JPH0593178A - 接着剤組成物の製造方法 - Google Patents

接着剤組成物の製造方法

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JPH0593178A
JPH0593178A JP25399691A JP25399691A JPH0593178A JP H0593178 A JPH0593178 A JP H0593178A JP 25399691 A JP25399691 A JP 25399691A JP 25399691 A JP25399691 A JP 25399691A JP H0593178 A JPH0593178 A JP H0593178A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 保存性と速硬化性の両立が可能な接着剤組成
物の製造方法を提供する。 【構成】 潜在性硬化剤を含むエポキシ樹脂を、30℃
より高温であってかつDSCピーク温度で示される活性
化温度以下で加熱処理し、前記活性化温度を0.2℃以
上高めた後に、他の接着剤成分と配合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、保存性ならびに硬化性
に優れた接着剤組成物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱硬化型接着剤の保存性と速硬化性の両
立手段として、潜在性硬化剤を用いる方法が知られてい
る。潜在性硬化剤とは接着剤に配合し室温以下の保存環
境では安定であるが、熱、光、湿気、および圧力の作用
で直ちに硬化反応を開始するものをいう。このような硬
化剤の潜在性を解除する手段としては、例えば不溶性硬
化剤粒子の溶解や分解、封入されたモレキュラーシーブ
からの硬化剤の溶出、イオン重合などの反応開始温度へ
の到達、硬化剤を含む不活性マイクロカプセル膜の破壊
などがあり、これらを利用した潜在性硬化剤が知られて
いる。マイクロカプセル型硬化剤については、例えば特
開昭60−99179号公報や、特開昭64−7052
3号公報などに示されるようなエポキシ樹脂とイミダゾ
ール誘導体を反応させ、その生成物の表面をイソシアネ
ート化合物で不活性化したものや、アミン化合物の表面
をエポキシ樹脂と反応させることで不活性化したもの等
が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記したようなマイク
ロカプセル型硬化剤に共通する問題点は、被覆層の厚み
を増加させると保存性は向上するものの硬化性が著しく
低下し、一方被覆層の厚みを減少させると硬化性は向上
するものの保存性が低下してしまい、この両方の特性を
バランスさせて得ることが極めて困難なことであった。
この両特性は、近年の接着作業の自動化の著しい進展に
より、ますます要求が厳しくなっている。例えば熱硬化
性一液型エポキシ系接着剤の場合、保存性は従来の冷蔵
もしくは冷凍保管から接着作業雰囲気下である常温保存
で3ヵ月以上、また硬化性についてみると、例えば従来
の硬化条件が170℃以上で数十分以上といった高温長
時間に対し、最近では170℃以下のなるべく低温でし
かも数十秒以下の硬化時間が目標となっており、接着剤
の常温保存性と中温速硬化性の厳しい両立が従来に増し
て求められている。本発明は以上の状況に鑑みなされた
もので、保存性と速硬化性の両立が可能な接着剤組成物
の製造方法を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、潜在性硬化剤
を含むエポキシ樹脂(以下マスターバッチという)を3
0℃より高温であって、かつDSCピーク温度で示され
る活性化温度以下で加熱処理し、前記活性化温度を0.
2℃以上高めた後に、他の接着剤成分と配合することを
特徴とする接着剤組成物の製造方法に関する。本発明で
いう潜在性硬化剤とは、エポキシ樹脂の共存下で30℃
以下で2ヶ月以上の保存性を有し、加熱下で急速硬化す
るものをいう。潜在化の手段については限定しないが、
例えば室温ではエポキシ樹脂に溶解しないが、融点近辺
まで加熱することで溶解して急激に硬化するもの(例え
ばホウ素錯塩、ヒドラジド、三級アミン、イミダゾー
ル、ジシアンジアミドなどや、これらの誘導体)、アミ
ンイミド等の熱分解型硬化剤、モレキュラーシーブ封入
型、及びマイクロカプセル型などがあり、これらは単独
もしくは2種以上の混合体として適用できる。
【0005】以上の中ではマイクロカプセル型硬化剤が
好ましく適用できる。マイクロカプセル型硬化剤は、硬
化剤よりなる核材の全表面が実質的に被覆層により覆わ
れてなる。マイクロカプセル型硬化剤の核材である硬化
剤は、脂肪族アミン、芳香族アミン、カルボン酸無水
物、チオール、アルコール、フェノール、イソシアネー
ト、第三級アミン、ホウ素錯塩、無機酸、ヒドラジド化
合物及びイミダゾール化合物など及びこれらの変性物が
採用できる。これらの中では、速硬化性で接着作業性に
優れ、またイオン重合型で触媒的に作用するので化学当
量的な考慮の少なくてよい第三級アミン、ホウ素錯塩、
ヒドラジド化合物及びイミダゾール化合物が好ましく、
中でも誘導体の種類により活性化温度を広範囲に制御し
易いイミダゾール化合物及びその変性物がより好ましく
用いられる。これらは単独もしくは2種以上の混合体と
して使用される。
【0006】イミダゾール化合物について例示すると、
イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−
4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾー
ル、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミ
ダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾー
ル、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダ
ゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾー
ル、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウム
・トリメリテート、2−フェニルイミダゾリウム・イソ
シアヌレート、2,4−ジアミノ−6−〔2−ウンデシ
ルイミダゾリル−(1)〕−エチル−s−トリアジン等
がある。
【0007】被覆層は特に限定しないが、ポリスチレ
ン、ゼラチン及びポリイソシアネート等の高分子物質
や、ケイ酸カルシウム等の無機物及びニッケルや銅等の
金属薄膜等よりなる。これら潜在性硬化剤の活性化温度
は、50〜200℃の範囲とすることが保存性と速硬化
性の両立が得やすいことから実用上好ましく、70〜1
50℃とすることがより好ましい。
【0008】本発明に用いる潜在性硬化剤の活性化温度
は、硬化剤の粉体もしくはマイクロカプセル型硬化剤と
エポキシ樹脂とを混合した試料3mgをDSC(Differen
tialScanning Calorimeter,示差走査型熱量計)を用
い、10℃/分で常温(30℃)から高温(250℃)
まで昇温させたときの最大発熱量を示すピーク温度とす
る。
【0009】本発明でいうマスターバッチとは、液状ビ
スフェノール型エポキシ樹脂中に硬化剤を分散したもの
が代表的であるが、この時のエポキシ樹脂は1分子内に
2個以上のエポキシ基を有する化合物であり、一般に知
られているエポキシ樹脂はすべて適用できる。例えばエ
ピクロルヒドリンとビスフェノールAやビスフェノール
F等から誘導されるビスフェノール型エポキシ樹脂、エ
ピクロルヒドリンとフェノールノボラックやクレゾール
ノボラックから誘導されるエポキシノボラック樹脂等の
多価フェノールのポリグリシジルエーテルの例が代表的
である。その他、ポリカルボン酸のポリグリシジルエス
テル、脂環式エポキシ、多価アルコールのポリグリシジ
ルエーテル及び多価アミンのポリグリシジル化合物など
があり、これらは単独もしくは2種以上混合して使用す
ることができる。
【0010】これらは常温で液状であることが好ましい
が、固形状であっても例えば溶剤を用いることや、加熱
下で混合することでマスターバッチが得られる。また、
マスターバッチ中の潜在性硬化剤とエポキシ樹脂の混合
割合は、混合時の作業性やマスターバッチの保存性等を
考慮して熱処理下でゲル化しないような条件を決定すれ
ばよい。これらのバランスを得るには、硬化剤の重合割
合が60%以下が一般的であり、50〜5%程度が好ま
しく適用できる。マスターバッチ中には、潜在性硬化剤
とエポキシ樹脂との反応触媒である例えばベンジルジメ
チルアミンやイミダゾール及びこれらの変性体等も含有
してよく、また溶剤として例えばメチルエチルケトンや
トルエン等も含有することもできる。
【0011】本発明では上記マスターバッチを30℃よ
り高温であり、かつ活性化温度以下で加熱し、加熱前後
のDSCピーク温度で示される活性化温度を0.2℃以
上高めることが必要である。加熱の方法としては、例え
ば空気中や水、油等の媒体中でマスターバッチの入った
容器を加熱するといった簡単な方法でよい。加熱時間は
処理温度との関係で適宜選択するが、高温になるほど処
理時間は短縮できる傾向にある。加熱温度は、最終製品
である接着剤組成物の実際考えられる保存温度に近い3
5〜80℃程度が好ましく、40〜70℃がさらに好ま
しい。この時、マスターバッチの性質によっては、酸素
を遮断して例えば窒素還流下で行ったり、多湿度下で熱
処理することもできる。加熱処理による活性化温度の上
昇は、0.2℃以上で保存性の向上効果が得られるが、
この温度が上昇すると硬化性が低下してくるものの、ロ
ール分散等の機械的損傷性や耐溶剤性などは向上する。
これらのことから活性化温度の上昇は0.2〜20℃と
することが好ましく、0.2〜10℃さらに好ましくは
0.3〜5℃とすることにより硬化性の低下が少ないマ
スターバッチを得ることができる。
【0012】本発明の接着剤組成物は、上記した硬化剤
のマスターバッチを反応性接着剤成分中に混合し分散さ
せることで得られる。反応性接着剤成分は硬化剤と反応
性を有する各種の物質が適用できる。前記したマスター
バッチに用いるのと同様なエポキシ樹脂の他に、尿素樹
脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、フェノール樹脂、
キシレン樹脂、フラン樹脂、ジアリルフタレート樹脂等
の各樹脂類よりなるいわゆる熱硬化型接着剤や、ポリエ
ステル、ポリウレタン、ポリビニルブチラール、フェノ
キシ樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリシアノアクリ
レート等の各樹脂やカルボキシル基やヒドロキシル基等
の官能基含有型のゴムやエラストマー等があり、これら
は単独もしくは二種以上の混合物としても使用できる。
これらには硬化促進剤や硬化触媒を更に添加することも
可能である。接着剤組成物中には、例えば熱可塑性樹脂
やゴム等の可撓性付与剤、粘着付与剤や可塑剤等の粘着
性調整剤、シリカや導電粒子等の充填剤、イソシアネー
トやメラミン等の架橋剤、溶剤、重合禁止剤及びカップ
リング剤などを必要に応じて含有できる。
【0013】
【作用】本発明においては、潜在性硬化剤とエポキシ樹
脂とのマスターバッチを加熱後に配合して接着剤組成物
とすることで、硬化剤の濃度が濃い状態で、かつ最終製
品である接着剤組成物の保存温度として考えられる最高
温度に近い状態での進行可能な反応を促進できる。ま
た、熱処理後のマスターバッチは、昇温時のDSCカー
ブの発熱の立上がりが高温側へシフトするために保存性
向上に寄与するとともに、ピーク温度の変動は比較的わ
ずかなことから硬化性の低下がほとんどない。
【0014】本発明の機構は以下のように考えることが
できる。加熱により潜在性硬化剤粒子の表面(マイクロ
カプセル型の場合、被覆のピンホール等による欠陥部)
と、エポキシ樹脂の接触界面で活性の大きな反応が優先
的に進行するが、この反応は硬化温度に比べ相当低温で
あることから反応は律速状態となり、常温にもどすこと
で反応は中断し前記接触界面は不活性化する。この状態
で接着剤組成物とすることで、硬化剤の濃度が希釈され
ることもあって接着剤組成物の保存性が向上する。ま
た、接触界面の不活性化により耐溶剤性や耐機械的損傷
性も向上しロール作業性等が良好となる。。一方、ピー
ク温度の変動はわずかなことから、硬化作業時の高温下
(DSCピーク温度以上が一般的)での硬化性は実質的
に低下しない。
【0015】
【実施例】
実施例1〜3及び比較例 潜在性硬化剤のマスターバッチであるHX−3748
(後述)を100gガラスビンに採取して、50℃恒温
槽中で所定時間処理して、熱処理済の硬化剤マスターバ
ッチを得た。このマスターバッチの熱処理条件及びDS
Cによる活性化温度を表1に示した。加熱処理をしない
場合を比較例として合わせて示した。ここにHX−37
48は、旭化成工業株式会社製の商品名であり、核材の
表面が約500Åのウレタン系の被覆層で覆われてなる
マイクロカプセル型硬化剤を液状のビスフェノール系エ
ポキシ樹脂(エポキシ当量185)の中に重量比で1:
2の割合で分散させたマスターバッチである。また、活
性化温度はDSC法(デュポン製910型DSC、試料
3mg、10℃/分昇温)で求めた。
【0016】次に反応性接着剤成分として、エピコート
807(ビスフェノール型エポキシ樹脂、油化シェルエ
ポキシ株式会社製商品名)とエピタンE−195(末端
エポキシ変性ウレタン樹脂、大日本インキ化学工業株式
会社製商品名)とを重量比で80:20となるように混
合し反応性接着剤を得た。この接着剤と前記マスターバ
ッチとを重量比で70:30の配合比となるように混合
し、液状で無溶剤の接着剤組成物を得た。これらの評価
結果を表1に示す。表1の保存性は、接着剤組成物を5
0mlスクリュー管に封入し、30℃で放置した時の粘度
(E型粘度計で測定)を測定し、処理前の粘度が2倍に
達する時間で示した。
【0017】比較例に比べ実施例1〜3は、熱処理する
ことで活性化温度が若干高くなり、これらを配合した接
着剤組成物の保存性が著しく向上した。DSCピーク温
度の上昇幅は0.3℃(実施例1)〜3.9℃(実施例
3)とわずかなことから、実際的な硬化性はほとんど変
わらなかった。
【0018】
【表1】
【0019】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、硬
化性を保った状態での保存性の向上が得られる接着剤組
成物の提供が可能となった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山口 豊 茨城県下館市大字小川1500番地 日立化成 工業株式会社下館研究所内 (72)発明者 伊藤 達夫 茨城県下館市大字五所宮1150番地 日立化 成工業株式会社五所宮工場内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 潜在性硬化剤を含むエポキシ樹脂を、3
    0℃より高温であってかつDSCピーク温度で示される
    活性化温度以下で加熱処理し、前記活性化温度を0.2
    ℃以上高めた後に、他の接着剤成分と配合することを特
    徴とする接着剤組成物の製造方法。
  2. 【請求項2】 潜在性硬化剤が硬化剤を核とし、その全
    表面が実質的に被覆層を有してなる熱活性型のマイクロ
    カプセル型硬化剤である請求項1項記載の接着剤組成物
    の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US5589523A (en) * 1994-03-15 1996-12-31 Toray Industries, Inc. Microcapsule-type curing agent, method for producing the same, thermosetting resin composition, prepreg and fiber reinforced composite material
JP2012031253A (ja) * 2010-07-29 2012-02-16 Sumitomo Electric Ind Ltd フィルム状導電性接着剤
JP2014055245A (ja) * 2012-09-13 2014-03-27 Namics Corp 先設置型半導体封止用フィルム

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