JPH058131Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はグラビア印刷機において、インキパン
を、通常の印刷位置と、その下方に降下した取り
出し位置とに昇降させるインキパン昇降装置に関
する。

〔従来の技術〕

包装用グラビア印刷機では、印刷品目によりイ
ンキタイプが異なるために、インキパンを頻繁に
交換するとか或いは印刷ユニツトから取り外し、
洗浄して再度取り付ける等を操作を必要とし、イ
ンキパンの取り外し及び取り付けを容易にするた
め、インキパンを、通常の印刷位置と、その下方
の取り出し位置とに昇降させるインキパン昇降装
置が用いられている。第２図は従来のインキパン
昇降装置を備えた印刷ユニツトの主要部を概略的
に示す斜視図であり、１はユニツトフレーム、２
は版胴シヤフト、３は版胴、４はドクター、５は
インキパン、６はインキパン昇降装置である。こ
のインキパン昇降装置６は、インキパン５を支持
する昇降部材７、フレーム１に互いに平行に保持
された回転軸８，９、該回転軸８，９に固定され
且つ昇降部材７を支持するレバー１０、一方の回
転軸９の端部に取付けられたウオームホイール１
１、該ウオームホイール１１に噛み合うウオーム
１２及び該ウオーム１２を回転させるための手回
しハンドル１３等からなる。このインキパン昇降
装置６では手回しハンドル１３を手で回すことに
より、回転軸９が回転してレバー１０を揺動さ
せ、インキパン５を昇降させることができる。な
お、１４はインキ飛散防止用のシートである。

〔考案が解決しようとする問題点〕

上記構成のインキパン昇降装置６では、インキ
パン５の昇降を手動で行わねばならず、面倒であ
り、しかも停止位置調整作業に時間がかかる等の
問題点がある。また、レバー１０の揺動によりイ
ンキパン５が円弧上に移動して昇降する構造であ
るので、上下動のストロークをあまり大きくでき
ず、且つインキパンの円弧状の移動を許容する広
いスペースを必要とする等の問題点もある。

一方、インキパン内のインキ中の溶剤揮発によ
るインキ粘度変化の防止及びインキパンまわりへ
のインキ飛散の防止の為、インキパンまわりの密
閉化が重要視されてきている。従来はインキパン
上部の大きな隙間にシートを貼つて覆うという方
法でインキパンまわりの密閉化が行われてきた
が、この方法では密閉用シート貼り作業の時間が
大という欠点がある。この問題点を解消するた
め、本出願人は版胴の両側に位置するフレームの
互いに向い合う面に張出部を設け、その底面にイ
ンキパン両端面の上縁をシール関係に押付け、前
記張出部をインキパンまわりの密閉手段の一部と
して使用するようにした装置を開発した。ところ
が、この装置に第２図のインキパン昇降装置を利
用すると、手回しハンドル１３を回してインキパ
ンを上昇させ、その上縁を張出部下面に適当な接
圧で押付けておいても、ハンドル６から手を離す
と、インキパン５が自重で僅かに降下し、インキ
パン上縁と張出部下面との間に隙間が生じてシー
ルが出来ないという新たな問題点も生じた。

しかして、本考案の目的は、インキパンを手動
によらず昇降させることができ、しかも、上記し
た張出部を使用した場合には、該張出部に対して
常に所定の接圧で押付けることのできるインキパ
ン昇降装置を提供するにある。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案になるインキパン昇降装置は、インキパ
ンを支持する昇降部材と、該昇降部材を垂直方向
に案内するガイドと、駆動シヤフトと、該駆動シ
ヤフトの回転により、前記昇降部材を昇降させる
第一動力伝達機構と、流体作動シリンダーと、該
流体作動シリンダーの駆動力により前記駆動シヤ
フトを回転させる第二動力伝達機構とを有するこ
とを特徴とするものである。

〔作用〕

上記構成になるインキパン昇降装置によれば、
流体作動シリンダーが作動すると、第二動力伝達
機構により駆動シヤフトが回転する。この回転は
第一動力伝達機構を介して昇降部材を垂直なガイ
ドに沿つて昇降させる。かくして、流体作動シリ
ンダーにより、インキパンが昇降し、手動操作が
必要なくなる。また、張出部を有する印刷ユニツ
トに、上記構成のインキパン昇降装置を用いた場
合には、流体作動シリンダーの駆動力により、常
時インキパン上縁を張出部に押付けておくことが
可能であり、インキパン上縁と張出部下面とが安
定してシールされる。

〔実施例〕

以下、第１図に示す本考案の好適な実施例を説
明する。

第１図において、１は印刷ユニツトの両側に位
置するフレームであり、互いに向い合う面に張出
部２０を有している。この張出部２０は版胴シヤ
フト２を取り囲む位置に設けられており、その下
面にインキパン５の端面の上縁５Ａが押付けられ
てシールされるようになつている。２２はインキ
パン５を昇降させるインキパン昇降装置である。

インキパン昇降装置２２はインキパン５を支持
する昇降部材２３と、該昇降部材２３を垂直方向
に案内するガイド２４を有している。ガイド２４
は、印刷ユニツト内に配置されたインキパンとそ
の両側のフレーム１の間にそれぞれ配置されてい
る。ガイド２４に沿つては一対の無端状のチエー
ン２５が、スプロケツト２６，２７に掛け渡され
て設けられている。上方のスプロケツト２６は回
転自在なものであり、下方のスプロケツト２７は
駆動シヤフト２８に固定されている。このチエー
ン２５には昇降部材２３が連結されている。かく
して、駆動シヤフト２８を回転させると、スプロ
ケツト２７が回転してチエーン２５を矢印Ｄ方向
或いはその逆方向に移動させ、昇降部材２３を昇
降させる。このチエーン２５、スプロケツト２
６，２７は、駆動シヤフト２８の回転により、昇
降部材を昇降させる第一動力伝達機構を構成す
る。なお、チエーン２５に代えて、ベルト、ロー
プ、ワイヤ等が使用されてもよい。また、第一動
力伝達機構としては、図示の構造に限らず種々変
更可能である。例えば、昇降部材２３にロープの
一端を連結し、そのロープをスプロケツト２６の
位置に配置したプーリに通し、且つ駆動シヤフト
２８に取り付けたドラムに巻き取る構造としても
よい。

駆動シヤフト２８はフレーム１を貫通して外部
に突出し、その一端には、スプロケツト３０が取
付けられており、且つその上方には定位置で回転
自在なスプロケツト３１が配置されている。これ
らのスプロケツト３０，３１には、一端が床面に
固定され、他端におもり３２が取付けられたチエ
ーン３３が掛けられている。チエーン３３には、
更に移動スプロケツト３４も噛み合つている。移
動スプロケツト３４は流体作動シリンダー、例え
ばエアシリンダー３５のピストンロツド３６に保
持された支持板３７に取付けられており、エアシ
リンダー３５の作動により上下に移動可能であ
る。従つて、今、エアシリンダー３５が作動し
て、ピストンロツド３６が矢印Ａ方向に移動する
と、移動スプロケツト３４が上昇し、それに伴い
チエーン３３が矢印Ｂ方向に移動し、駆動シヤフ
ト２８を矢印Ｃ方向に回転させることとなり、ま
た、ピストンロツド３６が逆に移動したときに
は、駆動シヤフト２８も逆に回転することとな
る。かくして、チエーン３３、スプロケツト３
０，３１，３４等は、流体作動シリンダーの駆動
力により前記駆動シヤフトを回転させる第二動力
伝達機構を構成する。なお、第二動力伝達機構と
しては、図示の機構に限定されず、他の機構が用
いられてもよい。例えば、スプロケツト３０，３
１に無端状をチエーンを掛け、そのチエーンをピ
ストンロツド３６に連結して駆動するようにして
もよい。また、チエーンの代わりに、ベルト、ロ
ープ、ワイヤ等が用いられてもよいことは言うま
でもない。

エアシリンダー３５を設けた側の駆動シヤフト
２８と反対側の駆動シヤフト２８とは、伝達シヤ
フト４０及びギヤ、チエーン等により駆動連結さ
れており、同期して回転する。フレーム１の張出
部２０下方には、落下防止用ピン４１が設けられ
ている。この落下防止用ピン４１は昇降部材２３
の移動に支障のない位置と、印刷位置に上昇した
昇降部材２３の下方に位置して昇降部材２３の降
下を阻止する位置とに、手動或いはエアシリンダ
ー等の駆動機構で移動させられるように設けられ
ている。

次に、上記構成の装置の作動を説明する。第１
図の状態は、エアシリンダー３５のピストンロツ
ド３６が延び出した状態であり、移動スプロケツ
ト３４は降下した位置にある。この時、インキパ
ン５を支持するための昇降部材２３も降下したイ
ンキパン取り出し位置にある。この状態で、イン
キパン５をその下面の車輪を利用して走行させ、
両側の昇降部材２３の間に位置させると、インキ
パン５両端に取付けられた支持部材４２が昇降部
材２３の上に位置することとなる。

次に、エアシリンダー３５を作動させ、そのピ
ストンロツド３６を引つ込めると、支持板３７及
び移動スプロケツト３４が矢印Ａで示すように上
昇し、駆動シヤフト２８を矢印Ｃ方向に回転させ
る。この回転により、チエーン２５が矢印Ｄ方向
に移動し、昇降部材２３を上昇させる。昇降部材
２３はインキパン５の支持部材４２に係合してこ
れを持ち上げ、インキパン５を上昇させる。イン
キパンが上昇してその上縁５Ａが張出部２０の下
面に係合すると、それ以上の上昇は阻止され、そ
の位置に停止する。この位置が印刷位置である。
その後は、エアシリンダー３５による駆動力によ
り、インキパン５は張出部２０に押付けられた状
態に保たれ、インキパン上縁５Ａと張出部２０下
面とのシールが確実に保たれる。この状態で印刷
が行われる。なお、インキパン５を支持した昇降
部材２３が印刷位置に上昇した後、落下防止用ピ
ン４１を昇降部材２３の下に押し出しておく。こ
の落下防止用ピン４１は、インキパン５或いは昇
降部材２３が何等かの事故により落下するのを防
止する。

印刷終了後、インキパン５を降下させるには、
エアシリンダー３５のピストンロツド３６を降下
させればよい。

上記実施例において、エアシリンダー３５の駆
動力を駆動シヤフト２８の回転に変換する手段と
して、移動スプロケツト３４と一端が固定された
チエーン３３が使用されている。この構造はエア
シリンダー３５のストロークを拡大して昇降部材
２３に伝達する作用をする。例えば、駆動シヤフ
ト２８の両端に取付けられるスプロケツト２７，
３０の有効径を同一とした場合には、エアシリン
ダー３５のピストンロツド３６の移動距離に対し
て、チエーン３３はその倍の量だけスプロケツト
３０の周囲を通過し、その為、昇降部材２３はピ
ストンロツド３６の移動距離の倍だけ、昇降する
こととなる。かくして、エアシリンダー３５のス
トロークは倍に拡大されて昇降部材に伝達され
る。更に、駆動シヤフト２８両端のスプロケツト
２７，３０の有効径を変えることにより、エアシ
リンダー３５のストロークと昇降部材２３のスト
ロークとの割合を変えることも可能である。

〔考案の効果〕

以上の如く、本考案のインキパン昇降装置は、
流体作動シリンダーを駆動源として用いているの
で、流体作動シリンダーの操作のみによつて、簡
単にインキパンを昇降させることができ、しか
も、張出部を用いた場合には、流体作動シリンダ
ーにより、常にインキパン上縁を所定の接圧で押
し付けることができ、印刷中もインキパン上縁と
張出部との間を確実にシールすることができる。
駆動源は上記のように流体作動シリンダーである
ので、防爆上の問題がない。また、本考案では昇
降部材が垂直なガイドにより垂直に案内されて昇
降するので、従来のように円弧状に移動する場合
のような余計なスペースを必要とせず、且つ移動
ストロークを大きくすることが可能となる。更
に、流体作動シリンダーによる駆動力を、第二動
力伝達機構を介して駆動シヤフトの回転に変え、
次いで該駆動シヤフトの回転を第一動力伝達機構
を介して、直線運動に変えインキパンを支持した
昇降部材を昇降させる構成としているので、第一
及び第二動力伝達機構の適切な設計により流体作
動シリンダーのストロークを拡大して昇降部材に
伝達することが可能であり、大ストロークの昇降
を小ストロークの流体作動シリンダーにより達成
することが可能となる。また、図示実施例に見ら
れるように、エアシリンダー及びその駆動力を駆
動シヤフトの回転に変える第二動力伝達機構は、
フレームの外側に設置しうるので、本考案装置は
スペースの少ない印刷ユニツトにも設置可能であ
り、且つ保守点検が容易である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す概略斜視図、
第２図は従来のインキパン昇降装置を示す概略斜
視図である。 １……フレーム、２……版胴シヤフト、５……
インキパン、２０……張出部、２２……インキパ
ン昇降装置、２３……昇降部材、２４……ガイ
ド、２５……チエーン、２６，２７……スプロケ
ツト、２８……駆動シヤフト、３０，３１……ス
プロケツト、３３……チエーン、３４……移動ス
プロケツト、３５……エアシリンダー、３６……
ピストンロツド。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 印刷機の印刷ユニツトにおいてインキパンを印
   刷位置と取り出し位置とに昇降させるインキパン
   昇降装置であつて、インキパンを支持する昇降部
   材と、該昇降部材を垂直方向に案内するガイド
   と、駆動シヤフトと、該駆動シヤフトの回転によ
   り、前記昇降部材を昇降させる第一動力伝達機構
   と、流体作動シリンダーと、該流体作動シリンダ
   ーの駆動力により前記駆動シヤフトを回転させる
   第二動力伝達機構とを有することを特徴とする印
   刷機のインキパン昇降装置。