な印刷用途に応じて適宜選定される印刷用孔版に対して、その膜厚は概ね5nm〜2200nm程度で形成される。
また、セラミクス皮膜を形成するプラズマドライプロセスでは、電界や形成する膜厚を制御することによって絶縁膜のメッシュ繊維糸への被服率(メッシュの裏側への回り込み具合)を制御したり、メッシュと板ジグとの間の遮蔽された空間を利用してプラズマ生成を抑制したりすることによって、メッシュの所望の面に絶縁膜を形成することが可能である。さらに、絶縁膜は、プラズマドライプロセスにて形成することにより、容易に数nm−数百nm程度の薄膜とすることができ、メッシュにおける繊維糸径などの寸法変形を抑制することが可能となる。また、電界を利用したプラズマドライプロセスでは、凹凸を有する基材において凸部から先行して絶縁膜が形成されることが公知となっている。よって、電界を用いたプラズマドライプロセスにおける成膜条件や膜厚を制御することにより、メッシュの凸部である繊維糸の交点の頂点付近から先に成膜してこの部分の絶縁膜を厚く形成し、繊維糸の交点の頂点付近における、後のメッキ膜の析出をより一層抑制することができる。
以下、本発明について、実施例を用いて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<ステンレス鋼へCnメッキ皮膜密着検証>
1.試料の準備
1)ステンレス鋼(SUS304)、縦10cm、横4cm、厚み0.5mmの板を準備し、表面粗さを下記内容にて調整した。
試料1 Ra:0.07μm(未処理)
試料2 Ra:0.59μm(ブラスト処理)
試料3 Ra:0.07μm(Arガス プラズマドライエッチィング)
試料4 Ra:0.07μm(Ar+H混合ガス プラズマドライエッチィング)
2.メッキの準備
各種メッキについては下記内容にて準備した。
1)電解メッキ
・電解Ni 日本化学産業(株)社製 スルファミン酸Niメッキ液 55℃
・電解Cu 日本化学産業(株)社製 ピロリン酸Cuメッキ液 55℃
・電解Sn 石原薬品(株)社製 UTB Snメッキ液 30℃
なお、電解Niメッキ浴は、膜硬度がH200〜500程度と他のメッキ皮膜より高く、内部残留応力に起因する基材からの剥離を起こし易いため、従来一般的に使用されているワット浴に比べ、メッキ層内部に発生する内部応力の小さいスルファミン酸ニッケル浴を使用しNiメッキ皮膜がワット浴等に比べより剥離しにくい条件でも剥離可能であることを検証した。
また各種メッキ皮膜は、引き剥がしの際、引っ張り強度に耐えるよう試料面に概ね厚さ25μmの厚みで形成するよう調整した。
3.剥離試験
基材に形成した各種メッキ皮膜の剥離試験を行った。
結果を以下の表1に示す。表中、Xは剥離ができなかったことを示し、◎は剥離ができたことを示している。
表に示すように、電解Cuメッキに於いて、より平滑なステンレス鋼表面でも剥離が起こり難いことが確認された。
このことは印刷性向上のためのスクリーンメッシュ等の表層平滑化と、メッキによる接合強度の向上を合わせて行うことが可能であることを示唆している。
Figure 2017202610
<Cuメッキの摩擦磨耗試験による延伸変位耐性の確認>
1.試料の準備
1)アルミニウム合金(A5052)、縦10cm、横4cm、厚み0.5mmの板を準備し、
試料1 無電解Niメッキ5μm 電解Niメッキ5μm 硬質クロムメッキ10μm
試料2 無電解Niメッキ5μm 電解Cuメッキ1μm 電解Niメッキ5μm 硬
質クロムメッキ10μm
を形成した試料を準備した。上記の違いは電解Cuメッキ1μmの有り無しの差になる。
続いて、ダイヤモンドライクカーボンを各試料の表層500nmを形成した。最表層にダイヤモンドライクカーボンを形成するのは、摩擦磨耗試験の圧子の摩擦抵抗を最小限に留め、Cuメッキの有無による基材変位の影響をより正確に把握するためである。
2.摩擦磨耗試験
1)前記試料1、2につき摩擦磨耗試験を行った。試験条件は下記である。
・測定機 摩擦磨耗試験装置 型式 トライボギア HHS-2000 メーカー 新東科学
・測定条件
加減重往復測定
移動距離 20mm
移動速度 5mm/sec
往復回数 100
荷重 往路に於いて700gから950gに連続的に傾斜加圧
圧子 超硬球 φ2.0mm
超硬球圧子にて10N近い高点圧で押し込みながら試料の表層を往復させる高変位の予測可能な試験である。なお、無処理のアルミニウム合金(A5052)は1往復程度で破壊されるような条件になっている。
2)試験結果を、図1に示す。なお、No.2と記載されたグラフが試料1、No.3と記載されたグラフが試料2の結果を示すものである。
上記試験の結果が示すように電解Cuメッキ層を伴う試料2については、摩擦磨耗試験の開始当初の摩擦抵抗と摩擦係数が試料1に比べて大きく上昇していることが確認できる。また変位量も大きくなっている。
しかし、基材が破壊されることは無く、概ね10往復目移行に於いて0.1μ程度の低い摩擦係数を示し、最後の100往復目まで安定した低い摩擦係数を示し、試験は無事終了している。
これは、非常に高い加圧で押し込まれる、基材に陥没するような状態で横方向に引張りながら摩擦する試験に於いて、中間層に挿入した電解Cuメッキ初期に大きく変形(変位)し、延展された後に於いても基材が剥離破壊されることなく、変形、変位した電解Cuメッキ層が下層、上層のNi層との密着を維持し続けていることを示していると考えることができ、電解Cuメッキ層の高い外部応力に対する柔軟な耐性を推定可能なものになっている。

Claims (17)

  1. 枠体に貼られ、少なくともその一部が金属よりなるメッシュと、前記メッシュに当接し金属皮膜により接合され、少なくともその一部が金属より成る印刷パターン貫通孔を有する印刷パターン箔部とにより構成された構造体であって、
    少なくとも前記メッシュまたは前記パターン箔部の一方が弁金属より成り、前記弁金属表層の不動態層の少なくとも一部が除去されている印刷用孔版。
  2. 前記弁金属表層の不動態層の少なくとも一部が、少なくともAr、He、Neのいずれかの不活性ガスを含むガスによるドライエッチィングで除去されている請求項1に記載の印刷用孔版。
  3. 前記弁金属表層の不動態層の少なくとも一部が還元されている請求項1又は2に記載の印刷用孔版。
  4. 前記金属皮膜が湿式Ni、Cu、Snメッキ法の少なくともいずれか1つで形成された請求項1〜3のいずれか1項に記載の印刷用孔版。
  5. 繊維糸によって形成されたメッシュと、少なくとも前記メッシュ繊維糸の交点を含む部分に形成されたCu皮膜及び/又はSn皮膜とを備えるメッシュ構造体を有する印刷用孔版。
  6. 枠体に貼られたメッシュと、少なくともその一部が金属より成り、印刷パターン貫通孔を有する印刷パターン箔部と、前記メッシュと前記印刷パターン箔部の接着部及び接着部近傍に形成されたCu皮膜及び/又はSn皮膜とを備える印刷用孔版。
  7. 前記Cu皮膜及び/又はSn皮膜が、湿式Cuメッキ膜及び/又は湿式Snメッキ膜である請求項5又は6に記載の印刷用孔版。
  8. 前記Cu皮膜及び/又はSn皮膜が、プラズマドライプロセスで形成された皮膜である請求項5又は6に記載の印刷用孔版。
  9. 前記メッシュ又は前記印刷パターン箔部の少なくとも一部が、弁金属で構成される請求項5〜8のいずれか1項に記載の印刷用孔版。
  10. 前記弁金属がCr、Ni、Al、及びTiのいずれかよりなる請求項9に記載の印刷用孔版。
  11. 前記Cuメッキ膜が、電解ピロリン酸Cuメッキ膜である請求項7に記載の印刷用孔版。
  12. 前記Cuメッキ膜が、ストライク電解ピロリン酸Cuメッキ膜を下層に含む請求項5〜11のいずれか1項に記載の印刷用孔版。
  13. 前記Cuメッキ膜上にさらに湿式及び/または乾式メッキが形成された請求項5〜12のいずれか1項に記載の印刷用孔版。
  14. 前記湿式メッキが、電解Niメッキである請求項13に記載の印刷用孔版。
  15. 前記メッシュと前記印刷パターン箔部の接着部及び接着部近傍に形成されたCu皮膜及び/又はSn皮膜と、さらに、皮膜のビッカース硬さがH150〜H300未満のNiメッキ皮膜及び/又は皮膜のビッカース硬さがH300〜H500のNiメッキ皮膜を備える請求項6に記載の印刷用孔版。
  16. 前記乾式メッキが、アモルファス状炭素膜である請求項13に記載の印刷用孔版。
  17. 前記メッシュの金属皮膜の薄い部分の線径と厚い部分の線径の比が概ね1:1.05<となる請求項1〜16のいずれか1項に印刷用孔版。
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