JPH0586058U - オートテンショナ - Google Patents

オートテンショナ

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JPH0586058U
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Abstract

(57)【要約】 【目的】固定軸1に対するダンパプレート15固定部分
の製作費を高くする事なく、この固定部分のがたをなく
す。 【構成】固定軸1の先端部に、この固定軸1に対して偏
心した円筒面部25を設ける。ダンパプレート15の外
周縁と揺動部材4の一部内周面とは、固定軸1を中心と
する部分で、互いに摺接する。ダンパプレート15の中
央部に偏心して設けた円孔26を上記円筒面部25に外
嵌する事で、ダンパプレート15を固定軸1の先端部
に、回転不能に固定する。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
この考案に係るオートテンショナは、自動車用エンジンのタイミングベルト、 或はオルタネータやコンプレッサ等の補機を駆動する為のベルト(以下、両者を 合わせて単にベルトとする。)に適正な張力を付与する為に利用する。
【0002】
【従来の技術】
ベルトに適正な張力を付与する為に従来から、例えば図3〜4に示す様なオー トテンショナが使用されている。円管状の固定軸1は、図示しないボルトにより 、エンジンのシリンダブロック前面等に固定される。この固定軸1の基端部(図 3の左端部)にはケース半片2を、この固定軸1と同心に固設し、このケース半 片2の外端面に係止凸部3を固設している。この係止凸部3は、上記シリンダブ ロック前面に形成された係止凹部と係合する事で、上記固定軸1の回転を防止す る。
【0003】 この様な固定軸1には、揺動部材4に設けた円筒部5を、滑り軸受6、6を介 して外嵌している。上記円筒部5から直径方向外方に延出した揺動腕7の先端部 には、上記固定軸1と平行な枢軸8を設け、この枢軸8にテンションプーリ9を 、転がり軸受10により枢支している。
【0004】 又、上記揺動部材4の一部に、上記円筒部5と同心のケース半片11を設け、 このケース半片11と前記ケース半片2とを最中状に合わせる事で、捩りコイル ばね13を覆うケース14を構成している。この捩りコイルばね13の一端は固 定軸1側のケース半片2に、他端は揺動部材4側のケース半片11に、それぞれ 係止する事で、上記揺動部材4に、テンションプーリ9をベルトに向け弾性的に 押圧する方向の弾力を付与している。従って、上記テンションプーリ9をベルト に押圧した状態では、温度変化等に伴なうベルトの寸法変化やエンジンの運転に 伴なう振動等に拘らず、このベルトの張力が常に一定に保たれる。
【0005】 更に、上記固定軸1の先端部(図3の右端部)周囲には、ダンパプレート15 の内周縁部を固定し、このダンパプレート15の外周縁部を、上記揺動部材4の 一部内周面に摺接させている。即ち、ケース半片2と共にアルミニウムのダイキ ャスト成形等により造られる、固定軸1の先端部外周面に矩形筒部16を形成し 、この矩形筒部16に、上記ダンパプレート15の中心部に形成した矩形孔17 を外嵌している。そして、上記矩形筒部16の先端部を上記矩形孔17の周縁部 に向けかしめ付けて、かしめ部18、18とする事により、上記ダンパプレート 15を固定軸1の先端部に、この固定軸1に対する回転を不能に固定している。
【0006】 この様にダンパプレート15を固定軸1の先端部に固定した状態で、このダン パプレート15と上記揺動部材4との間には、円輪状の隙間空間19が設けられ る。上記ダンパプレート15の軸方向両端部外周面に、それぞれ全周に亙って形 成された凹溝20、20には、それぞれOリング21、21を装着し、各Oリン グ21、21の外周縁を、上記揺動部材4の内周面に摺接させる事で、上記隙間 空間19の両端部を液密に塞いでいる。
【0007】 この様な隙間空間19内には、シリコンオイル等の粘性流体22を、充填孔2 3を通じて充填している。この充填孔23は、充填作業後に鋼球24を圧入する 事により塞いでおく。
【0008】 この様に、互いに回転方向に変位する固定軸1と揺動部材4との間に存在する 隙間空間19内に、粘性流体22を封入している為、エンジンの運転に伴なって ベルトが細かく振動し、この振動がテンションプーリ9及び揺動部材4に伝わっ ても、この振動は上記隙間空間19内の粘性流体22により減衰され、テンショ ンプーリ9及び揺動部材4の振動が成長する事はなくなる。
【0009】
【考案が解決しようとする課題】
本考案は、上述の様に構成され作用するオートテンショナの製作費を高くする 事なく、固定軸1へのダンパプレート15固定部分のがたつきをなくすものであ る。
【0010】 従来は、ダンパプレート15を固定軸1に対し回転不能に固定する為、固定軸 1の先端部に矩形筒部16を、ダンパプレート15の中心部に矩形孔17を、そ れぞれ形成する作業を、上記固定軸1或はダンパプレート15のダイキャスト成 形と同時に行なっていた。従って、不可避的な製作誤差に基づき、上記矩形筒部 16と矩形孔17とを嵌合させた場合にも、嵌合部にがたが生じる事が避けられ なかった。そして、このがたは、矩形筒部16の先端部にかしめ部18、18を 形成した場合にも、解消し切れない場合があった。
【0011】 上記矩形筒部16と矩形孔17とを、ダイキャスト成形によらず、シェーパ加 工等の機械加工により形成する事で、各部16、17の寸法精度を向上させれば 、上記嵌合部のがたを小さくして、かしめ部18、18により嵌合部のがたを確 実に解消出来るが、製作費が高くなる為、好ましくない。
【0012】 本考案のオートテンショナは、上述の様な事情に鑑みて考えられたものである 。
【0013】
【課題を解決する為の手段】
本考案のオートテンショナは、前述した従来のオートテンショナと同様に、固 定軸と、この固定軸の周囲に揺動自在に支持された揺動部材と、この揺動部材の 一部に、上記固定軸と平行に設けられた枢軸と、この枢軸に回転自在に支承され たテンションプーリと、このテンションプーリを張力を付与すべき部材に向けて 押圧するばねと、上記固定軸の先端部周囲にその内周縁部を固定すると共に、そ の外周縁部を上記揺動部材の一部で、上記固定軸と同心の内周面に摺接させたダ ンパプレートと、このダンパプレートと上記揺動部材との間に設けられた隙間空 間と、この隙間空間の両端部を塞いだシール材と、上記隙間空間内に封入された 粘性流体とを有する。
【0014】 更に、本考案のオートテンショナに於いては、上記固定軸の先端部に、この固 定軸に対し所定量だけ偏心した状態で形成された円筒面部と、上記ダンパプレー トの略中央部に、このダンパプレートの外周縁の中心点から上記所定量だけ偏心 した点を中心として形成され、上記円筒面部に外嵌された円孔とを有する事を特 徴としている。
【0015】
【作用】
上述の様に構成される本考案のオートテンショナが、ベルトに常に適正な張力 を付与する際の作用、更にベルトからテンションプーリに伝達された振動を減衰 する際の作用は、前述した従来のオートテンショナと同様である。
【0016】 特に、本考案のオートテンショナの場合、それぞれ偏心した状態で設けられた 、円筒面部と円孔との嵌合に基づき、固定軸に対してダンパプレートが回転する 事を防止出来る。上記円筒面部と円孔とは容易に形成出来、しかも各部の寸法精 度を高くする事も容易である。従って、上記円筒面部と円孔との嵌合部のがたを なくすべく、各部の寸法精度を向上させても、オートテンショナの製作費を高く する事はない。
【0017】
【実施例】
図1〜2は本考案の実施例を示している。尚、本考案の特徴は、固定軸1にダ ンパプレート15を回転不能に固定する部分の構造に特徴があり、その他の部分 の構成及び作用は、前述した従来構造と同様である為、一部の図示を省略すると 共に、図示した部分に就いても、同等部分には同一符号を付して、重複する説明 を省略する。
【0018】 円管状の固定軸1の先端部外周面には、この固定軸1の外周面よりも小径の円 筒面部25が、旋盤等による旋削加工により、上記先端部外周面を切削する事で 、形成されている。この円筒面部25の中心aは、上記固定軸1の中心bに対し 、所定量δだけ偏心している。
【0019】 一方、ダンパプレート15の略中心部には円孔26を形成している。この円孔 26の中心点cは、上記ダンパプレート15の外周縁の中心点dから、上記所定 量δだけ偏心している。
【0020】 ダンパプレート15と固定軸1とを組み合わせる以前に於ける、上記円孔26 の内径Rは、上記円筒面部25の外径Dと同じか、これよりも僅かに小さく(R ≦D)して、上記円孔26を円筒面部25に、がたつきなく内嵌自在としている 。
【0021】 固定軸1の先端部にダンパプレート15を固定する場合には、上記円孔26を 上記円筒面部25に外嵌し、必要に応じこの円筒面部25の先端部を上記円孔2 6の周縁部に向けかしめ付けて、かしめ部18、18を形成する。
【0022】 上述の様に構成される本考案のオートテンショナの場合、それぞれ偏心した状 態で設けられた円筒面部25と円孔26との嵌合に基づき、固定軸1に対してダ ンパプレート15が回転する事を防止出来る。
【0023】 即ち、上記ダンパプレート15の外周縁は揺動部材4の内周面で、上記固定軸 1の中心線bをその中心線とする部分に摺接している為、このダンパプレート1 5が固定軸1の周囲で振れ回る事はない。従って、それぞれが上記固定軸1の中 心線bに対し所定量δだけ偏心した状態で設けられた、円筒面部25と円孔26 との嵌合に基づき、固定軸1に対してダンパプレート15が回転する事がなくな る。
【0024】 上記円筒面部25と円孔26とは、旋削加工により容易に形成出来、しかも円 筒面部25の外径寸法及び円孔26の内径寸法を高精度に仕上げる事も容易であ る。従って、上記円筒面部25と円孔26との嵌合部のがたをなくすべく、各部 25、26の寸法精度を向上させても、オートテンショナの製作費を高くする事 もない。
【0025】
【考案の効果】
本考案のオートテンショナは、以上に述べた通り構成され作用する為、製作費 を高くする事なく、固定軸へのダンパプレート固定部分のがたつきをなくす事が 出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の実施例を示す部分断面図。
【図2】図1の右方から見た図。
【図3】従来構造の1例を示す断面図。
【図4】テンションプーリと揺動腕の一部とを省略し
て、図3の右方から見た図。
【符号の説明】
1 固定軸 2 ケース半片 3 係止凸部 4 揺動部材 5 円筒部 6 滑り軸受 7 揺動腕 8 枢軸 9 テンションプーリ 10 転がり軸受 11 ケース半片 12 ケース 13 捩りコイルばね 14 ケース 15 ダンパプレート 16 矩形筒部 17 矩形孔 18 かしめ部 19 隙間空間 20 係止凹溝 21 Oリング 22 粘性流体 23 充填孔 24 鋼球 25 円筒面部 26 円孔

Claims (1)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固定軸と、この固定軸の周囲に揺動自在
    に支持された揺動部材と、この揺動部材の一部に、上記
    固定軸と平行に設けられた枢軸と、この枢軸に回転自在
    に支承されたテンションプーリと、このテンションプー
    リを張力を付与すべき部材に向けて押圧するばねと、上
    記固定軸の先端部周囲にその内周縁部を固定すると共
    に、その外周縁部を上記揺動部材の一部で、上記固定軸
    と同心の内周面に摺接させたダンパプレートと、このダ
    ンパプレートと上記揺動部材との間に設けられた隙間空
    間と、この隙間空間の両端部を塞いだシール材と、上記
    隙間空間内に封入された粘性流体とを有するオートテン
    ショナに於いて、上記固定軸の先端部に、この固定軸に
    対し所定量だけ偏心した状態で形成された円筒面部と、
    上記ダンパプレートの略中央部に、このダンパプレート
    の外周縁の中心点から上記所定量だけ偏心した点を中心
    として形成され、上記円筒面部に外嵌された円孔とを有
    する事を特徴とするオートテンショナ。
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