JPH059082Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、ハンマクラツシヤのロータに係り、
特にロータのスパイダの損耗を防止するために用
いるロータの保護装置に関する。

［従来の技術］ 従来、金属廃棄物などの被処理物を破砕するよ
うにしたハンマクラツシヤのロータとしては、相
互に隣接して交叉する複数のスパイダにハンマが
列設されており、ロータの高速回転により被処理
物はハンマによる衝撃、せん断力などを受けて破
砕される。ハンマクラツシヤの長時間運転によ
り、ハンマの摩耗が進展すると破砕能力が低減さ
れるので、ハンマを補修したり新規ハンマと交換
されて使用される。また、ハンマが列設されてい
るスパイダの外方先端部にしてロータの回転方向
に面した隅部においても、ハンマによる破砕作用
に伴つて、ハンマの摩耗と比較すれば軽度である
が摩耗を発生させ、摩耗が進展するとロータの高
速回転を不円滑にさせてしまう。

第４図は、従来のハンマクラツシヤのロータの
一例を示す断面図であり、ロータ１０′の中心部
に主軸１１を有し、主軸１１には相互に隣接して
交叉する複数のスパイダ１２′，１３′が固着され
て列設されている。スパイダ１２′には大ハンマ
１５が、スパイダ１３′には小ハンマ１６とがそ
れぞれ係合されている。ロータ１０′は矢印Ａ方
向に回転され、１７，１８はスパイダ１２′，１
３′のロータ１０′の回転方向に面した隅部をそれ
ぞれしめしている（特公昭52−49863号公報）。

［考案が解決しようとする課題］ しかし、このハンマクラツシヤのロータ１０′
では、スパイダ１２′，１３′のロータ１０′の回
転方向に面した隅部１７，１８が、被処理物との
接触により摩耗を発生させ、ハンマクラツシヤの
長時間運転により摩耗を大きく進展させてしま
う。このために、摩耗した隅部１７，１８は硬化
肉盛溶接により補修されるが、補修のために多く
の時間を必要としてハンマクラツシヤの休止時間
も増加するのみならず、硬化肉盛溶接により補修
された隅部１７，１８の耐用時間は比較的短期間
であるので頻繁な補修を余儀なくされ、運転コス
トを増大させてしまうことがあり好ましくない。

本考案は、上述の問題点を解決するためになさ
れたもので、その目的は、ロータのスパイダの隅
部が摩耗により損傷されることがなく保護され、
隅部を包囲するキヤツプライナが着脱自在に装着
され、耐摩耗性材料を用いてキヤツプライナの耐
用期間を延長させて、ハンマクラツシヤのロータ
の補修のための時間を短縮させて保守を容易にす
ることができるロータの保護装置を得ることにあ
る。

［課題を解決するための手段］ 本考案によれば、相互に隣接して交叉する複数
のスパイダにハンマを列設したハンマクラツシヤ
のロータにおいて、前記ロータの回転方向に面し
たスパイダの隅部を包囲する着脱自在のキヤツプ
ライナを装着し、前記キヤツプライナの端面はス
パイダの隅部の垂直面に当接されるとともに、キ
ヤツプライナの底部は隅部の溝状部に係合され
る。

［作用］ 以上の構成により、ハンマクラツシヤの長時間
運転によりキヤツプライナの摩耗が進展しても、
キヤツプライナの着脱が自在であるので、新規な
キヤツプライナと短時間にて交換できて、保守を
容易にすることができる。またキヤツプライナの
端面および底部がスパイダの隅部と確実に当接さ
れ、係合されるのでロータの高速回転に対しても
確実に締結させることができる。

［実施例］ 以下、図面を参照して本考案の一実施例を説明
する。

第１図は、本考案に係るロータのライナ構造の
全体を示す概略説明図、第２図は、第１図のスパ
イダの隅部を示す拡大斜視図、第３図は、第１図
のキヤツプライナの装着状態を示す拡大断面図で
ある。

第１図において、ハンマクラツシヤのロータ１
０は中心部に主軸１１を有し、主軸１１には相互
に隣接して交叉する複数のスパイダ１２，１３が
固着されて列設されている。スパイダ１２には大
ハンマ１５がスパイダ１３には小ハンマ１６とが
それぞれピンなどにより遊動して係合されてい
る。ロータ１０は矢印Ａ方向に回転され、１７，
１８はスパイダ１２，１３のロータ１０の回転方
向側に面した隅部をそれぞれしめし、スパイダ１
２，１３の外周端近傍に設けられている。

また、隅部１７，１８には隅部１７，１８を包
囲しているキヤツプライナ２５，２６がそれぞれ
着脱自在に装着されている。

第２図において、スパイダ１２の隅部１７は、
スパイダ１２の半径方向を指向している垂直面２
１と、垂直面２１と直交している水平面２３と、
垂直面２１と水平面２３との間に設けられた突起
部２２と、突起部２２の下端に設けられた溝状部
２４とからなり、すなわち〓（ほぞ）状に形成さ
れている。２５は突起部２２のほぼ中央部に開口
された孔部をしめし、前記キヤツプライナ２５を
装着するためのものである。

第３図において、キヤツプライナ２５はスパイ
ダ１２の隅部１７を包囲するように装着され、キ
ヤツプライナ２５のほぼ中央部に孔部３２が設け
られ、突起部２２の孔部２７と共通してピン２８
が挿入され、ピン２８はピン押え２９と押しボル
ト３０によつて固着される。このさい、キヤツプ
ライナ２５の底部３１は〓孔状に形成されて、前
記隅部１７，１８の突起部２２，２２の溝状部２
４，２４に係合されるとともに、キヤツプライナ
２５の端面は第２図示の隅部１７の垂直面２１と
密着するように当接されている。また、摩耗され
たキヤツプライナ２５を新規なキヤツプライナ２
５と交換する場合は、前記押しボルト３０を取外
すことにより、ピン２８およびピン押え２９を引
抜いて、キヤツプライナ２５を隅部１７の突起部
２２から脱着される。

なお、この実施例では、前記スパイダ１２，１
３には高張力鋼が用いられており、また、キヤツ
プライナ２５，２６には耐摩耗鋼が用いられてお
り、堅牢にして、耐摩耗性を備えるようにされて
いる。

次に作用を説明する。

ロータ１０の高速回転により被処理物は大ハン
マ１５および小ハンマ１６による衝撃・せん断力
などを受けて破砕される。そして、キヤツプライ
ナ２５，２６も被処理物との衝突により衝撃・せ
ん断力が作用する。このさいキヤツプライナ２
５，２６の端面は、隅部１７，１８の垂直面２
１，２１に当接させるので、スパイダ１２，１３
の外方先端部にて周方向力を支持することとなり
キヤツプライナ２５，２６を隅部１７，１８に確
実に装着させることができる。また、キヤツプラ
イナ２５，２６は、ロータ１０の高速回転に伴う
遠心力を隅部１７，１８の溝状部２４，２４と底
部３１，３１との係合により支持しているので、
ピン２８，２８には過大な破砕荷重が直接に作用
することを回避できて、確実に締結させることが
できる。

このようにして、キヤツプライナ２５，２６は
スパイダ１２，１３の隅部１７，１８への着脱を
容易にすることを可能とし、短時間にて交換でき
て、保守を容易にすることができる。また、キヤ
ツプライナ２５，２６はスパイダ１２，１３の隅
部１７，１８に溶接構造にて固着することを回避
できるので、低溶接性を呈する上記材料からなる
キヤツプライナ２５，２６およびスパイダ１２，
１３との溶接施工における信頼性についての考慮
を省略することができる。

なお、前述のスパイダ１２，１３の隅部１７，
１８の突起部２２，２２およびキヤツプライナ２
５，２６の〓状構造は、本実施例のみに限定され
るものではなく、多くの態様を採用することがで
きる。

［考案の効果］ 以上述べたように、本考案によれば、ハンマク
ラツシヤの長時間運転によりキヤツプライナの摩
耗が進展しても、キヤツプライナの着脱が自在で
あるので、新規なキヤツプライナと短時間にて交
換できて、保守を容易にすることができる。ま
た、キヤツプライナの端面および底部がスパイダ
の隅部と確実に当接され、係合されるのでロータ
の高速運転に対しても確実に締結させることがで
きるとともに、ロータのスパイダの損耗を防止す
ることが可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案に係るロータのライナ構造の
全体を示す概略説明図、第２図は、第１図のスパ
イダの隅部を示す拡大斜視図、第３図は、第１図
のキヤツプライナの装着状態を示す拡大断面図、
第４図は、従来のハンマクラツシヤのロータの一
例を示す断面図である。 １０……ロータ、１２，１３……スパイダ、１
５，１６……ハンマ、１７，１８……隅部、２１
……垂直面、２４……溝状部、２５，２６……キ
ヤツプライナ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 相互に隣接して交叉する複数のスパイダにハン
   マを列設したハンマクラツシヤのロータにおい
   て、前記ロータの回転方向に面したスパイダの隅
   部を包囲する着脱自在のキヤツプライナを装着
   し、前記キヤツプライナの端面はスパイダの隅部
   の垂直面に当接されるとともに、キヤツプライナ
   の底部は隅部の溝状部に係合されることを特徴と
   するロータの保護装置。