JPH0593438A - セメント系タイル目地材の防黴方法 - Google Patents

セメント系タイル目地材の防黴方法

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JPH0593438A
JPH0593438A JP20685591A JP20685591A JPH0593438A JP H0593438 A JPH0593438 A JP H0593438A JP 20685591 A JP20685591 A JP 20685591A JP 20685591 A JP20685591 A JP 20685591A JP H0593438 A JPH0593438 A JP H0593438A
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弘 市野
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 セメント系タイル目地材の発黴を、長期にわ
たり、効果的に防止する。 【構成】 セメント系タイル目地材に防黴剤として、水
に難溶性で且つ強アルカリ下で安定なヨード化合物を添
加する。 【効果】 悪影響下においても、長期間、セメント系タ
イル目地材の発黴を効果的に防止して、風呂場や外壁面
のタイル施工面を衛生的かつ美麗に保つことが可能とさ
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はセメント系タイル目地材
の防黴方法に係り、特に、セメント系タイル目地材の発
黴を長期にわたり、効果的に防止することができるセメ
ント系タイル目地材の防黴方法に関する。
【0002】
【従来の技術】タイル施工に用いる目地材は、白セメン
トと細骨材を主原料とするセメントモルタルである。一
般に、セメント硬化体中には水酸化カルシウムが含ま
れ、強いアルカリ性を示す。目地材も施工後しばらくの
間は、その強いアルカリ性の為に黴やバクテリアは生え
にくい。しかし、時間の経過とともに、目地材に含まれ
ている水酸化カルシウムが徐々に空気中の炭酸ガスと結
合して炭酸カルシウムに変化していく。特に、タイル目
地の場合は、ポーラスな仕上がりが多いので、比較的中
性化の速度は速く、施工後1〜2年を経過するとアルカ
リ成分は消滅すると考えられる。
【0003】しかして、微生物の成育を阻害するアルカ
リ成分がなくなれば、当然、黴などが生えやすくなる。
従ってより長期的な防黴対策としては、目地材のアルカ
リ分が中性化した段階で、微生物の成育を阻害すること
が可能な微量成分が自動的に供給されるようにしてやる
ことが望ましい。
【0004】従来、タイル目地材に防黴剤を添加して防
黴性能を向上させようとする試みが既に実施されてい
る。しかして、安全性が確認され実用に供されている防
黴剤としては、ハロゲン、窒素、硫黄などを含む有機化
合物があり、これらを化学成分系によって分類すると、
ハロゲン系、フェノール系、イミダゾール系、チアゾー
ル系、グアジニン系、ピリジン系、有機ひ素化合物、ア
ミド系等に分類される。
【0005】ところで、タイル目地用の防黴剤(粉末状
態で混合する場合)として要求される性能としては、次
のようなものが挙げられる。 (1)低毒性で安全性が高いこと。 (2)刺激臭がないこと。 (3)少量の添加で優れた効果のあること。 (4)着色、変色現象のないこと。 (5)強アルカリ性下で安定であること。 (6)効力の持続性があること。 (7)価格が適当であること。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来、
上記の性能条件をすべて満たすものは、提供されておら
ず、特に、強アルカリ性の条件下で分解が促進され、短
期間で効果が無くなるものが多い。一例を挙げれば、代
表的な防黴剤であるイミダゾール系の薬剤などを添加し
た目地材でも、最初は強い防黴性能を示すが、目地材成
分のセメントのアルカリ分が無くなる頃には防黴剤の効
果もなくなってしまっているのが実情である。
【0007】本発明は上記従来の問題点を解決し、前記
(1)〜(7)の目地材用防黴剤としての要求性能を満
足し、かつ効果の長期持続性に優れる防黴剤により、セ
メント系タイル目地材の発黴を長期にわたり効果的に防
止することができるセメント系タイル目地材の防黴方法
を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1のセメント系タ
イル目地材の防黴方法はセメント系タイル目地材に防黴
剤を添加するセメント系タイル目地材の防黴方法におい
て、該防黴剤は、水に難溶性で且つ強アルカリ下で安定
なヨード化合物であることを特徴とする。
【0009】請求項2のセメント系タイル目地材の防黴
方法は、請求項1の方法において、前記ヨード化合物が
2,3,3−トリヨードアリルアルコール及び/又はジ
ヨードメチル−p−トリスルフォンであることを特徴と
する。
【0010】以下に本発明を詳細に説明する。
【0011】本発明において、防黴剤としてセメント系
タイル目地材に添加する水に難溶性で且つ強アルカリ下
で安定なヨード化合物としては、特に制限は無いが、具
体的には次の〜が挙げられる。
【0012】2,3,3−トリヨードアリルアルコー
ル:
【0013】
【化1】
【0014】(市販品として、伊勢化学工業製の商品名
「TIAA」が提供されている。) テトラクロルイソフタロニトリル:
【0015】
【化2】
【0016】4−クロロフェニール−3’−ヨードプ
ロパギルホルマール:
【0017】
【化3】
【0018】ジヨードメチル−p−トリスルフォン:
(市販品として米国アボット社製の商品名「アミカル4
8」がある。)
【0019】
【化4】
【0020】ポリビニルピロリドンヨード:
【0021】
【化5】
【0022】3−ヨード−2−プロパルギルブチルカ
ルバミン酸
【0023】
【化6】
【0024】1−ブロム−3−エトキシカルボニルオ
キシ−1,2−ジヨード−1−プロペン:
【0025】
【化7】
【0026】3−アセトキシ−1,1,2−トリヨー
ド−1−プロペン:
【0027】
【化8】
【0028】これらのうち、特に、2,3,3−トリヨ
ードアリルアルコール及び/又はジヨードメチル−p−
トリスルフォンを用いるのが好ましい。
【0029】本発明において、これらのヨード化合物の
添加量はその防黴効果が十分に得られ、かつ、薬剤コス
ト、目地性状に悪影響を及ぼすことのない量であれば良
く、特に制限はないが、通常の場合、セメント系タイル
目地材に対して0.001〜1重量%、特に0.01〜
0.1重量%、とりわけ0.02〜0.08重量%程度
とするのが好ましい。
【0030】本発明に係る防黴剤は、セメント系タイル
目地材の調製にあたり、その所定量を添加配合すれば良
い。
【0031】
【作用】本発明において、防黴剤として添加するヨード
化合物は、前記(1)〜(7)の要求性能をすべて満足
する著しく優れた防黴剤であり、セメント系タイル目地
材の発黴を長期にわたり、効果的に防止することができ
る。
【0032】即ち、一般にヨードを含む化合物は、安定
なものであっても、非常にわずかづつ分解して微量のヨ
ードを分離するが、アルカリ性が高い場合(水酸化カル
シウムが存在する期間)はカルシウムイオンとヨードが
結び付いて、ヨードは見掛上、不活性な状態になってい
る。しかし、中性化が進行してカルシウムが炭酸カルシ
ウムの形になると、微量のヨードは遊離の状態になる。
この遊離のヨードには、優れた防菌防黴作用がある。従
って、このようなヨード化合物を用いることにより、長
期にわたって微量のヨードを供給し続けることができる
ので、優れた長期防菌防黴性を有するセメント系目地材
を調製することができる。
【0033】しかも、添加により目地材を着色させるこ
とがなく、目地部の美観を損なうこともない。本発明で
用いる防黴剤としては、特に、2,3,3−トリヨード
アリルアルコール、ジヨードメチル−p−トリスルフォ
ンが好ましい。
【0034】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をよ
り具体的に説明する。 実施例1,2、比較例1 試験液の調製 次の5種の菌を混合して下記組成の栄養源溶液に植菌し
た。
【0035】菌種 Asperugillus niger Penicillium funiculosum Cladosporium cladosporioides Aureobasidium pullulans Alternaria alternata栄養源溶液の組成 精製水 1000 ml 硝酸アンモニウム 3.0 g 燐酸一カリウム 1.0 g 硫酸マグネシウム(7水塩) 0.5 g 塩化カリウム 0.25 g 硫酸第一鉄 0.002g グルコース 10.0 g ペプトン 10.0 g 試料の作製 セメント系タイル目地材に下記薬剤を下記割合で添加し
て硬化させ、硬化体を作製した。
【0036】
【表1】
【0037】各硬化体について、その一部を次のような
促進劣化処理に供した。 (a)温水による強制劣化処理…試料を40℃の温水に
2(「温水2」と称す。)、4(「温水4」と称す。)
又は8(「温水8」と称す。)日間浸漬した。 (b)炭酸ガスによる中性化処理…上記温水浸漬後の一
部の試料を密封容器内で湿度を保ちながら炭酸ガスで3
日間養生した(「CO2 」と称す。)。
【0038】試験方法 シャーレの中央に約1mlのPDA培地液を流し、その
上に各試料を押し付けるように置き、PDA培地液の一
定量(10ml)を試料の周囲に流して固めた。次い
で、栄養分を含む混合胞子懸濁液(試験液)を試料に均
一に噴霧した。その後、温度30℃,相対湿度90%の
条件で培養した。培養開始後7日目及び14日目の状況
を観察し、黴の発生状況を下記基準で評価し、結果を表
2に示した。なお、表2において、カッコ内の数値は阻
止帯の幅(mm)を示す。
【0039】評価基準 + :表面積の10%以内の部分に発黴が見られる。 ++ :表面積の50%以内の部分に発黴が見られる。 +++:表面積の50%を超える部分に発黴が見られ
る。 − :発黴なし。
【0040】
【表2】
【0041】表2より、本発明の方法によれば、セメン
ト系タイル目地材の発黴が、温水や炭酸ガスにさらされ
る悪影響下においても長期間効果的に防止されることが
明らかである。
【0042】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明のセメント系
タイル目地材の防黴方法によれば、セメント系タイル目
地材の発黴を、悪影響下においても長期間効果的に防止
することができる。このため、本発明によれば、風呂場
や外壁等のタイル施工面の目地部を、長期間、衛生的か
つ美麗に維持することが可能とされる。
【0043】特に、請求項2の防黴剤によれば、極めて
優れた防黴効果が得られる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セメント系タイル目地材に防黴剤を添加
    するセメント系タイル目地材の防黴方法において、該防
    黴剤は、水に難溶性で且つ強アルカリ下で安定なヨード
    化合物であることを特徴とするセメント系タイル目地材
    の防黴方法。
  2. 【請求項2】 請求項1のセメント系タイル目地材の防
    黴方法において、前記ヨード化合物が2,3,3−トリ
    ヨードアリルアルコール及び/又はジヨードメチル−p
    −トリスルフォンであることを特徴とするセメント系タ
    イル目地材の防黴方法。
JP20685591A 1991-08-19 1991-08-19 セメント系タイル目地材の防黴方法 Expired - Lifetime JP2586247B2 (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001049240A (ja) * 1999-08-09 2001-02-20 Inax Corp 目地添加剤、目地モルタル、目地構造及びその形成方法

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