JPH0440571Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、揮発成分を含有した化粧料を収納す
る気密性を有したコンパクトケースに関するもの
である。

〔従来の技術〕

従来より、白粉、フアンデーシヨン等の化粧料
は、粉状の化粧料を圧縮成形したもの、つまり、
プレストパウダーの形態で利用されていた。そし
て、パフで化粧料をこすり取り、それを塗布して
いた。しかし現在では、化粧料の伸びの良さ、化
粧料の密着性の良さ等から、揮発成分を含有した
化粧料が多く利用されていた。この場合、従来の
プレストパウダーを収納した容器には揮発成分が
揮発してしまうため、収納不可能であつた。

そこで、化粧料を収納した容器体と蓋体の間
に、蓋体を閉じた時、密着して化粧料を密閉する
パツキンを内装した構成のコンパクトケースが多
く利用されている。しかし、この種の構成は、器
体と蓋体の間にパツキンを挟み込んで気密性を得
ているため、パツキンの弾発力は蓋体を開く方向
に働いていた。従つて、蓋体と容器体を連結した
蝶番及び、蓋体を閉じた状態で保持し任意にその
保持を解除できる係止機構に無理な力が働き、破
損してしまう危険性があつた。また、蓋体を閉じ
たまま長時間放置した場合、パツキンの弾発力に
よつて蓋体が変形してしまう危険性もあつた。

また、特開昭61−190455号公報に提案されてい
る構成は、蓋体と器体に嵌合し合う剛性要素をそ
れぞれ突設し、パツキンをその剛性要素間に挟設
し、弾発力を水平方向に働かせ気密を得る構成が
提案されている。この構成の場合、パツキンの弾
発力は蓋体の開放方向に働かず、蝶番及び係止機
構に悪影響を与える心配がないものであつた。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしこの構成の場合、パツキンの弾発力が径
方向に働いているため、蓋体を開いて密閉状態を
解除しようとすると、嵌合方向に応力が働いてし
まつた。更に、器体の剛性要素が器体若しくは化
粧料を貯蔵する室に設けられているため、化粧料
を消費し終えた際の化粧料の交換手段がなく、大
変不経済なものとなつていた。またもし化粧料の
交換手段を設けたとしても、蓋体の開放時に抜け
方向の応力が化粧料にかかるため、強固な化粧料
の保持手段が必要になつてしまつた。

〔課題を解決する為の手段〕

蓋体１と中枠６と器体１７がそれぞれ蝶番１８
により開閉自在に蝶着し、蓋体１もしくは器体１
７の一端に蓋体１及び中枠６を閉じた状態で保持
し、且つ任意にその保持を解除できる係止機構２
４を設け、中枠６によつて化粧料３４を収納する
収納凹所２５とパフ１４を収納するパフ収納室１
６とを区画した構成に於いて、中枠６は薄肉金属
板より成形し、中央に円筒形状の膨出部９を突出
して成形する。この膨出部９の外周側壁にはパツ
キン１３を巻着する。器体１７あるいは蓋体１
の、中枠６の膨出部９と対向した面には、収納皿
２９を収納する円形状の収納凹所２５を刻設す
る。この収納凹所２５の内側壁には、螺条２８を
螺設する。収納皿２９には、化粧料３４を収納す
る収納部３０及び嵌合部３１を成形する。この収
納部３１の外側壁には前記収納凹所２５の螺条２
８に螺合する螺合片３３を突設して収納凹所２５
より着脱可能に構成する。嵌合部３１は前記パツ
キン１３の外径よりも僅かに小径に構成して中枠
６を閉じた時膨出部９が侵入し、パツキン１３が
嵌合部３１内壁に密着して化粧料３４を密閉させ
るよう構成する。本考案は以上構成のコンパクト
ケースである。

〔作用〕

蓋体１及び中枠６が閉じている場合、中枠６の
膨出部９が収納皿２９の嵌合部３１に突入し、パ
ツキン１３が嵌合部３１の内側壁に密着して、収
納部３０に収納された化粧料３４を密閉してい
る。ここで係止機構２４を操作して蓋体１の係合
を解除させ、蓋体１及び中枠６を開くと、中枠６
の膨出部９が収納皿２９の嵌合部３１より脱し、
パツキン１３の密閉が解除され化粧料３４が塗布
可能となる。

また、化粧料３４を収容した収納皿２９は、収
納皿２９に設けられた螺合片３３が収納凹所２５
の螺条２８と螺合しているため、中枠６の開閉時
に働く収納皿２９の抜け方向の応力に対しても脱
落不能となつている。

また、化粧料３４を消費し終えた場合、収納皿
２９を回動させる事によつて、収納凹所２５の螺
条２８と収納皿２９の螺合片３３との螺合が解除
され、収納皿２９が抜脱可能となる。そして、新
たに収納皿２９を収納凹所２５に装着して、収納
皿２９を回転させれば螺合片３３と螺条２８が螺
合して収納皿２９が抜脱不能となる。

〔実施例〕

蓋体１の一方の下面縁部には、蝶番片２が垂下
しており、他方の縁部には、フツク３が垂下して
おり、このフツク３の側壁には係合突部４が突設
されている。また、蓋体１の下面には、パフ１４
が収納されるパフ収納所５が刻設されている。

中枠６は薄肉金属板より成形されており、一端
の縁部には蝶番片７が垂下している。また、他方
の縁部には、前記蓋体１のフツク３が貫通する貫
通孔８が穿設されている。更に中枠６の下面中央
には、円筒形状の膨出部９が下方に突出して成形
されている。この膨出部９の下面には、中央に鏡
１０が止着される凹所１１が設けられている。ま
た、膨出部９の側壁は垂直に垂下しており、上端
付近全周に受け溝１２を成形している。この受け
溝１２には、Ｏリング状の弾性を有したパツキン
１３が止着されている。

中枠６の上面、つまり膨出部９の裏側は、パフ
１４が載置できる受け皿１５となつており、この
受け皿１５と蓋体１のパフ収納凹所５とでパフ１
４が収納されるパフ収納室１６を構成している。
尚、この中枠６の平面形状は蓋体１の平面形状と
同じか、それ以下になつている。

器体１７は、一方の縁部に切り欠き１９が設け
られ、この切り欠き１９に蓋体１及び中枠６の蝶
番片２，７が軸支され、蓋体１及び中枠６を開閉
自在に連結する蝶番１８を構成している。この配
置は、上方より蓋体１、中枠６、器体１７の順に
なつている。

また他方の縁部には、前面及び上面に開溝した
係合凹所２０が刻設されている。この係合凹所２
０の前面壁には、中枠６の貫通孔８を貫通した蓋
体１のフツク３の係合突部４が係合して蓋体１を
閉じた状態で保持する係合部２１が設けられてい
る。尚、蓋体１の係合突部４と器体１７の係合部
２１が係合した時、中枠６は蓋体１に押圧されて
器体１７に当接するよう構成されている。更にこ
の係合凹所２０には、押しボタン２２が内装され
ている。この押しボタン２２は、係合凹所２０の
側壁の前方上端付近に軸支され、一定の範囲で回
動可能となつている。また、押しボタン２２の前
面は押圧部２３となつている。この押圧部２３
は、器体１７の先端面より突出し、押圧し易くな
つている。また、押圧部２３を押圧して押しボタ
ン２２を回動させた時、押しボタン２２の上面の
係合部２１がわ縁部は、器体１７の上面より突出
し、中枠６を介して蓋体１を押し上げ、蓋体１の
係合を解除できるよう構成されている。そして、
このフツク３、係合部２１及び押しボタン２２
で、蓋体１を閉じた状態で保持し、且つその保持
を任意に解除できる係止機構２４を構成してい
る。

また、器体１７の上面中央には、円形状の収納
凹所２５が刻設されている。この収納凹所２５の
周囲には、同心円状にベランダ部２６が刻設され
ている。更にこのベランダ部２６の周囲には、浅
い凹溝２７が周設されている。また、収納凹所２
５の内側壁には、螺条２８が螺設されている。

この収納凹所２５には、収納皿２９が収納され
ている。この収納皿２９は、収納部３０、嵌合部
３１及び鍔部３２から成つている。収納部３０
は、揮発成分を含有した化粧料３４を収納してお
り、器体１７の収納凹所２５よりも僅かに小径に
構成されている。この収納部３０の外側壁には、
前記螺条２８と螺合して収納皿２９を抜脱不能に
する螺合片３３を螺設している。また、嵌合部３
１は収納凹所２５のベランダ部２６内に収納さ
れ、その内径は前記中枠６の膨出部９に止着され
たパツキン１３の外径よりも僅かに小径となつて
おり、蓋体１を介して中枠６を閉じた時、中枠６
の膨出部９が突入し、バツキン１３が嵌合部３１
の内側壁に密着して、収容部３０に収容された化
粧料３４を密閉するようになつている。鍔部３２
は、嵌合部３１の上端より外方向に突出して周設
され、器体１７の凹溝２７に収納されている。
尚、この鍔部３２の上面は、器体１７の上面と同
一平面か、僅かに下方に位置するよう構成されて
いる。

また、第４図に示すように、中枠６及び蓋体１
を器体１７の両端にそれぞれ蝶着し、中枠６の膨
出部９を上方に突出させ、器体１７と中枠６の間
にパフ収納室１６を構成し、蓋体１に収納皿２９
をさかさまに配置する事も可能である。この場
合、蓋体１及び中枠６を開くと、蓋体１及び中枠
６が器体１７に対して直列に配置され、保持し易
いものとなる。

また、第３図に示したように、収納皿２９の嵌
合部に仮蓋３５を嵌合させ、この仮蓋３５と収納
皿２９の鍔部３２を止着する等の手段によつて、
簡単に化粧料３４を密閉できるようになつてい
る。

〔考案の効果〕

本考案は以上のように、化粧料３４の周囲に嵌
合部３１を周設し、更に中枠６に、蓋体１を閉じ
た時、この嵌合部３１に突入する膨出部９を設
け、膨出部９の周壁に嵌合部３１の内壁に密着す
るパツキン１３を止着して化粧料３４を密閉した
ため、パツキン１３の弾発力は膨出部９と嵌合部
３１の間、つまり径方向に働き、蓋体１に対して
開く方向の弾発力は働かず、係止機構２４及び蝶
番１８、更には蓋体１及び中枠６に悪影響を与え
る事のないものとなつている。

また、化粧料３４を収納した収納皿２９は、従
来よりある簡単な構造のネジ機構を利用して器体
１７に着脱可能に装着しているため、収納皿２９
の交換は、収納皿２９を回転させるだけで簡単に
行えるようになつている。しかも、このネジ機構
は収納皿２９の抜け方向に対して強固であるた
め、中枠６を開く時に収納皿２９に対して働く抜
け方向の応力によつても、脱落しないようになつ
ている。

加えて、収納皿２９の鍔部３２にラミネートフ
イルム３５を止着する等の手段で化粧料３４を簡
単に密閉できるため、揮発成分を含有した化粧料
３４を収納する収納皿２９としては、最適なもの
となつている。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は、本考案実施例の側断面
図。第３図は、収納皿単体の状態の正面半断面
図。第４図及び第５図は、その他の実施例の側断
面図。 １……蓋体、２，７……蝶番片、３……フツ
ク、４……係合突部、５……パフ収納凹所、６…
…中枠、８……貫通孔、９……膨出部、１０……
鏡、１１……凹所、１２……受け溝、１３……パ
ツキン、１４……パフ、１５……受け皿、１６…
…パフ収納室、１７……器体、１８……蝶番、１
９……切り欠き、２０……係合凹所、２１……係
合部、２２……押しボタン、２３……押圧部、２
４……係止機構、２５……収納凹所、２６……ベ
ランダ部、２７……凹溝、２８……螺条、２９…
…収納皿、３０……収納部、３１……嵌合部、３
２……鍔部、３３……螺合片、３４……化粧料、
３５……ラミネートフイルム。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 蓋体１と中枠６と器体１７がそれぞれ蝶番によ
   り開閉自在に蝶着し、蓋体１もしくは器体１７の
   一端に蓋体１及び中枠６を閉じた状態で保持し、
   且つその保持を任意に解除できる係止機構２４を
   設け、中枠６によつて化粧料３４を収納する収納
   凹所２５とパフ１４を収納するパフ収納室１６と
   を区画した構成に於いて、 中枠６は薄肉金属板より成形され、中央に円筒
   形状の膨出部９を突出して成形し、該膨出部９の
   外周側壁にパツキン１３を巻着し、 器体１７あるいは蓋体１の、中枠６の膨出部９
   と対向した面には、収納皿２９を収納する円形状
   の収納凹所２５を刻設し、該収納凹所２５の内側
   壁には、螺条２８を螺設し、 収納皿２９には、化粧料３４を収納する収納部
   ３０及び嵌合部３１が成形され、該収納部３０の
   外側壁には前記収納凹所２５の螺条２８に螺合す
   る螺合片３３を突設して収納凹所２５より着脱可
   能に構成し、嵌合部３１は前記パツキン１３の外
   径よりも僅かに小径に構成して中枠６を閉じた時
   膨出部９が侵入し、パツキン１３が嵌合部３１内
   壁に密着して化粧料３４を密閉させるよう構成し
   た事を特徴とするコンパクトケース。