JPH0580746U - 化粧シート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 光輝性顔料の粒子を含有する第一の合成樹脂
層の上に、第一の合成樹脂層とは粒径の異なる光輝性顔
料の粒子を含有する第二の合成樹脂層を設けてなる化粧
シート。 化粧製品の表面に出る合成樹脂層の上に保護
層を設けてもよいし、被化粧体に積層する側に基材シー
トを積層してもよい。 【効果】 パール光沢をもち、立体感のある意匠を、製
品に与えることができる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、成形品や建材の表面に光沢のある意匠を与えるための化粧シートに 関する。

【０００２】

【従来の技術】

家具、建材、家電製品などの製造に使用する化粧シートは、今日ではきわめて 多種類にのぼる。 それらの中でパール光沢をもつものが要求される場合には、 基材シート上に光輝性顔料を含有する合成樹脂層を設け、必要ならばその上に表 面保護層を設けた化粧シートが使用されている。

【０００３】 在来のこの種の化粧シートは、パール光沢が深みを出すことが困難で意匠の立 体感に乏しい。 光輝性顔料を含有する合成樹脂層を厚くすることによって立体 感を高めることが試みられたが、光輝性顔料は分散性が低く樹脂層の一方の面に 偏って存在する傾向があり、立体感を向上させることはできなかった。 この事 実にかんがみ、光輝性顔料を含有する合成樹脂のシートを重ねてみたが、やはり 立体感を高めることはできなかった。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

本考案の目的は、パール光沢をもった意匠を与える化粧シートにおいて、意匠 の立体感を高めたものを提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案の化粧シートは、基本的には図１に示すように、光輝性顔料の粒子を含 有する第一の合成樹脂層（１）の上に、第一の合成樹脂層とは粒径の異なる光輝 性顔料の粒子を含有する第二の合成樹脂層（２）を設けてなる。

【０００６】 ここで顔料粒子の「粒径」は、平均粒径を意味する。

【０００７】 光輝性顔料は常用のものを用いればよい。 その例をあげればつぎのとおりで ある。

【０００８】 （イ）パール顔料と称するもの、具体的には貝がらの内側の部分や真珠を砕粉 したもの、マイカ、マイカの微粒子にＴｉＯ₂ または酸化鉄を焼き付けたもの （ロ）金属粉、具体的には銅、アルミニウム、真ちゅう、青銅、金、銀等の、 好ましくは１〜１２０μの微粒子 （ハ）金属蒸着をしたプラスチックフィルムの砕片、たとえばポリエチレンテ レフタレートフィルムに上記のような金属、通常はアルミニウムを蒸着し、粉砕 したもの(銀色粉)、蒸着ののち透明な黄色塗装を行って粉砕したもの(金色粉) 前記したように、第一の合成樹脂層と第二の合成樹脂層とでは、含有する顔料 の粒径を変える。 立体感を高めるためには、なるべく粒径の差が大きくなるよ うに顔料をえらぶことが望ましい。 もっとも、合成樹脂に練り込むことのでき る顔料の粒径の範囲は、顔料の樹脂中への分散性、および樹脂のシート化や塗布 などの層を形成する手段によりおのずから定まってくる。 具体的には、一方の 顔料の粒径を５〜２５μｍの範囲から、他方の顔料の粒径を１０〜３０μｍの範 囲からえらぶとよい。

【０００９】 第一および第二の合成樹脂層に含有させる顔料の粒径の大小はどちらでもよく 、第一の合成樹脂層に相対的に粒径の大きな顔料を含有させてもよいし、逆に第 二の合成樹脂層に相対的に粒径の大きな顔料を含有させてもよい。 ただし、ど ちらかというと、化粧シートを適用したとき基材に近い深い側に相対的に大きな 粒径の顔料粒子がある方が、パール光沢の立体感を高める効果がすぐれている。

【００１０】 第一および第二の合成樹脂層における光輝性顔料の含有量は、いずれも１０〜 ７０重量％程度でよい。

【００１１】 第一および第二の合成樹脂層の材料とする樹脂は、化粧シートの用途に応じて 、アクリル樹脂をはじめとする熱可塑性樹脂や、各種の硬化性樹脂の中から適宜 にえらぶ。

【００１２】 化粧シートを基材に適用したときに表面にあらわれる合成樹脂層は、材料とし てアクリルウレタン、ウレタンエラストマーのような二液硬化性樹脂や、ウレタ ンアクリレート、ポリエステルアクリレートのような電離放射線硬化性樹脂を使 用し、硬化させると、得られる化粧製品の耐擦傷性が向上して好ましい。

【００１３】 合成樹脂層の透明性が維持できる範囲内であれば、樹脂中に、前記した光輝性 顔料のほかに、顔料や染料などの着色剤を加えてもよい。

【００１４】 第一および第二の合成樹脂層の厚さは、それぞれ０．１〜０．５ｍｍの範囲が 適当である。

【００１５】 上記の化粧シートの製造は、既知の技術によればよい。 たとえば、相対的に 粒径の大きい光輝性顔料を添加した合成樹脂と、相対的に粒径の小さい光輝性顔 料を添加した合成樹脂を用意してそれぞれの樹脂をシートに成形し、これらのシ ートを積層一体化する方法である。 そのほかに、一方の樹脂をシート化しその 上に他方の樹脂を塗工する方法や、補助シートたとえばポリプロピレンシート、 ポリエステルシート、セロハンなどの上に、上記した２種の合成樹脂を順に塗工 して第一および第二の合成樹脂層を形成し、その後補助シートを積層体から剥離 することからなる方法で製造することもできる。 この補助シートの内側に凹凸 のあるものを使えば、化粧シートの表面に凹凸形状を付与することができる。

【００１６】 第二の合成樹脂層の上面、第二の合成樹脂層と第一の合成樹脂層との間、およ び第一の合成樹脂層の下面のいずれか一つ、二つまたは三つに、絵柄印刷層や金 属の蒸着層のような装飾層を設けてもよい。 第二の合成樹脂層の上面、および 第二の合成樹脂層と第一の合成樹脂層との間に設ける装飾層は、透明なものでな ければならないが、図２に示したような第一の合成樹脂層の下面に設ける装飾層 （３）は、透明なものでも隠蔽性のあるものでもどちらでもよく、たとえば隠蔽 性インキのベタ印刷によってつくることができる。

【００１７】 必要に応じて、図２に示したように、第二の合成樹脂層（２）の上に表面保護 層（４）を設けたり、第一の合成樹脂層（１）の下に基材シート（５）を積層し たりしてもよい。 保護層は、アクリル樹脂、フッ素樹脂、各種の硬化性樹脂、 またはこれらに紫外線吸収剤などを添加したものを材料とし、ロールコーター、 グラビアコーターなど既知の塗布手段により形成すればよい。 保護層の厚さは 、材料にもよるが、一般に２０μｍもあれば足りる。

【００１８】 基材シートには、化粧シートの基材シートとして常用されているもの、たとえ ば、各種プラスチックのシート、紙類、布類を使用すればよい。 基材シートの 材料とするプラスチックは、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニルをはじめとするビ ニル系樹脂、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリスチレン、ＡＢＳ樹脂、セルロ ース、ポリカーボネートなどである。 紙類の例をあげれば、薄葉紙、クラフト 薄葉紙、クラフト紙、チタン紙、リンター紙、板紙、石膏ボード紙、紙にポリ塩 化ビニルをゾル塗工またはドライラミネートしたいわゆるビニル壁紙原反、上質 紙、コート紙、アート紙、硫酸紙、グラシン紙であり、布類の例をあげれば、ガ ラス繊維、石綿、チタン酸カリウム繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、炭素繊維 等の無機質繊維、ポリエステル、ビニロン等の樹脂を用いた織布または不織布で ある。

【００１９】 上記の基材シートに代えて板状の基材を使用してもよく、このような態様も本 考案に包含される。 板状の基材としては、木材合板、パーチクルボード、ＭＤ Ｆ（中密度繊維板）のような木質板や、各種の金属板、セメント板、繊維強化セ メント板、セラミックス板、熱可塑性樹脂または硬化樹脂の板が使用できる。

【００２０】 本考案の化粧シートにも従来と同様に、施工や運搬、保管に便利なよう、その 裏面に粘着剤を塗布したり、この粘着剤に剥離紙を当てたりしてもよい。 粘着 剤としては、アクリル樹脂系をはじめとする常用の粘着剤を使用すればよい。 離型紙は、常用の各種プラスチックフィルムや紙などに、シリコーンなどの離型 剤を塗布したものを使用する。

【００２１】

【作用】

本考案の化粧シートは、光輝性顔料を含有する合成樹脂層を二層とし、それぞ れの合成樹脂層に粒径の異なる光輝性顔料の粒子を含有させたことにより、立体 感のあるパール光沢をもった意匠を実現した。

【００２２】

【実施例】

透明なポリ塩化ビニル（理研ビニル工業製）に粒径が１０〜２５μｍのパール 顔料を練り込んで厚さ０．１５ｍｍに製膜したシート、および粒径が２０〜３０ μｍのパール顔料を練り込んで厚さ０．１５ｍｍに製膜したシートを用意した（ 以下、前者を「第一シート」、後者を「第二シート」という）。

【００２３】 厚さ０．２ｍｍの隠蔽性のある着色ポリ塩化ビニルシート（理研ビニル工業製 ）を基材シートとして用い、その上に絵柄をグラビア印刷して装飾層を設けた。

【００２４】 この基材シートの印刷面に、上記した第一シートおよび第二シートを、順次重 ね、イソシアネート硬化型ウレタン系接着剤「ハイポン７６６２」（日立化成ポ リマー製）を用いてドライラミネートした。

【００２５】 その上に、保護層として紫外線硬化型インキ「セイカビーム」（大日精化工業 製）をグラビアコートした。 ついで紫外線（強度１６０Ｗ／cm）を２秒間照射 してインキ層を硬化させて、厚さ１０μｍの保護層をつくった。

【００２６】 得られた化粧シートは、立体感のある美麗なものであった。

【００２７】

【考案の効果】 本考案の化粧シートを使用すれば、パール光沢をもち立体感のある意匠を製品 に与えることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の化粧シートの基本的な態様を説明する
ための、模式的な断面図。

【図２】本考案の化粧シートの別な態様を説明するため
の、図１と同様な図。

【符号の説明】

１ 第一の合成樹脂層 ２ 第二の合成樹脂層 ３ 装飾層 ４ 保護層 ５ 基材シート

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 光輝性顔料の粒子を含有する第一の合成
   樹脂層（１）の上に、第一の合成樹脂層とは粒径の異な
   る光輝性顔料の粒子を含有する第二の合成樹脂層（２）
   を設けてなる化粧シート。
2. 【請求項２】 第一の合成樹脂層の光輝性顔料の粒子
   が、第二の合成樹脂層の光輝性顔料よりも粒径が大きい
   ものである請求項１の化粧シート。
3. 【請求項３】 第二の合成樹脂層（２）の上面、第二の
   合成樹脂層（２）と第一の合成樹脂層（１）との間、お
   よび第一の合成樹脂層（１）の下面の少なくともひとつ
   に、装飾層（３）を設けた請求項１の化粧シート。
4. 【請求項４】 請求項１ないし３の積層体の下面に基材
   シート（５）をさらに積層してなる化粧シート。