JPH0593117A - ポリスチレン系樹脂複合体 - Google Patents

ポリスチレン系樹脂複合体

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JPH0593117A
JPH0593117A JP8730291A JP8730291A JPH0593117A JP H0593117 A JPH0593117 A JP H0593117A JP 8730291 A JP8730291 A JP 8730291A JP 8730291 A JP8730291 A JP 8730291A JP H0593117 A JPH0593117 A JP H0593117A
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iodine
polymer
vinylphenyl
vinyl
composite
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JP8730291A
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Yozo Chatani
陽三 茶谷
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐熱性,耐薬品性及び電気特性に優れ、ヨウ
素放出過程の制御が不要であり、熱安定性及び貯蔵安定
性を有したスチレン系重合体を開発すること。 【構成】 結晶構造中に、一般式(I) 【化1】 〔式中、R1 は水素原子,ハロゲン原子,あるいは炭素
原子,スズ原子及びケイ素原子のいずれか1種以上含む
置換基を示し、mは1〜5の整数を示す。但し、mが複
数のときは、各R1 は同一でも異なってもよい。〕で表
わされる構造単位の連鎖の立体規則性が高度のシンジオ
タクチック構造であり、ポリスチレン換算の重量平均分
子量が 500〜5,000,000 であるスチレン系重合体及び単
量体及び/又はヨウ素を含有するポリスチレン系樹脂複
合体である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規なポリスチレン系樹
脂複合体に関し、詳しくはシンジオタクチック構造のポ
リスチレン系重合体結晶相内に単量体及び/又はヨウ素
の存在する複合体に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来か
らラジカル重合法等により製造されるスチレン系重合体
は、その立体構造がアタクチック構造を有しており、耐
熱性,耐薬品性に劣るという欠点があった。近年、この
ようなアタクチック構造のスチレン系重合体の欠点を解
消したものとして、立体規則性が高度のシンジオタクチ
ック構造であるスチレン系重合体が見出された。これら
の重合体は、耐熱性,耐薬品性及び電気特性に優れ、多
方面にわたる応用が期待されている。しかし、未だ上記
スチレン系重合体を用いた機能材料への応用研究例はな
く、この分野への展開は行われていない。また、ポリス
チレンとヨウ素の複合体が知られている(例えば Leite
N Fら,J.Appl.Polym.Sci., VOL.39,No.6,1361(199
0))。しかし、この複合体は、アタクチック構造の非晶
質部分へヨウ素が含浸したものであるため、耐熱性が低
く、またヨウ素放出過程の制御が必要であり、その上熱
安定性及び貯蔵安定性に欠ける等の問題があり、機能材
料分野への展開が妨げられていた。
【0003】そこで本発明者らは、耐熱性,耐薬品性及
び電気特性に優れ、ヨウ素放出過程の制御が不要であ
り、熱安定性及び貯蔵安定性を有するポリスチレン系の
複合体を開発すべく鋭意研究を続けた。
【0004】
【課題を解決するための手段】その結果、シンジオタク
チック構造を有する特定の分子量のスチレン系重合体と
単量体及び/又はヨウ素を組み合わせて結晶化した複合
体が、上記課題を解消できるものであることを見出し
た。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものであ
る。すなわち、本発明は、結晶構造中に、(a) 一般式
(I)
【0005】
【化2】
【0006】〔式中、R1 は水素原子,ハロゲン原子,
あるいは炭素原子,スズ原子及びケイ素原子のいずれか
1種以上含む置換基を示し、mは1〜5の整数を示す。
但し、mが複数のときは、各R1 は同一でも異なっても
よい。〕で表わされる構造単位からなる重合体の立体規
則性が高度のシンジオタクチック構造であり、ポリスチ
レン換算の重量平均分子量が 500〜5,000,000 であるス
チレン系重合体及び(b) 単量体及び/又はヨウ素を含有
するポリスチレン系樹脂複合体を提供するものである。
【0007】本発明の複合体は、(a) 成分であるスチレ
ン系重合体と(b) 成分である単量体及び/又はヨウ素を
結晶中に含有するものである。この複合体は、スチレン
系重合体の非晶質部分に単量体及び/又はヨウ素を取り
込むことにより、吸着結晶化された構造を含有するもの
である。上記複合体は、一般式(I)で表される構造単
位からなる重合体が高度なシンジオタクチック構造を有
するものである。ここで、(a) 成分であるスチレン系重
合体における高度なシンジオタクチック構造とは、立体
化学構造が高度なシンジオタクチック構造、即ち炭素−
炭素結合から形成される主鎖に対して側鎖であるフェニ
ル基や置換フェニル基が交互に反対方向に位置する立体
構造を有するものであり、そのタクティシティーは同位
体炭素による核磁気共鳴法(13C−NMR法)により定
量される。13C−NMR法により測定されるタクティシ
ティーは、連続する複数個の構成単位の存在割合、例え
ば2個の場合はダイアッド,3個の場合はトリアッド,
5個の場合はペンタッドによって示すことができるが、
本発明で言う高度なシンジオタクチック構造を有するス
チレン系重合体とは、スチレン系繰返し単位の連鎖にお
いて、通常はラセミダイアッドで75%以上、好ましく
は85%以上、若しくはラセミペンタッドで30%以
上、好ましくは50%以上のシンジオタクティシティー
を有するものを示す。
【0008】上記スチレン系重合体の原料となる単量体
については、上記一般式(I)の構造単位に対応するも
のを用いればよい。この単量体の具体例としては、スチ
レン;p−メチルスチレン;o−メチルスチレン;m−
メチルスチレン;2,4−ジメチルスチレン;2,5−
ジメチルスチレン;3,4−ジメチルスチレン;3,5
−ジメチルスチレン;p−ターシャリーブチルスチレン
などのアルキルスチレン、p−クロロスチレン;m−ク
ロロスチレン;o−クロロスチレン;p−ブロモスチレ
ン;m−ブロモスチレン;o−ブロモスチレン;p−フ
ルオロスチレン;m−フルオロスチレン;o−フルオロ
スチレン;o−メチル−p−フルオロスチレンなどのハ
ロゲン化スチレン、4−ビニルビフェニル;3−ビニル
ビフェニル;2−ビニルビフェニルなどのビニルビフェ
ニル類、1−(4−ビニルフェニル)−ナフタレン;2
−(4−ビニルフェニル)−ナフタレン;1−(3−ビ
ニルフェニル)−ナフタレン;2−(3−ビニルフェニ
ル)−ナフタレン;1−(2−ビニルフェニル)−ナフ
タレン;2−(2−ビニルフェニル)ナフタレンなどの
ビニルフェニルナフタレン類、1−(4−ビニルフェニ
ル)−アントラセン;2−(4−ビニルフェニル)−ア
ントラセン;9−(4−ビニルフェニル)−アントラセ
ン;1−(3−ビニルフェニル)−アントラセン;2−
(3−ビニルフェニル)−アントラセン;9−(3−ビ
ニルフェニル)−アントラセン;1−(2−ビニルフェ
ニル)−アントラセン;2−(2−ビニルフェニル)−
アントラセン;9−(2−ビニルフェニル)−アントラ
センなどのビニルフェニルアントラセン類、1−(4−
ビニルフェニル)−フェナントレン;2−(4−ビニル
フェニル)−フェナントレン;3−(4−ビニルフェニ
ル)−フェナントレン;4−(4−ビニルフェニル)−
フェナントレン;9−(4−ビニルフェニル)−フェナ
ントレン;1−(3−ビニルフェニル)−フェナントレ
ン;2−(3−ビニルフェニル)−フェナントレン;3
−(3−ビニルフェニル)−フェナントレン;4−(3
−ビニルフェニル)−フェナントレン;9−(3−ビニ
ルフェニル)−フェナントレン;1−(2−ビニルフェ
ニル)−フェナントレン;2−(2−ビニルフェニル)
−フェナントレン;3−(2−ビニルフェニル)−フェ
ナントレン;4−(2−ビニルフェニル)−フェナント
レン;9−(2−ビニルフェニル)−フェナントレンな
どのビニルフェニルフェナントレン類、1−(4−ビニ
ルフェニル)−ピレン;2−(4−ビニルフェニル)−
ピレン;1−(3−ビニルフェニル)−ピレン;2−
(3−ビニルフェニル)−ピレン;1−(2−ビニルフ
ェニル)−ピレン;2−(2−ビニルフェニル)−ピレ
ンなどのビニルフェニルピレン類、4−ビニル−p−タ
ーフェニル;4−ビニル−m−ターフェニル;4−ビニ
ル−o−ターフェニル;3−ビニル−p−ターフェニ
ル;3−ビニル−m−ターフェニル;3−ビニル−o−
ターフェニル;2−ビニル−p−ターフェニル;2−ビ
ニル−m−ターフェニル;2−ビニル−o−ターフェニ
ルなどのビニルターフェニル類、4−(4−ビニルフェ
ニル)−p−ターフェニルなどのビニルフェニルターフ
ェニル類、4−ビニル−4' −メチルビフェニル;4−
ビニル−3' −メチルビフェニル;4−ビニル−2'−
メチルビフェニル;2−メチル−4−ビニルビフェニ
ル;3−メチル−4−ビニルビフェニルなどのビニルア
ルキルビフェニル類、4−ビニル−4' −フルオロビフ
ェニル;4−ビニル−3' −フルオロビフェニル;4−
ビニル−2' −フルオロビフェニニル;4−ビニル−2
−フルオロビフェニル;4−ビニル−3−フルオロビフ
ェニル;4−ビニル−4’−クロロビフェニル;4−ビ
ニル−3' −クロロビフェニル;4−ビニル−2' −ク
ロロビフェニル;4−ビニル−2−クロロビフェニル;
4−ビニル−3−クロロビフェニル;4−ビニル−4’
−ブロモビフェニル;4−ビニル−3' −ブロモビフェ
ニル;4−ビニル−2' −ブロモビフェニル;4−ビニ
ル−2−ブロモビフェニル;4−ビニル−3−ブロモビ
フェニルなどのハロゲン化ビニルビフェニル類、4−ビ
ニル−4' −トリメチルシリルビフェニルなどのトリア
ルキルシリルビニルビフェニル類、4−ビニル−4' −
トリメチルスタンニルビフェニル,4−ビニル−4' −
トリブチルスタンニルビフェニルなどのトリアルキルス
タンニルビニルビフェニル類、4−ビニル−4'−トリ
メチルシリルメチルビフェニルなどのトリアルキルシリ
ルメチルビニルビフェニル類、4−ビニル−4' −トリ
メチルスタンニルメチルビフェニル;4−ビニル−4’
−トリブチルスタンニルメチルビフェニルなどのトリア
ルキルスタンニルメチルビニルビフェニル類、p−クロ
ロエチルスチレン;m−クロロエチルスチレン;o−ク
ロロエチルスチレンなどのハロゲン置換アルキルスチレ
ン、p−トリメチルシリルスチレン;m−トリメチルシ
リルスチレン;o−トリメチルシリルスチレン;p−ト
リエチルシリルスチレン;m−トリエチルシリルスチレ
ン;o−トリエチルシリルスチレン;p−ジメチルター
シャリ−ブチルシリルスチレンなどのアルキルシリルス
チレン類、p−ジメチルフェニルシリルスチレン;p−
メチルジフェニルシリルスチレン;p−トリフェニルシ
リルスチレンなどのフェニル基含有シリルスチレン類、
p−ジメチルクロロシリルスチレン;p−メチルジクロ
ロシリルスチレン;p−トリクロロシリルスチレン;p
−ジメチルブロモシリルスチレン;p−ジメチルヨード
シリルスチレンなどのハロゲン含有シリルスチレン類、
p−(p−トリメチルシリル)ジメチルシリルスチレン
などのシリル基含有シリルスチレン類等スチレン系単量
体、あるいはこれら2種以上を混合したものが挙げられ
る。
【0009】さらに、上記スチレン系重合体のポリスチ
レン換算の重量平均分子量は 500〜5,000,000 であり、
好ましくは10,000〜30,000がよい。この重量平均分子量
が 500未満の場合には、複合体として耐熱性等の物性が
不充分であるという不都合があり、一方、5,000,000 を
超えると成形加工性に劣るという問題がある。
【0010】また、上記ポリスチレン系樹脂複合体に含
有される(b) 成分としては、単量体及び/又はヨウ素が
用いられる。ここで用いられる単量体は、上記(a) 成分
の非晶質に取り込まれ、非晶質部分を結晶化するもので
あればよく、その種類は特に制限されない。また、本発
明では(b) 成分として、ヨウ素あるいは単量体のいずれ
か一方のみを用いてもよいが、両者を併用することもで
きる。上記単量体の具体例をあげれば、アクリル酸;メ
タクリル酸;アクリル酸メチル;アクリル酸−2−エチ
ルヘキシル;メチルメタアクリレート;グリシジルメタ
クリレートなどの不飽和カルボン酸(エステル)、アク
リロニトリル;メタアクリロニトリルなどのアクリロニ
トリル類、1,3−ブタジエン;クロロプレン;イソプ
レン;1,3−シクロオクタジエン;1,5−ヘキサジ
エン;2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエンなどのジ
エン類、テトラヒドロフラン;1,4−ジオキサンなど
の環状エーテル、その他上記スチレン系単量体、あるい
はこれら2種以上を混合したものなどがある。本発明で
は、特にヨウ素,アクリル酸,メタクリル酸,2,3−
ジクロロ−1,3−ブタジエン,スチレン,アクリロニ
トリル等が好ましい。
【0011】上記ポリスチレン系樹脂複合体の(a) 成分
であるスチレン系重合体は、種々の方法で製造すること
ができる。例えば、該スチレン系重合体は、特開昭62
−187708号公報に記載されているように、上記ス
チレン系単量体を遷移金属/アルミノキサン系触媒を用
いて重合し、得られた無定形の重合体を、溶融状態から
フィルム,シート,繊維,粒子,成形体,不織布,スポ
ンジなど及びそれらの複合物として形成した後、融点以
下かつ低温結晶化温度以上に保持して急冷することによ
り製造することができる。そのときの結晶化度は、非晶
質部分を有していればよく、通常0〜80%、好ましく
は0〜30%、特に好ましくは0〜20%である。
【0012】本発明のポリスチレン系樹脂複合体は、上
記(a) 成分と(b) 成分とを接触させて製造する。上記
(a) 成分と(b) 成分とを接触させ、上記(a) 成分に(b)
成分を取り込む際の吸着条件は特に限定はないが、例え
ば(b) 成分を蒸気,液体(溶融状態),溶液状態で接触
させるのが好ましい。但し、溶液状態で(b) 成分を上記
スチレン系重合体と接触させる場合は、溶液中の溶媒が
スチレン系重合体の結晶化の過程で(b) 成分と競合して
吸着結晶化を起こし、著しく(b)成分を排除するものは
好ましくない。従って、溶液中の溶媒としては、一般
に、ベンゼン,トルエン,キシレン等の芳香族炭化水
素、ヘキサン,ヘプタン,デカン,シクロヘキサン等の
脂肪族炭化水素等などが好ましい。さらに、上記吸着反
応における反応温度及び反応時間は、単量体を用いた場
合は、通常は0〜200℃である。この場合、該単量体
が(a) 成分であるスチレン系重合体の可塑化効果を有す
る場合、低温であっても結晶化が可能である。一方、ヨ
ウ素を用いた場合は、0〜200℃の温度範囲であれば
よい。好ましくは(a) 成分であるスチレン系重合体のガ
ラス転移温度以上の温度が望ましい。また、反応時間
は、目的とする結晶化度及び(b) 成分の含有率により適
宜設定することができ、おおよその目安として1分〜2
0日程度の時間範囲を考えれば充分である。また、得ら
れたポリスチレン系樹脂複合体から(b) 成分を脱着する
ことも可能であり、そのときの脱着条件は、ヨウ素では
脱着温度160℃以上であり、単量体の場合には、種類
によって若干異なるが、通常は70〜200℃である。
【0013】このようにして得られるポリスチレン系樹
脂複合体を構成する上記スチレン系重合体と単量体及び
/又はヨウ素の構成重量比、すなわち、(b)成分/(a)
成分は、特に限定されるものではないが、通常1×10
-6〜6×10-1、好ましくは1×10-5〜5×10-1
特に好ましくは1×10-3〜4×10-1である。また、
該ポリスチレン系樹脂複合体としての効果を有するに
は、ヨウ素及び/又は単量体を含む新たな結晶構造を有
しておればよく、該複合体の結晶化度(X線回折法によ
り結晶部分の散乱X線の強度から求めた値)は5%以上
が好ましい。
【0014】本発明で得られたポリスチレン系樹脂複合
体を成形してなる薄肉成形品は、該複合体を形成してか
ら成形しても、あらかじめ成形してから該複合体を形成
してもよい。この薄肉成形品は、厚さに関して特に限定
はないが、0.5μm〜1.5mmであることが好ましい。
このようにして得られる薄肉成形品としては、シート,
フィルムなど薄肉性を利用したものが挙げられる。
【0015】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説
明する。 実施例1 シンジオタクチックポリスチレンの製造 触媒成分として、テトラエトキシチタン0.5ミリモルと
メチルアルミノキサンをアルミニウム原子として50ミ
リモルを用い、トルエン200ミリリットル溶媒中にお
いて、スチレン1.5リットルの重合反応を50℃で4時
間実施した。得られた重合体は洗浄後、乾燥させた。こ
の重合体の収量は260gであった。次に、この重合体
をメチルエチルケトンを溶媒としてソックスレー抽出機
にかけた結果、抽出残分95重量%を得た。ここで得ら
れた抽出残分である重合体の重量平均分子量(Mw)は
800,000 ,融点は270℃であった。また、この重合体
は同位体炭素の核磁気共鳴(13C−NMR)法による分
析から、シンジオタクチック構造に起因する145.2p
pmに吸収が認められ、そのピーク面積から算出したペ
ンタッドでのシンジオタクティシティーは96%であっ
た。 非晶性シンジオタクチックポリスチレンシートの製
造 300℃に加熱したプレスを使用して、実施例1で得
た重合体をプレスシート作成用金型を用い、充分溶融し
た後、0℃の水へすばやく投入して非晶性プレスシート
(10cm×10cm×100μm)を作成した。この
シートは、X線回折から結晶化度は0%であり、非晶質
であることが分かった。この物質のX線回折パターンを
図1に示す。 ヨウ素含有結晶性ポリスチレンの製造 実施例1で得たプレスシートを130℃で溶融したヨ
ウ素に1時間浸漬した。その後回収したプレスシート
は、濃紫色に着色され、重量増加がみられた。重量増加
より求めたプレスシートのヨウ素/シンジオタクチック
ポリスチレン比は1/1(重量比)であった。また、該
プレスシートの熱重量測定(TG)の結果、不連続点
(図2参照)が認められた。従って、このシートは不連
続点温度以上では、急激にヨウ素を放出することから、
ヨウ素の放出過程が制御されていることが分かった。T
Gは、TG−DTA300(測定装置,セイコー電子
製)を用い、測定雰囲気として窒素(500ml/
分),昇温速度10℃/分で測定した。更に、該シート
の結晶構造をX線回折法を用いて決定した(使用装置:
理学電機製,ガイガーフレックス)。X線回折法は、入
射X線としてCuKα線(波長:0.15418nm)を
用いた。図3にその回折写真を示す。このX線回折結果
から、該シートには、明らかに結晶が存在し、図4に示
した結晶構造を含有されていることが明らかとなった。
また、該シートの光の透過量(波長:190〜900n
m)の測定結果を図5に示す。さらに、該シートを16
0℃で熱処理した後の光の透過量(波長:190〜90
0nm)の測定結果を図6に示す。これら図5と図6か
ら、熱処理によってヨウ素の脱着が起こり、光の透過量
が増加することが分かった。
【0016】実施例2 ヨウ素の代わりにメチルメタクリレートを用い、実施例
1で得たシートをメチルメタクリレートの40℃の蒸
気に1時間接触させた以外は、実施例1と同様の操作
を行った。得られたシートの重量増加率は7.0%であっ
た。この複合体のX線回折写真を図7に示す。
【0017】実施例3 ヨウ素の代わりにをメチルアクリレート用い、実施例1
で得たシートをメチルアクリレートの40℃の蒸気に
1時間接触させた以外は、実施例1と同様の操作を行
った。得られたシートの重量増加率は5.8%であった。
この複合体のX線回折写真を図8に示す。
【0018】実施例4 ヨウ素の代わりに2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエ
ンを用い、実施例1で得たシートを2,3−ジクロロ
−1,3−ブタジエンの40℃の蒸気に1時間接触させ
た以外は、実施例1と同様の操作を行った。得られた
シートの重量増加率は3.9%であった。この複合体のX
線回折写真を図9に示す。
【0019】実施例5 ヨウ素の代わりにスチレンを用い、実施例1で得たシ
ートをスチレンの40℃の蒸気に1時間接触させた以外
は、実施例1と同様の操作を行った。得られたシート
の重量増加率は12.0%であった。この複合体のX線回
折写真を図10に示す。
【0020】実施例6 ヨウ素の代わりにアクリロニトリルを用い、実施例1
で得たシートをアクリロニトリルの40℃の蒸気に1時
間接触させた以外は、実施例1と同様の操作を行っ
た。得られたシートの重量増加率は1.0%であった。こ
の複合体のX線回折写真を図11に示す。
【0021】
【発明の効果】以上の如く、本発明のポリスチレン系樹
脂複合体は、シンジオタクチックの結晶構造を含有する
ことから、耐熱性に優れ,ヨウ素を用いた場合のヨウ素
放出過程の制御が不要であり,熱安定性及び貯蔵安定性
を有するものである。また、本発明のポリスチレン系樹
脂複合体は、単量体を結晶構造に含有した場合は、モノ
マーの放出過程の制御が不要であり、複合体表面が濡れ
特性を有するようになる。したがって、本発明のポリス
チレン系樹脂複合体は、成形物の加工性がよく、そのま
ま成形材料として利用できることは勿論、機能材料への
応用が可能である。それ故、本発明のポリスチレン系樹
脂複合体は、機能性材料分野において、機能性フィルム
(感熱性フィルム,帯電防止導電性フィルム,殺菌及び
徐放性フィルム,接着性フィルム等),感熱素子等とし
て利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた非晶性シートのX線回折パ
ターンを示す。
【図2】実施例1で得られたヨウ素含有結晶性シートの
TGを表したグラフを示す。
【図3】実施例1で得られたヨウ素含有結晶性シートの
X線回折写真を示す。
【図4】実施例1で得られたヨウ素含有結晶性シートの
X線回折写真から解析された結晶構造を示す。
【図5】実施例1で得られたヨウ素含有結晶性シートの
光の透過量測定のグラフを示す。
【図6】実施例1で得られた熱処理済ヨウ素含有結晶性
シートの光の透過量測定のグラフを示す。
【図7】実施例2で得られたメチルメタクリレート含有
結晶性シートのX線回折写真を示す。
【図8】実施例3で得られたメチルアクリレート含有結
晶性シートのX線回折写真を示す。
【図9】実施例4で得られた2,3−ジクロロ−1,3
−ブタジエン含有結晶性シートのX線回折写真を示す。
【図10】実施例5で得られたスチレン含有結晶性シー
トのX線回折写真を示す。
【図11】実施例6で得られたアクリロニトリル含有結
晶性シートのX線回折写真を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C08L 25:00

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶構造中に、(a) 一般式(I) 【化1】 〔式中、R1 は水素原子,ハロゲン原子,あるいは炭素
    原子,スズ原子及びケイ素原子のいずれか1種以上含む
    置換基を示し、mは1〜5の整数を示す。但し、mが複
    数のときは、各R1 は同一でも異なってもよい。〕で表
    わされる構造単位からなる重合体の立体規則性が高度の
    シンジオタクチック構造であり、ポリスチレン換算の重
    量平均分子量が 500〜5,000,000 であるスチレン系重合
    体及び(b) 単量体及び/又はヨウ素を含有するポリスチ
    レン系樹脂複合体。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の複合体を成形してなる薄
    肉成形品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06500369A (ja) * 1991-07-29 1994-01-13 モンテル テクノロジー カンパニー ビーブイ シンジオタクチック ポリ―p―メチルスチレン(s―PpMS)製の半結晶性製品
US8138986B2 (en) 2008-12-10 2012-03-20 Sensis Corporation Dipole array with reflector and integrated electronics

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