JPH0595871A - 電気掃除機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 集塵袋中に収集されたゴミの悪臭成分が放出
されるのを長期間防止できる電気掃除機を提供すること
を目的とする。 【構成】 集塵室２内に脱臭体４とファン５を設置し
て、電動送風機を駆動する前に前記ファン５を一定時間
運転して、集塵室２内のゴミによる悪臭を繰り返し脱臭
体４に通過させて排気脱臭を行うようにした。 【効果】 集塵室２内部の悪臭成分を脱臭体４に何度も
通過させることにより、脱臭体４の効力を増大させるこ
となく、排気脱臭の性能向上と効果の持続性を長期間も
たせることが可能となり、掃除機運転中にその排気口よ
り悪臭が放出されるのを防ぎ、不快感なく掃除を行うこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は排気脱臭を行うようにし
た電気掃除機に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、電気掃除機の集塵部に集塵された
ゴミから発生する悪臭は、電動送風機の排気流と共に電
気掃除機外に排出されるおそれがあり、これを防止する
ための手段としては、集塵用紙袋に脱臭剤を処理したも
のや、集塵室内を脱臭剤で覆うなどの脱臭機構を設けた
り、または排気口部に脱臭フィルターを設けるなどが一
般的であった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】電気掃除機における悪
臭は、ゴミとして収集された有機物質、たとえば食べ物
かす、毛髪、フケ、さらにはこれらに付着するノミ、ダ
ニ類が集塵袋内部で酸化もしくは微生物による分解作用
にて悪臭を放つ物質へと変化するために、発生するもの
である。

【０００４】上記従来の脱臭機構では、ゴミ量が少ない
時にはこれらの悪臭除去において幾分効果を有していた
が、掃除機の使用が１ヶ月など長期になって、ゴミ量が
増えてくると、ゴミの臭気が強くなり、その効果は期待
できなくなるものであった。

【０００５】本発明は、上記従来の課題を解決するもの
で、脱臭体の効果を最大限に活用できるようにし、悪臭
の放出を長期間防止できる電気掃除機を提供することを
目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明の電気掃除機は、集塵室内に脱臭体とファン
とを設置して、電動送風機の駆動前に前記ファンを一定
時間運転して集塵室内のゴミによる悪臭を繰り返し脱臭
体を通過させて除去するようにしたものである。

【０００７】また、本発明の電気掃除機は、ファンを定
期的に運転して悪臭を除去するようにしたものである。

【０００８】

【作用】本発明の構成とすることにより、掃除機の使用
の度毎に集塵室内部の悪臭成分を撹拌してこれを脱臭体
に繰り返し通過させることになり、脱臭体の効力を増大
させることなく、排気脱臭の性能向上と効果の持続性を
長期間もたせることが可能となる。

【０００９】また、ファンを定期的に運転することによ
り、電気掃除機の使用時には事前に悪臭が除去できてい
るため、通常の電気掃除機の使用となんら変わりなく使
用できる。

【００１０】

【実施例】

（実施例１）以下、本発明の一実施例について、図１に
基づいて説明する。掃除機本体１の内部に集塵室２と、
電動送風機３を設けている。また、集塵室２内には集塵
用紙袋４とファン５を配置しており、ファン５の駆動に
より矢印の方向に空気の流れが生じ、集塵室２内の空気
を集塵用紙袋４に繰り返し通過させるものである。

【００１１】吸い込まれたゴミを紙袋で集塵する方式の
電気掃除機では、図１の通り集塵用紙袋４が集塵室２に
着脱自在に取り付けられるような構造であり、また、集
塵用紙袋４には、活性炭を担持あるいは混合させた集塵
袋（以下、脱臭体と記述する。）を用いた。

【００１２】脱臭体は、クラレケミカル（株）製の活性
炭繊維ペーパーを用いて作製したものを用いた。この活
性炭ペーパーは、目付け量は50g/m²、活性炭含有量は50
％であり、袋には約0.36m² 使用した。

【００１３】掃除機のゴミ臭については、ほこりの臭い
や、ペットや食べ物の臭い、またカビ臭やその他の生活
臭が含まれており、これらの成分としては低級脂肪酸や
アセトアルデヒド、アンモニアなど多種多様である。

【００１４】活性炭繊維ペーパーの効果については、生
活上の悪臭全般に効果をもつものであり、上記の如何な
るゴミ臭にも対応できるものである。

【００１５】図２は、掃除機を運転し吸塵する前に、集
塵室２内に設けられたファン５を、一定時間運転するた
めの制御回路を示している。

【００１６】図２の制御回路において制御手段６は、マ
イクロコンピューターなどを使用することにより容易に
実現できるものであり、電気掃除機のスイッチ７を投入
した際、電動送風機３を運転する以前に、集塵室２内に
設けられたファン５を一定時間運転できるように制御す
るものである。また、計測手段８はタイマーなどを使用
することにより、集塵室２内に設けられたファン５を一
定時間運転することが可能となるものであり、スイッチ
７は掃除機本体１の外部に取り付けて、必要に応じて使
用者が集塵室２内のファン５を操作できるものであると
する。図中９は電源回路を示す。

【００１７】この制御回路により、スイッチ７を投入し
た際、掃除機本体１が運転する前に集塵室２内に設けら
れたファン５が３分間程度作動し、その後、掃除機本体
１の吸塵が始まるものである。

【００１８】また、ファン５の送風の方向としては集塵
用紙袋４から吸い出す方向であり、ファン５による送風
路は図１の矢印の方向である。

【００１９】この時、ファン５を動作させると、集塵用
紙袋４内部の臭気はファン５により吸い出され集塵用紙
袋４すなわち脱臭体を通過し、集塵室２内部を巡った後
再び前記脱臭体を通過することになる。よって、ファン
５の動作中は、集塵室内部の悪臭成分を撹拌し、脱臭体
を何度も通過させることになる。

【００２０】図３は掃除機の排気を採取し、脱臭性能を
評価する試験の概略図であり、１０は排気の採取器、１
１は臭い袋である。

【００２１】図３における掃除機本体１は、十分カラ運
転を行い樹脂等の臭いを抜きとった未使用品あり、この
掃除機本体１は脱臭体とファン５と制御回路とを取り付
け、採取器１０により排気を採取し６段階臭気強度法に
より官能試験を行った。

【００２２】はじめに、脱臭体である集塵用紙袋４に掃
除機ゴミを４０グラム入れ、夏場を想定した温度３０
℃、湿度８０％に空調された室に保存した。図２に示さ
れる制御回路により、３分間ファン５を作動させた後、
１５分間掃除機を運転させゴミを４０グラム吸塵させ
た。またゴミを吸わせる前に、排気をサンプリングし官
能試験をした。この操作を前記空調された室内において
一日一回で７日間繰り返し、臭気強度がどのように変化
するのかを調べた。また、ブランク実験としてファン５
及び制御回路を取り付けない状態で臭気強度を測定し、
その効果を比較した。

【００２３】結果を図４に示した。なお、結果はパネル
の平均を表示する。格差はあるが、一般家庭の掃除機の
ゴミ量は１ヶ月当り１００グラム程度であり、ここでは
２ヶ月のゴミ量の目安を２００グラムとする。結果よ
り、ファン５及び制御回路を取り付けた排気の臭気強度
は、ブランク実験より低く、特に、５日目以降でゴミ量
が２００グラム以上になっても効果があり、集塵された
ゴミが２ヶ月以上集塵室２に保管されていても、排気脱
臭効果を持続できる効果を持つことがわかる。

【００２４】（実施例２）本発明の第二の実施例につい
て図５に基づいて説明する。

【００２５】図５において、図１と同一部分は同一符号
を付して説明を省略する。また、集塵室２には集塵用紙
袋４を覆って脱臭機能を有したフィルター部材１２を配
置している。

【００２６】フィルター部材１２はその中に脱臭剤１３
を充填して脱臭体を構成しているものである。脱臭剤１
３として、クラレケミカル製の添着活性炭ＭＳ−４，
５，６，７を重量比で３３対１００対１３４対３３の割
合で用いる。なおＭＳ−４はアニリン添着炭、ＭＳ−５
リン酸とアニリンの添着炭、ＭＳ−６はリン酸アニリン
とアニリンの添着炭、ＭＳ−７はアニリン添着炭であ
る。この脱臭剤を旭化成製の厚さ７ｍｍの立体編物ＲＨ
３７−１に均等に合計１７０グラム入れ、倉敷紡績製の
接着芯地を用い、三菱レイヨン製のポリエステルメッシ
ュを貼り合わせてフィルター部材１２すなわち脱臭体を
作成する。なおこの脱臭体は掃除機本体１中で集塵用紙
袋４を覆うように配置できる形に作成する。作成したフ
ィルター部材１２は集塵用紙袋４の外側に覆う形に配置
するものとする。

【００２７】脱臭剤１３の効果については、ＭＳ−４は
炭化水素、ＭＳ−５はアンモニア、ＭＳ−６はアセトア
ルデヒド、ＭＳ−７は硫化水素に特に効果が見られるも
のであり、これらを上記の配合で用いると、生活上の悪
臭全般にきわめて効果をもつことになり、如何なるゴミ
臭にも対応できるものである。

【００２８】ファンの制御回路、ファン５による送風路
などその他の条件は実施例１と同様であるとする。

【００２９】この時、ファン５を動作させると、実施例
１と同様に、集塵用紙袋４内部の臭気はファン５により
吸い出されフィルター部材１２を通過し、集塵室２内部
を巡った後再びフィルター部材１２を通過することにな
る。よって、ファン５の動作中は、集塵室２内部の悪臭
成分を撹拌し、フィルター部材１２を繰り返し通過させ
ることになる。

【００３０】実施例１と同様に図３に示される方法によ
り官能試験により評価する。また、実施例１と同様に、
ブランク実験としてフィルター部材１２とファン５を取
り付けない状態で臭気強度を測定し、その効果を比較し
た。

【００３１】結果を図６に示した。結果より、この場合
もファン５及び制御回路を取り付けた排気の臭気強度
は、ブランク実験より低く、集塵されたゴミが２ヶ月以
上集塵室２に保管されていても、排気脱臭効果を持続で
きる効果を持つことがわかる。

【００３２】また、図４と比較すると、この場合にはき
わめて強い効果をもつことがわかる。

【００３３】（実施例３）本発明の第三の実施例につい
て説明する。実施例３においては実施例１と同様であ
り、制御回路のみ異なるものである。

【００３４】図７は電気掃除機を運転しない時、すなわ
ち電気掃除機の電源コードをコンセントにつないでいな
いときでも定期的に集塵室２のファン５を自動運転でき
る制御回路を示している。

【００３５】図７の制御回路において制御手段６、スイ
ッチ７、及び計測手段８は、図２と同様であり、充電池
１４は電気掃除機をコンセントに接続していなくても、
充電池１４からの電圧により所定の時間運転できるもの
であるとし、充電回路１５により電気掃除機をコンセン
トに接続している間に、充電池１４に充電操作をするも
のであるとする。

【００３６】この制御回路により、一日当り３分間程度
ファン５が自動的に作動するものとする。実施例１と同
様に官能試験を行い、臭気強度がどのように変化するの
かを調べた。

【００３７】結果を図８に示した。ここでも、ファン５
及び制御回路を取り付けた排気の臭気強度は、ブランク
実験のそれより低く、排気脱臭効果を持続できる効果を
持つことがわかる。

【００３８】（実施例４）本発明の第四の実施例につい
て説明する。実施例４においては実施例２と同様であ
り、制御回路のみ異なるものである。また制御回路は実
施例３と同様であるとする。

【００３９】同様に官能試験を行い、臭気強度がどのよ
うに変化するのかを調べた。結果を図９に示した。ここ
でも、ファン５及び制御回路を取り付けた排気の臭気強
度は、ブランク実験のそれより低く、排気脱臭効果を持
続できる効果を持つことがわかる。

【００４０】

【発明の効果】以上のように本発明の構成とすることに
より、電動送風機の駆動前にファンを一定時間運転させ
ることにより、集塵室内部の悪臭成分を撹拌し、集塵室
内部に配置された脱臭体を何度も通過させることにな
り、脱臭体の効力を増大させることなく、排気脱臭の性
能向上と効果の持続性を長期間もたせることが可能とな
り、掃除機運転中に悪臭が放出されるのを防ぎ、不快感
なく掃除を行うことができる。

【００４１】また、ファンを定期的に運転することによ
り、掃除機の使用時には事前に悪臭が除去できているた
め、通常の掃除機の使用となんら変わりなく使用でき、
使い勝手がよいものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例における電気掃除機の概略構
成断面図

【図２】同電気掃除機の制御回路のブロック図

【図３】本発明の実施例における脱臭性能を評価する試
験の概略構成図

【図４】本発明の一実施例における脱臭性能の評価結果
を示す図

【図５】本発明の第二の実施例における電気掃除機の概
略構成断面図

【図６】本発明の第二の実施例における脱臭性能の評価
結果を示す図

【図７】本発明の第三の実施例における電気掃除機の制
御回路のブロック図

【図８】本発明の第三の実施例における脱臭性能の評価
結果を示す図

【図９】本発明の第四の実施例における脱臭性能の評価
結果を示す図

【符号の説明】

１ 掃除機本体 ２ 集塵室 ３ 電動送風機 ４ 集塵用紙袋（脱臭体） ５ ファン ８ フィルター部材（脱臭体）

フロントページの続き (72)発明者 茂呂 勝 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】掃除機本体の内部に集塵室と電動送風機を
   設け、前記集塵室内には脱臭体と、電源投入と同時に電
   動送風機の駆動前に、一定時間運転して集塵室内の空気
   を脱臭体に繰り返し通過させるファンとを設けた電気掃
   除機。
2. 【請求項２】掃除機本体の内部に集塵室と電動送風機を
   設け、前記集塵室には脱臭体と、定期的に運転して集塵
   室内の空気を脱臭体に繰り返し通過させるファンとを設
   けた電気掃除機。