JPH059598A - 薄物用連続焼鈍設備の板温制御方法 - Google Patents

薄物用連続焼鈍設備の板温制御方法

Info

Publication number
JPH059598A
JPH059598A JP18693991A JP18693991A JPH059598A JP H059598 A JPH059598 A JP H059598A JP 18693991 A JP18693991 A JP 18693991A JP 18693991 A JP18693991 A JP 18693991A JP H059598 A JPH059598 A JP H059598A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
furnace
change
temperature
crown
plate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP18693991A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2526441B2 (ja
Inventor
Shunichi Takakura
俊一 高倉
Osamu Yoshioka
修 吉岡
Takashi Shimada
孝 島田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NKK Corp, Nippon Kokan Ltd filed Critical NKK Corp
Priority to JP3186939A priority Critical patent/JP2526441B2/ja
Publication of JPH059598A publication Critical patent/JPH059598A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2526441B2 publication Critical patent/JP2526441B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Heat Treatment Of Strip Materials And Filament Materials (AREA)
  • Control Of Heat Treatment Processes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 薄物用連続焼鈍設備において板厚変更に伴な
う板温変更により発生する鋼板の絞りや蛇行を抑止せん
とするものである。 【構成】 該設備の各処理帯において、炉内ロールのト
ータルクラウンtcが通板性確保のためのクラウン限界
値内に収め得る板温と炉温の差の適性範囲ΔTa〜ΔTb
を決定すると共に、輻射伝熱モデル式により板厚変更に
伴なう各処理帯の板温推移予測を行ない、その予測板温
と炉温の差の最大値ΔTが前記適性範囲ΔTa〜ΔTb内
にあるか否かの判定を行なう。該最大値ΔTが適性上限
ΔTbを超える場合は、該変更点が炉内に進入するまで
に後行材に合わせた炉温、速度変更を完了させ、該最大
値ΔTが適性下限ΔTaに満たない場合は、該変更点が
炉内を通過後に炉温、速度変更を開始する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、薄物用連続焼鈍設備
において鋼板サイズの変更に伴なう板温変動により該鋼
板の絞りや蛇行が発生するのを防止することができる板
温制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図11に示される様な加熱帯1、均熱帯
2、冷却帯3、急冷帯4の炉構成を有する連続焼鈍設備で
は、図12の様なヒートパターンを取って、ブリキ等の
薄物の連続焼鈍が行なわれる。
【0003】この様な連続焼鈍設備で板厚の異なる鋼板
のコイルを接続して焼鈍処理を行なう場合、炉温及びラ
イン速度が一定とすれば、板厚変更点の通過に伴ない、
薄いものから厚いものへの変化で加熱帯1等では板温は
低下し、逆に厚いものから薄いものへの変化で同じく加
熱帯1等では板温は上昇するといった板厚変化量に応じ
て板温のジャンプが発生する(冷却帯3等ではこの逆の
関係が成り立つ)。
【0004】しかし、これらの各炉では、鋼板材質上の
観点より決められた目標板温Tpがあり、上述の様な鋼
板サイズの変更点が通過した時に変更点前後の板温が該
目標板温Tpから大きく外れてしまった場合、目的とす
る材質のものが得られなくなってしまう。
【0005】従って上記の変更点通過時に、変更点前後
の板温がこの目標板温Tp範囲内に収めるためには、該
変更点の通過に際し、ライン速度や炉温を変更する必要
がある。
【0006】そのような板温制御を行なう技術の一つと
して、特公昭57−14413号では、変更点通過を低
速で行なうことにより、炉温の変更量を小さくし、前記
の板温ジャンプ量を小さくする技術が開示されている。
【0007】又、特公昭58−30376号では、前記
変更点が炉内通過中にライン速度のみ変更し、板温ジャ
ンプの幅を図13に示される様に、目標板温Tpに対し
上下均等に振らせる構成が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする問題点】前者の技術は、ライ
ン速度が低速になるため、操業能率を著しく下げること
になる。又後者の技術は以下の様な理由から炉内で鋼板
の絞りや蛇行を引き起こす可能性があるとの指摘があ
る。
【0009】即ち、連続焼鈍設備中の炉内ロールには通
常安定通板のためにメカニカルクラウンが付与されてい
るが、実際の炉では更に板温と炉温の差に比例してロー
ルのクラウン量が変化しており、後者の技術によりその
板温を目標板温Tpに対し上下均等に振った時に、該板
温と炉温の差が著しくなった場合は、ロールクラウン量
も大きく変化し、炉内通板状況が不安定で、且つ、ライ
ン速度変更という張力の外乱を発生させ、鋼板の絞りや
蛇行を引き起こす原因ともなる。
【0010】これらの鋼板の絞りや蛇行は、該鋼板に疵
をつけ製品として扱えなくするばかりか、炉内での板破
断につながり、大きな機械損失やエネルギ損失となる。
【0011】本発明は従来技術の以上の様な問題に鑑み
創案されたもので、薄物用連続焼鈍設備で操業能率を著
しく下げることなく、鋼板の絞りや蛇行の発生を防ぎ、
且つ焼鈍後の鋼板に所望の材質のものが得られる板温制
御方法を提供せんとするものである。
【0012】
【問題点を解決するための手段】そのため本発明の薄物
用連続焼鈍設備における板温制御方法は、鋼板サイズ変
更点前後の板厚、ライン速度、炉温から変更点通過前後
の板温推移の予測計算を行なうと共に、炉内ロールのト
ータルクラウンが通板性確保のためのクラウン限界値内
に収め得る板温と炉温の差の適性範囲ΔTa〜ΔTbを求
め、上記の変更点通過後の予測板温と炉温の差の最大値
ΔTがこの適性範囲ΔTa〜ΔTb内の場合、後者の技術
に従いライン速度のみ変更して鋼板材質上決められた目
標板温を中心に上下均等にジャンプさせる板温制御を行
ない、又前記最大値ΔTがこの適性範囲の最大値ΔTb
を超える場合(即ち後行材が薄物に変わる場合)は、該
変更点が炉内に進入するまでに後行材に合わせた炉温及
び/又はライン速度に変更を完了させ、更に前記最大値
ΔTが適性範囲の最小値ΔTaに満たない場合(即ち後
行材が厚物に変わる場合)は、変更点が炉内を通過して
から後行材に合わせた炉温及び/又はライン速度に変更
を開始することを基本的特徴としている。
【0013】以上の様な本発明の構成は、本発明者等の
鋭意研鑽の結果創案されたものであり、以下その創案に
到るまでの経緯につき説明する。
【0014】上記の様に炉内ロールに通常付与されるメ
カニカルクラウンmcは、図1に示すようにロールのス
トレート部の長さL及び板幅W、更にロール表面平均傾
斜角度θmから、次式数1の様に求められる。
【0015】
【数1】
【0016】又、板温T1と炉温T2との差から、板に接
するロール表面部と炉雰囲気にさらされるロール表面部
にロール熱膨張差が発生し、ロール胴長方向のこの熱膨
張差が原因となって所謂ヒートクラウンhcを生じ、実
際のロールのクラウン量が変動して蛇行や絞りを発生し
ていた。
【0017】この実際のロールのクラウン量は上記メカ
ニカルクラウンmcとヒートクラウンhcの和であるト
ータルクラウンtcとして表わされるものであり、該ヒ
ートクラウンhcが次式数2で表わされるので、トータ
ルクラウンtcは数3に示される様になる(尚、Dはロ
ール径、βはロールの線膨張係数を表わす)。
【0018】
【数2】
【0019】
【数3】
【0020】上述の様に薄物用連続焼鈍設備の加熱帯等
で薄物から厚物への鋼板サイズの変更があった場合、炉
温T2及びライン速度が一定とすると、変更点通過後に
板温T1が下がり、T1《T2となることが多い。この場
合はロールのヒートクラウンhcがマイナス側で更に大
きくなり、トータルクラウンtcは小さいものとなる。
【0021】又、冷却帯等で薄物から厚物への変更があ
った場合、変更点通過後に板温T1が上昇してT1》T2
となることが多く、ヒートクラウンhcがプラス側で更
に大きくなって、トータルクラウンtcも大きくなる。
【0022】一方、本発明者等の知見によれば、炉内ロ
ールのトータルクラウンtcがある範囲を超えて大きく
なったり、或いは小さくなったりすると、鋼板の絞りや
蛇行の発生率が高くなることがわかっており、これらの
発生率が略0になるクラウン限界値(以下この値を通板
性確保のためのクラウン限界値と称することにするが、
後述する実験例から一例として本発明者等はtcで0.2
〜0.4mmという値を得ている)内に各炉内ロールのトー
タルクラウンtcを設定すると、炉内安定通板を実現で
きることになる(炉の種類に関係なく、該クラウン限界
値は同じである)。特に鋼板が絞りやすい薄物材では、
クラウン限界値を超えて大きくなることを絶対に回避し
なければならない。
【0023】又図2(a)(b)(c)は徐冷設備における炉温
2と板温T1の推移の関係の一例を示しており、この例
からも明らかな様に、板温T1と炉温T2の温度差の推移
は、炉温T2及びライン速度で変化することになる。そ
のため該炉温T2やライン速度を制御することで、板温
1を目標板温Tpに近づけたり上記炉内ロールのトータ
ルクラウンtc量を調整することが可能となる。
【0024】従って炉内ロールのトータルクラウンtc
が通板性確保のためのクラウン限界値内に収めることが
できる様な板温T1と炉温T2の温度差(T1ーT2)適性
範囲ΔTa〜ΔTbを各処理帯毎に求めて置き、連続焼鈍
設備各炉の炉温T2やライン速度を制御して、板温T1
目標板温Tpに近づけつつ、鋼板サイズ変更点前後にお
ける実際の板温推移と炉温の温度差の最大値□Tがこの
適性範囲ΔTa〜ΔTb内に収めるか又はΔTbを超えな
いようにすれば、その目的は達成されることになる。
【0025】但し、この炉温の変更タイミングである
が、各処理帯で板厚の厚いものから薄いものへの鋼板サ
イズの変更がある場合は、後行材(薄物)の板温T1
先行材のそれに比べて上昇又は降下し易いため、該板厚
変更点が炉内に進入するまでに該後行材に合わせて炉温
を制御(加熱帯では炉温を下げ、冷却帯では逆に上げ
る)すべきである。又これらの処理帯で以上とは逆に板
厚の薄いものから厚いものへの鋼板サイズの変更がある
場合は、後行材(厚物)の炉内進入に合わせて炉温を変
更(加熱帯では炉温を上げ、冷却帯では逆に下げる)し
ようとすると、薄物の先行材の板温の方が炉中で著しく
上昇又は下降してしまうことになるため、板厚変更点が
炉内を通過してから該後行材に合わせて炉温を制御する
ようにすべきである。
【0026】一方、以上の様な板温制御は、炉温制御に
よる他、ライン速度の調整によってもできることはもち
ろんであるが、ライン速度の変更は、操業能率の変動を
来たし、且つ、炉内の張力の外乱となり、絞り蛇行を誘
発するためあまり望ましいものではない。従って炉温制
御を主体に行なって、必要があればライン速度の変更も
行なうという板温制御を行なうと良い。
【0027】更に、鋼板サイズ変更点前後の板温推移の
予測計算を行なった結果、該予測板温と炉温の差の最大
値ΔTが上記適性範囲ΔTa〜ΔTb内であると判断され
る場合は、何ら炉温変更による調整を行なう必要がな
く、ライン速度のみ変更して、先行材の板温と後行材の
板温が鋼板材質上決められた前記目標板温Tpを中心に
上下均等になるように板厚ジャンプを設定することとし
た。
【0028】以下本発明の構成の詳細については、次の
実施例の説明に基づいて行なうものとする。
【0029】
【実施例】本発明法の具体的実施例につき説明する。
【0030】本発明者等は前記図11に示された炉構成
(但し、急冷設備3aはガスジェット冷却構成、又徐冷設
備3bは#10A炉及び#20A炉の炉構成)から成る連
続焼鈍設備を用いてブリキ用鋼板の連続焼鈍を実施し、
その際冷却帯3の板温制御を本発明法に基づいて行なっ
た。
【0031】まず、実験施設として上記設備とは別に建
造された連続焼鈍設備において、下表1に示される仕様
の各炉内ロールを設置して、板厚0.15〜0.6mm、板幅610
〜1100mmのストリップ通板を行なった。
【0032】
【表1】
【0033】この実験で、冷却帯では絞りの発生が確認
されたので、本発明者等は各炉におけるロールのヒート
クラウン量についても調べた。
【0034】その結果、各炉における炉内ロールのヒー
トクラウンは次式で得られることがわかった。 加熱帯:hc=−9.53×10-4(T1−T2)−0.025 均熱帯:hc=−1.40×10-3(T1−T2)+0.002 冷却帯・急冷帯:hc=−1.65×10-3(T1−T2)−0.
006
【0035】更にこれらの炉のうち冷却帯におけるスト
リップの絞り発生率を調べ、図3に示す結果を得た。
【0036】図3ではストリップの絞り発生率を板幅W
との関係において示している(折れ線)が、同時に絞り
が発生した時の板幅W板厚との対応関係についても示し
ている(枠で囲った部分)。この様に冷却帯では(板幅
Wが大きくなる程)ストリップの絞り発生率が高くなる
ことがわかる。
【0037】一方、本発明者等は上記実験炉中の炉内ロ
ールを組み替え(但し、組み替えたロールは組み替え前
のロールと同材質及び同径のものとし、組み替え前のロ
ールのヒートクラウンと同量のヒートクラウンが得られ
るようにした)、各炉における炉内ロールのトータルク
ラウンが図4(a)(b)(c)(d)に示される様に1〜4stepに
わたり0.2〜0.4mmの範囲内に収まるように各ロールにメ
カニカルクラウンを付与した。
【0038】各stepでの冷却帯における炉内ロールの最
大トータルクラウン量とストリップの絞り発生率につい
て調べ、図5に示される結果を得た。図5に示されるよ
うに、この冷却帯の炉内ロールのトータルクラウンを0.
2〜0.4mmの範囲に設定することによりストリップの絞り
発生率を大きく減少させることができた。
【0039】この様なトータルクラウンtcの設定に当
っては、更にロール表面粗さRzからの制約があること
に注意しなくてはならない。即ち、このロール表面粗さ
Rzは蛇行修正能力を決定する蛇行修正係数αや摩擦係
数μに関連があり、上記トータルクラウンtcの設定値
はこのロール表面粗さRzがいずれも20の場合のもの
であるが、Rzが15未満であると、ロール寿命が短
く、目詰りの発生で蛇行修正能力の低下が著しくなる。
一方、この粗さRzが25を超える場合、金属帯特にス
トリップに押疵の発生が目立つようになり、粗さの凸部
欠損による噛み込み疵発生の懸念さえある。従ってロー
ル表面粗さRzが上述の範囲であることが条件となる。
【0040】更に、上記のトータルクラウンtc値の設
定は上述の様にロール表面粗さRzが20の場合に得ら
れたものであり、従って粗さRzがこの限りにおいて得
られたものであるが、上記の様にこのロール表面粗さR
zが15〜25の範囲で変わった場合、トータルクラウ
ンtcのみの上記設定で蛇行・絞りの全てが抑止できる
と言うわけではない。
【0041】そこで本発明者等は上記実験炉に、下表2
に示される仕様の各炉内ロール(これらのロールは前述
した組み替えロールと同材質及び同径のものであった
が、クラウン傾斜面部分の平均傾斜角θmの異なる数種
のメカニカルクラウンのものが用意され、しかもこれら
の表面粗度Rzも表2に示される様に異なったものが使
用された)を設置して、板幅900mmのストリップの通板
を行なった。
【0042】
【表2】
【0043】図6はこの実験炉各炉において、メカニカ
ルクラウンmc及び表面粗度Rzの異なるロール交換が
複数回行なわれて各交換の後に、これらの炉に生じた前
記ストリップの絞り及び蛇行の発生状況を調べた時の結
果を示しており、各炉毎のヒートクラウンhcを夫々の
ロールのメカニカルクラウンmcに加算したトータルク
ラウンtcでロールクラウン量を表わしたところ、この
トータルクラウンtcとロール表面粗度Rzとの相方に
よる蛇行・絞り発生への影響が判然とわかる結果が得ら
れた。
【0044】それによると、Rz・tcが3.2〜9.0の間
では、蛇行・絞りの発生がなく、安定した通板が行なわ
れる結果となった。
【0045】尚、上記範囲のうち徐冷設備の炉内ロール
につき、これをメカニカルクラウンmcで置き換えて示
すと、メカニカルクラウンmcとロール表面粗度Rzと
の積は1.4≦Rz・mc≦5.5となる。
【0046】又、ロールのメカニカルクラウンmcの蛇
行修正能力は、主にロールの平均傾斜角度θmにより決
定されるが、その他に金属帯の幅Wとストレート部の長
さLとの比W/Lによっても影響を受ける。本発明者等
の実験によれば、このW/Lの値が1.3未満の場合、金
属帯はロールに略平面的に接する(即ち、メカニカルク
ラウン量が小さくなる)ことになり、クラウンロールに
よる糸巻き効果が得られなくなって蛇行が発生し易くな
ってしまう。一方W/Lの値が2.4を超える場合は、逆
にこのメカニカルクラウンが大きくなり、絞りの発生率
が高くなる。従って上記のトータルクラウンtc値等の
設定に当ってはこのW/L値についても十分注意を払う
必要がある。
【0047】以上の様な経緯から本発明者等は通板性確
保のためのクラウン限界値内に収め得る炉内ロールのト
ータルクラウンtc値を求めた。これに対し上述した本
発明法の実施設備における各炉の炉内ロールのメカニカ
ルクラウンmcについては、鋼板の板厚変更点前後の先
行材及び後行材の板幅W、W′を考慮した上で適正と思
われる値をデフォルト値として設定しておき、それに合
わせて炉内ロールの各設定を行なった。従って、上記の
トータルクラウンtc値とこのメカニカルクラウンmc
デフォルト値から、前記数3により、連続焼鈍中のこれ
らのロールのトータルクラウンtcが該クラウン限界値
内に収まるような板温T1と炉温T2との温度差が求めら
れ、適性範囲ΔTa〜ΔTb(各処理帯により異なる)が
決定された。この時の加熱帯1における該適性範囲をΔ
Tah〜ΔTbh(ΔTah<ΔTbh)とする。
【0048】次に加熱帯1については下記数4、均熱帯2
については数5、冷却帯3の#10A炉については数
6、同じく#20A炉については数7に示す輻射伝熱モ
デル式[Ts:板温(°K)、Tzji:炉温(j=1加熱
帯、j=2均熱帯、j=3、4冷却帯)、V:ライン速度
(m/h)、h:板厚(m)、その他:モデル修正係数とす
る]を用いて、先行材が通過している現在のライン速度
及び炉温で次の後行材が通過する(即ち、ライン速度V
と炉温Tzjiを先行材のままに固定し、板厚hを後行材
のものに変えて計算する)場合の各処理帯における板温
推移の予測計算を行なう。
【0049】
【数4】
【0050】
【数5】
【0051】
【数6】
【0052】
【数7】
【0053】そして変更点通過後の各処理帯における予
測板温と炉温の差の最大値ΔTを求める。この時の加熱
帯1の最大値をΔThとする。
【0054】これ以降は上述の様にして求めたΔTと前
記適性範囲ΔTa〜ΔTbとの比較演算から、夫々の処理
帯における板温制御の具体的方法を決定し、それを実行
することになるが、ここでは加熱帯1を例に採り、以下
説明する。
【0055】加熱帯1の板厚変更点通過後の予測板温と
炉温の差の最大値ΔThが、前述のようにして求めてあ
る適性範囲ΔTah〜ΔTbh内にあるか、或いはその範囲
外にあるかをまず判断する。
【0056】該最大値ΔThがその適性範囲ΔTah〜Δ
Tbh内にあれば、後行材の炉内進入後も鋼板の絞りや蛇
行を発生する虞はないので、ライン速度のみの変更で図
7に示すように鋼板材質上決められた加熱帯1の目標板
温に対し板温ジャンプの幅を上下均等に振らせる。
【0057】又この最大値ΔThが適性範囲ΔTah〜Δ
Tbhの上限ΔTbhを超えると判断される場合(前述の様
に加熱帯1では板温T1<炉温T2であり、(T1−T2
<0であることから、前記適性範囲ΔTah〜ΔTbhの下
限ΔTahはマイナス側に大きな値となり、上限ΔTbhは
それより0側に近い値となる。従ってこの上限ΔTbhは
板温T1と炉温T2が接近する側の値となる)、即ち、加
熱帯1では次のような現象予測から厚物の先行材から薄
物の後行材に板厚変更がある場合に相当すると考えられ
るわけであるが、炉温、ライン速度の変更がなければ、
厚物から薄物への板厚変更によって薄物の後行材が炉内
に進入した時に、その板温T1は上昇し、炉温T2側に接
近すると予測される。そうすると厚物の先行材との接触
でマイナスのヒートクラウンを生じている各炉内ロール
のマイナスヒートクラウン量が小さく(0側に近付くよ
うに)なり、その結果、これらのロールのトータルクラ
ウンtcが0.4mmの値を超え、絞りを生じることが想定
されるので、後行材に合わせて炉温を下降せしめるよう
に制御する{即ち、再度数4の輻射伝熱モデル式を使用
して板厚hを後行材のそれに変更し、且つ板温Tsと炉
温Tzjiの差が上記適性範囲ΔTah〜ΔTbh内に収まる
炉温(更にはライン速度)を再計算し、それに合わせて
炉温を下降せしめる}。又その変更タイミングについて
であるが、後行材が薄物であり、板温T1が上昇し易い
ことを考慮すると、図8に示すように該後行材が炉内に
進入するまでに行なうものとする。更にもし、板温推移
の予測計算で板温ジャンプが激しく、板温が炉温側に近
い側に跳ね上がるのであれば、炉内温度の変更と合わせ
てライン速度制御(ライン速度を大きくする)も行なう
と良い。
【0058】一方、前記最大値ΔThが適性範囲ΔTah
〜ΔTbhの下限ΔTahを下回ると判断される場合、即ち
加熱帯1では以下に示す現象予測から、薄物の先行材か
ら厚物の後行材に板厚変更がある場合に相当すると考え
られるわけであるが、炉温、ライン速度の変更がなけれ
ば、薄物から厚物への板厚変更によって、厚物の後行材
が炉内に進入した時に、その板温T1は下がり、炉温T2
から更に離れると予測される。そうすると薄物の先行材
との接触でマイナスのヒートクラウンを生じている各炉
内ロールのマイナスヒートクラウン量が更に大きくな
り、結果的にこれらのロールのトータルクラウンtcが
0.2mmの値を下回って、蛇行を生じると想定される。従
ってこの時は炉温を後行材に合わせて(前述と同様、数
4の輻射伝熱モデル式を使用して板厚hを後行材のそれ
に変更し、且つ板温Tsと炉温Tzjiの差が上記適性範囲
ΔTah〜ΔTbh内に収まる炉温、ライン速度等を再計算
する)、炉温を上昇せしめるように制御する。この時の
炉温変更タイミングについて考えると、薄物の先行材が
炉内にまだ存在している時に炉温を上昇せしめると、該
先行材の方が後行材より板温上昇が著しく、これがもと
で炉内安定通板が阻害されることも考えられるので、図
9に示される様に変更点が炉内を通過してからこの様な
炉温変更を行なうべきである。更に上述と同様、板温ジ
ャンプが著しく、炉温変更のみで対応しきれない場合は
合わせてライン速度の変更(ライン速度を小さくする)
を行なうと良い。
【0059】本実施例の加熱帯1における処理をフロー
チャートにして図10に示す。
【0060】以上の様な調整を加熱帯1の他、均熱帯2、
冷却帯3、急冷帯4についても行なうと、炉内を変更点が
通過する時に、板温ジャンプの幅が狭くなり、そのため
後行材の板温T1についても直ぐに目標板温Tpに近付け
られるようになり、且つ実際の板温T1と炉温T2の差□
Tも、前述した通板性確保のためのクラウン限界値内に
収め得る板温と炉温の差の適性範囲ΔTa〜ΔTb内に収
まるようになる。従って変更点の通過に合わせて本発明
法のような制御を行なえば、鋼板の絞りや蛇行を抑止
し、且つ鋼板材質上決められたヒートパターンを達成す
ることができる。
【0061】
【発明の効果】以上詳述した様に本発明の板温制御方法
によれば、薄物用連続焼鈍設備において鋼板サイズの変
更に伴なう板温変動を小さくでき、鋼板の絞りや蛇行を
抑止し、且つ鋼板材質上決められたヒートパターンを達
成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】連続焼鈍設備中に設けられた炉内ロールのメカ
ニカルクラウン、ヒートクラウン、トータルクラウンの
関係を示す説明図である。
【図2】板温制御に及ぼす入口板温、炉温、ライン速度
の関係を示すグラフである。
【図3】冷却帯におけるストリップの絞り発生率を示す
グラフである。
【図4】上記実験炉の炉内ロールを、ヒートクラウン量
を考慮したメカニカルクラウンを付与したロールに組み
替えた時の各ロールのトータルクラウン量を示すグラフ
である。
【図5】前図の各stepでの最大トータルクラウンの絞り
発生率を示すグラフである。
【図6】更にロール組み替えの行なわれたこの実験炉に
おけるロール表面粗度とトータルクラウンの積によって
規定された安定通板領域を示すグラフである。
【図7】最大値が適性範囲内の場合のライン速度制御に
よる板温上下均等ジャンプの状態を示す制御工程説明図
である。
【図8】最大値が適性範囲外であって後行材が薄物とな
る板厚変更がある場合の炉温制御による板温制御工程を
示す説明図である。
【図9】同じく最大値が適性範囲外であって後行材が厚
物となる板厚変更がある場合の炉温制御による板温制御
工程を示す説明図である。
【図10】本実施例の加熱帯における処理過程を示すフ
ローチャートである。
【図11】薄物用連続焼鈍設備の炉構成の一例を示す説
明図である。
【図12】ブリキ等の薄物の連続焼鈍が行なわれる時の
ヒートパターンを示すグラフである。
【図13】目標板温Tpに対し板温ジャンプを上下均等
に振った状態を示す制御工程説明図である。
【符号の説】
1 加熱帯 2 均熱帯 3 冷却帯 4 急冷帯

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 薄物用連続焼鈍設備で、鋼板サイズ変更
    点前後の板厚、ライン速度、炉温から変更点通過前後の
    板温推移の予測計算を行なうと共に、炉内ロールのトー
    タルクラウンが通板性確保のためのクラウン限界値内に
    収め得る板温と炉温の差の適性範囲ΔTa〜ΔTbを求
    め、上記の変更点通過後の予測板温と炉温の差の最大値
    ΔTがこの適性範囲の最大値ΔTbを超える場合は、該
    変更点が炉内に進入するまでに後行材に合わせた炉温及
    び/又はライン速度に変更を完了させ、更に前記最大値
    ΔTが適性範囲の最小値ΔTaに満たない場合は、変更
    点が炉内を通過してから後行材に合わせた炉温及び/又
    はライン速度に変更を開始することを特徴とする薄物用
    連続焼鈍設備の板温制御方法。
JP3186939A 1991-07-02 1991-07-02 薄物用連続焼鈍設備の板温制御方法 Expired - Lifetime JP2526441B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3186939A JP2526441B2 (ja) 1991-07-02 1991-07-02 薄物用連続焼鈍設備の板温制御方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3186939A JP2526441B2 (ja) 1991-07-02 1991-07-02 薄物用連続焼鈍設備の板温制御方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH059598A true JPH059598A (ja) 1993-01-19
JP2526441B2 JP2526441B2 (ja) 1996-08-21

Family

ID=16197368

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3186939A Expired - Lifetime JP2526441B2 (ja) 1991-07-02 1991-07-02 薄物用連続焼鈍設備の板温制御方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2526441B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP2526441B2 (ja) 1996-08-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP4306665A1 (en) Continuous annealing equipment, continuous annealing method, cold-rolled steel sheet manufacturing method, and plated steel sheet manufacturing method
JP2526441B2 (ja) 薄物用連続焼鈍設備の板温制御方法
JP3173329B2 (ja) 熱処理炉の張力制御方法
JPH059593A (ja) 薄物用連続焼鈍設備冷却帯の板温制御方法
US4595357A (en) Continuous annealing method and apparatus for cold rolled steel strips
JP5365864B2 (ja) 鋼帯の連続熱処理炉及びその操業方法
JPH04329856A (ja) 鋼帯の連続溶融亜鉛鍍金における溶融亜鉛浴への浸入板温制御方法
JPH02277723A (ja) 竪型連続焼鈍炉
JPH052728B2 (ja)
JP2003253343A (ja) 金属帯の連続熱処理方法
JPS5944367B2 (ja) 水焼入連続焼鈍法
JP4072007B2 (ja) 鋼板の連続焼鈍炉の加熱帯及び均熱帯の板温制御方法
WO2024070279A1 (ja) 連続焼鈍設備、連続焼鈍方法、冷延鋼板の製造方法及びめっき鋼板の製造方法
JPS6386820A (ja) 連続焼鈍炉における金属ストリツプの張力制御方法
WO2024180826A1 (ja) 連続焼鈍設備、連続焼鈍方法、冷延鋼板の製造方法及びめっき鋼板の製造方法
WO2024070278A1 (ja) 連続焼鈍設備、連続焼鈍方法、冷延鋼板の製造方法及びめっき鋼板の製造方法
KR900006693B1 (ko) 냉간 압연된 강철 스트립의 연속소둔방법 및 장치
JP2000034524A (ja) 金属帯の熱処理方法
JP3588840B2 (ja) 金属帯の熱処理炉
JPH09217126A (ja) 鋼帯の過焼鈍防止方法
JP2004035967A (ja) 鋼板焼鈍時の絞り防止方法
JP2776033B2 (ja) 連続焼鈍炉における鋼帯の蛇行防止方法
JPH07126759A (ja) 金属帯の加熱方法および加熱装置
JP2002339019A (ja) 金属帯の熱処理炉
JP2000034523A (ja) 金属帯の連続熱処方法

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 19960409