JPH058549Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、振子時計に関するものである。

（従来の技術） 振子時計は、当初、振子の揺動によつて時計輪
列を間欠駆動させる所謂機械式時計であつたが、
近時の電気式時計は、例えば水晶発信器を備えた
モータ駆動により、時計輪列を間欠駆動させる構
造となつている。ところが、掛時計は電気式であ
つても振子のあるものが要求されるのが一般であ
り、この場合振子は所謂疑似振子として用いられ
ている。この疑似振子は、時計本体と振子とが別
体となつており、時計本体に揺動自在に支持され
且つ磁石とコイルとにより揺動駆動する振竿に掛
止部を設け、この掛止部に鉤形状の係止部を設け
た振子を掛止することにより、振子を揺動させて
いる。

（考案が解決しようとする課題） しかしながら、上記従来の振子掛止手段では、
振子の揺動時において振子は振竿と同期して揺動
するので、振子が振竿から外れるという恐れはな
いのであるが、時計体を壁などに取り付ける、或
いは取り外す場合において、時計体に激しい振れ
が生じると、振竿が揺れるとともに、この振竿に
対し振子も独自に揺れて、揺れの相乗効果により
振子が振竿から外れてしまう。とりわけ振杆と振
子の揺れ方向が逆の場合は瞬時に振子が外れてし
まい、振子は自重で落下してしまうという問題が
あつた。

本考案は上記従来の問題を解決するためになさ
れたものであり、その目的は、時計体を取り付け
或いは取り外すときに、振竿が固定されるように
為し、振竿が揺れて振子の外れることのない振竿
の固定機構を有する振子時計を提供することにあ
る。

（課題を解決するための手段） 本考案は上述の問題点を解決するために下記技
術手段を採用する。

すなわち、本考案は、時計本体に揺動自在に支
持された振竿と、該振竿の下部に設けられる振子
とを具備した振子時計において、振竿の下部に回
動自在に支持され、適位箇所に任意形状の被保持
部と、振子の掛け合わせ部とを有する補助係止杆
と、鉤形状の係合部を有し、該係合部が前記補助
係止杆の掛け合わせ部に掛け合わされる振子と、
前記補助係止杆の背面側の時計本体に設けられ、
該補助係止杆の前記被保持部に係脱可能な係合爪
と、を備え、前記補助係止杆の回動によつて移動
する該補助係止杆の前記被保持部の軌跡上に、前
記係合爪を位置させた振子時計である。

（作用） 上記構成によれば、時計体の壁等への取り付け
取り外し時において、補助係止杆を持つて回動さ
せると、その補助係止杆の被保持部の回動軌跡上
に係合爪が位置しているので、その被保持部は係
合爪に係合することとなる。当該被保持部が係止
爪に係合すると、補助係止杆はこの係合爪に固定
（ロツク）され、従つてこの補助係止杆の固定に
より振竿が固定される。その結果、振子は、振竿
の揺れと振子自身の揺れとによる相乗作用で揺れ
ることがなくなるので、この種の疑似振子の外れ
を可及的に回避することが可能となる。

（実施例） 以下、例示図面に基いて本考案を詳述する。

第１図は要部拡大断面図、第２図は同背面図、
第３図は振竿の下部の側面図、第４図は補助係止
杆の正面図、第５図は振子を除いて示す背面図、
第６図及び第７図は使用例を示す断面図である。

図において、１は時計本体を示し、該時計本体
１は、図示を省略した時刻表示装置と振子揺動装
置を備え、更に図示を省略した前枠、ガラス板の
他、文字板２、後枠３、ムーブメント４、このム
ーブメント４の地板５の上部に揺動自在に支持さ
れた振竿６、上記地板５及び振竿６を覆うカバー
体７等から構成されており、振竿６は、その下部
に固着された磁石８と、地板５に固定された検出
駆動用コイル９との周知の電磁結合によつて揺動
される。１０は振竿６の揺動を規制するストツ
パ、１１は鉤形状の係合部１２を有する振子を示
している。

そして、振竿６は、その下部に補助係止杆１３
を回動自在に支持している。この補助係止杆１３
は、第４図に示すように２本のアーム１４，１４
上端に支点部１５を有し、該支点部１５が振竿６
の下部に枢着されたものであり、更に、アーム１
４，１４下端に、横架材１６を両アーム１４から
はみ出し状となるように一体形成し、該横架材１
６の中央部を振子１１の係合部１２の掛止部１７
となすと共に、横架材１６のはみ出し部をカバー
体７への係留部１８としている。１９はカバー体
７の下端に付設された係合爪であつて、該係合爪
１９は、上記補助係止杆１３が背面側へ回転され
た際、横架材１６の係留部１８を係合し得る位置
関係にある。２１は振竿６の側壁６ａ，６ａ間に
設けられた係合壁であり、第３図に示すように、
側壁６ａ，６ａに切欠き２０を形成することによ
り、横架材１６の掛止部１７と係合可能なもので
ある。すなわち、補助係止杆１３は、振竿６の係
合壁２１とカバー体７の係合爪１９との間を回動
可能な状態にある。

従つて、振子１１の振竿掛止時においては、第
１図及び第２図に示すように、振子１１は、その
係合部１２が補助係止杆１３の掛止部１７に掛止
されると共に、振子１１はその自重により、振竿
６の係合壁２１と補助係止杆１３との間で挟持さ
れた状態にあり、振子１１は振竿６に対し安定接
続されている。

時計体の壁等への取り付け或いは取り外し時に
おいては、第６図に示すように、補助係止杆１３
の係留部１８をカバー体７の係合爪１９に係留し
て、振竿６を時計本体１にロツクして行う。ま
た、この状態において、第７図に示すように振子
１１を掛止部１７に取り付けたり又は取り外した
りする。

また、第５図に示すように、カバー体７の係合
爪１９，１９間に切欠部２２を設けることによ
り、掛止部１７をカバー体７より露出させれば、
振子１１の係合部１２の掛止部１７への掛止作業
が容易となる。

なお、本実施例は、補助係止杆１３をカバー体
７に係留する構成であるが、補助係止杆１３を振
竿６の前面側に回動自在に支持し、補助係止杆１
３の係留部１８と係合し得る係合爪１９を、前枠
３もしくは地板５に設けるようにしてもよい。

（考案の効果） 本考案は、以上説明したように構成されるの
で、振子は、振竿の揺れと振子自身の揺れとによ
る相乗作用で揺れることがなくなるので、時計体
の壁等への取り付け取り外し時において、この種
疑似振子の不慮の離脱現象が可及的に回避される
こととなる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示し、第１図は要部
拡大断面図、第２図は同背面図、第３図は振竿の
下部の側面図、第４図は補助係止杆の正面図、第
５図は振子を除いて示す背面図、第６図及び第７
図は使用例を示す断面図である。 １……時計本体、６……振竿、１１……振子、
１２……係合部、１３……補助係止杆、１９……
係合爪。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 時計本体に揺動自在に支持された振竿と、該振
   竿の下部に設けられる振子とを具備した振子時計
   において、 振竿の下部に回動自在に支持され、適位箇所に
   任意形状の被保持部と、振子の掛け合わせ部とを
   有する補助係止杆と、 鉤形状の係合部を有し、該係合部が前記補助係
   止杆の掛け合わせ部に掛け合わされる振子と、 前記補助係止杆の背面側の時計本体に設けら
   れ、該補助係止杆の前記被保持部に係脱可能な係
   合爪と、を備え、 前記補助係止杆の回動によつて移動する該補助
   係止杆の前記被保持部の軌跡上に、前記係合爪を
   位置させたことを特徴とする振子時計。