JPH0580601U - 環状溝切削刃 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 加工時間が短く、コスト低減に寄与する環状
溝切削刃を提供する。 【構成】 自転して環状溝２を切削する切削刃であっ
て、先端に突起６を有し、該突起６の自転軸７からの距
離は環状溝２の中央を通る円５の半径ｒに等しく、断面
形状は環状溝２の凹部３の断面形状に等しい。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、自転して環状溝を切削する切削刃に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来平板１に環状溝２を切削するには、図３に示すように、（ａ）先端の直径 が環状溝２の凹部３の幅Ｗに等しい市販のエンドミル４を、自転させながら環状 溝２の中央を通る円５に沿って公転させるか、平板１を水平方向に移動させて切 削したり、あるいは（ｂ）環状溝２の凹部３の断面形状に等しい形状の放電電極 を製作し、これを公転させて形彫り放電加工していた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら前記（ａ）の方法では、切削刃を公転させるプログラムの作成を 必要とし、（ｂ）の方法では特殊な放電電極を製作しなければならず、そのうえ いずれの方法も、エンドミル４または平板１の位置合わせや移動に時間がかかる という不利があった。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案は前記従来の課題を解決し、ドリルによる単純な穴明け加工と同様な工 程で、環状溝を加工できる切削刃を提供するもので、これは自転して環状溝を切 削する切削刃であって、先端に突起を有し、該突起の自転軸からの距離は環状溝 の中央を通る円の半径に等しく、断面形状は環状溝の凹部の断面形状に等しいこ とを特徴とする環状溝切削刃を要旨とするものである。

【０００５】 以下図によって本考案を詳しく説明する。 図１（ａ）、（ｂ）、（ｃ）、（ｄ）は、本考案の切削刃とこれにより切削さ れる環状溝の一例を示すもので、切削刃の先端の突起６は、切削刃の自転軸７か ら切削する環状溝２の中央を通る円５の半径ｒに等しい距離だけ離れた位置にあ り、その断面形状は環状溝２の凹部３の断面形状に等しいものである。 突起６の前縁８はカット刃であり、その両側の横縁９、１０は、それぞれ環状 溝２の内周円１１、外周円１２と等しい半径の弧状をなすが、溝幅を正確に研削 するには、それらの位置を要求される環状溝２の内周円１１、外周円１２の位置 から０．０５ｍｍだけそれぞれ外側、内側にかたよせることが好ましい。

【０００６】 突起６の高さＨは環状溝２の凹部３の深さｈに等しくするが、環状溝２の中央 面１３に接する面以外の切削刃の先端部分は、切りくずの除去を容易にするため 削り取っておくのがよい。突起６の後部には、幅、高さを減少させて補強部１４ を設ける。 突起６は自転軸７に対し対称の位置にもう１個設けると、切削刃の寿命を延ば す点ではよいが、突起６の一つが折損した場合、残った突起６と衝突して環状溝 ２の凹部３を破損するおそれがあるので、１個のみの方がより好ましい。

【０００７】 切削刃の材料には、一般に使用されている工具用材、例えばバイス（高速度工 具鋼）、コーティングバイス、超硬合金、サーメット等がよいが、切削刃の寿命 と製作の容易さからは超硬合金が好ましい。

【０００８】

【作用】

本考案の切削刃で環状溝を切削するには、被切削物と切削刃との位置合わせを し、切削刃を単に自転させて、平板の深さ方向に所定の深さ送るだけでよい。 切削刃の最適回転数Ｎ（ｒｐｍ）、送り速度Ｆ（ｍｍ／分）は、切削刃の形状 を考慮した補正係数０．１５と１突起（１刃）当たりの送り定数をｍｍ単位で表 した０．０１を考慮すると、次式で与えられる。 Ｎ＝０．１５×Ｖ×１０００／（π×Ｄ） Ｖ＝０．０１×Ｎ×Ｚ ただしＺ：突起数 Ｖ：切削刃の材質による推奨切削速度（ｍ／分） 超硬合金 ：２０〜６０ ハイス ：１５〜３０ コーティングハイス：２０〜４５ Ｄ：研削刃の突起の外側横縁をなす弧の直径（ｍｍ）

【０００９】

【実施例】

（実施例） 金型とする平板１に、図２（ａ）に示すような先端の断面形状をもつ本考案の 切削刃で、（ｂ）、（ｃ）に示すような環状溝２を２３４個切削した。この環状 溝は、内周円の半径が零で中心軸に一致し、環状溝の凹部の底面に凹凸がある場 合である。 かかる環状溝を、本考案と従来の切削刃により研削した結果を次表に示す。 送り速度は、本考案の切削刃では深さ方向、従来の切削刃では公転方向のもの であり、切削時間は加工プログラムにより算出した値である。 このように本考案によれば、切削開始前に切削刃の中心軸と平板の位置を決め た後、平板の深さ方向に所定の深さ送るだけであるから、従来より加工時間が約 ６．５時間短縮できたほか、環状溝の底面に複雑な凹凸があっても切削時間にな んら影響を及ぼすことはない。

【００１０】

【考案の効果】

本考案の切削刃によれば、加工時間が大幅に減少し、コストダウンに著しい効 果をあげることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案による切削刃で、（ａ）は先端の斜視
図、（ｂ）は（ａ）のＸ−Ｘ線に沿う縦断面図、（ｃ）
は得られた環状溝の斜視図、（ｄ）は（ｃ）のＹ−Ｙ線
に沿う縦断面図である。

【図２】（ａ）は実施例における切削刃の縦断面図、
（ｂ）はこの切削刃で平板に切削した環状溝の斜視図、
（ｃ）は（ｂ）のＺ−Ｚ線に沿う縦断面図である。

【図３】従来の切削刃による環状溝の切削説明図であ
る。

【符号の説明】

１ 平板 １１ 内周円 ２ 環状溝 １２ 外周円 ３ 凹部 １３ 環状溝の中央面 ４ エンドミル １４ 補強部 ５ 環状溝の中央を通る円 ｒ 環状溝の中央を
通る円の半径 ６ 突起 ｈ 環状溝の深さ ７ 自転軸 Ｗ 環状溝の巾 ８ 突起の前縁 Ｈ 突起の高さ ９ 横縁 １０ 横縁

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 自転して環状溝を切削する切削刃であっ
   て、先端に突起を有し、該突起の自転軸からの距離は環
   状溝の中央を通る円の半径に等しく、断面形状は環状溝
   の凹部の断面形状に等しいことを特徴とする環状溝切削
   刃。