JPH0586187A - 芳香族ポリチアゾールの製造方法 - Google Patents
芳香族ポリチアゾールの製造方法Info
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- JPH0586187A JPH0586187A JP27683391A JP27683391A JPH0586187A JP H0586187 A JPH0586187 A JP H0586187A JP 27683391 A JP27683391 A JP 27683391A JP 27683391 A JP27683391 A JP 27683391A JP H0586187 A JPH0586187 A JP H0586187A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 比較的低い温度の加熱でも芳香族ポリチアゾ
ール前駆物質を容易に閉環させることができる方法を提
供する。 【構成】 下記一般式: 【化1】 (ただし、式中Ar及びAr′は置換又は無置換の芳香族残
基であり、Rは置換又は無置換のアルキル基である。)
で表される繰り返し単位を有する芳香族ポリチアゾール
前駆物質を、ポリリン酸成分を含有する溶媒に溶解し、
次いで加熱することにより前記前駆物質の閉環反応を起
こす方法。
ール前駆物質を容易に閉環させることができる方法を提
供する。 【構成】 下記一般式: 【化1】 (ただし、式中Ar及びAr′は置換又は無置換の芳香族残
基であり、Rは置換又は無置換のアルキル基である。)
で表される繰り返し単位を有する芳香族ポリチアゾール
前駆物質を、ポリリン酸成分を含有する溶媒に溶解し、
次いで加熱することにより前記前駆物質の閉環反応を起
こす方法。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐熱性、機械的性質等
に優れた剛直芳香族ポリマーである芳香族ポリチアゾー
ルの製造方法に関する。
に優れた剛直芳香族ポリマーである芳香族ポリチアゾー
ルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】チアゾ
ール環、イミダゾール環、オキサゾール環、オキサジノ
ン環等の複素環を繰り返し単位内に有する高分子は、剛
直性が高く、高強度、高弾性率、高耐熱性高分子として
注目されている。中でもチアゾール環を有する芳香族ポ
リチアゾールは、その優れた機械的強度により、単独で
又は他のエンジニアリングプラスチックと複合して、金
属材料に代替するプラスチック材料としての使用が期待
されている。
ール環、イミダゾール環、オキサゾール環、オキサジノ
ン環等の複素環を繰り返し単位内に有する高分子は、剛
直性が高く、高強度、高弾性率、高耐熱性高分子として
注目されている。中でもチアゾール環を有する芳香族ポ
リチアゾールは、その優れた機械的強度により、単独で
又は他のエンジニアリングプラスチックと複合して、金
属材料に代替するプラスチック材料としての使用が期待
されている。
【0003】芳香族ポリチアゾールは、一般に、芳香族
ジアミノジチオール化合物とジカルボン酸誘導体、とく
に塩化物とから製造されるが、芳香族ポリチアゾールは
高い剛直性を有し、また一部の強酸にしか溶解しないの
で、その製造後に成形するのは難しい。そこで、まず芳
香族ポリチアゾールの前駆物質を合成し、強酸のみなら
ず有機溶媒にも可溶な前駆物質の段階で成形加工を行
い、その後に加熱してチアゾール閉環反応を進行させ、
所望形状の成形品とすることが検討されている。
ジアミノジチオール化合物とジカルボン酸誘導体、とく
に塩化物とから製造されるが、芳香族ポリチアゾールは
高い剛直性を有し、また一部の強酸にしか溶解しないの
で、その製造後に成形するのは難しい。そこで、まず芳
香族ポリチアゾールの前駆物質を合成し、強酸のみなら
ず有機溶媒にも可溶な前駆物質の段階で成形加工を行
い、その後に加熱してチアゾール閉環反応を進行させ、
所望形状の成形品とすることが検討されている。
【0004】ところで、この芳香族ポリチアゾールを補
強材として用いたいわゆる分子複合材の開発も行われて
いる。この分子複合材とは、マトリックス樹脂となるポ
リマー中に、芳香族ポリチアゾール等の剛直ポリマーを
分子レベルまで微細に分散させてなるもので、一般に軽
量で機械的強度にも優れており、航空機や自動車を始め
とする各種車両等への使用が有望視されている。
強材として用いたいわゆる分子複合材の開発も行われて
いる。この分子複合材とは、マトリックス樹脂となるポ
リマー中に、芳香族ポリチアゾール等の剛直ポリマーを
分子レベルまで微細に分散させてなるもので、一般に軽
量で機械的強度にも優れており、航空機や自動車を始め
とする各種車両等への使用が有望視されている。
【0005】強度等に優れた分子複合材とするには、芳
香族ポリチアゾール等の補強高分子をマトリックスポリ
マー中に均一に分散させる必要があるが、芳香族ポリチ
アゾールは上述したとおり剛直性を有するとともに多く
の溶媒に不溶又は難溶であるので、芳香族ポリチアゾー
ルをマトリックスポリマー中に均一に分散させることは
難しい。そこで、芳香族ポリチアゾールの前駆物質を用
い、これをマトリックスポリマー中に均一に分散させた
後、加熱して前駆物質においてチアゾール閉環反応を起
こす方法が考えられる。この方法によれば、マトリック
スポリマー中に芳香族ポリチアゾールを均一に分散させ
ることが容易となる。
香族ポリチアゾール等の補強高分子をマトリックスポリ
マー中に均一に分散させる必要があるが、芳香族ポリチ
アゾールは上述したとおり剛直性を有するとともに多く
の溶媒に不溶又は難溶であるので、芳香族ポリチアゾー
ルをマトリックスポリマー中に均一に分散させることは
難しい。そこで、芳香族ポリチアゾールの前駆物質を用
い、これをマトリックスポリマー中に均一に分散させた
後、加熱して前駆物質においてチアゾール閉環反応を起
こす方法が考えられる。この方法によれば、マトリック
スポリマー中に芳香族ポリチアゾールを均一に分散させ
ることが容易となる。
【0006】上述した方法によって芳香族ポリチアゾー
ルを補強高分子とした分子複合材を製造する場合、芳香
族ポリチアゾール前駆物質の閉環反応温度はマトリック
スポリマー種の選択や作業性等において重要なファクタ
ーとなるが、この前駆物質におけるチアゾール閉環反応
温度は低いほど良いと考えられる。本出願人は、先に、
芳香族ポリチアゾールを用いた分子複合材の製造方法に
ついて特許出願(特願平2−232699号)をした
が、その製造方法においては、芳香族ポリチアゾールの
前駆物質をマトリックスポリマー中に均一に分散させた
ものを350℃程度に加熱して前駆物質におけるチアゾ
ール閉環反応を起こしている。
ルを補強高分子とした分子複合材を製造する場合、芳香
族ポリチアゾール前駆物質の閉環反応温度はマトリック
スポリマー種の選択や作業性等において重要なファクタ
ーとなるが、この前駆物質におけるチアゾール閉環反応
温度は低いほど良いと考えられる。本出願人は、先に、
芳香族ポリチアゾールを用いた分子複合材の製造方法に
ついて特許出願(特願平2−232699号)をした
が、その製造方法においては、芳香族ポリチアゾールの
前駆物質をマトリックスポリマー中に均一に分散させた
ものを350℃程度に加熱して前駆物質におけるチアゾ
ール閉環反応を起こしている。
【0007】しかしながら、上述したように、前駆物質
の閉環反応はできる限り低い温度で行うのがよく、さら
に低温でチアゾール閉環反応を起こすことができれば、
マトリックスポリマーの選択範囲が広がる等の利点を有
することになる。また、分子複合材の製造に限らず、芳
香族ポリチアゾールからなる繊維やフィルム等の製造に
おいても、前駆物質の閉環反応をより低温で行うことは
種々の点から望ましく、前駆物質を350℃程度よりさ
らに低い温度で閉環させる方法が求められている。
の閉環反応はできる限り低い温度で行うのがよく、さら
に低温でチアゾール閉環反応を起こすことができれば、
マトリックスポリマーの選択範囲が広がる等の利点を有
することになる。また、分子複合材の製造に限らず、芳
香族ポリチアゾールからなる繊維やフィルム等の製造に
おいても、前駆物質の閉環反応をより低温で行うことは
種々の点から望ましく、前駆物質を350℃程度よりさ
らに低い温度で閉環させる方法が求められている。
【0008】従って、本発明の目的は、比較的低い温度
の加熱でも芳香族ポリチアゾール前駆物質を容易に閉環
させることができる方法を提供することである。
の加熱でも芳香族ポリチアゾール前駆物質を容易に閉環
させることができる方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者は、芳香族ポリチアゾール前駆物質を
ポリリン酸成分を有する溶液に溶解し、この溶液を加熱
すれば、比較的低温でチアゾール閉環反応が起こり、も
って高強度で高弾性の芳香族ポリチアゾールを容易に製
造することができることを発見し、本発明を完成した。
の結果、本発明者は、芳香族ポリチアゾール前駆物質を
ポリリン酸成分を有する溶液に溶解し、この溶液を加熱
すれば、比較的低温でチアゾール閉環反応が起こり、も
って高強度で高弾性の芳香族ポリチアゾールを容易に製
造することができることを発見し、本発明を完成した。
【0010】すなわち、本発明の芳香族ポリチアゾール
の製造方法は、下記一般式:
の製造方法は、下記一般式:
【化2】 (ただし、式中Ar及びAr′は置換又は無置換の芳香族残
基であり、Rは置換又は無置換のアルキル基である。)
で表される繰り返し単位を有する芳香族ポリチアゾール
前駆物質を、ポリリン酸成分を含有する溶媒に溶解し、
次いで加熱することにより前記前駆物質の閉環反応を起
こし、もって芳香族ポリチアゾールを製造することを特
徴とする。
基であり、Rは置換又は無置換のアルキル基である。)
で表される繰り返し単位を有する芳香族ポリチアゾール
前駆物質を、ポリリン酸成分を含有する溶媒に溶解し、
次いで加熱することにより前記前駆物質の閉環反応を起
こし、もって芳香族ポリチアゾールを製造することを特
徴とする。
【0011】本発明を以下詳細に説明する。芳香族ポリチアゾール前駆物質の製造 まず、芳香族ポリチアゾール前駆物質の製造方法につい
て説明する。芳香族ポリチアゾール前駆物質は、芳香族
ジアミノジチオール化合物とジカルボン酸誘導体とから
製造することができるが、このとき、芳香族ジアミノジ
チオール化合物のチオール基の水素原子をアルキル基に
より置換したものを用いると、前駆物質を安定に(すな
わち、前駆物質の製造中にチアゾール閉環反応を起こす
ことなく)、かつ効率良く製造することができる。
て説明する。芳香族ポリチアゾール前駆物質は、芳香族
ジアミノジチオール化合物とジカルボン酸誘導体とから
製造することができるが、このとき、芳香族ジアミノジ
チオール化合物のチオール基の水素原子をアルキル基に
より置換したものを用いると、前駆物質を安定に(すな
わち、前駆物質の製造中にチアゾール閉環反応を起こす
ことなく)、かつ効率良く製造することができる。
【0012】まず、チオール基の水素原子をアルキル基
により置換した芳香族ジアミノジチオール化合物につい
て説明する。アルキル基置換芳香族ジアミノジチオール
化合物は、芳香族ジアミノジチオール化合物と置換又は
無置換のアルキル基を有するアルキルハライドとから合
成することができる。芳香族ジアミノジチオール化合物
は芳香族残基の両側にそれぞれアミノ基及びチオール基
を有する化合物であり、芳香族残基はベンゼン環に限ら
ず2つ以上のベンゼン環が縮合した芳香族環でもよく、
またビフェニル等のように2つ以上のベンゼン環が結合
したものでもよい。また両側のアミノ基及びチオール基
の位置関係は芳香族残基を中心として左右対称でも点対
称でもよい。このような芳香族ジアミノジチオール化合
物の例としては、
により置換した芳香族ジアミノジチオール化合物につい
て説明する。アルキル基置換芳香族ジアミノジチオール
化合物は、芳香族ジアミノジチオール化合物と置換又は
無置換のアルキル基を有するアルキルハライドとから合
成することができる。芳香族ジアミノジチオール化合物
は芳香族残基の両側にそれぞれアミノ基及びチオール基
を有する化合物であり、芳香族残基はベンゼン環に限ら
ず2つ以上のベンゼン環が縮合した芳香族環でもよく、
またビフェニル等のように2つ以上のベンゼン環が結合
したものでもよい。また両側のアミノ基及びチオール基
の位置関係は芳香族残基を中心として左右対称でも点対
称でもよい。このような芳香族ジアミノジチオール化合
物の例としては、
【化3】 等が挙げられる。最終目的の芳香族ポリチアゾールがポ
リベンゾビスチアゾールである場合には、芳香族ジアミ
ノジチオール化合物として上記化3の左上又は右上に示
す化合物を用いる。
リベンゾビスチアゾールである場合には、芳香族ジアミ
ノジチオール化合物として上記化3の左上又は右上に示
す化合物を用いる。
【0013】これらの芳香族ジアミノジチオール化合物
は、劣化を防ぐために塩酸塩等の塩の形で使用する。
は、劣化を防ぐために塩酸塩等の塩の形で使用する。
【0014】芳香族ジアミノジチオール化合物のチオー
ル基の水素原子を置換するアルキル基は、置換又は無置
換のアルキル基であり、無置換のアルキル基としては、
イソプロピル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチ
ル基、sec-ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
アルキル基としては2級及び3級のアルキル基が特に好
ましい。
ル基の水素原子を置換するアルキル基は、置換又は無置
換のアルキル基であり、無置換のアルキル基としては、
イソプロピル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチ
ル基、sec-ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
アルキル基としては2級及び3級のアルキル基が特に好
ましい。
【0015】また置換アルキル基としては、カルボキシ
ル基、エステル基、シアノ基、ベンジル基、ハロゲン基
又はニトロ基等により置換されたアルキル基が好適であ
る。なお、このような置換基を有する場合には、アルキ
ル基は特に2級のものである必要はない。置換基を有す
るアルキル基としては、例えば、
ル基、エステル基、シアノ基、ベンジル基、ハロゲン基
又はニトロ基等により置換されたアルキル基が好適であ
る。なお、このような置換基を有する場合には、アルキ
ル基は特に2級のものである必要はない。置換基を有す
るアルキル基としては、例えば、
【化4】 等が挙げられる。
【0016】なお、上記の化4に掲げた6つの置換アル
キル基のうち、上段に示す2つのエステル基を置換した
ものにおいては、エステル結合中の酸素原子に結合する
アルキル基がメチル基に限らず、長鎖アルキル基であっ
ても良い。
キル基のうち、上段に示す2つのエステル基を置換した
ものにおいては、エステル結合中の酸素原子に結合する
アルキル基がメチル基に限らず、長鎖アルキル基であっ
ても良い。
【0017】特に、芳香族ジアミノジチオール化合物の
チオール基の水素原子を、シアノ基を有するアルキル基
又はエステル基を有するアルキル基で置換しておくと、
後述する前駆物質の閉環反応が200〜250℃程度の
比較的低温で起こるので好ましい。またこのようなアル
キル基でチオール基の水素原子を置換してなる前駆物質
は、N-メチル-2- ピロリドン等の有機溶媒に良好に溶解
する利点もある。
チオール基の水素原子を、シアノ基を有するアルキル基
又はエステル基を有するアルキル基で置換しておくと、
後述する前駆物質の閉環反応が200〜250℃程度の
比較的低温で起こるので好ましい。またこのようなアル
キル基でチオール基の水素原子を置換してなる前駆物質
は、N-メチル-2- ピロリドン等の有機溶媒に良好に溶解
する利点もある。
【0018】上記したアルキル基はその導入に際して
は、ハロゲン化物であるアルキルハライドとして用い
る。なおハロゲン化物としては、上記したアルキル基の
臭素化物、塩素化物、ヨウ化物等が使用できる。
は、ハロゲン化物であるアルキルハライドとして用い
る。なおハロゲン化物としては、上記したアルキル基の
臭素化物、塩素化物、ヨウ化物等が使用できる。
【0019】また、本発明において使用するジカルボン
酸の誘導体としては、各カルボキシル基を以下のように
置換したものが挙げられる。
酸の誘導体としては、各カルボキシル基を以下のように
置換したものが挙げられる。
【化5】
【0020】また上記ジカルボン酸誘導体の残基は芳香
族基であるのが好ましく、たとえば以下のような芳香族
基が使用できる。なおこのようなジカルボン酸の例とし
ては、テレフタル酸が特に好ましい。
族基であるのが好ましく、たとえば以下のような芳香族
基が使用できる。なおこのようなジカルボン酸の例とし
ては、テレフタル酸が特に好ましい。
【化6】 なおジカルボン酸誘導体は、一種類に限らず二種以上を
併用してもよい。
併用してもよい。
【0021】次に、芳香族ポリチアゾール前駆物質の製
造方法について説明する。まず、ステップ(1) として、
芳香族ジアミノジチオール化合物の塩とアルキルハライ
ドとをアルカリ性水溶液中で反応させて、芳香族ジアミ
ノジチオール化合物塩のチオール基の水素原子をアルキ
ル基で置換したモノマーを合成する。
造方法について説明する。まず、ステップ(1) として、
芳香族ジアミノジチオール化合物の塩とアルキルハライ
ドとをアルカリ性水溶液中で反応させて、芳香族ジアミ
ノジチオール化合物塩のチオール基の水素原子をアルキ
ル基で置換したモノマーを合成する。
【0022】次に、ステップ(2) として、上記のステッ
プ(1) において得られたモノマーと、ジカルボン酸誘導
体とを重合して、芳香族ポリチアゾール前駆物質を合成
する。
プ(1) において得られたモノマーと、ジカルボン酸誘導
体とを重合して、芳香族ポリチアゾール前駆物質を合成
する。
【0023】以下、それぞれのステップについて説明す
る。まず、ステップ(1) として、芳香族ジアミノジチオ
ール化合物の塩とアルキルハライドとをアルカリ性水性
溶媒中で反応させる。このとき使用するアルカリ性水性
溶媒としては、水、又は水とアルコール(エタノール及
び/又はメタノール)との混合溶媒に、水酸化ナトリウ
ム等の塩基性塩を溶解したものを使用することができ
る。溶媒をアルカリ性とすることで、芳香族ジアミノジ
チオール化合物の塩を容易に溶解することができる。ま
たチオール基の求核性を増大させ、置換反応を助長す
る。なお、アルカリ性水性溶媒のアルカリ濃度は30重量
%以下とするのが良い。
る。まず、ステップ(1) として、芳香族ジアミノジチオ
ール化合物の塩とアルキルハライドとをアルカリ性水性
溶媒中で反応させる。このとき使用するアルカリ性水性
溶媒としては、水、又は水とアルコール(エタノール及
び/又はメタノール)との混合溶媒に、水酸化ナトリウ
ム等の塩基性塩を溶解したものを使用することができ
る。溶媒をアルカリ性とすることで、芳香族ジアミノジ
チオール化合物の塩を容易に溶解することができる。ま
たチオール基の求核性を増大させ、置換反応を助長す
る。なお、アルカリ性水性溶媒のアルカリ濃度は30重量
%以下とするのが良い。
【0024】この置換反応は0℃〜 100℃の範囲で行う
ことができる。温度が0℃未満であると反応速度が遅く
なり好ましくない。また 100℃を超す温度とすると副反
応が起こってしまい好ましくない。より好ましい反応温
度は0℃〜95℃である。反応時間は特に制限はないが、
一般に2〜24時間程度で良い。
ことができる。温度が0℃未満であると反応速度が遅く
なり好ましくない。また 100℃を超す温度とすると副反
応が起こってしまい好ましくない。より好ましい反応温
度は0℃〜95℃である。反応時間は特に制限はないが、
一般に2〜24時間程度で良い。
【0025】なお、反応速度を高めるために、溶液の撹
拌を行うことが好ましい。またアルキルハライドの量を
過剰にすることで反応速度を高めることができる。
拌を行うことが好ましい。またアルキルハライドの量を
過剰にすることで反応速度を高めることができる。
【0026】さらに、セチルトリメチルアンモニウムク
ロライド、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド、
臭化n-ブチルトリフェニルホスホニウム、臭化テトラフ
ェニルホスホニウム、18−クラウン-6等を相間移動触媒
として加えると、反応速度を高めることができる。この
ような相間移動触媒は、芳香族ジアミノジチオール化合
物の塩とアルキルハライドとの反応を速やかに進行させ
る。
ロライド、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド、
臭化n-ブチルトリフェニルホスホニウム、臭化テトラフ
ェニルホスホニウム、18−クラウン-6等を相間移動触媒
として加えると、反応速度を高めることができる。この
ような相間移動触媒は、芳香族ジアミノジチオール化合
物の塩とアルキルハライドとの反応を速やかに進行させ
る。
【0027】以上の条件で置換反応を行うことにより、
芳香族ジアミノジチオール化合物の塩のチオール基の水
素原子をアルキル基で置換したモノマーを得ることがで
きる。
芳香族ジアミノジチオール化合物の塩のチオール基の水
素原子をアルキル基で置換したモノマーを得ることがで
きる。
【0028】このステップ(1) の反応において、芳香族
ジアミノジチオール化合物の塩とアルキルハライドとの
反応は以下の通り進行する。ここで、芳香族ジアミノジ
チオール化合物の塩の例として 2,5-ジアミノ-1,4- ベ
ンゼンジチオール二塩酸塩を用いる。また式中X-R はア
ルキルハライドを表す。
ジアミノジチオール化合物の塩とアルキルハライドとの
反応は以下の通り進行する。ここで、芳香族ジアミノジ
チオール化合物の塩の例として 2,5-ジアミノ-1,4- ベ
ンゼンジチオール二塩酸塩を用いる。また式中X-R はア
ルキルハライドを表す。
【化7】
【0029】次にステップ(2) として、上記ステップ
(1) で得られたモノマーと、ジカルボン酸誘導体とを重
合し、芳香族ポリチアゾール前駆物質を合成する。この
とき、好ましくはステップ(1) で得られたモノマーとジ
カルボン酸誘導体とを等モル混合し、以下に示す条件で
重合する。
(1) で得られたモノマーと、ジカルボン酸誘導体とを重
合し、芳香族ポリチアゾール前駆物質を合成する。この
とき、好ましくはステップ(1) で得られたモノマーとジ
カルボン酸誘導体とを等モル混合し、以下に示す条件で
重合する。
【0030】まず用いる溶媒としては、N-メチル-2- ピ
ロリドン、ヘキサメチルフォスフォリックトリアミド、
N,N-ジメチルアセトアミド等が挙げられ、それらの単独
又は混合溶液を使用することができる。またポリマーの
溶解性を高めるために最大限10%のLiCl、CaCl2 等の塩
化物を添加しても良い。
ロリドン、ヘキサメチルフォスフォリックトリアミド、
N,N-ジメチルアセトアミド等が挙げられ、それらの単独
又は混合溶液を使用することができる。またポリマーの
溶解性を高めるために最大限10%のLiCl、CaCl2 等の塩
化物を添加しても良い。
【0031】上記の溶媒にステップ(1) で得たモノマー
とジカルボン酸誘導体とを上記溶媒に等モル混合し、−
20℃〜+100 ℃の温度で重合反応を行う。温度が−20℃
未満であると十分な重合反応が起こらず、また得られる
前駆物質の重合度も低くなる。一方、100 ℃を超す温度
とするとチアゾール閉環反応が起こる可能性がある。好
ましくは−20℃〜+50℃であり、より好ましくは、−20
℃〜+30℃の範囲とする。
とジカルボン酸誘導体とを上記溶媒に等モル混合し、−
20℃〜+100 ℃の温度で重合反応を行う。温度が−20℃
未満であると十分な重合反応が起こらず、また得られる
前駆物質の重合度も低くなる。一方、100 ℃を超す温度
とするとチアゾール閉環反応が起こる可能性がある。好
ましくは−20℃〜+50℃であり、より好ましくは、−20
℃〜+30℃の範囲とする。
【0032】またモノマーの濃度は0.1 〜2モル/リッ
トル程度とするのが良い。モノマー濃度が2モル/リッ
トルを超す濃度とすると、モノマーの溶解が難しくなり
好ましくない。
トル程度とするのが良い。モノマー濃度が2モル/リッ
トルを超す濃度とすると、モノマーの溶解が難しくなり
好ましくない。
【0033】ステップ(2) の重合反応では、重合の反応
速度を高めるために、溶液の撹拌を行うことが好まし
い。また反応時間は、特に制限はないが一般に1〜24時
間程度でよい。
速度を高めるために、溶液の撹拌を行うことが好まし
い。また反応時間は、特に制限はないが一般に1〜24時
間程度でよい。
【0034】以上の条件で重合反応を行うことにより、
閉環反応を起こすことなく大きな重合度を有する芳香族
ポリチアゾール前駆物質が得られる。得られる芳香族ポ
リチアゾール前駆物質の固有粘度はηinh =1.0 〜2.0
(N-メチル-2- ピロリドン、0.5 g/dl、30℃) 程度であ
る。
閉環反応を起こすことなく大きな重合度を有する芳香族
ポリチアゾール前駆物質が得られる。得られる芳香族ポ
リチアゾール前駆物質の固有粘度はηinh =1.0 〜2.0
(N-メチル-2- ピロリドン、0.5 g/dl、30℃) 程度であ
る。
【0035】ステップ(2) の重合反応において、ステッ
プ(1)で得られたモノマーとジカルボン酸誘導体との反
応は以下の通り進行するものと考えられる。ここで、ス
テップ(1) で得られたモノマーの例として2,5-ジアミノ
-1,4- ベンゼンジチオール二塩酸塩のアルキル基置換体
を用い、ジカルボン酸誘導体の例としてテレフタル酸ジ
クロライドを用いる。なおnは重合度を表す。
プ(1)で得られたモノマーとジカルボン酸誘導体との反
応は以下の通り進行するものと考えられる。ここで、ス
テップ(1) で得られたモノマーの例として2,5-ジアミノ
-1,4- ベンゼンジチオール二塩酸塩のアルキル基置換体
を用い、ジカルボン酸誘導体の例としてテレフタル酸ジ
クロライドを用いる。なおnは重合度を表す。
【化8】
【0036】なお、二種のジカルボン酸誘導体を用いて
この重合反応を行うと、以下に示すようなコポリマーの
前駆物質を得ることになる。ここでAr′及びAr″はそれ
ぞれジカルボン酸の芳香族基であり、またm及びnは各
繰り返し単位の数(重合度)を表す。
この重合反応を行うと、以下に示すようなコポリマーの
前駆物質を得ることになる。ここでAr′及びAr″はそれ
ぞれジカルボン酸の芳香族基であり、またm及びnは各
繰り返し単位の数(重合度)を表す。
【化9】
【0037】得られた芳香族ポリチアゾール前駆物質
は、公知の方法により洗浄及び乾燥することができる。
は、公知の方法により洗浄及び乾燥することができる。
【0038】芳香族ポリチアゾールの製造 次に、上記の芳香族ポリチアゾール前駆物質から芳香族
ポリチアゾールを製造する方法について説明する。
ポリチアゾールを製造する方法について説明する。
【0039】本発明では、上記で得た芳香族ポリチアゾ
ール前駆物質を、まずポリリン酸成分を含有する溶媒に
溶解する。ポリリン酸成分を含有する溶媒としては、芳
香族ポリチアゾール前駆物質を溶解するもので、かつポ
リリン酸が可溶のものを用いる。そのような溶媒として
は、メタンスルホン酸、クロロスルホン酸、発煙硫酸等
があり、特にメタンスルホン酸が好適である。
ール前駆物質を、まずポリリン酸成分を含有する溶媒に
溶解する。ポリリン酸成分を含有する溶媒としては、芳
香族ポリチアゾール前駆物質を溶解するもので、かつポ
リリン酸が可溶のものを用いる。そのような溶媒として
は、メタンスルホン酸、クロロスルホン酸、発煙硫酸等
があり、特にメタンスルホン酸が好適である。
【0040】ポリリン酸としては、P2 O5 を用いるの
が好ましい。溶媒中のポリリン酸の濃度は、P2 O5 換
算値として、メタンスルホン酸等の溶媒との重量比が
1:200〜1:1となるように設定する。重量比が
1:1より大(P2 O5 が多い)であると、反応溶媒の
粘度が高くなり好ましくない。また重量比が1:200
より小(P2 O5 が少ない)であると、反応が進行しな
いので好ましくない。なおメタンスルホン酸等の溶媒
は、あらかじめ十分に脱水したものを用いるのが好まし
い。これによって上述の加水分解を最小限にとどめるこ
とができる。
が好ましい。溶媒中のポリリン酸の濃度は、P2 O5 換
算値として、メタンスルホン酸等の溶媒との重量比が
1:200〜1:1となるように設定する。重量比が
1:1より大(P2 O5 が多い)であると、反応溶媒の
粘度が高くなり好ましくない。また重量比が1:200
より小(P2 O5 が少ない)であると、反応が進行しな
いので好ましくない。なおメタンスルホン酸等の溶媒
は、あらかじめ十分に脱水したものを用いるのが好まし
い。これによって上述の加水分解を最小限にとどめるこ
とができる。
【0041】上記の比となるようにP2 O5 をメタンス
ルホン酸等の溶媒に溶解させ、反応溶媒とする。この溶
解の操作は不活性ガス下で行うのがよい。
ルホン酸等の溶媒に溶解させ、反応溶媒とする。この溶
解の操作は不活性ガス下で行うのがよい。
【0042】次に、この反応溶媒に芳香族ポリチアゾー
ル前駆物質を加えて溶解させる。芳香族ポリチアゾール
前駆物質の溶解は、25℃程度で不活性ガス流下において
撹拌しながら行うのが好ましい。
ル前駆物質を加えて溶解させる。芳香族ポリチアゾール
前駆物質の溶解は、25℃程度で不活性ガス流下において
撹拌しながら行うのが好ましい。
【0043】均一な溶液が得られた後、これをアルゴン
等の不活性ガス流下で150〜300℃、好ましくは2
00〜250℃に保ちながら撹拌する。この段階で芳香
族ポリチアゾール前駆物質は、チアゾール閉環反応を起
こし、芳香族ポリチアゾールが生成される。芳香族ポリ
チアゾール前駆物質の例としてポリベンゾビスチアゾー
ル前駆物質を用いた場合、それは下記の通りチアゾール
閉環反応を起こし、ポリベンゾビスチアゾールが生成さ
れる。なお、以下の反応式(の生成物側)において、副
生される縮合水及びイオウ原子からはずれたアルキル基
は省略してある。
等の不活性ガス流下で150〜300℃、好ましくは2
00〜250℃に保ちながら撹拌する。この段階で芳香
族ポリチアゾール前駆物質は、チアゾール閉環反応を起
こし、芳香族ポリチアゾールが生成される。芳香族ポリ
チアゾール前駆物質の例としてポリベンゾビスチアゾー
ル前駆物質を用いた場合、それは下記の通りチアゾール
閉環反応を起こし、ポリベンゾビスチアゾールが生成さ
れる。なお、以下の反応式(の生成物側)において、副
生される縮合水及びイオウ原子からはずれたアルキル基
は省略してある。
【化10】
【0044】このとき、反応溶媒中のポリリン酸成分は
縮合剤及びチアゾール閉環反応の触媒として働き、また
チアゾール閉環反応によって生じる水を取り除いて上記
反応が進行するのを助長する。
縮合剤及びチアゾール閉環反応の触媒として働き、また
チアゾール閉環反応によって生じる水を取り除いて上記
反応が進行するのを助長する。
【0045】以上説明したように、本発明によるポリベ
ンゾビスチアゾールの製造方法においては、150〜3
00℃と比較的低い温度で前駆物質のチアゾール閉環反
応を起こすことができ、従来行われていた350℃程度
までの加熱の必要がなく、製造が容易となる。
ンゾビスチアゾールの製造方法においては、150〜3
00℃と比較的低い温度で前駆物質のチアゾール閉環反
応を起こすことができ、従来行われていた350℃程度
までの加熱の必要がなく、製造が容易となる。
【0046】
【作用】本発明によれば、芳香族ポリチアゾール前駆物
質をポリリン酸成分を含有する溶液に溶解し、この溶液
中でチアゾール閉環反応を起こして芳香族ポリチアゾー
ルとするので、150〜300℃と比較的低い温度で芳
香族ポリチアゾールを製造することができる。これはポ
リリン酸成分が縮合剤及び触媒として作用するためと考
えられる。またポリリン酸成分は脱水剤としても作用
し、上述したチアゾール閉環反応を助長するものと思わ
れる。
質をポリリン酸成分を含有する溶液に溶解し、この溶液
中でチアゾール閉環反応を起こして芳香族ポリチアゾー
ルとするので、150〜300℃と比較的低い温度で芳
香族ポリチアゾールを製造することができる。これはポ
リリン酸成分が縮合剤及び触媒として作用するためと考
えられる。またポリリン酸成分は脱水剤としても作用
し、上述したチアゾール閉環反応を助長するものと思わ
れる。
【0047】このように比較的低温でオキサゾール閉環
反応が起きるので、閉環反応における水分の離脱が低温
で進行し、その結果水分の離脱により生じると思われる
芳香族ポリチアゾール中のボイドもほとんど生ぜず、ま
た仮に生じてもごく小さなものとなり、芳香族ポリチア
ゾールの強度は向上する。
反応が起きるので、閉環反応における水分の離脱が低温
で進行し、その結果水分の離脱により生じると思われる
芳香族ポリチアゾール中のボイドもほとんど生ぜず、ま
た仮に生じてもごく小さなものとなり、芳香族ポリチア
ゾールの強度は向上する。
【0048】またポリリン酸の濃度及び溶液の温度を適
切に設定することにより、芳香族ポリチアゾール前駆物
質の主鎖のアミド基における加水分解を防止することが
できるので、重合度の大きな芳香族ポリチアゾールを製
造することができる。
切に設定することにより、芳香族ポリチアゾール前駆物
質の主鎖のアミド基における加水分解を防止することが
できるので、重合度の大きな芳香族ポリチアゾールを製
造することができる。
【0049】
【実施例】本発明を以下の具体的実施例により詳細に説
明する。まず、低温でのチアゾール閉環反応の様子をみ
るため、モデル化合物を用いた以下の参考例を行った。
明する。まず、低温でのチアゾール閉環反応の様子をみ
るため、モデル化合物を用いた以下の参考例を行った。
【0050】参考例1 (1) モデル化合物〔1,4-ビス(ベンズアミド)-2,5-ビ
ス(プロピオニトリルチオ)ベンゼン〕の合成 2,5-ビス(プロピオニトリルチオ)- 1,4-フェニレンジ
アミン5.00mmol(1.392 g)をアルゴンガス雰囲気
下でN-メチル-2- ピロリドン(以下NMPと呼ぶ)溶液
10mlに溶解した。
ス(プロピオニトリルチオ)ベンゼン〕の合成 2,5-ビス(プロピオニトリルチオ)- 1,4-フェニレンジ
アミン5.00mmol(1.392 g)をアルゴンガス雰囲気
下でN-メチル-2- ピロリドン(以下NMPと呼ぶ)溶液
10mlに溶解した。
【0051】この溶液を氷水により冷却した後、撹拌し
ながらこれに塩化ベンゾイル10.0mmol(1.16ml)を
加えた。時々撹拌しながら6時間反応を続けた後、蒸留
水を加え、発生した沈澱を濾過した。得られた沈澱をさ
らに蒸留水で数回洗浄した後、60℃、真空中で乾燥さ
せた。なお、収率は100%(2.393g)であった。上記
で得られた沈澱物をクロロホルムに一旦溶解し、再結晶
させた。収率は80%(1.913g)であった。また、得ら
れた化合物の融点は238.5℃であった。
ながらこれに塩化ベンゾイル10.0mmol(1.16ml)を
加えた。時々撹拌しながら6時間反応を続けた後、蒸留
水を加え、発生した沈澱を濾過した。得られた沈澱をさ
らに蒸留水で数回洗浄した後、60℃、真空中で乾燥さ
せた。なお、収率は100%(2.393g)であった。上記
で得られた沈澱物をクロロホルムに一旦溶解し、再結晶
させた。収率は80%(1.913g)であった。また、得ら
れた化合物の融点は238.5℃であった。
【0052】(2) モデル化合物の五酸化リン/メタンス
ルホン酸中での閉環反応 メタンスルホン酸1.0mlに五酸化リン0.106gを
加えた溶液に、上記(1) で得たモデル化合物0.5mmol
(0.245 g)を加え、83℃、アルゴン気流中で5時間
加熱した。その後、この溶液をメタノール:水=9:1
とした溶液中に注いだ。得られた沈澱を濾過し、炭酸水
素ナトリウム水溶液で洗浄したのち、乾燥させた。収率
は59%(0.102 g)であった。また、得られた化合物
の融点を測定したところ、それは307.9℃であっ
た。この融点は、上記したモデル化合物が閉環してなる
化合物(以下の式で表される):
ルホン酸中での閉環反応 メタンスルホン酸1.0mlに五酸化リン0.106gを
加えた溶液に、上記(1) で得たモデル化合物0.5mmol
(0.245 g)を加え、83℃、アルゴン気流中で5時間
加熱した。その後、この溶液をメタノール:水=9:1
とした溶液中に注いだ。得られた沈澱を濾過し、炭酸水
素ナトリウム水溶液で洗浄したのち、乾燥させた。収率
は59%(0.102 g)であった。また、得られた化合物
の融点を測定したところ、それは307.9℃であっ
た。この融点は、上記したモデル化合物が閉環してなる
化合物(以下の式で表される):
【化11】 の融点と一致していた。
【0053】したがって、上記の参考例から、下記構造
を有する化合物:
を有する化合物:
【化12】 がポリリン酸成分を含有するメタンスルホン酸溶媒中
で、83℃の温度で閉環反応を起こし、先に化11で示
した化合物に変化したことがわかる。
で、83℃の温度で閉環反応を起こし、先に化11で示
した化合物に変化したことがわかる。
【0054】実施例1 (1) ポリベンゾビスチアゾール前駆物質の合成 以下に示す構造のモノマー
【化13】 5.00mmol(1.3920g)を、塩化リチウム濃度が5.
0重量%のNMP溶液10.0mlに溶解した。
0重量%のNMP溶液10.0mlに溶解した。
【0055】この溶液を氷水中で冷却し、テレフタル酸
クロライド5.00mmol(1.0151g)を加えた。この溶
液を撹拌しながら徐々に温度を上げてゆき、溶液が白く
濁ってきたら、溶媒をさらに加えながら均一状態を保つ
ように撹拌しつづけた。
クロライド5.00mmol(1.0151g)を加えた。この溶
液を撹拌しながら徐々に温度を上げてゆき、溶液が白く
濁ってきたら、溶媒をさらに加えながら均一状態を保つ
ように撹拌しつづけた。
【0056】テレフタル酸クロライドを投入後3時間が
経過した時点で、この溶液をゆっくりとメタノール中に
注いだ。なおこの操作はメタノールを撹拌しながら行っ
た。
経過した時点で、この溶液をゆっくりとメタノール中に
注いだ。なおこの操作はメタノールを撹拌しながら行っ
た。
【0057】30分間撹拌を続けた後、濾過し、さらにメ
タノールと水との混合溶液で一晩還流し、溶媒を除去し
た。得られたポリマーを真空中、100℃で24時間乾
燥した。収量は2.03gで、収率は99.5%であった。
このポリマーの固有粘度ηinh は1.81であった。なお固
有粘度の測定は塩化リチウム濃度が5.0重量%のNM
P中で、ポリマーの濃度を0.5g/dlとし、30℃にてウベ
ローデ法により行った。
タノールと水との混合溶液で一晩還流し、溶媒を除去し
た。得られたポリマーを真空中、100℃で24時間乾
燥した。収量は2.03gで、収率は99.5%であった。
このポリマーの固有粘度ηinh は1.81であった。なお固
有粘度の測定は塩化リチウム濃度が5.0重量%のNM
P中で、ポリマーの濃度を0.5g/dlとし、30℃にてウベ
ローデ法により行った。
【0058】次に、このポリマーの元素分析を行った。
結果を以下の表1に示す。 表1(1) 元素 C H N S 計算値(2) 58.80 3.95 3.72 5.70測定値 58.63 3.87 3.51 5.55 表1注(1) :数値はすべて重量%。 (2) :C20H16N4 S2 として計算
結果を以下の表1に示す。 表1(1) 元素 C H N S 計算値(2) 58.80 3.95 3.72 5.70測定値 58.63 3.87 3.51 5.55 表1注(1) :数値はすべて重量%。 (2) :C20H16N4 S2 として計算
【0059】(2) ポリベンゾビスチアゾール前駆物質の
五酸化リン/メタンスルホン酸中での閉環反応 上記(1) で合成した前駆物質0.05gを五酸化リンを
0.1g含有するメタンスルホン酸10.0mlに加え、
アルゴンガス雰囲気下で200℃で3時間加熱した。
五酸化リン/メタンスルホン酸中での閉環反応 上記(1) で合成した前駆物質0.05gを五酸化リンを
0.1g含有するメタンスルホン酸10.0mlに加え、
アルゴンガス雰囲気下で200℃で3時間加熱した。
【0060】その後、この溶液を蒸留水中に投入したの
ち、炭酸水素ナトリウムにより中和した。そして、発生
した沈澱を濾過したのち沈澱物をさらに蒸留水で洗浄
し、乾燥した。収量は0.011gであった。得られた
化合物の赤外線吸収スペクトル分析(IR)を行い、こ
のIR測定結果と、ポリリン酸法により合成したポリベ
ンゾビスチアゾールのIR測定結果とを比較したとこ
ろ、両者は一致していた。以上の結果から、(2) で得ら
れた化合物は、下記の繰り返し単位を有するポリベンゾ
ビスチアゾールであることがわかった。
ち、炭酸水素ナトリウムにより中和した。そして、発生
した沈澱を濾過したのち沈澱物をさらに蒸留水で洗浄
し、乾燥した。収量は0.011gであった。得られた
化合物の赤外線吸収スペクトル分析(IR)を行い、こ
のIR測定結果と、ポリリン酸法により合成したポリベ
ンゾビスチアゾールのIR測定結果とを比較したとこ
ろ、両者は一致していた。以上の結果から、(2) で得ら
れた化合物は、下記の繰り返し単位を有するポリベンゾ
ビスチアゾールであることがわかった。
【化14】 なお、赤外線スペクトル分析は、KBr 法を用い、パーキ
ンエルマー社製1750型のIRスペクトル分析計によって
行った。
ンエルマー社製1750型のIRスペクトル分析計によって
行った。
【0061】以上の実施例から、ポリリン酸含有のメタ
ンスルホン酸液中ではポリベンゾビスチアゾール前駆物
質におけるチアゾール閉環反応が200℃程度で十分に
進行することがわかる。
ンスルホン酸液中ではポリベンゾビスチアゾール前駆物
質におけるチアゾール閉環反応が200℃程度で十分に
進行することがわかる。
【0062】
【発明の効果】本発明の方法によれば、ポリリン酸成分
を含有するメタンスルホン酸等の溶媒中で、比較的低温
で芳香族ポリチアゾール前駆物質の閉環反応を起こすこ
とができるようになる。例えばポリベンゾビスチアゾー
ルの場合には、ポリベンゾビスチアゾール前駆物質をポ
リリン酸成分を含有する溶媒に溶解し、これを200〜
250℃程度の温度に加熱することで容易にポリベンゾ
ビスチアゾールを製造することができる。このように、
従来のポリベンゾビスチアゾールの製造方法においてみ
られるような350 ℃程度又はそれ以上の温度となる加熱
をすることなく、比較的低温でポリベンゾビスチアゾー
ルを製造することができる。
を含有するメタンスルホン酸等の溶媒中で、比較的低温
で芳香族ポリチアゾール前駆物質の閉環反応を起こすこ
とができるようになる。例えばポリベンゾビスチアゾー
ルの場合には、ポリベンゾビスチアゾール前駆物質をポ
リリン酸成分を含有する溶媒に溶解し、これを200〜
250℃程度の温度に加熱することで容易にポリベンゾ
ビスチアゾールを製造することができる。このように、
従来のポリベンゾビスチアゾールの製造方法においてみ
られるような350 ℃程度又はそれ以上の温度となる加熱
をすることなく、比較的低温でポリベンゾビスチアゾー
ルを製造することができる。
【0063】本発明の方法による芳香族ポリチアゾール
は、単独で繊維状やフィルム状として使用する他に、ア
ラミド系樹脂、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイ
ミド、ポリイミド、ポリアミドイミド等の樹脂をマトリ
ックスポリマーとした分子複合材の補強高分子として使
用することもできる。
は、単独で繊維状やフィルム状として使用する他に、ア
ラミド系樹脂、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイ
ミド、ポリイミド、ポリアミドイミド等の樹脂をマトリ
ックスポリマーとした分子複合材の補強高分子として使
用することもできる。
Claims (4)
- 【請求項1】 下記一般式: 【化1】 (ただし、式中Ar及びAr′は置換又は無置換の芳香族残
基であり、Rは置換又は無置換のアルキル基である。)
で表される繰り返し単位を有する芳香族ポリチアゾール
前駆物質を、ポリリン酸成分を含有する溶媒に溶解し、
次いで加熱することにより前記前駆物質の閉環反応を起
こし、もって芳香族ポリチアゾールを製造することを特
徴とする方法。 - 【請求項2】 請求項1に記載の方法において、前記溶
媒中のポリリン酸成分の量が、ポリリン酸成分をP2 O
5 と換算して、前記溶媒に対して重量比で、1:200
〜1:1の範囲にあることを特徴とする方法。 - 【請求項3】 請求項1又は2に記載の方法において、
前記溶媒がメタンスルホン酸であることを特徴とする方
法。 - 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載の方法
において、前記芳香族ポリチアゾール前駆物質がポリベ
ンゾビスチアゾール前駆物質であることを特徴とする方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27683391A JPH0586187A (ja) | 1991-09-27 | 1991-09-27 | 芳香族ポリチアゾールの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27683391A JPH0586187A (ja) | 1991-09-27 | 1991-09-27 | 芳香族ポリチアゾールの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0586187A true JPH0586187A (ja) | 1993-04-06 |
Family
ID=17575042
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP27683391A Pending JPH0586187A (ja) | 1991-09-27 | 1991-09-27 | 芳香族ポリチアゾールの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0586187A (ja) |
-
1991
- 1991-09-27 JP JP27683391A patent/JPH0586187A/ja active Pending
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