JPS6257231B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は時計、特に振り子時計と総体振り時計
とを兼用することができる時計に関するものであ
る。

近年の水晶振動子等を用いた電子駆動時計にお
いては、装飾用として、ムーブメントケースの駆
動力により振子が駆動される振り子時計が広範囲
に実用化されている。

この種の振り子時計は、ムーブメントケースに
振竿体が揺動自在に支持されており、通常の場
合、ムーブメントケースのナイフエツジに振竿体
のＶ溝が支持された構造から成る。前記振竿体の
下端には、振子が係止され、振竿体に固定された
磁石とムーブメントケースに設けられた駆動コイ
ルとの間の電磁駆動力によつて、振竿体及び振子
の揺動運動を持続することができる。

また、近年、装飾用として、ムーブメントケー
ス及び振子が振子支点に対して揺動する総体振り
時計が広範囲に実用化されている。

この種の総体振り時計は、固定支持子の振子支
点に対してムーブメントケース及び振子が揺動自
在に支持されており、通常の場合、固定支持子の
Ｖ溝にムーブメントケースのナイフエツジが支持
された構造から成る。そして、ムーブメントケー
スに設けられた駆動コイルと、固定支持子に設け
られた磁石受け板の磁石との間の電磁駆動力によ
つて、ムーブメントケース及び振子の揺動運動を
持続することができる。

以上のように、従来の振り子時計においては、
振竿体及び振子の揺動運動を持続することがで
き、また、従来の総体振り時計においては、ムー
ブメントケース及び振子の揺動運動を持続するこ
とができるが、振り子時計、総体振り時計は、そ
れぞれ別個の構造からなり、振り子時計と総体振
り時計とを兼用することができないという問題が
あつた。

本発明は前記従来の課題に鑑み為されたもので
あり、その目的は、同一のムーブメントケース及
び電磁駆動受け板を共通して用いることによつ
て、振り子時計と総体振り時計とを兼用すること
ができる時計を提供することにある。

前記目的を達成するために、本発明は、振り子
時計として用いられるムーブメントケースの上端
面に突出したナイフエツジから成り振子支点を形
成する支持部と、前記ナイフエツジ支持部との係
合及び固定支持部との結合を行う受け部を備え、
前記受け部の一面には前記ナイフエツジ支持部に
揺動自在に係合するＶ溝が設けられ、また他方面
にはムーブメントケースを収納する時計機構ケー
スを揺動自在に支持するための固定支持部と結合
する結合部が設けられた、電磁駆動受け板と、前
記電磁駆動受け板の前記受け部とは反対側の端部
には駆動コイルまたは磁石が設けられ、前記駆動
コイルまたは磁石と対向する位置でムーブメント
ケースに磁石または駆動コイルが設けられてお
り、振り子時計として使用する場合は、ムーブメ
ントケースを時計機構ケースを介して固定し、電
磁駆動受け板を揺動受け板として用いて電磁駆動
受け板に振子を固定し、電磁駆動受け板及び振子
を揺動させ、総体振り時計として使用する場合
は、前記電磁駆動受け板を倒立させて前記固定支
持部に固定し、ムーブメントケースを収納固定す
る時計機構ケースに振子を固定し、ムーブメント
ケースを電磁駆動受け板に倒立状態で揺動自在に
支持させ、振り子時計と総体振り時計とを兼用可
能としたことを特徴とする。

以下、図面に基づいて本発明の好適な実施例を
説明する。

第１図には、本発明に係る時計の好適な第１実
施例が示されており、第２図には第１図の断面が
示されている。

第１，２図において、１０は、時計機構ケース
１１に収納固定されたムーブメントケースであ
り、ムーブメントケース１０の一端にはナイフエ
ツジ１２ａを有した支持部１２が設けられてお
り、また、支持部１２の鉛直方向には駆動コイル
１８が設けられている。１４は電磁駆動受け板で
あり、一端には、支持部１２と結合する受け部１
６が設けられ、実施例において受け部１６はＶ溝
１６ａを有し、ナイフエツジ１２ａとＶ溝１６ａ
とが係合しており、また、ムーブメントケース１
０に設けた駆動コイル１８と対向する位置に磁石
２０が固定されている。したがつて、駆動コイル
１８と磁石２０との間に電磁駆動力が生起される
ことによつて、ムーブメントケース１０あるいは
電磁駆動受け板１４が揺動可能である。

ムーブメントケース１０は時計機構ケース１１
に弾性爪または固定ねじなどによつて装着されて
おり、該時計機構ケース１１を壁や柱などに設け
た掛止部に掛止めさせて電磁駆動受け板１４を揺
動させると、振り子時計として使用することがで
きる。また、ムーブメントケース１０を支持部１
２が下面になるように倒立させて前記固定手段に
て時計機構ケースに固定し、電磁駆動受け板１４
をこれもまた倒立させてその受部１６を支持部３
７の固定支持部に例えばねじ固定すると、時計機
構ケース１１が揺動可能となり、総体振り時計と
して使用することができる。したがつて、同一の
ムーブメントケース１０及び電磁駆動受け板１４
を、振り子時計と総体振り時計のどちらにも兼用
することができる。

なお、実施例において、時計機構ケース１１に
収納固定されたムーブメントケース１０は、その
内部に時計機構部２２及び文字盤側下板２４を有
し、時計機構ケース１１により所定の時刻が表示
されるが、前記電磁駆動受け板１４及び磁石２０
が、時計機構部２２と文字盤側下板２４との間の
空隙２６に収納されている。したがつて、電磁駆
動受け板１４又はムーブメントケース１０の揺動
時に、電磁駆動受け板１４及び磁石２０が、時計
機構ケース１１からほとんど露出することがな
い。

次に、第１実施例の時計を振り子時計、総体振
り時計として使用する場合を、それぞれ説明す
る。

第１，２図には、振り子時計として使用する場
合が示され、第３図には、その作用が示されてい
る。

第１，２図において、ナイフエツジ１２ａを上
方に向けた位置でムーブメントケース１０を時計
機構ケース１１に弾性爪または固定ねじなどによ
つて装着し、電磁駆動受け板１４の受部１６を前
記ナイフエツジ１２ａに係止し、電磁駆動受け板
１４の下端に振子２８を吊垂固定する。これによ
り、第３図に示されるように、電磁駆動受け板１
４がムーブメントケース１０の振子支点に対して
揺動自在に支持された状態になり、駆動コイル１
８と磁石２０との間の電磁駆動力によつて、電磁
駆動受け板１４は、ムーブメントケース１０に対
する揺動運動を持続することができる。したがつ
て、電磁駆動受け板１４及び振子２８を揺動させ
ることができるので、振り子時計として使用する
ことができる。

第４，５図には、総体振り時計として使用する
場合が示され、第６図には、その作用が示されて
いる。

第４，５図において、ナイフエツジ１２ａを下
方に向けた位置で電磁駆動受け板１４を固定し、
実施例においては、電磁駆動受け板１４の受け部
１６の凹部１６ｂ，１６ｃを時計台座となる女神
像（図示せず）の支持腕３０の凸部３０ｂ，３０
ｃに嵌合して、電磁駆動受け板１４を支持腕３０
に固定する。さらに、ムーブメントケース１０を
収納固定した時計機構ケース１１の下部に振子２
８を吊垂固定する。これにより、第６図に示され
るように、ムーブメントケース１０が電磁駆動受
け板１４の振子支点に対して揺動自在に支持され
た状態になり、駆動コイル１８と磁石２０との間
の電磁駆動力によつてムーブメントケース１０及
びこれを収納固定した時計機構ケース１１に固定
された振子２８は、電磁駆動受け板１４に対する
揺動運動を持続することができる。

以上のように、本発明の第１実施例によれば、
同一のムーブメントケース１０及び電磁駆動受け
板１４を共通して用いることにより、振り子時計
と総体振り時計とを兼用することができる。

なお、第１実施例においては、電磁駆動受け板
１４及びこれに設けられた磁石２０を、時計機構
部２２と文字盤側下板２４との間の空隙２６に収
納したので、電磁駆動受け板１４及び磁石２０が
時計機構ケース１１からほとんど露出することな
く、振子の揺動作用又は総体振り作用が行なわれ
る。

第７図には、本発明に係る時計の好適な第２実
施例が示されており、第８図には第７図の断面が
示されている。

第１実施例においては、時計機構ケース１１に
収納固定されたムーブメントケース１０の支持部
１２はナイフエツジ１２ａを有し、電磁駆動受け
板１４の受け部１６はＶ溝１６ａを有し、該ナイ
フエツジ１２ａとＶ溝１６ａとの係合によりムー
ブメントケース１０と電磁駆動受け板１４との揺
動作用が可能となつているが、第２実施例におい
ては、時計機構ケース１１に収納固定されたムー
ブメントケース１０の支持部１２は四角柱に形成
された支持柱１２ｂを有し、電磁駆動受け板１４
の受け部１６は輪形に形成された輪形支持枠１６
ｄを有し、該支持柱１２ｂと輪形支持枠１６ｄと
の係合によりムーブメントケース１０と電磁駆動
受け板１４との揺動作用が可能となつている。そ
して、第２実施例においては、支持柱１２ｂと輪
形支持枠１６ｄとが係合した状態であるので、振
り子時計、総体振り時計のどちらとして使用する
場合であつても、支持部１２の支持柱１２ｄを下
方に向けた状態でよい。

なお、第２実施例においても、第１実施例と同
様に、時計機構ケース１１に収納固定されたムー
ブメントケース１０は、その内部に時計機構部２
２及び文字盤側下板２４を有し、時計機構ケース
１１により所定の時刻が表示され、前記電磁駆動
受け板１４及び磁石２０が、時計機構部２２と文
字盤側下板２４との間の空隙２６に収納されてい
る。したがつて、電磁駆動受け板１４又はムーブ
メントケース１０の揺動時に、電磁駆動受け板１
４及び磁石２０が、時計機構ケース１１からほと
んど露出することがない。

次に、第２実施例の時計を振り子時計、総体振
り時計として使用する場合を、それぞれ説明す
る。

第７，８図には、振り子時計として使用する場
合が示されている。

第７，８図において、支持柱１２ｂを下方に向
けた位置でムーブメントケース１０を時計機構ケ
ース１１を介して壁等に固定し、電磁駆動受け板
１４を揺動受け板として用いて電磁駆動受け板１
４の下部に振子２８を吊垂固定する。なお、振子
２８の吊垂固定は、第９図に示されるように、電
磁駆動受け板１４の受け部１６の凹部１６ｂ，１
６ｃに振子２８の凸部２８ｂ，２８ｃを嵌合させ
ることにより行なう。これにより、電磁駆動受け
板１４がムーブメントケース１０の振子支点に対
して揺動自在に支持された状態になり、駆動コイ
ル１８と磁石２０との間の電磁駆動力によつて、
電磁駆動受け板１４は、ムーブメントケース１０
に対する揺動運動を持続することができる。した
がつて、電磁駆動受け板１４及び振子２８を揺動
させることができるので、振り子時計として使用
することができる。

第１０，１１図には、総体振り時計として使用
する場合が示されている。

第１０，１１図においても、第７，８図と同様
に、支持柱１２ｄを下方に向けた位置で電磁駆動
受け板１４を固定し、実施例においては、第１２
図に示されるように、電磁駆動受け板１４の受け
部１６の凹部１６ｂ，１６ｃを時計台座となる女
神像（図示せず）の支持腕３０の凸部３０ｂ，３
０ｃに嵌合して、電磁駆動受け板１４を支持腕３
０に固定する。さらに、ムーブメントケース１０
を収納固定した時計機構ケース１１の下部に振子
２８を吊垂固定する。これにより、ムーブメント
ケース１０が電磁駆動受け板１４の振子支点に対
して揺動自在に支持された状態になり、駆動コイ
ル１８と磁石２０との間の電磁駆動力によつて、
ムーブメントケース１０及びこれを収納固定した
時計機構ケース１１に固定された振子２８は、電
磁駆動受け板１４に対する揺動運動を持続するこ
とができる。

以上のように、本発明の第２実施例によつて
も、第１実施例と同様に、同一のムーブメントケ
ース１０及び電磁駆動受け板１４を共通して用い
ることにより、振り子時計と総体振り時計とを兼
用することができる。さらに、第２実施例におい
ては、支持部１２の支持柱１２ｄを下方に向けた
状態で、振り子時計と総体振り時計とに兼用する
ことができる。

なお、第２実施例においては、第１実施例と同
様に、電磁駆動受け板１４及びこれに設けられた
磁石２０を、時計機構部２２と文字盤側下板２４
との間の空隙２６に収納したので、電磁駆動受け
板１４及び磁石２０が時計機構ケース１１からほ
とんど露出することなく、振子の揺動作用又は総
体振り作用が行なわれる。

以上説明したように、本発明に係る時計によれ
ば、同一のムーブメントケース及び電磁駆動受け
板を共通して用いることによつて、振り子時計と
総体振り時計とを兼用することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る時計の第１実施例を振り
子時計として使用する場合の説明図、第２図は第
１図の―断面図、第３図は第１，２図の作用
説明図、第４図は本発明に係る時計の第１実施例
を総体振り時計として使用する場合の説明図、第
５図は第４図の―断面図、第６図は第４，５
図の作用説明図、第７図は本発明に係る時計の第
２実施例を振り子時計として使用する場合の説明
図、第８図は第７図の―断面図、第９図は第
８図の―断面図、第１０図は本発明に係る時
計の第２実施例を総体振り時計として使用する場
合の説明図、第１１図は第１０図のXI―XI断面
図、第１２図は第１１図のXII―XII断面図である。 各図中同一部材には同一符号を付し、１０……
ムーブメントケース、１１……時計機構ケース、
１２……支持部、１２ａ……ナイフエツジ、１２
ｂ……支持柱、１４……電磁駆動受け板、１６…
…受け部、１６ａ……Ｖ溝、１６ｂ，１６ｃ……
凹部、１６ｄ……輪形支持枠、１８……駆動コイ
ル、２０……磁石、２２……時計機構部、２４…
…文字盤側下板、２６……空隙、２８……振子、
２８ｂ，２８ｃ……凸部、３０……支持腕、３０
ｂ，３０ｃ……凸部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 振り子時計として用いられるムーブメントケ
   ースの上端面に突出したナイフエツジから成り振
   子支点を形成する支持部と、 前記ナイフエツジ支持部との係合及び固定支持
   部との結合を行う受け部を備え、前記受け部の一
   面には前記ナイフエツジ支持部に揺動自在に係合
   するＶ溝が設けられ、また他方面にはムーブメン
   トケースを収納する時計機構ケースを揺動自在に
   支持するための固定支持部と結合する結合部が設
   けられた、電磁駆動受け板と、 前記電磁駆動受け板の前記受け部とは反対側の
   端部には駆動コイルまたは磁石が設けられ、前記
   駆動コイルまたは磁石と対向する位置でムーブメ
   ントケースに磁石または駆動コイルが設けられて
   おり、 振り子時計として使用する場合は、ムーブメン
   トケースを時計機構ケースを介して固定し、電磁
   駆動受け板を揺動受け板として用いて電磁駆動受
   け板に振子を固定し、電磁駆動受け板及び振子を
   揺動させ、 総体振り時計として使用する場合は、前記電磁
   駆動受け板を倒立させて前記固定支持部に固定
   し、ムーブメントケースを収納固定する時計機構
   ケースに振子を固定し、ムーブメントケースを電
   磁駆動受け板に倒立状態で揺動自在に支持させ、
   振り子時計と総体振り時計とを兼用可能としたこ
   とを特徴とする時計。 ２ 特許請求の範囲１記載の時計において、ムー
   ブメントケースはその内部に時計機構部及び文字
   盤側下板を有し、電磁駆動受け板及びこれに設け
   られた磁石または駆動コイルを時計機構部と文字
   盤側下板との間の空〓に収納し、電磁駆動受け板
   及び磁石または駆動コイルが時計機構ケースから
   ほとんど露出することなく、振子の揺動作用また
   は総体振り作用が行われることを特徴とする時
   計。