JPH0593705A - ウオールジエツト型電気化学的検出器およびその製造方法 - Google Patents

ウオールジエツト型電気化学的検出器およびその製造方法

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JPH0593705A
JPH0593705A JP3278911A JP27891191A JPH0593705A JP H0593705 A JPH0593705 A JP H0593705A JP 3278911 A JP3278911 A JP 3278911A JP 27891191 A JP27891191 A JP 27891191A JP H0593705 A JPH0593705 A JP H0593705A
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electrode
concentric
film
thin film
electrodes
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雅也 高橋
Masao Morita
雅夫 森田
Hisao Tabei
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高い検出感度を得る。 【構成】 表面に酸化シリコン酸化膜1を形成したシリ
コンウエハ2上に複数の同心円状の薄膜電極からなる同
心円状マルチリング作用電極5(図示されない),同心
円状マルチリング作用電極6が微小間隔によって分離さ
れて形成され、同心円状マルチリング作用電極5上にピ
ロール重合膜9が被覆されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フローセルあるいは液
相クロマトグラフィ等に適用されるウォールジェット型
電気化学的検出器およびその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】一般に血糖値測定等では、一定流速で流
れるキャリア溶媒に検体試料を注入し、これを流路中に
配置した検出器により測定するフローセルと呼ばれる装
置が使われている。また、液相クロマトグラフィでは、
試料注入口と検出器との間にクロマトグラフィのための
カラムが挿入されており、ここで注入試料が分離され、
各成分毎に検出されるようになっている。
【0003】この試料の検出法としては、紫外・可視等
の分光学的方法,屈折率測定,電導度測定,電気化学的
方法等が知られている。電気化学的方法では、流路中に
電極を配置し、そこに一定の電位を印加しておき、キャ
リアに乗って流れる試料が電極に到達した際、電極との
間で起こる酸化還元反応による電流をモニタすることで
検出を行っている。このように電気化学的検出器は、装
置が単純で比較的高感度であり、しかも電気化学的に不
活性な物質や印加した電位より高い酸化還元電位を持つ
物質には応答しないので、特定物質を選択的に検出でき
るという特徴を有している。
【0004】電気化学的検出器には、薄層型,円筒型,
ウォールジェット型等の各種の形状があるが、その中で
電極面に対してその上面から垂直にキャリア溶液を吹き
付ける構造を持つウォールジェット型電気化学的検出器
は、電極表面上に形成される検出物質の拡散層の厚さが
薄く、検出感度の点で他の構造の検出器より優れた特性
を示す。
【0005】一方、タンパク質や酵素等で反応部位が不
活性な部位に覆われているため、直接電極と接触するこ
とのできない分子あるいは酸化還元電位が高く、通常の
測定限界を越えてしまうような物質の検出を行うために
電極表面を機能性の材料で修飾(被覆)する方法が知ら
れている。すなわち極めて低濃度のイオンや分子の検
出,定量や特定分子の検出のために酵素等の分子選択性
を有する触媒で電極を修飾することが行われている。例
えばグルコース酸化酵素で修飾された電極を用いると、
酵素はグルコースとのみ反応するため、生じた過酸化水
素を電極で電気化学的に検出することにより、検体中の
グルコースのみを定量することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、現在病理学あ
るいは生物学的に検出を要求されている生体中の医薬品
や神経伝達物質等は、その存在量が微量である上に、測
定に使用しうる試料の量も限られているため、より高選
択的かつ高感度な検出器の開発が必要とされている。特
に表面修飾を施した電極を用いて検出を行う場合、電極
表面が修飾被膜により覆われているため、電極上での検
出物質の反応が起こりにくくなる。例えばグルコース酸
化酵素によるグルコースの検出では、電極表面が酵素膜
で被覆されているため、酵素反応で生成した過酸化水素
が電極表面へ到達しにくく、感度が低い、応答性が遅い
等の問題がある。
【0007】また、酵素等の反応部位が直接電極と接触
できない試料や酸化還元電位の高い試料の場合、メディ
エータと呼ばれる低分子の酸化還元活性物質を電極表面
に混合あるいは化学的に結合させることにより、これを
電極上に固定化させ、試料の酸化還元を一旦メディエー
タで行い、メディエータが電極上で反応することによ
り、目的物質の検出を行うという方法が取られている。
しかし、この場合もメディエータが固体膜中にあるため
に伝達速度が遅く、感度が低い、応答速度が遅い等の問
題がある。
【0008】フローセルのようなキャリア溶媒の流れの
中のある一部分に含まれている検体試料を測定するシス
テムでは、応答速度の遅い検出器を用いると、応答電流
がピークに到達する前にキャリア中に試料濃度が減少し
始めるため、検出感度が低下する。また、多数の試料を
連続的に測定する場合、前の試料の応答が終了するのを
待って次の測定を行う必要があり、応答速度の遅い電極
では単位時間当たりに測定可能な試料の数が減少してし
まう。さらに液相クロマトグラフィにより多成分の同時
測定を行う場合には、電流ピークは連続的に現れるた
め、表面を修飾した電極では各成分のピークが重なって
しまい、試料の分離能力や検出感度が低下してしまう。
【0009】これらの問題に対して電気化学的検出器の
作用電極に微小櫛形電極を用いると、検出物質と電極と
の接触時間が短くなり、鋭い電極応答が得られるように
なる。また、噛み合わせた少なくとも一組の櫛形作用電
極を用い、一方の作用電極を触媒作用または酸化還元作
用のある物質で修飾し、触媒作用または酸化還元作用に
より生じた活性物質を隣接した未修飾の作用電極で検知
することで修飾被膜中での物質移動速度の制約を受けな
い、高速で高感度な測定が可能となる。したがってウォ
ールジェット型電気化学的検出器に微小修飾電極を組み
込むことで極めて感度や選択性の高いフローセル用検出
器が開発されるものと期待される。
【0010】しかしながら、前述したウォールジェット
型電気化学的検出器では、キャリア溶液は電極の存在す
る壁面に吹き付けられた後、壁面に沿って同心円状に広
がりながら流れるため、従来の直線的な櫛形電極では、
電極を構成するそれぞれの帯状導電性薄膜上を垂直に横
断する方向にのみキャリア溶液を流すことは不可能であ
った。このため、流れの方向が帯状電極に垂直な方向か
らずれるにつれて流れの方向に対する電極の長さが長く
なり、それに伴い、検出物質と電極との接触時間が長く
なるために電極での応答が鈍化してしまう。また、噛み
合った一組の櫛形電極を用いて機能性材料を修飾した電
極の検出感度の向上を図った場合、従来の直線的な電極
では、修飾電極と、修飾電極で生成した反応活性種を検
出する電極との配列の方向がキャリア溶媒の流れの方向
と一致していないため、酵素反応等により一方の電極で
生成した活性種が他方の電極で効率良く検出されず、検
出感度の大幅な向上が達成できなかった。
【0011】したがって本発明は、前述した従来の課題
を解決するためになされたものであり、その目的は、高
い検出感度が得られるウォールジェット型電気化学的検
出器およびその製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために本発明によるウォールジェット型電気化学的検
出器は、従来の直線的な帯状導電性薄膜を配列した櫛形
電極とは異なり、絶縁性基板上に形成された複数の同心
円状の薄膜電極からなり、各薄膜電極は微小な平面的間
隔および/または絶縁層を介した立体的段差による微小
間隔によって分離され、各薄膜電極表面の少なくとも一
部が露出され、薄膜電極の少なくとも一方の一部が触媒
作用または酸化還元作用のある物質で被覆されて構成さ
れている。また、本発明によるウォールジェット型電気
化学的検出器の製造方法は、絶縁性基板上に薄膜電極パ
ターン,リードおよび接続パッドを形成し、次いで薄膜
電極パターンおよび接続パッドの部分のみを残して絶縁
膜で覆って形成した後、薄膜電極の少なくとも一部に触
媒作用または酸化還元作用のある物質を被着形成するも
のである。さらに同心円状電極の形成は、絶縁性基板上
に同心円状のパターン形状を有する互いに平面的間隔で
絶縁された複数の下部導電性薄膜を形成し、この下部導
電性薄膜を絶縁性膜で被覆した後、同心円状のパターン
形状を有する互いに平面間隔で絶縁された複数の上部導
電性薄膜を絶縁性膜上に再び形成し、次いでこの上部導
電性薄膜をマスクにして絶縁性膜を下部導電性薄膜が現
れるまでエッチングを行なった後、この導電性薄膜の少
なくとも一方の一部に触媒作用または酸化還元作用のあ
る物質を被着形成するものである。
【0013】
【作用】本発明においては、ウォールジェット型セルの
試料導入ノズルを中心として櫛形修飾電極を同心円状に
配列することにより、電極および電極の配列がセル内全
域においてキャリア溶媒のフロー方向に対して直交する
ような構造を有している。このため、通常のウォールジ
ェット型電気化学的検出器の持つ優れた検出感度に加え
て電極と目的物質との接触時間が短く、なおかつ修飾物
質よる反応生成物を修飾被膜を通さずに隣接する未修飾
の電極により効率良く検出するという櫛形微小修飾電極
による高機能化の効果を合わせ持つ電気化学的検出器が
作製された。このため、このウォールジェット型電気化
学的検出器は、従来のフローセル用電気化学的検出器に
比べ、検出限界や分析速度の点で優れた検出機能が得ら
れる。
【0014】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細
に説明する。なお、本発明は以下の実施例のみに限定さ
れるものではない。 (実施例1)図1〜図7は、本発明によるウォールジェ
ット型電気化学的検出器の一実施例による構成をその製
造方法に基づいて説明する工程の断面図である。これら
の図において、まず、図1に示すように表面に厚さ1.
0μmのシリコン酸化膜1を付着したシリコンウエハ
(大阪チタニウム社製)2上にフォトレジスト(シップ
レー社製:MP1400−27)を1.0μmの厚みに
塗布した。次にこのフォトレジストを塗布したシリコン
ウエハー2をオーブン中に入れ、80℃,30分の条件
でベークした。その後、レチクルを用いてステッパー
(ニコン製:NSR1010G)により0.3秒間縮小
投影露光した。次に露光したシリコンウエハー2はレジ
スト現像液(シプレー社製:MF−319)中で20
℃,60秒間現像を行い、水洗,乾燥を行ってレチクル
パターンをレジストに転写してレジストパターン3を形
成した(図2)。
【0015】次に図3に示すようにこのレジストパター
ン3を形成したシリコンウエハー2をスパッタ装置(ア
ネルバ製:SPF−332H)内の所定位置に取り付
け、圧力1.3Pa,アルゴン中でパワー:50Wでク
ロムのスパッタを10秒間行い、真空を破ることなく、
引き続いてパワー:70Wで1分間の白金のスパッタを
行い、膜厚100nmのクロム−白金薄膜4を形成し
た。その後、このシリコンウエハー2をメチルエチルケ
トン中に浸漬して超音波処理を行い、電極形成部分以外
のレジストパターン3を剥離して図4に示すように同心
円状のマルチリング作用電極5,6を形成した。
【0016】次に図5に示すように同心円状のマルチリ
ング作用電極5,6が形成されたシリコン酸化膜1上に
膜厚の薄い二酸化シリコン膜7をスパッタ法で堆積させ
た。この場合、パワー:50Wで10分間スパッタを行
い、膜厚300nmの二酸化シリコン7を形成した。次
に再びレジストを塗布し、露光,現像を行い、電極周囲
の二酸化シリコン膜7上にレジストパターン8を形成し
た。引き続いて反応性イオンエッチング装置(アネルバ
製:DEM−451)中に入れ、CF4 ガスを流量:2
5SCCM,圧力:0.25Pa,150Wの条件で1
0分間、二酸化シリコン膜7のエッチングを行って同心
円状の作用電極5,6および図示しないその接続パッド
を露出させた(図6)。
【0017】次に図7に示すように作用電極の一方、例
えば同心円状マルチリング作用電極5のみに図示しない
がリード線を接続し、グルコースオキシターゼとピロー
ルとの水溶液に浸漬し、電解重合することにより、この
同心円状マルチリング作用電極5上にグルコースオキシ
ターゼを包括したピロール重合膜9を析出させた。これ
によって同心円状マルチリング作用電極5の表面がピロ
ール重合膜9により被覆(修飾)されることになる。作
製した表面にピロール重合膜9を有する同心円状マルチ
リング作用電極5および同心円状マルチリング作用電極
6は、平面的間隔を隔ててリング形の電極を同心円状に
集合させた形状を有しており、隣接するリング間で互い
に異なる電位を印加できるように1本おきに接続したリ
ング集合体が互いに噛み合った構造となっている。ま
た、作製した各同心円状マルチリング作用電極5,6
は、各電極幅:1.0μm,電極間隔:1.0μm,最
外周の電極の半径:2.5mm,電極の本数:各625
本であった。このようにして作製された同心円状マルチ
リング修飾電極を有する電気化学的検出器の模式図を図
8に示す。
【0018】次にこの電気化学的検出器をBAS社製P
M−60ポンプ,LC−4CコントローラーおよびRHEO
DYNE社製:8125インジェクターを組み合わせてフロ
ーセルシステムを形成した。このシステムのブロックダ
イヤグラムを図9に示す。同図において、31はキャリ
ア容器、32は無脈流ポンプ、33は試料注入口、34
はコントローラー、35は廃液だめ、36は参照電極、
37は対極、38はウォールジェット型電気化学的検出
器、39はその同心円状作用電極である。
【0019】このような構成において、参照電極36に
対して修飾されていない同心円状作用電極に0.6Vの
電位を印加し、グルコースを1mmol/lの濃度で溶
解したリン酸緩衝液(0.1mol/l,pH6.8)
100μlを流速1ml/minのもとで注入したとこ
ろ、グルコースオキシターゼの作用により生成した過酸
化水素の酸化電流が観測された。電流は、試料注入後、
4秒で流れ始め、6秒でピーク電流値21μAを示し、
8秒で元に戻った。酵素で修飾された同心円状作用電極
に電位を印加したところ、試料注入後、6秒で電流が流
れ始め、10秒で50nAのピーク電流が観測され、電
流値が元に戻るまでに15秒を要した。したがって、酵
素により修飾された同心円状作用電極に隣接した修飾さ
れていない同心円状作用電極を用いることにより、感度
が向上し、なお、かつ測定のための所用時間が短縮され
た。また、フラクトースなどの不純物を多量に含むグル
コース溶液においても、不純物に影響されることなく、
グルコースが選択的に検出できた。
【0020】(実施例2)図10〜図17は、本発明に
よるウォールジェット型電気化学的検出器の製造方法の
他の実施例を説明する工程の断面図であり、前述の図と
同一部分には同一符号を付してある。同図において、ま
ず、図10に示すように表面に厚さ1.0μmのシリコ
ン酸化膜1を付着したシリコンウエハー(大阪チタニウ
ム社製)2を、スパッタ装置(アネルバ製:SPF−3
32H)内の所定位置に取り付け、クロム,白金を順次
スパッタデポした。この場合、圧力:10-2Torr,
アルゴン雰囲気中でクロム:50W,10秒の条件で白
金:70W,1分の条件でそれぞれスパッタを行い、膜
厚100nmの白金−クロム薄膜を得た。その後、この
シリコンウエハー2上にフォトレジスト(シップレー社
製:MP1400−27)を1μmの厚みに塗布した。
次にこのフォトレジストを塗布したシリコンウエハー2
をホットプレート上で80℃,2分の条件でベークし
た。その後、マスクアライナー(キャノン製:PLA−
501)により15秒間の密着露光を行った。露光した
シリコンウエハー2は、レジスト現像液(シップレー社
製:MF319)中で20℃,60秒間現像を行い、水
洗,乾燥を行ってマスクパターンをフォトレジストに転
写した。次にこのシリコンウエハー2をイオンミリング
装置(Commonwealth Scientific社製:Millatron)内の
所定位置に取り付け、アルゴンガス圧2×10-4Tor
r,引き出し電圧550Vで白金−クロム薄膜のミリン
グを2分間行い、その後、アッシング装置(東京応化
製:プラズマアッシャー)にてフォトレジストを除去し
て下部マルチリング電極10の電極パターンを形成した
(図11)。
【0021】次にこのシリコンウエハー2を再びスパッ
タ装置(アネルバ製:SPF−332H)中に入れ、シ
リコンウエハー2の基板全面を膜厚100nmの二酸化
シリコン膜7で覆った(図12)。その後、再びこのシ
リコンウエハー2をスパッタ装置に取り付け、クロム,
白金のスパッタデポを順次行い、膜厚100nmの白金
−クロム薄膜を形成した。その後、このシリコンウエハ
ー2上にフォトレジスト(シップレー社製:AZ140
0−27)を1.0μmの厚みに塗布し、位置合わせを
行ってマルチリング電極パターンを密着露光した。現像
後、再び白金−クロム薄膜のミリングを行い、フォトレ
ジストをアッシングで剥離して上部マルチリング電極1
1の電極パターンを形成した(図13)。
【0022】次にこのシリコンウエハー2を再びスパッ
タ装置(アネルバ製:SPF−332H)中に入れ、シ
リコンウエハー2の基板全面を膜厚100nmの二酸化
シリコン膜7で覆った(図14)。次にこのシリコンウ
エハー2上にフォトレジスト(シップレー社製:AZ1
400−27)を1.0μmの厚みに塗布し、クロムマ
スクを用いて上下に噛み合ったマルチリング電極部分
(半径2.5mm)および図示しない接続パット部分の
みを露光,現像し、その部分を露出させた(図15)。
【0023】次にこのシリコンウエハー2を反応性イオ
ンエッチング装置(アネルバ製:DEM−451)中に
入れ、CF4 ガスを流量:25SCCM,圧力:0.2
5Pa,150Wの条件でレジストパターン8をマスク
にして5分間、二酸化シリコン膜7のエッチングを行っ
て上部マルチリング電極11および下部電極10を露出
させた。この結果、上下に分かれた2つの作用電極の間
が極めて小さい同心円状の噛み合ったマルチリング電極
が得られた(図16)。
【0024】次に作用電極の一方、例えば下部マルチリ
ング電極10のみに図示しないリード線を接続し、グル
コースオキシターゼとピロールとの水溶液に浸漬し、電
解重合することによりグルコースオキシターゼを包括し
たピロール重合膜9を析出させることによって被覆し、
装飾した(図17)。また、作製した同心円状マルチリ
ング修飾電極11,12の形状は、各リング電極の幅:
2.0μm,上下のマルチリング電極間の段差:0.3
μm,最外周の電極の半径:2.5mm,櫛の本数:各
625本づつであった。このようにして作製された電気
化学的検出器の電極部分の概略図を図18に示す。
【0025】このように製作した電気化学的検出器を実
施例1と同一のフローセルシステムに組み込み、参照電
極に対して修飾されていない作用電極に0.6Vの電位
を印加し、グルコースを1mmol/lの濃度で溶解し
たリン酸緩衝液(0.1mol/l,pH6.8)10
0μlを流速1ml/minのもとで注入したところ、
グルコースオキシターゼの作用により生成した過酸化水
素の酸化電流が観測された。電流は、試料注入後、4秒
で流れ始め、6秒でピーク電流値30μAを示し、8秒
で元に戻った。酵素で修飾された電極に電位を印加した
ところ、試料注入後、6秒で電流が流れ始め、10秒で
75nAのピーク電流が観測され、電流値が元に戻るま
でに15秒を要した。したがって、酵素により修飾され
た電極に隣接した修飾されていない電極を用いることに
より、感度および応答速度が向上した。
【0026】(実施例3〜実施例5)実施例1と同様な
方法により、各電極の幅:2μm,電極間隔:2μm
(実施例3)、各電極の幅:5μm,電極間隔:5μm
(実施例4)、各電極の幅:10μm,電極間隔:10
μm(実施例5)のグルコースオキシターゼを修飾した
同心円状ウォールジェット型電気化学的検出器を作製し
た。
【0027】これらの電極を用いて参照電極に対して修
飾を行っていない方の電極の電位を0.6Vに設定して
実施例1と同様な方法で測定した応答電流と同心円状マ
ルチリング修飾電極の寸法との関係を、実施例1の電極
を用いて測定した結果と併せて下記表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】(実施例6〜実施例8)実施例1と同様な
方法により、各電極を電極幅:1μmに固定して電極間
隔:2μm(実施例6)、電極間隔:5μm(実施例
7)、電極間隔:10μm(実施例8)の同心円状ウォ
ールジェット型電気化学的検出器を作製した。
【0030】これらの電極を用いて修飾を行っていない
方の電極の電位を参照電極に対して0.6Vに設定して
実施例1と同様な方法で測定した応答電流と同心円状マ
ルチリング修飾電極の電極間隔との関係を実施例1の電
極を用いて測定した結果と併せて下記表2に示す。
【0031】
【表2】
【0032】(実施例9)実施例2と同様な方法によ
り、中心の下部電極の半径およびそれに隣接した上部電
極の幅を50μmとし、隣接した一組の上部電極および
下部電極の幅は等しくしつつ、中心から離れるにしたが
って電極の幅が49μm,48μmと1μmずつ次第に
狭くなり、最外周では上部電極および下部電極の電極幅
がそれぞれ1μmとなるようなグルコースオキシターゼ
を修飾した同心円状ウォールジェット型電気化学的検出
器を作製した。
【0033】この電極を用いて参照電極に対して修飾を
行っていない上部電極の電位を0.6Vに設定して実施
例2と同様な方法で測定した結果、試料注入後、4秒で
応答電流が流れ始め、6秒でピーク電流値11μAを示
し、8秒で元に戻った。
【0034】なお、前述した実施例において、表面ある
いは全体が絶縁性の基板としては、酸化膜付きのシリコ
ンウエハを用いたが、この他に石英板,酸化アルミニウ
ム基板,ガラス基板,プラスチック基板等を挙げること
ができる。また、電極の金属としては、金,白金,銀,
クロム,チタン,ステンレス等を挙げることができる。
さらに電極用の半導体としてはp型およびn型シリコ
ン,p型およびn型ゲルマニウム,硫化カドミウム,ニ
酸化チタン,酸化亜鉛,ガリウムリン,ガリウム砒素,
インジウムリン,カドミウムセレン,カドミウムテル
ル,ニ酸化モリブデン,セレン化タングステン,ニ酸化
銅,酸化錫、酸化インジウム,インジウム錫酸化物等を
挙げることができる。また、半金属としては、導電性カ
ーボンを挙げることができる。絶縁膜としては、酸化シ
リコン,ニ酸化シリコン,窒化シリコン,シリコン樹
脂,ポリイミドおよびその誘導体,エポキシ樹脂,高分
子熱硬化物等を挙げることができる。
【0035】また、微小電極の作製は、薄膜形成法,レ
ジストパターン形成法,エッチング法等のリソグラフィ
技術を組み合わせて行う。また、薄膜形成法としては、
蒸着法,スパッタ法,CVD法または塗布法を挙げるこ
とができる。さらにレジストパターン形成法としては、
フォトリソグラフィ,電子線リソグラフィ,X線リソグ
ラフィ等を利用することができる。また、パターン形成
法としては、まず、基板全面に薄膜を形成し、そこにレ
ジストパターンを形成し、これをマスクに下層の薄膜を
エッチングするエッチング法またはレジストパターンを
形成後、その上に薄膜を堆積させ、レジストを剥離する
ことにより、レジストに覆われていなかった部分のみに
薄膜パターンを形成するリフトオフ法等が利用できる。
【0036】さらに電極形状としては、同心円の他に同
心の四角形,六角形等の多角形あるいは同一の焦点を有
する楕円等の形状を挙げることができる。
【0037】一方、作用電極の少なくとも1つを触媒作
用あるいは酸化還元作用のある物質で修飾する方法とし
ては、該物質にビニル基等の電解重合を起こす官能基を
導入し、これをテトラエチルパークロレート等の支持電
解質とともにアセトニトリル等の適当な溶媒に溶解し、
これに該電極セルと白金等の対極を浸漬した後、該作用
電極に電圧を印加することにより、電極上に電解重合さ
せる方法が挙げられる。また、触媒作用のある酸化還元
性物質をピロール等の電解重合性物質に混合し、これを
電解重合させることにより、複数重合膜として電極上に
析出させる方法も挙げることができる。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように本発明による同心円
状のマルチリング修飾電極を組み込んだ電気化学的検出
器は、微小櫛形修飾電極を同心円状の形状とすることに
より、高感度なフローセル用検出器であるウォールジェ
ット型電極セル中において微小櫛形修飾電極が効率的に
機能している。このため、従来の平板状の修飾電極のよ
うに目的物質検出のための電極が修飾物質により被覆さ
れている電極と比較して高感度なフローセル用電気化学
的検出器が実現できた。さらに一つの試料の測定に要す
る時間が短く、短時間で多数の試料の測定が可能となっ
た。また、リソグラフィ技術を用いて作製するため、任
意の寸法,形状,電極間距離の一組以上の同心円状電極
を持つ測定セルを安価で多量に得ることができる。さら
に電極を修飾する材料を選ぶことにより、特定の物質の
みに応答するようにしたり、応答電位を変化させ、妨害
物質の応答電位と異なる電位で検出するようにできる。
しかも修飾電極の電位を変化させることにより、電気化
学反応をスイッチングすることができる。したがってフ
ローセルや液相クロマトグラフィ用の電気化学的検出器
として利用価値が大きい等の極めて優れた効果が得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電気化学的検出器の製造方法の一
実施例を説明する工程の断面図である。
【図2】本発明による電気化学的検出器の製造方法の一
実施例を説明する工程の一断面図である。
【図3】本発明による電気化学的検出器の製造方法の一
実施例を説明する工程の一断面図である。
【図4】本発明による電気化学的検出器の製造方法の一
実施例を説明する工程の一断面図である。
【図5】本発明による電気化学的検出器の製造方法の一
実施例を説明する工程の一断面図である。
【図6】本発明による電気化学的検出器の製造方法の一
実施例を説明する工程の一断面図である。
【図7】本発明による電気化学的検出器の製造方法の一
実施例を説明する工程の一断面図である。
【図8】本発明による電気化学的検出器の一実施例によ
る構成を示す斜視図である。
【図9】測定に使用したフローセルシステムのブロック
ダイヤグラムを示す図である。
【図10】本発明による電気化学的検出器の製造方法の
他の実施例を説明する工程の断面図である。
【図11】本発明による電気化学的検出器の製造方法の
他の実施例を説明する工程の一断面図である。
【図12】本発明による電気化学的検出器の製造方法の
他の実施例を説明する工程の一断面図である。
【図13】本発明による電気化学的検出器の製造方法の
他の実施例を説明する工程の一断面図である。
【図14】本発明による電気化学的検出器の製造方法の
他の実施例を説明する工程の一断面図である。
【図15】本発明による電気化学的検出器の製造方法の
他の実施例を説明する工程の一断面図である。
【図16】本発明による電気化学的検出器の製造方法の
他の実施例を説明する工程の一断面図である。
【図17】本発明による電気化学的検出器の製造方法の
他の実施例を説明する工程の一断面図である。
【図18】本発明による電気化学的検出器の他の実施例
による構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 シリコン酸化膜 2 シリコンウエハー 3 レジストパターン 4 クロム−白金電極 5 同心円状マルチリング作用電極 6 同心円状マルチリング作用電極 7 二酸化シリコン膜 8 レジストパターン 9 ピロール重合膜 10 下部マルチリング電極 11 上部マルチリング電極

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも2つの同心円状電極からな
    り、前記同心円状電極の少なくとも一方の一部が触媒作
    用または酸化還元作用を有する物質で被覆されているこ
    とを特徴とするウォールジェット型電気化学的検出器。
  2. 【請求項2】 請求項1において、絶縁性基板上に形成
    された複数の同心円状電極からなり、前記各同心円状電
    極は微小な平面的間隙および/または絶縁層を介した立
    体的段差による微小間隔によって分離され、各同心円状
    電極表面の少なくとも一部が露出されていることを特徴
    とするウォールジェット型電気化学的検出器。
  3. 【請求項3】 表面または全体が絶縁性の基板上に同心
    円状のパターン形状を有する単数または互いに平面的間
    隙で絶縁された複数の金属,半金属または半導体の第1
    の導電性薄膜を形成し、前記第1の導電性薄膜を絶縁性
    膜で被覆した後、同心円状のパターン形状を有する単数
    または互いに平面的間隙で絶縁された複数の第2の導電
    性薄膜を前記絶縁性膜上に再び形成し、次いで前記第2
    の導電性薄膜パターンをマスクにして前記絶縁性膜を前
    記第1の導電性薄膜が現れるまでエッチングした後、前
    記第1の導電性薄膜,第2の導電性薄膜の少なくとも一
    方の一部に触媒作用または酸化還元作用を有する物質を
    被着形成することを特徴とするウォールジェット型電気
    化学的検出器の製造方法。
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