JPH0588284B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はサイホン式転炉出鋼口の炉体取付用芯
出方法およびその装置に係り、詳しくは、転炉の
炉体下から炉体の出鋼口取付部に、サイホン式の
転炉出鋼口を取り付ける場合に行なう芯出作業の
分野で利用されるものである。

〔従来技術とその問題点〕

転炉内で溶解した金属または合金などの溶湯の
自由表面には溶滓が覆うように浮遊する。転炉を
傾転させて出鋼口より溶湯を取り出す場合、とり
わけ出鋼終期にあつては、溶滓も同時に流出しよ
うとする。溶湯に溶滓が混入することは好ましく
なく、溶湯のみを取り出す工夫が試みられてい
る。それを実現するものに、特公昭56−54366号
公報に記載された分離出湯装置がある。これは、
サイホン式出鋼法を採り入れたもので、出湯姿勢
で水平面と交わる面内に迂曲する出湯通路が設け
られ、その出湯通路から取り出された溶湯流の後
尾残湯の静圧により、溶湯流に追尾流動する溶滓
の静圧と釣り合わせて、その溶滓の流出を阻止す
るようにしたものである。

上述した迂曲する出湯通路がサイホン式転炉出
鋼口であり、この出鋼口は転炉の出鋼口取付部に
取り付けられる。サイホン式転炉出鋼口は、外面
の鉄皮の内側に耐火材が張り付けられたもので、
溶湯が通過することにより耐火材が損耗するの
で、その補修のためにしばしば炉体への取り付け
取り外し作業が必要となる。転炉の出鋼口近傍は
溶湯により熱負荷を受けるなどするうちに経年変
化を起こす。補修されたサイホン式転炉出鋼口に
あつても同じ状況にあり、両者の寸法に狂いが生
じることは避けられない。また、転炉本体は転炉
傾動装置によつて正逆360度回転可能であるが、
その停止精度によつて炉体側出鋼口取付部中心の
停止位置は、毎回若干の誤差を生じる。したがつ
て、サイホン式転炉出鋼口を転炉の出鋼口取付部
に取り付けるにあたつて、毎回両者の芯を合わせ
る必要がある。しかも、サイホン式転炉出鋼口の
取り付け取り外し作業は、転炉操業の合間の限ら
れた時間内に済ませる必要があり、作業の正確さ
と共に迅速性の高いことが望まれる。

ちなみに、サイホン式転炉出鋼口を転炉から取
り外したり、取り付けたりする作業は、次のよう
にして行なわれる。第５図の破線で示す垂直姿勢
にある転炉２を実線のように傾転し、炉体側面上
部に設けられている出鋼口取付部４を、サイホン
式転炉出鋼口１の取り外し位置にもつてくる。転
炉に原料を装入するために架設されている原料装
入クレーン３０によつて、サイホン式転炉出鋼口
１を玉掛け作業により支持する。出鋼口取付部４
のフランジ部４ａとサイホン式転炉出鋼口１のフ
ランジ部１ａとを締結固定している数本のボルト
またはコツタなどの締結部材をガストーチなどで
溶断し、サイホン式転炉出鋼口１を炉体３より分
離してクレーン３０で運び去る。同じクレーン３
０により補修の完了した別のサイホン式転炉出鋼
口１を搬入し、転炉２の出鋼口取付部４の近傍の
図示しない案内レールに、サイホン式転炉出鋼口
１に設けられたＶローラを噛み合わせ、サイホン
式転炉出鋼口１と転炉２の出鋼口取付部４との芯
出しが行なわれる。その間サイホン式転炉出鋼口
１は原料装入クレーン３０に吊持された状態にあ
り、玉掛工の合図などをもとにクレーン操縦者が
クレーン３０を移動させ、サイホン式転炉出鋼口
１を出鋼口取付部４に合わせている。

このような作業にあつては、以下のような種々
の問題を含んでいる。

(1) 原料装入クレーンを使用するので、同一の建
屋内にある他の転炉の原料装入サイクルに影響
を与える。しかも、サイホン式転炉出鋼口の取
り付けのタイミングも狂わされることがある。
したがつて、転炉工場における全体の稼働率の
低下を招く。

(2) 原料シユートなどの超重量物の運搬を主務と
するクレーンオペレータが、±20mm程度の極め
て高い精度の芯出しを遠方から肉眼と玉掛工の
合図により行なうことになる。しかも、オペレ
ーシヨンサイクル上短時間のうちに芯出しを済
ませる必要があるが、オペレータの熱練度によ
つては作業時間にバラツキが生じ、かつ、時間
超過といつたことも起こる。

(3) 芯出し作業にクレーンオペレータと玉掛工が
少なくとも各１名ずつを要して、入手に頼る部
分が多い。

(4) 玉掛工は、炉前作業床において炉体の保有す
る高温に曝され、また他金落下などの可能性が
ある個所での作業が要求されることになる。

〔発明の目的〕

本発明は、上述の問題を解決するためになされ
たもので、その目的は、併設された他の転炉の操
業に影響を及ぼすことなく、サイホン式転炉出鋼
口の取り付けタイミングも他の転炉の操業によつ
て影響を受けないで、１名のオペレータが作業条
件の良好な個所から遠隔操作で、芯出し作業を短
時間に行なうことができるサイホン式転炉出鋼口
の炉体取付用芯出方法およびその装置を提供する
ことである。

〔発明の構成〕

本発明のサイホン式転炉出鋼口の炉体取付用芯
出方法の特徴は、転炉下にサイホン式転炉出鋼口
取付装置を搬入し、炉体にサイホン式転炉出鋼口
を取り付けるに際し、上記サイホン式転炉出鋼口
取付装置に乗載したサイホン式転炉出鋼口の中心
から所定距離離れた個所に設けられた発光源より
炉体に向けて投光し、その照射点を出鋼口取付部
中心から上記所定距離と同距離離れた炉体上の位
置に一致させることにより、サイホン式転炉出鋼
口と炉体側の出鋼口取付部との芯出しを行なうよ
うにしたことである。

第２の発明であるサイホン式転炉出鋼口の炉体
取付用芯出装置の特徴を、第１図を参照して述べ
ると以下の通りである。転炉２の下からサイホン
式転炉出鋼口１を炉体３へ取り付けるサイホン式
転炉出鋼口取付装置６上に、サイホン式転炉出鋼
口１の中心から所定距離離れた位置に発光源２１
が設置され、炉体３に設けられた出鋼口取付部４
の中心から上記所定距離に対応する炉体３上の位
置に受光部２２が配置され、サイホン式転炉出鋼
口１の中心を出鋼口取付部４の中心に一致させる
サイホン式転炉出鋼口移動手段１４が、サイホン
式転炉出鋼口取付装置６に設けられている。

〔実施例〕

以下、本発明をその実施例に基づいて詳細に説
明する。

第１図はサイホン式転炉出鋼口１を転炉２の炉
体３に取り付ける際に必要とされる芯出し作業を
行なう装置を含む全体作業図で、転炉２は傾転さ
れた状態にあつて、第５図の仮想線で示す姿勢に
あり、出鋼口取付部４が真下に向けられ、サイホ
ン式転炉出鋼口１に当接するフランジ部４ａが水
平となる位置で停止している。転炉２の下方は通
常受鋼台車５が走行できるようになつており、そ
れに乗載されてサイホン式転炉出鋼口取付装置６
が炉体３下に搬入されるようになつている。

そのサイホン式転炉出鋼口取付装置６には、受
鋼台車５に乗載される固定フレーム７の上で前後
左右に移動する下部台車８と上部台車９とが設置
されている。本列にあつては下部台車８は受鋼台
車５の走行方向と一致する前後方向に移動でき、
その移動量は、受鋼台車５の停止精度による芯ず
れを補うことができる範囲とされる。上部台車９
に第２図に示すように左右方向に移動でき、その
移動量は、転炉トラニオン軸方向の炉体鉄皮の経
年変化などによる芯ずれと受鋼台車５上にサイホ
ン式転炉出鋼口取付装置６を乗載する際の芯ずれ
を補うことができる範囲である。したがつて、そ
れぞれの台車８，９にはローラ１０，１１が取り
付けられ、固定フレーム７と下部台車８の上面に
はライナ１２，１３が張設され、図示しない駆動
源により動力を得てそれぞれ独立に移動するよう
になつている。これらの構成が、サイホン式転炉
出鋼口１の中心を出鋼口取付部４の中心に一致さ
せるサイホン式転炉出鋼口移動手段１４を形成し
ている。

その上部台車９の上には垂直なコラムを有する
支持フレーム１５があり、それに沿つて昇降フレ
ーム１６がサイホン式転炉出鋼口１を乗載した状
態で昇降する構造となつている。なお、サイホン
式転炉出鋼口１は出鋼口取付部４と接するフラン
ジ部１ａが水平上向きとなるように、昇降フレー
ム１６上に乗載され、また、サイホン式転炉出鋼
口１のフランジ部１ａにおける中心が上部台車９
に対して、常に一定の位置となるように配慮され
ている。

このようなサイホン式転炉出鋼口取付装置６に
は、その上部台車９上にサイホン式転炉出鋼口１
の中心から離れた所定距離１，２にある位置
に発光源２１が設置されている。この発光源２１
からは例えばレーザ光などの平行光束が投光され
るようになつていて、その投光は支持フレーム１
５内をサイホン式転炉出鋼口１が動く際の中心軌
道に対して平行となるようにその姿勢が維持され
ている。一方、転炉２の炉体３に設けられた出鋼
口取付部４の中心から前記所定距離１，２と
同距離離れた炉体３上の位置に受光部２２が配置
されている。図示の例にあつては、出鋼口取付部
４との相対位置ずれがほとんど生じない場所とし
て、トラニオン軸２３を支持する下部支持リング
２４の端面に、その受光部２２が取り付けられて
いる。この受光部２２には一例として第３図に示
すように直角に交差する目印があり、その交点が
目標とされる個所で、レーザ光などの平行光束が
当つたことを明瞭に判別できるようになつてい
る。その受光部２２におけるレーザ光などの平行
光束の受光位置を確認するための工業用テレビカ
メラ２５が、発光源２１と同じ上部台車９の支持
部材２６上に設置されている。このカメラで撮ら
れられた映像はオペレーシヨン室で見ることがで
き、１名のオペレータが受鋼台車５の走行を操縦
した後、サイホン式転炉出鋼口取付装置６の下部
台車８および上部台車９を移動させ、テレビ画面
に映る受光部２２の目標個所に、発光源２１から
投光されたレーザ光などの平行光束が照射される
ようになるまで、サイホン式転炉出鋼口移動手段
１４の移動操作が続けられるようになつている。

このような構成の芯出装置によれば、次のよう
にして重量物であるサイホン式転炉出鋼口１と、
転炉２の出鋼口取付部４との芯出しを行なうこと
ができる。

待機場所において昇降フレーム１６にサイホン
式転炉出鋼口１を乗載し、サイホン式転炉出鋼口
取付装置６を受鋼台車５でもつて転炉２下へ搬入
する。その際、サイホン式転炉出鋼口１のフラン
ジ部１ａが真上となるように、その姿勢が保持さ
れる。受鋼台車５が炉体３下の予め決められた位
置に停止すると、サイホン式転炉出鋼口１の中心
から水平面内で所定距離１および２にある位
置の発光源２１より、レーザ光などの平行光束を
炉体３の受光部２２に向けて投光する。工業用テ
レビカメラ２５でその照射状態が観察され、第４
図に示すように遠景的に見ながら第３図のように
ズームアツプさせ、照射点を出鋼口取付部４の中
心から前記所定距離１，２と同距離離れた炉
体３上の受光部２２における目標位置に一致させ
る。その操作は、サイホン式転炉出鋼口移動手段
１４を構成する下部台車８と上部台車９を、油圧
シリンダなどの伸縮動作により移動させることに
より行なわれる。

芯出しが完了すると、昇降フレーム１６が上昇
され、その上に保持されたサイホン式転炉出鋼口
１が持ち上げられる。サイホン式転炉出鋼口１の
フランジ部１ａの中心と転炉２における出鋼口取
付部４のフランジ部４ａの中心が一致されている
ので、サイホン式転炉出鋼口１を上昇させるだけ
で出鋼口取付部４に合わせることができる。両者
の締結固定は図示しないボルトなどで行なわれ、
両フランジ部の取付孔は転炉２やサイホン式転炉
出鋼口１の鉄皮などに残つている熱歪を吸収でき
る程度の長孔で寸法の狂いが吸収できるように配
慮されている。

以上述べた実施例では、レーザ光などの平行光
束を投光する発光源、そのレーザ光などの平行光
束の受光部、受光を確認するテレビ装置からなつ
ているが、それ以外に、光センサを用いることに
より、感応信号による演算機能を具備することに
よつて、芯出しを自動的に行なうこともできる。

〔発明の効果〕

本発明は以上詳細に説明したように、転炉下か
らサイホン式転炉出鋼口を炉体へ取り付けるサイ
ホン式転炉出鋼口取付装置上に、サイホン式転炉
出鋼口の中心から所定距離にある位置に発光源を
設置し、炉体に設けられた出鋼口取付部の中心か
ら前記所定距離と同距離離れた炉体上の位置に受
光部を配置し、サイホン式転炉出鋼口の中心を出
鋼口取付部の中心に一致させるサイホン式転炉出
鋼口移動手段を、サイホン式転炉出鋼口取付装置
に設けたので、転炉下からサイホン式転炉出鋼口
を炉体に取り付ける際、サイホン式転炉出鋼口の
中心から所定距離にある位置より炉体に向けて投
光し、その照射点を転炉の出鋼口取付部中心から
前記所定距離と同距離離れた炉体上の位置に一致
させ、サイホン式転炉出鋼口と炉体側の出鋼口取
付部との芯出しを行なうことができる。そのよう
な操作をもつてすれば、原料装入クレーンを使用
しなくて済み、同一の建屋内にある他の転炉の原
料装入サイクルに影響を及ぼすことなく、また、
サイホン式転炉出鋼口の取り付けのタイミングも
他の転炉の操業から影響を受けなくなるため、転
炉工場における全体の稼働率の低下を防ぐと共に
取付時間の短縮が可能となる。また、発光源より
投光するだけで直ちに芯ずれ量を検出できるた
め、オペレータが短時間のうちに芯出しを済ます
ことができ、塾練度による作業時間のバラツキや
時間超過といつたことは回避される。さらに、芯
出し作業に１名のオペレータが居れば十分であ
り、遠隔操作により炉前作業床における作業環境
の悪い個所での作業を解放することができる。な
お、非接触式で芯出しができるため故障が少な
く、また、平行光束がサイホン式転炉出鋼口の移
動方向と平行しているため、取付装置と炉体間の
距離の影響を受けず、信頼性の高い取付装置とす
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明のサイホン式転炉出鋼口の炉体
取付用芯出方法が適用される炉体取付用芯出装置
の正面図、第２図はその側面図、第３図は受光部
の拡大で、工業用テレビによる映像図、第４図は
工業用テレビカメラで受光部を望んだ映像図、第
５図はサイホン式転炉出鋼口の従来における取り
付け取り外し作業説明および本発明における転炉
の傾転姿勢を説明する概略図である。 １……サイホン式転炉出鋼口、２……転炉、３
……炉体、４……出鋼口取付部、６……サイホン
式転炉出鋼口取付装置、１４……サイホン式転炉
出鋼口移動手段、２１……発光源、２２……受光
部、１，２……所定距離。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 転炉下にサイホン式転炉出鋼口取付装置を搬
   入し、炉体にサイホン式転炉出鋼口を取り付ける
   に際し、上記サイホン式転炉出鋼口取付装置に乗
   載したサイホン式転炉出鋼口の中心から所定距離
   離れた個所に設けられた発光源より炉体に向けて
   投光し、その照射点を出鋼口取付部中心から上記
   所定距離と同距離離れた炉体上の位置に一致させ
   ることにより、前記サイホン式転炉出鋼口と炉体
   側の出鋼口取付部との芯出しを行なうようにした
   ことを特徴とするサイホン式転炉出鋼口の炉体取
   付用芯出方法。 ３ 転炉下からサイホン式転炉出鋼口を炉体へ取
   り付けるサイホン式転炉出鋼口取付装置上に、サ
   イホン式転炉出鋼口の中心から所定距離離れた位
   置に発光源が設置され、 炉体に設けられた出鋼口取付部の中心から上記
   所定距離に対応する炉体上の位置に受光部が配置
   され、 前記サイホン式転炉出鋼口の中心を出鋼口取付
   部の中心に一致させるサイホン式転炉出鋼口移動
   手段が、前記サイホン式転炉出鋼口取付装置に設
   けられていることを特徴とするサイホン式転炉出
   鋼口の炉体取付用芯出装置。