JPH0584717A

JPH0584717A - セラミツクス製品の成形方法及び成形装置

Info

Publication number: JPH0584717A
Application number: JP25085491A
Authority: JP
Inventors: Katsufumi Kino; 勝文城野; Hiromichi Ota; 広道太田; Seijiro Tanaka; 征二郎田中; Hirotaka Shintani; 宏隆新谷
Original assignee: Kawasaki Refractories Co Ltd
Current assignee: JFE Refractories Corp
Priority date: 1991-09-30
Filing date: 1991-09-30
Publication date: 1993-04-06

Abstract

(57)【要約】【目的】セラミックス製品の成形方法とその装置に関
し、脱型後の成形体の強度の向上、加工性の付与、なら
びに低温で迅速な脱脂工程を可能とするセラミックス製
品の成形方法及び成形装置を提供することを目的とす
る。【構成】所定圧でセラミックス材スラリＳを成形型１
に注入するセラミックス製品の成形に際し、成形型１、
貯留タンク３及び供給管４に設けた加温手段２によっ
て、融点が常温よりも高い物質を分散媒としたセラミッ
クス材スラリＳを、該分散媒の融点よりも高温に保持し
ながら成形型へ供給する構成とし、また脱型、及び型洗
浄を上記成形型１の型内表面から噴出する高圧の気体で
行う構成とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、セラミックス製品の成
形方法とその装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】比較的複雑な形状を持ったセラミックス
製品の成形方法として広く用いられている方法として排
泥鋳込成形法と、射出成形法がある。

【０００３】排泥鋳込成形法は、比較的肉薄な中空形状
品の成形に適しており、例えば石膏等の吸水性の材質よ
りなる成形型に水系セラミックス材スラリを流し込み、
該成形型の内面に所定厚さの着肉層を形成した後、余剰
のスラリを排出するという手順で行われる。その後所要
時間が経過すると、着肉層の水分が成形型に吸収され、
成形体はその硬度を増すとともに、収縮して成形型表面
より離れ、この時点で脱型が行われ、養生・乾燥して完
成品を得る。

【０００４】また射出成形法はプラスチック製品の成形
法をセラミックスの成形に適用したもので、粉体のセラ
ミックス材料に適宜熱可塑性有機材料と適当量混合加熱
した後、金型に射出し冷却固化させる方法で、成形に要
する時間が短く複雑な形状の成形体の量産に適する。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところが上記排泥鋳込
成形法は、スラリ注入後、脱型から養生、乾燥して一定
の強度が発現されるまでに相当の日数がかかり、このた
めに例えば整形などの次段の加工を行う必要のある場合
には、工程上のネックとなっていた。特に成形体の肉厚
が高まれば高まるほど上記時間を長く必要とするところ
から大量生産に不向きである。

【０００６】こうした欠点を解消するために、例えば所
定圧でセラミックス材スラリを成形型に注入して、上記
成形型の水分の吸収速度を早めるようにすることも行わ
れているが、これでは脱型後の養生・乾燥に要する時間
をある程度短縮できるが、上記石膏等の吸水性の成形型
の機械的強度の関係で約１０kgf/cm²以上のスラリの注
入圧では該成形型が破壊され、成形に要する時間を大幅
に短縮するには到っていない。

【０００７】一方、上記射出成形法は、脱型までに要す
る時間は比較的短く、また得られる成形体は短時間のう
ちに所要の強度が発現されるが、成形型（金型）の製作
コストが高く、多品種少量生産を行うには不利である。
また、上記熱可塑性有機材料を脱型後の成形体から除去
する、いわゆる脱脂工程では、亀裂発生や変形の防止の
ために該脱型後の成形体を長時間にわたる加熱を必要と
し、必ずしも工程に要する時間短縮の効果が表れない欠
点がある。

【０００８】本発明は上記従来の事情に鑑み提案された
ものであって、脱型後の成形体の強度の向上、加工性の
付与、ならびに低温で迅速な脱脂工程を可能とするセラ
ミックス製品の成形方法及び成形装置を提供することを
目的とするものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は以下の手段を採用する。すなわち、所定
圧でセラミックス材スラリを成形型に注入するセラミッ
クス製品の成形方法において、融点が常温よりも高い物
質を分散媒としたセラミックス材スラリを、該分散媒の
融点よりも高温に保持しながら成形型へ供給することと
し、上記分散媒の融点を５０〜１５０℃とすることが望
ましい。また、脱型、及び型洗浄を上記成形型の型内表
面から噴出する高圧の気体で行うようにする。

【００１０】またこの方法を実施する装置としては、図
１に示すように、セラミックス材スラリＳを収容する貯
溜タンク３から供給管４を通じて所定圧で成形型１に注
入する圧送手段８を備え、融点が常温よりも高い物質を
分散媒としたセラミックス材スラリＳを、該分散媒の融
点よりも高温に保持する加温手段２ａ，２ｂ，２ｃを、
上記成形型１、貯留タンク３及び供給管４に設ける構成
とする。

【００１１】またこの場合、上記成形型１の材質をＳｉ
₃Ｎ₄−ＢＮ複合セラミックスで構成することも望まし
い。

【００１２】

【作用】上記の構成によれば、融点が常温よりも高い物
質を分散媒とするセラミックス材スラリの流動性を該融
点以上の温度に保持しながら成形型に注入し、該分散媒
が冷却・固化することによって脱型後の常温下での成形
体に所定の強度を付与する。

【００１３】また、この場合、上記分散媒として５０〜
１５０℃の融点をもつ物質を採用することで、ごく低い
温度で加温するだけで、成形型へ注入できる程度の流動
性をセラミックス材スラリに付与することができ、また
脱型後も速やかに該分散媒が固化することになる。

【００１４】さらにこの場合、上記成形型の内表面より
高圧で気体を噴出させることにより、該気体の圧力によ
って型内表面から成形体を離隔させるとともに、該高圧
気体で型内表面に付着したセラミックス材スラリの残滓
を除去する。

【００１５】この方法に供される装置においては、上記
成形型の材質をＳｉ₃Ｎ₄−ＢＮ複合セラミックスで構
成し、加温された状態で高圧で供給されるセラミックス
材スラリに対する耐久性を確保する。

【００１６】

【実施例】以下、本発明に係る一実施例を図面をもとに
説明する。図１は本発明に係る一実施例の概念図を示
し、図２はその要部構成図である。

【００１７】この実施例に係るセラミックス材スラリＳ
は、融点が約１００℃程度のパラフィン系の有機物質を
分散媒として使用し、該分散媒の融点よりもセラミック
ス材スラリＳを高温に保持しながら成形型への注入が行
われる。

【００１８】本発明に係る方法を適用する成形装置は、
例えば図１に示すように、上記セラミックス材スラリＳ
を収容する貯溜タンク３から供給管４を通じて所定圧で
成形型１に注入する圧送手段８を備えるとともに、貯留
タンク３、供給管４、及び成形型１に、例えば電熱ヒー
タよりなる加温手段２ａ，２ｂ，２ｃをそれぞれ設けて
いる。すなわち、この加温手段２ａは貯溜タンク３の側
壁内及び底壁内に埋設され、加温手段２ｂは上記供給管
４の周面をほぼ全長にわたって囲むように配設され、加
温手段２ｃは上記成形型１に埋設されている。

【００１９】また、上記圧送手段８は外部のコンプレッ
サ８１と、該コンプレッサ８１と貯溜タンク３の上部気
相部とを接続する管８２とよりなり、また供給管４は貯
溜タンク３の底部より導出され、途中バルブ７及び増圧
装置５を介在させて成形型１に接続している。

【００２０】また本実施例においては、成形型１はとも
にＳｉ₃Ｎ₄−ＢＮ複合セラミックスで構成された上型
１ａと下型１ｂとを昇降手段１１で分離可能に構成する
とともに、高圧気体を脱型及び型洗浄に利用するため
に、上型１ａと下型１ｂの各々に接続された通気管６
ａ，６ｂ及び該成形型１の型内導管１２ａ，１２ｂを通
じて高圧気体を供給手段１０より供給するようにし、該
上型１ａ及び下型１ｂの組織内の微細な空孔を通じて型
内表面から上記高圧気体を噴出させるようにしている。

【００２１】この装置を用いて成形を行うには、上記加
温手段２ａ，２ｂ，２ｃによって、セラミックス材スラ
リＳの分散媒の融点以上に加温しながら、供給管４の途
中に設けられたバルブ７を開状態とし、コンプレッサ８
１を作動させて貯留タンク３の上部気相部へ圧縮空気を
供給することによりセラミックス材スラリＳを供給管４
を通じて成形型１内へ圧送するようにしている。この実
施例においては成形型１への注入圧力を２〜２００kgf/
cm²の範囲で高めることのできる増圧装置５を介在させ
ており、この場合、１００kgf/cm²程度にまで増圧して
成形型１に供給するようにしている。

【００２２】このようにしてセラミックス材スラリの注
入を数分間継続すると成形が完了する。その後、上記圧
送動作を停止し、必要に応じて成形型１から余剰のセラ
ミックス材スラリＳを排泥し、さらに貯留タンク３の上
部気相部に接続している真空吸引装置９で供給管４内に
残留しているセラミックス材スラリＳを貯留タンク３に
還流させ、バルブ７を閉状態にした後、成形型１より成
形体を脱型する。

【００２３】この脱型に際しては、まず上記供給手段１
０を作動させ、上型１ａの型内表面より高圧気体を噴出
させながら、上記昇降手段１１を作動させて上型１ａと
下型１ｂとを分離させ、次いで下型１ｂの型内表面より
高圧空気を噴出させて得られた成形体を完全に下型１ｂ
の型内表面より離隔させる。またこの脱型完了の後も、
上記供給手段１０を引き続き作動させて、高圧空気を噴
出させて型内表面に付着したセラミックス材スラリＳの
残滓を除去する型洗浄も併せて行う。

【００２４】以上のように本発明によれば、融点約１０
０℃パラフィン系有機物のような常温で凝固する物質を
分散媒としたセラミックス材スラリを使用しているの
で、脱型後の成形体の強度が従来法よりも向上し、その
後に加工が必要な場合でも短い養生時間で加工作業を行
うことができ、また分散媒は比較的低い温度で溶融する
ので、成形できたセラミックス製品に脱脂工程が２５〜
５０時間程度と従来に比べて大幅に短い時間で行うこと
が出来る。

【００２５】また、成形型１を機械的強度に優れたＳｉ
₃Ｎ₄−ＢＮ複合セラミックスを使用しているので、セ
ラミックス材スラリを従来よりも高い圧力で成形型１へ
注入できることができるので、上記養生時間の短縮とあ
いまって成形に要する時間を大幅に短縮できる。

【００２６】さらに上記実施例によれば、常温下では分
散媒が凝固してセラミックス材スラリがペレット（固
形）状となり、該セラミックス材スラリの保存・管理が
より容易になる効果がある。

【００２７】尚、上記実施例では分散媒をパラフィン系
の有機物質を使用したが、本発明はこれに限定されるわ
けではなく、任意の有機物質を使用することが可能であ
り、常温で凝固する低融点物質を適宜使用することがで
き、また成形型を所定の強度を発現する他の物質に変え
て使用することは可能である。

【００２８】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、脱型後の
成形体の機械的な強度が向上するので、例えば比較的短
い養生時間の後に次の加工を行うことができるととも
に、低温で迅速な脱脂工程が可能となる。特に分散媒の
融点を５０〜１００℃程度の比較的低温に設定すること
によりセラミックス材スラリの流動性を容易に確保する
ことができるとともに、脱脂工程に要する時間を短縮す
ることができる。

【００２９】また、成形型の強度を高めることができ、
従来法よりも高圧でセラミックス材スラリを成形型へ注
入することができるので、脱型までの時間を短縮できる
効果がある。

【００３０】さらに成形型の内表面より高圧気体を噴出
させることにより脱型が容易となるとともに、型洗浄も
併せて行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の構成の概念図である。

【図２】本発明による成形型の要部構成図である。

【符号の説明】

１成形型２ａ，２ｂ，２ｃ加温手段３貯留タンク４供給管８圧送手段Ｓセラミックス材スラリ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者新谷宏隆赤穂市中広字東沖1576番地の２川崎炉材株式会社内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】所定圧でセラミックス材スラリ(S) を成
形型(1) に注入するセラミックス製品の成形方法におい
て、融点が常温よりも高い物質を分散媒としたセラミックス
材スラリ(S) を、該分散媒の融点よりも高温に保持しな
がら成形型へ供給することを特徴とするセラミックス製
品の成形方法。
【請求項２】上記分散媒の融点を５０〜１５０℃とし
たことを特徴とする請求項１に記載のセラミックス製品
の成形方法。
【請求項３】脱型、及び型洗浄を上記成形型(1) の型
内表面から噴出する高圧の気体で行う請求項１に記載の
セラミックス製品の成形方法。
【請求項４】セラミックス材スラリ(S) を収容する貯
溜タンク(3) から供給管(4) を通じて、所定圧で成形型
(1) に注入する圧送手段(8) を備えるセラミックス製品
の成形装置において、融点が常温よりも高い物質を分散媒としたセラミックス
材スラリ(S) を、該分散媒の融点よりも高温に保持する
加温手段(2a),(2b),(2c)を、上記成形型(1) 、貯留タン
ク(3) 及び供給管(4)に設けたことを特徴とするセラミ
ックス製品の成形装置。
【請求項５】上記成形型(1) をＳｉ₃Ｎ₄−ＢＮ複合
セラミックスで構成した請求項４に記載のセラミックス
製品の成形装置。