JPH0595285A - 電圧比較器 - Google Patents

電圧比較器

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JPH0595285A
JPH0595285A JP3256367A JP25636791A JPH0595285A JP H0595285 A JPH0595285 A JP H0595285A JP 3256367 A JP3256367 A JP 3256367A JP 25636791 A JP25636791 A JP 25636791A JP H0595285 A JPH0595285 A JP H0595285A
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input
stage
comparison
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JP3256367A
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Shiro Hosoya
史郎 細谷
Masao Ito
正雄 伊藤
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Mitsubishi Electric Corp
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Mitsubishi Electric Corp
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Publication date
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    • HELECTRICITY
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 直並列型A/D変換器の構成を簡単化すると
ともに、高速および高精度の電圧比較器を得る。 【構成】 アナログ入力電圧と上位参照電圧とを比較す
る上位前置比較回路と、アナログ入力電圧と下位参照電
圧とを比較する下位前置比較回路と、両前置回路の出力
を増幅する自動零補償機能付増幅段とを含み、上位前置
比較回路および下位電圧比較回路は、互いの比較出力が
重複しないように順次に比較出力を自動零補償機能付増
幅段に与え、自動零補償機能付増幅段は、与えられる比
較出力を増幅する前にしきい値電圧にリセットされる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、A/D変換器などに
多く用いられる電圧比較器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】A/D変換器は、アナログ信号をデジタ
ル信号に変換するが、A/D変換器としては、完全並列
型、直並列型などがある。直並列型のA/D変換器は、
アナログ信号を上位ビットと下位ビットとの2段階でA
/D変換する。この直並列型のA/D変換器は完全並列
型と比べて回路規模が小さくかつ消費電力が小さい。こ
のことから、直並列型のA/D変換器はLSIやVLS
Iなどに取込みやすい。直並列型はこのような利点があ
るため、最近になって急速に開発され始めた。このよう
な直並列型A/D変換器の一例が文献「(“A CMO
S 40MHz86 105mW Two−Step
ADC”IEEE ISSCC Dig.of Tea
ch.Papers.pp.14−15,1989」に
紹介されている。
【0003】図11は、前記文献に記載された従来の直
並列型A/D変換器のブロック図である。図11に示さ
れる直並列型A/D変換器は上位mビットと下位nビッ
トとからなる合計m+nビットのA/D変換を行なう。
図11を参照して、この直並列型A/D変換器は、参照
電圧発生回路1、上位電圧比較器A0〜Ak-1 (但しk
=2m −1)、mビットの上位エンコーダ2、下位電圧
比較器B0 〜Bl-1 (l≧2n −1)、nビットの下位
エンコーダ3、エラー補正回路4を備える。参照電圧発
生回路1は、基準電圧VrtおよびVrbを印加する2
つの入力端子5および6ならびに制御信号用入力端子7
を有する。参照電圧発生回路1は、これらの入力電圧あ
るいは入力信号をもとにアナログ電圧を出力するk個の
上位参照電圧出力端子a0 〜ak-1 およびl個の下位参
照電圧出力端子b0 〜bl-1 を持つ。各上位電圧比較器
i (i=0〜k−1)は2つの入力端子を持ち、その
一方はアナログ電圧印加端子8に共通に接続され、他方
は各々上位参照電圧出力端子ai に接続される。上位エ
ンコーダ2はk個の上位電圧比較器ai の出力に接続さ
れるk個の入力端子と、エンコード結果を出力する4ビ
ットのエンコーダ結果出力端子と制御用出力端子を有す
る。エンコード結果を出力する端子はエラー補正回路4
の入力端子に接続され、制御信号出力端子は参照電圧発
生回路1の制御信号入力端子7に接続される。各下位比
較器Bj (j=0〜l−1)も上位電圧比較器Ai と同
様に2つの入力端子を有し、一方はアナログ電圧印加端
子8に共通に接続され、他方は各々下位参照電圧出力端
子bj に接続される。下位エンコーダ3は下位電圧比較
器Bj の出力に接続されるl個の入力端子と、nビット
のエンコード結果を出力する出力端子9およびエラー補
正回路4へエラー検出信号を出力するエラー検出信号出
力端子10を有する。エラー補正回路4は上位エンコー
ダ2の出力に接続されるm個の入力端子とエラー検出信
号出力端子10に接続される入力端子、およびこれらか
らエラー補正された最終的なmビットの上位エンコーダ
結果を出力する出力端子11を有する。
【0004】次に図11の直並列型A/D変換器の動作
について説明する。直並列型A/D変換器は上位A/D
変換および下位A/D変換の2段階で動作する。第1段
階すなわち上位A/D変換の段階ではまず各上位電圧比
較器Ai がアナログ信号電圧Vinと上位参照電圧入力
端子ai から出力される上位参照電圧Vai との電圧比
較を行なう。ここで上位参照電圧Vai は、通常、参照
電圧発生回路1の基準電圧印加端子5および6に印加さ
れる2つの電圧VrtおよびVrbを分圧することによ
って得られる電圧である。このような参照電圧Vai
アナログ信号電圧Vinとの大小比較が電圧比較器で行
なわれることによってアナログ電圧Vinの存在する電
圧範囲が検出され、エンコーダ2において所望のコード
に変換される。またこれと同時に上記検出信号は制御信
号として参照電圧発生回路1の制御信号入力端子7に印
加される。
【0005】第2段階すなわち下位A/D変換の段階で
は、まず制御信号をもとに下位参照電圧印加端子Bj
出力される下位参照電圧Vbj が発生される。たとえば
上位A/D変換においてアナログ信号電圧Vinが上位
参照電圧Vai とVai+1 の間に存在すると検出された
場合には、両電圧を含む形でさらに分圧された電圧が発
生される。このようにして発生された各下位参照電圧V
j は対応する電圧比較器Bj の一方の入力端に入力さ
れる。各電圧比較器Bj の他方の入力端にはアナログ信
号電圧Vinが共通に印加され、上位A/D変換同様に
比較およびエンコーダが行なわれて、最終的に所望のコ
ードにして下位A/D変換結果が端子9から出力され
る。これと同時に下位A/D変換において検出されるア
ナログ信号電圧Vinの存在範囲が上位A/D変換結果
のそれと一致しているかどうかが判断され、一致してい
ない場合はエラー検出信号出力端子10を介してエラー
補正回路4に制御信号が伝達される。エラー補正回路4
はこの制御信号に基づいて上位エンコーダ結果に補正を
加え、最終的に端子11に上位A/D変換結果を出力す
る。
【0006】図12は従来の2入力の電圧比較器の一例
を示す回路図である。図12においてこの電圧比較器
は、上位電圧比較器Ai および下位電圧比較器Bj が独
立にされている。
【0007】上位電圧比較器Ai は入力段12、自動零
補償機能付増幅段13および14ならびに反転増幅器1
5の直列接続で構成される。入力段12はアナログ信号
印加端子8に接続されるスイッチS1と、上位参照電圧
印加端子Ai に接続されるスイッチS2を備える。スイ
ッチS1はクロック信号φ1に応答してオン・オフす
る。スイッチS2はクロック信号φ2に応答してオン・
オフする。スイッチS1およびS2の出力端子は自動零
補償機能付増幅段13の入力端に共通に接続される。自
動零補償機能付増幅段13は結合容量Ccと、反転増幅
器16と、反転増幅器16の入力と出力との間に接続さ
れるスイッチS3を含む。結合容量Ccは、その一端が
入力段12の出力にその他端が反転増幅器16の入力に
接続される。スイッチS3はクロック信号φ1に応答し
てオン・オフする。スイッチS3がオンした場合には、
反転増幅器16の出力がその増幅器16の入力に帰還さ
れる。自動零補償機能付増幅段14は自動零補償機能付
増幅段13と同様な構成をしている。
【0008】下位電圧比較器Bj は上位電圧比較器Ai
と同様に入力段17、自動零補償機能付増幅段13およ
び14ならびに反転増幅器15の直列接続で構成され
る。上位電圧比較器Ai と異なるところは、入力段17
が下位参照電圧出力端子Bj (図11参照)に接続され
ていること、および下位参照電圧出力端子bj がスイッ
チS4を介して自動零補償機能付増幅段13の入力端に
接続されている点である。このスイッチS4はクロック
信号φ3に応答してオン・オフする。
【0009】図13は、図12の各回路の信号波形図で
ある。同図中実線で示されるV3 ,V4 ,V5 の波形
は、上位比較における電圧波形であり、破線で示される
3 ,V4 ,V5 の波形は下位比較における電圧波形で
ある。図13を参照しながら、図12に示す上位電圧比
較器Ai の動作を説明する。クロック信号φ1が“H”
レベルの期間(この期間をオートゼロ期間と呼ぶ)に
は、スイッチS1およびS3がオン状態となり、スイッ
チS2はオフ状態となる。スイッチS1がオンすること
により、自動零補償機能付増幅段13にアナログ信号電
圧Vinが印加される。また、スイッチS3がオンする
ことにより、自動零補償機能付増幅段13および14の
内部ノードN1,N2および出力は反転増幅器16の論
理しきい値電圧Vbにバイアスされる。それにより、各
自動零補償機能付増幅段13および14の内部ノードN
1,N2に電荷が蓄えられる。蓄えられた電荷はそれぞ
れQ1 ,Q2 として、ノードN1,N2の寄生容量をC
1 ,Cs2 とすると、 Q1 =PCc(Vb−Vin)+Cs1 Vb …(1) Q2 =PCc(Vb−Vb)+Cs2 Vb=Cs2 Vb …(2) となる。またこのとき反転増幅器15の出力もしきい値
Vbにバイアスされる。
【0010】クロック信号φ2が“H”レベルの期間
(この期間を上位比較期間と呼ぶ)には、スイッチS2
がオンし、スイッチS1およびS3がオフする。スイッ
チS3がオフすることにより、各自動零補償機能付増幅
段13および14は、内部ノードN1,N2への電荷の
流入および流出経路を失うため、オートゼロ期間に蓄え
られた電荷Q1 およびQ2 がそのまま保持される。一
方、この期間において上位電圧比較器Ai の自動零補償
機能付増幅段13の入力端にはアナログ信号電圧Vin
に代わり上位参照電圧Vai が印加される。これによ
り、各自動零補償機能付増幅段13および14の内部ノ
ードN1,N2の電圧もしきい値電圧Vbからある電圧
1 およびV2 に変化する。したがって、このとき自動
零補償機能付増幅段13の内部ノードN1の電荷量Q1
は電圧V1 を用いて次式のように表わされる。
【0011】 Q1 =Cc(V1 −Vai )+Cs1 1 …(3) したがって、式(1)および(3)より電圧V1 につい
て解くと最終的に次式が得られる。
【0012】 V1 =Vb+λ(Vai −Vin) …(4) 但し、λ=Cc/(Cc+Cs) …(5) 式(4)は自動零補償機能付増幅段13の内部ノードN
1の電圧が、入力で発生する電圧変化に応答して(この
比例量を電圧伝達率λと呼ぶ)しきい値電圧Vbからシ
フトすることを意味する。すなわち、結合容量Ccおよ
び寄生容量Csにより入力側で発生した電圧変化分がλ
倍され、このλ倍された電圧変化分がしきい値電圧Vb
に重畳される。今、入力側の電圧変化をΔVin、この
電圧変化が伝達される前の出力側電圧をVout 0 、伝
達された後の出力側電圧をVoutとしたとき、Vou
tは一般に次の式で与えられる。
【0013】 Vout=Vout 0 +λΔVin …(6) したがって、自動零補償機能付増幅段13の入力はλΔ
Vic(但し、ΔVic=Vai −Vin;上位入力差
電圧)だけしきい値Vbからシフトする。このようなシ
フト量が自動零補償機能付増幅段13の反転増幅器16
によって増幅される。反転増幅器16の電圧増幅率を−
G、出力電圧をV3 とすると、出力電圧V3 は次式で与
えられる。
【0014】 V3 =Vb−λGΔVic …(7) 2段目の自動零補償機能付増幅段14ではオートゼロ期
間のしきい値電圧Vbに代わり前記電圧V3 が印加され
る。出力電圧V3 の印加によって内部ノードN2の電圧
がVbから変化する。この電圧変化量は内部ノードN2
における電荷の保存則を用いて求めることができるが、
ここで式(6)に基づいて結果のみを記す。すなわち、
2段目の自動零補償機能付増幅段14の入力側電圧変化
ΔV3 は式(7)より−λGΔVicなので、ノードN
2で発生される電圧変化ΔV2 は、 ΔV2 =λΔV3 =−λ2 GΔVic …(8) で与えられる。この電圧変化ΔV2 が増幅段14の反転
増幅器16によってさらに増幅される。反転増幅器16
の出力端における電圧変化ΔV4は次式で与えられる。
【0015】 ΔV4 =−GΔV2 =λ2 2 ΔVic …(9) これが反転増幅器15によってさらに増幅されるため、
増幅器15の出力電圧V 5 は次式で与えられる。
【0016】 V5 =Vb−GΔV4 =Vb−λ2 3 ΔVic …(10) 式(10)は上位電圧比較器Ai では上位入力差電圧Δ
Vicがλ2 3 倍されて出力されることを意味する。
したがって、たとえばλ=1、G=10、Vb=2.5
Vとしたとき、入力差電圧が1.7mV以上であれば論
理レベル(電源電圧5Vとしたとき“H”が4.2V以
上、“L”が0.8V以下)まで増幅できる。このとき
電圧比較器はVin>Vai のとき“H”レベルを出力
し、Vin<Vai のとき“L”レベルを出力する。こ
の出力結果(比較結果)に基づいて参照電圧発生回路1
は下位参照電圧Vbj を発生し、下位参照電圧印加端子
j に与える。
【0017】下位電圧比較器Bj も上位電圧比較器Ai
と同様の原理で動作する。また上位電圧比較器Ai と異
なるのは、クロック信号φ3が“H”レベルのとき(こ
れを下位比較期間と呼ぶ)比較を行なうことのみなので
ここでは説明を省略する。
【0018】以上のように従来の2入力の電圧比較器を
直並列型A/D変換器に用いる場合には、上位A/D変
換用の電圧比較器と、下位A/D変換用の電圧比較器と
をそれぞれ別個に設ける必要があった。前述のとおり直
並列型A/D変換器は並列型A/D変換を2段階で行な
うものであるが、たとえばmビットの並列型A/D変換
を行なわせるためには、少なくとも2m −1個の電圧比
較器が必要であることが知られている。したがって、分
解能の増加に伴い、必要となる電圧比較器の数が指数関
数的に増加するという問題があった。直並列型A/D変
換器のこのような問題を緩和するために、3入力の電圧
比較器を用いることが文献「(1990年IEEE J
ournal of Solid−State Cir
cuit“An 8−bit 20MS/s CMOS
A/DConverterwith 50−mW P
ower Consumption” Vol.25,
No.1 pp167−172)」に記載されている。
【0019】図14は、前記文献に記載された3入力電
圧比較器の回路図であり、図15は図14の各回路の信
号波形図である。図14を参照して、この電圧比較器と
図12の電圧比較器とが異なるところは、2入力の入力
段に代えて3入力の入力段19が用いられ、かつ自動零
補償機能付増幅段13および14ならびに反転増幅器1
5がそれぞれ1個設けられていることである。入力段1
9はアナログ信号印加端子8、上位参照電圧印加端子a
i および下位参照電圧印加端子bj の3つの入力端子を
有する。各入力端子8、ai よびbj はそれぞれスイッ
チS1、S2およびS4を介して共通に自動零補償機能
付増幅段13の入力端に接続される。スイッチS1はク
ロック信号φ1に応答してオン・オフする。スイッチS
2はクロック信号φ2に応答してオン・オフする。スイ
ッチS4はクロック信号φ3に応答してオン・オフす
る。
【0020】次に動作について説明する。この電圧比較
器は図15に示すクロック信号(図13と同様)により
制御され、3段階で動作する。クロック信号φ1が
“H”レベルのとき(オートゼロ期間)には、スイッチ
S1およびS3がオン状態となり、スイッチS2および
S4はオフ状態となる。スイッチS1がオンすることに
より、自動零補償機能付増幅段13の入力にはアナログ
信号電圧Vinが印加される。またスイッチS3がオン
することにより、各自動零補償機能付増幅段13および
14の内部ノードN1,N2ならびに出力は反転増幅器
16の論理しきい値電圧Vbにバイアスされる。これに
伴い反転増幅器15の出力も電圧Vbにバイアスされ
る。
【0021】クロック信号φ2が“H”レベルの期間
(上位比較期間)には、スイッチS2のみがオンし、他
のスイッチS1、S3およびS4がオフする。この場合
の動作は前述の電圧比較器(図12)と同様であるの
で、ここではその説明を省略する。
【0022】クロック信号φ3が“H”レベルの期間
(下位比較期間)には、スイッチS4がオン状態とな
り、他のスイッチS1〜S3はオフする。この期間にお
いてもスイッチS3は依然オフしているので、自動零補
償機能付増幅段13および14の内部ノードN1,N2
はハイインピーダンス状態である。したがって、オート
ゼロ期間において内部ノードN1,N2に保持された電
荷はこの期間においても保持され、前述した式(6)は
この期間においても成立する。一方、スイッチS4がオ
ンすることによって初段自動零補償機能付増幅段13の
入力には上位参照電圧Vai に代わって下位参照電圧V
j が印加される。この電圧変化(Vbj −Vai )を
λ倍した電圧が式(4)で与えられる電圧V1 に重畳さ
れる。したがって、下位比較期間における増幅段13の
ノードN3の電圧V11は次式で与えられる。
【0023】 V11=V1 +λ(Vbj −Vai ) =Vb+λ(Vai −Vin)+λ(Vbj −Vai ) =Vb+λ(Vbj −Vin) …(11) 式(11)は結局Vinから下位参照電圧Vbj への電
圧変化が自動零補償機能付増幅段13の入力端で発生し
たことを意味する。この論理しきい値電圧Vbからの電
圧シフトは図12に示した電圧比較器と同様に後段に伝
達され、下位比較が行なわれる。ここでは電圧比較器を
図14に示すような構成にした場合、上位および下位電
圧比較を1つの電圧比較器で実行することがきる。した
がって、たとえば上位および下位ともにmビットからな
る合計2mビットのA/D変換を行なう場合には、(2
m −1)個の電圧比較器を設ければよい。これは、2・
(2 m −1)個の電圧比較器を必要とする2入力の電圧
比較器(図12)に比べ、必要な電圧比較器の数が半減
したことを意味する。しかしながら、このような構成の
電圧比較器には次に示す欠点がある。
【0024】この欠点の説明は、図13に示す下位電圧
比較器Bj の各増幅段の出力過渡応答波形および図15
に示す3入力の電圧比較器の各増幅段の過渡応答波形を
参照する。図13および図15においてV3は初段の初
段の自動零補償機能付増幅段13の出力電圧、V4は2
段目の自動零補償機能付増幅段14の出力電圧、V5は
反転増幅器15の出力電圧を示す。図13から明らかな
ように、2入力の電圧比較器では下位比較直前に全内部
ノードN1〜N4がしきい値電圧Vbにバイアスされて
おり(これを初期状態と呼ぶ)、下位参照電圧Vbj
印加された瞬間から各内部ノードN1〜N4は正しい比
較結果を出力すべく応答を始める。これに対し、3入力
の電圧比較器では下位比較が実行される直前において各
内部ノードは上位比較結果に応じて論理しきい値電圧V
bからシフトしている。このため3入力の電圧比較器で
は上位比較終了時の電圧から初期状態に戻るまでの時間
(これを回復時間と呼ぶ)が余分に必要となる。たとえ
ば初段自動零補償機能付増幅段13では出力電圧V3が
論理しきい値電圧Vbを横切るまでの時間が増幅段13
の回復時間となる。2段目の自動零補償機能付増幅段1
4の出力電圧V4は自動零補償機能付増幅段13の出力
電圧がVbを横切った時点で反転し始める。したがっ
て、増幅段14の回復時間は初段の回復時間と自段の回
復時間の和となる。このようにして回復時間は後段へ行
くほど大きくなり、電圧比較器全体の比較速度を劣化さ
せる要因となる。
【0025】上記問題に加えて従来の2入力および3入
力の電圧比較器ではクロックノイズが原因で比較精度が
劣化するという問題がある。図12および図14に示す
電圧比較器においてスイッチS1〜S4には一般に図1
6に示すようなトランスミッションゲートが用いられ
る。トランスミッションゲートはP型電界効果トランジ
スタ20と、これに並列に接続されるN型電界効果トラ
ンジスタ21を含む。P型およびN型電界効果トランジ
スタ20および21は、そのゲート端子22および23
に互いに相補的なクロック信号が与えられる。また、両
トランジスタ20および21のドレインおよびソース端
子はそれぞれ端子24および25に共通接続される。ま
た、各トランジスタ20、21のゲート端子22、23
とドレイン端子24との間には容量C1 およびC2 のゲ
ート−ドレイン容量26および27が寄生的に存在す
る。同様に各トランジスタ20および21のゲート端子
とソース端子との間には、容量値C3 およびC4 のゲー
ト−ソース間容量28および29が寄生的に存在する。
【0026】次に寄生容量を含めて考えたときのトラン
スミッションゲートの動作について説明する。ゲート端
子22に印加される信号が“L”レベルから“H”レベ
ルに、かつゲート端子23に印加される信号が“H”レ
ベルから“L”レベルに変化したとき、トランスミッシ
ョンゲートはオフする。このゲート電圧変化が寄生容量
を介して端子24および25に伝達される。すなわち、
ゲート電圧の変化による電荷が端子24および25に注
入される。端子24および25がハイインピーダンス状
態の場合には、注入された電荷によって微小な電圧変化
が発生する。デジタル回路のように大きな振幅の信号を
伴う場合には、このような微小電圧変化は問題とならな
いが、アナログ回路では大きな問題となる。
【0027】次に、このような電荷の注入を考慮に入れ
た場合の2入力の上位電圧比較器A i の動作を説明す
る。たとえば、図12において初段自動零補償機能付増
幅段13のスイッチS3に着目する。このスイッチS3
はトランスミッションゲートで構成されている場合には
オフした瞬間にクロック信号の変化に起因する電圧変化
を内部ノードN2に発生させる。このクロックの変化の
みに起因した内部ノードN2の電圧変化ΔV21はP型ト
ランジスタのゲート端子電圧ΔVclk、N型トランジ
スタのゲート端子電圧を−ΔVclkとして、
【0028】
【数1】
【0029】で与えられる。したがって、このようなク
ロックノイズを考慮に入れた場合の上位比較期間におけ
る初段自動零補償機能付増幅段13の内部ノードN1の
電圧V 1 は V1 =Vb+λΔVic+λCΔVclk …(13) 但し、λc=(C1 −C2 )/(Cc+Cs1 ) …(14) となる。上式より、たとえばΔVic=−1mV、ΔV
clk=5Vのとき、 C1 −C2 >Cc/5000 …(15) ならば、クロックノイズが原因で誤動作することを意味
している。式(15)が満たされるとき、ΔVic<0
であるにもかかわらず、V1 −Vb>0となるためであ
る。誤動作を防止するためには、たとえばCc=0.1
fFとした場合、C1 −C2 <0.02fF未満に抑え
なければならない。C1 およびC2 は寄生容量であるた
め、上記のようなオーダで容量値を制御することは困難
である。初段増幅段13で誤動作が発生すると、これが
誤ったまま増幅され比較結果として出力される。またこ
のようなクロックノイズは2段目増幅段14においても
発生するが、既に初段増幅段13で信号が増幅された後
なので初段ほどは問題とならない。
【0030】
【発明が解決しようとする課題】従来の2入力の電圧比
較器は以上のように構成されているので、これを用いて
A/D変換器を構成した場合に必要となる電圧比較器の
数は、A/D変換器の分解能増加に伴って指数関数的に
増加するという問題がある。また、従来の3入力の電圧
比較器は上記問題を緩和するものの、比較速度が劣化す
るという問題がある。また、両電圧比較器ともにクロッ
クノイズに起因した誤動作を起こしやすく、比較精度に
問題がある。
【0031】それゆえに、この発明の1つの目的は、直
並列型A/D変換器の構成を簡単化することがでるとと
もに、高速かつ高精度な電圧比較器を得ることである。
【0032】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
のこの発明に係る電圧比較器は、アナログ入力信号と少
なくとも2つの基準電圧とを比較する電圧比較器であっ
て、前記少なくとも2つの基準電圧に対応して設けら
れ、各々が前記アナログ信号と対応の基準電圧との差に
相当する電圧信号を時分割的に発生する少なくとも2つ
の電圧信号発生手段と、前記少なくとも2つの電圧信号
発生手段より時分割的に発生された基準電圧を、所定の
リセット期間を設けて順次に増幅する手段と、前記所定
のリセット期間に前記増幅手段のオフセット電圧をリセ
ットするリセット手段とを含む。
【0033】
【作用】以上の発明では、少なくとも2つの電圧信号発
生手段がアナログ入力信号と対応の基準電圧との差に相
当する電圧信号を時分割的に発生している。発生された
それぞれの電圧信号は順次に増幅手段に与えられる。増
幅手段は、各電圧信号を受ける前にリセット手段により
リセットされる。それにより、電圧信号を増幅する際に
蓄積されたオフセット電圧がキャンセルされ、その後に
与えられる電圧信号を増幅する。それにより増幅手段に
は回復期間を設ける必要がなくなり、比較に要する時間
が短縮される。また、リセット期間から次の比較期間に
かけてのクロックノイズは、少なくとも2つの電圧信号
発生手段の出力同士で相殺されるため、クロックノイズ
による誤動作は抑制される。
【0034】
【実施例】図1はこの発明の電圧比較器の一実施例を示
す回路図である。図1において、この電圧比較器は上位
前置比較回路30、下位前置比較回路31、2入力の自
動零補償機能付増幅段32および反転増幅器15を備え
る。2入力自動零補償機能付増幅段32は上位前置比較
回路30、下位前置比較回路31の出力に接続される。
反転増幅器15は2入力自動零補償機能付増幅段32の
出力に接続される。上位前置比較回路30は入力部12
および自動零補償機能付増幅段13の直列接続で構成さ
れる。また、下位前置比較回路31は入力部33および
自動零補償機能付増幅段13の直列接続で構成される。
入力部12および増幅段13の構成は図12と同様なの
でここでは説明を省略する。また、入力部33は図12
の入力部17のスイッチS4をクロック信号φ4で制御
されるスイッチS5で置換えた構成をしている。2入力
自動零補償機能付増幅段32は容量34および35、ス
イッチS6および反転増幅器37を備える。容量34
は、容量値C34を持ち、その一端が上位比較器30の出
力に接続され、容量35は容量値C35を持ち、その一端
が下位前置比較回路41の出力に接続され、容量34お
よび35の他端は内部ノード36に共通接続される。内
部ノード36は反転増幅器37の入力に接続される。反
転増幅器37の出力は反転増幅器15の入力に接続され
るとともにスイッチS6を介して入力に帰還される。ス
イッチS6はクロック信号φ5に応答してオン・オフす
る。
【0035】図2は、図1の各回路の出力波形図であ
る。図2に示した出力波形を参照しながらこの実施例の
動作について説明する。本電圧比較器はオートゼロ期間
(1)、上位比較期間(2)、リセット(3)、下位比
較期間(4)の4段階で動作する。オートゼロ期間
(1)においては、クロック信号φ1およびφ5がHレ
ベル、クロック信号φ2およびφ4がLレベルになるの
で、スイッチS1、S3およびS6がオン状態となり、
スイッチS2およびS5がオフ状態となる。スイッチS
1がオンすることにより、前置比較回路30および31
の自動零補償機能付増幅段13の入力にはアナログ信号
電圧Vinが印加される。また、スイッチS3、S6が
オンすることにより、反転増幅器15、16および37
の入出力端はしきい値電圧Vbにバイアスされる。
【0036】上位比較期間(2)において、クロック信
号φ2のみが“H”レベルとなるため、スイッチS2の
みがオンし、他のすべてのスイッチS1、S3、S5お
よびS6がオフする。スイッチS3およびS6がオフす
ることにより、自動零補償機能付増幅段13および14
の内部ノードN1およびN2ならびに2入力自動零補償
機能付増幅段32の内部ノード36は、ハイインピーダ
ンス状態となり、オートゼロ期間に蓄えられた電荷が保
存される。一方、この期間において上位前置比較回路3
0の自動零補償機能付増幅段13の入力端にはアナログ
入力電圧Vinに代わり上位参照電圧Vai が印加され
る。これに対し、下位前置比較回路31の自動零補償機
能付増幅段13には何も印加されない。したがって、下
位前置比較回路31の出力は後述するクロックノイズに
起因するものを除いて電圧変動が起こらず、上位比較は
直列に接続された増幅段13、32および15によって
従来と同様の原理で行なわれる。
【0037】リセット期間(3)では、クロック信号φ
5のみがHレベルとなるため、スイッチS6のみがオン
し、他のすべてのスイッチS1、S2、S3およびS5
はオフする。スイッチS6がオンすることにより、反転
増幅器15の入力および反転増幅器37の入力端は再び
しきい値Vbにバイアスされる。一方、この期間および
これに続く下位比較期間において上位前置比較回路30
の出力電圧変動は起こらない。したがって、下位比較が
完了するまでの期間において下位前置比較回路31、2
入力自動零補償機能付増幅段32および反転増幅器15
からなる回路について信号の流れを考えればよい。今、
リセット期間(3)における下位前置比較回路31の内
部ノードN3の電圧を考える。本来この期間(3)にお
いても反転増幅器16の入出力端における電圧はしきい
値電圧Vbであるはずであるが、従来例で説明したよう
にクロックノイズによる電圧変化ΔVclkがあるた
め、入力電圧V1 および出力電圧V3 は反転増幅器16
の増幅率を−Gとして次式で与えられる。
【0038】 V1 =Vb+λcΔVclk …(16) V3 =Vb−λcGΔVclk …(17) 下位比較器(4)では、クロック信号φ4のみが“H”
レベルになるため、スイッチS5のみがオンし、他のす
べてのスイッチS1、S2、S3およびS6はオフす
る。スイッチS6がオフすることにより、反転増幅器3
7の入出力端は再びハイインピーダンス状態となり、リ
セット期間に内部ノード36に蓄えられた電荷が保持さ
れる。一方、スイッチS5がオンすることによって下位
前置比較回路31の自動零補償機能付増幅段13にはア
ナログ信号電圧Vinに代わって下位参照電圧Vbj
印加される。この電圧変化ΔVif=Vbj −Vinが
下位前置比較回路31のノードN3に伝達され、反転増
幅器16によって増幅される。このときの反転増幅器1
6の入力電圧V11、出力電圧V13は次式で与えられる。
【0039】 V11=Vb+λcΔVclk+λΔVif …(18) V13=Vb−λcΔVGclk−λGΔVif …(19) 一方、増幅段32はリセット期間においてリセットされ
るので、ノード36にはリセット期間(3)から下位比
較期間(4)にかけての電圧変化分のみが容量34およ
び35を介して伝達される。容量34の入力端では電圧
変化はないので、内部ノード36には容量35を介して
伝達される電圧変化のみがしきい値電圧Vbに重畳され
る。リセット期間(3)から下位比較期間(4)かけて
の電圧変化ΔVは式(17)および(19)から次のよ
うになる。
【0040】 ΔV=V13−V3 =−λGΔVif …(20) したがって、ノード36の電圧V36は V36=Vb−λGΔVif …(21) で与えられる。同式(21)から明らかなように、内部
ノード36は下位入力差電圧Vifに比例した電圧だけ
Vbからシフトしてクロックノイズにより影響はない。
そして、このしきい値Vbからのシフト量が反転増幅器
37および15によって増幅され、ノイズが原因で誤動
作することなく、VifとVbj の大小比較結果が出力
される。
【0041】電圧比較器を以上のような構成にすること
によって、A/D変換器を構成するために必要となる電
圧比較器の数は従来の2入力の電圧比較器に比べて約1
/2となる。また、上位および下位比較とも初期状態か
ら開始されるので、従来の3入力電圧比較器のように回
復時間を必要としない。また、クロックノイズ相殺機能
もあるので、比較精度も向上できる。なお、上位比較に
対しては上記ノイズ相殺機能は働かないが、通常A/D
変換器では下位A/D変換結果をもとに上位A/D変換
結果を補正するので、下位比較を正確に行なえば特に問
題とはならない。
【0042】図3はこの発明の第2の実施例を示す回路
図である。図3の電圧比較器が図1の電圧比較器と異な
るところは、上位前置比較回路30のスイッチS3に代
えてクロック信号/φ2で制御されるスイッチS7を設
け、各下位前置比較回路31のスイッチS3に代えてク
ロック信号/φ4で制御されるスイッチS8を設けてい
ることである。
【0043】動作において、スイッチS7は上位比較期
間(2)においてのみオフし、スイッチS8は下位比較
期間においてのみオフする。それにより、タイミング的
には図1の電圧比較器と同様に上位比較および下位比較
を行なうことができ、また、3入力電圧比較器のごとく
回復期間を設ける必要がない。但し、リセット期間
(3)においては、両スイッチがオン状態となっている
ので、リセット期間から下位比較に移るときに発生する
クロックノイズを相殺することができない。
【0044】以上の実施例は説明のため回路構成を簡単
化したものである。本発明の一般的な実施例を図4に示
す。図4の電圧比較器は、上位前置比較回路38、下位
前置比較回路39の出力が2入力自動零補償機能付増幅
段32の入力に接続された構成をとる。自動零補償機能
付増幅段32の出力は、直列接続されたm段(m≧0)
の自動零補償機能付増幅段13の入力に接続される。直
列接続されたm段の自動零補償機能付増幅段13の最終
出力はn(n≧0)の直列接続された反転増幅器15の
入力接続される。上位前置比較回路38は入力部12お
よび直列接続されたl段(l≧1)の自動零補償機能付
増幅段13が直列接続されて構成される。また下位前置
比較回路39は入力部33および直列接続されたk段
(k≧1)の自動零補償機能付増幅段13から構成され
る。なお、上記m、n、l、kは図11に示したビット
数とは異なる。
【0045】図5は、この発明の第4の実施例を示す回
路図である。図5に示す電圧比較器は、アナログ電圧V
inを異なるhレベル(h≧2)の参照電圧に対して順
次比較することができる。図5を参照して、この電圧比
較器は、h個の前置比較器40の出力が入力端子数hの
複数入力自動零補償機能付増幅段41の入力に接続され
る。この増幅段41の出力は直列接続されたm段(m≧
0)の自動零補償機能付増幅段13の入力に接続され
る。直列接続されたm段の自動零補償機能付増幅段13
の出力はn個(n≧0)の直列接続された反転増幅器1
5の入力に接続される。
【0046】前置比較回路40は図6に示すようにアナ
ログ電圧印加端子8、参照電圧印加端子42、アナログ
信号用クロック信号印加端子43、参照電圧用クロック
信号印加端子44、クロック信号印加端子45の5つの
入力端子を有する。前置比較回路40は入力部46に直
列接続されたl段(l≧1)の自動零補償機能付増幅段
13が直列接続された構成である。入力部46は、アナ
ログ電圧印加端子8および参照電圧印加端子42の2つ
の入力端子を有し、各々端子43および44に印加され
るクロックによって制御されるスイッチS9およびS1
0を介して出力端に共通接続される。自動零補償機能付
増幅段13のスイッチS3(図1)は、端子45に印加
されるクロック信号φ1によって制御される。複数入力
自動零補償機能付増幅段41は、図7に示すようにh個
の入力端子I0 〜Ih-1 を有し、その各々は容量Ccp
(p=0〜h−1)を介して共通に反転増幅器37の入
力に接続される。同増幅器37の出力はリセットのため
のクロック信号φ0で制御されるスイッチS6を介して
入力に帰還される。
【0047】再び図5を参照して、アナログ信号印加端
子8には、共通にアナログ電圧Vinが印加され、参照
電圧印加端子42には、各々異なるhレベルの参照電圧
Vp(p=0〜h−1)が印加される。また、クロック
信号印加端子43および44にはクロック信号φ1およ
びφp(p=0〜h−1)が各々印加される。また、端
子45(図6)には、クロック信号φ1が印加される。
図8は図5ないし図7に示した電圧比較器の動作を示す
タイミングチャートである。図8を参照しながらこの電
圧比較器の動作を説明する。この電圧比較器は2h段階
で動作する。まず、第1の期間p1 (クロックφ1が
“H”の期間)において、前置比較回路40はアナログ
信号電圧Vinを入力してオートゼロにする。このとき
複数入力自動零補償機能付増幅段41およびこの増幅段
41に直列接続されるm段の自動零補償機能付増幅段1
3もオートゼロする。次に第2の期間p2 (クロック信
号φ2が“H”レベルの期間)において第1の参照電圧
Vp 0 を入力する前置比較回路40が比較モードとな
り、参照電圧Vp0 を印加する。このとき、前述の増幅
段41および13はすべて比較モードとなり、アナログ
入力電圧Vinと参照電圧Vp0 との電圧比較が行なわ
れる。第3の期間p3 では複数入力自動零補償機能付増
幅段41およびこれに直列接続されたm段の自動零補償
機能付増幅段13が再びオートゼロし、前述の第1の比
較結果はリセットされる。次に、クロック信号φ3が
“H”の期間、すなわち第4の期間p4 では第2の参照
電圧Vp1 を入力する前置比較回路40が比較モードと
なり、参照電圧Vp1 を入力する。このとき、前述の増
幅段41および13も再び比較モードとなり、アナログ
入力電圧Vinと参照電圧Vp1 との電圧比較が行なわ
れる。以下、同様に電圧比較を繰返すことにより、Hレ
ベルの参照電圧Vp0 〜Vph- 1 を時系列的に比較して
いく。
【0048】図9は、この発明の第5の実施例を示す回
路図である。図9の電圧比較器と図5の電圧比較器とが
異なるところは、複数入力自動零補償機能付増幅段を2
つ以上使用していることである。図9を参照して、この
電圧比較器は、3レベルの参照電圧Vp0 〜Vp2 を入
力する3つの前置比較回路40、この第1および第2の
前置比較回路40の出力に接続される第1の2入力自動
零補償機能付増幅段47、この増幅段47および第3の
前置比較回路40に接続される第2の2入力自動零補償
機能付増幅段48、この増幅段48に直列接続されたm
段(m≧0)の自動零補償機能付増幅段13、この増幅
段13に直列接続されたn段(n≧0)の反転増幅器1
5を備える。
【0049】次にこの実施例の動作を説明する。この電
圧比較器は6段階で動作する。まず、第1段階におい
て、第1ないし第3の前置比較回路40、第1および第
2の2入力自動零補償機能付増幅段47および48、自
動零補償機能付増幅段18のすべてがオートゼロする。
このとき、前記第1の前置比較回路40はアナログ信号
電圧Vinを入力する。第2段階においては、前記第1
の前置比較回路40が比較モードとなり、参照電圧Vp
0 を入力する。このとき、前述の増幅段47、48およ
び13はすべて比較モードとなり、VinとVp0 との
電圧比較が行なわれる。第3段階では、前述の増幅段4
7、48および13が再びオートゼロし、前述の第1の
比較結果はリセットされる。第4段階では、第2の参照
電圧Vp1 を入力する第2の前置比較回路40が比較モ
ードとなり、参照電圧Vp1 を入力する。このとき、前
述の増幅段47、48および13も再び比較モードとな
り、VinとVp1 との電圧比較が行なわれる。第5段
階では、増幅段48および13が再びオートゼロし、前
述の第2の比較結果はリセットされる。第6段階では、
第3の参照電圧Vp2 を入力する第3の前置比較回路4
0が比較モードとなり、参照電圧Vp2 を入力する。こ
のとき、前述の増幅段48および13も再び比較モード
となり、VinとVp2 との電圧比較が行なわれる。こ
のようにしてアナログ信号電圧と3レベルの参照電圧と
の比較を行なうことができる。
【0050】なお、第1ないし第5の実施例では、自動
零補償機能付増幅段あるいは複数入力自動零補償機能付
増幅段のバイアス構成を帰還用のスイッチを用いたもの
について説明したが、これに限るものではない。たとえ
ば、このようなバイアスを図10に示す回路で実現して
もよい。図10を参照して、この自動零補償機能付増幅
段は、3入力結合容量Ccを介して反転増幅器16に入
力される。また反転増幅器16の入力には、クロック信
号φで制御されるスイッチSを介してバイアス発生回路
49の出力に接続される。このバイアス発生回路49
は、論理しきい値電圧Vbとほぼ同程度の電圧信号を発
生する。
【0051】動作において。反転増幅器16はバイアス
発生回路49によって発生されたバイアス電圧によって
リセットされる。
【0052】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、アナ
ログ入力信号と少なくとも2つの基準電圧との比較を1
つの電圧比較器で行なうようにしているので、従来の2
入力電圧比較器と比べて電圧比較器の数を少なくするこ
とができる。それにより、直並列型A/D変換器の構成
を簡単化することができる。また、増幅手段は少なくと
も2つの電圧信号発生手段から出力される各電圧信号を
増幅する前にリセットされるので、回復期間を設ける必
要がなくなり、かつクロックノイズを相殺することがで
きる。その結果、高速かつ高精度の電圧比較器を得るこ
とができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の電圧比較器の一実施例す回路図であ
る。
【図2】図1の各回路の出力信号波形図である。
【図3】この発明の第2の実施例を示す回路図である。
【図4】この発明の第3の実施例を示す回路図である。
【図5】この発明の第4の実施例を示す回路図である。
【図6】図5の前置比較回路を示す回路図である。
【図7】図5の複数入力自動零補償機能付増幅段の詳細
を示す回路図である。
【図8】図5の電圧比較器の動作を示すタイミングチャ
ートである。
【図9】この発明の第5の実施例を示す回路図である。
【図10】自動零補償機能付増幅段の変更例を示す回路
図である。
【図11】従来の直並列型A/D変換器のブロック図で
ある。
【図12】従来の2入力電圧比較器の回路図である。
【図13】従来の2入力電圧比較器の各回路の出力波形
図である。
【図14】従来の3入力電圧比較器の回路図である。
【図15】図14に示す電圧比較器の各回路の出力波形
図である。
【図16】トランスミッションゲートの構成図である。
【符号の説明】
8 アナログ信号印加端子 12 入力部 13 自動零補償機能付増幅段 15、16、37 反転増幅器 30 上位前置比較回路 31 下位前置比較回路 ai 上位参照電圧印加端子 bj 下位参照電圧印加端子 Ai 上位電圧比較器 Bj 下位電圧比較器 S1〜S8 スイッチ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アナログ入力信号と少なくとも2つの基
    準電圧とを比較する電圧比較器であって、 前記少なくとも2つの基準電圧に対応して設けられ、各
    々が前記アナログ信号と対応の基準電圧との差に相当す
    る電圧信号を時分割的に発生する少なくとも2つの電圧
    信号発生手段と、 前記少なくとも2つの電圧信号発生手段より時分割的に
    発生された基準電圧を、所定のリセット期間を設けて順
    次に増幅する手段と、 前記所定のリセット期間に前記増幅手段のオフセット電
    圧をリセットするリセット手段とを含むことを特徴とす
    る電圧比較器。
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