JPH0588427B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、試薬、又は生物学的試料のごときの
流体の容器を搬送するための支持構造体と、搬送
流体を用いて免疫検定を行う位置の近傍に支持構
造体を保持するようにした診断機器の構成部品と
に関する。詳述すれば、本発明は、複数の試薬容
器を支持するパツクと、免疫検定を行うに当たつ
て自動臨床分析機において使用するこれらの試薬
容器や生物学的試料の容器を支持し、かつ、保持
するターンテーブルに関する。

（従来の技術） 漿液や、プラズマ、尿などの体液に薬物や、ウ
イルス、バクテリアなどが含まれているかどうか
を検定するには、一般に、特定の検出物を識別す
るように選ばれた特定の試薬を用いて、特定の試
験プロトコールに従つて体液の試料（サンプル）
を反応させることで分析している。プロトコール
には、試料と試薬の使い方やその使用順序、使用
タイミング、使用量などが規定されている。とも
かく、このように分析して得られた反応混合物
は、所定時間に亙つて培養させ、その後、光学的
若しくはその他の方法で読み取ることで、識別し
ようとしている目的物である検出物の含有とその
濃度を決定している。一般に、免疫検定を行うに
当たつて用意すべきものや、操作方法、識別方
法、使用する装置などについては、よく知られて
いるところである。

自動臨床分析機は、バツチ単位での試料を同時
に免疫検定することが出来るようになつている。
例えば、本願出願人が製造し、商標名「TDx」
で販売している臨床分析機のごときのある分析機
においては、バツチ単位の試料容器を、単位バツ
チに含まれる試料の数と等しい反応容器と共に、
ターンテーブルに放射状に装着した後、ターンテ
ーブルごとに分析機に装填するようになつてい
る。このようにターンテーブルを分析機に装填し
て操作すると、ターンテーブルは分析機内である
角度毎に間欠回転して、試料容器と反応容器との
対を調合位置へと移動させ、その後読取り位置の
近傍の位置へと移動させられる。分注手段
（pipetting means）を備え、一般にプログラム
による制御の下で稼動する機械的装置が調製位置
の近くに設けられており、更には、試料容器に入
れられているバツチ単位の試料について特定の免
疫検定を行うのに要する試薬が入つた複数の試薬
容器も、調製位置の近くに置かれている。試薬容
器は、個々の容器であつても良く、又は、まとめ
てパツクになつているものでも良いものである。

調製位置においては、機械的装置と分注手段と
が、試料容器と試薬容器とにアクセスして、それ
らの容器内の試料と試薬とを、所定の試験プロト
コールに従つて反応容器に分注する。このように
機械的装置が所定の試験プロトコールに従つて反
応混合物の調製を済ませると、ターンテーブルは
間欠回転して、次の試料容器と試薬容器との対を
調製位置に搬送する一方、調製を済ませた前の試
料容器と試薬容器との対を読み取り位置へと搬送
するようになつている。

ところが、このような分析機には共通して、タ
ーンテーブルに装架させたバツチ単位の試料につ
いて、一回限りの分析、しかも、一種類の分析し
か行えない問題点がある。即ち、別の分析を行お
うとすれば、人手により試薬容器を個々ないしパ
ツクごとに分析機から取り外すと共に、別の試薬
容器を個々ないしパツクごとに分析機に装填する
必要がある。このように異なつた分析を行う毎に
試薬を取り替える必要があるので、分析機の稼動
効率が良くない。即ち、同一バツチ単位の試料な
いし異なつた試料について異なつた分析を同時に
行おうとすれば、試薬を分析毎に取り替えるよう
では、システム全体の稼動効率が著しく低下する
などの問題がある。

このような問題点を解消する方法としては、個
別投入法（unit dose approach）が知られてい
る。この個別投入法では、一つの試料について特
定の分析を行うのに必要な分別量の試薬を含む個
別投入容器、即ち、利用試薬容器（utilized
reagent container）を複数、用いている。これ
らの容器は、試料容器にそれぞれ対応させて、分
析機のターンテーブルに装着されるようになつて
いる。このような利用試薬容器を用いると、各試
料について異なつた免疫検定を施すことが出来
る。換言すれば、一つの試料について、薬物検
定、ウイルス検出、細菌検出などの異なつた分析
を、順次施すことが出来るのである。

しかし、このような個別投入法でも、前述した
ような問題点を完全に解消するには程遠いもので
ある。第１に、個別投入容器は、一つの試料にし
か利用出来ない上に、製造コストが高い。第２
に、このような容器を20個から25個も一つのター
ンテーブルに装着するのに、時間がかかり過ぎ
る。殊に、一つの分析、若しくは、複数の分析を
特定のバツチの試料について施す場合に、このよ
うな欠点が目立つて来る。試料の数が多く、しか
も、各ターンテーブルに装着する個別投入容器の
数も多い場合、ある試料をそれに適した特定の利
用試薬容器へと搬送するのに、間違つて別の利用
試薬容器へと搬送してしまう恐れが多い。こうな
れば、ある試料について間違つた試験が施される
ことになる。

（発明の目的） 従つて、本発明は、複数の試料容器と共に迅速
にターンテーブルに装着でき、これらの試料容器
に含まれる試料について免疫検定を行うのに要す
る試薬を投入できるマルチ投入試薬パツク
（multiple dose reagent pack）を提供するのを
目的とするものである。また、このようなマルチ
投入試薬パツクを複数、試料容器と共に保持し
て、同一又は異なつた分析を同一又は異なつた試
料に対して行わしめるなりに融通のあるターンテ
ーブルを提供することも、本発明の別目的であ
る。本発明によれば、異なつた所定の分析を、一
つ又は異なつた試料に対して行つたり、あるい
は、各試料に対して行う異なつた分析の数を選択
的に変えることができるなどの融通性があり、従
つて、稼動効率を高レベルに保つことができると
共に、分析機やターンテーブルに対する人手の介
入の機会を減少させることができるなどの利点が
ある。

本発明は、マルチ投入試薬パツクと、自動臨床
分析機用であつて、この分析機により分析すべき
試料を含有する複数の従来公知の試料容器と共に
当該試薬パツクを保持するターンテーブルとを提
供することにより、先行技術に固有な前述した問
題点を解消すべくなされたものである。

ある一面では、本発明による試薬パツクは、マ
ルチ投入用試薬を含むバイアルを一個毎に収容す
るウエルを複数備えたバイアル支持体で構成され
ている。他の面では、本発明による試薬パツク
は、分析機にターンテーブルを回転自在に装着す
るベースと、該ベースに連結されていて、試薬パ
ツクが所定位置に取外し自在に装着させるように
なつている複数の所定位置を有するラツクとで構
成されている。

（実施例） 以降、添付図面を参照しながら、本発明の好ま
しい実施例を詳述する。

第２図から第６図までは、本発明のマルチ投入
試薬パツクの第１及び第２実施例を示すものであ
る。これらの第１及び第２実施例においては、本
発明による好ましい試薬パツクは、バイアル支持
体５０と、それに取外し自在に装着した、試薬を
含む複数の試薬バイアル４０とで構成されてい
る。バイアル支持体５０は、好ましくは、従来の
プラスチツク成型法で例えば、ABS樹脂やSAN
樹脂などのプラスチツク材で製造したものが望ま
しい。

第３図と第４図とにおいて、第１実施例でのバ
イアル支持体５０は、三個の円筒形バイアル受承
用ウエル５８ａ，５８ｂ，５８ｃを備えており、
第２実施例でのバイアル支持体５０は、四個の円
筒形バイアル受承用ウエル５８ｄ，５８ｅ，５８
ｆ，５８ｇを備えたものとして示してある。各ウ
エル５８ａ〜５８ｇの内壁には、垂直方向に延在
し、しかも、半径方向の内側に突き出たリブ６２
が、円周方向に隔離して形成されている。これら
のリブ６２は、バイアル４０が対応するウエル５
８ａ〜５８ｃ，５８ｄ〜５８ｇに装入されると、
そのバイアル４０の外表面に密着して、装入され
たバイアル４０を確実に保持する作用をなす。こ
れらのウエル５８ａ〜５８ｃ，５８ｄ〜５８ｇ
は、好ましくは、後述の理由により、それらの中
心が一直線に並ぶように形成されていると共に、
互いに隣接するウエルが僅かばかり重合（オーバ
ラツプ）するように形成されている。互いに隣接
するウエルの間には、直線状垂直隔壁６０が形成
されており、この隔壁６０が元来円形断面になる
各ウエルの内周面の一部分を直線にすることで、
当該ウエルに装入したバイアル４０の外周面と当
接しつつ、そのバイアル４０の外周面と当接しつ
つ、そのバイアル４０をリブ６２と密着するよう
にしている。

いずれの実施例においても、ウエルには、水平
薄棚５２により、湾曲した垂直保持壁５４が連接
されている。この保持壁５４の半径は、後述する
ターンテーブル７０の外リムの半径とほぼ等しく
なるように選定されている。薄棚５２は、好まし
くはウエルの頂部開放端と同一平面にあり、しか
も、第４図と第６図とに示すように、ウエル５８
ｃ，５８ｆのあるところから保持壁５４に向かつ
て広がつた形をしていると共に、夫々のウエルの
中心を結ぶ線に対して左右対称形になつている。
更には、保持壁５４に近接する薄棚５２の広幅端
は、その保持壁５４にそれまた近接するウエル５
８ａ，５８ｄと保持壁５４との間にギヤツプ５３
が形成されるように、所定距離だけ外側に突出し
ている。保持壁５４と薄棚５２との連接点は、保
持壁５４の上方に耳部５５を形成するために、保
持壁５４の頂点から下方に所定距離だけ隔てたと
ころに設けるのが望ましい。耳部５５と薄棚５２
とは、バイアル４０に触れなくとも試薬パツク５
０を取り扱えるようにするための手段を構成する
ものであつて、これを設けることによつて、操作
者が誤つてバイアル４０内の試薬を汚染させてし
まうのを防ぐことができる。また、薄棚５２と保
持壁５４とギヤツプ５３とは、後述のターンテー
ブル７０と協働して、試薬パツク５０を確実に支
えて保持する作用をもなすものである。

第３図から第６図において、バイアル支持体５
０は垂直突条５１を備えており、この垂直突条５
１は、保持壁５４から最大距離離れたところにあ
るウエル５８ｃ，５８ｇの内端に形成されてい
る。この突条５１は、支持体５０が誤つてターン
テーブル７０に逆さの状態で装着されるのを防ぐ
作用をなす。即ち、支持体５０のウエル５８ａ〜
５８ｃ，５８ｄ〜５８ｇと、ターンテーブル７０
における対応する開口との間にこの突条５１でオ
フセツトを設けることにより、支持体５０を逆さ
に装着しようとすれば、支持体５０とターンテー
ブル７０とが正常に係合しないようにしている。
尚、当業者には、このようなオフセツトを設ける
方法として、前述したように突条５１を設ける以
外に種々の変形が考えられるものであり、例え
ば、Ｙ−字形やＶ−字形の突条を用いて、ターン
テーブル７０の開口に対して二ケ所にオフセツト
を設けても良いものである。

垂直保持壁５４と耳部５５の外表面５６は、例
えばグラフイツク表示や英数文字表示などの視覚
的に識別できる情報と、光学バーコードのように
分析機が読み取る情報などを備えたラベルが貼付
できるようになつている。このようにラベルを設
ければ操作者と分析機とが、試薬パツク５０が行
おうとしている検定の種類を識別することができ
る。また、このラベルは、それがあれば、分析機
での分析システム全体における被検体試料を追跡
するうえで好都合である。

各実施例におけるウエル５８ａ〜５８ｃ，５８
ｄ〜５８ｇは、第２図において斜視図で部分的に
示したバイアル４０と類似の、プラスチツク製試
料用バイアルを受承するようになつている。バイ
アル４０は、その製造コストを押さえるために
も、従来公知のプラスチツク成型法により薄く、
しかも、可撓性のある合成樹脂を用いて製造する
のが望ましい。別の方法としては、ガラス製やそ
の他の材質からなるものでも良い。いずれにして
も、バイアル４０は円筒形で、そのネツク部と口
部とが、バイアル４０を対応するウエルに装入し
たときに容易にアクセスできるためにも、そのウ
エル５８ａ〜５８ｃ，５８ｄ〜５８ｇの開口端か
ら上方に臨む程度の長さ（高さ）を有している。
また、各バイアルの容量は、約2.5mlの試薬を充
填出来る程度のものが望ましく、約2.5mlの試薬
があれば、約50個の試料について検定を施すこと
が出来る。このバイアル４０には、ネジ込み式も
しくはキヤツプ型の口栓があつて、口栓を外して
開けても、同時に具備しているバイアルシールの
作用により、開いた口部が自動的に閉塞されるよ
うに構成してある。尚、このバイアルシールの詳
細な構成については、発明者をウオルター・ジヨ
ーダンとし、発明の名称が「バイアルシール」と
なつている本願出願人による同時係属の出願にお
いて開示されているものが好ましい。バイアルシ
ール４０は、バイアル支持体５０と一体形成し
て、これを使用することもできるが、別々にする
のが好ましい。バイアル４０をバイアル支持体５
０と別個のものとすれば、充填プロセスの時に、
試薬を充填するのが容易であるばかりではなく
て、試薬を含むバイアルに隣のバイアルから試薬
が混入して、試薬が汚染されるのを防ぐことがで
きる。また、図示の好ましい実施例では、バイア
ル４０と支持体５０とは、バイアル４０内の試薬
を試験ないし分析に使い尽くすと、単体として使
い捨てできるようになつている。

前述したように構成すれば、試薬の供給業者と
しては、特定の検定（アセイ）用試薬を従来の単
体型試薬パツクにして、自動分析機の操作者に低
廉にて供給できる。従つて、例えばコカインやそ
の他の薬物試験用の試験パツクを購入するだけ
で、その試験に必要な試薬がバイアル４０に充填
され、しかも、そのバイアル４０が支持体５０に
装着された状態で得られるのである。

一般に、試料におけるある蛋白質から検出しよ
うとしている検出物を固定（unbind）するのに
通常必要な予備処理用試薬と、分析物の存在を示
す特定のラベル付けした追跡用試薬（tracer
reagent）とを必要とするような検定の場合では、
試薬パツクとしては、第１実施例について説明し
たようにバイアルを三本備えているものが特に適
している。この場合、所要試薬をそれぞれのバイ
アル４０に充填しておけば良い訳である。

他方、第２実施例のようにバイアル支持体にバ
イアルを四本備えた試薬パツクは、前述したのと
類似の検定ではあるが、例えば一方の試薬から他
方の試薬へと分析機の分注手段により試薬を移す
のに極めて慎重を要する場合に特に適している。
このような検定としては、マリフアナ、コカイ
ン、アンフエタミンなどの検出試験があつて、試
薬用バイアルの外に、試薬の移し変えの都度、分
注手段を洗浄するための洗浄液用バイアルが余分
に必要となるので、第２実施例によるものはこの
場合は好都合である。

本発明のまた別の特徴や利点などは、第１図、
第２図、第８図、第９図に示す自動分析機用ター
ンテーブル７０から得られる。このターンテーブ
ル７０は、本発明による試薬パツク５０を選んだ
数だけ、分析すべき試料のある試料容器に対応す
る位置に受承し、かつ、保持するるように構成さ
れている。このターンテーブル７０は、試料パツ
ク５０を装着するに当たつて、これが所定の方向
に向くように構成されている。即ち、前述したよ
うに、突条５１は、試薬パツク５０がターンテー
ブル７０に逆に装着されるのを防いでいる。よつ
て、分析機の操作者は、対応する試薬パツク５０
をターンテーブル７０に装着して操作するに当た
つて、例えばコカイン検出試験用試薬パツク５０
を購入するか、または、それを得た後、それをタ
ーンテーブル７０に装着するだけで良いのであ
る。このようにするだけで、分析機に自動的に行
わせるようとする試験、分析に適切な試薬がター
ンテーブル７０上の適切な位置に配置されるので
ある。また、ターンテーブル７０には、反応容器
を受承し、かつ、保持する手段も設けられてい
る。後述の説明から判るように、種々の試験、分
析を組み合わせて行うこともでき、従つて、融通
性が非常に大きものである。

ターンテーブル７０は、概して、好ましくは従
来公知のプラスチツク成型法により、ABC樹脂
とか、SAN樹脂などの適当なプラスチツク材で
一体成型した円形ラツク２０と中心ベースないし
支持体３０とで構成されている。ラツク２０は、
中心ベース３０の周囲から半径方向に延在し、か
つ、円周方向に等間隔おきに植設されている複数
の垂直隔壁２６を備えている。各垂直隔壁２６
は、弧状外縁を有し、かつ、ラツク２０と一体形
成されている水平支持面２２を介して隣接する隔
壁２６と連接している。水平支持面２２は、垂直
面において隣あつた隔壁２６間を延在しているの
で、各隔壁２６の一部分、即ち、上部２７が僅か
だけこの水平支持面２２の上方に突き出ている。
また、水平支持面２２の外縁には下向きに延在す
る垂直縁ないしリム２３が形成されている。

隔壁２６は、水平支持面２２とその上部２７と
ベース３０と共に、半径方向に広がつたチヤンバ
ーを形成しており、各チヤンバーはターンテーブ
ル７０における試薬パツクの装着位置、即ち、試
薬パツクの装入室を形成している。各チヤンバー
の広幅端の寸法は、試薬パツクの薄棚５２の広幅
端の寸法に対応している。また、各チヤンバーに
おいて、支持面２２にほぼ円形で、試薬パツク５
０のウエルの内、二つのウエルを受承するよう
に、その形状に合わせた開口３１，３３か形成さ
れており、両開口３１，３３は僅かばかり互いに
重合している。試薬パツク５０をチヤンバーに装
入すると、その試薬パツク５０の保持壁５４に近
接する二つのウエル５８ａ〜５８ｂ、５８ｄ〜５
８ｅが開口３１，３３に捕捉されるので、試薬パ
ツク５０が半径方向のみならず、横方向にも揺動
するようなことはない。他方、保持壁５４から最
大距離離れたところにあるウエルは、この時、中
心ベース３０の上方に支持される。

一個の試薬パツクが三本のバイアルを収容する
ものであれば、ベース３０に支持されるウエルの
数は一個（ウエル５８ｃ）であり、同様に四本の
バイアルを収容するものであれば、二個（ウエル
５８ｆ，５８ｇ）である。保持壁５４とそれに近
接するウエル５８ａ，５８ｄとの間に形成されれ
ているギヤツプ５３は、開口３１と外縁２３との
間の支持面２２の部分の隙間を形成している。湾
曲した保持壁５４は、支持面２２の湾曲した外縁
２３に沿つてその回りに延在しており、これらの
構成部品がギヤツプ５３と協働して、試薬パツク
５０が半径方向に動くのを阻止している。支持面
２２は試薬パツク５０の薄棚５２の底面を支えて
いる。この時、薄棚５２の広幅端は、ラツクの上
部２７の間に嵌合、好ましくは、当接して、チヤ
ンバーへの試薬パツク５０の装入を容易にさせて
いると共に、チヤンバー内での試薬パツクの横動
を阻止している。前述したように、各試薬パツク
５０にある突条５１は、この突条５１がラツク２
０の周囲に向かつた状態で試薬パツク５０がチヤ
ンバーに装入されるのを防ぐ作用をなすオフセツ
トを構成している。従つて、好ましい実施例で
は、試薬パツク５０は、特定の方向に向いた状態
でのみ、即ち、突条５１が中心ベース３０を向い
ているときのみ、装入できるようになつている。

尚、ターンテーブル７０は、ラツク２０の所定
のチヤンバーにバイアル支持体が収まつた状態で
バイアル支持体と一体的に形成しても良いもので
ある。しかし、このように一体構成にすれば、本
発明が狙つている装置の融通性が減少するので、
望ましくない。

第１図、第２図、第８図、第９図に示したター
ンテーブル７０においては、ベース３０に円形凹
所２５が形成されている。この凹所２５は、ター
ンテーブル７０の回転位置毎の調達番号（raised
number）のごときの識別符号を設ける箇所を示
している。開口３１と外縁２３との間におけるラ
ツク２０の外周にも、図示していないが、この調
達番号に対応する符号が設けられている。別の方
法としては、凹所２５の代わりに、垂直壁
（barrier）を設けて、三本のバイアルを収容した
試薬パツクの装入を許容するが、四本のバイアル
を収容した試薬パツクが装入されないようにして
も良い。

また、ベース３０には、ラツクのチヤンバーの
数だけ、反応容器を受承する開口２９が形成され
ている。この開口２９は、等間隔おきにベース５
０の回りで隔離されており、その中心は、対応す
るチヤンバーにおける開口３１，３３の中心と一
致している。而して、開口２９の内面には、少な
くとも二本の固定保持突起１６，１７が形成され
ている。ターンテーブル７０のハンドル４２に
は、開口２９と等しい数の弾性指部４１からなる
ロツク機構が一体形成されている。このハンドル
とロツク機構とはベース３０に回転自在に設けら
れているので、ハンドル４２を動かせば、指部４
１も回転する。第１図と第９図とから判るよう
に、指部４１を突起１６，１７と対向する位置へ
回転させると、指部４１は反応容器の外表面を押
圧するので、この反応容器は開口２９内の突起１
６，１７と当接して、反応容器を開口２９内に確
実に保持する。この指部４１は、開口２９から外
れたところへと回転させられるようにもなつてい
るので、反応容器の装入と取り外しが容易に行え
る。指部４１としては、本願出願人が商品名
「TDx」として製造販売しているターンテーブル
に用いられている、同様の機能をなす指部と同一
構成を採るのが好ましい。尚、反応容器として
は、従来公知のキユーベツト（cuvette）であつ
ても良いものである。

試薬パツク５０をラツク２０のチヤンバーに装
入すると、少なくとも一つのウエル５８が対応す
る反応容器用開口２９にかぶさるので、別の反応
容器をターンテーブルにおける同じ場所に装入す
ることは出来なくなる。また、第１図と第９図に
示すように、ターンテーブルにおける装入位置の
うちの一つは、開口２９を持たないようにするの
が望ましく、こうすることにより、分析機の基準
位置を定めることかできる。即ち、開口２９のあ
る位置を基準として、総ての試料について試験、
分析を済ませたか、どうかが判るのである。

各チヤンバーは、試薬パツクを受承するばかり
ではなくて、別の方法として、分析すべき試料を
含んでいる試料容器を受承、保持できるようにな
つている。殊に、各チヤンバーの開口３１，３３
は、第７図に示し、また、1984年５月８日に特許
となつた米国特許出願第273807号に開示されてい
る構成の試料カツプ４５をも保持できるようにな
つているのが望ましい。好ましい試料カツプ４５
には、好ましい試薬カツプ５０と同様に、開口３
１，３３に収まつて受承される試料受承用ウエル
４６と、ラツクの支持面２２により支持されて、
各カツプ４５が所定の配置状態でチヤンバーに装
入されるように、外周に向かつて互いに広がつて
いる側縁を備えた棚４７とが設けられている。こ
のような試料カツプ４５は、ラツク２０の外縁２
３まで延在するようなことがない以外は、試薬パ
ツク５０と同様に、横方のみならず、半径方向に
も動かないように、確実に受承、保持される。

ターンテーブル７０のベース３０の下面には、
従来公知の支持用スピンドルを受承する凹所（図
示せず）と、従来公知の複数の駆動用スロツトと
が形成されており、これらはいずれも、ベース３
０の外周に沿つて放射状に配置されている。この
ような凹所とスロツトとは当業者には公知で、例
えば本願出願人が製造販売している、商品名
「TDx」自動分析機におけるターンテーブルに使
われているところである。よく知られているよう
に、受承用凹所は、分析機における固定スピンド
ル上でターンテーブルが回転するように支えるも
のであり、駆動用スロツトは、分析機のパルスモ
ータに取り付けたピニオンギヤの歯溝のごときの
駆動機構と係合して、ターンテーブル７０を間欠
回転させることで、各チヤンバーを分析機におけ
る調製位置や分析読取り位置と整合させるもので
ある。自動分析機のターンテーブル駆動装置や支
持機素について簡単に説明したが、これらの詳細
な構成は本発明の範囲に関係がないので、ここで
は詳述しないものとする。

試料パツク５０とターンテーブル７０とについ
ての前記した説明から、本発明によれば融通性が
大きく、しかも、種々の分析、試験の組み合わせ
が得られるのは明らかである。例えば、コカイ
ン、アンフエタミン、バービツエート、マリフア
ナなどの四種の検出試験に用いる試薬パツクをラ
ツク上の所定のチヤンバーに装入し、その際、第
１図に示すように、例えば四つのチヤンバー置き
に各パツクが隔離されるようにする。尚、第１図
においては試薬パツク毎に試料カツプか一個ある
ものとして示してあるが、これは単に、図示上の
便宜のためであつて、実際としては、同一人物も
しくは四人分単位の試料を含む四個の試料カツプ
を、対応する試薬パツクに合わせて四つのチヤン
バーに装入することができるものである。このよ
うに、薬物検査を、同一人もしくは四人分単位で
同時に行うことができるのである。

他の例としては、ある特定のウイルス試験の当
たつて、同一試薬の入つた四本の容器を備えた試
薬パツクを、ターンテーブル上に飛び飛びに装入
し、空いたチヤンバーには、異なつた人物の試料
を装填して、同一ウイルスの検出試験を同時に、
しかも、自動的に行うこともできる。言うまでも
なく、ユーザーにおいて適当に組み合わせて試験
を行うこともできるものである。

尚、当業者には、この他の変形例などが容易に
考えられるものであり、従つて、これらの変形例
は、本発明の範囲から逸脱しない限り、本発明の
範囲に含まれるものと解すべきである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明のターンテーブルと試薬パツ
クの好ましい実施例を示す部分平面図である。第
２図は、本発明のターンテーブルと試薬パツクの
好ましい実施例を示す部分斜視図である。第３図
は、本発明によるバイアル三本収容用試薬パツク
の実施例の平面図である。第４図は、第３図に示
した示したパツクの斜視図である。第５図は、本
発明によるバイアル四本収容用試薬パツクの実施
例の平面図である。第６図は、第５図に示したパ
ツクの斜視図である。第７図は、本発明によるタ
ーンテーブルに用いる試料容器の斜視図である。
第８図は、本発明によるターンテーブルの好まし
い実施例を示す斜視図である。第９図は、第８図
に示したターンテーブルの底面図である。 ２０……円形ラツク、２２……支持面、２６…
…隔壁、３０……中心ベース、３１，３３……開
口、４０……試薬バイアル、５０……バイアル支
持体、５１……突条、５２……薄棚、５３……ギ
ヤツプ、５４……保持壁、５８ａ〜５８ｇ……ウ
エル、６０……垂直隔壁、７０……ターンテーブ
ル。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 自動分析機に用いる試薬搬送装置であつて、
   分析機に回転自在に装填される円形ベースと、該
   ベースに連結されていると共に、所定の装着位置
   を定め、かつ、試薬パツクが挿入される受承開口
   をそれぞれ備えた試薬パツク室を円周方向に複数
   有する円形ラツクとで構成されたターンテーブル
   と、マルチ投入試薬パツクとで構成されたものに
   して、 (1) 前記円形ラツクに、それぞれの試薬パツクが
   ターンテーブルの回転軸を中心として放射状配
   向を採るように、対応する前記試薬パツク室に
   対する前記試薬パツクの着脱自在装着を許容す
   る手段が設けられ、また、 (2) 前記試薬パツクが、互いに連通するように僅
   かだけオーバラツプして一列に形成された開口
   を有し、該開口の列の方向に沿つて互いに反対
   側に臨む第１端と第２端とを有するほぼ平坦な
   棚板と、試薬容器が嵌装されるものにして、底
   端と開口端及び両者間を延在する側壁とを備
   え、前記開口端が棚板の前記開口と連通した状
   態で前記棚板に取り付けられていると共に、そ
   れぞれの前記側壁の一部がオーバラツプして前
   記開口の列の方向に沿つてその内部が互いに連
   通している所定深さのほぼ円筒形のウエルと、
   該ウエルの深さよりも小さい高さを有し、互い
   に隣接するウエル同士を互いに隔離している垂
   直隔壁と、前記ウエルに嵌装した試薬容器を前
   記ターンテーブルに対して保持させるために、
   棚板の前記第１端側に臨むウエルの側壁との間
   にターンテーブルの外周壁部の一部分を受承す
   るギヤツプが形成されるように、当該ウエルの
   側壁に沿つて延在すべく前記第１端に連接し、
   かつ、ターンテーブルの外周の曲率に沿つて湾
   曲した保持壁とを有しており、 (c) 前記ターンテーブルにおける前記受承開口
   が、試薬パツクの棚板における開口と少なくと
   も等しい数の穴を互いに連通するように僅かだ
   けオーバラツプして一列に、しかも、互いに連
   接する前記棚板における前記開口の形状とほぼ
   同一形状を呈して形成されており、而して、タ
   ーンテーブルに装着された試薬パツクは、試薬
   パツクの棚板の第２端側におけるウエルが前記
   円形ラツクに着座し、また、前記棚板の第１端
   に連接する保持壁と当該第１端側に臨むウエル
   の側壁との間におけるギヤツプに前記ラツクの
   外縁が係入した状態で、前記ターンテーブルに
   保持されるように構成したことを特徴とする試
   薬搬送装置。 ２ 請求項第１項に記載のものであつて、前記ウ
   エルのそれぞれに、試薬容器を嵌装させた際に当
   該ウエルの側壁と当該容器との間で締り嵌めを行
   う手段を設けたことを特徴とする試薬搬送装置。 ３ 請求項第２項に記載のものであつて、前記締
   り嵌めを行う手段が、ウエルの内部に向かつて突
   き出ると共に、ウエルの長手軸に沿つて平行延在
   するように各ウエルの内壁面に形成された複数の
   リブからなることを特徴とする試薬搬送装置。 ４ 請求項第１項から第３項までの何れか１項に
   記載のものであつて、ターンテーブルの前記一部
   分が当該ターンテーブルの一部を構成する円形ラ
   ツクであり、而して、ターンテーブルに装着した
   試薬パツクが当該ターンテーブルの半径方向へ移
   動するのを阻止するために、前記保持壁を、前記
   ウエルの列の方向とはほぼ直交する方向に沿つて
   前記円形ラツクの曲率に沿つて湾曲形成したこと
   を特徴とする試薬搬送装置。 ５ 請求項第１項から第４項までの何れか１項に
   に記載のものであつて、ターンテーブルの半径方
   向の外側に臨む前記保持壁の外表面に情報コード
   が設けられていることを特徴とする試薬搬送装
   置。 ６ 請求項第５項に記載のものであつて、前記情
   報コードが、光学読取り用情報ラベルとして保持
   壁の前記外表面に貼付されていることを特徴とす
   る試薬搬送装置。