JPH0584690A - 真空チヤンバ用産業ロボツト装置 - Google Patents

真空チヤンバ用産業ロボツト装置

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JPH0584690A
JPH0584690A JP3246053A JP24605391A JPH0584690A JP H0584690 A JPH0584690 A JP H0584690A JP 3246053 A JP3246053 A JP 3246053A JP 24605391 A JP24605391 A JP 24605391A JP H0584690 A JPH0584690 A JP H0584690A
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裕敏 山本
Katsuhiko Nakamura
勝彦 中村
Yutaka Yamamoto
裕 山本
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Abstract

(57)【要約】 【目的】産業用ロボットの内外の圧力差を所定状態に制
御することにより、常圧下で用いられる気密シールのよ
うに耐圧性の低い小形シールの適用を可能とし、真空チ
ャンバ内で作業を行う産業用ロボットの小形化を実現す
る。 【構成】真空チャンバC内に設置された産業用ロボット
Rは複数の軸系を有し、該各軸系は互いに通気自在に連
通され、各回転軸に装着した気密シールで封止されてい
る。上記産業用ロボットRには、冷却気体を供給する送
気装置31が接続されると共に、冷却気体を排気するロ
ボット用真空装置32が接続され、上記真空チャンバC
には、該真空チャンバC内の気体を排気するチャンバ用
真空装置40が接続されている。更に、送気装置31の
吐出側には、上記産業用ロボットRの内部圧力と真空チ
ャンバC内の圧力との差圧を予め設定された所定差圧に
保持するように供給圧力を調節する差圧制御用弁35が
介設されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、真空チャンバ内に設
置されて作業を行う産業用ロボットを備えた真空チャン
バ用産業ロボット装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、装置全体を真空チャンバ内に設
置した状態で作業を行う自動装置は、例えば、実開昭6
2−158757号公報や、実開平1−153638号
公報等に開示されて公知である。この種の自動装置は、
扱い得るワーク重量に限度があり、動作範囲が狭いな
ど、適用対象が軽作業に限られ、単純作業しか行えな
い。一方、例えば磁気ディスクや液晶パネルディスプレ
イの製造過程において、真空チャンバ内におけるワーク
の取扱いや処理を、より自由に、軽量でないワークで
も、能率よく、高い作業精度の下に行えるようにするこ
とが要請されつつあり、こうした要請に応えるために、
産業用ロボットの導入が検討されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そこで、真空チャンバ
内に産業用ロボットを設置することが考えられるが、そ
の場合には、内部に組み込まれたモータ等から発生する
熱の除去や、潤滑剤の蒸発などが問題となる。真空環境
下では、主として輻射作用によって放熱が行われるた
め、発生した熱を大気中のように十分に除去できなくな
ることに加え、通常の潤滑用オイルやグリースはすぐに
蒸発、消散してしまうからである。因みに放熱が不十分
であると、コイルの焼損や局所的な温度上昇による作動
不良等の重大な故障を生じやすい。
【0004】また一方、上記の問題点を解消するため
に、産業用ロボットの内部に空気などの冷却気体を導入
し、通常環境と同じように発熱体に冷却気体を接触さ
せ、その伝導作用及び対流作用によって放熱することが
考えられる。こうした場合、産業用ロボットの各軸系ご
とに気密用のシールを設け、冷却気体が真空チャンバ内
へ流出するのを防ぐことになる。技術的には、上記気密
シールとして耐圧度の高い真空シールを用いるのが簡潔
である。
【0005】しかし、真空シールは常圧下で用いられる
気密シールに比べて摩擦抵抗が大きく、シール構造自体
も複雑であるためロボット自体が大形化する。常圧下で
用いられる気密シールをそのまま適用できればよいが、
耐圧度が低いため容易にシール破壊を生じる。
【0006】この発明は、斯かる点に鑑みてなされたも
ので、産業用ロボットの内外の圧力差を所定状態に制御
することにより、耐圧性が低い小形低摩擦の気密シール
の適用を可能とし、真空チャンバ内で作業を行う産業用
ロボットの小形化を実現することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明が講じた手段は、真空チャンバ内に設置さ
れて作業を行う産業用ロボットは複数の軸系を有し、該
各軸系が回転軸を介して接続された多関節ロボットから
なること、上記各軸系は互いに通気自在に連通され、各
回転軸に装着した常圧用の気密シールで封止されている
こと、上記産業用ロボットには、冷却気体を供給する送
気装置が接続され、冷却気体を排気するロボット用真空
装置が接続され、上記真空チャンバには、該真空チャン
バ内の気体を排気するチャンバ用真空装置が接続されて
いること、上記送気装置の吐出側に、上記産業用ロボッ
トの内部圧力と上記真空チャンバ内の圧力との差圧を予
め設定された所定差圧に保持するよう送気装置からの供
給圧力を調節する差圧制御用弁が設けられていることを
要件とする。
【0008】上記所定差圧は、例えば、0.1〜0.2
atm の範囲に設定する。これは以下の理由による。ま
ず、下限値の0.1atm については、これ以下の圧力状
態では冷却気体による放熱作用が不十分となり、発熱部
品が過熱状態に陥るからである。一方、上限値について
は、適用する気密シールの耐圧性能で決まる。例えば、
0.2atm の耐圧で設計された気密シールを用いる場
合、差圧が0.2atm を越えるとシール破壊を生じ、且
つ産業用ロボット自体が破損するおそれがあり、軸部の
封止が困難となるからである。
【0009】ここで、低耐圧用の気密シールとは、常圧
下で軸封に用いられる通常形態の気密シールを意味し、
オイルシールや磁性流体シール等を含むこととする。
【0010】差圧制御用弁は、産業用ロボットの内部圧
力と真空チャンバ内の圧力との差圧からその開度を制御
し、送気装置から供給する冷却気体の圧力すなわち流入
速度を制御して実現している。
【0011】
【作用】上記の構成により、本発明では、作動状態にお
いて、産業用ロボットの内部へは、送気装置によって空
気やヘリウムなどの冷却気体が送給されており、この冷
却気体によって発熱部品で生じた熱を奪っている。熱交
換を終えた冷却気体はロボット用真空装置によって回収
される。このとき、産業用ロボット内外の差圧は、例え
ば、0.1〜0.2atm に維持されるので、低耐圧用の
気密シールを用いているにも拘らず各回転軸の封止を、
高耐圧用の気密シールと同様に確実に行うことができ
る。このように、低耐圧用の気密シールを用いるシール
形態では、高耐圧用の気密シールに比べて回転軸の摩擦
抵抗を小さくでき、しかもシール構造を小型化できる。
産業用ロボットを、各軸系が回転軸を介して接続された
多関節ロボットで構成することも、各軸系の接続部にお
けるシール構造を簡素化することに役立っている。封止
対象のすべてが回転軸となるので、オイルシールや磁性
流体シール等の小形の気密シールで軸封を行えるからで
ある。
【0012】
【発明の効果】従って、本発明によれば、産業用ロボッ
トを各軸系が回転軸を介して接続された多関節ロボット
として構成し、その内部に送気装置により冷却気体を導
入してモータなどの発熱部品の冷却を行うについて、送
気装置の吐出側に差圧制御弁を設け、産業用ロボット内
外の差圧を所定状態に維持して、各回転軸の気密シール
に作用する圧力負荷を緩和できるようにしている。この
ため、各回転軸を低耐圧用の気密シールで、高耐圧用の
気密シールを用いたのと同様に確実に封止することが可
能となり、高耐圧用の気密シールを用いる場合に比べ
て、回転軸が受ける摩擦抵抗を軽減し、併せてシール構
造を小形化でき、全体として真空チャンバ内で使用され
る産業用ロボットの小形化を実現できることとなった。
【0013】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細
に説明する。
【0014】図1乃至図5に示すように、真空チャンバ
用産業ロボット装置は、真空チャンバC内に産業用ロボ
ットRが収納されて構成されており、図2にその産業用
ロボットRの外観を示している。該産業用ロボットRは
第1〜第6軸系1〜6を有し、各軸系1〜6のそれぞれ
が回転軸を介して接続された多関節ロボットであり、各
軸系1〜6はそれぞれ矢印で示すように回転できる。
尚、第6軸系6はワークを捕捉するロボットハンドであ
る。各軸系1〜6を接続する回転軸のうち、第1〜第4
軸系1〜4の回転軸は、図3及び図4に示すようにオイ
ルシール7を封止要素とする気密シール8Aでそれぞれ
封止されており、残りの軸系5,6の回転軸は図5に示
すように磁性流体シールからなる気密シール8Bでそれ
ぞれ封止されている。
【0015】図3において、上記第2軸系2は第1軸系
1に対してクロスローラベアリング10とハーモニック
減速機11を介して回転駆動可能に支持されており、そ
の回転軸12Aと第1軸系1のケース端壁13との間が
気密シール8Aで封止されている。ハーモニック減速機
11は、図外のモータの動力を伝動ギヤ14を介して受
け継ぎ、その回転数を減速して出力する。減速された動
力は筒構造の受動体15を介して回転軸12Aへ伝わ
る。第1軸系1と第2軸系2とは、減速軸11aを縦通
する通路16を介して連通されている。他の軸系同士も
同様に接続されている。
【0016】図4において、気密シール8Aはケース端
壁13に圧入された2個のオイルシール7,7と、これ
ら両シール7,7の間に充填された真空グリース17と
からなり、外側のオイルシール7はリップ部7aが外部
空間の側に位置し、内側のオイルシール7はリップ部7
aがケース端壁13の内部空間の側に位置する状態で、
それぞれ装着する。外側のオイルシール7はケース端壁
13に固定したリング18で抜止め支持されている。1
9はシールばねである。
【0017】図5において、第6軸系6は第5軸系5に
対してクロスローラベアリング21とハーモニック減速
機22を介して回転駆動可能に支持されており、その回
転軸12Bと第5軸系5のケース端壁23との間が気密
シール8Bで封止されている。ハーモニック減速機22
は、前述の駆動機構と同様に調整された動力を駆動軸2
4を介して受け継ぎ、減速後の動力をクロスローラベア
リング21のインナレースを兼ねる受動体25を介して
回転軸12Bへ出力する。ここでも両軸系5,6は、ハ
ーモニック減速機22及び駆動軸24を縦通する連通管
26を介して通気自在に連通されている。以上の接続機
構は第4軸系4と第5軸系5との間にも採用されてい
る。
【0018】先に述べたように、上記接続部に設けられ
る気密シール8Bは磁性流体シールからなる。これはリ
ング状のマグネット27の両側に強磁性体からなる保持
板28,28を固定し、保持板28,28と回転軸12
Bとの間に磁性流体29を介在させたものである。磁性
流体シールを用いるのは、オイルシールを封止要素とす
る場合に比べて、シール構造の小形化を実現し、駆動系
に対する負荷を軽減できるからである。第1〜第4軸系
1〜4ではモータ出力に十分な余裕があるのでこうした
配慮は不要である。
【0019】図1に示すように、上記の産業用ロボット
Rは、真空チャンバC内の床面に設置される。産業用ロ
ボットRの内部には、モータなどの発熱部品が多数個収
容されている。これらの発熱部品の冷却を行うために、
冷却気体を供給する送気装置31(単なるガスボンベを
含む。)を設け、さらに冷却気体を強制排気するロボッ
ト用真空装置32を設けている。上記両装置31,32
は産業用ロボットRの内部に接続するが、送気装置31
は第1軸系1に、ロボット用真空装置32は第6軸系6
に接続する。産業用ロボットRの内部において、冷却気
体を万遍なく循環させるためである。
【0020】また、上記以外に、第1軸系1の内部空間
と連通する状態で、開閉弁37とフィルタ38とを設
け、さらに圧力計39で内部圧力を監視できるようにし
ている。また、真空チャンバCはこれ専用のチャンバ用
真空装置40で排気され、その内部圧力は圧力計42に
より監視されている。
【0021】ここで、送気装置31の吐出側には、差圧
制御用弁として機能する電−空レギュレータ35が介設
されており、該電−空レギュレータ35は、電気信号を
圧力信号に変換するものであって、その特性は、図6に
示すように、常に出力信号が入力信号に比例するリニア
リティを有する。そして、上記電−空レギュレータ35
は、コントローラMに接続されていて、該コントローラ
Mにより、以下のように制御するようになされている。
【0022】すなわち、上記圧力計39,42からの圧
力信号を受けると、両者の圧力差と目標圧力差(例えば
0.15atm )とのずれΔSを演算する。そして、この
ずれΔSが「0」の時に、実験で求められた最適供給圧
力(図6のPo)を出力するよう入力電気信号の基準点
(図6のVo)を決定し、ずれΔSが正値の時つまり圧
力差が目標圧力よりも大きいときにはVo以下の電気信
号を、ずれΔSが負値のときにはVo以上の電気信号を
コントローラMから電−空レギュレータ35に差圧信号
として出力する。この差圧信号に応じて、電−空レギュ
レー35から上記図6の特性に従った圧力が供給され
る。この電−空レギュレータ35の圧力調節により、産
業用ロボットR内と真空チャンバC内との差圧を予め設
定された所定値に保持しており、例えば、0.1〜0.
2atm の範囲に保持している。この産業用ロボットR内
外の差圧を0.1atm 程度より小さくすると、産業用ロ
ボットR内の冷却気体が稀薄になり、この冷却気体が稀
薄になると、発熱部品の放熱量が低下し、徐々に過熱状
態に陥ることになり、これを避ける必要から設定されて
いる。また、差圧を0.2atm 程度より大きくすると、
シール破壊を生じ、且つ産業用ロボットR自体が破損す
るおそれがあり、常圧型の気密シール8A,8B等では
軸部の封止が困難となるからである。
【0023】なお、稼動時に産業用ロボットRの内部圧
力が異常に上昇すると、各気密シール8A,8Bにおい
てシール破壊を生じ、その補修のために周辺の構造体を
分解する必要が生じる。こうした手間を省くために、第
1軸系の外部壁に内部空間と真空チャンバCとを連通す
る開口を設け、これを破裂板43で気密状に閉塞してい
る。破裂板43は、産業用ロボットRの内外差圧が0.
2atmを越えるとその隔壁が破れて内部圧力を解放す
る。
【0024】次に上記各機器の動作手順を説明する。
【0025】まず、各真空装置32,40を起動し、真
空チャンバC内部及び産業用ロボットR内の排気を行
う。このとき産業用ロボットR内外で圧力差が生じるこ
とを防ぐために開閉弁37を開状態にし、産業用ロボッ
トRの内部空間を真空チャンバCと連通させておく。真
空チャンバC内の圧力が所定状態(10-3Torr)に
まで降下したら、開閉弁37を閉じ産業用ロボットRの
内部空間を真空チャンバCから遮断する。この状態で送
気装置31を作動させ、その供給圧力を上述のように調
節しながらヘリウムや清浄で乾燥した空気などの冷却気
体を供給し、冷却気体を第1軸系1から第6軸系6へと
流動させる。ロボット用真空装置32は引続き稼動させ
ておく。
【0026】従って、送気装置31からの供給圧力がロ
ボットR内と真空チャンバC内の差圧を所定圧力に維持
するよう調節されるので(上記実施例では、内外圧力差
を0.1〜0.2atm の範囲内)、各回転軸の気密シー
ルに作用する圧力負荷が緩和され、低圧用の気密シール
の使用による小形化を図ることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の内容を示す原理説明図である。
【図2】産業用ロボットの側面図である。
【図3】第1軸系と第2軸系の接続部の断面図である。
【図4】図3におけるシール構造の詳細を示す断面図で
ある。
【図5】第5軸系と第6軸系の接続部の断面図である。
【図6】電−空レギュレータの入出力特性図である。
【符号の説明】
1 第1軸系 2 第2軸系 3 第3軸系 4 第4軸系 5 第5軸系 6 第6軸系 8A,8B 気密シール 12A,12B 回転軸 31 送気装置 32 ロボット用真空装置 35 電−空レギュレータ(差圧制御用弁) 40 チャンバ用真空装置 R 産業用ロボット C 真空チャンバ M コントローラ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空チャンバ内に設置されて作業を行う
    産業用ロボットを備えた真空チャンバ用産業ロボット装
    置であって、 上記産業用ロボットは複数の軸系を有し、各軸系が回転
    軸を介して接続された多関節ロボットで構成され、 上記各軸系は互いに通気自在に連通され、各回転軸に装
    着した気密シールで封止されており、 上記産業用ロボットには、冷却気体を供給する送気装置
    が接続されると共に、冷却気体を排気するロボット用真
    空装置が接続され、上記真空チャンバには、該真空チャ
    ンバ内の気体を排気するチャンバ用真空装置が接続され
    る一方、 上記送気装置の吐出側配管に、上記産業用ロボットの内
    部圧力と真空チャンバ内の圧力との差圧を予め設定され
    た所定差圧に保持するよう送気装置からの供給圧力を調
    節する差圧制御用弁が設けられていることを特徴とする
    真空チャンバ用産業ロボット装置。
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