JPH0584084A - マウス・インターロイキン−1産生プラスミド及びそれを用いたマウス・インターロイキン−1の製造法 - Google Patents

マウス・インターロイキン−1産生プラスミド及びそれを用いたマウス・インターロイキン−1の製造法

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JPH0584084A
JPH0584084A JP4454091A JP4454091A JPH0584084A JP H0584084 A JPH0584084 A JP H0584084A JP 4454091 A JP4454091 A JP 4454091A JP 4454091 A JP4454091 A JP 4454091A JP H0584084 A JPH0584084 A JP H0584084A
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mouse interleukin
interleukin
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JP4454091A
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Tomoyuki Sako
知行 左古
Saeko Sawaki
佐重子 沢木
Makoto Owaki
眞 大脇
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Yakult Honsha Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 遺伝子組換え技術を用いて、高産生能を有す
るマウス・インターロイキン−1(以下、IL−1)産
生プラスミド及びマウス・IL−1の製造法を得ること
を目的とする。 【構成】 マウス・マクロファージより得たcDNAラ
イブラリーから、マウス・IL−1をコードするcDN
A断片を挿入したクローンを選抜し、予め知られている
マウス・IL−1cDNAの塩基配列を照らし合わせ
て、欠失部位に必要な塩基配列を挿入して前駆体ポリペ
プチドを産生する発現プラスミドを作成し、不要な塩基
配列を削除して成熟体IL−1ポリペプチドを産生する
発現プラスミドを得た。また、高産生能を有するプラス
ミドを得るため、転写活性の高いtacプロモータをマ
ウス・IL−1cDNA断片の上流に備えたプラスミド
を得た。また更に、得られたプラスミドを宿主細菌に導
入して培養し、マウス・IL−1を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、遺伝子組換え技術を用
いたマウス・インターロイキン−1産生プラスミド及び
それを用いたマウス・インターロイキン−1の製造法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】インターロイキン−1(以下、IL−1
と記す)は1972年にゲリー(Gery)らによってヒト単球
培養上清中にマウス胸線細胞に対する増殖促進因子すな
わちリンパ球活性化因子(lymphocyte activating fact
or(LAF) )として見出された(Gery,I.et al.: Potentia
tion of the T-lymphocyte response to mitogens.1.th
e responding cell.J.Exp.Med.,139:128,1972)。その後
IL−1の精製が進むにつれ、LAF活性とは異なる生
物活性を持った内因性発熱因子(EP)、破骨細胞活性
因子がIL−1と同一物質であることが判った。現在で
は、IL−1は単球・マクロファージのみならず、Bリ
ンパ球、上皮細胞、ランゲルハンス細胞、内皮細胞、線
維芽細胞、滑膜細胞等からも産生され、免疫,炎症,細
胞の増殖・分化の制御等幅広く生体反応に重要な役割を
果していることが判った。
【0003】IL−1は動物種を問わず、分子量12,000
〜20,000の蛋白質であり、等電点で5.0と 7.0の2つに
分けられ、前者はα型、後者はβ型と呼ばれている。
【0004】両者間のアミノ酸配列における相同性は3
0%以下で、α,βそれぞれの型の動物種間の相同性よ
りも非常に低いが、両者は同じIL−1リセプターに結
合してその活性を発現し、機能的な相違はこれまでのと
ころ見出されていない。
【0005】ところで、細胞質内でα型,β型とも約3
0,000の分子量の前駆体として翻訳され、IL−1αは
前駆体の形で成熟体と等しいLAF活性やレセプター結
合能を有すると考えられるが、IL−1β前駆体はいず
れの活性も示さない。これらの前駆体がどのように細胞
外に放出されるかは、未だに明らかにされていないが、
最終的にアミノ末端側の約半分が切断され、分子量約1
7,000の成熟体として細胞外へ遊離し活性を発現すると
考えられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】例えばマウスの各種培
養細胞の研究分野で試験用試薬として重要なIL−1α
及びβは、従来、マウスのマクロファージの培養細胞か
ら単離抽出する方法が知られているが、微量にしか得ら
れず、高価でありかつ需要に充分応えられないという欠
点があった。
【0007】また、遺伝子組換え法による製造も試みら
れているが、産生能も低く実用的でない。
【0008】本発明は、遺伝子組換え技術を用いて、高
産生能を有するマウス・IL−1産生プラスミド及びそ
れを用いたマウス・IL−1の製造法を得ることを目的
とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本請求項1に記載の発明
に係るマウス・IL−1産生プラスミドでは、マウス・
マクロファージ由来のマウス・IL−1cDNA断片を
備えたことを特徴とするものである。
【0010】本請求項2に記載の発明に係るマウス・I
L−1産生プラスミドでは、前記マウス・IL−1cD
NA断片を成熟体又は前駆体マウス・IL−1αcDN
A断片としたものである。
【0011】本請求項3に記載の発明に係るマウス・I
L−1産生プラスミドでは、前記マウス・インターロイ
キン−1産生プラスミドが、sak(スタフィロキナー
ゼ)産生遺伝子のリボゾーム結合部位及び翻訳開始コド
ンを前記cDNA断片の上流に備えたものである。
【0012】更に、本請求項4に記載の発明に係るマウ
ス・IL−1産生プラスミドでは、前記マウス・インタ
ーロイキン−1αcDNA断片を備えたマウス・インタ
ーロイキン−1産生プラスミドが、tacプロモータを
前記sak遺伝子のリボゾーム結合部位及び翻訳開始コ
ドンとそれに続くcDNA断片の上流に備えたものであ
る。
【0013】更に詳細には、本請求項5に記載の発明に
係るマウス・IL−1産生プラスミドでは、前記マウス
・インターロイキン−1産生プラスミドが、tacプロ
モータを備えたpKK223-3の SmaI切断部位に前記sak
遺伝子のリボゾーム結合部位及び翻訳開始コドンとそれ
に続く成熟体マウス・インターロイキン−1αcDNA
断片を融合したDNA断片を挿入したマウス・IL−1
α産生プラスミドpTS2051 を開示するものである。
【0014】また、本請求項6に記載の発明に係るマウ
ス・IL−1産生プラスミドでは、前記マウス・IL−
1cDNA断片を成熟体又は前駆体IL−1βcDNA
断片としたものである。
【0015】本請求項7に記載の発明に係るマウス・I
L−1産生プラスミドでは、前記マウス・インターロイ
キン−1cDNA断片が、sak(スタフィロキナー
ゼ)遺伝子のリボゾーム結合部位及び翻訳開始コドンを
前記cDNA断片の上流に備えたものである。
【0016】更に、本請求項8に記載の発明に係るマウ
ス・IL−1産生プラスミドでは、前記マウス・インタ
ーロイキン−1βcDNA断片を備えたマウス・インタ
ーロイキン−1産生プラスミドが、tacプロモータを
前記sak遺伝子のリボゾーム結合部位及び翻訳開始コ
ドンと前記cDNA断片との上流に備えたものである。
【0017】更に詳細には、本請求項9に記載の発明に
係るマウス・IL−1産生プラスミドでは、前記マウス
・インターロイキン−1産生プラスミドがtacプロモ
ータを備えたpKK223-3の SmaI切断部位に前記sak遺
伝子のリボゾーム結合部位及び翻訳開始コドンと成熟体
マウス・インターロイキン−1βcDNA断片を融合し
たDNA断片を挿入したマウス・IL−1β産生プラス
ミドpTS2058 を開示するものである。
【0018】また、本請求項10に記載の発明に係るマ
ウス・IL−1の製造法では、前記請求項1〜9のいず
れかに記載のマウス・IL−1産生プラスミドを宿主細
菌に導入し、組み換え体を取得し、該組換体を培養し
て、該培養液又は培養菌体よりマウス・IL−1(以
下、これをrIL−1と記す)を回収する方法である。
【0019】
【作用】本発明においては、チオグリコレート投与によ
り腹腔内に浸出したマウス・マクロファージを分離し、
in vitroにおいてLC9018(Lactobacillus casei YIT901
8 の死菌)を添加して6時間培養した際に産生されるm
RNAから合成した相補鎖DNA(以下、cDNAと記
す)断片をλgt−10DNAに挿入することよりcDN
Aライブラリーを得た。
【0020】更に本発明では、得られたcDNAライブ
ラリーから合成オリゴヌクレオチドをプローブとして、
前駆体マウス・IL−1αをコードするcDNA断片を
挿入したクローンを選抜した。この前駆体マウス・IL
−1αcDNA断片をラムダファージPR プロモータと
スタフィロキナーゼ遺伝子(以下sak遺伝子)のプロ
モータ、リボゾーム結合部位、開始コドンとそのすぐ下
流にクローニング部位をもつ発現ベクターpTS566に挿入
し、予め知られているマウス・IL−1αcDNAの塩
基配列を照らし合わせて、欠失部位に必要な塩基配列を
部位特異的変異導入法により挿入してIL−1α前駆体
ポリペプチドを産生する発現プラスミドを作成し、更に
前駆体マウスIL−1αcDNA断片をPst Iにより切
断して得られるフラグメントを前記pTS566に挿入し51塩
基を部位特異的変異導入法によって削除して成熟体IL
−1αポリペプチドを産生する発現プラスミドを得た。
【0021】また更に、高産生能を有するプラスミドを
得るため、転写活性の高いtacプロモータをマウス・
IL−1αcDNA断片の上流に備えたプラスミドを得
た。このため、IPTG(イソプロピル−1−チオ−β
−D−ガラクトシド)の添加によって高い転写活性を実
現し、高生産を実現した。具体的にtacプロモータを
備えたpKK223-3の SmaI切断部位に成熟体sak遺伝子
のリボゾーム結合部位と開始コドンを持つマウス・IL
−1αcDNA断片を挿入したマウス・IL−1α産生
プラスミドpTS2051 を開示するものである。
【0022】また別の発明でも同様に、上記cDNAラ
イブラリーから、マウスIL−1βmRNAの一部に相
補的な合成オリゴヌクレオチドをプローブとして、マウ
ス・IL−1βcDNA断片を持つクローンを選抜し
た。
【0023】更に、このマウス・IL−1βcDNA断
片をpTS566に挿入し、sak遺伝子との融合部位にある
余分なアミノ酸残基をコードする配列を部位特異的変異
導入法によって削除してIL−1β前駆体ポリペプチド
をコードする発現プラスミドを得た。また同様に、得ら
れた前駆体マウス・IL−1βcDNA断片を切断し
て、成熟体IL−1βをコードする断片を分離し、これ
をpTS566に挿入した。このプラスミドから不要な塩基対
を部位特異的変異導入法によって削除して成熟体IL−
1βポリペプチドを産生する発現プラスミドを得た。
【0024】また更に、高産生能を有するプラスミドを
得るため、転写活性の高いtacプロモータをマウス・
IL−1βcDNA断片の上流に備えたプラスミドを得
た。このため、IPTGの添加によって高い転写活性を
実現し、高生産を実現した。具体的にtacプロモータ
を備えたpKK223-3の SmaI切断部位に成熟体マウス・I
L−1βcDNA断片を挿入したマウス・IL−1β産
生プラスミドpTS2058を開示するものである。
【0025】また、前記請求項1〜9のいずれかに記載
のマウス・IL−1産生プラスミドを宿主細菌に導入
し、該組み換え体細菌を培養して、該培養液又は培養菌
体よりマウス・IL−1を回収して、マウス・IL−1
を製造するため、高生産を実現できる。更に好ましく
は、組み換え体細菌を培養する際に、マウス・IL−1
βcDNA断片と同じ遺伝子上に存在するプロモータを
有効に発現させるための操作を行う。例えば、λファー
ジのPR プロモータであれば、組み換え体細胞を対数増
殖期まで培養した後に、培養温度を42℃に上昇すること
によりPR プロモーターの発現を促す手段を講じる。ま
た、tacプロモータであれば、同じく組み換え体細胞
を対数増殖期まで培養した後に、培地中にIPTGを添
加してtacプロモータの発現を促す手段を講じる。
【0026】尚、マウスIL−1α、IL−1β産生プ
ラスミドpTS2051及びpTS2058は大腸菌に
形質転換し、微工研菌寄第11930号及び11931
号として寄託済みである。
【0027】
【実施例】I.マウス・IL−1α 1.cDNAライブラリーの作製 マウス・マクロファージ(以下、Mφと記す)にLC9018
処理を行い、Mφを刺激して産生するmRNA(ポリA+
RNA)から、cDNAライブラリーを得る。
【0028】[RNAの調製]BALB/cマウス♂ 2
0 匹にチオグリコレート培地(TGC)を1ml/mouseで
腹腔内に投与し、4日後に4×108 の腹腔浸出細胞を得
た。これを、5×106/ml,10 ml/dishでまき、1時間培
養後、洗浄して、未付着細胞を除いてから、LC9018を50
μg/mlの濃度で含む培地を加えて6時間培養することに
よってMφを刺激した(LC処理)のち、MφをPBS
で3回洗浄し、2mlの4Mグアニジニウムイソチオシア
ネート混液(4Mグアニジニウムイソチオシアネート、0.
1M Tris-HCl pH7.6 、0.02M EDTA)を加えて、細胞
を溶解させた。細胞溶解液をチューブに集め、グアニジ
ニウム/ホットフェノール法(Maniatisら:Molecularcl
oning:a Laboratory Manual Cold Spring Harbor Laora
tory,1982 )によってRNAを抽出、分離した。これを
500μl の水で溶解し、RNase 阻害剤RNasinを500
ユニット/ml となるように加え、−70℃で保存した。濃
度は約6.4mg/mlであった。
【0029】[PolyA+RNAの調製]LC処理MφのR
NA 640μg を常法(Maniatis ら、先述)に従いにオリ
ゴ-dT-セルロース・カラムにかけてポリA+RNAを集め
た。但し、カラムに対する非特異的吸着を出来るだけ減
らすために、LC処理MφのRNAをカラムにかける前
に、カラムに対してtRNAもしくはrRNAを吸着用
バッファーに溶解したものを用いて、吸着及び溶出の操
作を行った後、再び吸着用バッファーで平衡化したもの
を用いた。得られたポリA+RNAの収量は、40μg で、
収率は6.25%であった。
【0030】[IL−1mRNAの検出]全RNA及
び、PolyA+RNAを1Mグリオキサール,50%ジメチル
スルホキシド、10mMリン酸Na(pH7.0)を含む溶液中で50
℃60分間インキュベートしたのち、1%アガロースによ
るアガロースゲル電気泳動にかけ、ノーザン・ブロット
法(Thomas,P,S.(1980)Proc.Natl.Acod.Sci,USA 77;520
1) によって、IL−1mRNAの存在を確認した。ポ
リA+RNA中にもIL−1mRNAが存在し、また、r
RNAの混入はわずかに認められたのみだった。
【0031】[cDNAの合成]ポリA+RNA 5μg
を用いて、アマシャム(Amersham)社のcDNA合成キ
ット付属のマニュアルに従ってcDNAを合成した。合
成したcDNAにEcoRIリンカーを結合した後、セファ
ロースCL−4B,或いは,バイオゲルA50m(100-2
00mesh) を用いてDNAのサイズによって分画した。1
kb以上の画分を集めベクターとの結合にもちいた。
【0032】[組換え体ファージ粒子の作製]EcoRI処
理したcDNAとEcoRI処理及びアルカリ性フォスファ
ターゼ処理したλgt−10DNAをT4DNAリガー
ゼで結合したのち、プロメガ・バイオテック(Promega
Biotec)社のパッケージング・システムを用いてファー
ジ粒子を作製した。cDNA断片を取り込んだファージ
粒子の数は、E.coli hflA をインジケータ・セルとした
プラーク数の測定によって計測した。結果として、4×
106 pfu の組換え体ファージが得られた。
【0033】2.IL−1遺伝子のクローニング LC処理MφcDNAライブラリーより、合成オリゴヌ
クレオチドをプローブにしてIL−1αのクローンの選
抜を行ない、前記組換え体ファージからクローンを得
て、挿入されたcDNAのサイズ、制限酵素による切断
箇所等を検討し、その中から、ロメディコ(Lomedico)ら
が報告している(Lomedico,P.A.et al.:Cloning and ex
pression of murine interleukin-1 cDNA in Escherich
ia coli.Nature,312:458,1984 )1961bpのマウス・IL
−1αのcDNAと相同なクローンを得る。尚、DNA
塩基配列の決定は、M13ベクター系のpUC119ベ
クターを用いたジデオキシチェインターミネーション法
によって決定し、DNAの切断、結合、コンピテント細
胞への導入、プラスミドDNAの精製等は、通常の方法
によって行った。
【0034】[IL−1αクローンの選抜]λgt−10
組換え体ファージ(LC処理Mφ cDNAライブラリ
ー)を2×104 pfu/13.5cmシャーレに展延したプレート
を20枚作製し、総数4×105 pfu のファージからプラー
クハイブリダイゼーションにより27個の陽性プラークを
拾いあげ、スポットハイブリダイゼーションによって9
個の陽性プラーク( No.2,4,7,10,12,13,19,
25,26)の存在を確認し、これらについて更に単プラー
ク分離(single plaque isolation) を行なった。
【0035】[cDNAのサイズの測定]9個の陽性ク
ローン(I-21,41,71,101,121,131,191,251, 261 )の各
ファージから抽出したDNAをEcoRIで切断してから、
電気泳動法により、挿入されたcDNAのサイズを測定
した。1クローン(I-131 )は約2kb、6クローン(I-
21,41,101,121,191,251 )は約1.3kb であった(残り2
クローン、I-71,261は不明)。また、I-101,121 の2ク
ローンは挿入フラグメント中にEcoRIによる切断箇所が
1箇所あり、約1.3kb と 100bpの2本のバンドに分れ
た。
【0036】[各クローンの相互関係の検討]I-131 と
I-121 を32Pでラベルしてプローブを作製し、サザン・
ハイブリダイゼーション(Southern Hybridization)法
により、各クローンの相互関係を検討した。I-131 はI-
21,41,131,191,251,261 と強く結合したが、I-71,101,1
21とはハイブリダイズしなかった。
【0037】[クローンI-131 の切断部位の検討]クロ
ーンI-131 から分離した約2kbのEcoRI断片を大腸菌プ
ラスミドpUC119にサブクローニングし、cDNA断片を
持つ組換えプラスミドを調製した後、 HpaII, PstI,
NdeI, DraI, Sau3AIの5種の制限酵素による切断
箇所の検討をおこなった。I-131 は全長1910−1920bp、
HpaIIの切断点から5'側に 200bp伸びたフラグメントで
あることが判明した。
【0038】[クローンI-131 の全塩基配列]IL−1
αの合成オリゴヌクレオチドプローブで選抜したクロー
ンの中の最大のサイズのクローンであるI-131 は、制限
酵素 PstI, PvuII, HpaII, DraI等の切断点を持
ち、ロメディコらの報告のマウス・IL−1αcDNA
クローン同様のシークエンスを持っていると考えられた
ので、ジデオキシチェーンターミネーション法により全
塩基配列を決定した。
【0039】I-131 は、5'末端からAAGGTTで始まり、3'
末端側に21個のポリAテールをもつ全長1928塩基対のc
DNAであった。既報のIL−1αの塩基配列と比較す
ると、5'側の57塩基対(オープン・リーディング・フレ
ーム(Open Reading Frame)の7塩基対ATGGCCA を含む)
を欠失し、オープン・リーディング・フレーム内で1
個、3'側の非翻訳領域(Franking Frame)内で12個、ロメ
ディコらの報告にあるIL−1αcDNAと塩基が異な
っていた。しかし、オープン・リーディング・フレーム
内の1個の塩基の変異は、GAC →GAT で、アミノ酸はい
ずれもAsp となり、アミノ酸のシークエンスとしては既
報のIL−1αと完全に一致した。
【0040】3.IL−1αの大腸菌における発現系の
構築 マウス前駆体及び成熟体IL−1αの大腸菌における高
発現プラスミドの構築を行った。すなわち、クローンI-
131 のcDNAおよび、このcDNAを制限酵素Pst I
で切断したフラグメントを、λファージのPRプロモー
タ、sak遺伝子のS−D配列及び開始コドンを持つベ
クターにつなぎ、欠失しているアミノ酸Met-Ala-Lys を
加えた天然型IL−1α前駆体ポリペプチド、及び Pst
Iフラグメントの5'側から51塩基対を除いた成熟体IL
−1αポリペプチドをコードするDNAを持つ発現プラ
スミドを、部位特異的変異導入(site-directed mutagen
esis) 法を用いて作製する。
【0041】[発現プラスミドの作製]図1はアミノ末
端にわずかに変異を持つ前駆体IL−1α蛋白をコード
する発現プラスミドpIL1-27 の作成を示す工程図、図2
は完全な前駆体IL−1αをコードする発現プラスミド
pIL1-274の模式図である。
【0042】マウス・IL−1αは、 270個のアミノ酸
残基からなる前駆体として翻訳されるが,翻訳後N末端
から 105番目のSer の前で切られて成熟体IL−1αと
して分泌されると考えられている。
【0043】シークエンシングの結果、I-131 は、前駆
体IL−1αをコードするcDNAと考えられたが、開
始コドンATG を含んで7塩基対を欠失していることが判
ったので、第1図に示す通り、先ずこのIL−1αcD
NAのほぼ全領域を含む断片をsak遺伝子のS−D配
列(リボゾーム結合部位)及び開始コドンを持ち、λフ
ァージのPR プロモータによって高発現が可能な発現ベ
クターpTS566(第4図)の SalIサイトに繋ぎpIL1-27
を作製し、次に合成オリゴヌクレオチドを用いた部位特
異的変異導入法(Iino,T.,Takahashi,M.and Sako,T. Rol
e of amino-terminal positive charge on signal pept
ide in Staphylokinase export acrossthe cytoploasmi
c membrane of Escherichia coli. J.Biol.Chem.,262,7
412-7417,1987.)により不要なアミノ酸を除き、欠失し
ているアミノ酸Ala-Lys を加えた完全なIL−1α前駆
体蛋白をコードする発現プラスミドpIL1-274を作った。
【0044】[IL−1α活性の測定]図3はpIL1-274
を持つ大腸菌HB101が産生する前駆体rIL−1α
の活性を測定した結果を示す線図であり、該組換え大腸
菌細胞を5mlの 100μg/mlアンピシリン(Ap)を含む
LB培地に、約107cells/ml となるように接種し、30℃
で培養した。約5×107cells/ml になった時点で42℃に
移し、更に3時間培養した。その培養液から0.5 mlを取
って10,000 rpmで3分間遠心し、集めた菌体の培地を除
くためにSバッファーで1回洗った。菌体を20%sucros
e/10mM Tris-HClpH8.0/30mM NaCl/10mM EDTA 90μl に
懸濁し、5mg/ml リゾチ−ム5μl を加えて、氷水浴と
EtOH−ドライアイスバスに交互につけてfreezing-thawi
ngを3回繰り返した。その後アストラソン超音波細胞破
砕機により20秒間処理し、15,000×g 5分間遠心したも
のの上澄みを活性測定試料とした。
【0045】この試料をC3H/HeJマウスの胸腺細
胞に対する増殖促進作用をGeryらの方法によって(Gery
et al,1972 J.Exp.Med.139;128) 測定してIL−1の活
性の有無を検討した。
【0046】この結果、pIL1-274を持つ大腸菌HB10
1は42℃で培養した時に比較的高いIL−1活性を示
し、前駆体rIL−1αを産生していることが判かっ
た。この株は30℃においてもわずかに前駆体rIL−1
αを産生しているが、これは発現ベクターpTS566にはλ
ファージのPR プロモータ以外にsak遺伝子のプロモ
ータがあり、これが30℃においても転写活性を持ってい
るためと考えられる。
【0047】[種々の成熟体rIL−1α発現プラスミ
ドの構築] (1) pTS2027及びpTS2028 図4は発現プラスミドpTS2027 及びpTS2028 の構築を示
す工程図である。図に示したpTS566プラスミドは、cI
857 遺伝子とPR プロモータとを持つ蛋白質高発現用の
プラスミドでpBR322プラスミドの一部と前記cI857
伝子とPR プロモータ及びcro遺伝子の一部を含む断
片とを結合したpTS160のBamHI切断点に、前述したsa
k遺伝子のプロモータ、S−D配列、及び開始コドンか
ら2アミノ酸残基をコードするDNA断片を挿入したも
のである。
【0048】このpTS566プラスミドの PstI切断点にI
L−1αをコードする1.7kb PstI断片をpIL1-27 プラ
スミドより切り出して挿入してpTS2013 を得た。
【0049】しかしこの状態ではsakの開始コドンと
IL−1αが同一フレーム中で結合していないためIL
−1αの発現はない。そこで、合成オリゴヌクレオチド
を用いた部位特異的変異導入法により欠失変異を導入し
て完全な成熟体型IL−1αの配列が読まれるようなプ
ラスミドを構築することを試みた。
【0050】なお、部位特異的変異導入法は、次のよう
にして行った。BamHlと XbaIで切断し、子牛小腸アル
カリ性フォスファターゼで処理したpTS160と、 PvuIで
切断し、子牛小腸アルカリ性フォスファターゼで処理し
たpTS2013 またはpTS2027 を各0.1 μg 、 リン酸化した
合成オリゴヌクレオチドプライマー(以下、プライマ
ー)0.05μg を6.5mM Tris-HCl pH7.5/100mM NaCl/8 mM
MgCl2/l mM2−メルカプトエタノールを含む緩衝液に入
れ、3分間沸騰水中に置いた後、37℃に20分、室温に20
分、4℃に20分、そして0℃に10分順次起き、その反応
液にクレノウ・フラグメント(Klenow fragment )1ユ
ニットとT4リガーゼ 300ユニットを加えて、12℃で2
〜15時間インキュベートした。
【0051】この反応液を用いてHB101 をトランスフ
ォームし、アンピシリン耐性を示すコロニーを選択し
た。生育したコロニーをコロニー/プラークスクリーン
(NEN社製)に転写し、上述したプライマーをプロー
ブにしてハイブリダイゼーションを行なった。フィルタ
ーの洗浄には2×SSC/0.5%SDSを用いて40〜45
℃で行なった。
【0052】以上のような部位特異的変異導入法を行っ
たが、pTS2013にはN末端に余分なアミノ酸残基が20個
ついており、これを一度に全部欠失することはできなか
った。そこで、まず別のプライマーを用いて、不要部分
を一部取り除いて、8個の余分な残基をコードする中間
体(pTS2027 )を分離した。更に、得られたpTS2027か
ら余分の8残基を本来のプライマーを用いて取り除いた
プラスミドpTS2028 を構築した。
【0053】[rIL−1α蛋白質の検出と活性]pTS2
027 をもつHB101から溶菌液を調整しIL−1活性
を測定した(溶菌液の調整法は前述の[IL−1α活性
の測定]を参照)。図5に示すように、42℃のサンプル
は 2700 倍の希釈の後もまだ高い活性を示していた。こ
のHB101(pTS2027) の菌体蛋白質をSDS−PAG
Eで解析したところ、予想される約20kDaのバンドが
42℃に培養したものにのみ顕著に認められた(図示せ
ず)。活性の強さから考えて恐らくこのバンドがrIL
−1α蛋白質と考えられる。一方、pTS2028 を持つHB
101から調整した溶菌液のIL−1活性はpTS2027 を
持つHB101からのそれと比較して約1/5 と低く、S
DS−PAGEによっても明らかに同定できるバンドは
認めることができなかった。
【0054】4.rIL−1α成熟体蛋白質の生産条件 rIL−1α成熟体蛋白質を高生産する発現プラスミド
HB101(pTS2027)を培養してrIL−1α成熟体蛋
白質を生産する条件について検討する。
【0055】尚、成熟体rIL−1αを合成する組換え
体HB101(pTS2027) は、−80℃に凍結保存し、使用
の前日からLB培地(1% Bacto-tryptone/0.5% Bacto-
yeast extract/0.5% NaCl,pH 7.0) 中で30℃で一夜培養
した。M9合成培地は1リットル中に、6g Na2HPO4/3g
KH2PO4/0.5g NaCl/1g NH4Cl/2mM MgSO4/2mg thimine/0.
4% sugarを含み、ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリ
ルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)はレムリの
方法(Laemmli,U.K.(1970),Nature277;680) の系を用い
た。
【0056】経時的な変化を見るためにサンプリングし
た菌には、等量の10%トリクロロ酢酸を加えて混合し、
0℃で1時間静置し、15,000 rpm5分間の遠心で沈殿物
を集め、これを冷アセトンで1回洗浄した後に乾燥し、
適当量のサンプルバッファーを加えて3分間煮沸するこ
とにより溶解し、ゲルにかけた。細胞を分画したサンプ
ルでは、その一部を等量の2×サンプルバッファーと混
合し、3分間煮沸した後、ゲルにかけた。電気泳動後の
ゲルはクマシーブリリアントブルーRで染色した。
【0057】[栄養状態の変化に対する影響]pTS2027
上のIL−1α遺伝子は成熟体領域とそのアミノ末端側
に前駆体領域に由来する8アミノ酸残基と開始コドンに
由来するチメオニン残基がついた蛋白質をコードしてい
る。この遺伝子の発現は、λファージPR プロモータと
cI85 7 リプレッサーによって制御されており、高温
(通常は42℃を用いる)で誘発される。そこで、HB1
01(pTS2027) を誘発した後、栄養状態を変えたときに
rIL−1αの合成にどのように影響するかを調べた。
【0058】まず、菌を完全培地であるLB培地(1%
Bacto-tryptone/0.5% Bacto-yeastexyract/0.5% NaCl)
または1%カザミノ酸と0.4%グルコースを含むM9合成
培地に生育させ、rIL−1αの合成をSDS−PAG
Eによって見たとき、LB培地を用いたときの方が明ら
かに多量のrIL−1α蛋白質を合成した。
【0059】次に、LB培地をベースにして、グルコー
スまたは酵母エキスの添加がrIL−1αの合成に及ぼ
す影響を調べた。LB培地または0.2%グルコースを添加
したLB培地で対数増加増殖期にまで生育させたHB1
01(pTS2027) を42℃に移して培養を続け、1,2,
3,4時間後にLB培地のものには10%酵母エキスを0.
2 ml、グルコースを添加したLB培地のものには25%グ
ルコースを0.08mlを各々添加して、8時間までその増殖
を追うと共にサンプリングを行ない、rIL−1α蛋白
質の蓄積を調べた。
【0060】図6はHB101(pTS2027) の増殖を示す
線図、図7は図6の各時間におけるrIL−1α蛋白質
の量を示すSDS−PAGEの模式図である。図6に示
すように、大腸菌の増殖はグルコース添加培地のものは
初期には著しいが、3時間目以降ほとんど増殖を停止す
ることがわかる。一方、酵母エキス添加培地のものは7
時間を過ぎても増殖が認められ、最終的にグルコース添
加培地のものに比べて約2倍の濁度をしめすにいたっ
た。また、図7に示す通り、各時間におけるrIL−1
α蛋白質の量をSDS−PAGEで調べたところ、酵母
エキス添加培地での蓄積量が明らかに多いことが示され
た。この実験では徐々に酵母エキスを添加したが、42℃
に移す時点または培養開始点で終濃度1%となるように
加えた場合でもほぼ同程度の生産量を示した(データは
省略)。
【0061】以上のことから、rIL−1αの生産条件
として、HB101(pTS2027) を1%Bacto-Tryptone/1%
Bacto-Yeast extract/0.5% NaClを含む培地(これをL
BR培地と呼ぶ)で30℃で対数増殖中期まで増殖させ、
42℃に移して更に6〜8時間培養をした後に集菌するこ
ととした。
【0062】一方、大腸菌で高生産された異種生物の蛋
白質はしばしば凝集物(封入体ともいう)となって不溶
化することが知られている。HB101(pTS2027) が産
生したrIL−1α蛋白質がどうなっているかを調べる
ために、細胞を遠心により分画した。LBR培地中42℃
で8時間培養した培養液8mlから菌体を遠心によって集
め、1mlの50mM Tris-HCl(pH8.0)/50mM NaCl/1mM EDTA/
1mM PMSFに懸濁した。超音波処理により菌体を破砕し
(画分I)、微量遠心機で10,000 rpm5分間の遠心を行
なって上清(画分II)と沈殿とに分けた。沈殿は上記緩
衝液で懸濁して総量1mlとした(画分III )。上清は更
に卓上型超遠心機で40,000 rpm(100,000×g)1時間の
遠心によって上清(画分IV)と沈殿に分けた。沈殿は上
記緩衝液に懸濁して総量1mlとした(画分V)。各画分
の10μをSDS−PAGEにかけたのちクマシーブル−
染色して、rIL−1α蛋白質の分布をみた。
【0063】図8はその結果を示すSDS−PAGEの
模式図である。図に示すように、rIL−1α蛋白質の
多くは画分IVに認められ、大腸菌菌体中で可溶化した状
態で存在することが強く示唆された。尚、図中Mは分子
量マーカである。
【0064】HB101(pTS2027) が産生するrIL−
1α蛋白質は42℃で培養することによって顕著に認めら
れるようになった。その産生には、ここで用いたLBR
培地のようなより栄養価の高い培地が良いと思われる。
【0065】5.rIL−1αの発現系の改良とその精
前述のように、λファージPR プロモータを用いたプラ
スミドでrIL−1α蛋白質を発現させることができた
が、より効率のよい発現系を得るため、tacプロモー
タを用いたマウスrIL−1αの発現系を構築し、rI
L−1α蛋白質を精製し、活性化する。
【0066】[高発現系の構築]tacプロモータは人
工的につくられたプロモータで、通常はラクトースオペ
ロンのリプレッサー LacIによってその発現が抑えられ
ているが、IPTGの添加によって、強い転写活性を示
すことが知られている。この発現系を用いれば、rIL
−1αについても高発現が期待される。
【0067】図9はtacプロモータを有するベクター
pKK223-3の制限酵素地図である。前述のpTS2027 及びpT
S2028 上のリボゾーム結合部位からIL−1αにいたる
領域をこのプロモータを持つベクターpKK223-3に挿入し
た。詳しくは、pTS2027 及びpTS2028 からBamHIと Bgl
IIで切り出されるそれぞれ1.9kb と1.3kb のDNA断片
をアガロースゲル電気泳動で精製し、両末端を平滑端に
したのちにpKK223-3のSmaIサイトに挿入した。tac
プロモータからの転写により正しく転写されるものを選
択し、pTS2027 由来のものをpTS2049 及びpTS2028 由来
のものをpTS2051 とした。両プラスミドは、 LacIを多
量に産生する宿主菌JM109株に導入して以後の解析
に用いた。
【0068】各プラスミドを持つJM109株をアンピ
シリン( 100μg/ml)を含むLB培地に培養し、対数増
殖期に半量ずつにIPTGを終濃度1mMとなるように加
え、更に4時間培養した。
【0069】各培養液から溶菌液を調製して、その蛋白
質をSDS−PAGEで精製し、そのIL−1活性を胸
腺細胞の増殖を指標にして調べた。
【0070】図10は得られた菌蛋白質のSDS−PA
GE泳動図、図11はIL−1活性を示す線図である。
図10に示すように両株ともIPTGを添加したときに
のみpTS2049 では18Kの、pTS2051 では17Kの強いバン
ドが認められ、rIL−1αであると思われた。図11
に示した溶菌液のIL−1活性は非常に高く、105 希釈
後も活性を持っていた。またJM109(pTS2051 )の
溶菌液の方が、JM109(pTS2049 )の溶菌液よりも
約4倍の活性を持っていた。この活性の違いは、必ずし
も定量的ではないが、図10でみられる蛋白質量を反映
していると考えられた。このことは、tacプロモータ
を用いた発現系では、完全な成熟体型rIL−1αの発
現が著しく上昇したことを示している。
【0071】6.rIL−1αの精製rIL−1αの精製]tacプロモータによる発現系
で、rIL−1αの合成を行なった。JM109(pTS2
051 )をアンピシリン( 100μg /ml)を含むLBR培
地に一夜培養し、翌朝 2.7リットル( 900ml×3)のア
ンピシリンを含むLBR培地に27mlの一夜培養液を植菌
した。これを37℃で2時間振盪培養し、IPTGを終濃
度0.5mMとなるように加えた。更に、5時間培養した後
に、菌体を遠心によって集めた。集めた菌体は一度TE
緩衝液で洗浄した後に、30%ショ糖/15mM Tris-HCl(pH
8.0)/45mM NaCl/1.5m EDTA 溶液20mlに懸濁した。
【0072】図12はrIL−1αの精製のステップの
概略を示す工程図である。先ず、10mg/mlリゾチームを
0.6 ml加えて凍結と融解を3回繰り返し、超音波処理す
ることによって菌体を破砕した。この溶菌液を100,000
×g,60分間の超遠心にかけて、細胞残渣を除去した。し
かし、この操作によって約半分のrIL−1αの蛋白質
が、細胞残渣とともに沈殿した(図15レーン3)。
【0073】この沈殿物はより低速(10,000×g)の遠心
によっても生じ、恐らく蛋白質がアグリゲート(集塊)
を形成しているためと思われたが、以後の精製には用い
なかった。超遠心によって得られた上澄み液( 136ml)
には34mlの0.2Mクエン酸緩衝液(pH3.4)を加え、室温で
15分間攪拌した後、7,000×g,10分間遠心をして沈殿物を
除去した。このような酸処理はクロンハイム(Kronheim)
らがヒト組み換え型IL−1αの精製に用いて(Kronhei
m,SR.,et al.(1986)Biotechnology 4 ;1078-1082) 、よ
い成績を残しており、我々の結果も満足できるものであ
った(図15レーン4)。上澄み液には硫酸アンモニウ
ムを70%飽和までいれて、蛋白質を沈殿させ、沈殿物を
少量のTEに溶かした後、TEに対して透析した。
【0074】得られた試料(13.5 ml) をTEで平衡化し
たDEAE−セファロースCL−6Bカラム(1.6 ×30
cm)にのせ、0−0.3M NaCl 直線濃度勾配で溶出した。
図13はDEAE−セファロースCL−6Bカラムでの
溶出パターンを示した線図である。フラクション37−38
にかけて見られるピークがrIL−1α蛋白質を含むピ
ークで、のせた試料中には夾雑蛋白質が非常に少ないこ
とがわかる。フラクション36−39を集め、これに終濃度
1Mとなるように硫酸アンモニウムを加え、次の疎水ク
ロマトグラフィーのための試料とした。
【0075】図14は疎水クロマトクラフィーでの溶出
パターンを示した線図である。疎水クロマトクラフィー
では、フェニルセファロースCL−4Bカラム(1.5×3
0cm)を用い、1M硫酸アンモニウムを含むTEで平衡
化した同カラムに上の試料をのせ、1−0M硫酸アンモ
ニウム直線濃度勾配によって溶出した。図14に示す通
り、疎水クロマトグラフィーでは、rIL−1α蛋白質
は広い硫酸アンモニウムの濃度範囲で溶出した。この幅
広いピーク(フラクション40〜95)を4つの画分に
分けた。速く溶出するものから画分I(フラクション4
5〜75),画分II(フラクション76〜82),画分
III (フラクション83〜88),画分IV(フラクショ
ン89〜95)とした。各画分のSDS−PAGEによ
る解析の結果(図示せず)、わずかづつではあるが、そ
れぞれに夾雑蛋白質が認められた。
【0076】しかし、これらを更にDEAE−セファロ
ースCL−6Bカラムを用いて再クロマトグラフィーを
行なった結果、夾雑蛋白質をほぼ除去することができた
(データは省略、図15レーン8参照)得られたそれぞ
れの画分I*,画分II*,画分III *,画分IV* は、総量8.58
mg,6.9mg,8.1mg,7mgのrIL−1α蛋白質を含んでい
た。図15には各ステップごとの蛋白質のSDS−PA
GEでの解析結果を示してある。画分III * のrIL−
1α蛋白質についてプロテインシークェンサーを用いて
アミノ末端からのアミノ酸配列を解析した。
【0077】その結果、解析に使用した量に比して検出
されたピークは小さかったが、NH2-Ser-Ala-Pro-Tyr-X-
Tyr-Gln-Ser-Asp-Leu-X-Tyr-Lys-Ley (Xは不明)の配
列が解読でき、アミノ末端のホルミルMet がはずれて天
然型の成熟体型IL−1αと同じ配列をしている分子種
の存在が確認された。他の画分についても同じ結果が得
られた。しかし、検出されたピークが予想よりもはるか
に小さかったことから、これらの試料中の大部分のrI
L−1α蛋白質はそのアミノ末端にホルミルMet 残基を
つけたまま存在していることが示唆される。
【0078】[精製したrIL−1α蛋白質の活性]精
製したrIL−1α蛋白質標品には、夾雑物はわずかし
か含まれないと思われる。図16は精製したrIL−1
α蛋白質標品のIL−1α活性の結果を示す線図であ
る。この曲線から画分III * のrIL−1αの比活性
は、約2.5 ×107units/mg protein と計算され、天然型
IL−1αの比活性約108 units/mg proteinの約1/4 と
低い、また、最大活性値も期待される値よりもかなり低
いところにとどまっていた。
【0079】以上の結果は、一次構造が天然型IL−1
αと同一であるrIL−1α蛋白質の高次構造が、天然
型IL−1αの高次構造と何らかの点で異なっているこ
とを示唆している。
【0080】そこで、画分III * の標品に尿素を加えて
6Mの濃度にした後、TEに対して充分に透析を行なっ
て再活性化したものについて、そのIL−1活性を測定
した。これは尿素によって、一旦完全に変性した蛋白質
を透析によって徐々に尿素を除くことによって、穏やか
にフォールディングを起こさせ、天然型IL−1αの高
次構造と同様の構造にすることを目的としている。
【0081】その結果、尿素処理した標品は、しないも
のに比べて4倍の比活性の上昇が認められ、108units/m
g を示した。この値は、天然型IL−1αと同程度の値
であり、ほぼ完全な活性化ができたものと思われる。し
かし、最大活性値の上昇は認められず、マクロファージ
の培養液とrIL−1αとの増殖促進作用には、なお質
的な違いがあることが示唆される。
【0082】II.マウス・IL−1βcDNA 1.IL−1βcDNAクローンの分離 前述のように、マウス・IL−1αcDNAクローンを
分離し、大腸菌においてその蛋白質を発現させる系を構
築したが、IL−1αと同様の活性を有する因子として
IL−1βと呼ばれる蛋白質も知られている。
【0083】IL−1αとIL−1βとは、分子量や全
体的な構造的特徴については似ているが、アミノ酸配列
上の相同性は比較的低く(30%程度のアミノ酸残基が共
通)、等電点や抗原性が異なっている。 IL−1βm
RNAは、IL−1αと同様LC9018で活性化されたマウ
ス・Mφで合成が誘導される。また、マウス・IL−1
βcDNAの配列はグレイ(Gray)らによって既に報告さ
れている(Gray,P.W.etal.:Two interleukin 1 genes in
the mouse:Cloning and expression of thecDNA for m
urine interleukin 1 β.J.Immunol.,137:3644,1986)。
そこで、報告されているマウス・IL−1βcDNA配
列の一部を合成したオリゴヌクレオチドをプローブとし
て、LC9018(Lactobacillus casei YIT9018 の死菌)で
活性化されたマウスMφ由来cDNAライブラリーより
IL−1βcDNAクローンの分離を試みる。
【0084】[IL−1βcDNAクローンの分離]LC
9018処理したマウス・Mφから抽出分離したmRNAよ
り作成したλgt−10cDNAライブラリーより、マ
ウス・IL−1βの合成オリゴヌクレオチドプローブを
用いて、cDNAクローンを分離することを試みた。総
数1.8 ×105pfu についてプラークハイブリダイゼーシ
ョンを行なった結果、陽性を示したクローンが12クロー
ン分離された。この分離の頻度は、先に分離したIL−
1αcDNAクローンの分離頻度に比して同程度または
それ以下であり、LC9018で活性化されたマウス・Mφで
は、IL−1αmRNAの合成がIL−1βmRNAの
合成と同程度かまたはより盛んに起こっていることを示
唆する。
【0085】これらのクローンのインサートの大きさを
サザンハイブリダイゼーションによって調べたところ、
No.12(約1.8kb), No.18(約1.0kb)及び No.22(約
1.0kb) にプローブとハイブリダイズする比較的長いイ
ンサートが検出された。そこでNo.12と No.18のインサ
ートについてそのDNA塩基配列を調べた。
【0086】[クローンの塩基配列の決定]No.12と N
o.18から、制限酵素EcoRIで切断した1.8kb 断片と1.0k
b 断片を分離精製し、EcoRIで切断したpUC119ベクター
に再クローニングすることによって、両断片について相
異なる方向に挿入されたプラスミドを得た。これらのD
NA塩基配列をジデオキシチェーンターミネーション法
を用いて、決定した。まず No.12のDNA断片の両端か
ら、それぞれ 115ヌクレオチド、 639ヌクレオチドを解
読した。しかし、これらの配列は、既に報告されている
IL−1βcDNAの塩基配列との間に有意な相同性が
なく、DNAデータバンクの中の他の既知の配列とも相
同性は見出されなかった。
【0087】以上のことは、クローン No.12がIL−1
βcDNAの一部をプローブとしたサザンハイブリダイ
ゼーションによってIL−1βcDNAクローン(下の
No.18)とほぼ同程度の強いシグナルを示したことか
ら、配列未決定の領域内にIL−1βcDNAと高い相
同性を持つ部分が存在すると考えられる。
【0088】次に No.18のDNA断片についてその全塩
基配列を決定し、その結果このDNA断片が全長約 900
bpからなり、既に報告されているマウス・IL−1βc
DNAの3'末端側配列とほぼ完全に一致することが明ら
かとなった。このクローンは成熟体IL−1β蛋白質の
アミノ末端から5番目のアミノ酸から始まるカルボキシ
ル末端側 147個のアミノ酸をコードする領域を持ち、3'
側非翻訳領域約 380bp塩基対がそれに続いていた。蛋白
をコードする領域内では塩基番号 125番の一塩基欠失以
外は、既知の配列と全く異なる点がなかったが、3'側非
翻訳領域内に3塩基の欠失と2塩基の付加が存在した。
125番目の塩基の欠失により、得られたcDNAからは
IL−1βのコードする領域内でフレームシフトを起こ
し、正常な蛋白質は合成できないことがわかるが、この
欠失がどの時点で入ったものなのかは不明である。
【0089】また、グレイらによって既に報告されてい
るように、マウス・IL−1βのmRNAはおよそ1,40
0 ヌクレオチドの長さであるので、今回得たクローンの
上流にはまだ更に 500ヌクレオチド以上の部分が残され
ていることになる。そこで、全領域を含むcDNAクロ
ーンの分離を No.18のDNA断片をプローブにして試み
た。
【0090】[完全なIL−1βcDNAクローン分
]MφcDNAライブラリーより、IL−1βcDN
Aであるクローン No.18の0.9kb 断片DNAをプローブ
として、IL−1βをコードする領域全体を含み、且つ
その領域内に置換、欠失等の変異を持たないcDNAク
ローンを分離することを試みた。総数1.8 ×105 pfu に
ついてプラークハイブリダイゼーションを行なった結
果、陽性を示したクローンが15クローン分離された。こ
れらのクローンのインサートの大きさをサザンハイブリ
ダイゼーションによって調べたところ、No.1411,1613,1
812( 約1.5kb), No.813,1213,1311,1713(約1.4kb), N
o.611(約950bp) No.211(約900bp)にプローブとハイブリ
ダイズする長いインサートが検出された。
【0091】この分離頻度は最初に合成オリゴヌクレオ
チドプローブを用いて分離したときの頻度に比べて高
く、また得られた陽性クローンのインサートの長さも長
いものが多かった。その要因としては長いDNA断片を
プローブとして用いたことによって、ハイブリダイゼー
ションが陽性のクローンの選択が容易で確実であったこ
とが挙げられる。しかし、このステップは必須のもので
はなく、合成プローブを用いても充分に長いcDNAク
ローンを分離することは可能である。
【0092】得られた陽性のクローンのうち比較的長い
インサートを持つものは、大きさから分けると上記のよ
うに4種類に分けられたが、もとのライブラリーは一度
増殖させたものであるので、起源の同じ相同なクローン
が含まれている可能性がある。これらのクローンのいく
つかについて、DNA塩基配列を決定した。
【0093】[塩基配列の決定]上記λファージクロー
ンのDNAを、制限酵素EcoRIで切断して生成する1.5k
b(1411,1812,),1.4kb(813,1213,1713),950bp(611) 及び
900bp(211)断片を分離精製し、EcoRIで切断したpUC119
ベクターに再クローニングした。それぞれ得られた組換
えプラスミドのインサートのDNA塩基配列をジデオキ
シチェーンターミネーション法を用いて決定した。
【0094】その結果、 No. 813と No.1713は全長1330
bpよりなる全く同じインサートをもつクローンであり、
IL−1βをコードする領域を全部含んでいることがわ
かった。またグレイらが報告したマウスIL−1βcD
NAの塩基配列とも、非翻訳領域に数カ所の違いはある
ものの、翻訳領域内は完全に一致した。
【0095】配列番号1は No.813,1713の全塩基配列で
ある。塩基配列を決定した他のクローンのインサートの
うち No. 211は、前述の No.18クローンと全く同じであ
り、翻訳領域内に一塩基の欠失があった。また、 No. 6
11は図17にあるように 341番目の塩基から以降を持つ
941bpの長さのインサートを持っていた。 No.1213は全
領域を含むクローンであったが、 469番目の塩基対A:
Tが欠失していた。 No.1411と No.1812は全く同一のク
ローンで、3'末端側半分はIL−1βcDNAの配列を
持っていたが、5'末端側半分はまったく異なる配列をし
ていた。どこまでがIL−1βの配列かは明確ではなか
ったが、恐らくクローニングの際に結合してできたもの
であろうと考えられる。
【0096】このように、これまで分離したいくつかの
IL−1βcDNAクローンは、互いに独立な5種類の
群に分けられたが、このうち2種類のものには、一塩基
の欠失がみられ、正常なIL−1βを合成できないもの
であった。これが、mRNAへの転写段階で起きていた
ものか、あるいはcDNA調製の時の人工産物なのかは
興味あるが、それを決定することは容易ではない。
【0097】2.マウス・IL−1βcDNAの発現系
の構築ラムダPR プロモータを用いた発現系]図17は発現
プラスミドpTS2059 及びpTS2058 の構築を示す工程図で
ある。pTS566(I−4.マウス成熟体IL−1αの発現
系の構築)のSalI切断点に、 No.813 DNAを制限酵
素HindIIIで切断して生じる1.35kb断片を挿入してpTS20
53 を構築した。このプラスミドでは、sak遺伝子の
開始コドンがリンカー及び5'非翻訳領域を介してフレー
ム内で前駆体と連結している。しかし、アミノ末端側に
余分な16個のアミノ酸残基をコードする配列がついてい
るので、部位特異的変異導入法によりこの部分を除去
し、完全な前駆体IL−1βをコードするpTS2056 を構
築した。
【0098】一方、成熟体IL−1βの発現系について
も、以下のようにして構築した。前駆体IL−1βと同
様に、pTS566の SalI切断点に、 No.813 を制限酵素Bs
pMIで切断して生じる 985bpの断片を挿入してpTS2052
を構築した。このプラスミドでは、まだ開始コドンと成
熟体IL−1β領域の間に15塩基対の余分な配列が入っ
ているので、これを更に部位特異的変異導入法によって
除去し、開始コドンのすぐ下流にin frame(インフレー
ム)に完全な成熟体IL−1β領域を結合したpTS2054
を構築した。
【0099】上記のようにして得たpTS2056 またはpTS2
054 を持つHB101株を用いて、それらの作るrIL
−1β蛋白質を、SDS−PAGE及びIL−1活性を
測定することによって検出することを試みた。
【0100】図18は得られた組換え体の菌体蛋白質の
SDS−PAGEによる解析結果を示す模式図である。
a図において、aはPR プロモータを用いた発現系で、
前駆体rIL−1βを産生するHB101(pTS2056) 及
び成熟体rIL−1βを産生するHB101(pTS2054)
をアンピシリンを含むLB培地中で30℃で対数増殖期に
あるものと、更に培養温度を42℃に移し、42℃で4時間
培養した後、全菌体タンパクを解析したもの。図中矢印
で示すバンドが約18kDa の成熟体rIL−1β蛋白質で
ある。
【0101】HB101(pTS2054) の試料では、42℃で
培養したときにのみ、約18 KDaの蛋白質の強いバンドが
認められ、その大きさから成熟体rIL−1βであると
判断された。
【0102】それに対し、HB101(pTS2056) の試料
では、予想される31 KDaの大きさのところには、42℃で
の培養に特異的なバンドを見出すことはできなかった。
また、両者の溶菌液を調整し、そのIL−1活性を測定
したところHB101(pTS2056) 由来の試料は18,000un
tis/mlの高い活性を示したが、HB101(pTS2056)由
来の試料には、約300units/ml の活性しかなかった(図
19)。
【0103】これらの結果はプロモータ、リボゾーム結
合部位、及びその他のプラスミドの構造が全く同一であ
っても、発現される遺伝子の違いによって、その発現量
が違いうることを示している。また従来IL−1βの前
駆体型には活性が無いとされていたが、今回わずかなが
らも活性が検出されたことは、低い比活性ながら前駆体
も活性を有していることを示唆している。
【0104】[tacプロモータを用いた発現系]ラム
ダPR プロモータを用いた発現系では、成熟体rIL−
1β蛋白質の高発現が可能になったが、更に高い発現が
望まれる。また前駆体rIL−1βの発現はこの系では
うまくいかなかった。そこで、ベクターをtacプロモ
ータを持つpKK223-3に変えて、rIL−1α蛋白質と同
様な高い発現量を得ることを試みた。
【0105】pTS2056 及びpTS2054 を制限酵素 DdeIで
切断することにより、リボゾーム結合部位からIL−1
βをコードする領域までを全部含む1.1kb 及び0.7kb の
断片をそれぞれ分離することができる。これらをpKK223
-3の SmaI切断点に挿入することによって、tacプロ
モータの制御下に前駆体及び成熟体IL−1βのcDN
AをおいたプラスミドpTS2059 及びpTS2058を構築した
(図17)。
【0106】これらのプラスミドそれぞれをJM109
に導入した株JM109(pTS2059)及びJM109(pTS2
058) をアンピシリンを含むLB培地で37℃で培養し、
対数増殖期にIPTGを0.5mMとなるように加えて、更
に4時間培養した。その後、上記のように上清画分と沈
殿画分とにわけ、蛋白質の検出とIL−1活性の測定を
行なった。
【0107】図18bに示すように、JM109(pTS20
58) の上清画分には約18 KDaの成熟体rIL−1βと思
われる蛋白質が顕著に蓄積しているのが観察された。注
目されるのは、IPTGを添加しないで培養した試料に
もこの蛋白質の蓄積が同程度にみられることで、リプレ
ッサーLacIによる発現の抑制がほとんどきかなくな
ったと考えられた。このことはIL−1活性の測定によ
って確認され、JM109(pTS2058) 由来の試料では、
IPTGの添加の別なく、45,000-50,000units/ml と高
い活性を示した(図19)。この活性値は先にラムダP
R プロモータを用いて構築した発現系による場合よりも
約3倍高く、tacプロモータを用いた発現系の方が優
れていることを示している。
【0108】一方、JM109(pTS2059) から調製した
試料の蛋白質のSDS−PAGEによるパターンから
は、前駆体と同定されるバンドは検出されなかった(図
18c)。またIL−1活性も1200unit/ml とPR プロ
モータを用いたときよりも増加したが、成熟体rIL−
1βに比べると著しく低かった。(図19)
【0109】以上の結果、各発現系についてのIL−1
活性の発現量をまとめたものが第1表である。これまで
に構築したIL−1βの発現系の中では、tacプロモ
ータを用いた成熟体rIL−1β蛋白質の生産を達成す
ることができた。一般にラムダPR プロモータを用いた
系よりもtacプロモータを用いた系の方が高い生産性
を得ることができるようである。しかし、前駆体rIL
−1βのようにプロモータの種類によらず低い発現でと
どまっているものも存在する。
【0110】
【表1】
【0111】3.マウスrIL−1β蛋白質の精製 マウス・rIL−1β蛋白質を精製する。精製は大きく
分けて、酸処理、S−セファロースFFとDEAE−セ
ファロースCL−6Bのカラムクロマトグラフィーの3
段階からなり、ほぼ純粋なrIL−1β蛋白質を得るこ
とを目的とする。
【0112】[粗抽出液の分離]図20はrIL−1β
蛋白質精製の手順を示す工程図である。2.7 リットルの
アンピシリン( 100μl/ml) を含むLBR培地に27mlの
HB101(pTS2054) 一夜培養菌液を接種し、37℃で7
時間振とう培養した。
【0113】培養後菌体を集め、20mlの30%ショ糖/15m
MTris-HCl(pH8.0)/45mM NaCl に懸濁し、0.6 mlの10mg/
mg リゾチームを加えて -80℃で凍結した。これを融解
してブランソン(Branson )社製超音波細胞破砕装置
(Sonifier) で菌体を破砕し、40mlの水と70μl の1mg
DNaseIを加えて37℃で10分間インキュベートした後に
20,000×gで30分遠心した。こうして得た溶菌液を粗抽
出液として、精製に用いた。
【0114】[精製]図20の手順に示す通り、まず、
粗抽出液から細胞膜等の不溶物を取り除くために、100,0
00×g90分の超遠心を行ない、その上澄み液を分離し
た。残渣にはrIL−1β蛋白質はわずかしか検出され
なかった。このことは、rIL−1β蛋白質はrIL−
1α蛋白質と異なり、細胞内でほぼ可溶化した状態で存
在していることを示唆している。次に上澄み液(57ml)
に6mlの0.2Mクエン酸緩衝液(pH4.0)を加え室温で20分
攪拌した。その結果、溶液が白濁して多量の不溶物が析
出した。10,000×10分の遠心で不溶物を除去し、その液
に75%飽和となるように硫酸アンモニウムを加えて全蛋
白質を集め、20mlの10mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.8)
を溶かした。
【0115】これを次のクロマトグラフィーのために、
10mMクエン酸緩衝液(pH4.8)に対して透析した。その結
果、再び沈殿物が多量に析出してきたために、遠心によ
ってこれを除去した。以上までの過程の中で、pH4.0 の
クエン酸緩衝液の添加及びpH4.8 のクエン酸緩衝液に対
する透析によって析出した沈殿物には、多量のrIL−
1β蛋白質が含まれていることが判明した(図22レー
ン4と6)。ゲルの染色像から判断する限り、40−50%
のrIL−1β蛋白質が沈殿として失われたと考えら
れ、これらの損失を防ぐ方法を検討する必要があること
を示している。
【0116】上記透析後の上清み液は、S−セファロー
スFFカラムクロマトグラフィーにかけた。10mMクエン
酸緩衝液(pH4.8)で平衡化したS−セファロースFFカ
ラム(2.6 ×20cm)に試料をのせ、0−0.5 M NaCl 直
線濃度勾配(総量440ml)で溶出した。図21はカラム
クロマトグラフィーの溶出パターンの結果を示す線図で
ある。
【0117】rIL−1β蛋白質は約0.4M NaCl のとこ
ろにピークを作って溶出してきた。事実、このピークの
画分には高いIL−1活性が検出された。この領域の画
分を集めて75%飽和硫酸アンモニウムによる塩析で濃縮
し、2mMリン酸カリウム緩衝液(pH6.8)に対して透析し
た。この透析液に1M Tris-HCl(pH8)及び0.25M EDTA
(pH8)をそれぞれ10mM, 1mMとなるように加えてDEA
E−セファロースCL−6Bカラムクロマトグラフィー
にかけた。
【0118】TEで平衡化したDEAE−セファロース
CL−6Bカラム(1.6 ×30cm)に試料を載せ、TEカ
ラムを洗浄したところ、素通り画分からしばらくの後に
蛋白質のなだらかなピークが現われた。SDS−PAG
Eで解析したところ、このピークにあるのがrIL−1
β蛋白質であり、他の夾雑蛋白質はこの中にはほとんど
認められなかった。rIL−1β蛋白質は、このカラム
を完全に素通りするのではないが、非常に弱い相互作用
しかしないものと思われる。
【0119】およそ0.05M NaCl 濃度のところまでにす
べてのrIL−1βが溶出したので、その部分を集めて
精製標品とした。精製rIL−1βは総量 820μg であ
った。これまでの各精製ステップでの標品をSDS−P
AGEで解析したものが図22である。図22レーン8
に示すように最終精製標品には夾雑蛋白質は検出されな
かった。
【0120】[IL−1活性]図23は精製したrIL
−1β蛋白質を用いてIL−1活性を測定した結果を示
す線図である。rIL−1βは、rIL−1αに比べて
比活性が低く、このグラフから約8×106 units/mg pro
teinと計算された。
【0121】この値は天然型IL−1βの約1/10であ
る。rIL−1αでもそうであったように、大腸菌で合
成されたrIL−1βは天然型のものとその高次構造が
異なっている可能性がある。また、ヒトIL−1βの場
合、N末端数残基のアミノ酸残基がその活性や安定性に
重要な働きをしていることが示されている。今回精製し
たrIL−1β蛋白質のN末端からのアミノ酸配列はNH
2-Met-Asp-Val-Pro-Ile-Arg-Gln-His-Try-…と少なくと
も18番目までDNA配列から予想される配列と一致した
結果が得られ、N末端にはMet-残基が付いたままであっ
た。このことから大腸菌で合成された場合に、本来なら
ついていないN末端のMet-残基がその活性に影響してい
る可能性も考えられる。
【0122】
【発明の効果】本発明は以上説明したとおり、遺伝子組
換え技術を用いて、高産生能を有するマウス・IL−1
産生プラスミド及びそれを用いたマウス・IL−1の製
造法を得ることができる。
【0123】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:1330 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直線状 配列の種類:complementary DNA 配列の特徴 存在位置:70..879 特徴を決定した方法:S 配列 TCGAGGCCTA ATAGGCTCAT CTGGGATCCT CTCCAGCCAA GCTTCCTTGT GCAAGTGTCT 60 GAAGCAGCT ATG GCA ACT GTT CCT GAA CTC AAC TGT GAA ATG CCA CCT 108 Met Ala Thr Val Pro Glu Leu Asn Cys Glu Met Pro Pro 1 5 10 TTT GAC AGT GAT GAG AAT GAC CTG TTC TTT GAA GTT GAC GGA CCC CAA 156 Phe Asp Ser Asp Glu Asn Asp Leu Phe Phe Glu Val Asp Gly Pro Gln 15 20 25 AAG ATG AAG GGC TGC TTC CAA ACC TTT GAC CTG GGC TGT CCA GAT GAG 204 Lys Met Lys Gly Cys Phe Gln Thr Phe Asp Leu Gly Cys Pro Asp Glu 30 35 40 45 AGC ATC CAG CTT CAA ATC TCA CAG CAG CAC ATC AAC AAG AGC TTC AGG 252 Ser Ile Gln Leu Gln Ile Ser Gln Gln His Ile Asn Lys Ser Phe Arg 50 55 60 CAG GCA GTA TCA CTC ATT GTG GCT GTG GAG AAG CTG TGG CAG CTA CCT 300 Gln Ala Val Ser Leu Ile Val Ala Val Glu Lys Leu Trp Gln Leu Pro 65 70 75 GTG TCT TTC CCG TGG ACC TTC CAG GAT GAG GAC ATG AGC ACC TTC TTT 348 Val Ser Phe Pro Trp Thr Phe Gln Asp Glu Asp Met Ser Thr Phe Phe 80 85 90 TCC TTC ATC TTT GAA GAA GAG CCC ATC CTC TGT GAC TCA TGG GAT GAT 396 Ser Phe Ile Phe Glu Glu Glu Pro Ile Leu Cys Asp Ser Trp Asp Asp 95 100 105 GAT GAT AAC CTG CTG GTG TGT GAC GTT CCC ATT AGA CAG CTG CAC TAC 444 Asp Asp Asn Leu Leu Val Cys Asp Val Pro Ile Arg Gln Leu His Tyr 110 115 120 125 AGG CTC CGA GAT GAA CAA CAA AAA AGC CTC GTG CTG TCG GAC CCA TAT 492 Arg Leu Arg Asp Glu Gln Gln Lys Ser Leu Val Leu Ser Asp Pro Tyr 130 135 140 GAG CTG AAA GCT CTC CAC CTC AAT GGA CAG AAT ATC AAC CAA CAA GTG 540 Glu Leu Lys Ala Leu His Leu Asn Gly Gln Asn Ile Asn Gln Gln Val 145 150 155 ATA TTC TCC ATG AGC TTT GTA CAA GGA GAA CCA AGC AAC GAC AAA ATA 588 Ile Phe Ser Met Ser Phe Val Gln Gly Glu Pro Ser Asn Asp Lys Ile 160 165 170 CCT GTG GCC TTG GGC CTC AAA GGA AAG AAT CTA TAC CTG TCC TGT GTA 636 Pro Val Ala Leu Gly Leu Lys Gly Lys Asn Leu Tyr Leu Ser Cys Val 175 180 185 ATG AAA GAC GGC ACA CCC ACC CTG CAG CTG GAG AGT GTG GAT CCC AAG 684 Met Lys Asp Gly Thr Pro Thr Leu Gln Leu Glu Ser Val Asp Pro Lys 190 198 200 205 CAA TAC CCA AAG AAG AAG ATG GAA AAG CGG TTT GTC TTC AAC AAG ATA 732 Gln Tyr Pro Lys Lys Lys Met Glu Lys Arg Phe Val Phe Asn Lys Ile 210 215 220 GAA GTC AAG AGC AAA GTG GAG TTT GAG TCT GCA GAG TTC CCC AAC TGG 780 Glu Val Lys Ser Lys Val Glu Phe Glu Ser Ala Glu Phe Pro Asn Trp 225 230 235 TAC ATC AGC ACC TCA CAA GCA GAG CAC AAG CCT GTC TTC CTG GGA AAC 828 Tyr Ile Ser Thr Ser Gln Ala Glu His Lys Pro Val Phe Leu Gly Asn 240 245 250 AAC AGT GGT CAG GAC ATA ATT GAC TTC ACC ATG GAA TCT GTG TCT TCC 876 Asn Ser Gly Gln Asp Ile Ile Asp Phe Thr Met Glu Ser Val Ser Ser 255 260 265 TAA AGTATGGGCT GGACTGTTTC TAATGCCTTC CCCAGGGCAT GTGAAGGAGC 929 *** 270 TCCCTTGTCA TGAATGAGCA GACAGCTCAA TCTCTAGGAC ACTCCTTAGT CCTCGGCCAA 989 GACAGGTCGC TCAGGGTCAC AAGAAACCAT GGCACATTCT GTTCAAAGAG AGCCTGTGTT 1049 TTCCTCCTTG CCTCTGATGG GCAACCACTT ACCTATTTAT TTATGTATTT ATTGATTGGT 1109 TGATCTATTT AAGTTGATTC AAGGGGACAT TAGGCAGCAC TCTCTAGAAC AGAACCTAGC 1169 TGTCAACGTG TGGGGGATGA ATTGGTCATA GCCTGCACTG AGGTCTTTCA TTGAAGCTGA 1229 GAATAAATAG GTTCCTATAA TATGGATGAG AATTTTTATG AATGAAGCAC AGACACTTGC 1289 TTTGATGAGT ATGAAATAAA TTTCATTAAA ACAAACAAAC A 1330
【図面の簡単な説明】
【図1】N末端にわずかな変異を持つ前駆体IL−1α
蛋白質をコードする発現プラスミドpIL1-27 の作成を示
す工程図である。
【図2】完全な前駆体IL−1αをコードする発現プラ
スミドpIL1-274の模式図である。
【図3】前駆体及び成熟体IL−1αの活性を測定した
結果を示す線図である。
【図4】発現プラスミドpTS2027 及びpTS2028 の構築を
示す工程図である。
【図5】pTS2027 をもつ大腸菌HB101が産生するr
IL−1α蛋白質の活性を示す線図である。
【図6】HB101(pTS2027 )の増殖を示す線図であ
る。
【図7】図6の各時間におけるrIL−1α蛋白質の量
を示すSDS−PAGEの模式図である。
【図8】HB101(pTS2027 )の細胞抽出液を幾つか
の画分に分けた時の各画分中の蛋白質の量を示すSDS
−PAGEの模式図である。
【図9】tacプロモータを有するベクターpKK223-3の
制限酵素地図である。
【図10】発現プラスミドを持つ大腸菌JM109より
得られた蛋白質のSDS−PAGE泳動図である。
【図11】pTS2049 及びpTS2051 のIL−1活性を示す
線図である。
【図12】rIL−1αの精製のステップの概略を示す
工程図である。
【図13】DEAE−セファロースCL−6Bカラムで
の溶出パターンを示した線図である。
【図14】疎水クロマトクラフィーでの溶出パターンを
示した線図である。
【図15】各ステップごとの蛋白質のSDS−PAGE
の結果を示す模式図である。
【図16】精製したrIL−1α蛋白質標品のIL−1
活性の結果を示す線図である。
【図17】発現プラスミドpTS2059 及びpTS2058 の構築
を示す工程図である。
【図18】得られた組換え体の菌体蛋白質のSDS−P
AGEによる解析結果を示す模式図であり、aはPR
ロモータを用いた発現系、bはtacプロモータを用い
た発現系(pTS2058) 、cはtacプロモータを用いた発
現系(pTS2059) である。
【図19】各プラスミドが産生するrIL−1βの活性
を示す線図である。
【図20】rIL−1βの精製のステップの概略を示す
工程図である。
【図21】カラムクロマトグラフィーの溶出パターンの
結果を示す線図である。
【図22】各精製段階での蛋白質のSDS−PAGEの
結果を示す模式図である。
【図23】精製したrIL−1β蛋白質を用いてIL−
1活性を測定した結果を示す線図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:19)

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マウス・マクロファージ由来のマウス・
    インターロイキン−1cDNA断片を備えたことを特徴
    とするマウス・インターロイキン−1産生プラスミド。
  2. 【請求項2】 前記マウス・インターロイキン−1cD
    NA断片を成熟体又は前駆体マウス・インターロイキン
    −1αcDNA断片としたことを特徴とする請求項1に
    記載のマウス・インターロイキン−1産生プラスミド。
  3. 【請求項3】 前記マウス・インターロイキン−1産生
    プラスミドが、sak(スタフィロキナーゼ)産生遺伝
    子のリボゾーム結合部位及び翻訳開始コドンを前記cD
    NA断片の上流に備えたことを特徴とする請求項1又は
    2に記載のマウスインターロイキン−1産生プラスミ
    ド。
  4. 【請求項4】 前記マウス・インターロイキン−1αc
    DNA断片を備えたマウス・インターロイキン−1産生
    プラスミドが、tacプロモータを前記sak遺伝子の
    リボゾーム結合部位及び翻訳開始コドンとそれに続くc
    DNA断片の上流に備えたことを特徴とする請求項2又
    は3に記載のマウス・インターロイキン−1産生プラス
    ミド。
  5. 【請求項5】 前記マウス・インターロイキン−1産生
    プラスミドが、tacプロモータを備えたpKK223-3の S
    maI切断部位に前記sak遺伝子のリボゾーム結合部位
    及び翻訳開始コドンとそれに続く成熟体マウス・インタ
    ーロイキン−1αcDNA断片を融合したDNA断片を
    挿入したことを特徴とするマウス・インターロイキン−
    1α産生プラスミドpTS2051 。
  6. 【請求項6】 前記マウス・インターロイキン−1cD
    NA断片を成熟体又は前駆体インターロイキン−1βc
    DNA断片としたことを特徴とする請求項1に記載のマ
    ウス・インターロイキン−1産生プラスミド。
  7. 【請求項7】 前記マウス・インターロイキン−1cD
    NA断片が、sak(スタフィロキナーゼ)遺伝子のリ
    ボゾーム結合部位及び翻訳開始コドンを前記cDNA断
    片の上流に備えたことを特徴とする請求項6に記載のマ
    ウス・インターロイキン−1産生プラスミド。
  8. 【請求項8】 前記マウス・インターロイキン−1βc
    DNA断片を備えたマウス・インターロイキン−1産生
    プラスミドが、tacプロモータを前記sak遺伝子の
    リボゾーム結合部位及び翻訳開始コドンと前記cDNA
    断片との上流に備えたことを特徴とする請求項6又は7
    に記載のマウス・インターロイキン−1産生プラスミ
    ド。
  9. 【請求項9】 前記マウス・インターロイキン−1産生
    プラスミドがtacプロモータを備えたpKK223-3の Sma
    I切断部位に前記sak遺伝子のリボゾーム結合部位及
    び翻訳開始コドンと成熟体マウス・インターロイキン−
    1βcDNA断片を融合したDNA断片を挿入したこと
    を特徴とするマウス・インターロイキン−1β産生プラ
    スミドpTS2058 。
  10. 【請求項10】 前記請求項1〜9のいずれかに記載の
    マウス・インターロイキン−1産生プラスミドを宿主細
    菌に導入し、該宿主細菌を培養して、該培養液又は培養
    菌体よりマウス・インターロイキン−1を回収すること
    を特徴とするマウス・インターロイキン−1の製造法。
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