JP3590632B2 - スチレン系重合体の精製方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はスチレン系重合体の精製方法に関する。詳しくは、重合体連鎖の立体化学構造が高度のシンジオタクチック構造を有する結晶性スチレン系重合体を効率よく、しかも高純度に精製する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来からラジカル重合法等により製造されるスチレン系重合体は、その立体構造がアタクチック構造を有しており、種々の成形法、例えば、射出成形,押出成形,中空成形,真空成形,注入成形などの方法によって、様々な形状のものに成形され、家庭電気器具,事務機器,家庭用品,包装容器,玩具,家具,合成紙その他産業資材などとして幅広く用いられている。
しかしながら、このようなアタクチック構造のスチレン系重合体は、耐熱性,耐薬品性に劣るという欠点があった。
ところで、本発明者らのグループは、先般、シンジオタクティシティーの高いスチレン系重合体を開発することに成功し、さらに、チタン化合物及び有機アルミニウム化合物と縮合剤との接触生成物(アルキルアルミノキサン)からなる触媒を用いることによりシンジオタクチック構造を有する結晶性スチレン系重合体が得られることを示した(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このようなシンジオタクチック構造を有する結晶性スチレン系重合体は、スラリー重合,塊状重合などにより製造されるが、触媒活性及び生産性の点からスチレンを高濃度にして重合を行うことが有利である。しかし、金属(Al,Ti,Fe等)を含む触媒を用いて製造するために、触媒活性にもよるが、得られる重合体中に金属成分が残り、分子量の低下あるいは色調悪化の原因をなしている。したがって、得られる重合体製品中に残留する触媒成分を脱灰処理(残留触媒の除去)によって低減することが望まれている。
【0004】
この脱灰処理方法としては、脱灰剤を添加して処理する方法、膨潤剤で重合体を膨潤させる方法、さらに、これらの方法で処理温度を上げるなどにより、脱灰効率を改善する方法などがある。
しかし、これらの方法では脱灰効率が悪かったり、洗浄が必要であったり、あるいは安定した運転が困難である等の問題を抱えている。
すなわち、脱灰剤を添加して処理する方法では、脱灰剤の除去工程を必要とし、多量の溶剤を用いなければならず、プロセス的に煩雑となる。また、設備コストが増大するなどの問題を有する。
また、膨潤剤を添加して処理する方法では、比較的マイルドな条件で失活及び脱灰が可能であるが、重合体の組成及び転化率、処理液の液組成、処理温度によっては重合体が溶解あるいは凝集し、安定運転上問題を有する。そして、重合体が膨潤するために、触媒残渣を含む廃液を多量に含み、金属量を一定量以下に低減することができない問題を有する。
【0005】
【特許文献1】
特開昭62−187708号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況下で、高純度かつ色調に優れた高品質の結晶性スチレン系重合体を得ることができるスチレン系重合体の精製方法を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、上記従来技術の問題点を解消し、高転化率のスチレン系重合体を効率よく、かつ高純度に精製しうる方法を開発すべく鋭意研究を重ねた。
その結果、精製の対象である結晶性スチレン系重合体を処理剤として貧溶剤のみ、または貧溶剤及び膨潤剤を用いることにより、処理中の安定性(重合体の溶解又は凝集)を改善するとともに、効率的に失活及び脱灰できることを見出し、上記の課題を解決できることを見出した。本発明はかかる知見に基いて完成したものである。
【0008】
すなわち、本発明は、(A)(1)アルミノキサンあるいは(2)カチオンと複数の基が金属に結合したアニオンとからなる配位錯化物及び(B)遷移金属化合物からなる触媒を用いて得られた高度のシンジオタクチック構造を有する結晶性スチレン系重合体に貧溶剤を添加し、スラリー状態で失活及び脱灰することを特徴とするスチレン系重合体の精製方法を提供するものである(第一発明)。
さらに、(A)(1)アルミノキサンあるいは(2)カチオンと複数の基が金属に結合したアニオンとからなる配位錯化物及び(B)遷移金属化合物からなる触媒を用いて得られた高度のシンジオタクチック構造を有する結晶性スチレン系重合体に貧溶剤又は貧溶剤及び膨潤剤の混合溶剤を添加し、パウダー状態で処理することを特徴とするスチレン系重合体の精製方法を提供するものである(第二発明)。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明に使用する触媒の(A)成分としては、(1)アルミノキサンあるいは(2)カチオンと複数の基が金属に結合したアニオンとからなる配位錯化物である。
ここで、(1)アルミノキサンとは、各種の有機アルミニウム化合物と縮合剤とを接触して得られるものである。反応原料とする有機アルミニウム化合物としては、通常は一般式(III)
AlR1 3 ・・・・(III)
〔式中、R1は炭素数1〜8のアルキル基を示す。〕
で表される有機アルミニウム化合物、具体的には、トリメチルアルミニウム,トリエチルアルミニウム,トリイソブチルアルミニウムなどが挙げられ、中でもトリメチルアルミニウムが最も好ましい。
【0010】
一方、有機アルミニウム化合物と縮合させる縮合剤としては、典型的には水が挙げられるが、この他にアルキルアルミニウムが縮合反応するいかなるものを用いてもよい。
このようなアルミノキサンとしては、一般式(IV)
【0011】
【化1】
【0012】
〔式中、R1はそれぞれ独立に炭素数1〜20、好ましくは1〜12のアルキル基,2〜12のアルケニル基,6〜12のアリール基,7〜12のアリールアルキル基などの炭化水素基、ハロゲン原子を示し、それぞれ同じでも異なっていてもよい。nは重合度を示し、通常2〜50、好ましくは7〜40の整数である〕
で表される鎖状アルキルアルミノキサン、あるいは一般式(V)
【0013】
【化2】
【0014】
〔式中、R1及びnは、前記と同じである。〕
で表される繰り返し単位を有する環状アルミノキサンなどがある。このようなアルキルアルミノキサンのうち、R1がメチル基であるもの、すなわちメチルアルミノキサンが特に好ましい。
本発明の方法においては、触媒の(A)成分として、上記アルミノキサンに代えて、カチオンと複数の基が金属に結合したアニオンとからなる配位錯化物を用いることもできる。このような配位錯化合物は、様々なものがあるが、例えば、下記一般式(VI)あるいは(VII)で示される化合物を好適に使用することができる。
(〔L1−H〕g+)h
(〔M1X1X2・・・Xn〕(n-m)-)i ・・・(VI)
あるいは
(〔L2〕g+)h
(〔M2X1X2・・・Xn〕(n-m)-)i ・・・(VII)
(但し、L2は後述のM3,T1T2M4又はT3 3Cである。)
【0015】
〔式(VI),(VII)中、L1はルイス塩基、M1及びM2はそれぞれ周期律表の5族〜15族から選ばれる金属、M3は周期律表の8族〜12族から選ばれる金属、M4は周期律表の8族〜10族から選ばれる金属、X1〜Xnはそれぞれ水素原子,ジアルキルアミノ基,アルコキシ基,アリールオキシ基,炭素数1〜20のアルキル基,炭素数6〜20のアリール基,アルキルアリール基,アリールアルキル基,置換アルキル基,有機メタロイド基又はハロゲン原子を示し、T1及びT2は、それぞれシクロペンタジエニル基,置換シクロペンタジエニル基,インデニル基又はフルオレニル基、T3はアルキル基を示す。mはM1,M2の原子価で1〜7の整数、nは2〜8の整数、gはL1−H,L2のイオン価数で1〜7の整数、hは1以上の整数,i=h×g/(n−m)である。〕
【0016】
M1及びM2の具体例としては、B,Al,Si,P,As,Sbなど、M3の具体例としては、Ag,Cuなど、M4の具体例としては、Fe,Co,Niなどが挙げられる。X1〜Xnの具体例としては、例えば、ジアルキルアミノ基としてジメチルアミノ基,ジエチルアミノ基、アルコキシ基としてメトキシ基,エトキシ基,n−ブトキシ基、アリールオキシ基としてフェノキシ基,2,6−ジメチルフェノキシ基,ナフチルオキシ基、炭素数1〜20のアルキル基としてメチル基,エチル基,n−プロピル基,iso−プロピル基,n−ブチル基,n−オクチル基,2−エチルヘキシル基、炭素数6〜20のアリール基,アルキルアリール基若しくはアリールアルキル基としてフェニル基,p−トリル基,ベンジル基,ペンタフルオロフェニル基,3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル基,4−ターシャリ−ブチルフェニル基,2,6−ジメチルフェニル基,3,5−ジメチルフェニル基,2,4−ジメチルフェニル基,1,2−ジメチルフェニル基、ハロゲンとしてF,Cl,Br,I、有機メタロイド基として五メチルアンチモン基,トリメチルシリル基,トリメチルゲルミル基,ジフェニルアルシン基,ジシクロヘキシルアンチモン基,ジフェニル硼素基が挙げられる。R5及びR6の置換シクロペンタジエニル基の具体例としては、メチルシクロペンタジエニル基,ブチルシクロペンタジエニル基,ペンタメチルシクロペンタジエニル基が挙げられる。
【0017】
一方、本発明に使用する触媒の(B)成分である遷移金属化合物としては、周期律表第3〜6族金属の化合物及びランタン系金属の化合物が挙げられる。そのうち第4族金属(チタン,ジルコニウム,ハフニウム,バナジウムなど)の化合物が好ましい。
【0018】
チタン化合物としては、様々なものがある。例えば、一般式(VIII)
Ti R2 aR3 bR4 cR5 4-(a+b+c) ・・・(VIII)
または、一般式(IX)
Ti R2 dR3 eR4 3-(d+e) ・・・(IX)
で表されるチタン化合物およびチタンキレート化合物よりなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物である。
この一般式(VIII)又は(IX)中のR2,R3,R4及びR5は、それぞれ水素原子,炭素数1〜20のアルキル基(具体的には、メチル基,エチル基,プロピル基,ブチル基,アミル基,イソアミル基,イソブチル基,オクチル基,2−エチルヘキシル基など),炭素数1〜20のアルコキシ基(具体的には、メトキシ基,エトキシ基,プロポキシ基,ブトキシ基,アミルオキシ基,ヘキシルオキシ基,2−エチルヘキシルオキシ基など),炭素数6〜20のアリール基,アルキルアリール基,アリールアルキル基(具体的には、フェニル基,トリル基,キシリル基,ベンジル基など),炭素数1〜20のアシルオキシ基(具体的には、ヘプタデシルカルボニルオキシ基など),シクロペンタジエニル基,置換シクロペンタジエニル基(具体的には、メチルシクロペンタジエニル基,1,2−ジメチルシクロペンタジエニル基,ペンタメチルシクロペンタジエニル基など),インデニル基あるいはハロゲン原子(具体的には、塩素,臭素,沃素,弗素)を示す。これらR2,R3,R4及びR5は、同一のものであっても、異なるものであってもよい。さらにa,b及びcは、それぞれ0〜4の整数を示し、またd及びeは、それぞれ0〜3の整数を示す。
【0019】
更に、好適なチタン化合物としては、一般式(X)
Ti R'XYZ ・・・(X)
〔式中、R'はシクロペンタジエニル基,置換シクロペンタジエニル基又はインデニル基を示し、X,Y及びZはそれぞれ独立に水素原子,炭素数1〜12のアルキル基,炭素数1〜12のアルコキシ基,炭素数6〜20のアリール基,炭素数6〜20のアリールオキシ基,炭素数6〜20のアリールアルキル基又はハロゲン原子を示す。〕
で表されるチタン化合物がある。この式中のR'で示される置換シクロペンタジエニル基は、例えば、炭素数1〜6のアルキル基で1個以上置換されたシクロペンタジエニル基,具体的には、メチルシクロペンタジエニル基,1,2−ジメチルシクロペンタジエニル基,ペンタメチルシクロペンタジエニル基などである。
さらに、チタン化合物としては、一般式(XI)
【0020】
【化3】
【0021】
〔式中、R6及びR7は、それぞれハロゲン原子,炭素数1〜20のアルコキシ基,アシロキシ基を示し、kは2〜20を示す。〕
で表される縮合チタン化合物を用いてもよい。また、上記チタン化合物は、エステルやエーテルなどと錯体を形成させたものを用いてもよい。
また、遷移金属化合物としてのジルコニウム化合物は、テトラベンジルジルコニウム,ジルコニウムテトラエトキシド,ジルコニウムテトラブトキシド,ビスインデニルジルコニウムジクロリド,トリイソプロポキシジルコニウムクロリド,ジルコニウムベンジルジクロリド,トリブトキシジルコニウムクロリドなどがあり、ハフニウム化合物は、テトラベンジルハフニウム,ハフニウムテトラエトキシド,ハフニウムテトラブトキシドなどがあり、さらにバナジウム化合物は、バナジルビスアセチルアセトナート,バナジルトリアセチルアセトナート,トリエトキシバナジル,トリプロポキシバナジルなどがある。これら遷移金属化合物のなかではチタン化合物が特に好適である。
【0022】
その他(B)成分である遷移金属化合物については、共役π電子を有する配位子を2個有する遷移金属化合物、例えば、一般式(XII)
M5R8R9R10R11 ・・・(XII)
〔式中、M5はチタン,ジルコニウムあるいはハフニウムを示し、R8及びR9は、それぞれシクロペンタジエニル基,置換シクロペンタジエニル基,インデニル基あるいはフルオレニル基を示し、R10及びR11は、それぞれ水素,ハロゲン,炭素数1〜20の炭化水素基,炭素数1〜20のアルコキシ基,アミノ基あるいは炭素数1〜20のチオアルコキシ基を示す。ただし、R8及びR9は炭素数1〜5の炭化水素基,炭素数1〜20及び珪素数1〜5のアルキルシリル基あるいは炭素数1〜20及びゲルマニウム数1〜5のゲルマニウム含有炭化水素基によって架橋されていてもよい。〕
で表される遷移金属化合物よりなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物がある。
【0023】
本発明の方法においては、触媒成分として、上記(A),(B)成分の他に、さらに所望により他の触媒成分、例えば、有機アルミニウムなどを加えることもできる。
この有機アルミニウムとしては、一般式(XIII)
R12 jAl(OR13)xHyX'z ・・・(XIII)
〔式中、R12及びR13はそれぞれ独立に炭素数1〜8、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基を示し、X'はハロゲンを示し、jは0<j≦3、xは0≦x<3、yは0≦y<3、zは0≦z<3であって、しかもj+x+y+z=3である〕
で表される有機アルミニウム化合物がある。
スチレン系重合体を製造するには、上記の(A)及び(B)成分を主成分とする触媒の存在下でスチレン系単量体を重合(あるいは共重合)する。ここで、スチレン系単量体とは、スチレン及び/又はスチレン誘導体を指称する。
【0024】
スチレン誘導体の具体例しては、p−メチルスチレン;m−メチルスチレン;o−メチルスチレン;2,4−ジメチルスチレン;2,5−ジメチルスチレン;3,4−ジメチルスチレン;3,5−ジメチルスチレン;p−エチルスチレン;m−エチルスチレン;p−tert−ブチルスチレンなどのアルキルスチレン、p−クロロスチレン;m−クロロスチレン;o−クロロスチレン;p−ブロモスチレン;m−ブロモスチレン;o−ブロモスチレン;p−フルオロスチレン;m−フルオロスチレン;o−フルオロスチレン;o−メチル−p−フルオロスチレンなどのハロゲン化スチレン、p−メトキシスチレン;m−メトキシスチレン;o−メトキシスチレン;p−エトキシスチレン;m−エトキシスチレン;o−エトキシスチレンなどのアルコキシスチレン、p−カルボキシメチルスチレン;m−カルボキシメチルスチレン;o−カルボキシメチルスチレンなどのカルボキシエステルスチレン、p−ビニルベンジルプロピルエーテルなどのアルキルエーテルスチレンなど、あるいはこれら二種以上混合したものが挙げられる。
【0025】
スチレン系単量体の重合(あるいは共重合)は、塊状重合,溶液重合,スラリー重合等、重合方法は特に問わない。特に、塊状重合は、生産性の点で優れている。
また、重合温度は、特に制限はないが、一般には0〜100℃、好ましくは50〜90℃である。
このようにして得られるスチレン系重合体は、高度のシンジオタクチック構造を有するものである。
ここで、スチレン系重合体における高度のシンジオタクチック構造とは、立体化学構造が高度のシンジオタクチック構造、即ち炭素−炭素結合から形成される主鎖に対して側鎖であるフェニル基や置換フェニル基が交互に反対方向に位置する立体構造を有することを意味し、そのタクティシティーは同位体炭素による核磁気共鳴法(13C−NMR法)により定量される。13C−NMR法により測定されるタクティシティーは、連続する複数個の構成単位の存在割合、例えば2個の場合はダイアッド、3個の場合はトリアッド、5個の場合はペンタッドによって示すことができるが、本発明に言う「高度のシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体」とは、通常はラセミダイアッドで75%以上、好ましくは85%以上、若しくはラセミペンタッドで30%以上、好ましくは50%以上のシンジオタクティシティーを有するポリスチレン,ポリ(アルキルスチレン),ポリ(ハロゲン化スチレン),ポリ(アルコキシスチレン),ポリ(ビニル安息香酸エステル)及びこれらの混合物、あるいはこれらを主成分とする共重合体を意味する。
【0026】
なお、ここでポリ(アルキルスチレン)としては、ポリ(メチルスチレン),ポリ(エチルスチレン),ポリ(イソプロピルスチレン),ポリ(ターシャリーブチルスチレン)などがあり、ポリ(ハロゲン化スチレン)としては、ポリ(クロロスチレン),ポリ(ブロモスチレン),ポリ(フルオロスチレン)などがある。また、ポリ(アルコキシスチレン)としては、ポリ(メトキシスチレン),ポリ(エトキシスチレン)などがある。これらのうち特に好ましいスチレン系重合体としては、ポリスチレン,ポリ(p−メチルスチレン),ポリ(m−メチルスチレン),ポリ(p−ターシャリーブチルスチレン),ポリ(p−クロロスチレン),ポリ(m−クロロスチレン),ポリ(p−フルオロスチレン)、さらにはスチレンとp−メチルスチレンとの共重合体を挙げることができる。
【0027】
本発明の方法では、上述のようにして製造された高度のシンジオタクチック構造を有する結晶性スチレン系重合体を精製するにあたって、処理剤として貧溶剤のみかあるいは貧溶剤と膨潤剤との混合溶剤を用いて処理することによって、スチレン系重合体中に残存する触媒成分などを効率よく除去したり、結晶性スチレン系重合体の色調を改善したりすることができる。
ここで、触媒活性が低い場合、スチレン系重合体中に残存する金属量が多くなるため脱灰する必要があり、スラリー状態で処理するのが望ましい。一方、触媒活性が高い場合には、残留金属量が少ないので脱灰の必要はなく、触媒を失活させればそれでよい。よって、スラリー状態で処理する必要はなく、パウダー状態での処理で十分である。
【0028】
第一発明の方法においては、例えば、結晶性スチレン系重合体を重合体中の触媒が活性を保持した状態でサンプリングし、特定の貧溶剤を添加し、スラリー状態で処理することによって、触媒成分を効率的に失活及び脱灰することができる。
本第一発明において、貧溶剤としては、一般式(I)
R−OH ・・・(I)
〔式中、Rは炭素数1〜6のアルキル基を示す。〕
又は、一般式(II)
NR3 ・・・(II)
〔式中、Rはそれぞれ水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示し、Rがアルキル基の場合、Rはそれぞれ同一であっても、異なるものであってもよい。〕
で表される化合物が用いられる。
ここで、炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基,エチル基,n−プロピル基,i−プロピル基,tert−ブチル基,n−ペンチル基,n−ヘキシル基などである。
この一般式(I)で表される化合物としては、様々なものがあるが、例えば、メタノール,エタノール,プロパノール,n−ブタノール,i−ブタノール,sec−ブタノール,tert−ブタノール,n−ペンタノール,i−ペンタノール,tert−ペンタノール,n−ヘキサノールなどが挙げられる。
【0029】
また、一般式(II)で表される化合物としては、様々なものがあるが、例えば、アンモニア及びアルキル基が1個のメチルアミン,エチルアミン,n−プロピルアミン,i−プロピルアミン,n−ブチルアミン,i−ブチルアミン,sec−ブチルアミン,tert−ブチルアミン、また、アルキル基が2個のジメチルアミン,ジエチルアミン,ジ−n−プロピルアミン、そして、アルキル基が3個のトリメチルアミン,トリエチルアミンなどが挙げられる。
上記一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、また、二種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中では、メタノール,エタノール,ジエチルアミン等が好ましく用いられる。
【0030】
貧溶剤の添加量は、貧溶剤を添加したときスラリー状態になる量であればよい。通常は、結晶性スチレン系重合体と添加する貧溶剤との総重量に対して、30〜95重量%,好ましくは50〜85重量%となるように添加される。この添加量が30重量%未満では、混合性が低下し、触媒成分の脱灰が充分にできないか、あるいは脱灰するのに長時間を要するので好ましくない。また、添加量が多過ぎると、その添加量の割りには脱灰効率が向上せず、プロセス的に不利になる。処理温度は、20℃以上、好ましくは重合体のTg以上で、また、スチレン系重合体が溶解する温度未満で処理されるが、重合体中の残留モノマーの量、貧溶剤の種類、貧溶剤の添加量あるいは重合体の組成(例えば、共重合量など)等によって上限温度は決まってくる。
【0031】
例えば、転化率80%のスチレン系重合体において、スラリー濃度20重量%でメタノールを使用した時、200℃でポリマー粒子が溶融し固着し合い、スラリー状態が維持できない。この処理温度が20℃未満では、添加した貧溶剤が重合体中に浸透しにくく、処理に時間を要し好ましくない。
また、精製処理時間は、重合体の組成、添加する貧溶剤の種類、貧溶剤の添加量、処理温度などに依存するので、一概に決定することはできないが、基本的には60分前後処理すればよい。
さらに、添加する貧溶剤中の水分量は処理工程において15ppm以上10000ppm以下、好ましくは50〜3000ppmに調整しておくのが好ましい。調整は通常行われている脱水方法で行うことができる。具体的には、溶剤を乾燥窒素によりバブリングを行う方法;モレキュラシーブ等の吸着剤,脱水剤を使用する方法等が挙げられる。水分量が15ppm未満の場合または10,000ppmを越えた場合は、いずれも、触媒由来の残留金属量の除去効率が低く、高純度のスチレン系重合体が得られないことがある。
【0032】
また、第二発明の方法においては、例えば、パウダー状の結晶性スチレン系重合体に特定の貧溶剤又は貧溶剤及び膨潤剤の混合溶剤を添加し、パウダー状を維持した状態で処理する必要がある。
本第二発明において、貧溶剤としては、一般式(III)
R−OH ・・・(III)
〔式中、Rは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。〕
又は、一般式(II)
NR3 ・・・(II)
〔式中、Rはそれぞれ水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示し、Rがアルキル基の場合、Rはそれぞれ同一であっても、異なるものであってもよい。〕
で表される化合物が用いられる。
ここで、炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基,エチル基,n−プロピル基,i−プロピル基,tert−ブチル基,n−ペンチル基,n−ヘキシル基などである。
この一般式(III)で表される化合物としては、様々なものがあるが、例えば、水,メタノール,エタノール,プロパノール,n−ブタノール,i−ブタノール,sec−ブタノール,tert−ブタノール,n−ペンタノール,i−ペンタノール,tert−ペンタノール,n−ヘキサノールなどが挙げられる。
【0033】
また、一般式(II)で表される化合物としては、様々なものがあるが、例えば、アンモニア及びアルキル基が1個のメチルアミン,エチルアミン,n−プロピルアミン,i−プロピルアミン,n−ブチルアミン,i−ブチルアミン,sec−ブチルアミン,tert−ブチルアミン、また、アルキル基が2個のジメチルアミン,ジエチルアミン,ジ−n−プロピルアミン、そして、アルキル基が3個のトリメチルアミン,トリエチルアミンなどが挙げられる。
上記一般式(III)又は一般式(II)で表される化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、また、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中では、メタノール,エタノール,ジエチルアミン等が好ましく用いられる。
【0034】
また、膨潤剤としては、溶解度パラメーター(SP値)が7〜10(cal/cm3)1/2のものが好ましく、特に好ましくはSP値が8〜9(cal/cm3)1/2のものである。ここで膨潤剤の種類は、特に制限されないが、例えば芳香族溶剤,脂肪族溶剤などが挙げられる。芳香族溶剤としては、ベンゼン,トルエン,エチルベンゼン,キシレン,スチレン等が挙げられ、好ましくはエチルベンゼン,キシレン,トルエンが用いられる。また、脂肪族溶剤としては、シクロヘキサン,メチルエチルケトン等が挙げられ、好ましくはシクロヘキサンが用いられる。
【0035】
本第二発明において、貧溶剤又は貧溶剤及び膨潤剤の混合溶剤の添加量は、結晶性スチレン系重合体に貧溶剤又は貧溶剤及び膨潤剤の混合溶剤を添加してもパウダー状態を維持できる量であればよい。通常は、結晶性スチレン系重合体と添加する貧溶剤又は貧溶剤及び膨潤剤の混合溶剤との総重量に対して、0.1〜30重量%、好ましくは1.0〜20重量%、さらに好ましくは2.0〜10重量%添加される。この添加量が0.1重量%未満では、結晶性スチレン系重合体の色調の改善が不十分になり、30重量%以上になると、パウダー状態が維持できず、固液分離等の後処理が必要となる。
貧溶剤及び膨潤剤の混合溶剤を使用する場合、その添加量は前述の如きであるが、配合割合としては、貧溶剤/膨潤剤の比が1〜100/99〜0、好ましくは20〜100/80〜0とするのがよい。膨潤剤が多すぎると重合物の溶解性が増すため、安定運転上好ましくない。精製処理に際しては処理容器に別々に添加してもまた、混合して混合溶剤としてから添加してもよい。
【0036】
また、処理温度は、重合体の共重合体組成,使用する処理剤の種類あるいは使用量等により異なり、一義的には決定されないが、一般的に重合体のガラス転移温度Tg以上で、スチレン系重合体が融着しはじめる温度以下で行われる。処理時間は、重合体の組成、添加する処理剤の種類、処理剤の添加量、処理温度などに大きく依存するので、一概に決定することはできないが、基本的には30〜180分、好ましくは60〜120分程度である。
本発明の方法においては、上記の手法により精製処理を行った後、洗浄を必要とせず、必要により乾燥を行うことによって精製された結晶性スチレン系重合体が得られる。
このように本発明においては、精製処理に貧溶剤あるいは貧溶剤と膨潤剤の混合溶剤を用いることによって、効率よく、しかも高純度に精製することができ、色調に優れた結晶性スチレン系重合体を得ることができる。
【0037】
【実施例】
更に、本発明を実施例及び比較例により、詳しく説明する。
参考例1
ペンタメチルシクロペンタジエニルチタントリメトキシド(A)、N,N−ジメチルアニリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)硼酸塩(B)及びトリイソブチルアルミニウム(C)からなる触媒を用いて、スチレン(SM)の重合〔SM:C:B:A=350,000:240:4:4(モル比)、70℃で4時間重合〕を行うことにより重合体(シンジオタクチックポリスチレン)を得た(転化率81%)。
得られた重合体100gを窒素雰囲気下、1リットルの処理槽に仕込んだ後、酸素を除き水分量を20ppmに調製したメタノール(MeOH)700ミリリットルを添加した。これを攪拌しながら150℃まで昇温後60分間保持して冷却後、濾過し、減圧乾燥した。得られたサンプル100重量部に、酸化防止剤として、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート0.2重量部及び(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイトを0.2重量部混合した後、射出成形して得た結果を第1表に示す。
【0038】
参考例2
参考例1の精製工程において、水分量を200ppmに調製したメタノールを使用したこと以外は、参考例1と同様に行った。得られた結果を第1表に示す。
参考例3
参考例1の精製工程において、水分量を2000ppmに調製したメタノールを使用したこと以外は、参考例1と同様に行った。得られた結果を第1表に示す。
参考例4
メタノールの使用量を150ミリリットルにした以外は参考例2と同様に行った。この場合、重合体の割合は46重量%になる。
【0039】
参考例5
トリイソブチルアルミニウム(A),メチルアルミノキサン(B),ペンタメチルシクロペンタジエニルチタントリメトキシド(C)からなる触媒を用いて、スチレン(SM)の重合〔SM:A:B:C=350,000:800:400:4(モル比)、80℃で6時間重合〕を行うことにより重合体(シンジオタクチックポリスチレン)を得た(転化率79%)。
得られた重合体100gを窒素雰囲気下、1リットルの処理槽に仕込んだ後、酸素を除いたエタノールを用いた以外は、参考例2と同様に実施した。得られた結果を第1表に示す。
参考例6
参考例2において、処理温度を170℃にした以外は、参考例2と同様に実施した。得られた結果を第1表に示す。
【0040】
参考例7
参考例1の重合の際、SM中に11モル%のパラメチルスチレン(PSM)を添加して重合し、PMS12モル%の重合体を得た(転化率84%)。
得られた重合体を参考例2と同様に処理し、以降、参 考例2と同様に実施した。得られた結果を第1表に示す。
参考例8
参考例2において、処理剤として、ジエチルアミン(DEtA)700ミリリットルを添加したした以外は、参考 例2と同様に実施した。得られた結果を第1表に示す。
比較例1
参考例2において得られた重合体をそのまま減圧乾燥させた。得られた結果を第1表に示す。
比較例2
参考例5において得られた重合体をそのまま減圧乾燥させた。得られた結果を第1表に示す。
【0041】
実施例1
参考例5と同じ触媒を用いて、スチレン(SM)の重合〔SM:A:B:C=350,000:80:40:0.4(モル比)、70℃で15時間重合〕を行うことにより重合体(シンジオタクチックポリスチレン)を得た(転化率65%)。得られた重合体100gを窒素雰囲気下、1リットルの処理槽に仕込んだ後、酸素を除いたメタノールを2重量%添加し、20℃で10時間攪拌した以外は、参考例5と同様に実施した。得られた結果を第2表に示す。
【0042】
実施例2
参考例1と同じ触媒を用いて、0.5kg/cm2Gの水素圧下でスチレン(SM)の重合〔SM:C:B:A=350,000:40:2:2(モル比)、70℃で4時間重合〕を行うことにより重合体(シンジオタクチックポリスチレン)を得た(転化率78%)。
得られた重合体150gを窒素雰囲気下、1リットルの処理槽に仕込んだ後、酸素を除いたメタノール2.5ミリリットルを添加した。これを攪拌しながら100℃まで昇温後3時間保持して冷却後、乾燥した。得られたサンプルを参考例1と同様にして射出成形して得た結果を第2表に示す。
【0043】
実施例3
実施例2において、メタノール2.5ミリリットルに代えて水2ミリリットルを用い、かつ100℃まで昇温後3時間保持したことに代えて130℃まで昇温後1時間保持した以外は、実施例2と同様に行った。得られた結果を第2表に示す。
【0044】
実施例4
実施例2において、メタノール2.5ミリリットルに代えてエタノール2.5ミリリットルを用い、かつ100℃まで昇温後3時間保持したことに代えて130℃まで昇温後1時間保持した以外は、実施例2と同様に行った。得られた結果を第2表に示す。
【0045】
実施例5
実施例2において、メタノール2.5ミリリットルに代えてエチルベンゼン(EB)25ミリリットルとメタノール2.5ミリリットルの混合溶剤を用い、かつ100℃まで昇温後3時間保持したことに代えて130℃まで昇温後1時間保持した以外は、実施例2と同様に行った。得られた結果を第2表に示す。
【0046】
実施例6
参考例1と同じ触媒を用いて、0.5kg/cm2Gの水素圧下でSM中に11モル%のパラメチルスチレン(PMS)を添加して重合〔SM:C:B:A=350,000:40:2:2(モル比)、70℃で4時間重合〕を行うことにより重合体(シンジオタクチックポリスチレン−パラメチルスチレン共重合体)を得た(転化率75%)。
得られた重合体150gを窒素雰囲気下、1リットルの処理槽に仕込んだ後、酸素を除いたメタノール2.5ミリリットルを添加した。これを攪拌しながら100℃まで昇温後3時間保持して冷却後、乾燥した。得られたサンプルを参考例1と同様にして射出成形して得た結果を第2表に示す。
【0047】
実施例7
実施例6において、メタノール2.5ミリリットルに代えて水2ミリリットルを用いた以外は、実施例6と同様に行った。得られた結果を第2表に示す。
実施例8
参考例5と同じ触媒を用いて、0.5kg/cm2Gの水素圧下でスチレン(SM)の重合〔SM:C:B:A=350,000:400:200:2(モル比)、70℃で4時間重合〕を行うことにより重合体(シンジオタクチックポリスチレン)を得た(転化率75%)。
得られた重合体150gを窒素雰囲気下、1リットルの処理槽に仕込んだ後、酸素を除いたメタノール2.5ミリリットルを添加した。これを攪拌しながら100℃まで昇温後3時間保持して冷却後、乾燥した。得られたサンプルを参考例1と同様にして射出成形して得た結果を第2表に示す。
【0048】
実施例9
実施例8において、メタノール2.5ミリリットルに代えて水2ミリリットルを用いた以外は、実施例8と同様に行った。得られた結果を第2表に示す。
実施例10
参考例5と同じ触媒を用いて、0.5kg/cm2Gの水素圧下で、SM中に11モル%のパラメチルスチレン(PMS)を添加して重合〔SM:C:B:A=350,000:400:200:2(モル比)、70℃で4時間重合〕を行うことにより重合体(シンジオタクチックポリスチレン−パラメチルスチレン共重合体)を得た(転化率71%)。
得られた重合体150gを窒素雰囲気下、1リットルの処理槽に仕込んだ後、酸素を除いたメタノール2.5ミリリットルを添加した。これを攪拌しながら100℃まで昇温後3時間保持して冷却後、乾燥した。得られたサンプルを参考例1と同様にして射出成形して得た結果を第2表に示す。
【0049】
実施例11
実施例10において、メタノール2.5ミリリットルに代えて水2ミリリットルを用いた以外は、実施例10と同様に行った。得られた結果を第2表に示す。
比較例3
実施例2において得られた重合体をそのまま減圧乾燥させた。得られた結果を第2表に示す。
比較例4
実施例6において得られた重合体をそのまま減圧乾燥させた。得られた結果を第2表に示す。
比較例5
実施例8において得られた重合体をそのまま減圧乾燥させた。得られた結果を第2表に示す。
比較例6
実施例10において得られた重合体をそのまま減圧乾燥させた。得られた結果を第2表に示す。
【0050】
なお、表中の注書は、次の通りである。
*1:脱灰度(DE値)は、次の数式により得られ、1に近い程脱灰性に優れることを意味する。
DE=1−〔処理後の残留金属量(重量ppm)
/処理前の残留金属量(重量ppm))
*2:黄色指数(Yellow Index)
試験片を空気下200℃で12時間保持した以外は、JIS K 7103に準拠して行った。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】
【表4】
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば、触媒の存在する重合反応系で生成したスチレン系重合体に貧溶剤又は貧溶剤及び膨潤剤の混合溶剤を添加し、処理することによって、高純度かつ色調に優れた高品質の結晶性スチレン系重合体を得ることができる。
したがって、本発明は、高度のシンジオタクチック構造の結晶性スチレン系重合体を高純度でしかも効率よく製造する方法として、工業的価値が極めて高い。
Claims (1)
- (A)(1)アルミノキサンあるいは(2)カチオンと複数の基が金属に結合したアニオンとからなる配位錯化物及び(B)遷移金属化合物からなる触媒を用いて得られた高度のシンジオタクチック構造を有する結晶性スチレン系重合体に、一般式(I)
R−OH ・・・(I)
〔但し、Rは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を 示す。〕
で表される化合物から選ばれる貧溶剤を、結晶性スチレン系重合体と添加する貧溶剤との総重量に対して、1.0 〜10重量%添加し、スラリー状態での脱灰操作を伴うこ となく、パウダー状態で触媒の失活処理をすることを特徴とするスチレン系重合体の精製方法。
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