JPH08193968A - 電気化学検出器およびその製造方法 - Google Patents
電気化学検出器およびその製造方法Info
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Abstract
高感度にすることを目的とする。 【構成】 基板20上には、直径4ミリの円形を90度
ずつ50μm間隔で隔てて4等分した形状の作用電極2
1と分極を起こさないために銀をメッキさせた参照電極
22が形成され、シールドリング24を介して対向電極
ブロック23が嵌合される。このとき、対向電極ブロッ
ク23に設けられた液導入部25が、4つの作用電極2
1の中心部に重なるようにする。
Description
ョン分析あるいは液層クロマトグラフィーなどの分析装
置に適用されるラディアルフロー型の電気化学検出器お
よびその製造方法に関する。
れるキャリア溶媒にサンプルを注入し、これを流路中に
配置した検出器により測定するフローセル方式が用いら
れている。これに対して、液体クロマトグラフィーで
は、試料注入部と検出器の間に分離のためのカラムが挿
入されており、ここで注入された試料が分離され、検出
器において各成分毎に検出されるようになっている。
類の目的物質がカラムによって分離され、ある時間をお
いて検出器に到達するため、時間に対して目的物質の種
類に応じたピーク値が得られる。これらの検出器の種類
としては、紫外線/可視,蛍光や化学発光などの分光学
的方法、屈折率測定、電導度測定、電気化学的方法が知
られている。
溶液の流路中に電極を配置し、そこに一定量の電位を印
加しておき、キャリア溶液にのって流れる試料がその電
極部に到達した際に、電極との間で起こる酸化還元反応
により流れる電流をモニタすることなどで検出を行って
いる。このような電気化学的検出器には、円筒型,薄層
型,ウオールジェット型などの各種の形態がある。
きた溶離液(キャリア溶液)が配置されている電極を横
切って流れる場合と、電極中心から周辺部に向かって流
れていく場合とに分類することもできる。これらは、そ
れぞれ、クロスフロー型,および、ラディアルフロー型
と呼ばれている。前述した検出器の構造のうち、円筒型
はクロスフロー型、ウオールジェット型はラディアルフ
ロー型、薄層型は両方の型が存在する。それらの検出器
の形態の中で、薄層セル構造でかつウオールジェット型
のように電極面に対してその上面から垂直にキャリア溶
液を吹き付ける構造をもつ、薄層ラディアルフロー型検
出器は、電極表面に形成される目的物質(分析対象の物
質)の拡散する領域が狭く、検出感度が他の検出器より
特に優れている。
目的物質の同定をより正確にするため、あるいは、それ
ぞれの目的物質を最適条件で検出することを目的とし
て、検出器をアレイ状に多数配置し、複数の検出器それ
ぞれ独立に信号検出する試みがなされている。例えば、
紫外/可視検出では、それぞれ異なる波長によって信号
を検出し、それぞれの目的物質の吸収スペクトルの波長
依存性を測定することができる。これにより、それぞれ
の目的物質の種類を正確に決定することが可能となる。
器に比較して遥かに感度が高いこと、高感度な光学的検
出器である蛍光あるいは化学発光のようにラベル化を必
要としないことなどにより、簡便で検出の能力をより高
くすることができる。電気化学検出器を用いたクロマト
グラフィ検出では、電極にある一定の電位を印加し、時
間に対する電流ピークを検出する。この際、多数の微小
な電極を配列し、それぞれ異なる電位を印加すると、目
的物質の電位と電流の関係が得られるため、物質の種類
の決定がより正確になる。
電位が異なるため、物質に適した電位を印加することに
より、各目的物質を高感度に測定することができる。こ
こで、クロスフロー型で多数の微細な電極を配置した検
出器を用いて、それぞれの電極に異なる電位を印加し、
その電極を横切る方向に溶解液を導入することにより、
クロマトグラフィ測定と同時に、それぞれの目的物質の
電流−電位曲線が得られている(文献:Analyti
cal Chemistry,62巻、409頁、19
90年)。
たタイプの検出器では、上流側の電極で電気化学反応し
た分子が、下流側の濃度分布を変化させる。このこと
は、上流側の電極と下流側の電極上とでは目的物質の状
態が変化することになる。このため、電極を微細化する
と、それらの差が顕著になり、得られる電流−電位曲線
が変化するなどの欠点があった。また、この検出器にお
いて、帯状電極の向きを流れと平行な方向に配置する
と、原理的には隣の電極の影響を受けずに、電流−電位
曲線が得られる。しかしながら、流れの方向に対して正
確に微小な帯状電極を配置するのは非常に困難であり、
わずかな角度のずれによって隣り合わせた電極の影響を
受ける欠点を有している。
型の検出器では、上述したような問題は起こらない。図
8は、従来のラディアルフロー型の検出器の構成を示す
断面図(a)と平面図(b)である。同図において、8
1は検出器のフローセル、82はフローセル81の中心
部に配置した測定対象の溶液の導入部、83はフローセ
ル81の周辺部に配置した溶液の排出部、84は容器8
1の導入部82に対向する面に配置された炭素繊維電極
である。
入部82から等距離に導入部82を取り囲むように複数
の炭素繊維電極84を埋め込んである。そして、それら
にそれぞれ異なる電位を印加した状態で、フローセル8
1内に導入部82を介して測定対象の溶液を導入するこ
とにより、クロマトグラムと同時に複数の電流−電位曲
線が得られる。
は全く受けない検出が可能であるが、電極それぞれの面
積が極めて小さいため、大きな信号を得ることが困難で
ある。また、この手法では、通常、フローセル81には
樹脂などを用い、これに炭素繊維電極84を1本ずつ埋
め込んでいくようにして検出器を作成するため、電極の
位置制御が正確でなく、再現性が低いという問題があっ
た。
るためになされたものであり、その目的は、ラディアル
フロー型の電気化学検出器をより高感度にすることであ
る。
器は、分析対象の物質を含む溶液が導入されるセル内
で、同一円周上にならび、同一の形状で同一の面積で中
心に向かって幅が狭くなっていく形状の複数の作用電極
を有し、これら作用電極それぞれは円周の中心に一番近
い部分と遠い部分とが中心から同一の距離にあり、溶液
は中心より供給され周囲に向かって広がるように作用電
極上を流れていくことを特徴とする。また、作用電極の
対極となる電極がセル内で前記作用電極に対向して配置
されていることを特徴とする。また、セル内に参照電極
が形成されていることを特徴とする。
対象の物質を含む溶液が導入されるセル内で、同一円周
上にならび、同一の形状で同一の面積でこの中心に向か
って幅が狭くなっていく形状の複数の上流作用電極と、
上流作用電極の外側に中心を共有した同一円周上になら
び、同一の形状で同一の面積でこの中心に向かって幅が
狭くなっていく形状の複数の下流作用電極とを有し、上
流作用電極それぞれおよび下流作用電極それぞれは、円
周の中心に一番近い部分と遠い部分とが中心から同一の
距離にあり、分析対象の物質を含む溶液は中心より供給
され周囲に向かって広がるように上流作用電極から下流
作用電極上を流れていくことを特徴とする。
性膜を形成する工程と、電導性膜をリソグラフィーおよ
びエッチングによりパターニングする工程とにより、分
析対象の物質を含む溶液が導入される基板が配置される
セル内で、同一円周上にならび、同一の形状で同一の面
積でこの中心に向かって幅が狭くなっていく形状の、電
導性膜よりなる複数の作用電極を、それぞれ前記円周の
中心に一番近い部分と遠い部分とが前記中心から同一の
距離にあるように形成することを特徴とする。
て、同心円周上に、複数の扇形や円弧形、または三角形
などに分割した作用電極が配列され、各作用電極上を分
析対象の物質が通過したとき、ここにおける反応が隣り
合う作用電極には影響しない。
する。図1は、この発明の1実施例である薄層ラディア
ルフロー型の電気化学検出器の製造方法を説明するため
の断面図である。以下、図1を用いて、電気化学検出器
の製造方法について説明する。まず、図1(a)に示す
ように、表面に厚さ1μmのシリコン酸化膜11を付着
したシリコンウエハ12上に、熱CVD法により炭素薄
膜13(電導性膜)を形成した。
ューブの中で、シリコンウエハ12の温度を1000℃
とし、圧力0.001Torr以下の条件で3,4,
9,10−ペリレンテトラカルボン酸無水物をシリコン
ウエハ12上へ供給することで行った。この後、100
0℃にて15分間保持した後、常温として常圧にしてシ
リコンウエハ12を取り出す。熱CVDによる堆積した
ポリペリナフタレンは、1000℃,15分間の加熱に
より導電性を有する炭素薄膜13となる(図1
(b))。
ジスト(富士ハント社製:SP3C)を1μmの厚さ
に、スピンコートにより塗布形成した。そして、このレ
ジスト膜を、ホットプレートによる80℃,2分間のプ
リベークを行った後、フォトリソグラフィにより扇形や
円弧形の所望の電極パタンを露光した。
て露光部分を溶出して除去し、水洗した後、乾燥して、
図1(c)に示すように、レジストパタン14を形成し
た。なお、上述のフォトリソグラフィにおいて、露光の
時間は15秒、現像は液温20℃で40秒間行い、現像
に次いで水洗,乾燥することによりレジストパタン14
を形成した。
い、図1(d)に示すように、レジストパタン14をマ
スクとして、炭素薄膜13をエッチング加工して電極1
3aを形成した。このエッチングは、酸素ガスをエッチ
ングガスとして用い、この流量は100sccm,圧力は2
Pa,出力70ワットの条件下で、10分間行った。
ンを用いたリンスによりレジストパタン14を剥離し
た。次に、絶縁性を有するレジストを塗布するなどのこ
とにより、図1(f)に示すように、シリコンウエハ1
2全面に絶縁性膜15を形成し、これをフォトリソグラ
フィによりパターニングして、図1(g)に示すよう
に、測定に用いる電極13aやこれに接続するパッド部
(図示せず)など所望の領域を露出させ、電気化学検出
器の電極部を得た。
部を用いた電気化学検出器の構成を示す平面図と斜視図
である。同図において、20は基板、21は直径4ミリ
の円形を90度ずつ50μm間隔で隔てて4等分した形
状の作用電極、22は分極を起こさないために銀をメッ
キさせた参照電極、23は作用電極21および参照電極
22の領域を覆うように基板20上に配設され、反応容
器および対向電極となる対向電極ブロック、24は基板
20と対向電極ブロック23との間に挟まれる液漏れを
防ぐ高分子フィルムを用いたシールドリングである。
料溶液が導入される細孔が中心部に開けられ液導入部2
5となり、また、シールドリング24の内側の領域の最
外周部に液排出部26が設けられている。キャリア溶液
は、液導入部25を介して作用電極21の中心部へ導入
され、周辺部へ広がった後、液排出部26より排出され
る。このキャリア溶液は、約30μL/min以上の流
速であればよい。
体クロマトグラフィーにおける検出器として用いた場合
の構成を示す構成図である。同図において、31はキャ
リア溶液が用意してある容器、32はキャリア溶液中よ
り脱酸素を行うデガッサー、33はポンプ、34は試料
注入部(インジェクタ)、35は分離のためのマイクロ
ボアカラム、36はノイズフィルターがクロマトグラム
用となっているポテンシオスタット、37は上述した電
気化学検出器、38は廃液入れである。
主成分とする緩衝溶液を、燐酸によりpH3.2に調整
したものを用いた。なお、ここで、図2に示したよう
に、銀メッキさせた参照電極22をキャリア溶液に直接
接触させて用いる場合、キャリア溶液中に、10mMの
塩化ナトリウムを溶解させて電位を安定させる必要があ
る。これに対して、図3(b)に示すように、バッファ
タンク39を電気化学検出器37の廃液側に設け、ここ
にたまるキャリア溶液と塩橋37aを介して接続する電
解質溶液37b中に参照電極37cを設けるようにすれ
ば、塩化ナトリウムの添加は必要無い。
出器37の参照電極に対して、作用電極の電位を750
mVに設定し、100pgのドーパミンをキャリア溶液
流速70μL/minのもとで注入した。この注入の
後、6分後に、4つの作用電極それぞれで1.8nAの
ピークが得られ、4つの電極での電流値が等しいことが
分かった。
を炭素薄膜からリソグラフィー技術により作成したた
め、各作用電極のサイズが等しく正確に配置されている
ことによる。次に、電気化学検出器37の4つの電極の
うち1つの電位をドーパミンの酸化体が還元される電位
である−50mVに設定して同様の実験を行った。電位
を750mVに保持した他の3つの作用電極では、前述
した実験と同じ1.8nAの酸化電流が得られたのに対
し、−50mVの電位を印加した電極では、ピークは全
く観察されなかった。
電気化学検出器との比較を行った結果を示す。図4は、
従来のクロスフロー型の電気化学検出器の構成を示す斜
視図であり、41〜44は基板40上にそれぞれ10μ
m間隔で配置された幅0.1mm長さ4mmの帯状電極
である。また、キャリア溶液は、長方形の帯状電極41
〜44の長手方向に対して直交するように流れていく。
また、キャリア溶液には、図示していないが、参照電
極,対向電極が接していることはいうまでもない。
Vの電位を印加し、流れているキャリア溶液中に1ng
のドーパミンを注入したところ、それぞれの帯状電極4
1〜44で620pAのピークが得られた。一方、帯状
電極41,43の電位を50mVに固定して上述と同様
に測定すると、帯状電極41,43では注入したドーパ
ミンの酸化電流がそれぞれ670nAに増加し、帯状電
極42,44ではそれぞれ−55nAの還元電流が得ら
れた。
活性種が帯状電極42,44で還元されることによる。
この現象は、電極幅,ギャップ小さくして行くほど著し
く大きくなり、複数の電極を用い異なる電位を印加する
ことにより複数の物質の種類の決定を行うという測定が
行えなくなっていくことを示している。
学検出器においては、前述したようにキャリア溶液を3
0μL/min以上の流速としておけば、このような隣
接する電極に対する影響がない。すなわち、作用電極そ
れぞれに異なる電位を印加するようにしても、従来より
より効果的で微細化に適していることが分かる。なお、
電極の間隔をより大きくするようにすれば、キャリア溶
液の流速を遅くしても、隣接する電極に対する影響は発
生しない。
電極を4つ形成するようにしたが、これに限るものでは
ない。図5の平面図に示すように、作用電極を10個形
成した電気化学検出器としてもよいことはいうまでもな
い。同図において、51は直径6mmの円形を10等分
するように形成した作用電極、52は参照電極である。
そして、この電気化学検出器を用いる場合、10個の作
用電極51に同時に電位印加が可能な、クロマトグラフ
ィー用のポテンシオスタットを用いるようにした。
51に、300mVより50mVずつ電位を変えて75
0mVまで電位を印加した状態で、流れているキャリア
溶液中に100pgのドーパミンを注入した。この結
果、それぞれの作用電極51より、大きさの異なるピー
クが得らた。このピーク値と印加した電位との関係を図
6中に黒丸「●」で示した。
に、従来よりある3mm径の炭素電極1つを用いて、電
位を変化させながらそれぞれドーパミン100pgを注
入した場合の電流値の変化を測定した。この結果は、図
6中に実線で示される曲線である。信号の大きさは電極
の面積で規格化してある。同図より明らかなように、両
者はよく一致している。しかしながら、この実施例2に
よれば、図6に示す電流電位曲線を1度のサンプル注入
による測定で行えるのに対して、従来では、多数のサン
プル注入が必要となる。
て、サンプル注入に合わせて作用電極の電位を掃引し、
電流−電位曲線(流れの中でのボルタモグラム)を得る
ことができる。しかし、この方法では、電位掃引にとも
なう充電電流の影響により、検出下限が10-7mol/
L程度である。これに対して、上述した実施例によれ
ば、10-10mol/L以下のより低い検出限界が達成
されている。
電極を有する電気化学検出器を用い、フローインジェク
ション分析を行った。このフローインジェクション分析
は、上記実施例1のようなカラムをもたず、分析対象の
試料溶液を電気化学検出器に直接導入するようにしたも
のである。ここでは、10個の作用電極において、任意
の5個は300mVから50mV刻みに500mVま
で、残りの5つは−100mVから50mV刻みで−3
00mVまでの電位を印加するようにした。
中に水溶性のフェロセン誘導体、および、ルテニウムヘ
キサミンをそれぞれ0.1mM注入した。その結果、注
入サンプルそれぞれに電流電位曲線が得られ、1つの作
用電極上で生成した活性種が隣の作用電極に影響を及ぼ
さないことが分かった。ただし、この場合においても、
前述したようにキャリア溶液の流速を約30μL/分以
上のとしておけば問題はない。なお、前述したように、
キャリア溶液の流速を遅くしたい場合は、隣り合う電極
の間隔をより大きくとるようにすればよい。
気化学検出器を液体クロマトグラフィーシステムで用い
るようにすれば、カラムにおいて目的物質の分離が行わ
れる。そして、電気化学検出器においては、流れてくる
キャリア溶液の中には目的物質だけがある状態で、これ
を検出するような状態となる。このため、上述したよう
にフローインジェクション分析に対して、より精度の高
い分析が行える。
における電気化学検出器の製造方法について説明する。
まず、表面に厚さ1μmのシリコン酸化膜を付着したシ
リコンウエハ表面をヘキサメチルジシラザンによるプラ
イマー処理をして接着性を向上させ、ポリフェニレンビ
ニレン前駆体をスピンコートにより塗布し、乾燥する。
この塗布,乾燥を数回繰り返した後、200℃において
加熱することで、一部の置換基が脱離したポリフェニレ
ンビニレン前駆体をシリコン酸化膜上に形成させる。
圧可能な真空容器中に入れて、容器内を0.001To
rrとし、シリコンウエハの温度を室温から950℃ま
で上昇させ、30分間保持した後、冷却した。シリコン
ウエハを室温となるまで冷却した後、真空容器内を大気
に解放してシリコンウエハを真空容器内より取り出す
と、シリコン酸化膜上には、金属光沢を有し、表面抵抗
3kΩとなった導電性の炭素薄膜が形成されている。
明したように、フォトリソグラフィにより炭素薄膜にパ
タンを形成し、図7の平面図に示すように、炭素薄膜に
よる電極群を形成した。同図において、70はシリコン
酸化膜が形成されている基板、71〜74はその基板7
0上にシリコン酸化膜を介して形成されているキャリア
溶液の流れる方向にとって上流となる上流作用電極、7
5〜78はキャリア溶液の流れる方向にとって下流とな
る下流作用電極、79は銀めっきを施した参照電極であ
る。
販のめっき液を用い、めっき液を60℃に加熱した後、
この基板70を銀線とともにメッキ液中に浸し、参照電
極79に対し−1.2Vの電圧を数秒間印加することで
行った。そして、この電気化学検出器を、実施例1と同
様の図3に示したような液体クロマトグラフィーにおけ
る検出器として用いた。なお、このように銀メッキされ
た参照電極を用いる場合、キャリア溶液中に、10mM
の塩化ナトリウムを溶解させて電位を安定させる。
例1と同様とした。図7において、上流電極71,73
に700mVの電位を印加し、上流電極72,74に0
mVの電位を印加した。また、下流電極75〜78に
は、−50mVの電位を印加した。この状態で、エピネ
フリン100pgを試料としてキャリア溶液中に注入し
たところ、4分の保持時間の後、上流電極71,73で
は1.8nAの酸化電流のピークが得られた。
てエピネフリンの還元反応が起こる電位である−50m
Vを印加しているにもかかわらず、下流電極75,77
のみで1.3nAの還元ピークが得られた。すなわち、
上流電極71,73上を通過したエピネフリンはここで
酸化され、引き続いて通過する下流電極75,77上で
還元されている。これに対して、上流電極72,74上
を通過したエピネフリンは酸化されることなく、当然な
がら引き続いて通過する下流電極76,78上で還元さ
れることもない。このように、この実施例においても、
隣り合った電極に影響を及ぼすことなく、測定が行えて
いる。
らしてこのpHを6とし、中性に近い環境でエピネフリ
ンの酸化還元反応を起こす場合を考える。このように、
中性に近いpHで上述したように電位を与えてエピネフ
リンを酸化させた後、この速やかに電位を掃引してエピ
ネフリンが還元反応を起こすようにする。この電位の掃
引に対して電流を測定していくと、酸化においては大き
な酸化ピークが得られ、還元においては、2つの還元ピ
ークが得られる。すなわち、中性に近い環境において、
エピネフリンが酸化された後、2種類の還元反応が行わ
れていることを示している。なお、同様にしても前述し
たドーパミンは1段階の還元ピークしか得られない。
て、図7に示した電気化学検出器の上流電極71〜74
に650mVの電位を印加し、下流電極75には−20
0mV、下流電極76には−100mV、下流電極77
には0mV、下流電極78には100mVの電位を印加
して、エピネフリンの分析を行った。この結果、上流電
極71〜74においては、どれにおいても1.6nAの
酸化ピークが得られた。
下流電極78において−0.7nAの還元電流のピーク
が得られ、下流電極75においては−1.0nAの還元
電流のピークが得られた。すなわち、最も低電位の下流
電極75上では、エピネフリンの酸化体だけでなく、雰
囲気の状態によりこの酸化反応に続く化学反応生成物も
還元反応するのに対して、高電位の下流電極78上では
酸化したエピネフリンのみが還元反応するからである。
おいても、酸化された後、他の化学反応物を生成するこ
とはなく、上述と同様の測定を行っても、異なる印加電
圧の下流電極間で、検出される還元電流のピークに差は
でない。すなわち、酸化反応における酸化電流にあまり
差がなくても、この酸化体を還元したときには、その還
元電流に差が発生し、このことを検出すれば、より正確
な分析が可能となる。
の流速を増加すると、高電位と低電位の下流電極で検出
される電流値の左は減少していく。このことは、キャリ
ア溶液の流速を増加することで、エピネフリンの上流電
極上での酸化反応に続く化学反応が抑制されたことを示
している。さらに、電極の数を増やしていき、上流,下
流の電極とも10個としてエピネフリンを2回注入すれ
ば、上流電極で酸化反応、下流電極で還元反応のより精
度の高い電流−電位曲線を得ることができる。また、上
流電極で生成した物質の性質を下流の電極でそれぞれ調
べることもできる。
1)の形成のためのCVDにおいて、原料として3,
4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸無水物を用い
るようにしたが、これに限るものではなく、フタロシア
ニンやデカシクレンを出発物質として用いるようにして
も良い。フタロシアニンを用いると、形成される炭素薄
膜は下の基板との密着性に優れ、デカシクレンを用いる
と、実施例1の場合と比較して同じ膜厚で約2倍の導電
性を有する電極が実現できる。
全面が絶縁性の基板としては、酸化膜つきのシリコンウ
エハを用いるようにしたが、これに限るものではない。
このほかに、石英板、酸化アルミニウム基板、ガラス基
板、プラスチック基板などを挙げることができる。ま
た、炭素薄膜を得るための出発物質(原料)としては、
CVD法を用いる場合、ペリレンテトラカルボン酸無水
物,フタロシアニンおよびその誘導体、デカシクレンお
よびその誘導体、また、ナフタレンテトラカルボン酸無
水物などがある。
成した後、熱分解をすることで炭素薄膜を形成するよう
にする場合、ポリフェニレンビニレン,ポリチエニレン
ビニレン,ポリフリレンビニレン,ポリアクリロニトリ
ル,ポリイミド,ポリピロール,ポリアニリン,ポリパ
ラフェニレン,ポリチオフェン,フェノール樹脂とその
誘導体などがある。また、パタンを形成するためのレジ
スト、または絶縁膜として使用する材料としては、感光
性高分子、酸化シリコン、二酸化シリコン、シリコーン
樹脂、窒化シリコン、エポキシ樹脂、ポリイミドとその
誘導体などが挙げられる。そして、パタンの形成にはフ
ォトリソグラフィを用いるようにしたが、電子線リソグ
ラフィー、X線リソグラフィーを用いても良いことはい
うまでもない。
ば、電気化学検出器の作用電極を、同一円周上になら
び、同一の形状で同一の面積でこの中心に向かって幅が
狭くなっていく形状とし、それを複数配置して、それぞ
れ円周の中心に一番近い部分と遠い部分とが中心から同
一の距離になるようにした。このため、隣り合う電極の
影響を受けることなく、流れの系で電流−電位曲線を得
ることができる。このためラディアルフロー型の電気化
学検出器をより高感度にすることができるという効果が
ある。また、より微小な電気化学検出器を得ることがで
きる。
ロー型の電気化学検出器の製造方法を説明するための断
面図である。
の構成を示す平面図と斜視図である。
グラフィーにおける検出器として用いた場合の構成を示
す構成図である。
成を示す斜視図である。
の構成を示す平面図と斜視図である。
印加した電位との関係を示す特性図である。
の構成を示す平面図と斜視図である。
示す断面図(a)と平面図(b)である。
炭素薄膜、13a…電極、14…レジストパタン、15
…絶縁性膜、20…基板、21…作用電極、22…参照
電極、23…対向電極ブロック、24…シールドリン
グ、25…液導入部、26…液排出部。
Claims (6)
- 【請求項1】 分析対象の物質を含む溶液が導入される
セル内で、同一円周上にならび、同一の形状で同一の面
積で前記中心に向かって幅が狭くなっていく形状の複数
の作用電極を有し、 前記作用電極はそれぞれ前記円周の中心に一番近い部分
と遠い部分とが前記中心から同一の距離にあり、 前記溶液は、前記中心より供給され周囲に向かって広が
るように前記作用電極上を流れていくことを特徴とする
電気化学検出器。 - 【請求項2】 請求項1記載の電気化学検出器におい
て、 前記作用電極の対極となる電極が前記セル内で前記作用
電極に対向して配置されていることを特徴とする電気化
学検出器。 - 【請求項3】 分析対象の物質を含む溶液が導入される
セル内で、同一円周上にならび、同一の形状で同一の面
積で前記中心に向かって幅が狭くなっていく形状の複数
の上流作用電極と、 前記上流作用電極の外側に、前記中心を共有した同一円
周上にならび、同一の形状で同一の面積でこの中心に向
かって幅が狭くなっていく形状の複数の下流作用電極と
を有し、 前記上流作用電極それぞれおよび下流作用電極それぞれ
は、前記円周の中心に一番近い部分と遠い部分とが前記
中心から同一の距離にあり、 分析対象の物質を含む溶液は、前記中心より供給され周
囲に向かって広がるように前記上流作用電極から下流作
用電極上を流れていくことを特徴とする電気化学検出
器。 - 【請求項4】 請求項3記載の電気化学検出器におい
て、 前記作用電極の対極となる電極が前記セル内で前記上流
作用電極および下流作用電極に対向して配置されている
ことを特徴とする電気化学検出器。 - 【請求項5】 請求項1〜4いずれか1項記載の電気化
学検出器において、 前記セル内に参照電極が形成されていることを特徴とす
る電気化学検出器。 - 【請求項6】 絶縁膜が形成された基板上に導電性膜を
形成する工程と、 前記導電性膜をリソグラフィーおよびエッチングにより
パターニングする工程とにより、 分析対象の物質を含む溶液が導入される前記基板が配置
されるセル内で、同一円周上にならび、同一の形状で同
一の面積でこの中心に向かって幅が狭くなっていく形状
の、前記導電性膜よりなる複数の作用電極を、それぞれ
前記円周の中心に一番近い部分と遠い部分とが前記中心
から同一の距離にあるように形成することを特徴とする
電気化学検出器の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP00622595A JP3284294B2 (ja) | 1995-01-19 | 1995-01-19 | 電気化学検出器およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP00622595A JP3284294B2 (ja) | 1995-01-19 | 1995-01-19 | 電気化学検出器およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08193968A true JPH08193968A (ja) | 1996-07-30 |
JP3284294B2 JP3284294B2 (ja) | 2002-05-20 |
Family
ID=11632584
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP00622595A Expired - Lifetime JP3284294B2 (ja) | 1995-01-19 | 1995-01-19 | 電気化学検出器およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3284294B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009288080A (ja) * | 2008-05-29 | 2009-12-10 | Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> | 細胞外マイクロ電極及びその製造方法 |
CN118362617A (zh) * | 2024-06-19 | 2024-07-19 | 江苏海洋大学 | 聚苯胺/Au/二氧化硅阵列电极测定肾上腺素的方法 |
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US5399256A (en) * | 1994-01-07 | 1995-03-21 | Bioanalytical Systems, Inc. | Electrochemical detector cell |
-
1995
- 1995-01-19 JP JP00622595A patent/JP3284294B2/ja not_active Expired - Lifetime
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---|---|
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