JPH0586343B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、インクジエツト記録ヘツドに関し、
特にインク供給性に優れ小型化が達成されるイン
クジエツト記録ヘツドに関する。

［発明の背景］ インクジエツト記録法（液体噴射記録法）は、
記録時における騒音の発生が無視し得る程度に極
めて小さいという点、高速記録が可能でありしか
も所謂普通紙に定着という特別な処理を必要とせ
ずに記録を行なえる点において、最近関心を集め
ている。

その中で、例えば特開昭54−51837号公報、ド
イツ公開（DOLS）第2843064号公報に記載され
ている液体噴射記録法は、熱エネルギーを液体に
作用させて、液的吐出の原動力を得るという点に
おいて、他の液体噴射記録法とは、異なる特徴を
有している。

即ち、上記の公報に開示された記録法は、熱エ
ネルギーの作用を受けた液体が急峻な体積の増大
を伴う状態変化を起し、該状態変化に基づく作用
力によつて、記録ヘツド部先端の吐出口（オリフ
イス）より液体が吐出されて、飛翔的液滴が形成
され、該液滴が被記録部材に付着し記録が行なわ
れる。

殊に、DOLS2843064号公報に開示されている
液体噴射記録法は、所謂drop−on demand記録
法に極めて有効に適用されるばかりではなく、記
録ヘツド部をfull lineタイプで高密度マルチオリ
フイス化された記録ヘツドが容易に具現化できる
ので、高解像度、高品質の画像を高速で得られる
という特徴を有している。

ここで、オンデマンド型記録法というのは、記
録画像を形成するにあたつて、画像を形成するの
に必要な液滴を信号入力に応じて吐出するタイプ
のもので、常にインク滴を吐出し、記録する画像
に応じてインク滴を記録に用いるものとそうでな
いものに選択する所謂コンテイニユアス型におけ
るようにインクの回収、循環の必要がないので装
置の小型化、簡素化に適している。また、上記の
full lineタイプというのは、被記録部材例えば紙
の記録幅に亘つてオリフイスが形成されているも
ので、従つて、記録ヘツドを紙幅方向に走査する
必要がないので装置の小型化、簡単化が計れると
ともに記録速度の向上にも適している。full line
タイプにおいては、例えばA4幅（210mm）全域に
亘る記録を行なう場合は、１mm当り８個のオリフ
イスを有するとすると1680個のオリフイスが連続
的に配されることになり、高密度マルチオリフイ
ス化される。

上記の記録法に適用される装置の記録ヘツド部
は、液体を吐出するために設けられたオリフイス
と、該オリフイスに連通し、液滴を吐出するため
の熱エネルギーが液体に作用する部分である熱作
用部を構成の一部とする液流路とを有する液吐出
部と、熱エネルギーを発生する手段としての電気
熱変換体とを具備している。

通常、このような記録ヘツドは、複数のオリフ
イスが列状に形成されていて、各オリフイスに連
通する液流路は、一つの共通する液室に連通した
構造となつていて、該液室に液体タンクより液体
が供給される。

ところで、従来このような記録ヘツドによつ
て、２色又はそれ以上のいわゆるカラー記録を行
なう方法として、各色に対応した記録ヘツドを必
要な色数に応じて配置して、それぞれのヘツドに
対応してインクタンクよりインクを供給する方式
が一般的であつた。

即ち、赤黒２色の記録には、赤インク用記録ヘ
ツドが用いられ、４色以上に記録には、通常、イ
エロー、マゼンタ、シアン、ブラツク用の記録ヘ
ツドが最低各色１ヘツドずつ用いられていた。こ
のような方法によるカラー記録は、同一構造の記
録ヘツドを必要色数だけ並べれば良いという利点
を有するが、２つ又はそれ以上の数の記録ヘツド
を併設する場合には互の記録ヘツドの位置関係の
精度が要求され、この要求を満足する為には、記
録ヘツド及びこれを固定するための固定装置を製
造する上で非常に精密な加工が要求されるという
大きな欠点を有していた。近年高解像度、高品質
のカラー画像を記録する要求は益々高度化してき
つつあり、前述したような複数個の記録ヘツドを
並べる方法では、このような要求を十分に満足す
ることができない。また紙上に記録される記録ド
ツトの位置精度に高度の厳密さが要求される為に
前述した記録ヘツド及び固定装置を加工する上で
数々の工夫が必要となり製造コストは、非常に高
価なものとならざるを得なかつた。また各記録ヘ
ツドを交換することは厳密な位置調整が必要な為
に容易ではなかつた。

更に各色に対応した個数の記録ヘツドを並べる
為に色数が増加すると記録ヘツド全体が大型化し
小さくコンパクトなプリンタに適用しにくいばか
りでなくヘツド全体の重量も増大する為に記録装
置のヘツドを搭載するキヤリツジの走行系に対す
る負荷も大きくならざるを得ないという問題点が
あつた。

一方、特開昭59−103761には、カラー記録を行
うための異なる色のインクを吐出するヘツド単位
の複数を一体的に構成し、しかも異なる色のイン
クを吐出する隣接吐出口間でインクの混色を生じ
ないように、１ヘツド単位毎の吐出口の配列方向
と、異なる色に吐出口の配列方向とを一致させて
いる構成の記録ヘツドが提案されている。

しかし、吐出口の数が多数となつた場合には記
録ヘツドが極めて長尺化することになつて、結局
記録ヘツドの大型化をまねくことになり、従来の
個別ヘツドを並べて配列した場合と同様記録装置
の大型化やキヤリツジ負荷の増大を招くことにな
る。

［発明の目的］ 本発明は、前述した諸問題に鑑みなされたもの
で、高品質で高解像度の記録を容易に行うことが
でき、かつ低価格でコンパクトなインクジエツト
記録ヘツドを提供することを目的とする。

［発明の概要］ 本発明者は、吐出口の数に影響されず、しかも
隣接吐出口間でのインクの混色を生じることのな
い小型で高品位画像を記録可能なインクジエツト
記録ヘツドを得るためには、吐出口とインクを吐
出するための駆動素子とを対向配置し、しかもヘ
ツドの走査移動方向とほぼ直交する方向に吐出口
列を配列し、さらに吐出口群の間に共通液室を設
ける構成を採用することにより目的を達成できる
との知見を得るに至つた。

本発明は前述の知見に基づきなされたもので、
インクジエツト記録装置に用いられるインクジエ
ツト記録ヘツドにおいて、インクを吐出するため
の吐出口群の複数が設けられた第１基板と、前記
第１基板と対向配置されるとともに、前記複数の
吐出口群の夫々に対向して夫々実質的に同一形状
で形成されたインクを吐出するために利用される
発熱素子群を備えた第２基板と、前記第１基板と
第２基板とが接合されることで構成される、前記
吐出口群の夫々に連通した液路と、前記液路に連
通した一つの共通液室と、前記共通液室にインク
を供給するための供給口と、を有しており、前記
吐出口群の配列方向は、前記記録ヘツドの走査移
動方向とほぼ直交することを特徴とする。

［発明の実施例］ 以下、本発明を具体的な実施例に従つて詳細に
説明にする。

以下説明する記録ヘツドの実施例は、複数の記
録液吐出口の列と、それぞれの吐出口に記録液を
導く複数の液路と、これらの液路に連通した１つ
の共通液室とを備え、それぞれの吐出口に対応し
て基板に設けられた複数の発熱素子により発生さ
れる熱エネルギーを対応する液路内の記録液に作
用させることによつて記録液を吐出口より吐出さ
せて記録を行う記録ヘツドであつて、前記の基板
上に、複数の発熱素子を含む発熱素子の群を複数
群設け、各発熱素子群毎に独立に、記録ヘツドの
走査移動方向とほぼ直交して配列された記録液吐
出口列と、それぞれの吐出口に記録液を導く複数
の液路と、これらの液路に連通した共通液室とを
設け、それぞれの液室に異なる記録液を供給する
ようにしたことを特徴とするものである。

換言すると、以下説明する実施例の記録ヘツド
は、記録液を吐出して飛翔的液滴を形成する為に
設けられた複数の記録液の吐出口であるオリフイ
スと、該オリフイスに連通し、前記液滴を形成す
る為の熱エネルギーが液体に作用する部分である
熱作用部を構成の一部とする液路とを有する液吐
出部と、基板上に設けられた発熱抵抗層に電気的
に接続して、少なくとも一対の対置する電極が設
けられ、これ等電極の間に熱発生部が形成されて
いる電気熱変換体とを具備する記録ヘツドであつ
て、一枚の基板上に多数の熱作用部及びそれぞれ
の熱作用部に対応するオリフイスが複数の群に分
けて形成されていて各々の群にはオリフイスに連
通した一つの共通の液室が設けられ、各々の群に
対応する液路及び液室は、群の間で相互に液体が
混合することのないように互に仕切られた構造に
なつていて２種類以上の液体を別々に吐出させる
ことができるように構成された一体型の多色記録
ヘツドである。

第１図は、本発明の典型的な実施例を示すヘツ
ドの分解図である。基板１０１は、ガラス、セラ
ミツク、グレーズドセラミツク、シリコンなどが
用いられるが該基板１０１の表面に発熱抵抗素子
１０２、個別電極１０３、共通電極１０４、電極
パツド１０５が形成されている。

これらの抵抗素子及び電極は通常、蒸着やスパ
ツタリングなどにより薄膜を堆積した後、いわゆ
るホトリソグラフイーの手法で所望する部分のみ
のパータンを残してエツチング除去することによ
り形成される。

電極パツド１０５は、外部から電気信号を導く
為にこの図には示されていない基板１０１外の導
体配線とワイヤーボンデイングや圧着などの手法
で接続する為に設けられている。

インク供給口としての孔１１３は基板１０１を
貫通して形成されていて図示してないインク保存
タンクから導かれたインクは、基板１０１の下部
から発熱抵抗素子１０２等が形成されている基板
１０１の上部表面へ該孔１１３を通して導かれ
る。第１図に示されるように、発熱抵抗素子１０
２は、共通電極１０４を共通とする複数の群に分
けて形成されている。そして各群に対して各１つ
の孔１１３が設けられている。

図では、７個の発熱素子１０２が一枚の基板１
０１の上部に４つの群に分けて設けられている。
この発熱素子１０２は、後述する第１図中１１４
で示される記録ヘツドの走査移動方向とほぼ直交
する方向に配列されている。このように発熱素子
１０２を配列することで、さらに発熱素子１０２
の個数を増加しても記録ヘツドの幅の増加がなく
記録ヘツドの小型化を維持できる。第２基板であ
る基板１０１の上部には、第１基板であるプレー
ト１０６が図で破線と矢印で示した位置に接合さ
れる。プレート１０６は、ガラス、セラミツク、
シリコンやステンレススチール、ニツケルなどの
金属或は、有機合成樹脂で作られる。

プレート１０６には、インク滴を吐出させる為
のオリフイス１０７、熱発生部で生じた吐出の為
の圧力エネルギーが、オリフイス側に有効に働く
ように作用し、且つ隣接する熱発生部との圧力の
干渉を防止する為のバリヤー１０８が設けられて
いて、各々のオリフイス１０７にインクを導くよ
うにバリヤー１０８の間には、液路１０９が形成
されている。

これらのオリフイス１０７、バリヤー１０８、
液路１０９は、各々の発熱抵抗素子１０２に対応
するようにプレート１０６上で複数の群に分けて
設けられ、破線の矢印に従つてプレート１０６を
接合した時に、バリヤー１０８は互に隣接する発
熱素子の中間に位置するように作られる。そして
各群に属する液路１０９に連通して一つの共通す
る液室１１０が形成されている。

この液室１１０は、オリフイス１０７の配列群
の間に設けられており、これによつてオリフイス
１０７の配列群は夫々所定の間隔を有することに
なり、隣接するオリフイス１０７の配列群におい
てインクの混色を生じることがなくなる。

プレート１０６を基板１０１に接合した状態で
は、液室１１０の底部に孔１１３が位置し、イン
クは供給口である孔１１３を通して液室１１０に
基板１０１の裏面から導かれる。第１図では、液
室１１０は、プレート１０６の下部から掘り込ま
れた形状で４個設けられているが、各々の液室１
１０は、隔壁１１１によつて互に仕切られてい
る。従つて一つの孔１１３から導入したインク
は、１つの対応する液室１１０に流入し、一群の
液路１０９及びオリフイス１０７に導かれるだけ
であり、他の孔１１３から導入したインクと互に
混合することはない。

基板１０１とプレート１０６の接合方法は、
数々あるが、例えばエポキシ樹脂接着剤による接
合は、容易で確実なものである。接着剤は、少な
くとも隔壁１１１及び縁壁１１２の下部面で基板
１０１と接着されるように塗布される。

以上述べたように、第１図に示された本発明の
液体噴射記録ヘツドは１つの共通する基板１０１
を有しオリフイス１０７を４群と４個のインクを
導入する孔１１３及び電極パツド１０５が、４群
に分けて形成された構造となつている。

いま、該記録ヘツドの各孔にイエロー、マゼン
タ、シアン、ブラツクの各色のインクを導き、各
色に対応する画信号を対応する電極パツド１０５
の群に与えることにより４色の液滴が画信号に対
応してオリフイス１０７から吐出され、該記録ヘ
ツドを図示の矢印１１４方向に移動させることに
より４色以上のカラー記録を行なうことができ
る。

本実施例によれば、例えばフルカラー化しても
オリフイスの各色毎の実質的な密度は低下するこ
とがないばかりか各オリフイス間毎の位置精度も
極めて良好な為、大変良好な記録画像を形成でき
る記録ヘツドを提供することができる。

以上に説明した第１図の実施例では、基板の同
一面側に４群のオリフイス１０７を有するカラー
記録ヘツドを示したが、これに限定する必要はな
く、２群以上のオリフイス１０７及びそれに対応
する２個以上の液室１１０、孔１１３を有する記
録ヘツドに対しても本発明の効果は変わらない。

［発明の効果］ 以上、具体的な実施例に従つて説明したよう
に、インクジエツト記録ヘツドにおいて、一枚の
基板上に複数の発熱素子群とそれに対応する吐出
口群を形成し、各々の吐出口群に導かれるインク
が別個のインク導入口から導入され、互に混合す
ることのないようにヘツドを形成することによ
り、非常に小型でコンパクトな多色記録ができる
記録ヘツドが提供されると同時に、高品質で高解
像度のカラー記録を行なうことのできる記録ヘツ
ドを容易に低価格で製造することができる。

即ち、多色の記録を行なう場合に、２個以上の
記録ヘツドを用いる従来の方法では、各ヘツドの
吐出口位置の相対位置合わせが必要である為に、
各ヘツド及びそれらを組み合わせる取付治具に
は、寸法精度を高める為の特別な工夫が必要であ
り、高解像度を得る為には、非常に高価なヘツド
になり、更に解像度にも限界があつた。しかしな
がら、本実施例の記録ヘツドにおいては、発熱素
子群及び吐出口群がそれぞれ一枚の第２基板上及
び一枚の第１基板上に一括して同時に同一工程で
形成される為に非常に低価格で且つ互の位置精度
が非常に高く、しかもオリフイス密度も高く保つ
ことができるのでより高精細な画像記録が可能な
ヘツドを容易に提供することができる。

また、本実施例の記録ヘツドは、一枚の基板上
に発熱素子をヘツドの走査移動方向とほぼ直交す
る方向に配列しているため、発熱素子の数が増加
してもヘツドの幅方向の大きさが大きくなること
なく非常に小型で軽量に作られる。また、隣接す
る吐出口群の間に液室が位置する構成としている
ため、吐出口面においてインクが混色することが
なく、高品位の記録を達成できる。従つて、本実
施例の記録ヘツドを搭載するプリンタを小型にす
ることが可能となるばかりでなく、記録ヘツドを
プリンタに取りつけ紙面に対して移動させる為の
キヤリツジの駆動系に対する負担も軽減されると
いう利点も有する。

加えて、発熱素子群及び吐出口群を有する複数
のヘツド単位がほぼ同じ形状で且つ同じ条件で作
製することができるので各色毎のヘツドの特性の
ばらつきもなく高品質な記録を得ることができ
る。

尚、同一基板に形成された各ヘツド単位に供給
されるインクは必ずしもフルカラーの為のものや
所謂多色記録に用いる様なインクの色の組み合わ
せでなく、より豊かな階調表現をするために同色
系で濃さの異なつたインクを供給するのであつて
も全くかまわない。

以上詳細に説明した通り、本発明は高品質で高
解像度の記録を容易に行うことができ、かつ低価
格でコンパクトなインクジエツト記録装置に用い
られるインクジエツト記録ヘツドを提供すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例を示す記録ヘツドの分
解図の斜視図である。 １０１……第２基板、１０２……発熱素子、１
０６……第１基板、１０７……オリフイス（吐出
口）、１０９……液路、１１０……共通液室、１
１１……隔壁、１１２……縁壁、１１３……孔
（インク供給口）。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ インクジエツト記録装置に用いられるインク
   ジエツト記録ヘツドにおいて、 インクを吐出するための吐出口群の複数が設け
   られた第１基板と、 前記第１基板と対向配置されるとともに、前記
   複数の吐出口群の夫々に対向して夫々実質的に同
   一形状で形成されたインクを吐出するために利用
   される発熱素子群を備えた第２基板と、 前記第１基板と第２基板とが接合されることで
   構成される、前記吐出口群の夫々に連通した液路
   と、 前記液路に連通した一つの共通液室と、 前記共通液室にインクを供給するための供給口
   と、を有しており、 前記吐出口群の配列方向は、前記記録ヘツドの
   走査移動方向とほぼ直交することを特徴とするイ
   ンクジエツト記録ヘツド。 ２ 前記吐出口群の複数は、夫々異なる色のイン
   クを吐出することを特徴とする特許請求の範囲第
   １項記載のインクジエツト記録ヘツド。 ３ 前記吐出口群の複数は、夫々同色のインクを
   吐出することを特徴とする特許請求の範囲第１項
   記載のインクジエツト記録ヘツド。