JPH0592407U - エンジンのオイルポンプ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 エンジンの停止時において、空気がオイルポ
ンプ内に混入することなく、常にオイルがポンプのロー
タ及び油路内に充満しており、再始動の際には油圧の立
ち上りが遅れることなく直ちにオイルの各部への供給が
開始され、しかも構造が簡単であるオイルポンプ装置を
提供する。 【構成】 オイルポンプ１０の軸封部２１とオイルシー
ル６との間の空間に漏出したオイルをオイル逃し通路９
によりオイルパン１２内に還元回収させるオイルポンプ
装置において、オイル逃し通路９内にオイルポンプ１０
よりオイルパン１２への方向のオイルの流れを許容し、
その反対方向の流れを阻止するオイル逆止弁１５を設
け、かつ、オイルポンプ１０の吐出油路７の下流側にオ
イルの下流の流れの方向にのみ通ずる逆止弁２０を配設
する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、エンジンのオイルポンプ装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来のエンジンのオイルポンプにおいては、オイルポンプの駆動軸（オイルポ ンプシャフト）がオイルポンプハウジングを貫通する軸封部よりポンプ内のオイ ルがエンジン外部に漏出することを防ぐためにオイルポンプハウジングの外端部 にオイルシールが設けられているがこのシール部分と前記軸封部との間にオイル ポンプ内から漏出した高圧のオイルが充満するためにオイルシールが所定の位置 より外側に飛び出すおそれがあり、このためにこの高圧オイルを他の低圧部に連 通させて減圧してオイルを回収するための種々の工夫がなされている。

【０００３】 図３は従来のエンジンの通常のオイルポンプ装置においてこのシール部分に充 満したオイルをオイル逃し通路により直接オイルパン内に連通させた例を示し、 シリンダブロック１に取り付けられたオイルポンプ１０はドライブギヤ３により オイルポンプシャフト４を経て駆動されるロータ５によりオイル吸入油路８を経 てオイルパン１２内のオイルをオイル吸込み口１１より吸入し、オイル吐出油路 ７よりオイルを吐出してエンジン各部にオイルを圧送し潤滑を行っている。この ときオイルポンプハウジング２をオイルポンプシャフト４が貫通している軸封部 ２１よりオイルがオイルポンプ１０の外部に漏出することを防ぐためにオイルポ ンプハウジング２の外端部に設けられたオイルシール６の背面とオイルポンプの 軸封部２１との間に溜ったオイルを排出するためのオイル逃し通路（内圧逃し穴 ）９がオイルポンプハウジング２内に穿設され、この通路は更にシリンダブロッ ク１内を通り、直接オイルパン１２の上部空間の大気に通じて開口し、オイルの 減圧と回収とを行っている。

【０００４】 また、特開昭５８−２０４９０６号公報及び実開昭６１−１１４０８５号公報 においては、それぞれ、前記オイルポンプの軸封部と前記オイルシールとの間に 形成される空間をオイルポンプの吸入油路内に連通させて吸入油路の負圧を利用 して前記オイルの油圧の低減を図っている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

前記特開昭５８−２０４９０６号公報及び実開昭６１−１１４０８５公報に示 された方法は、漏出オイルの排出先として直接ロータの負圧側を利用しているた め、強い負圧が直接オイル逃し通路に加わり、軸封部・オイルシール・オイル逃 し通路を循環するオイル量の増加や、オイルシールに加わる圧力の不均衡を招き かねず好ましくない。また、漏出オイルの排出先をシリンダブロック内の吸入油 路内に設定すると、工作が困難な場合がある。

【０００６】 これに対し、上記のオイル逃し通路を直接オイルパン内に連通させる場合には 前記２つの引例に示されたようなオイルポンプの吸入油路に連通させる方法より もオイル逃し通路の配置にあたって、その選択の自由度が大きく一般のオイルポ ンプに容易に適用され、また、構造も簡単である。しかし反面、オイル逃し通路 ９の開口部９３がオイルパン１２内の大気に開放しているため、ここより空気が 混入し易い欠点がある。すなわち、エンジン停止時に開口部９３より空気がオイ ル逃し通路９内に吹い込まれると、この空気が更にオイルポンプ１０のロータ５ 及び吸入油路８内に入り、このために吸入通路８内のオイルがオイルパン１２内 に落とされて戻ってしまう。そのためエンジンの再始動の際にオイルポンプ１０ の油圧の立ち上りが遅れ、ベアリングが損傷することがある。

【０００７】 上記の問題を解決するために本考案においては、エンジンの停止時において空 気がオイルポンプ内に混入することなく、常にオイルがポンプのロータ及び油路 内に充満して再始動の際には油圧の立ち上りが遅れることなく直ちにオイルの各 潤滑部への供給が開始され、しかも構造が簡単であるオイルポンプ装置を提供す ることを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

上記の目的を達成するために本考案においては、エンジンのシリンダブロック に取り付けられたオイルポンプハウジング内に、ロータとオイルポンプシャフト を備え、かつ、前記オイルポンプハウジングの軸封部にオイルシールを配設し、 オイルポンプより漏出したオイルをオイルパン内に還流させるためにオイル逃し 通路を設けて前記オイルシールと前記オイルパンとの間を連通させたオイルポン プ装置において、前記オイル逃し通路内にオイルポンプよりオイルパンへの方向 のオイルの流れを許容し、その反対方向の流れを阻止するオイル逆止弁を設け、 かつ、前記オイルポンプより吐出するオイルの吐出油路の下流側にオイルの下流 の流れの方向にのみ通ずる逆止弁を配設したことを特徴とするエンジンのオイル ポンプ装置を提供する。

【０００９】

【作用】

エンジンが回転し、オイルポンプが駆動されるとオイルパン内に開口したオイ ル吸い込み口よりオイルが吸い込まれ、吸入油路を通りロータに入り、ロータに より加圧されたオイルはオイル吐出油路を経てエンジンの各潤滑部分に給油され る。このとき、オイルポンプの軸封部に漏出したオイルはその外端部に設けられ たオイルシールに遮ぎられてポンプ外部に漏れることがなく、余剰のオイルはオ イル逃し通路を経てオイルパン内に戻され回収される。エンジン停止時には、前 記オイル逃し通路のオイルパンへの開口部よりオイル逃し通路内に空気が入り易 いが、例え、空気が入っても、オイル逃し通路内に設けられた逆止弁により遮ぎ られて空気はロータ内に入ることは無く、また、吐出油路の下流にも逆止弁が設 けてあるために、ここからもポンプ内に空気は入ることは無く、したがって常に オイルポンプ及びその油路にはオイルが充満し、オイルポンプ装置内が空になる ことは無い。したがってエンジン始動時にもオイルポンプは直ちに稼動し、油圧 の上昇の立上りが遅れてベアリングに損傷を与えるということが防止される。

【００１０】

【実施例】

本考案の実施例を図面に基いて説明する。図１は本実施例を通常のオイルポン プ装置に適用した場合の主要部の構造を示す断面模式図である。図はそれぞれの 要部の配置関係を中心として示したもので、例えば、シリンダブロックに対する オイルパンの大きさ等は必ずしも実物の寸法に比例してはいない。また、前述の 従来技術例としてあげた図３と共通の部分については共通の符号及び名称を用い ている。

【００１１】 図において、１はシリンダブロック、２はオイルポンプハウジング、３はドラ イブギヤ（これはオイルポンプを駆動するためのエンジンの動力の伝動手段であ ればチェインスプロケット等他の伝動装置でも良い。）、４はオイルポンプシャ フト、５はロータ（この型式は回転式であれば良く、特に指定はしない。）、６ はオイルシール、７は吐出油路（吐出ポートとも言う）、８は吸入油路（吸入ポ ートとも言う）、９はオイル逃し通路（内圧逃し穴とも言う）、１０はオイルポ ンプ、１１はオイル吸込み口、１２はオイルパンである。以上は図３で示した従 来技術の構成と変りは無いが、本考案においてはこれに加えて、図示の通り、オ イル逃し通路９内に逆止弁１５を、吐出油路７の下流側に逆止弁２０を配設して いる。

【００１２】 逆止弁１５は図２に示す構造でボール１７、スプリング１８より成り、オイル 逃し通路９内に配置され矢印Ｌ₃ の方向にはオイルの流れを許容するがその反対 方向にはボール１７で閉鎖されて流れを阻止するように構成されている。オイル 逃し通路９は逆止弁１５により、それより上流側通路９１と下流側通路９２とに 分けられる。

【００１３】 逆止弁２０は図１に示す通り、吐出油路７の下流側に配設し、これにより、吐 出油路７内を流れるオイルＬ₂ の流れを図示矢印の方向の流れは許容するがその 反対方向の流れは阻止している。 上記の構成により、エンジンが回転し、オイルポンプ１０が作動すると、オイ ルパン１２内のオイルＬはオイル吸込み口１１より吸入油路８内に吸い込まれ、 オイルの流れＬ₁ となりロータ５内に入りロータ５より吐出油路７に吐出され、 オイルの流れＬ₂ となって逆止弁２０を通過したあとエンジンの各潤滑部位に分 配供給される。また、ロータ５に入ったオイルの一部はオイルポンプハウジング ２とオイルポンプシャフト４との間の軸封部２１を通りオイルポンプハウジング ２の外端部に設けられたオイルシール６に当接し、ここで遮られてここに溜まっ たオイルはこれよりオイル逃し通路９に入りオイルの流れＬ₃ となり途中逆止弁 １５を通過したあとオイル逃し通路９２を通りオイルパン１２の上部に開口され たオイル逃し通路開口部（内圧逃し穴）９３よりオイルパン１２内の大気中に流 出する。

【００１４】 以上の構成、作用により、従来、逆止弁１５が無いためにエンジン停止時にオ イルパン１２内の空気がオイル逃し通路９内を逆流してロータ５に達し、吸入油 路８内のオイルが流出するということが無くなり、また、吐出油路７の下流側に も逆止弁２０を設けてあるために、エンジンが停止した時にも一旦吐出油路７を 満たしたオイル中に吐出油路７の更に下流より空気が入りこのためにオイルが逆 流するということも無く、したがって、吐出油路７、ロータ５、吸入油路８及び オイル逃し通路９の中逆止弁１５より上流側（オイルシール６側）に位置するオ イル逃し通路９１内のオイルはオイルパン１２内に落下流出することは無く、常 に満たされた状態にある。

【００１５】 上記の通り、それぞれの油路に逆止弁を配設するという簡単な構成でオイルポ ンプ装置内には常にオイルが満たされており、エンジン始動時にオイルポンプの 油圧の立ち上りが遅いという従来の問題点が解消される。

【００１６】

【考案の効果】

本考案を実施することにより次の効果を奏する。 （１）エンジンの停止後、オイルポンプ及びその油路に空気が混入してオイル がオイルパン内に落下流出することが無くなり、エンジン始動時の油圧の立ち上 りが早く、各潤滑部位のオイル切れによる損傷が防止される。

【００１７】 （２）簡単な装置で従来のオイルポンプ装置の改善が行われ、コスト的にも有 利である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例を示すオイルポンプ装置の模式
断面図である。

【図２】本考案の実施例によるオイルポンプ装置の逆止
弁の模式断面図である。

【図３】従来技術によるオイルポンプ装置の模式断面図
である。

【符号の説明】

１…シリンダブロック ２…オイルポンプハウジング ３…ドライブギヤ ４…オイルポンプシャフト ５…ロータ ６…オイルシール ７…吐出油路 ８…吸入油路 ９…オイル逃し通路 １０…オイルポンプ １１…オイル吸込み口 １２…オイルパン １５，２０…逆止弁 ２１…軸封部 Ｌ…オイル

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 エンジンのシリンダブロック（１）に取
   り付けられたオイルポンプハウジング（２）内に、ロー
   タ（５）とオイルポンプシャフト（４）を備え、かつ、
   前記オイルポンプハウジングの軸封部（２１）にオイル
   シール（６）を配設し、オイルポンプ（１０）より漏出
   したオイル（Ｌ）をオイルパン（１２）内に還流させる
   ためにオイル逃し通路（９）を設けて前記オイルシール
   （６）と前記オイルパン（１２）との間を連通させたオ
   イルポンプ装置において、前記オイル逃し通路（９）内
   にオイルポンプ（１０）よりオイルパン（１２）への方
   向のオイルの流れを許容し、その反対方向の流れを阻止
   するオイル逆止弁（１５）を設け、かつ、前記オイルポ
   ンプ（１０）より吐出するオイルの吐出油路（７）の下
   流側にオイルの下流の流れの方向にのみ通ずる逆止弁
   （２０）を配設したことを特徴とするエンジンのオイル
   ポンプ装置。