JPH0586329A

JPH0586329A - 不燃性接着剤及び不燃性耐火シート

Info

Publication number: JPH0586329A
Application number: JP25080491A
Authority: JP
Inventors: Koichi Kobayashi; 耕一小林
Original assignee: Arisawa Mfg Co Ltd
Current assignee: Arisawa Mfg Co Ltd
Priority date: 1991-09-30
Filing date: 1991-09-30
Publication date: 1993-04-06

Abstract

(57)【要約】【目的】本発明は不燃性，柔軟性を有する不燃性接着
剤及び不燃性耐火シートを提供することを目的とする。【構成】シリコーン系樹脂に易潮解性を有する金属塩
化物とコロイダルシリカ水溶液を添加してなるものであ
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、不燃性接着剤及び不燃
性耐火シートに関する。さらに詳細には、不燃性または
難燃性に優れるとともに、柔軟性にも優れた不燃性接着
剤及び不燃性耐火シートに関する。

【０００２】

【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年、
建築材料，内装材料，車両，船舶及び航空機などの部材
として種々の合成樹脂を含むシート材料が用いられてい
る。これらの合成樹脂は火災等により燃焼したとき、多
量の有害ガスや煙を発生するという欠点を有している。
このようなシート材料の不燃化又は難燃化について種々
の提案がなされている。

【０００３】例えば特開昭５２−２１５００号、特開昭
６０−２４４５４６号及び特開昭６２−３９４７号など
には不燃化樹脂としてシリコーン樹脂を用いることが提
案されている。これらの場合、難燃化の効果はかなり高
いものであるが、まだ十分とは言えない。

【０００４】また、溶接，溶断作業時に生じる溶融金属
火花の飛散防止に使用された耐火布または高温作業場に
おいて作業者を保護するための遮熱幕用耐火布用として
提案された実公昭５８−５２２号に係る技術は、ガラス
繊維と金属箔とを積層しているが、両者の接合に有機系
のポリエチレン系接着フィルムを用いており、有機物質
の可燃性に鑑みればやはり弱点を有している。

【０００５】また、不燃化のために繊維質を主体とする
補強材料に無機物質を含浸せしめた不燃シートが特開昭
５４−１１９２９号、特開昭５４−１１９２８号及び特
開昭５２−６７２６号として提案されているが、これら
の不燃性シートは柔軟性に欠け、円形，異形の部材に使
用するには適さない。

【０００６】本発明は以上のような従来技術の欠点を解
決するためになされたもので、柔軟性を有する不燃性接
着剤及び不燃性耐火シートを提供することを技術的課題
とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】添付図面を参照して本発
明の要旨を説明する。

【０００８】シリコーン系樹脂に易潮解性を有する金属
塩化物とコロイダルシリカ水溶液を添加したことを特徴
とする不燃性接着剤に係るものである。

【０００９】請求項１記載の不燃性接着剤において、シ
リコーン系樹脂に、コロイダルシリカ水溶液のＳiＯ₂分
が該シリコーン系樹脂の固形分に対し少なくとも10重量
％となるように添加するとともに易潮解性を有する金属
塩化物を含水分量に対し0.5〜20重量％添加したことを
特徴とするの不燃性接着剤に係るものである。

【００１０】金属箔１と無機繊維で形成されたシート基
材２とを請求項１，２記載の不燃性接着剤３により貼着
したことを特徴とする不燃性耐火シートに係るものであ
る。

【００１１】

【作用】請求項１記載の発明の作用について説明する。

【００１２】可燃性のシリコーン系樹脂に不燃性のコロ
イダルシリカ水溶液を添加することによりシリコーン系
樹脂の無機化を図る。易潮解性を有する金属塩化物の吸
湿性により分散している水が吸水される為、該コロイダ
ルシリカ水溶液はシリコーン系樹脂に均一分散せしめら
れる。

【００１３】また、本発明に係る接着剤はシリコーン系
樹脂を主体とする為硬化後も柔軟性を発揮する。

【００１４】また、「金属」塩化物を採用するのは不燃
性を助長せしめる為である。

【００１５】請求項２記載の発明の作用について説明す
る。

【００１６】コロイダルシリカ水溶液のＳｉＯ₂分を該
シリコーン系樹脂の固形分に対し少なくとも１０重量％
となるように添加するのは、コロイダルシリカ水溶液の
ＳiＯ₂分が１０重量％以下であるとシリコーン系樹脂を
不燃化せしめるという効果が表れにくくなるからであ
る。また、易潮解性を有する金属塩化物を含水分量に対
し０.５〜２０重量％添加するのは、金属塩化物の量が
０.５重量％以下であるとコロイダルシリカ水溶液がシ
リコーン系樹脂に均一に分散せず、一方２０重量％以上
であると、本接着剤の接着性が低下するからである。

【００１７】請求項３記載の発明の作用について説明す
る。

【００１８】不燃性の金属箔１及び無機繊維で形成され
たシート基材２を前記したように不燃性及び硬化後も柔
軟性を有する特性の不燃性接着剤３で貼着するから、不
燃性にして柔軟性を有するシート部材となる。

【００１９】

【実施例】難燃性シリコーン系樹脂を無機化させて不燃
化を図るため、水分散のコロイダルシリカ水溶液を加
え、見掛けにはＷ／Ｏ系のエマルジョンを形成させた。
油中に浮く水滴を均一に分散するためには、通常、有機
系界面活性剤が用いられるが、実施例においては種々検
討を重ね、吸湿性の強いつまり潮解性のある無機化合
物、望ましくは金属塩化物を採用した。この金属塩化物
は分散している水滴を吸収し、金属塩化物添加前にシリ
コーン系樹脂とコロイダルシリカとで形成されていた
海，島，構造物を均一に分散させ、界面活性剤と同様の
効果を発揮することを確認した。

【００２０】また、それ自体難燃性を有するコロイダル
シリカ水溶液の働きにより難燃化が期待でき、更に、金
属塩化物のハロゲンによっても難燃化が期待でき、従っ
て、不燃性の接着剤が出来る。すなわち、難燃性シリコ
ーン系樹脂の耐燃性を向上させるためにコロイダルシリ
カ水溶液で無機化を図り、それ自体難燃性を有する金属
塩化物の働きにより水を均一に分散させ、シリコーン系
樹脂の特性により硬化後も柔軟性を有する不燃性接着剤
３ができることになる。

【００２１】この不燃性接着剤３を介在させて金属箔１
と無機繊維で形成したシート基材２とを加熱，加圧する
と、金属箔１とシート基材２とが強固に接着一体化さ
れ、柔軟性を有する不燃性耐火シートが出来、従来の製
品に比して広い用途展開を図ることが出来、その工業的
意義はすこぶる大となる。

【００２２】また、易潮解性の金属塩化物としては、例
えば無水塩化鉄，塩化銅，無水塩化マグネシウム，無水
塩化カルシウム等を挙げることができる。このうち、無
水塩化鉄，塩化銅は、変色の起こる可能性があるため、
無水塩化マグネシウム，無水塩化カルシウムが望まし
い。文献値によれば、水に対する溶解度は、無水塩化カ
ルシウムの場合59.5ｇ／100ｇ(０℃)、また塩化マグネ
シウムの場合52.9ｇ／100ｇ(０℃)であり、また融点
は、塩化カルシウムの場合772℃、塩化マグネシウムの
場合712℃である。したがって、無水塩化カルシウムの
方が、物性上より望ましく、また安価であるので、より
好ましい。

【００２３】シリコーン系樹脂にコロイダルシリカ水溶
液および易潮解性を有する金属塩化物(無水塩化カルシ
ウム)を添加するに際しては、予めシリコーン系樹脂100
重量部にコロイダルシリカ(無水ケイ酸)水溶液を１〜１
０重量部添加した後、撹拌，混合し、この配合物に予め
粉砕，微粉化した易潮解性の無水塩化カルシウムを添加
し、混練を行うことが好ましい。その後、この配合物を
芳香族系有機溶剤，特に望ましくはトルエン，キシレン
等で適宜希釈して調整を行う。

【００２４】また、金属塩化物(無水塩化カルシウム)に
よりコロイダルシリカ水溶液が均一分散された不燃性接
着剤３は、金属箔、例えばアルミ箔の片面または両面
に、樹脂固形分で100〜300ｇ/ｍ²付着されることが好ま
しい。その後、この不燃性接着剤３が半硬化状態に仕上
げられたら、無機繊維布、例えばガラスクロスを貼着
し、この積層物を加熱，加圧するとアルミ箔とガラスク
ロスとが一体化され、不燃性耐火シート４が得られる。

【００２５】図面は請求項３記載の発明に係る一実施例
を図示している。

【００２６】実施例１〜６３０μの厚さの軟質アルミ箔（東洋アルミニウム株式会
社製）の片面に図２で示した表の配合からなる不燃性接
着剤３をローラードクター法で塗工し、110℃中で、５
分乾燥を行い、アルミ箔片面に170ｇ/ｍ²の樹脂量を付
着せしめた。

【００２７】次にこの塗工面に、厚さ０.５mm、生布重
量320ｇ/m²、密度４３本／インチ×２８本／インチの平
織ガラス繊維物（ダンマックス＃500（株式会社有沢製
作所製））を重ね合せ、熱プレスにして圧力１０kg／cm
²，温度160℃，時間30分で圧縮を行い、水冷却後取り出
し、幅182mm×長さ257mmサイズの試験片に切り出し、燃
焼試験を行なった。結果を図２に示す。

【００２８】実施例７厚さ０.８mm、生布重量630ｇ／m²、密度４３本／インチ
×２０本／インチの平織ガラス繊維物（ダンマックス＃
800（株式会社有沢製作所製））を用いた以外は実施例
１〜６と同様に操作加工して燃焼用の試験片を作成し、
燃焼試験を行った。結果を図２に示す。

【００２９】比較例１，２図２に示すようにそれぞれ配合を変えて調合したシリコ
ーン系樹脂を混合した接着剤をローラードクター法で塗
工し、100℃中で５分間乾燥を行い、アルミ箔片面に170
ｇ／m²の樹脂量を付着せしめた他は、実施例１〜７と同
様に操作加工して燃焼用の試験片を作成し、燃焼試験を
行った。結果を図２に示す。

【００３０】表１で示した試験片の燃焼試験結果から明
らかなように、実施例に係る不燃性耐火シート４は優れ
た難燃性能を示し、財団法人日本化学繊維検査協会で行
った「鉄道車両材料の燃焼規格」による燃焼試験の結
果、「不燃性」の認定を受けた。構成材料が無機繊維で
形成したシート基材２と金属箔１のみであればこの「不
燃性」の認定は当然の結果になるが、本実施例に係るシ
ートはシート基材２と金属箔１との貼着に接着剤を使用
するにもかかわらず「不燃性」の認定をうけるのは、こ
の接着剤が不燃性接着剤３だからである。さらに、この
不燃性耐火シート４はアルミニウム箔、ガラス繊維両者
に対し強固に接着しており、しかも柔軟性があり、折り
曲げ，屈折にも十分耐える優れた柔軟性を示した。

【００３１】尚、比較例１，２の他に、シリコーン系樹
脂の代わりとして通常の無機難燃剤，水酸化アルミ，酸
化チタン，無水ケイ酸，合成雲母，金属リン酸塩，アル
ミナ等検討したが、接着力，粒子の分散性，難燃性能ら
のバランスが悪く、実施例のレベルは得られなかった。

【００３２】

【発明の効果】本発明は上述のように構成したから、硬
化後も柔軟性に富み、難燃性に非常に秀れた接着剤とな
る。

【００３３】そして、本発明に係る接着剤により金属箔
と無機繊維シート基材とを貼着してなる不燃性耐火シー
トは、高温時においても発煙や着火，着炎がないため、
車両用材料にとどまらず火災が予想される建築材料、あ
るいは内装材としても有用であり、また保護シート，保
護テープ等の難燃材料としても有用となる等秀れた効果
を発揮する。

【図面の簡単な説明】

【図１】請求項３記載の発明に係る不燃性耐火シートの
拡大断面図である。

【図２】本実施例の成分及び特性を示す表である。

【符号の説明】

１金属箔２シート基材３不燃性接着剤

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】シリコーン系樹脂に易潮解性を有する金
属塩化物とコロイダルシリカ水溶液を添加したことを特
徴とする不燃性接着剤。
【請求項２】請求項１記載の不燃性接着剤において、
シリコーン系樹脂に、コロイダルシリカ水溶液のＳiＯ₂
分が該シリコーン系樹脂の固形分に対し少なくとも１０
重量％となるように添加するとともに易潮解性を有する
金属塩化物を含水分量に対し０.５〜２０重量％添加し
たことを特徴とするの不燃性接着剤。
【請求項３】金属箔と無機繊維で形成されたシート基
材とを請求項１，２記載の不燃性接着剤により貼着した
ことを特徴とする不燃性耐火シート。