JPH0590004U - メッセンジャーワイヤー吊下形機器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 メッセンジャーワイヤーへの取付を片手で行
うことのできるメッセンジャーワイヤー吊下形機器を提
供する。 【構成】 機器ケースの上側に設けられた取付具は、機
器ケースの上面に備えられた受座と、その上に上下動自
在に備えられた締付片と、後者を前者に締着する締付ね
じからなる。締付片におけるメッセンジャーワイヤー導
入側の端面は、その端面をメッセンジャーワイヤーに押
し付けることにより締付片が受座から持ち上がってメッ
センジャーワイヤーが締付片の下面側に導入され得るよ
う、上部側が突出し下部側が引込んだ斜面にしてある。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は高所に張られたメッセンジャーワイヤーに対して吊掛状に取付けて使 用されるメッセンジャーワイヤー吊下形機器に関する。

【０００２】

【従来の技術】

この種のメッセンジャーワイヤー吊下形機器は、機器ケースの上面側に該機器 ケースをメッセンジャーワイヤーに取付ける為の取付具が設けられ、該取付具は 、機器ケースの上面に備えられた受座と、受座の上方に受座に対して遠近自在に 備えられしかも下面にメッセンジャーワイヤー嵌合用の嵌合凹部を備えている締 付片と、受座に対し締付片を締着可能に連結する締付ねじとから成り、メッセン ジャーワイヤーを受座と締付片との間にその側方から導入すると共に、そのメッ センジャーワイヤーを上記嵌合凹部に嵌合させた状態において、上記締付ねじに より上記受座と締付片との間に上記メッセンジャーワイヤーを締着するようにし てある（例えば実公昭６２−３３４１４号公報参照）。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

この従来のメッセンジャーワイヤー吊下形機器では、メッセンジャーワイヤー に対する取付の場合、一方の手でケースを支えると同時に他方の手で締付片を持 ち上げ、その状態を維持しながらメッセンジャーワイヤーに対してそれが締付片 の下面側の嵌合凹部に嵌合するように吊り掛ける必要がある。即ち作業者の両手 が塞がる状態の作業を要する問題点がある。このことは電柱上のような高所での 作業の場合、作業者は両手離しの状態での作業を強いられることであり非常に危 険を伴なう問題点があった。尚上記問題点を解決しようとして、ばねにより上記 締付片を持ち上げるようにする試みもあるが、そのようなものは、部品点数の増 大やメーカーでの組立作業工数の増大の為に製品価格の上昇を招く問題点や、屋 外で風雨に晒される使用状態においてゴミが付着して腐蝕を招き、耐久性を劣ら せる問題点があり、現場での採用は困難なものであった。

【０００４】 本願考案は上記従来技術の問題点（技術的課題）を解決する為になされたもの で、締付片をメッセンジャーワイヤーに吊り掛ける場合、メッセンジャーワイヤ ーを利用して締付片をメッセンジャーワイヤーの上に持ち上げることができて、 メッセンジャーワイヤーへの吊り掛け作業を片手で安全に行なうことができるよ うにしたメッセンジャーワイヤー吊下形機器を提供することを目的としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成する為に、本願考案におけるメッセンジャーワイヤー吊下形機 器は、機器ケースの上面側に該機器ケースをメッセンジャーワイヤーに取付ける 為の取付具が設けられ、該取付具は、機器ケースの上面に備えられた受座と、受 座の上方に受座に対して遠近自在に備えられしかも下面にメッセンジャーワイヤ ー嵌合用の嵌合凹部を備えている締付片と、受座に対し締付片を締着可能に連結 する締付ねじとから成り、メッセンジャーワイヤーを受座と締付片との間にその 側方から導入すると共に、そのメッセンジャーワイヤーを上記嵌合凹部に嵌合さ せた状態において、上記締付ねじにより上記受座と締付片との間に上記メッセン ジャーワイヤーを締着するようにしてあるメッセンジャーワイヤー吊下形機器に おいて、上記締付片における上記メッセンジャーワイヤーの導入側の端面は、該 端面をメッセンジャーワイヤーに押し付けることにより締付片が受座から持ち上 がってメッセンジャーワイヤーが締付片の下面側に導入され得るよう、上部側が 突出し下部側が引込んだ斜面にしたものである。

【０００６】

【作用】

締付片におけるメッセンジャーワイヤー導入側の端面をメッセンジャーワイヤ ーに押し付けると締付片が持ち上がって受座と締付片との間に口が開く。その口 からメッセンジャーワイヤーを締付片の下面側に導き入れて、締付片の下面の嵌 合凹部をメッセンジャーワイヤーに嵌合させることができる。

【０００７】

【実施例】 以下本願の実施例を示す図面について説明する。メッセンジャーワイヤー吊下 形機器の一例として共同受信用機器を示す図１において、１は周知の機器ケース を示し、夫々アルミ合金で形成された本体２及び蓋体３とから構成され、両者は 相互に図示の如く合着させた状態でねじ棒４により一体に結合してある。このケ ース１の内部には周知のように増幅回路或いは分岐分配回路等の電子回路が収納 される。５は本体２に取付けた接栓で、入力端子、出力端子或いは分岐分配端子 を構成するものである。次に図１、２に示す７は上記機器ケース１の上側に設け た取付具で、蓋体３の上面に備えた受座８と、その受座８の上側に受座に対して 遠近自在に備えられた締付片９と、受座８に対し締付片９を締着可能に連結する 締付ねじ10とから構成してあり、図１の如く、受座８と締付片９との間に符号11 で示される導入側から導入したメッセンジャーワイヤー30を両者間に締着するよ うにしてある。尚本件明細書中においては受座８及び締付片９において上記メッ センジャーワイヤー30が導入される側を前と呼びその反対の側を後とも呼ぶ。

【０００８】 上記受座８について説明する。この受座８は蓋体３と一体に形成してある。12 はその上面に形成された嵌合凹部で、メッセンジャーワイヤー30を受座８に対し 定位置に位置させる為のものである。13は導入側の端面を示し、図示の如く下部 側が突出し、上部側が引っ込んだ斜面に形成してある。14は締付片案内面を示し 、締付片９における後述の前端部23を案内して締付片９の前側を図５の如く下降 させ得るよう円弧状に形成してある。15はねじ孔で、締付ねじ10を螺合させる為 のものである。16は締付片位置決め用の凹部で、受座８に対する締付片９の位置 関係（水平方向の位置関係）を一定に規制する為のものである。17は規制片で、 メッセンジャーワイヤー30が締付ねじ10の側に過度に進入することを防止する為 のものである。又この規制片17は、締付片９の左右両側に位置していて締付片９ の左右側への位置決めを行なうと共に、締付ねじ10を中心としての締付片９の回 動の規制をも行う。18はストッパで、後から述べるように壁面取付金具の位置決 めを行う為のものである。

【０００９】 次に締付片９について説明する。この締付片９は例えばアルミ合金で形成され る。21は締付片９の下面に形成した嵌合凹部で、締付片９とメッセンジャーワイ ヤー30との位置関係が定位置となるように設けたものである。22は導入側の端面 を示し、上部側が突出し、下部側が引っ込んだ斜面に形成してある。23は締付片 ９における前端部を示す。24は締付片の下面に突設した凸片で、受座８の凹部16 に図１に示す如く嵌まり込んで、受座８に対する締付片９の遠近移動が受座８に 対して一定の位置で、しかも該凸片24の先端を中心とする傾動によって行われる ようにする為に設けたものである。25は締付ねじ10を貫通させる為の貫通孔で、 前後方向に長い長孔に形成され、しかも図１から明らかなように上方ほど長い形 状に形成されて、締付片９が凸片24の先を中心に傾動する範囲において締付ねじ 10との干渉が防がれるようになっている。

【００１０】 次に締付ねじ10は本例ではボルトを用いて構成されている。27はボルト頭、28 はスプリングワシャ、29は平ワシャを夫々示す。尚該締付ねじ10は、ねじ棒を受 座８の側から立設させると共に、そのねじ棒において締付片９の貫通孔25から上 方に突出する部分にワシャ29，28を介してナットを螺合させた構造のものであっ ても良い。

【００１１】 次に上記構成のメッセンジャーワイヤー吊下形機器をメッセンジャーワイヤー 30に対して取付ける作業を図３に基づき説明する。先ず（Ａ）の如く締付ねじ10 を緩めておく。この状態においてケース１を手で支え、（Ｂ）に矢印32で示す如 く取付具７における締付片９の端面22をメッセンジャーワイヤー30に対して宛が う。そしてその端面22をメッセンジャーワイヤー30に対して矢印32方向に押し付 けると、（Ｃ）に示す如く締付片９は凸片24の先端を中心に前部が矢印33方向に 持ち上がる。この場合、受座８の端面13も前述の如き斜面に形成してある為、メ ッセンジャーワイヤー30に当接した端面13はメッセンジャーワイヤー30を締付片 ９の端面22に向け案内する。従って、（Ｃ）の如く締付片９の端面22がメッセン ジャーワイヤー30に押し当たる状態が確実に維持され、上記締付片９の矢印33方 向への持ち上げが確実に行われる。矢印32方向への前進を引き続き行うことによ り、（Ｄ）に示す如くメッセンジャーワイヤー30は締付片９の下面側に入り込む 状態となる為、この状態において嵌合凹部21をメッセンジャーワイヤー30に嵌合 させる。この状態では最早ケース１から手を離しても、締付片９がメッセンジャ ーワイヤー30に吊り掛かってケース１はメッセンジャーワイヤー30に吊り下がっ た状態が維持される。その後締付ねじ10を回動させて締付片９を受座８に向けて 近接させることにより、図１に示される如くメッセンジャーワイヤー30を受座８ の凹部12と締付片９の凹部21との間に締着する。これによりメッセンジャーワイ ヤー30への機器ケース１の取付けが完了する。

【００１２】 次にメッセンジャーワイヤー30が図４に示される如く細い場合にも、（Ａ）に 示される状態から前記の場合と同様の操作でもって（Ｂ）に示される取付状態に することができる。

【００１３】 次に図５乃至図７は上記メッセンジャーワイヤー吊下形機器を家屋等の建造物 の壁面に取付ける場合の状態を示すものである。図において35は壁面、36はそこ に取付けた壁面取付金具、37は該金具における持出状の支持片で、抜け止め用の 透孔38と締付ねじを嵌まり込ませる為の欠如部39とが形成してある。このような 壁面取付金具36に対してメッセンジャーワイヤー吊下形機器を取付ける場合、先 ず図５の如く締付ねじ10を緩めた状態において締付片９の前部を受座８における 前記案内面14をガイドにして下方へ押し下げる。すると締付片９の後部が図示の 如く持ち上がる。この状態においてメッセンジャーワイヤー吊下形機器を矢印40 方向に進行させ、支持片37を受座８と締付片９の間に支持片37の先端が図６の如 くストッパ18に当接する位置まで進入させる。次に締付片９の後部の持ち上げを 解き、締付ねじ10でもって支持片37を受座８と締付片９との間に挟着することに より取付が完了する。この取付状態では図６、７の如く凸片24が透孔38に貫通す る為、メッセンジャーワイヤー吊下形機器が支持片37から誤って脱落することが 確実に防止される。

【００１４】 次に本願の異なる実施例を示す図８について説明する。この例は本体2eの前面 を蓋体3eが開閉自在に閉ざす構造のケース1eにおいて、本体2eの上面に取付具7e が備えられているメッセンジャーワイヤー吊下形機器を示すものである。なお、 機能上前図のものと同一又は均等構成と考えられる部分には、前図と同一の符号 にアルファベットのｅを付して重複する説明を省略した。（また次図のものにお いても同様の考えでアルファベットのｆを付して重複する説明を省略する。）

【００１５】 次に図９は取付具7fにおける受座8fの端面13ｆの形状の異なる例を示すもので 、該端面13ｆを図示の如き緩やかな斜面に形成した例を示すものである。

【００１６】

【考案の効果】

以上のように本願考案にあっては、メッセンジャーワイヤー30へ取付けた状態 では、ケース上面の受座８とその上の締付片９との間にメッセンジャーワイヤー 30をしっかりと挟着して確実な取付状態を達成できるは勿論のこと、 そのような取付状態を達成するものでも、メッセンジャーワイヤー30への取付 の為に締付片９をメッセンジャーワイヤー30の上に吊り掛ける場合には、一方の 手でケース１を支え、そのまま締付片９におけるメッセンジャーワイヤー導入側 の端面22をメッセンジャーワイヤー30に押し付ければ締付片９が持ち上がって受 座８と締付片９との間に口が開き、そこからメッセンジャーワイヤー30を締付片 ９の下面側に導き入れて締付片９の下面の嵌合凹部21をメッセンジャーワイヤー 30に嵌合させることができる特長がある。このことは、作業者は片手で吊り掛け 作業ができることであり、電柱の上のような高所作業であっても作業者は他方の 手で自身の身体を支えた状態で安全に作業できる効果がある。しかもそれが上記 の如くメッセンジャーワイヤーを利用しての締付片９の持上げにより行なうこと ができて、前記従来技術の如くばねによって締付片の持上を行なうようにする場 合の如き製品価格の上昇や耐久性の悪化等の問題点を何ら招くことなく行ない得 るという実施面での効果もある。

【図面の簡単な説明】

【図１】メッセンジャーワイヤーへの取付状態を示す一
部破断側面図。

【図２】取付具の分解斜視図。

【図３】（Ａ）〜（Ｄ）はメッセンジャーワイヤーへの
取付手順を説明する一部破断図。

【図４】（Ａ）、（Ｂ）は細径のメッセンジャーワイヤ
ーへの取付を説明する一部破断図。

【図５】壁面取付金具への取付途中の状態を示す部分
図。

【図６】壁面取付金具への取付状態を示す一部破断平面
図。

【図７】図６におけるVII −VII 線断面図。

【図８】機器ケースの構造の異なる例を示す側面図。

【図９】受座におけるメッセンジャーワイヤー導入側の
端面の形状の異なる例を示す部分図。

【符号の説明】

１ 機器ケース ７ 取付具 ８ 受座 ９ 締付片 10 締付ねじ 21 嵌合凹部 22 端面 30 メッセンジャーワイヤー

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 機器ケースの上面側に該機器ケースをメ
   ッセンジャーワイヤーに取付ける為の取付具が設けら
   れ、該取付具は、機器ケースの上面に備えられた受座
   と、受座の上方に受座に対して遠近自在に備えられしか
   も下面にメッセンジャーワイヤー嵌合用の嵌合凹部を備
   えている締付片と、受座に対し締付片を締着可能に連結
   する締付ねじとから成り、メッセンジャーワイヤーを受
   座と締付片との間にその側方から導入すると共に、その
   メッセンジャーワイヤーを上記嵌合凹部に嵌合させた状
   態において、上記締付ねじにより上記受座と締付片との
   間に上記メッセンジャーワイヤーを締着するようにして
   あるメッセンジャーワイヤー吊下形機器において、上記
   締付片における上記メッセンジャーワイヤーの導入側の
   端面は、該端面をメッセンジャーワイヤーに押し付ける
   ことにより締付片が受座から持ち上がってメッセンジャ
   ーワイヤーが締付片の下面側に導入され得るよう、上部
   側が突出し下部側が引込んだ斜面にしてあることを特徴
   とするメッセンジャーワイヤー吊下形機器。