JPH0583790A - スピーカ用振動板 - Google Patents

スピーカ用振動板

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JPH0583790A
JPH0583790A JP3137228A JP13722891A JPH0583790A JP H0583790 A JPH0583790 A JP H0583790A JP 3137228 A JP3137228 A JP 3137228A JP 13722891 A JP13722891 A JP 13722891A JP H0583790 A JPH0583790 A JP H0583790A
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paper
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pulp
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Takahisa Sano
隆久 佐野
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 単繊維強度の著しい低下をまねく叩解作業を
止め、通常木材パルプを主原料とした高強度、高弾性、
高比弾性及び高内部損失を具備したピーカ用振動板紙を
得る。 【構成】 通常木材パルプに超叩解木材パルプを添加し
て、攪拌し、抄造し、プレス乾燥した高強度、高弾性、
高比弾性及び高内部損失を有するスピーカ用振動板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はスピーカの如き電気音響
変換器に用いられるスピーカ用振動板、特に高強度、高
弾性、高比弾性、高内部損失を持たせたスピーカ用振動
板に関する。
【0002】
【従来の技術】木材パルプの比表面積は通常1.0m2
/g程度であるが、一般によく使用されているナイヤガ
ラ式叩解機で、かなり高い叩解度(150cc CSF=カナダ標
準濾水度)に叩解しても、その比表面積は4.0m2
gまでしか達しないと言われている。紙の内部損失は繊
維間摩擦に起因していると言われ、繊維間接触面積に比
例して叩解度の上昇と共に増加するが、一方叩解度が上
がれば濾水抵抗が増し、濾水性は低下して、抄紙速度は
遅くなる。
【0003】また、叩解作用によってセルロース繊維は
膨潤、可塑化して比表面積が拡大して繊維間接触面積も
増加し、紙の密度は上昇するので、強度、弾性率、比弾
性(剛度)等の機械的性質はある程度向上する。しか
し、木材パルプの単繊維は叩解作用によって繊維幅方向
に切断されたり、繊維軸方向に損傷を起こすなどしなが
ら、次第に短く細くなって、その単位繊維強度が著しく
低下を起こし期待した程、その紙全体の強度は大きく上
がらないのが現実である。
【0004】従って、叩解によって単繊維強度或いは繊
維形態を維持し、比表面積を拡大して紙の機械的強度と
内部損失を同時に上げることは本来難しく、これを実現
する叩解機は現存しない。叩解度の上昇によって濾水抵
抗も上昇するので、生産性を考えた場合は、叩解度を高
く上げられない。また上げても400ccCSF程度ま
でである。当然に重量が重い程、抄紙時間を要する。
【0005】スピーカ用振動板の重量は100〜450
g/m2 の範囲にあるが、一般の洋紙類は40〜80g
/m2 程度なので同一叩解度では抄紙時間は多くなる。
これらから生産性を考えれば、なおさら機械的物性と内
部損失の大幅な向上は望めないのが実際である。
【0006】木材パルプによる紙の強度は木材単繊維の
強度と繊維間接触面積の総和で決まり、強い紙を抄造す
る条件は、木材パルプの単繊維強度或いは繊維形態を維
持して、繊維間接触面積を増加させることである。この
接触面積の増加は繊維の比表面積を拡大することであ
り、比表面積の拡大に最も一般的に使用されるのが叩解
である。叩解作用によって単繊維強度を下げないで或い
は繊維形態を維持して、しかも比表面積を大きくさせる
フイブリル化を促すことが叩解の理想である。
【0007】しかし、現実には叩解機の中では木材パル
プの単繊維は強い機械的衝撃を受けて繊維幅方向に切断
されたり、或いは繊維軸方向に損傷を受け、その繊維形
態は短く細くなって単繊維強度は著しく低下している。
それと同時に繊維幅方向に表面積は幾らか拡大され、水
による可塑化の影響も受けて多少とも接触面積は大きく
なっている。
【0008】一般に叩解エネルギーの殆どは繊維の比表
面積拡大(フイブリル化)より切断、損傷の方に消費さ
れる。これは繊維の切断に要するエネルギーはフイブリ
ル化に必要なエネルギーの1/10と言われているの
で、叩解作用においては優先的に切断が起き易いことに
なる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】この様に一般的に使用
されているナイヤガラ式叩解機による叩解では、繊維の
切断及び損傷とを伴いながら若干の表面積の増大が同時
進行するので、全く切断も損傷も受けないで単繊維強度
或いは繊維形態を完全に維持して、強い紙を作ることは
不可能である。従って、前述の如く単繊維の強度或いは
繊維形態を維持して、繊維間接触面積を拡大させるフイ
ブリル化のみを起こさせることは通常の叩解機では不可
能で、現実にも存在しない。
【0010】繊維間接触面積を拡大でき、しかも接着機
能をもつ物質を別途に製造して添加する方が高強度、高
比弾性(剛度)を持つ紙を得ることが期待できる。しか
し、この場合でも接着機能を持つ物質はその皮膜物性が
大切で、弾性率の低い物質であれば、成紙の弾性率や比
弾性も低い。
【0011】接着機能を持ちながら弾性率も高い物質で
なければ、成紙の弾性率も上がらない。接着剤として樹
脂、ゴムラテックス(SBR,NBR )を添加する方法がある
が、強度は向上するが弾性率や比弾性を上げる物質は少
ない。
【0012】本発明はこのような点に鑑みてなされたも
ので、その目的とするところは、木材パルプを主原料と
し、高強度、高弾性、高比弾性及び高内部損失を有し、
かつ、生産性の良いスピーカ用振動板を提供することに
ある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明のスピーカ用振動板は、通常の木材パルプに超
叩解して比表面積10.0m2 /g以上とした超叩解木
材パルプを0.5%以上添加してなる高強度、高弾性、
高比弾性、高内部損失を有することに特徴を有してい
る。
【0014】
【作用】内外径差のあるシリンダーの狭いスリット間に
高圧で、ウエット状パルプを押し込め、内側シリンダー
と外側シリンダーを互いに高速度で逆回転させると、こ
の狭いスリット間をパルプが通過する時に、繊維軸に沿
って微細化され、繊維状態を維持しながらミクロ状にフ
イブリル化される。この操作を繰り返すことにより、パ
ルプは次第にサブミクロンまでにフイブリル化され、比
表面積が通常の叩解機では得られない高い値(10〜200m
2 /g)を示す。このパルプを超叩解木材パルプ或いはマ
イクロファイバーと称する。この超叩解木材パルプは比
表面積が大きいので、必然的に水素結合数も多いので接
着性能に優れ、しかもその皮膜物性は高強度、高弾性率
で無添加セロファンと同等以上である。
【0015】叩解されてない木材パルプ(750ccCSF)、
或いは低叩解木材パルプに上記の比表面積が大きく、接
着機能(水素結合)を持ち皮膜強度が強い超叩解木材パ
ルプ(マイクロファイバー)を少量添加するだけで紙の
強度、弾性率、比弾性(剛度=ステイフネス)等の機械
的強度と内部損失は飛躍的に向上する。これは木材パル
プのセルロース単繊維が叩解によって切断や損傷を受け
ていないので、軽くて(低密度)強い腰(剛度=比弾
性)のある紙になり、叩解のみで、高い叩解度(430ccC
SF以上)から得られた紙より優れている。濾水抵抗も低
く濾水性も良い。同一強度では成紙の密度が低いことか
らも分かる。
【0016】従って、多くの時間をかけて高い叩解度に
して紙物性を上げずとも、低い叩解度の木材パルプ、或
いは未叩解木材パルプに超叩解木材パルプを添加した方
が高い物性が得られ、軽くて強く、高い内部損失が要求
されるスピーカ用振動板には、最も都合が良く適してい
る。
【0017】この添加方法は一般に製紙工場で使用され
ている離解機(パルパー)を使えば良く、特別な離解設
備、叩解機は必要ない。それ故に、パルパーに未叩解木
材パルプと超叩解木材パルプを少量同時に添加し、十分
に攪拌するだけで、実用的な振動板材料が得られ、木材
パルプを叩解する工程が必要でなく、叩解度の管理もい
らず、何時も一定な紙物性を持った振動板が抄造でき
る。
【0018】一方、紙の内部損失は叩解度が上昇する
と、高くなることは明らかなことであり、これは叩解に
よって繊維の比表面積が増加し、繊維間接触面積が増加
すると摩擦抵抗が増えて高くなることと一致する。超叩
解木材パルプは繊維軸に沿ってフイブリル化されてお
り、その比表面積は通常の叩解機で得られる値より遙か
に大きいことは前述の通りである。この超叩解木材パル
プの添加により繊維間接触面積は急激に増加し、それと
共に内部損失も上昇する。比表面積と内部損失は密接な
比例関係にあり、比表面積が増大すれば内部損失も向上
する。
【0019】この様に叩解しない未叩解木材パルプ或い
は低叩解木材パルプに超叩解木材パルプを添加して成る
紙は、強度、弾性率高く、比弾性(剛度=Stiffness )
が大きく、しかも内部損失の高い紙となり、抄紙時の濾
水性も良く、また叩解機、叩解工程、叩解管理等は必要
なくなり低コストな振動板が期待できる。
【0020】
【実施例】離解機(パルパー)に清水を張り込み、これ
に未叩解木材パルプ或いは低叩解木材パルプと超叩解木
材パルプを添加して、パルプ濃度3%とする。5分間
(350rpm)攪拌して離解し、所定量の製紙用薬剤を添加
して、通常の抄紙機で抄造して、プレス乾燥して振動板
とする。抄紙に際しては、湿潤強度向上剤、サイズ剤を
加え、耐湿度性、耐水性を向上させる。この時の振動板
紙の物理的性質は別紙の表1の通りである。
【0021】 1.未叩解木材パルプNBKPの叩解度は750ccGSF (カナ
ダ標準濾水度)である。 2.製紙用薬剤と添加量は次の通りである。 潤滑強度向上剤 エポキシポリアミド樹脂 1.5% サイズ ダイマー酸エステル 0.5% PH 中性 6.5 3.物理物性測定法(29℃+65RH中)は通りであ
る。 引張強度 :引張試験機の測定値から算出 引張弾性率:引張試験(応力歪曲線)での歪率0.25
%モジュラスで算出 内部損失 :捩れ自由減衰粘弾性試験機(JIS-K7213 )
の測定値より算出 比弾性 :引張弾性率を密度で除した値、剛度(Stif
fness )を表す。
【0022】例えば表−1に示す如く、高い叩解度の紙
(150ccCSF)より未叩解の低い叩解度(750ccCSF)のパ
ルプに超叩解木材パルプを少量の1〜5%添加されるだ
けでも、その物理物性は大きく改善されて、通常の叩解
機では得られない高い強度、弾性率と高い比弾性(剛
度)及び内部損失を持った振動板が得られる。これから
も分かる通り、叩解作用は繊維に切断や損傷を与えてし
まうので、密度は上がるが、強度、弾性率等の機械的物
性は若干の向上しかせず、腰の強い紙は得られない。
【0023】超叩解木材パルプを7%以上添加すれば、
叩解度150ccCSFの紙の強度を上回り、5%以上
添加ですでに引張弾性率、比弾性、内部損失も超える。
高い叩解度まで叩解するよりは、未叩解木材パルプ或い
は低叩解木材パルプに超叩解パルプを少量添加した方が
良い物理物性が得られる。
【0024】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、は叩解機
等で機械的損傷を受けてない未叩解木材パルプ、或いは
低叩解木材パルプに、機械的に超叩解して比表面積1
0.0m2 /g以上にした超叩解木材パルプを0.5%
以上程度添加することにより、濾水抵抗を上げず、抄紙
速度も低下させないで抄紙でき、成紙は力学的性質(強
度、弾性率、剛度=比弾性)が高く、大きな内部損失を
有する優れたスピーカ用振動板にすることができる。未
叩解木材パルプを主原料とすればパルプ材の叩解工程を
必要とせず、設備、管理、人件費等の削減となり安価な
スピーカ用振動板を提供できる。
【表1】
【手続補正書】
【提出日】平成4年9月18日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はスピーカの如き電気音響
変換器に用いられるスピーカ用振動板、特に高強度、高
弾性、高比弾性、高内部損失を持たせたスピーカ用振動
板に関する。
【0002】
【従来の技術】木材パルプの比表面積は通常1.0m2
/g程度であるが、一般によく使用されているナイヤガ
ラ式叩解機で、かなり高い叩解度(150cc CSF=カナダ標
準濾水度)に叩解しても、その比表面積は4.0m2
gまでしか達しないと言われている。紙の内部損失は繊
維間摩擦に起因していると言われ、繊維間接触面積に比
例して叩解度の上昇と共に増加するが、一方叩解度が上
がれば濾水抵抗が増し、濾水性は低下して、抄紙速度は
遅くなる。
【0003】また、叩解作用によってセルロース繊維は
膨潤、可塑化して比表面積が拡大して繊維間接触面積も
増加し、紙の密度は上昇するので、強度、弾性率、比弾
性(剛度)等の機械的性質はある程度向上する。しか
し、木材パルプの単繊維は叩解作用によって繊維幅方向
に切断されたり、繊維軸方向に損傷を起こすなどしなが
ら、次第に短く細くなって、その単位繊維強度が著しく
低下を起こし期待した程、その紙全体の強度は大きく上
がらないのが現実である。
【0004】従って、叩解によって単繊維強度或いは繊
維形態を維持し、比表面積を拡大して紙の機械的強度と
内部損失を同時に上げることは本来難しく、これを実現
する叩解機は現存しない。叩解度の上昇によって濾水抵
抗も上昇するので、生産性を考えた場合は、叩解度を高
く上げられない。また上げても400ccCSF程度ま
でである。当然に重量が重い程、抄紙時間を要する。
【0005】スピーカ用振動板の重量は100〜450
g/m2 の範囲にあるが、一般の洋紙類は40〜80g
/m2 程度なので同一叩解度では抄紙時間は多くなる。
これらから生産性を考えれば、なおさら機械的物性と内
部損失の大幅な向上は望めないのが実際である。
【0006】木材パルプによる紙の強度は木材単繊維の
強度と繊維間接触面積の総和で決まり、強い紙を抄造す
る条件は、木材パルプの単繊維強度或いは繊維形態を維
持して、繊維間接触面積を増加させることである。この
接触面積の増加は繊維の比表面積を拡大することであ
り、比表面積の拡大に最も一般的に使用されるのが叩解
である。叩解作用によって単繊維強度を下げないで或い
は繊維形態を維持して、しかも比表面積を大きくさせる
フイブリル化を促すことが叩解の理想である。
【0007】しかし、現実には叩解機の中では木材パル
プの単繊維は強い機械的衝撃を受けて繊維幅方向に切断
されたり、或いは繊維軸方向に損傷を受け、その繊維形
態は短く細くなって単繊維強度は著しく低下している。
それと同時に繊維幅方向に表面積は幾らか拡大され、水
による可塑化の影響も受けて多少とも接触面積は大きく
なっている。
【0008】一般に叩解エネルギーの殆どは繊維の比表
面積拡大(フイブリル化)より切断、損傷の方に消費さ
れる。これは繊維の切断に要するエネルギーはフイブリ
ル化に必要なエネルギーの1/10と言われているの
で、叩解作用においては優先的に切断が起き易いことに
なる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】この様に一般的に使用
されているナイヤガラ式叩解機による叩解では、繊維の
切断及び損傷とを伴いながら若干の表面積の増大が同時
進行するので、全く切断も損傷も受けないで単繊維強度
或いは繊維形態を完全に維持して、強い紙を作ることは
不可能である。従って、前述の如く単繊維の強度或いは
繊維形態を維持して、繊維間接触面積を拡大させるフイ
ブリル化のみを起こさせることは通常の叩解機では不可
能で、現実にも存在しない。
【0010】繊維間接触面積を拡大でき、しかも接着機
能をもつ物質を別途に製造して添加する方が高強度、高
比弾性(剛度)を持つ紙を得ることが期待できる。しか
し、この場合でも接着機能を持つ物質はその皮膜物性が
大切で、弾性率の低い物質であれば、成紙の弾性率や比
弾性も低い。
【0011】接着機能を持ちながら弾性率も高い物質で
なければ、成紙の弾性率も上がらない。接着剤として樹
脂、ゴムラテックス(SBR,NBR )を添加する方法がある
が、強度は向上するが弾性率や比弾性を上げる物質は少
ない。
【0012】本発明はこのような点に鑑みてなされたも
ので、その目的とするところは、木材パルプを主原料と
し、高強度、高弾性、高比弾性及び高内部損失を有し、
かつ、生産性の良いスピーカ用振動板を提供することに
ある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明のスピーカ用振動板は、通常の木材パルプに超
叩解して比表面積10.0m2 /g以上とした超叩解木
材パルプを0.5%以上添加してなる高強度、高弾性、
高比弾性、高内部損失を有することに特徴を有してい
る。
【0014】
【作用】内外径差のあるシリンダーの狭いスリット間に
高圧で、ウエット状パルプを押し込め、内側シリンダー
と外側シリンダーを互いに高速度で逆回転させると、こ
の狭いスリット間をパルプが通過する時に、繊維軸に沿
って微細化され、繊維状態を維持しながらミクロ状にフ
イブリル化される。この操作を繰り返すことにより、パ
ルプは次第にサブミクロンまでにフイブリル化され、比
表面積が通常の叩解機では得られない高い値(10〜200m
2 /g)を示す。このパルプを超叩解木材パルプ或いはマ
イクロファイバーと称する。この超叩解木材パルプは比
表面積が大きいので、必然的に水素結合数も多いので接
着性能に優れ、しかもその皮膜物性は高強度、高弾性率
で無添加セロファンと同等以上である。
【0015】叩解されてない木材パルプ(750ccCSF)、
或いは低叩解木材パルプに上記の比表面積が大きく、接
着機能(水素結合)を持ち皮膜強度が強い超叩解木材パ
ルプ(マイクロファイバー)を少量添加するだけで紙の
強度、弾性率、比弾性(剛度=ステイフネス)等の機械
的強度と内部損失は飛躍的に向上する。これは木材パル
プのセルロース単繊維が叩解によって切断や損傷を受け
ていないので、軽くて(低密度)強い腰(剛度=比弾
性)のある紙になり、叩解のみで、高い叩解度(430ccC
SF以上)から得られた紙より優れている。濾水抵抗も低
く濾水性も良い。同一強度では成紙の密度が低いことか
らも分かる。
【0016】従って、多くの時間をかけて高い叩解度に
して紙物性を上げずとも、低い叩解度の木材パルプ、或
いは未叩解木材パルプに超叩解木材パルプを添加した方
が高い物性が得られ、軽くて強く、高い内部損失が要求
されるスピーカ用振動板には、最も都合が良く適してい
る。
【0017】この添加方法は一般に製紙工場で使用され
ている離解機(パルパー)を使えば良く、特別な離解設
備、叩解機は必要ない。それ故に、パルパーに未叩解木
材パルプと超叩解木材パルプを少量同時に添加し、十分
に攪拌するだけで、実用的な振動板材料が得られ、木材
パルプを叩解する工程が必要でなく、叩解度の管理もい
らず、何時も一定な紙物性を持った振動板が抄造でき
る。
【0018】一方、紙の内部損失は叩解度が上昇する
と、高くなることは明らかなことであり、これは叩解に
よって繊維の比表面積が増加し、繊維間接触面積が増加
すると摩擦抵抗が増えて高くなることと一致する。超叩
解木材パルプは繊維軸に沿ってフイブリル化されてお
り、その比表面積は通常の叩解機で得られる値より遙か
に大きいことは前述の通りである。この超叩解木材パル
プの添加により繊維間接触面積は急激に増加し、それと
共に内部損失も上昇する。比表面積と内部損失は密接な
比例関係にあり、比表面積が増大すれば内部損失も向上
する。
【0019】この様に叩解しない未叩解木材パルプ或い
は低叩解木材パルプに超叩解木材パルプを添加して成る
紙は、強度、弾性率高く、比弾性(剛度=Stiffness )
が大きく、しかも内部損失の高い紙となり、抄紙時の濾
水性も良く、また叩解機、叩解工程、叩解管理等は必要
なくなり低コストな振動板が期待できる。
【0020】
【実施例】離解機(パルパー)に清水を張り込み、これ
に未叩解木材パルプ或いは低叩解木材パルプと超叩解木
材パルプを添加して、パルプ濃度3%とする。5分間
(350rpm)攪拌して離解し、所定量の製紙用薬剤を添加
して、通常の抄紙機で抄造して、プレス乾燥して振動板
とする。抄紙に際しては、湿潤強度向上剤、サイズ剤を
加え、耐湿度性、耐水性を向上させる。この時の振動板
紙の物理的性質は別紙の表1の通りである。
【0021】 1.未叩解木材パルプNBKPの叩解度は750ccGSF (カナ
ダ標準濾水度)である。 2.製紙用薬剤と添加量は次の通りである。 潤滑強度向上剤 エポキシポリアミド樹脂 1.5% サイズ ダイマー酸エステル 0.5% PH 中性 6.5 3.物理物性測定法(29℃+65RH中)は通りであ
る。 引張強度 :引張試験機の測定値から算出 引張弾性率:引張試験(応力歪曲線)での歪率0.25
%モジュラスで算出 内部損失 :捩れ自由減衰粘弾性試験機(JIS-K7213 )
の測定値より算出 比弾性 :引張弾性率を密度で除した値、剛度(Stif
fness )を表す。
【0022】例えば表−1に示す如く、高い叩解度の紙
(150ccCSF)より未叩解の低い叩解度(750ccCSF)のパ
ルプに超叩解木材パルプを少量の1〜5%添加されるだ
けでも、その物理物性は大きく改善されて、通常の叩解
機では得られない高い強度、弾性率と高い比弾性(剛
度)及び内部損失を持った振動板が得られる。これから
も分かる通り、叩解作用は繊維に切断や損傷を与えてし
まうので、密度は上がるが、強度、弾性率等の機械的物
性は若干の向上しかせず、腰の強い紙は得られない。
【0023】超叩解木材パルプを7%以上添加すれば、
叩解度150ccCSFの紙の強度を上回り、5%以上
添加ですでに引張弾性率、比弾性、内部損失も超える。
高い叩解度まで叩解するよりは、未叩解木材パルプ或い
は低叩解木材パルプに超叩解パルプを少量添加した方が
良い物理物性が得られる。
【0024】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、は叩解機
等で機械的損傷を受けてない未叩解木材パルプ、或いは
低叩解木材パルプに、機械的に超叩解して比表面積1
0.0m2 /g以上にした超叩解木材パルプを0.5%
以上程度添加することにより、濾水抵抗を上げず、抄紙
速度も低下させないで抄紙でき、成紙は力学的性質(強
度、弾性率、剛度=比弾性)が高く、大きな内部損失を
有する優れたスピーカ用振動板にすることができる。未
叩解木材パルプを主原料とすればパルプ材の叩解工程を
必要とせず、設備、管理、人件費等の削減となり安価な
スピーカ用振動板を提供できる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 通常の木材パルプに超叩解して比表面積
    10.0m2 /g以上とした超叩解木材パルプを0.5
    %以上添加してなる高強度、高弾性、高比弾性、高内部
    損失を有することを特徴とするスピーカ用振動板。
JP03137228A 1991-05-13 1991-05-13 スピーカ用振動板 Expired - Lifetime JP3075584B2 (ja)

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JP03137228A JP3075584B2 (ja) 1991-05-13 1991-05-13 スピーカ用振動板

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WO2009044506A1 (ja) * 2007-10-05 2009-04-09 Panasonic Corporation 微細化天然繊維、及び、微細化天然繊維を塗布したスピーカ用振動板
JP2009091678A (ja) * 2007-10-05 2009-04-30 Panasonic Corp 微細化天然繊維の製造方法および生産設備ならびにその製造方法にて製造された微細化天然繊維およびこの微細化天然繊維を用いたスピーカ用構成部品
JP2021534332A (ja) * 2018-08-10 2021-12-09 ウエストロック・エム・ダブリュー・ヴイ・エルエルシー 繊維ブレンド、繊維ブレンドを生産する方法、及び繊維ブレンドを含む板紙製品

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