JPH0586441B2 - - Google Patents

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JPH0586441B2
JPH0586441B2 JP14318385A JP14318385A JPH0586441B2 JP H0586441 B2 JPH0586441 B2 JP H0586441B2 JP 14318385 A JP14318385 A JP 14318385A JP 14318385 A JP14318385 A JP 14318385A JP H0586441 B2 JPH0586441 B2 JP H0586441B2
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powder
rare earth
alloy powder
less
atom
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JP14318385A
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Akyasu Oota
Takami Hikone
Setsuo Fujimura
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Sumitomo Special Metals Co Ltd
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  • Manufacture Of Metal Powder And Suspensions Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
利用産業分野 この発明は、Fe−B−R系永久磁石用合金粉
末の製造方法に係り、溶解、機械的粉砕なしで、
所定の粒度が得られ、かつ容易に製造できるCa
還元法による製造方法で、最終成品の磁気特性を
劣化させる酸素などの不純物の少ない希土類磁石
用合金粉末の製造方法に関する。 背景技術 現在の代表的な永久磁石材料は、アルニコ、ハ
ードフエライトおよび希土類コバルト磁石であ
る。このうち希土類コバルト磁石は、磁気特性が
格段にすぐれているため、多種用途に利用されて
いるが、主成分のSm,Coは共に資源的に不足
し、かつ高価であり、今後長期間にわたつて、安
定して多量に供給されることは困難である。その
ため、磁気特性がすぐれ、かつ安価で、さらに資
源的に豊富で今後の安定供給が可能な組成元素か
らなる永久磁石材料が切望されてきた。 本出願人は先に、高価なSmやCoを含有しない
新しい高性能永久磁石としてFe−B−R系(R
はYを含む希土類元素のうち少なくとも1種)永
久磁石を提案した(特開昭59−46008号、特開昭
59−64733号、特開昭59−89401号、特開昭59−
132104号)。この永久磁石は、RとしてNdやPr
を中心とする資源的に豊富な軽希土類を用い、
Feを主成分として15MGOe以上の極めて高いエ
ネルギー積を示すすぐれた永久磁石である。 また、このFe−B−R系永久磁石に、なお一
層の高磁石特性を与え、かつ安価に製造するため
の希土類磁石用合金粉末の製造方法として、出願
人は、先に、Ca還元法による製造方法を提案
(特開昭59−219404号)し、さらに、酸素、炭素、
カルシウム含有量を低減したCa還元による希土
類磁石用合金粉末の製造方法を提案(特願昭59−
182574号、特願昭59−248798号)した。 その要旨は、R(RはNd,Pr,Dy,Ho,Tb
のうち少なくとも1種あるいはさらに、La,Ce,
Sm,Gd,Er,Eu,Tm,Yb,Lu,Yのうち少
なくとも1種からなる)12.0原子%〜20原子%、
B4原子%〜20原子%、Fe80原子%〜83原子%と
なるように、希土類酸化物のうち少なくとも1種
と、鉄粉、純ボロン粉、フエロボロン粉および硼
素酸化物のうち少なくとも1種、あるいは上記構
成元素の合金粉または混合酸化物を上記組成に配
合した混合粉に、上記希土類酸化物などの原料粉
末に含まれる酸素量に対して、化学量論的必要量
の1.5〜3.5倍(重量比)の金属Caと希土類酸化物
の1wt%〜15wt%のCaCl2を混合し、不活性ガス
雰囲気中で900℃〜1200℃で還元拡散を行ない、
得られた反応生成物を水中に入れてスラリー化
し、さらに該スラリーを水処理する希土類磁石用
合金粉末の製造方法である。 上記の技術によつて、酸素量6000ppm以下、炭
素量1000ppm以下、Ca量2000ppm以下のFe−B
−R系永久磁石合金粉末が得られ、すぐれた磁石
特性のFe−B−R系永久磁石が得られるが、さ
らにすぐれた磁石特性を得るには、上記各含有量
のより一層の低減が必要であつた。 また、上記のCa還元法において、還元・拡散
時の原料粉末の歩留をさらに向上させ、生成合金
粉末の組成の均質化を図り、さらに該合金を使用
して磁石化した際の磁石特性にばらつきが発生し
なことが望まれている。 発明の目的 この発明は、Fe−B−R系永久磁石の磁石特
性を向上させることができるCa還元法による希
土類磁石用合金粉末の製造方法を目的とし、反応
生成した希土類磁石用合金粉末の酸素量、炭素
量、カルシウム量の著しく低減でき、還元・拡散
の効率化と、生成合金粉末組織の均質化を図り、
すぐれた磁石特性の得られる希土類磁石用合金粉
末の製造方法を目的としている。 発明の構成と効果 希土類磁石用合金粉末中の酸素、炭素、カルシ
ウムの含有量は、得られる永久磁石の特性を大き
く左右するため、かかる含有量の低減が必要不可
欠であるが、上述のCa還元において、Ca還元・
拡散により得られる反応生成物をスラリー化し
て、水処理する場合、処理水の性状が、生成合金
粉末の酸素量、炭素量、カルシウム量に大きく影
響し、生成合金粉末の酸化を惹起していることが
分つた。 発明者らは、Fe−B−R系永久磁石の磁石特
性を向上し得る合金粉末の製造方法について種々
検討した結果、Ca還元・拡散により得た反応生
成物をスラリー化し、水処理する際に、15℃以下
に冷却したイオン交換水を使用することにより、
合金粉末中の酸素、炭素、カルシウムの含有量を
大きく低減でき、Fe−B−R系永久磁石材料の
保磁力並びに減磁曲線の角型性を改善向上させ得
ることを知見した。さらに、発明者らは、還元・
拡散の効率化と生成合金粉末組織の均質化につい
て種々検討した結果、原料混合粉末の粒度を
150μm以下にすることにより、還元・拡散時の原
料粉末の歩留を向上でき、また生成合金粉末の組
織の均質化が実現でき、さらに該合金粉末を用い
て磁石化した際の磁気特性のばらつきがなくなる
ことを知見し、この発明を完成したものである。 すなわち、この発明は、 R(RはNd,Pr,Dy,Ho,Tbのうち少なく
とも1種あるいはさらに、La,Ce,Sm,Gd,
Er,Eu,Tm,Yb,Lu,Yのうち少なくとも1
種からなる)12原子%〜20原子%、 B4原子%〜20原子%、 Fe65原子%〜81原子%。を主成分とし、主相
が正方晶相からなる希土類磁石用合金粉末の製造
において、 該希土類酸化物のうち少なくとも1種と、粒度
150μm以下の鉄粉と純ボロン粉、フエロボロン粉
および硼素酸化物のうち少なくとも1種、あるい
は上記構成元素の合金粉または混合酸化物、さら
に粒度150μm以下の添加元素粉末を上記組成に配
合した混合粉に、 上記希土類酸化物などの原料粉末に含まれる酸
素量に対して、化学量論的必要量の1.5〜3.5倍の
金属Caと希土類酸化物の1wt%〜15wt%のCaCl2
を混合し、 不活性ガス雰囲気中で900℃〜1200℃に加熱し
て還元拡散を行ない、 得られた反応生成物を、15℃以下に冷却したイ
オン交換水中に投入し水と反応させてスラリー化
し、さらに該スラリーを15℃以下に冷却したイオ
ン交換水により処理することを特徴とする希土類
磁石用合金粉末の製造方法である。 この発明による合金粉末は、希土類金属を製造
する前段階における中間原料、すなわち、安価な
Nd2O3やPr6O11などの軽希土類酸化物及びTb3O4
やDy2O3などの重希土類酸化物と、粒度150μm以
下のFe粉と純ボロン粉(結晶性あるいはアモル
フアスのいずれでもよい)、粒度150μm以下のFe
−B粉またはB2O3粉末などの硼素酸化物を出発
原料とし、還元剤として金属Ca、還元反応生成
物の崩壊を容易にするCaCl2を用い、Ca還元拡散
させる工程により製造するため、種々金属塊原料
を用いるよりも安価に高品質であり、Fe−B−
R系永久磁石の磁石特性を向上させることがで
き、また、工業的量産に最適である。 この発明による希土類合金粉末は、Fe−B−
R系永久磁石の製造に際して、そのまま微粉砕
し、プレス成形、焼結、時効処理する粉末治金製
造方法により、永久磁石を得ることができ、希土
類金属塊、鉄およびボロン等の原料塊を原料とし
て製造する鋳塊粉砕法に比較して、原料溶解、鋳
造、粗粉砕などの手間とコストを要する製造工程
を省略することができ、また上記した如く、安価
な希土類酸化物などの出発原料を用い、かつ原料
粉末の歩留がよいため、永久磁石価格を安価に
し、特に、粉末中の酸素含有量等が少ないこと及
び組成の均質化が向上していることにより、ばら
つきがなく、すぐれた磁石特性のFe−B−R系
永久磁石を安価に量産できる利点を有する。 この発明による合金粉末を使用して得られた
Fe−B−R系永久磁石は、(BH)max20MGOe
以上、iHc10kOe以上であり、角型性Hk8kOe以
上の磁石特性を有し、特性のばらつきが少なく、
かつ該特性を維持しながら室温以上の温度雰囲気
中でも十分に安定した使用が可能となる。なお、
角型性Hkは磁束密度Bが残留磁束密度Brが90%
となる時の磁界Hの値である。 発明の限定理由 この発明による希土類磁石用合金粉末の製造工
程は以下のとおりであり、限定理由を合せて説明
する。 まず、Nd酸化物(Nd2O3)やPr酸化物 (Pr6O11)などの軽希土類酸化物の少なくと
も1種、あるいはさらに、Tb酸化物(Tb3O4
やDy酸化物(Dy2O3)などの重希土類酸化物の
少なくとも一種と、 粒度150μm以下のFe粉と純ボロン粉、フエロ
ボロン粉(Fe−B粉)、B2O3粉末などの硼素酸化
物のうち少なくとも1種の原料粉末を、 R12原子%〜20原子%、 B4原子%〜20原子%、 Fe65原子%〜81原子% (ここで、RはNd,Pr,Dy,Ho,Tbのうち
少なくとも1種あるいはさらに、La,Ce,Sm,
Gd,Er,Eu,Tm,Yb,Lu,Yのうち少なくと
も1種からなる) の組成となるように配合し、さらに、粒度150μm
以下の金属粉、酸化物粉(構成元素との混合酸化
物も含む)、合金粉(構成元素との混合酸化物も
含む)あるいはその他のCa還元可能な化合物粉
末として添加元素を加えて原料混合粉末とする。 なお、構成元素との合金として、V,Ti,Zr,
Hf,Ta,Nb等の硼化物がある。 この発明において、希土類酸化物との還元反応
を促進させ、上記原料粉との拡散反応を均一にか
つ充分に進行させ、均質・単相でかつ含有酸素量
の少ない合金粉末を得るためには、Fe粉、純ボ
ロン粉、フエロボロン粉(Fe−B粉),B2O3粉末
などの硼素酸化物のうち少なくとも1種の原料粉
末あるいは種々の添加元素は、粒度が150μm以下
であることが必要でり、好ましくは、75μm以下
である。 同様に、混合粉の希土類酸化物の平均粒度は1
〜10μmで、さらには2〜8μm、原料粉の平均粒
度は1〜150μmでさらに2〜50μmであることが
最も望ましい。 さらに、上記原料混合粉末に、希土類元素の還
元剤として金属Ca粉末、還元反応生成物の崩壊
を容易にするためにCaCl2粉末を添加する。金属
Caの必要量は、希土類酸化物などの原料粉末に
含まれる酸素量に対して、化学量論的必要量の
1.5〜3.5倍であり、CaCl2は希土類酸化物の1wt%
〜15wt%とする。 この発明による合金粉末には、必須元素とし
て、Bを含有するため、例えば、原料粉のフエロ
ボロン粉の融点は、鉄粉に比較して、100℃〜400
℃低いため、還元反応時の希土類元素とフエロボ
ロンとの拡散が速く有利であるが、Caの配合量
が、使用した希土類酸化物を還元するのに必要な
化学量論的必要量の1.5倍未満では、希土類酸化
物が十分に還元されないため、合金粉末中には含
有酸素量が多く、所定の合金粉末組成が得られな
い。 一方、還元反応時に生成される反応副生成物で
あるCaOは、合金粉末の還元反応時の結晶粒成長
を抑止し、所定の平均粒度を有する合金粉末を得
ることができる。しかし、希土類酸化物を還元す
るのに必要な化学量論的必要量の3.5倍を越える
過剰のCa還元剤は、工程のコストを上昇させる
だけでなく、還元反応後に水中に投入する際、
CaOとH2Oの過激な発熱反応を生ぜしめ、得ら
れる合金粉末の酸素量は増加するので、好ましく
なく、また、得られる合金粉末中の残存Caが多
くなり、このため製造する永久磁石の磁気特性は
低くなるため、3.5倍を上限とする。 また、希土類酸化物を十分還元し、所定の平均
粒度を有し、低い酸素含有量並びに残存Ca量が
少なくて、かつ所定の組成を有する磁石用合金粉
末を、歩留よく得るために、必要な還元剤の量
は、化学量論的必要量の1.5〜2.5倍の場合が最も
好ましい。 CaCl2量は、希土類元素量の15wt%を越える
と、還元・拡散反応物を、特定温度のイオン交換
水で処理する際に、その水中のCl-が著しく増大
し、生成した希土類合金粉末と反応して粉末の酸
素量が増大して磁石化した際の磁気特性を劣化さ
せるため、Fe−B−R系永久磁石用合金粉末と
して使用できず、また、1wt%未満では、還元・
拡散反応物を前記イオン交換水中に投入しても、
崩壊せず、前記イオン交換水により処理できない
ため、1wt%〜15wt%とする。 上述した希土類酸化物及び粒度150μm以下の
Fe粉等の原料粉、還元剤を所定量配合したのち、
例えばV型混合機等を使用し、不活性ガス雰囲気
中で、混合を行なう。ついで、混合した粉末を不
活性ガス流気雰囲気で、900〜1200℃の温度範囲
で、0.5時間から5時間、還元・拡散反応を行な
わせる。このとき、昇温速度は、出発原料粉末に
含有される吸着水分ガス成分を除去するため、5
℃/min以下が好ましい。 ここで、還元温度を900℃〜1200℃に限定した
のは、900℃未満では、希土類酸化物のCaによる
還元が不十分となり、所定の組成を有する合金粉
末が得られず、また、合金粉末の含有酸素量が増
大するため、好ましくないためであり、また、還
元温度が1200℃を越えると、還元時の拡散反応が
促進されすぎて、結晶粒成長を起し、所定の平均
粒度を有する合金粉末が得られず、また、反応生
成物中のCaの残存量が多くなり、永久磁石用合
金粉末として好ましくないためである。また、所
定の平均粒度及び成分組成を有し、かつ低い含有
酸素量並びに残存Ca量を有する高性能永久磁石
用合金粉末を得るためには、900℃〜1100℃の還
元温度が最も望ましい。 Caによる還元・拡散反応において、Caで還元
された溶融状態の希土類金属がただちに粒度
150μm以下のFe粉やFe−B粉と、極めて容易に
かつ均質に合金化し、希土類酸化物から使用の合
金粉末が歩留よく回収できる。 還元・拡散反応終了後は、室温まで炉冷あるい
は急速冷却してもよいが、冷却雰囲気は、得られ
た合金粉末を酸化させないように、不活性ガス中
が望ましい。また、反応生成物を予め粉砕して用
いるのもよい。 得られた還元反応生成物を、15℃以下に冷却さ
れたイオン交換水中に投入し、反応副生成物の
CaO,CaO2CaCl2をH2Oと反応させて、 Ca(OH)2となす、すなわち、化学量論的必要
量の1.5〜3.5倍の還元剤を配合して得られた還元
反応生成物は、水中において、発熱、自然崩壊し
てスラリー状態となるので、特別に機械的粉砕を
必要としない利点がある。このスラリーをさら
に、15℃以下に冷却したイオン交換水を用いて、
充分にCa分を除去処理して、さらに、室温で真
空乾燥し、10〜500μmのFe−B−R系永久磁石
用合金粉末を得る。 この発明において、還元・拡散後の反応生成物を
スラリー化し、水処理する処理水に、15℃以下に
冷却したイオン交換水を用いたのは、水をイオン
交換することにより、希土類磁石に有害な合金粉
末中のCl-,NO3 -,CO3 --,SO4 --等の陰イオン
を除去し、粉末の酸化を防止し、さらに難溶性の
Ca塩の生成を防止するためであり、かつ15℃以
下に冷却することにより、原料粉末中のO2濃度、
Ca濃度を低減し、後続の磁石化処理により、
(BH)max>20MGOe、iHc>10kOe、角型性
Hk>8kOeのすぐれた磁石特性を得ることができ
る。 以上に詳述した製造方法で得られるこの発明に
よる合金粉末は、 R(RはNd,Pr,Dy,Ho,Tbのうち少なく
とも1種あるいはさらに、La,Ce,Sm,Gd,
Er,Eu,Tm,Yb,Lu,Yのうち少なくとも1
種からなる)12原子%〜20原子%、 B4原子%〜20原子%、 Fe65原子%〜81原子%を主成分とし、主相が
正方晶相で、含有酸素量が4000ppm以下、含有炭
素量が600ppm以下、含有Ca量が1000ppm以下で
ある。 上記合金粉末に含まれる酸素は、最も酸化しや
すい希土類元素と結合して希土類酸化物となり、
永久磁石中に酸化物R2O3として残留するため好
ましくなく、酸素量が4000ppmと越えると、角型
性Hk<8kOeとなる。 また、含有炭素量が、600ppmを越えると、著
しい保磁力角型性の劣化を生じ、好ましくない。 また、含有Ca量が、1000ppmを越えると、後
続のこの合金粉末を用いて磁石化る途中の焼結工
程において、還元性の極めて高いCa蒸気を多量
に発生し、熱処理炉を著しく損傷し、工業的生産
における安定性に欠け、また、永久磁石中の残存
Ca量が増えて、磁石特性を劣化させるため好ま
しくない。 永久磁石の成分限定理由 この発明の希土類合金粉末中の希土類元素R
は、組成の12原子%〜20原子%を占めるが、Nd,
Pr,Dy,Ho,Tbのうち少なくとも1種、ある
いはさらに、La,Ce,Sm,Gd,Er,Eu,Tm,
Yb,Lu,Yのうち少なくとも1種を含むものか
らなる。 また、通常Rのうち1種をもつて足りるが、実
用上は2種以上の混合物(ミツシユメタル,ジジ
ム等)を入手上の便宜等の理由により用いること
ができる。 なお、このRは純希土類元素でなくてもよく、
工業上入手可能な範囲で製造上不可避な不純物を
含有するものでも差支えない。 Rは、新規なFe−B−R系永久磁石における、
必須元素であつて、12原子%未満では、結晶構造
がα−鉄と同一構造の立方晶組織となるため、高
磁気特性、特に高保磁力が得られず、20原子%を
越えると、Rリツチな非磁性相が多くなり、保磁
力は10kOe以上であるが、残留磁束密度Brが低
下して、すぐれた特性の永久磁石が得られない。
よつて、希土類元素は、12原子%〜20原子%の範
囲とする。 Bは、Fe−B−R系永久磁石における、必須
元素であつて、4原子%未満では、菱面体構造が
主相となり、高い保磁力iHcは得られず、10kOe
以下となり、20原子%を越えると、Bリツチな非
磁性相が多くなり、残留磁束密度Brが低下し、
(BH)max20MGOe未満となり、すぐれた永久
磁石が得られない。よつて、Bは、4原子%〜20
原子%の範囲とする。 Feは、新規な上記系永久磁石において、必須
元素であり、65原子%未満では残留磁束密度Br
が低下し、81原子%を越えると、高い保磁力が得
られないので、Feは65原子%〜81原子%の含有
とする。 また、この発明による永久磁石材料において、
Feの一部をCoで置換することは、得られる磁石
の磁気特性を損うことなく、温度特性を改善し耐
食性を向上することができるが、CO置換量がFe
の30%を越えると、逆に磁気特性が劣化するた
め、好ましくなく、望ましくはFeの20%以下で
ある。 また、この発明による永久磁石は、R,B,
Feの他、工業的生産上不可避的不純物の存在を
許容できるが、Bの一部を4.0原子%以下のC、
3.5原子%以下のP、2.5原子%以下のS、1.5原子
%以下のCu、5原子%以下のSiのうち少なくと
も1種、合計量で5.0原子%以下で置換すること
により、永久磁石の製造性改善、低価格化が可能
である。 また、下記添加元素のうち少なくとも1種は、
R−B−Fe系永久磁石に対してその保磁力、減
磁曲線の角型性を改善あるいは製造性の改善、低
価格化に効果があるため添加することができる。
しかし、保磁力改善のための添加に伴ない残留磁
束密度(Br)の低下を招来するので、従来のハ
ードフエライト磁石の残留磁束密度と同等以上と
なる範囲での添加が望ましい。 5.0原子%以下のAl、3.0原子%以下のTi、 5.5原子%以下のV、4.5原子%以下のCr、 5.0原子%以下のMn、5.0原子%以下のBi、 9.0原子%以下のNb、7.0原子%以下のTa、 5.2原子%以下のMo、5.0原子%以下のW、 1.0原子%以下のSb、3.5原子%以下のGe、 1.5原子%以下のSn、3.3原子%以下のZr、 6.0原子%以下のNi、1.1原子%以下のZn、 3.3原子%以下のHf, のうち少なくとも1種の添加含有、但し、2種以
上含有する場合は、その最大含有量は当該添加元
素のうち最大値を有するものの原子%以下の含有
させることにより、永久磁石の高保磁力化が可能
になる。また、特に好ましい添加元素は、V,
Nb,Ta,Mo,W,Cr,Alであり、含有量は少
量が好ましく、3原子%以下が有効であり、Al
は0.1〜3原子%、望ましくは0.2〜2原子%であ
る。 これらの添加元素は、出発原料混合粉末に、金
属粉、酸化物、あるいは構成元素との合金粉、化
合物粉ないし混合酸化物、あるいはCaにより還
元可能な化合物として添加することができる。 結晶相は主相(特定の相が80%以上)が正方晶
であることが、磁石として高い磁気特性を発現し
得る微細で均一な合金粉末を得るのに不可欠であ
る。この磁性相はFeBR正方晶化合物結晶で構成
され、非磁性層により粒界を囲まれている。非磁
性相は主としてRリツチ相からなり、Bの多い場
合、Bリツチ相も部分的に存在し得る。非磁性層
粒界域の存在は高特性に寄与するものと考えら
れ、本発明合金の重要な組織上の特徴をなし、ほ
んの僅かな量でも有効であり、例えば1vol%以上
は充分な量である。 また、この発明の永久磁石は、磁場中プレス成
型することにより磁気的異方性磁石が得られ、ま
た、無磁界中でプレス成型することにより、磁気
的等方性磁石を得ることができる。 この発明による永久磁石は、保磁力iHc≧
10kOe、残留磁束密度Br>9kG、を示し、最大エ
ネルギー積(BH)maxは、最も好ましい組成範
囲では、(BH)max≧20MGOeを示し、最大値
は30MGOe以上に達する。 また、この発明永久磁石用合金粉末のRの主成
分がその50%以上をNd及びPrを主とする軽希土
類金属が占める場合で、R12原子%〜20原子%、
B4原子%〜20原子%、Fe74原子%〜80原子%、
を主成分とするとき、(BH)max35MGOe以上
のすぐれた磁気特性を示し、特に軽希土類金属が
Ndの場合には、その最大値が42MGOe以上に達
する。 実施例 実施例 1 Nd2O3粉末 154.7g Dy2O3粉末 17.3g、 Fe粉末(粒度70μm以下) 224.4g フエロボロン粉末 23.0g (粒度70μm以下、19.5B−Fe合金粉末) Al2O3粉末 3.1g 金属Ca粉末 170.8g (還元に要する化学論必要量の2.4倍) CaCl2粉末 7.0g (希土類酸化物原料の3.5wt%) 以上の原料粉末総量600gを用い、30.5Nd−
3.6Dy−1.15B−64.75Fe(wt%)を目標に、V型
混合機を使用し、Arガス雰囲気中で、混合した。 ついで、上記の混合粉末を、還元炉のArガス
流気雰囲気中で、1050℃、2.0時間、の条件で、
還元拡散反応を促進させたのち、室温まで炉冷し
た。 得られた還元反応生成物600gを、6の7℃
に冷却したイオン交換水に投入し、スラリー化し
た後、さらに、スラリー状合金粉末を、7℃に冷
却したイオン交換水で数回洗浄し、さらに、真空
乾燥し、この発明による合金粉末351.7g(歩留90
%)を得た。 得られた合金粉末は、成分組成が、 Nd 30.2wt%、Dy 3.4wt%、 B 1.07Wt%、Fe 61.0wt%、Al 1.2wt% O2 2400ppm、C 490ppm、Ca 500ppm、 粒度は、平均粒度89μmであつた。 この合金粉末を微粉砕して平均粒度2.8μmの微
粉砕粉を得、磁界10KOe中で配向し、1.5t/cm2
て加圧成型して15mm×16mm×10mm寸法に成形し、
その後、Ar雰囲気中で1080℃、2時間、の条件
で焼結し、さらに、Ar中で800℃×1Hrと、630
℃×1Hrの2段時効処理を行ない、永久磁石とな
した。得られた永久磁石の磁気特性を測定し、第
1表に結果を示す。 また、比較のため、 Nd2O3粉末 178.9g Dy2O3粉末 17.3g、 Fe粉末(粒度150〜70μm) 216.7g フエロボロン粉末 21.9g (粒度150〜70μm、19.5B−Fe合金粉末) 金属Ca粉末 162.9g (還元に要する化学論必要量の2.4倍) CaCl2粉末 7.0g (希土類酸化物原料の3.5wt%) 以上の原料粉末総量600gを用い、イオン交換
水の温度を20℃にして、スラリー化し、さらに洗
浄処理する以外は、前記の条件の製造方法で得た
合金粉末(326.7g、歩留81%)は、 Nd 30.5wt%、Dy 3.4wt%、 B 1.10Wt%、Fe 62.6wt%、 O2 8800ppm、C 670ppm、Ca 800ppm、 粒度は、平均157μmであつた。 この比較合金粉末を用いて前記条件で磁石化
し、その磁気特性を測定した。結果は第1表に示
すとおりである。
【表】 実施例 2 Nd2O3粉末 178.9g Dy2O3粉末 5.8g、 Fe粉末(粒度70μm以下) 226.2g フエロボロン粉末 21.3g (粒度70μm以下、19.5B−Fe合金粉末) フエロニオブ粉末 3.4g (粒度70μm以下、67.6Nb−Fe合金粉末) 金属Ca粉末 157.9g (還元に要する化学論必要量の2.4倍) CaCl2粉末 6.5g (希土類酸化物原料の3.5wt%) 以上の原料粉末総量600gを用い、30.5Nd−
1.2Dy−0.6Nb−1.1B−66.6Fe(wt%)を目標に、
V型混合機を使用し、Arガス雰囲気中で混合し
た。 ついで、上記の混合粉末を、還元炉をArガス
流気雰囲気中で、1050℃、2.0時間、の条件で、
還元拡散反応を促進させたのち、室温まで炉冷し
た。 得られた還元反応生成物600gを、6の7℃
に冷却したイオン交換水に投入し、スラリー化し
た後、さらに、スラリー状合金粉末を、7℃に冷
却したイオン交換水で数回洗浄し、さらに、真空
乾燥し、この発明による合金粉末を得た。 得られた合金粉末(380.7g,歩留93%)は、成
分組成が、 Nd 30.7wt%、Dy 1.16wt%、Nb 0.6wt%、 B 1.08Wt%、Fe 63.6wt%、 O2 2300ppm、C 510ppm、Ca 400ppm、 粒度は、平均85μmであつた。 この合金粉末を微粉砕して平均粒度2.8μmの微
粉砕粉を得、磁界10KOe中で配向し、1.5t/cm2
て加圧成型して15mm×16mm×10mm寸法に成形し、
その後、Ar雰囲気中で1100℃、2時間、の条件
で焼結し、さらに、Ar中で800℃×1Hrと、630
℃×1Hrの2段時効処理を行ない、永久磁石とな
した。得られた永久磁石の磁気特性を測定し、第
2表に結果を示す。 また、比較のため、Fe粉末、フエロボロン粉
末、フエロニオブ粉末に粒度が150μmから70μm
の粉末を用いる以外は、前記の条件の製造方法で
得た合金粉末(347.9g,歩留85%)は、 Nd 30.6wt%、Dy 1.16wt%、Nb 0.6wt%、 B 1.07Wt%、Fe 63.5wt%、 O2 2500ppm、C 490ppm、Ca 500ppm、 粒度は、平均粒度147μmであつた。 この比較合金粉末を用いて前記条件で磁石化
し、その磁気特性を測定した。結果は第2表に示
すとおりである。
【表】

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 1 R(RはNd,Pr,Dy,Ho,Tbのうち少な
    くとも1種あるいはさらに、La,Ce,Sm,Gd,
    Er,Eu,Tm,Yb,Lu,Yのうち少なくとも1
    種からなる)12原子%〜20原子%、B4原子%〜
    20原子%、Fe65原子%〜81原子%を主成分とし、
    主相が正方晶相からなる希土類磁石用合金粉末の
    製造において、該希土類酸化物のうち少なくとも
    1種と、粒度150μm以下の鉄粉と純ボロン粉、フ
    エロボロン粉および硼素酸化物のうち少なくとも
    1種、あるいは上記構成元素の合金粉または混合
    酸化物、さらに粒度150μm以下の添加元素粉末を
    上記組成に配合した混合粉に、上記希土類酸化物
    などの原料粉末に含まれる酸素量に対して、化学
    量論的必要量の1.5〜3.5倍の金属Caと希土類酸化
    物の1wt%〜15wt%のCaCl2を混合し、不活性ガ
    ス雰囲気中で900℃〜1200℃に加熱して還元拡散
    を行ない、得られた反応生成物を、15℃以下に冷
    却したイオン交換水中に投入してスラリー化し、
    さらに該スラリーを15℃以下に冷却したイオン交
    換水により処理することを特徴とする希土類磁石
    用合金粉末の製造方法。
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