JPH0584254B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は車両用シート位置制御装置に係り、特
に、車両のシート位置を運転者の体に合つた最適
な位置に移動させるに好適な車両用シート位置制
御装置に関する。

〔従来の技術〕 自動車などの車両用シートの位置は運転者の体
などによつて最適位置が異なるため、シートは通
常スライド可能に構成されている。ところが、シ
ートを最適なシート位置にセツトしても、他の乗
員が乗車するときにはふたたびシートをスライド
させる必要がある場合がある。そこで、特開昭54
−102734号公報に記載されているように、運転者
に適するシートの位置を予め記憶し、運転者が運
転する際にシート位置などのデータが記憶された
記憶ユニツトの選択スイツチを操作するとともに
駆動スイツチを投入することによつて運転者に適
したシート位置にすることができる装置が提案さ
れている。

しかしながら、シート位置を乗員の最適な位置
にセツトしても、乗降する際シートが最適位置に
セツトされたままでは、シートとステアリングと
の間の空間が狭く、乗り降りがしにくいとく不具
合が生じた。そこで、実開昭57−189942号公報に
記載されているように、ドアが開らかれたときに
シートを後方へスライドさせ乗降時にシートとス
テアリングとの間を広くするようにしたものが提
案された。

〔発明が解決しようとする課題〕

しかしながら、乗員が車を止めてドアを開いて
からシートを後方へスライドさせる構成では、ド
アが開いてからシートが後方へスライドするまで
乗員が待たされるため、乗降動作を即座に行うこ
とができない。

また、特開昭54−102734号公報に記載されてい
るように、複数の乗員の最適なシート位置を予め
記憶しておき、これらの乗員に対してシートを最
適なシート位置にするものが提案されているが、
このような装置では、他の乗員が乗車したときに
はシートを最適なシート位置にすることはできな
い。一方、特開昭57−134349号公報及び特開昭58
−206427号公報に記載されているように、個人の
身体情報を基にシートの位置を制御すれば、他の
乗員が乗車したときでもシートを乗員の最適なシ
ート位置にすることはできるが、これらの構成を
採用しても、乗降時のシート位置について配慮さ
れておらず、乗降動作を即座に行うことができな
い。

本発明の目的は、各乗員の体にあつた最適な位
置にシートをスライドさせることができるととも
にシートを乗降動作に支障のない位置に即座に移
動させることができる車両用シート位置制御装置
を提供することにある。

〔課題を解決するための手段〕

前記目的を達成するために、本発明は、個人の
身体情報が記入されているカードの情報を読み取
るカード読み取り装置と、操作に応じカード読み
取り装置のイジエクト機構にカードの取り出しを
指令するイジエクトスイツチと、エンジンの回転
の有無を検出する回転センサと、シートの位置を
検出するシート位置センサと、シートを指定の位
置までスライドさせるアクチユエータと、カード
読み取り装置により読み取られたカード情報を基
に個人のシート位置として最適なシート位置を算
出し、算出したシート位置とシート位置センサの
検出出力によるシート位置とが異なるときにはア
クチユエータに作動指令を与えてシートを最適な
シート位置までスライドさせる制御回路と、を含
み、制御回路は、イジエクトスイツチと回転セン
サの出力を監視し、イジエクトスイツチの作動と
エンジンの停止状態とが共に検出されたとき、シ
ートを最後端の位置まで移動させる作動指令をア
クチユエータへ与えることを特徴とする車両用シ
ート位置制御装置を構成したものである。

〔作用〕

個人の身体情報が記入されたカードをカード読
み取り装置に挿入しカード情報が読み取られる
と、制御回路においてカード情報を基に個人のシ
ート位置として最適なシート位置を算出し、算出
したシート位置と位置センサの検出出力によるシ
ート位置とが異なるときにはアクチユエータに作
動指令を与えてシートを最適な位置までスライド
させる。このあと制御回路は、イジエクトスイツ
チと回転センサの出力を監視し、イジエクトスイ
ツチの作動とエンジンの停止状態とが共に検出さ
れたとき、シートを最後端の位置まで移動させる
作動指令をアクチユエータへ与えシートを最後端
の位置までスライドさせる。

〔実施例〕

以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて
説明する。第１図には、本発明の好適な実施例の
構成が示されている。

本実施例における装置は、第１図に示されるよ
うに、乗員各個人の身長などの身体情報が記入さ
れたカード１０の情報を読み取るカード読み取り
装置１２と、カード読み取り装置１２のイジエク
トボタン１４の作動に連動して接点を閉じるイジ
エクトスイツチ１６と、エンジンの回転の有無を
検出する回転センサ１８と、シート２０の位置を
検出するシート位置センサ２２と、シート２０の
リクライニング位置を検出するリクライニング位
置センサ２４、シート２０を指定の位置までスラ
イドさせるアクチユエータ２６、シート２０のリ
クライニングを指定の位置まで移動させるアクチ
ユエータ２８、カード読み取り装置１２により読
み取られたカード情報を基に個人のシート位置と
して最適なシート位置を算出し、算出したシート
位置とシート位置センサの検出出力によるシート
位置とが異なるときにはアクチユエータ２６に作
動指令を与えてシート２０を最適な位置までスラ
イドさせる制御回路３０などから構成されてい
る。

カード読み取り装置１２は、第２図に示される
ように、複数の磁気センサ３２ａからなる磁気セ
ンサアレイ３２と、カードスイツチ３４を内蔵
し、カード挿入口３６から挿入されたカード１０
の磁気テープ３８に着磁された身体情報を読み取
り、読み取つた情報を信号ライン１００を介して
制御回路３０へ出力するように構成されている。
またカード１０が挿入されたときにはカードスイ
ツチ３４の接点が閉じ、信号ライン１０２を介し
て制御回路３０に、カード１０が挿着されたこと
を示す信号が出力される。またイジエクトボタン
１４が操作されるとカード読み取り装置１２内の
イジエクト機構によつてカード１０が挿入口３６
から外部に送り出されると共にイジエクトスイツ
チ１６の接点が閉じる。イジエクトスイツチ１６
の接点が閉じるとＳ−Ｒ型フリツプフロツプ４０
のＳ端子がバツテリ４２に接続され、フリツプフ
ロツプ４０のセツト信号が信号ライン１０４を介
して制御回路３０へ出力される。フリツプフロツ
プ４０のリセツト端子Ｒは信号ライン１０６を介
して制御回路３０に接続されている。信号ライン
１０２，１０４はオアゲート４６を介してリレー
４８に接続されており、信号ライン１０６はＳ−
Ｒフリツプフロツプ５０を介してリレー５２に接
続されている。なお信号ライン１０６はフリツプ
フロツプ５０のセツト端子Ｓに接続され、オアゲ
ート４６の出力はリセツト端子Ｒに接続されてい
る。

制御回路３０はCPU，ROM，RAMなどを有
するマイクロコンピユータで構成されており、リ
レー４８が作動したときバツテリ５４からの電力
の供給を受けて作動するように構成されている。
すなわち、カードスイツチ３４がONとなつたと
き、またはイジエクトスイツチ１６がONとなり
オアゲート４６の出力がハイレベルになつてリレ
ー４８が作動したときバツテリ５４からの電力が
供給される。一方、制御回路３０から信号ライン
１０６にハイレベルの信号が出力されフリツプフ
ロツプ４０がリセツトされるとともにフリツプフ
ロツプ５０がセツトされるとリレー５２が作動
し、制御回路３０は電力を供給する電源ライン１
０８が遮断される。制御回路３０に電源が供給さ
れると信号ライン１００から供給されるカード情
報、リクライニング位置センサ２４、シート位置
センサ２２、回転センサ１８の各出力信号に基づ
いた各種の演算が行われる。カード情報に基づい
てシート２０の最適位置を算出するに際しては、
個人の足の長さに対する最適シート位置が算出さ
れる。すなわち、身体情報としては足の長さ、腕
の長さ、身長などの項目があるが、最適なシート
位置は車両のクラツチ、ブレーキ、アクセルの相
対距離、すなわち足の長さによるところが多いと
ころから、足の長さに基づいたシート位置の算出
が行われる。この最適シート位置Ｓは次の(1)式に
よつて表わされる。

Ｓ＝f1（Ｌ） ……(1) ここに、Ｓはシートの最前位置からの距離を示
し、Ｌは足の長さを示す。

また、シートバツクの角度、すなわちリクライ
ニング位置は、第３図に示されるように、ステア
リング６０とシート２０との距離、すなわち腕の
長さが大きな要素となるところから、腕の長さＡ
とし、リクライニング位置（角度）θは次式によ
つて求められる。

Ａ＝ａ＋Ｓ−ｃ＋bθ ……(2) したがつてθ＝１／ｂ（k₁Ａ−ａ−Ｓ＋ｃ） ……(3) ここに、ａはシート２０の長さ、ｂはシート２
０の高さ、ｃはシート２０の最前位置からステア
リング６０の中心から下した垂線との距離を示
し、k₁は定数を示す。

上記(1)〜(3)に基づいて最適シート位置、最適リ
クライニング位置の算出が行われるが、一般に、
各個人は自分の身長は知つているが、足の長さや
腕の長さを知らない場合が多いところから、身長
に対する足の長さと腕の長さの各平均値を予めセ
ツトしておき、身体情報として身長の情報から各
個人の足の長さ、腕の長さ算出することもできる
ようにしている。そして、制御回路３０におい
て、最適シート位置と最適リクライニング位置が
算出されると、この算出値に従つた作動指令がア
クチユエータ２６，２８に与えられアクチユエー
タ２６，２８の作動によつてシート２０が最適シ
ート位置にまたシート２０のリクライニング位置
が最適リクライニング位置にセツトされる。

アクチユエータ２６は、第４図に示されるよう
にモータ６２などで構成されており、モータ６２
が回転すると、その回転力がウオームギア６４お
よびトルクケーブル６６を介してウオームギア６
８に伝達される。ウオームギア６４，６８はロア
レール７０，７２に固定されており、アツパアレ
ール７４，７６に固定されているスクリユ７８，
８０に噛み合つているため、モータ６２が回転す
るとモータ６２の回転方向に応じてシート２０が
アツパアレール７４，７６上を前後方向に移動す
る。

一方、アクチユエータ２８はモータ８２等で構
成されており、モータ８２が回転駆動すると、こ
の回転力がウオームギア８４に伝達される。この
結果ウオームギア８４がモータ８２とともに前後
に移動し、バーチカルロツド８６を回転駆動す
る。この結果シート２０前端に固定されたブラケ
ツト８８にリンク９０によつて上下に動かされる
ため、シート２０の前端が後部のヒンジ点９２を
中心として上下に回動する。

本実施例は以上の構成からなり、次にその作用
を第５図および第６図のフローチヤートに基づい
て説明する。

まず、カード１０がカード挿入口３６からカー
ド読み取り装置１２内に挿入され、カードスイツ
チ３４がオンとなり制御回路３０にバツテリ４２
からの電力が供給されると、カード読み取り装置
１２で読み取られたカード１０の情報が信号ライ
ン１０２を介して制御回路３０に供給される（ス
テツプ200）。このカード情報が制御回路３０に供
給されるとカード１０に足の長さのデータがある
か否かの判定が行われる（ステツプ202）。このス
テツプでNOと判定されたときにはステツプ204
に移り身長データからカード１０を挿入した乗員
の足の長さの算出が行われる。一方、ステツプ
202でYESと判定されたときには、カード１０に
記憶された乗員の足の長さのデータを基に最適シ
ート位置の算出が行われる（ステツプ206）。

ステツプ204，206において乗員の最適シート位
置の算出が行われるとステツプ208に移り、腕の
長さのデータがあるか否かの判定が行われる。こ
のステツプでNOと判定されたときにはステツプ
210に移り、身長データを基に腕の長さを算出し、
乗員の最適リクライニング位置の算出が行われ
る。一方、ステツプ208でYESと判定されたとき
には、腕の長さのデータを基に乗員の最適リクラ
イニング位置の算出が行われる（ステツプ212）。

ステツプ210，212のあとはステツプ214に移り、
シート位置センサ２２の出力信号を取り込みステ
ツプ216の処理に移る。ステツプ216においては、
シート位置センサ２２の検出出力によるシート位
置と、ステツプ204またはステツプ206で算出され
た最適シート位置との比較演算を行い、これらの
偏差（絶対値）が所定値A1よりも小さいか否か
の判定を行う。このステツプでNOと判定された
ときにはステツプ218に移り、アクチユエータ２
６に作動指定を与えてシート２０をスライドさせ
る。一方ステツプ216でYESと判定されたときに
はステツプ220に移りアクチユエータ２６の作動
を停止させステツプ222の処理に移る。

ステツプ222においては、リクライニング位置
センサ２４の出力信号を取り込みステツプ224の
処理に移る。ステツプ224においては、リクライ
ニング位置センサ２４の検出出力によるリクライ
ニング位置と、ステツプ210または212で算出され
た最適リクライニング位置との偏差を求めるとと
もに、この偏差値（絶対値）が所定値A2よりも
小さいか否かの判定を行う。そしてこのステツプ
でNOと判定されたときにはステツプ226に移り
アクチユエータ２８へ作動指令を与えてシート２
０をリクライニング移動させる。一方、ステツプ
224でYESと判定されたときにはステツプ228に
移りアクチユエータ２８の作動を停止し、このル
ーチンでの処理をすべて終了する。

次に、第５図に示されるシート位置およびリク
ライニング位置の制御が行われたあとは、第６図
に示される処理が行われる。この処理において
は、まずイジエクトスイツチ１６がONか否かの
判定が行われる（ステツプ300）。そしてこのステ
ツプでNOと判定されたとき、すなわち、イジエ
クトスイツチ１６がOFFのときにはステツプ302
に移り、信号ライン１０６へハイレベルの信号を
出力する。この信号により、フリツプフロツプ４
０をリセツトするとともにフリツプフロツプ５０
をセツトし、イジエクトスイツチ１６がONとな
つたときの情報を消去する処理が行われるととも
に制御回路３０への電力の供給を停止する処理が
行われる。

一方、ステツプ300でYESと判定されたときに
はステツプ304に移り、回転センサ１８の検出出
力によりエンジンが回転しているか否かの判定が
行われる。このステツプでYES、すなわち、エ
ンジンが回転していることが検出さたときにはス
テツプ302に移り、前述した処理が行われる。一
方、このステツプでNOと判定されたときにはス
テツプ306に移りシート位置センサ２２の検出出
力の取り込みが行われるステツプ308の処理に移
る。

ステツプ308においては、シート位置センサ２
２の検出出力を基に、現在のシート位置が最後端
か否かの判定が行われ、YESと判定されたとき
にはステツプ310に移り、アクチユエータ２６の
作動を停止するとともにステツプ302の処理に移
る。一方、このステツプでNOと判定されたとき
にはステツプ312に移り、アクチユエータ２６に
作動指令を与えステツプ306の処理に戻る。そし
てステツプ306，308，310，312の処理によつてシ
ート２０が最後端の位置まで移動したときにはス
テツプ302の処理によつて制御回路３０への電力
の供給が停止される。すなわち、本実施例におい
ては、イジエクトスイツチ１６がONとなつたと
きにはシート２０が最後端の位置まで即座に移動
するため、ドアを開かなくても乗降時にはシート
２０を最後端の位置まで移動させることができ
る。また本実施例においては、走行中あやまつて
イジエクトボタン１４が操作され、イジエクトス
イツチ１６がONとなつてもエンジンが停止して
ないときにはシート２０が移動しないため、安全
走行に支障をきたすことはない。

〔発明の効果〕

以上説明したように、本発明によれば、身体情
報が記録されたカードを所有している者であれ
ば、カードをカード読み取り装置へ挿入すること
によつてシートを自分の最適シート位置に調整す
ることができる。さらにイジエクトスイツチの作
動とエンジンの停止状態が共に検出されたときシ
ートを最後端の位置まで移動させるようにしたた
め、ドアを開かなくてもイジエクトスイツチが作
動するとともにエンジンが停止状態となつたとき
にはシートが最後端の位置まで移動するので、シ
ートが乗降動作に支障をきたすことなく乗員が直
ちに乗降動作を行うことができるという優れた効
果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す構成図、第２
図はカード読み取り装置１２の内部構成図、第３
図は最適リクライニング位置の算出方法を説明す
るための図、第４図はアクチユエータ２６，２８
の構成説明図、第５図は本発明に係る装置のシー
ト位置およびリクライニング位置の制御方法を説
明するためのフローチヤート、第６図は本発明に
係る装置の乗降時の作用を説明するためのフロー
チヤートである。 １０……カード、１２……カード読み取り装
置、１６……イジエクトスイツチ、１８……回転
センサ、２０……シート、２２……シート位置セ
ンサ、２４……リクライニング位置センサ、２
６，２８……アクチユエータ、３０……制御回
路、４０，５０……フリツプフロツプ、４８，５
２……リレー。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 個人の身体情報が記入されているカードの情
   報を読み取るカード読み取り装置と、操作に応じ
   カード読み取り装置のイジエクト機構にカードの
   取り出しを指令するイジエクトスイツチと、エン
   ジンの回転の有無を検出する回転センサと、シー
   トの位置を検出するシート位置センサと、シート
   を指定の位置までスライドさせるアクチユエータ
   と、カード読み取り装置により読み取られたカー
   ド情報を基に個人のシート位置として最適なシー
   ト位置を算出し、算出したシート位置とシート位
   置センサの検出出力によるシート位置とが異なる
   ときにはアクチユエータに作動指令を与えてシー
   トを最適なシート位置までスライドさせる制御回
   路と、を含み、制御回路は、イジエクトスイツチ
   と回転センサの出力を監視し、イジエクトスイツ
   チの作動とエンジンの停止状態とが共に検出され
   たとき、シートを最後端の位置まで移動させる作
   動指令をアクチユエータへ与えることを特徴とす
   る車両用シート位置制御装置。