JPH058405Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、各種建築物のコンクリート床を効率
良く暖房するために、仕上コンクリート層内に蛇
行状態に埋設される熱媒循環パイプを、断熱材上
に確実に固定するための専用ホルダーに関する。

（従来の技術） コンクリート床暖房の基本構造は、具体的には
図示しないが、床基礎を構成する基礎コンクリー
ト層の上面に断熱材を敷設し、該断熱材上に熱媒
を循環させる金属パイプ等を蛇行状態に配設する
一方、該蛇行状の金属パイプの上方に仕上コンク
リート層を形成して、例えばボイラ等から供給さ
れる水等の熱媒を上記蛇行状の金属パイプ内を循
環させて、熱を仕上コンクリート層に直接伝達す
ることにより、コンクリート床の暖房を行なう構
造となつている。

そして、実際の施工に際しては、上記断熱材上
に金属パイプを蛇行状に配設した後、該金属パイ
プの上方から直接コンクリートを流し込んで乾燥
硬化させることにより、該金属パイプを埋設する
仕上コンクリート層を形成するものであるから、
斯るコンクリートの流し込み時には、金属パイプ
の蛇行状態が確実に保持されていなければならな
い。でないと、蛇行状態の金属パイプに無理な力
が加わつて、配管状態が不良となる恐れがある。

しかも、金属パイプは、通常直接部分と曲線部
分とに分離して工場生産し、現場で各部分を順に
連結して蛇行状態となすものであるから、このよ
うな連結金属パイプの場合には、特に金属パイプ
の連結部位において、見過ごし難い損傷や劣化の
発生が十分に予測される。

この為、従来にあつては、保持凹溝を有する保
持板を別途用意して、該保持板を断熱材上に敷き
詰め、この保持板の保持凹溝内に金属パイプの一
部又は全部を収納して、金属パイプの蛇行状態を
保持する構成を採用することにより、コンクリー
トの流し込み時に、金属パイプの蛇行状態に無理
な力が加わつて、ズレが発生することを防止する
等の工夫が施されている。

（考案が解決しようとする問題点） 然し乍ら、従来にあつて、コンクリートの流し
込み時における、金属パイプの蛇行状態のズレを
防止するために、保持凹溝を有する保持板を用意
して併用することは、床暖房自体の部品点数が増
加してコスト高となることは言うまでもないが、
今度は保持板側を固定しなければならなくなるの
で、これに起因して、構造も自ずと複雑となつ
て、施工そのものも煩雑となつてしまう問題点を
新たに招来している。

（問題点を解決するための手段） 而して、本考案は、上記従来の課題を有効に解
決するために開発されたもので、仕上コンクリー
ト層内に蛇行状態に埋設される熱媒循環パイプ
を、基礎コンクリート層に敷設された断熱材上に
固定するホルダーであつて、該ホルダー本体は、
下部が上記断熱材内に係入される一対の差込脚
と、該一対の差込脚の上部を連結する連結肩とか
ら成り、差込脚と連結肩は各自の両側縁に張出片
を突設して、該両張出片間に画成される空間内に
コンクリートが流入できる構成となすと共に、一
対の差込脚の両側縁に突設されている各張出片の
下部先端縁に、係止列歯を連続して形成する構成
を採用した。

（作用） 依つて、本考案にあつては、従来の如き保持凹
溝を有する保持板を用いなくとも、断熱材上に蛇
行状態に配設された熱媒循環パイプの上方から、
ホルダー本体が備える一対の差込脚の下部を断熱
材内に差し込むと、該各差込脚の両側縁に突設さ
れている張出片の係止列歯が断熱材と咬合して、
ホルダー本体が断熱材に対して強固に固定される
と同時に、ホルダー本体の差込脚と連結肩間でパ
イプが確実に保持されることとなる。

従つて、例え斯る状態のままコンクリートが流
し込まれたとしても、断熱材に対して強固に固定
されているホルダー本体により、熱媒循環パイプ
は確実に保持されているので、パイプの蛇行状態
がズレたり移動したりする心配は全くなくなる。

（実施例） 以下、本考案を図示する一実施例に基づいて詳
述すれば、該実施例に係る床暖房用パイプホルダ
ーは、第１図に示す如く、金属薄板の折曲加工に
より一体成形されて、全体が略逆Ｕ字形状を呈
し、該ホルダー本体１は、下部が断熱材内に強制
的に差し込まれる一対の差込脚２，２と、該一対
の差込脚２，２の上部を連結する連結肩３とから
成り、差込脚２，２と連結肩３は各自の両側縁に
張出片４を突設して、該両張出片４，４間に画成
される空間５内にコンクリートが流入できる構成
となすと共に、一対の差込脚２，２の両側縁に突
設されている各張出片４の少なくとも下部先端縁
に、係止列歯６を連続して形成する構成なつてい
る。

依つて、斯る構成のホルダーを用いて、仕上コ
ンクリート層１４内に埋設される熱媒循環パイプ
１３を、断熱材１２上に確実に固定する場合に
は、第２図・第３図に示す如く、床基礎を構成す
る基礎コンクリート層１１の上面に断熱材１２を
敷設し、該断熱材１２上に熱媒を循環させる金属
パイプ１３を蛇行状態に配設した後、該金属パイ
プ１３の上方から、上記ホルダー本体１が備える
一対の差込脚２，２の下部を断熱材１２内に強制
的に差し込むと、該各差込脚２の両側縁に突設さ
れている張出片４の係止列歯６が断熱材１２と咬
合して、ホルダー本体１が断熱材１２に対して強
固に固定されると同時に、ホルダー本体１の差込
脚２と連結肩３間でパイプ１３が確実に保持され
ることとなる。

尚、本実施例にあつては、図示する如く、金属
パイプ１３を直線部分１３ａと曲線部分１３ｂと
に分離して、後から連結する構成を採用している
ので、ホルダー本体１で両者１３ａ，１３ｂの連
結部位近傍を保持する構成となしているが、これ
に限定されるものではなく、その他の部位を保持
するように構成することも実施に応じ任意であ
る。

従つて、例え上記保持状態のままコンクリート
が流し込まれたとしても、断熱材１２に対して強
固に固定されているホルダー本体１により、熱媒
循環パイプ１３は確実に保持されているので、該
パイプ１３の蛇行状態がズレたり移動したりする
心配は全くなくなる。

しかも、ホルダー本体１の固定状態にあつて
は、差込脚２・連結肩３の両側縁に突設されてい
る張出片４，４間に画成される空間５内にも、コ
ンクリートが流入して硬化している関係で、ホル
ダー本体１は金属パイプ１３の蛇行状態を確実に
保持しながら、仕上コンクリート層１４内に確実
に埋設されることとなる。

従つて、ボイラ等から供給される水等の熱媒を
上記蛇行状の金属パイプ１３内を循環させて、熱
を仕上コンクリート層１４に伝達することによ
り、コンクリート床の暖房が可能となることは言
うまでもない。

（考案の効果） 以上の如く、本考案は、ホルダー本体を、下部
が断熱材内に差し込まれる一対の差込脚と、該一
対の差込脚の上部を連結する連結肩とから構成
し、且つ差込脚と連結肩の各両側縁に張出片を突
設して、該両張出片間に画成される空間内にコン
クリートが流入できる構成となすと共に、一対の
差込脚の両側縁に突設されている各張出片の下部
先端縁に、係止列歯を連続して形成したことを特
徴とするものであるから、従来の如き保持凹溝を
有する保持板を用いなくとも、断熱材上に蛇行状
態に配設された熱媒循環パイプの上方から、ホル
ダー本体が備える一対の差込脚の下部を断熱材内
に差し込むだけで、ホルダー本体が断熱材に対し
て強固に固定されて、これにより、ホルダー本体
の差込脚と連結肩間でパイプが確実に保持される
こととなる。

従つて、例えこの状態のままコンクリートが流
し込まれたとしても、ホルダー本体の保持作用に
寄り、熱媒循環パイプの蛇行状態がズレたり移動
したりする心配は全くなくなる。

又、本考案にあつては、差込脚と連結肩の両側
縁に突設されている張出片間に画成される空間内
に、コンクリートを流入して硬化させる関係で、
ホルダー本体は金属パイプの蛇行状態を保持しな
がら、仕上コンクリート層内に確実に埋設される
こととなるので、この点からも、パイプの配管状
態が一層確実なものとなる。

しかも、本考案に係るホルダーは、構造が極め
て簡単であるから、従来の把持板と比しコスト低
廉となるばかりか、コンクリート床暖房構造自体
の簡略化にも大いに貢献できることとなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例に係る床暖房用パイプ
ホルダーを示す全体斜視図、第２図は同ホルダー
を用いてパイプの蛇行状態を保持した状態を示す
平面図、第３図は同要部断面図である。 １……ホルダー本体、２……差込脚、３……連
結肩、４……張出片、５……空間、６……係止列
歯、１１……基礎コンクリート層、１２……断熱
材、１３……熱媒循環金属パイプ、１４……仕上
コンクリート層。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 仕上コンクリート層内に蛇行状態に埋設される
   熱媒循環パイプを、基礎コンクリート層に敷設さ
   れた断熱材上に固定するホルダーであつて、該ホ
   ルダー本体は、下部が上記断熱材内に差し込まれ
   る一対の差込脚と、該一対の差込脚の上部を連結
   する連結肩とから成り、差込脚と連結肩は各自の
   両側縁に張出片を突設して、該両張出片間に画成
   される空間内にコンクリートが流入できる構成と
   なすと共に、一対の差込脚の両側縁に突設されて
   いる各張出片の少なくとも下部先端縁に、係止列
   歯を連続して形成したことを特徴とする床暖房用
   パイプホルダー。