JPH058898Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、揮発性分を含有した化粧料を収納す
る、密閉機能を有したコンパクトケースに関する
ものである。

〔従来の技術〕

従来より、フアンデーシヨン等の化粧料は、器
体と蓋体が開閉自在に蝶着したコンパクトケース
内に収納されていた。このコンパクトケースに
は、蓋体を閉じた状態で保持し、且つその保持を
任意に解除できる係止機構は設けられていたが、
内部に収容された化粧料に対する密閉機構は設け
られておらず、揮発性分である香気の発散や、ホ
コリ等の侵入に対して何も防ぐ手段がなかつた。

また近年では、揮発性分を混入させて、ある程
度の粘度を付与させた化粧料も見られる。このあ
る程度粘度を有した化粧料は、塗布時の伸びの良
さ、化粧料のきめの細かさ、塗布後の密着性の良
さ等、数多くの利点を有しており、徐々に多く利
用され始めている。しかし、この種の化粧料を前
述した従来のコンパクトケースに収納したとして
も、揮発性成分が外部に発散してしまうため、収
納には適さなかつた。

そこで、器体と蓋体の間に化粧料を囲むパツキ
ンを配置し、蓋体を閉じる事により器体と蓋体の
間にパツキンを密着させ、化粧料を密閉する構成
のコンパクトケースが数多く提案されている。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしこの構成の場合、パツキンを器体あるい
は蓋体に密着させて気密性を得ているため、蓋体
を閉じる際大きな力を必要としていた。また、気
密性を得るためにパツキンを器体あるいは蓋体に
密着させているため、蓋体を閉じた時にパツキン
の弾性により上向き、つまり開蓋方向に弾発力が
働いてしまつた。従つて、蓋体の係止機構及び蝶
番はこの弾発力に抗しなければならず、強固な構
造、つまり大型化しなければならなかつた。

〔課題を解決する為の手段〕

蓋体２、中枠４及び器体１が蝶番３により開閉
自在に蝶着し、蓋体２と中枠４の間にパフ１４が
収納されるパフ収納室１５を設け、器体１に化粧
料８を収納する収納凹所５を設けた構成に於い
て、器体１の収納凹所５の周囲には嵌合部１１を
設ける。中枠４には、パフ１４が載置される受け
皿２３を上下遊動可能に保持させる。更に前記器
体１の嵌合部１１と対応する位置に、上下に貫通
した貫通口１８を穿設する。また中枠４を閉じた
時、貫通口１８を貫通して前記嵌合部１１に嵌合
するパツキン２０を配置する。

そして、蓋体２を閉じた時、前記受け皿２３を
摺動させるよう構成し、更にパツキン２０を嵌合
部１１の側壁に押しつけて化粧料８を密閉させる
カム部２５を設ける。

この具体的手段としては、嵌合部１１を器体１
にベランダ状に刻設する。中枠４には、パツキン
２０を貫通口１８より下方に突出し、中枠４を閉
じた時、嵌合部１１内に突入するよう止着する。
パツキン２０の下端内壁には、膨出部２１を突設
する。受け皿２３の下面には、下端外壁に受け皿
２３が摺動した時、膨出部２１に当接し、パツキ
ン２０を外方向に屈曲させ嵌合部１１内壁に密着
させるカム部２５を周設した押圧片２４を垂下す
る。そして、蓋体２を閉じた時、中枠４が器体１
上面に当接し、受け皿２３が蓋体２に押下される
よう構成する。

または、嵌合部１１を器体１の上方に突設す
る。受け皿２３にはパツキン２０を、中枠４の貫
通口１８を摺動自在に貫通し、中枠４を閉じた
時、嵌合部１１に嵌合するよう止着する。パツキ
ン２０の下端外壁には、膨出部２１を突設する。
中枠４の貫通口１８縁部を受け皿２３が摺動した
時、膨出部２１に当接しパツキン２０を内方向に
屈曲させ、嵌合部１１外壁に密着させるカム部２
５とする。そして、蓋体２を閉じた時、受け皿２
３が嵌合部１１上面に当接し、中枠４が蓋体２に
押下されるよう構成する。

〔作用〕

蓋体２が閉じている場合、パツキン２０は器体
１の嵌合部１１に嵌合している。パツキン２０を
止着した中枠４あるいは受け皿２３は、器体１の
嵌合部１１の上端に当接している。カム部２５を
有した中枠４あるいは受け皿２３は、蓋体２に押
下され、カム部２５がパツキン２０の膨出部２１
に当接し、パツキン２０が屈曲して嵌合部１１の
側壁に密着して化粧料８を密閉している。

ここで、蓋体２を開き、カム部２５を有した中
枠４あるいは受け皿２３を開放操作して中枠４あ
るいは受け皿２３を上昇させと、パツキン２０が
復元して化粧料８の密閉が解除され、パツキン２
０が抜脱可能となり、中枠４が開放可能となる。

〔実施例〕

先ず、本考案第１実施例を、第１図、第２図及
び第３図によつて説明する。器体１、蓋体２及び
中枠４は、一端が蝶番３によつて開閉自在に連結
している。そして、下方より器体１、中枠４、蓋
体２の順に配置されている。

器体１の上面には、収納凹所５が刻設されてい
る。更に、この収納凹所５の周囲には、ベランダ
部６が刻設されている。この収納凹所５の内側壁
には、螺条７が設けられている。この収納凹所５
には、化粧料８を充填した中皿９が収納されてい
る。この中皿９の外側壁には、収納凹所５の螺条
７と螺合して中皿９を脱落不能に保持する螺合片
１０を突設している。また、中皿９の上端には、
ベランダ部６に収納される嵌合部１１が設けられ
ている。

蓋体２は、裏面に凹所１２が刻設されており、
下方の中枠４との間にパフ１４を収納するパフ収
納室１５を構成している。また、このパフ収納室
１５には、外部に開口した通気孔１６を設けてパ
フ１４の乾燥を促進させる事もできる。更に蓋体
２の下面には、蓋体２を閉じた時、中枠４の上面
に当接して押下する押下部１７を設けている。

中枠４には、中枠４を閉じた時中皿９の嵌合部
１１と対応する位置に、上下に貫通した貫通口１
８が穿設されている。この貫通口１８には、弾性
を有したリング状の弾性体１９が嵌合止着されて
いる。この弾性体１９には、中枠４を閉じた時中
皿９の嵌合部１１内に突入するパツキン２０が中
枠４下面より突出して垂下している。このパツキ
ン２０の外径は、嵌合部１１の内径よりも小径に
なつており、パツキン２０が嵌合部１１内に容易
に挿脱できるよう構成されている。このパツキン
２０の内周壁の下端には膨出部２１が突出してお
り、上端には鍔部２２が突出している。

この弾性体１９内には、受け皿２３が上下摺動
自在に嵌合している。この受け皿２３の上面は、
パフ１４が載置できるよう、皿状に成形されてお
り、裏面に鏡１３が貼着されている。そしてこの
受け皿２３の周囲は、中枠４の上面を被うように
延設されており、中枠４の端面よりも突出してい
る。また受け皿２３の下面には、前記弾性体１９
のパツキン２０の内径よりも僅かに小径の押圧片
２４が垂下している。この押圧片２４の下端外側
壁には、前記パツキン２０の膨出部２１と鍔部２
２の内径よりも僅かに大径のカム部２５が突出し
ており、このカム部２５が膨出部２１と鍔部２２
の間に位置し、受け皿２３が膨出部２１と鍔部２
２の間で摺動可能となつている。その結果、蓋体
２を閉じた時、蓋体２の押下部１７が受け皿２３
の上面に当接し、受け皿２３を押し下げる様にな
つている。そして、受け皿２３を押し下げ、受け
皿２３が器体１の上面に当接すると、カム部２５
が弾性体１９に当接してパツキン２０を外方向に
広げさせ、パツキン２０が中皿９の嵌合部１１の
内周壁に密着して中皿９内部、つまり化粧料８を
密閉するよう構成している。

また、蓋体２の先端下面には、側壁に係合突部
２６を有したフツク２７が垂下しており、中枠４
の先端には、このフツク２７が貫通する逃げ部２
８が設けられている。更に器体１の先端には、蓋
体２のフツク２７の係合突部２６が係合して蓋体
２及び中枠４を閉じた状態で保持する係合部２９
を設けている。加えて器体１の先端には、係合突
部２６と係合部２９の係合を任意に解除できる開
蓋機構３０を設けている。

次にこの開蓋機構３０について説明する。器体
１の先端には、押しボタン３１がピン３２により
回動自在に軸支されている。この押しボタン３１
の上端には、前記受け皿２３の下面に当接し、押
しボタン３１の回動によつて受け皿２３を上方に
押圧する押し上げ片３３が連設されている。その
結果、押し上げ片３３によつて押し上げられた受
け皿２３は、蓋体２を押し上げ、フツク２７と係
合部２９の係合を解除するよう構成している。
尚、押し上げ片３３が受け皿２３を押し上げた
時、中枠４は浮き上がらず、受け皿２３のみ上昇
し、受け皿２３のカム部２５がパツキン２０の鍔
部２２と当接しなくなり、パツキン２０が復元し
て嵌合部１１に密着しなくなり、化粧料８の密閉
を解除するようになつている。更に、蓋体２の蝶
番３部分に蓋体２を開いた時、受け皿２３を押し
上げる押し上げ部３４を設けておけば、受け皿２
３が押し上げ片３３と押し上げ部３４によつて両
端より押し上げられるため、密閉解除がよりスム
ーズになる。

次に、本考案第２実施例を第４図によつて説明
する。器体１上面の収納凹所５の周囲には、嵌合
部１１が突出して周設されている。この嵌合部１
１は器体１に設けず、収納凹所５に収納される中
皿９の上端を延設して設ける事も可能である。

中枠４には、器体１の嵌合部１１の外径よりも
大径の貫通口１８が穿設され、この貫通口１８の
内周壁がカム部２５となつている。そしてこの中
枠４は、蓋体２を閉じた時蓋体２の押下部１７に
押下されるよう構成している。

受け皿２３は、この貫通口１８に遊挿されてお
り、上端外側壁には中枠４上端に当接する鍔部２
２が突出している。そしてこの受け皿２３は、中
枠４を閉じた時、器体１の嵌合部１１上端に当接
するよう構成している。

また、受け皿２３の鍔部２２の下方側壁には、
弾性体１９が止着されている。この弾性体１９に
は、パツキン２０が垂下している。このパツキン
２０は、中枠４の貫通口１８を貫通しており、下
端外側端には、膨出部２１が突出している。尚、
パツキン２０の外径は貫通口１８の内径よりも僅
かに小径となり、パツキン２０の内径は器体１の
嵌合部１１の外径よりも僅かに大径になつてい
る。

従つて、パツキン２０は器体１の嵌合部１１の
外側に嵌合するようになつている。しかし、膨出
部２１の外径は貫通口１８の内径よりも大径にな
つているため、受け皿２３が中枠４に脱落不能に
保持されたものとなつている。

本考案第２実施例は以上構成のため、蓋体２を
閉じると中枠４が押下され、先ず受け皿２３が器
体１の嵌合部１１に当接する。この時パツキン２
０は、嵌合部１１の外側に嵌合している。更に中
枠４が閉じられると、カム部２５がパツキン２０
の膨出部２１に当接しパツキン２を内径方向に屈
曲させ、嵌合部１１に密着して化粧料８を密閉す
るものである。

次に中皿９の交換用リフイール３５について説
明する。交換用のリフイール３５は、リフイール
キヤツプ３６と中皿９とより構成されている。リ
フイールキヤツプ３６は、中皿９の上端あるいは
嵌合部１１の内径よりも僅かに小径となつてお
り、上面に取手３７が止着されている。またリフ
イールキヤツプ３６の外周壁には、中皿９の上端
あるいは嵌合部１１の外径よりも僅かに大径のＯ
リング３８が巻着されており、中皿９の上端ある
いは嵌合部１１に嵌着し、Ｏリング３８が内壁に
密着して化粧料８を密閉している。

リフイール３５の着脱は、使用済みの中皿９に
リフイールキヤツプ３６を嵌合して回動操作すれ
ば、中皿９と収納凹所５の螺合片１０と螺条７の
螺合が解除され、中皿９が抜脱できる。リフイー
ル３５を装着する時も反対方向に回動操作して螺
合片１０と螺条７を螺合させればよい。そして、
リフイールキヤツプ３６を抜脱すれば、中皿９の
装着は終了する。

〔考案の効果〕

本考案は以上の様に、パツキン２０を嵌合部１
１の側壁方向に密着させ気密性を得ている。従つ
て、パツキン２０の弾発力は径方向に働き、蝶番
３及び開蓋機構３０に何ら応力を与えることがな
いため、蝶番３及び開蓋機構３０を単純化、小型
化できる。

また、カム部２５をパツキン２０の膨出部２１
に位置させる事により嵌合部１１に密着させ、気
密性を得ているため、カム部２５を上方にスライ
ドさせる事によりパツキン２０が復元して容易に
気密性を解除できる。しかも無理にこじ開けない
ため、構成要素に悪影響を与えることもない。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図及び第３図は、本考案第１実施
例の側断面図。第４図は、本考案第２実施例の側
断面図。第５図は、リフイールの斜視図。 １……器体、２……蓋体、３……蝶番、４……
中枠、５……収納凹所、８……化粧料、１１……
嵌合部、１４……パフ、１５……パフ収納室、１
８……貫通口、１９……弾性体、２０……パツキ
ン、２１……膨出部、２３……受け皿、２４……
押圧片、２５……カム部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 蓋体２、中枠４及び器体１が蝶番３により開
   閉自在に蝶着し、蓋体２と中枠４の間にパフ１
   ４が収納されるパフ収納室１５を設け、器体１
   に化粧料８を収納する収納凹所５を設けた構成
   に於いて、 器体１の収納凹所５の周囲には嵌合部１１を
   設け、中枠４にはパフ１４が載置される受け皿
   ２３を上下遊動可能に保持し、前記器体１の嵌
   合部１１と対応する位置に上下に貫通した貫通
   口１８を穿設し、更に中枠４を閉じた時、貫通
   口１８を貫通して前記嵌合部１１に嵌合するパ
   ツキン２０を配置し、 蓋体２を閉じた時、前記受け皿２３を摺動さ
   せるよう構成し、更にパツキン２０を嵌合部１
   １の側壁に押しつけて化粧料８を密閉させるカ
   ム部２５を設けた事を特徴とするコンパクトケ
   ース。 ２ 嵌合部１１を器体１にベランダ状に刻設し、
   中枠４にはパツキン２０を貫通口１８より下方
   に突出し、中枠４を閉じた時嵌合部１１内に突
   入するよう止着し、パツキン２０の下端内壁に
   膨出部２１を突設し、受け皿２３の下面には、
   下端外壁に受け皿２３が摺動した時膨出部２１
   に当接し、パツキン２０を外方向に屈曲させ嵌
   合部１１内壁に密着させるカム部２５を周設し
   た押圧片２４を垂下し、 蓋体２を閉じた時、中枠４が器体１上面に当
   接し、受け皿２３が蓋体２に押下されるよう構
   成したことを特徴とする実用新案登録請求の範
   囲第１項記載のコンパクトケース。 ３ 嵌合部１１を器体１の上方に突設し、受け皿
   ２３にはパツキン２０を、中枠４の貫通口１８
   を摺動自在に貫通し、中枠４を閉じた時嵌合部
   １１に嵌合するよう止着し、パツキン２０の下
   端外壁に膨出部２１を突設し、中枠４の貫通口
   １８縁部を受け皿２３が摺動した時膨出部２１
   に当接しパツキン２０を内方向に屈曲させ、嵌
   合部１１外壁に密着させるカム部２５とし、 蓋体２を閉じた時、受け皿２３が嵌合部１１
   上面に当接し、中枠４が蓋体２に押下されるよ
   う構成したことを特徴とする実用新案登録請求
   の範囲第１項記載のコンパクトケース。